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特開2022-107363包装袋、包装袋の製造方法、及びシート包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107363
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】包装袋、包装袋の製造方法、及びシート包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20220713BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20220713BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20220713BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B65D77/00 B
A47K10/20 B
A47K10/42 B
A47K10/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002260
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藁科 真一
(72)【発明者】
【氏名】川村 剛一
【テーマコード(参考)】
2D135
3E067
【Fターム(参考)】
2D135AA02
2D135AA12
2D135AB01
2D135AB10
2D135DA21
2D135DA31
2D135DA33
3E067AA12
3E067AB75
3E067AB76
3E067AB77
3E067AC03
3E067AC14
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA03
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB03
3E067EB07
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GB02
3E067GD07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】破断しにくい包装袋を提供すること。
【解決手段】シートを収容する包装袋10であって、紙成分を含む紙層と、紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、包装袋10における紙成分の比率が50%以上であり、層の坪量が10g/m以上40g/m以下である包装袋であって、紙層がクラフト紙またはレーヨン紙で形成され、樹脂層の厚みが5μm以上40μm以下である、包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収容する包装袋であって、
紙成分を含む紙層と、
前記紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、
前記包装袋における前記紙成分の比率が50%以上である、
包装袋。
【請求項2】
前記紙層の坪量が10g/m以上40g/m以下である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記紙層がクラフト紙またはレーヨン紙で形成されている、
請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記樹脂層の厚みが5μm以上40μm以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレンである、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記包装袋が少なくとも1つのシール部を有するピロー包装袋であり、
前記樹脂層が前記ピロー包装袋の内側に配置された状態で、前記シール部が熱溶着されている、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記シール部の接合ピッチが、0.5mm以上2mm以下である、
請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
通気孔が形成されている、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項9】
開裂用切目線が形成されている、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の包装袋の製造方法であって、
前記包装袋のシール部を熱溶着する溶着工程を有し、
前記溶着工程における加熱温度が140℃以上180℃以下である、
包装袋の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の包装袋と、
前記包装袋に収容されたシートと、を有する、
シート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、包装袋の製造方法、及びシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ペーパータオルやティシューペーパー等のシートが収容されたシート包装体は、樹脂フィルム製の包装袋に複数枚のシートが収容された状態で流通され、使用される(例えば、特許文献1、2)。近年、CO排出に伴う地球温暖化やマイクロプラスチック等の海洋汚染等の環境負荷を抑制する観点から、シート包装体における包装袋の材質を樹脂製から紙製に変更する紙化が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-183034号公報
【特許文献2】特開2018-177364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シート包装体の包装袋を紙製にすると、紙製の包装袋は樹脂製の包装袋に比べて柔軟性がないことから、シート包装体の製造時や輸送時中に包装袋が破断しやすい。
【0005】
本発明の課題は、破断しにくい包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、シートを収容する包装袋であって、紙成分を含む紙層と、前記紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記包装袋における前記紙成分の比率が50%以上である、包装袋である。
【0007】
本明細書において、紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層とは、紙層の片面に樹脂層が設けられた2層構造または紙層の両面に樹脂層が積層された3層構造のいずれかを示す。
【0008】
第1の態様では、紙成分を含む紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層を有することで、包装袋を柔らかくすることができる。これにより、包装袋のごわごわ感を抑制し、包装袋に追従性を付与することができる。そのため、包装袋の材質を樹脂製から紙製に変更した(包装袋を紙化した)場合でも、製造時や輸送時に破断しにくい包装袋を提供することができる。
【0009】
また、第1の態様では、紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層が熱可塑性樹脂を含むことで、包装袋をシール(または封止)する際に樹脂層を加熱することで、溶けた樹脂層が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)ため、包装袋のシールが容易である。さらに、第1の態様では、包装袋における紙成分の比率が50%以上であるため、環境負荷を抑制することができる。
【0010】
本発明に係る第2の態様は、前記紙層の坪量が10g/m以上40g/m以下である、包装袋である。第2の態様では、紙層の坪量を10g/m以上40g/m以下にすることで、包装袋の強度を維持することができる。そのため、第2の態様によれば、さらに破断しにくい包装袋を提供することができる。
【0011】
本発明に係る第3の態様は、前記紙層がクラフト紙またはレーヨン紙で形成されている、包装袋である。本明細書において、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙を示す。また、レーヨン紙は、木材パルプなどから化学合成して作られたレーヨン繊維をクラフトパルプに配合させたものを示す。なお、レーヨン紙は、包装袋の柔らかさと強度を両立させる観点から、レーヨン繊維の配合率が質量比で20%以下のものが好ましい。
【0012】
第3の態様では、紙層をクラフト紙またはレーヨン紙で形成することで、包装袋のごわごわ感を抑制しながら包装袋の強度を維持することができる。
【0013】
本発明に係る第4の態様は、前記樹脂層の厚みが5μm以上40μm以下である、包装袋である。第4の態様では、樹脂層の厚みを5μm以上40μm以下にすることで、包装袋における紙成分の比率を50%以上に維持しやすくなる。また、包装袋のごわごわ感を抑制しながら、包装袋のシール時における樹脂層の接着機能を維持することができる。
【0014】
本発明に係る第5の態様は、前記熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレンである、包装袋である。第5の態様では、樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いることにより、包装袋のごわごわ感をさらに抑制しながら、包装袋のシール時における樹脂層の接着機能を向上させることができる。
【0015】
本発明に係る第6の態様は、前記包装袋が少なくとも1つのシール部を有するピロー包装袋であり、前記樹脂層が前記ピロー包装袋の内側に配置された状態で、前記シール部が熱溶着されている、包装袋である。ピロー包装袋とは、筒状の包装袋用シートの開口端部がシール(封止)された包装袋を示す。熱溶着は、包装袋用シートの一部を加熱して包装袋用シートの一部同士を溶着することを示す。
【0016】
第6の態様では、包装袋がピロー包装袋であり、樹脂層がピロー包装袋の内側に配置された状態で、少なくとも1つのシール部が熱溶着されることで、樹脂層同士を接着することができる。これにより、樹脂層の接着機能を有効に利用することができるので、シール性の高いピロー包装袋が得られる。
【0017】
本発明に係る第7の態様は、前記シール部の接合ピッチが、0.5mm以上2mm以下である、包装袋である。本明細書において、接合ピッチとは、シール部の一方の側から見たときに凸状に接着される部分の所定方向における間隔を示す。第7の態様では、シール部の接合ピッチを0.5mm以上2mm以下にすることで、紙層に設けられた樹脂層の接着機能を高めることができ、よりシール性の高いピロー包装袋が得られる。
【0018】
本発明に係る第8の態様は、通気孔が形成されている、包装袋である。第8の態様では、包装袋に通気孔を設けることで、シート包装体の保管時や輸送時に包装袋が破裂しにくくなる。
【0019】
本発明に係る第9の態様は、開裂用切目線が形成されている、包装袋である。本明細書において、開裂用切目線は、カットとタイ(2つのカット間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイが破断すると両隣のカットが連続したカットになる切目線を示す。
【0020】
第9の態様では、包装袋に開裂用切目線を設けることで、開裂用切目線を開裂するだけで包装袋を開封することができる。また、開裂された開裂用切目線は、包装袋の取出口を構成することができる。さらに、第9の態様では、紙層に樹脂層が積層されていることで追従性が付与された包装袋に開裂用切目線が設けられているため、開裂用切目線の開裂が容易である。
【0021】
本発明に係る第10の態様は、第1乃至第9の態様に係る包装袋の製造方法であって、前記包装袋のシール部を熱溶着する溶着工程を有し、前記溶着工程における加熱温度が140℃以上180℃以下である、包装袋の製造方法である。第10の態様では、包装袋のシール部を熱溶着する溶着工程で加熱温度を140℃以上180℃以下にすることで、上述のように包装袋を紙化する場合でも、シール性の高い包装袋を得ることができる。
【0022】
本発明に係る第11の態様は、第1乃至第9の態様に係る包装袋と、前記包装袋に収容されたシートと、を有する、シート包装体である。第11の態様では、上述の包装袋にシートが収容されたシート包装体を構成することで、上述の包装袋と同様の効果が得られる。すなわち、第11の態様によれば、包装袋を紙化した場合でも、製造時や輸送時に包装袋が破断しにくいシート包装体を提供することができる。
【0023】
また、第11の態様では、包装袋をシール(または封止)する際に樹脂層を加熱することで、溶けた樹脂層が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)ため、包装袋のシールが容易なシート包装体が得られる。さらに、第11の態様では、包装袋における紙成分の比率が50%以上であるため、環境負荷を抑制するシート包装体が得られる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、破断しにくい包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態の包装袋にシートが収容されたシート包装体を示す図である。
図2】実施形態の包装袋に収容されるシートを示す図である。
図3図1のシート包装体を天面側から見た図である。
図4図1のシート包装体を底面側から見た図である。
図5図1のシート包装体を正面側から見た図である。
図6図1のシート包装体を背面側から見た図である。
図7図1のシート包装体を左側面側から見た図である。
図8図1のシート包装体を右側面側から見た図である。
図9】実施形態の包装袋の一例(2層構造)の断面を示す図である。
図10】実施形態の包装袋の一例(3層構造)の断面を示す図である。
図11】本実施形態の包装袋のシール部の一例を示す図である。
図12】本実施形態の包装袋のシール部の一例を示す図である。
図13】本実施形態の包装袋のシール部の一例を示す図である。
図14】本実施形態の包装袋の通気孔を形成する器具の一例を示す図である。
図15図1のシート包装体の使用時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<包装体>
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、各図では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、包装袋の長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、高さ方向(上下方向または厚み方向)をZ方向とする。
【0027】
図1は、実施形態の包装袋にシートが収容されたシート包装体を示す図である。図2は、実施形態の包装袋に収容されるシートを示す図である。図3図4図5図6図7図8は、図1のシート包装体を天面側、底面側、正面側、背面側、左側面側、右側面側からそれぞれ見た図である。
【0028】
シート包装体100は、図1に示すように、包装袋10、シート積層体20(複数枚のシートS)を有する。シート包装体100は、本実施形態に係るシート包装体の一例である。また、包装袋10は、本実施形態に係るシート包装体を構成する包装袋の一例である。シート積層体20は、本実施形態に係る包装袋に収容されるシートの一例である。
【0029】
包装袋10には、図2に示すように、積層された複数枚(または複数組)のシートS(シート積層体20)が収容される。シート積層体20は、シートSの積層方向(SD方向)が高さ方向(Z方向)となるように包装袋10に収容されている。シート積層体20は、包装袋10に形成された後述の取出口30(開口OP)を通してシートSが1組ずつ引き出せるようになっている(図15参照)。
【0030】
シートSの積層体SLの形態は、特に限定されず、例えば、シートSが折りたたまれた状態で積層されたもの、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体)、複数枚のシートSが単に積層されたもの等を採用することができる。
【0031】
また、シートS(シート積層体20)の寸法は、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL2を150~250mm程度、包装袋10の長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)の幅W2を70~150mm程度、高さ方向(Z方向)の高さH2を20~100mm程度とすることができる。このような薄葉紙の積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0032】
シートSの態様は、特に限定されず、例えば、ペーパータオル、キッチンペーパー、ティシューペーパー、トイレットペーパー等の衛生薄葉紙に適用可能である。これらの衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。
【0033】
また、シートSの用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるシートとしては、これらの中でも、家庭用、携帯用のペーパータオルが好適に用いられる。
【0034】
シートSのプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライまたは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されないが、例えば、2プライのシートが折りたたまれた状態で輪郭形状が四角形(長方形、正方形等)のものであることが好ましい。
【0035】
シートSの材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙(紙シート)である。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0036】
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートS(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0037】
シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m以上80g/m以下であり、好ましくは10g/m以上60g/m以下、より好ましくは10g/m以上45g/m以下である。また、不織布の場合は20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0038】
また、シートS(紙シート)の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSが紙の場合、紙厚は、2プライあたり、50μm以上600μm以下であり、好ましくは60μm以上500μm以下、より好ましくは130μm以上400μm以下である。
【0039】
また、シートS(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0040】
包装袋10は、紙成分を含む紙層10Aと、紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)とを有する(図9図10)。そして、包装袋10における紙成分の比率が50%以上となっている。
【0041】
ここで、紙成分は、例えば、植物繊維を膠着させたもの(パルプ)である。紙成分におけるパルプ組成は、限定されず、例えば、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比が0:100~70:30であり、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、パルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0042】
本実施形態では、紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層は、例えば、紙層10Aの片面に樹脂層10Bが設けられた2層構造(図9)、または紙層10Aの両面に樹脂層10B、10Cが積層された3層構造(図10)である。
【0043】
包装袋10を構成する紙層10Aの材質は、特に限定されないが、例えば、クラフト紙またはレーヨン紙で形成することができる。ここで、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙である。また、レーヨン紙は、木材パルプなどから化学合成して作られたレーヨン繊維をクラフトパルプに配合させたものである。なお、レーヨン紙は、包装袋10の柔らかさと強度を両立させる観点から、レーヨン繊維の配合率が質量比で20%以下のものが好ましい。
【0044】
包装袋10を構成する紙層10Aの坪量は、限定されないが、好ましくは10g/m以上40g/m以下であり、より好ましくは15g/m以上35g/m以下、さらに好ましくは20g/m以上30g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0045】
包装袋10を構成する紙層10Aの厚みは、限定されないが、例えば、好ましくは20μm以上100μm以下であり、より好ましくは25μm以上90μm以下、さらに好ましくは40μm以上75μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0046】
包装袋10を構成する樹脂層10B、10Cに含まれる熱可塑性樹脂の材質は、特に限定されないが、好ましくは低密度ポリエチレンである。なお、低密度ポリエチレンとしては高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)のいずれでもよい。
【0047】
包装袋10を構成する樹脂層10B、10Cの厚みは、限定されないが、好ましくは5μm以上40μm以下であり、より好ましくは7μm以上35μm以下であり、さらに好ましくは9μm以上30μm以下である。なお、紙厚は、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0048】
包装袋10の坪量は、限定されないが、好ましくは20g/m以上70g/m以下であり、より好ましくは25g/m以上65g/m以下、さらに好ましくは30g/m以上60g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0049】
包装袋10の厚みは、限定されないが、例えば、25μm以上105μm以下であり、好ましくは30μm以上95μm以下、より好ましくは45μm以上80μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定された厚みを採用することができる。
【0050】
包装袋10の密度は、限定されないが、例えば、0.1g/m以上1.5g/m以下0.3g/m以上1.2g/m以下、より好ましくは0.5g/m以上0.9g/m以下である。なお、密度は、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0051】
包装袋10の引張強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)に1kN/m以上6kN/m以下、好ましくは1.3kN/m以上5.5kN/m以下より好ましくは1.5kN/m以上5kN/m以下であり、横方向(流れ方向と直交する方向)に0.1kN/m以上2.5kN/m以下、好ましくは0.2kN/m以上2.4kN/m以下より好ましくは0.3kN/m以上2.3kN/m以下である。なお、引張強度は、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。
【0052】
包装袋10の引裂強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)に70mN以上350mN以下、好ましくは80mN以上340mN以下より好ましくは90mN以上330mN以下であり、横方向(流れ方向と直交する方向)に250mN以上950mN以下、好ましくは280mN以上930mN以下より好ましくは300mN以上920mN以下である。なお、引裂強度は、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して測定される。
【0053】
包装袋10のソフトネスは、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)に90mN/100mm以上800mN/100mm以下、好ましくは110mN/100mm以上750mN/100mm以下、より好ましくは130mN/100mm以上730mN/100mm以下であり、横方向(流れ方向と直交する方向)に40mN/100mm以上330mN/100mm以下、好ましくは、50mN/100mm以上310mN/100mm以下、より好ましくは60mN/100mm以上310mN/100mm以下である。
【0054】
ここで、ソフトネスは、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定したものである。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmで実施した。ソフトネスの測定は、1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を小数点1桁とし、mNを単位として表した。
【0055】
包装袋10は、天面11、底面12、側面13、側面14、妻面15、妻面16を有する。なお、包装袋10では、天面11と底面12が上下方向(Z方向)に対向し、側面13と側面14が幅方向(Y方向)に対向し、妻面15と妻面16が長手方向(X方向)に対向する。そして、妻面15、16は、天面11、底面12、側面13、および側面14のいずれにも連続する(図1図3図8)。
【0056】
また、包装袋10の寸法は、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL1を150~250mm程度、包装袋10の長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)の幅W1を70~150mm程度、高さ方向(Z方向)の高さH1を20~100mm程度とすることができる。なお、この包装袋10の寸法は、包装袋10にシート積層体20が収容された状態での寸法を示す。
【0057】
包装袋10の天面11、妻面15の天面11側、妻面16の天面11側には、包装袋10の長手方向(X方向)に延びる取出口30が形成されている。具体的には、取出口30は、開裂用切目線30が形成されている。ここで、開裂用切目線30は、カットCとタイT(2つのカットC、C間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイTが破断すると両隣のカットCが連続したカットになる切目線を示す(図1図3図7図8)。
【0058】
本実施形態では、開裂用切目線30は、カットCとタイTが交互に配置された直線状のミシン目Mで構成されている(図1図3図7図8)。本実施形態の包装袋10では、このミシン目Mを開裂することで包装袋10の天面11に、シートSが引き出される開口OPとして形成される(図9)。
【0059】
なお、開裂用切目線30の作製方法は、任意であり、例えば、図14に示す器具90を用いて作製することができる。具体的には、器具90の針部91と台部92の間に包装袋10(包装袋10用シート)を配置し、針部91の先端91Aを台部92の受溝92Aに向けて刺すことで、開裂用切目線30を形成することができる。
【0060】
本実施形態の包装袋10では、図1に示すように、通気孔70、80が形成されていることが好ましい。通気孔70、80は、包装袋10の空気穴として機能することができる。通気孔70、80の位置は、特に限定されず、本実施形態では、包装袋10の側面13、妻面15、16に通気孔70(複数の通気孔71)が設けられ、包装袋10の側面14、妻面15、16に通気孔80(複数の通気孔81)が設けられている(図1図5図6)。
【0061】
なお、複数の通気孔71、81が設けられているが、通気孔70、80の数は限定されない。また、通気孔80の形状は、特に限定されず、本実施形態では、平面視で円形である。また、通気孔80の寸法は、特に限定されず、本実施形態では、約2mmの径寸法である。
【0062】
なお、通気孔80の作製方法は、任意であり、例えば、図14に示す器具90を用いて作製することができる。具体的には、器具90の針部91と台部92の間に包装袋10(包装袋10用シート)を配置し、針部91の先端91Aを台部92の受溝92Aに向けて刺すことで、通気孔80を形成することができる。なお、器具90を用いて通気孔80を形成する場合は、台部92に受溝92Aが設けられていないものを用いてもよい。
【0063】
なお、台部92の形状は限定されず、板状、円筒状等の台部を採用することができる。
また、台部92に形成される受溝92Aの数は限定されず、台部92に1つ形成されているものでも、台部92に所定の間隔で複数形成されているものでもよい。
【0064】
包装袋10の包装形態は、特に限定されず、例えば、紙層10Aに樹脂層10B、10Cが積層された包装袋10用シートが筒状に加工され、該筒状の包装袋用シートの開口端部がシール(封止)されたもの(ピロー包装袋)、または筒状の包装袋10用シートの両端部が折りたたまれてシール(封止)されたもの(キャラメル包装袋)、または、これらを組み合わせた包装袋等を採用することができる。なお、本実施形態においてピロー包装袋される筒状の包装袋用シートは、ガセット状に折り込まれていてもよい。
【0065】
本実施形態では、包装袋10が少なくとも1つのシール部を有するピロー包装袋で構成されている。具体的には、包装袋10の妻面15、16にシール部(エンドシール)40、50が形成され、包装袋10の底面12にシール部(ボトムシール)60が形成されて、シートS(シート積層体20)がピロー包装されている。
【0066】
本実施形態の包装袋10では、樹脂層(樹脂層10B、10C)がピロー包装袋10の内側に配置された状態で、シール部40、50、60が熱溶着されている。ここで、熱溶着は、包装袋用シートの一部を加熱して包装袋用シートの一部同士を溶着することを示す。
【0067】
具体的には、図9に示す2層構造の包装袋(ピロー包装袋)10では、樹脂層10Bが包装袋10の内側に配置された状態で、シール部40、50、60が熱溶着されている。また、図10に示す3層構造の包装袋(ピロー包装袋)10では、樹脂層10Bまたは樹脂層10Cのいずれかが包装袋10の内側に配置された状態で、シール部40、50、60が熱溶着されている。
【0068】
また、本実施形態の包装袋10では、シール部40の接合ピッチS1、シール部50の接合ピッチS2、シール部60の接合ピッチS3が、それぞれ好ましくは0.5mm以上2mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.8mm以下、さらに好ましくは1.0mm以上1.5mm以下である。
【0069】
ここで、接合ピッチは、シール部40、50、60の一方の側(例えば、包装袋10の底面12側)から見たときに凸状に接着される部分(凸部41、51、61)の所定方向(シール部40、50については包装袋10の幅方向(Y方向)、シール部60については包装袋10の長手方向(X方向))における間隔を示す。
【0070】
本実施形態の包装袋10では、上述のように、紙成分を含む紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層10B、または樹脂層10B及び樹脂層10Cを有することで、包装袋10を柔らかくすることができる。これにより、包装袋10のごわごわ感を抑制し、包装袋10に追従性を付与することができる。そのため、本実施形態によれば、包装袋の材質を樹脂製から紙製に変更した(包装袋を紙化した)場合でも、製造時や輸送時に破断しにくい包装袋10を提供することができる。
【0071】
また、本実施形態では、紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層が熱可塑性樹脂を含むことで、包装袋10をシール(または封止)する際に樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)を加熱することで、溶けた樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)ため、包装袋10のシールが容易である。さらに、本実施形態では、包装袋10における紙成分の比率が50%以上であるため、環境負荷を抑制することができる。
【0072】
本実施形態の包装袋10では、上述のように、紙層10Aの坪量を10g/m以上40g/m以下にすることで、包装袋10の強度を維持することができる。そのため、本実施形態によれば、さらに破断しにくい包装袋10を提供することができる。
【0073】
本実施形態では、上述のように、紙層10Aをクラフト紙またはレーヨン紙で形成することで、包装袋10のごわごわ感を抑制しながら包装袋10の強度を維持することができる。
【0074】
本実施形態では、上述のように、樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)の厚みを5μm以上40μm以下にすることで、包装袋における紙成分の比率を50%以上に維持しやすくなる。また、包装袋のごわごわ感を抑制しながら、包装袋のシール時における樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)の接着機能を維持することができる。
【0075】
本実施形態では、上述のように、樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)に含まれる熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いることにより、包装袋10のごわごわ感をさらに抑制しながら、包装袋10のシール時における樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)の接着機能を向上させることができる。
【0076】
本実施形態では、上述のように、包装袋10がピロー包装袋であり、樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)がピロー包装袋10の内側に配置された状態で、少なくとも1つのシール部が熱溶着されることで、樹脂層同士を接着することができる。これにより、樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)の接着機能を有効に利用することができるので、シール性の高いピロー包装袋10が得られる。
【0077】
本実施形態では、上述のように、シール部(シール部40、50、60)の接合ピッチを0.5mm以上2mm以下にすることで、紙層10Aに設けられた樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)の接着機能を高めることができ、よりシール性の高いピロー包装袋10が得られる。
【0078】
本実施形態では、上述のように、包装袋10に通気孔80(複数の通気孔81)を設けることで、シート包装体100の保管時や輸送時に包装袋が破裂しにくくなる。
【0079】
本実施形態では、包装袋10に開裂用切目線30を設けることで、開裂用切目線30を開裂するだけで包装袋10を開封することができる。また、開裂された開裂用切目線30は、包装袋10の取出口30(開口OP)を構成することができる。さらに、本実施形態では、紙層10Aに樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)が積層されていることで追従性が付与された包装袋10に開裂用切目線30が設けられているため、開裂用切目線30の開裂が容易である。
【0080】
<包装袋の製造方法>
本実施形態に係る包装袋の製造方法は、上述の包装袋10を製造する方法である。具体的には、包装袋10のシール部40、50、60を熱溶着する溶着工程を有する。溶着工程では、加熱温度を140℃以上180℃以下、好ましくは140℃以上170℃以下、より好ましくは140℃以上160℃以下にして熱溶着が行われる。なお、溶着工程以外の工程については、従来の樹脂フィルムの包装袋を製造する方法で用いられる工程を採用することができる。
【0081】
本実施形態に係る包装袋の製造方法によれば、包装袋10のシール部(シール部40、50、60)を熱溶着する溶着工程で加熱温度を140℃以上180℃以下にすることで、上述のように包装袋を紙化する場合でも、シール性の高い包装袋10を得ることができる。
【0082】
<シート包装体>
本実施形態に係るシート包装体は、上述の包装袋10と、包装袋10に収容されたシートSと、を有する。具体的には、本実施形態に係るシート包装体は、上述の包装袋10及びシート積層体20(複数枚のシートS)を有するシート包装体100で構成することができる。
【0083】
本実施形態のシート包装体では、上述の包装袋10にシートS(シート積層体20)が収容されたシート包装体100を構成することで、上述の包装袋10と同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態によれば、包装袋を紙化した場合でも、製造時や輸送時に包装袋10が破断しにくいシート包装体100を提供することができる。
【0084】
また、本実施形態では、包装袋10をシール(または封止)する際に樹脂層(樹脂層10B、10C)を加熱することで、溶けた樹脂層(樹脂層10B、10C)が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)ため、包装袋10のシールが容易なシート包装体100が得られる。さらに、本実施形態では、包装袋10における紙成分の比率が50%以上であるため、環境負荷を抑制するシート包装体100が得られる。
【実施例0085】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0086】
[試験体]
試験体として、複数枚のシートS(シート積層体20)が包装袋10にピロー包装されたシート包装体100を用意した(図1図8)。シート積層体20は、シートSが折りたたまれた状態で積層されたペーパータオル(商品名「エルヴェール エコドライ(中判)」、大王製紙株式会社製、200組、高さH1:65mm、長さL1:210mm、幅(奥行)W1:115mm、坪量33g/m、紙厚180μm)を用いた。
【0087】
[米坪]
試験体における包装袋10の米坪(坪量)を、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定した。米坪の単位は、g/mである。
【0088】
[紙厚]
試験体における包装袋10の紙厚(厚み)を、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定した。厚みの単位は、μmである。
【0089】
[密度]
試験体における包装袋10の密度を、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定した。密度の単位は、g/mである。
【0090】
[引張強度]
試験体における包装袋10について、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して、テンシロン万能試験機(A&D社製、RTG-1210)を使用し、縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の引張強度(mN)を測定した。
【0091】
[伸び]
試験体における包装袋10について、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して、テンシロン万能試験機(A&D社製、RTG-1210)を使用し、縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の伸び(%)を測定した。
【0092】
[引裂強度]
試験体における包装袋10について、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して、引裂強度試験機(熊谷理機工業社製、エルメンドルフ引裂度試験機(デジタル表示式))を使用し、繊維の縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の引裂強度を測定した。
【0093】
[ソフトネス]
試験体の包装袋10について、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に従ってソフトネスを測定した。試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmとした。測定は、表・縦方向(流れ方向)、表・横方向(流れ方向と直交する方向)の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を、mN/100mmを単位として表した。なお、ソフトネスは、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定した。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmで実施した。ソフトネスの測定は、ハンドルオメータ(熊谷理機工業社製、手触り測定器)を用いて、1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を小数点1桁とし、mNを単位として表した。
【0094】
[ヒートシール強度]
試験体の包装袋10について、ヒートシール強度を確認した。ヒートシール強度は、120℃、140℃、160℃、180℃についてそれぞれ測定した。ヒートシール強度の測定は、ロードセル引張試験器(A&D社製、テンシロンRTG-1210)、および熱傾斜試験機(東洋精機製、TYPE HG-100)を用いて、縦方向に長さ300mm、横方向に幅120mmの試験片を、ヒートシール面を内側にして縦方向の内側に折り、熱傾斜試験器で試験片をシールする。このとき、荷重は1.0kgf、時間は1.0秒、温度設定は120℃、140℃、160℃、180℃の4水準で試験をする。ヒートブロックは幅1.0cm、長さ2.5cmのブロックを5個(横並びで5連)で荷重は均等とする。ヒートシールした試験片からヒートシール強度測定用の試験片を採取する。試験片は幅1.5cm×長さ15cm程度としヒートシール部のヒートブロック1個分を含む。試験片の両端部を、ロードセル引張試験機のチャッキング間を100mmとして、試験片の中央部にヒートシール部が配置されるようにセットして引張試験を行う。
【0095】
[紙化率]
試験体の包装袋10について、紙成分の比率を紙化率(%)として算出した。なお、樹脂層(ポリエチレン)の重量は比重とフィルム厚から算出した。
【0096】
[エンドシール]
試験体について、エンドシール(シール部40、50)を摘まみ、試験体の長手方向(X方向)に広げたときに、エンドシール(シール部40、50)が破れるかを確認した。エンドシールの評価は、エンドシールが破れなかった場合は〇(良好)、エンドシールが破れた場合は×(不良)、と評価した。
【0097】
[ボトムシール]
試験体について、ボトムシール(シール部60)のエンドシール(シール部40、50)側をそれぞれ摘まみ、試験体の長手方向(X方向)に広げたときに、ボトムシール(シール部60)が破れるかを確認した。ボトムシールの評価は、ボトムシールが破れなかった場合は〇(良好)、ボトムシールが破れた場合は×(不良)、と評価した。
【0098】
[破断]
試験体を天面11と底面12から手で圧縮させ、包装袋10が破れるかを確認した。破断の評価は、包装袋10、シール部40、50、60のいずれも破れなければ○(良好)、包装袋10、シール部40、50、60のいずれも破れないが柔軟性がない場合は△(やや不良)、シール部40、50、60のいずれかが破れたら×(不良)、と評価した。
【0099】
[空気穴]
試験体に空気穴(通気孔70、80)が形成できるかを確認した。空気穴の評価は、通気孔70、80が容易に形成できた場合は〇(良好)、通気孔70、80が形成できるが形成しにくい場合は△(やや良好)、通気孔70、80が形成できない場合は×(不良)、と評価した。
【0100】
[ミシン目]
試験体の包装袋10の天面11にミシン目M(開裂用切目線30)が形成できるかを確認した。ミシン目の評価は、ミシン目Mが容易に形成できた場合は〇(良好)、ミシン目Mが形成できるが形成しにくい場合は△(やや良好)、ミシン目Mが形成できない場合は×(不良)、と評価した。
【0101】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0102】
[実施例1]
試験体(シート包装体100)の包装袋10において、紙層10Aを坪量30g/mのクラフト紙で構成し、樹脂層10Bを15μmの低密度ポリエチレンで構成した2層構造とした。米坪、紙厚、密度、引張強度縦、横、伸び、引裂強度、ソフトネス、ヒートシール強度、紙化率、エンドシール、ボトムシール、破断、空気穴、ミシン目を、表1に示す。
【0103】
[実施例2]
紙層10Aを坪量30g/mのクラフト紙で構成し、樹脂層10Bを12μmの低密度ポリエチレンで構成し、樹脂層10Cを20μmの低密度ポリエチレンで構成した3層構造とした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0104】
[実施例3]
樹脂層10Bの厚みを15μmとし、樹脂層10Cの厚みを15μmとした以外は、実施例2と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0105】
[実施例4]
樹脂層10Bの厚みを30μmとした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0106】
[実施例5]
樹脂層10Bの厚みを11μmとした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0107】
[実施例6]
紙層10Aの坪量を20g/mとし、樹脂層10Bの厚みを11μmとした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0108】
[実施例7]
紙層10Aを坪量30g/mのレーヨン紙で構成した以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0109】
[実施例8]
樹脂層10Bの厚みを11μmとした以外は、実施例7と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0110】
[実施例9]
樹脂層10Bの厚みを20μmとした以外は、実施例7と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0111】
[実施例10]
紙層10Aの坪量を20g/mとし、樹脂層10Bの厚みを11μmとした以外は、実施例7と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0112】
[比較例1]
試験体(シート包装体100)の包装袋10において、紙層10Aを坪量20g/mのクラフト紙で構成した1層構造とした。米坪、紙厚、密度、引張強度縦、横、伸び、引裂強度、ソフトネス、ヒートシール強度、紙化率、エンドシール、ボトムシール、破断、空気穴、ミシン目を、表1に示す。
【0113】
[比較例2]
紙層10Aの坪量を30μmとした以外は、比較例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0114】
[比較例3]
紙層10Aの坪量を40μmとした以外は、比較例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0115】
[比較例4]
シール部40、50、60を接着剤でシールした以外は、比較例1と同様に測定、評価した。結果を表1に示す。
【0116】
[比較例5]
紙層10Aを坪量20g/mのレーヨン紙で構成した以外は、比較例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0117】
[比較例6]
紙層10Aの坪量を30μmとした以外は、比較例6と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
表1より、紙層10Aに樹脂層10B、または樹脂層10B、10Cを設け、紙成分の比率が50%以上の包装袋10を有する試験体は、エンドシール、ボトムシール、破断、空気穴、ミシン目のいずれも良好であった(実施例1~10)。これに対して、紙層10Aのみで構成した包装袋を有する試験体は、エンドシール、ボトムシール、破断、ミシン目の少なくともいずれかが良好ではなかった(比較例1~6)。
【0120】
これらの結果から、シートを収容する包装袋であって、紙成分を含む紙層と、前記紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記包装袋における前記紙成分の比率が50%以上である、包装袋は、紙化しても破断しにくい包装袋であることが判った。
【0121】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0122】
100 シート包装体
10 包装袋
10A 紙層
10B、10C 樹脂層
11 天面
12 底面
13、14 側面
15、16 妻面
20 シート積層体
S シート
30 開裂用切目線(取出口)
OP 開口
40、50 シール部(エンドシール)
41、 51 凸部
60 シール部(ボトムシール)
61 凸部
70、71、80、81 通気孔(空気穴)
90 器具
91 針部
91A 先端
92 台部
92A 受溝
L1、L2 長さ
W1、W2 幅
H1、H2 高さ
S1、S2、S3 接合ピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15