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特開2022-107371シロキクラゲ組成物の調製方法およびシロキクラゲ組成物
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  • 特開-シロキクラゲ組成物の調製方法およびシロキクラゲ組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107371
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】シロキクラゲ組成物の調製方法およびシロキクラゲ組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 31/00 20160101AFI20220713BHJP
【FI】
A23L31/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002283
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】521014401
【氏名又は名称】偉裕生技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】李 友錚
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD34
4B018MD44
4B018MD47
4B018MD82
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF07
4B018MF14
(57)【要約】
【課題】人体細胞に対して修復機能のある、飲むとより良い満腹感を与えられるシロキクラゲ組成物の調製方法およびシロキクラゲ組成物を提供する。
【解決手段】シロキクラゲ組成物の調製方法は、シロキクラゲ脱水ステップ110と、脱水したシロキクラゲを粉砕する第一粉砕ステップ120と、食物繊維を粉砕する第二粉砕ステップ130と、粉砕した食物繊維に乾燥片栗粉を加え、混合する第一混合ステップ140と、粉砕したシロキクラゲおよびタンパク質に食物繊維を加え、混合する第二混合ステップ150と、シロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物に核酸液を加え、混合する第三混合ステップ160と、混合物を予定時間まで加熱する煎じステップ170と、加熱した混合物のpH値を調整し、シロキクラゲ組成物を獲得するpH値調整ステップ180と、シロキクラゲ組成物が持つ人体細胞に対する修復効果を検測する検測ステップ190とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキクラゲを脱水するシロキクラゲ脱水ステップと、
脱水した前記シロキクラゲを粉砕する第一粉砕ステップと、
食物繊維を粉砕する第二粉砕ステップと、
粉砕した前記食物繊維に所定量の乾燥片栗粉を加え、混合する第一混合ステップと、
粉砕した前記シロキクラゲおよび所定のタンパク質に前記食物繊維を加え、混合する第二混合ステップと、
前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物に所定の核酸液を加え、混合する第三混合ステップと、
前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物を予定時間まで加熱する煎じステップと、
加熱した前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物のpH値を調整し、シロキクラゲ組成物を獲得するpH値調整ステップと、
前記シロキクラゲ組成物が持つ人体細胞に対する修復効果を検測する検測ステップと、
を含むシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項2】
前記第一粉砕ステップにおいて、直径が10~15cmの乾燥した前記シロキクラゲを3~10枚取り、15~20分間の粉砕で粉末状にし、篩に掛け、
前記第二粉砕ステップにおいて、粉砕した前記食物繊維にMES/TRIS緩衝溶液を加え、pH値を8.2に調整し、アミラーゼを加え、65~95℃の温度で加熱し、更に遠心処理し、加熱乾燥を通して水溶性食物繊維を獲得し、
前記第二混合ステップにおける各成分の重量パーセントは、前記シロキクラゲが15~30%、前記食物繊維が10~20%、前記タンパク質が40%以下であり、
前記第三混合ステップにおいて、水を加えて、前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物を覆い、
前記煎じステップにおいて、0.6MPaの圧力、65~95℃の温度で、加熱時間は20分間とし、
前記pH値調整ステップにおいて、前記シロキクラゲのpH値を5.68~5.83の間に固定し、乳漿タンパク質で全体溶液のpH値を7.05~7.45の間に調整する請求項1に記載のシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項3】
前記煎じステップにおいて、65~95℃の温度で加熱された前記シロキクラゲは、分子量が9000~10000Daの多糖類を産出可能である請求項2に記載のシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項4】
前記第三混合ステップにおいて、前記シロキクラゲ、前記タンパク質、前記食物繊維および前記核酸液の重量パーセント比が8:8:3:2となる請求項2に記載のシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項5】
粒子径が1.6~25ミクロンの粉末状のシロキクラゲと、
植物ガムまたは藻類抽出物で構成される食物繊維と、
乳漿タンパク質であるタンパク質と、
核酸液と、
を含み、全体溶液のpH値が調製されているシロキクラゲ組成物。
【請求項6】
前記核酸液におけるシロキクラゲ抽出物であるDNAタンパク、RNAタンパクおよびビタミンコンプレックスそれぞれの成分の重量パーセントは、前記DNAタンパクが0~40%、前記RNAタンパクが0~40%、前記ビタミンコンプレックスが10%以下となる請求項5に記載のシロキクラゲ組成物。
【請求項7】
前記食物繊維は、多糖類発酵物、ブドウ糖発酵物、ショ糖発酵物を含む植物ガムである請求項6に記載のシロキクラゲ組成物。
【請求項8】
前記シロキクラゲ、前記タンパク質、前記食物繊維および前記核酸液の全体溶液のpH値が7.05~7.45の間である請求項5に記載のシロキクラゲ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシロキクラゲ栄養補給品に関し、特にシロキクラゲ組成物の調製方法およびシロキクラゲ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
保健意識の向上とともに、人々は菌類また食物繊維などの食品を服用することで腸の健康を促進しようとしている。菌類は体質改善にメリットがあって、食物繊維のある食品は満腹感を与えられる。現在、市販の菌類飲料は、ほとんど低温酸性保存の真菌飲料或いは薬用菌類飲料である。食物繊維は使用されないため、人に満腹感を与えることができない。
【0003】
シロキクラゲは栄養価値と風味があり、中国と東南アジアで人気を博している。シロキクラゲは典型的な二形性真菌として、硬い細胞壁と高水準の多糖類を有し、RNAと沈殿したり、結合したりすることができる。周知のRNA分離試薬テストキット、例えばTrizol試薬(アメリカ、カリフォルニアInvitrogen社製)、RNAiso plus(中国大連市書宝生物工程有限会社製)は分離サンプルのRNAを使用したため、多糖類のシロキクラゲに使用できず、更に生産製造の管理に応用することが困難である。
【0004】
その他、シロキクラゲには70%の食物繊維があって、胃腸の蠕動および脂肪の吸収にメリットをもたらす。しかし、特定のpH値に精錬、調整が必要で、さらに遠心、沈殿などの処理方法なしでは、水溶性食物繊維を抽出できず、大量製作に活用できない。
【0005】
また、市販のクロキクラゲ飲料は同質の多糖類である。生物分類から見ればアガリクス綱、キクラゲ科に属し、主な栄養成分は鉄およびカリウムで、クロキクラゲも多糖類を抽出できる。シロキクラゲは弱酸性の多糖類で、主な成分はビタミンBおよび微量元素である。
非特許文献1によると、シロキクラゲの多糖類構造は図1に示した通りである。そのほか、化学試薬塩化リチウム(LiCl)の沈澱を通して、シロキクラゲから多糖類の抽出に成功したと関連研究員(Proma khondka)が報告した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Fraser CG, Jennings HJ, Moyna P.著 「Structural analysis of an acidic polysaccharide from Tremella mesenterica NRRL Y-6158」 1973年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、人体細胞に対して修復機能のある、飲むとより良い満腹感を与えられるシロキクラゲ組成物の調製方法およびシロキクラゲ組成物を提供することを主要目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、シロキクラゲを脱水するシロキクラゲ脱水ステップと、脱水したシロキクラゲを粉砕する第一粉砕ステップと、食物繊維を粉砕する第二粉砕ステップと、粉砕した食物繊維に所定量の乾燥片栗粉を加え、混合する第一混合ステップと、粉砕したシロキクラゲおよび所定のタンパク質に食物繊維を加え、混合する第二混合ステップと、シロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物に所定の核酸液を加え、混合する第三混合ステップと、シロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物を予定時間まで加熱する煎じステップと、加熱したシロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物のpH値を調整し、シロキクラゲ組成物を獲得するpH値調整ステップと、シロキクラゲ組成物が持つ人体細胞に対する修復効果を検測する検測ステップが含まれるシロキクラゲ組成物の調製方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、粒子径が1.6~25ミクロンの粉末状のシロキクラゲと、植物ガムまたは藻類抽出物で構成される食物繊維と、乳漿タンパク質であるタンパク質と、核酸液と、を含み、全体溶液のpH値が調製されているシロキクラゲ組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】周知のシロキクラゲ多糖類の構造図を示す。
図2】本発明における実施例のプロセスイメ-ジ図を示す。
図3A】本発明における実施例の第0時間における細胞修復検証図を示す。
図3B】本発明における実施例の第6時間における細胞修復検証図を示す。
図3C】本発明における実施例の第12時間における細胞修復検証図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は、本発明における実施例を挙げて、図に合わせて詳細な説明を行う。
【0012】
図2に示した通り、本発明における実施例のシロキクラゲ組成物の方法は、新鮮なシロキクラゲを脱水するシロキクラゲ脱水ステップ110、脱水したシロキクラゲを粉砕する第一粉砕ステップ120、食物繊維を粉砕する第二粉砕ステップ130、粉砕した食物繊維に若干の乾燥片栗粉を加え、混合する第一混合ステップ140、粉砕したシロキクラゲおよび一種のタンパク質に食物繊維を加え、混合する第二混合ステップ150、シロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物に一種の核酸液を加え、混合する第三混合ステップ160、シロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物を予定時間まで加熱する煎じステップ170、加熱したシロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物のpH値を調整し、シロキクラゲ組成物を獲得するpH値調整ステップ180、および、シロキクラゲ組成物が持つ人体細胞に対する修復効果を検測する検測ステップ190を含む。
【0013】
第一粉砕ステップ120では、乾燥後のシロキクラゲを使用する。かつ、粉砕用量は3~10枚で、最適用量は5~7枚とする。試験によると、偉裕株式有限会社製の亜大T8シロキクラゲが最適材料であると判断した。当該会社のシロキクラゲを使用し、少なくとも10~15cmサイズのものを15~20分間の研磨、研削で粉砕し、篩に掛ける。最後に多糖類を獲得できる。亜大T8シロキクラゲ100gごとに下記サイズの抽出物を獲得できる。粒子径Aクラス(Mesh<8000):約15.0%±0.17。粒子径Bクラス(Mesh500-8000):約38.0%±0.15。粒子径Cクラス(Mesh100-500):約22.0%±0.2。粒子径Dクラス(Mesh>100):約25.0%±0.75。製造コストを制御するため、乾燥後のシロキクラゲで多糖類を抽出する時に、粒子径Bクラス(Mesh500-8000)つまり、粒子径が1.6-25ミクロンの抽出物が一番のぞましい。その多糖類液の産出量も最適に到れる。
【0014】
より詳しく説明すれば、シロキクラゲは温度23~25℃、湿度85%~90%、照度250-450lux、1時間ごとに5分間換気を行う栽培室で、アカコブタケ菌糸を使って栽培時間が24日間以上26日間以下のシロキクラゲを使用する。なお、10~15cmサイズのシロキクラゲ3~10枚を選出する。
【0015】
シロキクラゲを粉砕したら、100gごとの乾燥シロキクラゲを粒子径クラスで区分けする。
【0016】
【表1】
【0017】
100gごとの乾燥シロキクラゲから得られる異なる粒子径クラスの抽出物は「表2」の通りであり、多糖類抽出量は「表3」の通りである。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
以下は「表3」を参照する。
【0021】
ある実施例において、サンプルとして採集した1:20の原料液に対して多糖類含有量測定を行った結果、粒子径Bクラスの多糖類含有量は、クラスA、C、Dの多糖類含有量より優れていたと判断された。
【0022】
別の実施例において、サンプルとして採集した1:40の原料液に対して多糖類含有量測定を行った結果、粒子径Bクラスの多糖類含有量は、クラスA、C、Dの多糖類含有量より優れていたと判断された。
【0023】
また別の実施例において、サンプルとして採集した1:60の原料液に対して多糖類含有量測定を行った結果、粒子径Bクラスの多糖類含有量は、クラスA、C、Dの多糖類含有量より優れていたと判断された。
【0024】
以上のとおり、異なる粒子径クラスのシロキクラゲ抽出物またシロキクラゲ粉を乾燥させて栄養品混合物として使用し、そのデータを観察すると、粒子径Aクラスと粒子径Bクラスの原料液の比が1:20および1:40の場合、相違がほとんどない。故に、粒子径Aクラスと粒子径Bクラスの原料液を使用する時に、原料液の比が1:20~1:40の間にあるのは最適である。
【0025】
第二粉砕ステップ120は食物繊維に対する粉砕である。かつ、食物繊維にMES/TRIS緩衝溶液を加える目的とは、タンパク質の活性に干渉しないことを前提に、その純化を観察しやすいようにするためである。故に、タンパク質純化の前に、純化方式の確定を通して、測定する細胞サンプルを8.2のpH値に調整し、混合したらアミラーゼを加えて65~95℃で加熱する。また遠心処理、加熱乾燥、また、独立粉砕を通して食物繊維を獲得する。食物繊維はシロキクラゲ多糖類発酵物、ブドウ糖発酵物、またショ糖発酵物などの植物ガム(ベジタブルガム)である。
【0026】
食物繊維はシロキクラゲと一緒には粉砕しない。その理由は食物繊維とシロキクラゲの粉砕圧力(Grinding Stress)が異なるためである。「表4」を参照する。粉砕機を使って、送り速度50~100cm/秒、500RPMで粉砕を行う。また、篩に掛けて、25回の試験データの平均値を計算し、Mesh500-8000の残留物の重量パーセント(wt%)を取得した結果、10秒以内のシロキクラゲの粉砕残留物は5.9%のみである。上記方法で処理した食物繊維の粉砕残留物は8.6%である。また、秒間平均残留物を観察した結果、食物繊維の残留パーセントがシロキクラゲより高く、残留圧力がシロキクラゲより41~45%ほど高いと判明した。要するに、食物繊維はシロキクラゲより粉砕に強いことが判明した。
【0027】
【表4】
【0028】
第一混合ステップ140において、食物繊維に片栗粉を加えた目的とは、後続の加工、造型、切断および熱抑制が行い易いよう、酸化、酸素加水分解、酵素加水分解で製造する流動食を転化し、その物理的性質を変えるためである。第一混合ステップ140の後、引き続き第二混合ステップ150を行う。その中において、シロキクラゲの重量パーセントが15~30%、食物繊維の重量パーセントが10~20%、タンパク質の重量パーセントが40%以下の割合になる。また、第三混合ステップ160においてシロキクラゲ、食物繊維およびタンパク質が入った容器に核酸液を加え、水で覆うとする。シロキクラゲ、タンパク質、食物繊維および核酸液の重量パーセント比は8:8:3:2となる。核酸液はシロキクラゲ抽出物のDNAタンパク、RNAタンパクおよびビタミンコンプレックスで構成される。それぞれの成分の重量パーセントは、DNAタンパクが0~40%、RNAタンパクが0~40%、ビタミンコンプレックスが10%以下となる。
【0029】
「表5」を参照する。第三混合ステップ160に引き続き、煎じステップ170を行う。煎じステップ170の目的は、核酸液を通してシロキクラゲ粒子と食物繊維の浮遊状態を安定させ、溶剤全体の光透過効果を最適にすることである。最適な光透過効果を得るため、圧力0.6~0.9MPa、温度65~95℃、加熱時間20分間の条件で煎じステップ170を行う。煎じステップ170に従って、圧力0.6MPa、温度65~95℃、加熱時間20分間の条件でシロキクラゲを加熱した結果、分子量が9000~10000Daの多糖類が得られた。ShimadzuのUV-3600スペクトルアナライザーで388ナノメートルの光透過試験を行う。結果は「表5」を参照する。
【0030】
【表5】
【0031】
pH値調整ステップ180は、シロキクラゲのpH値を5.68~5.83の間に固定し、また乳漿タンパク質で全体溶液のpH値を7.05~7.45の間に調整する。
【0032】
検測ステップ190は下記の通りとなる。
【0033】
図3Aから3C」を参照する。本発明で製造するシロキクラゲ組成物に細胞修復機能があることを証明するため、中国医薬大学附属医院医学研究部の楊家欣に委託し、細胞傷口の癒合活性検測試験を行う。その試験方式とは、人類皮膚ケラチノサイト細胞株(HaCaT)に当該組成物をそれぞれ100μg/mL、200μg/mLずつ投入し、30分間ごとにHaCaT細胞の傷口癒合活性をIncuCyte Kinetic Live Cell Imaging Systemで検測し、第0時間、第6時間、第12時間に撮影し、その細胞の成長状態を測量する。対照組は、添加物を加えないHaCaT細胞とする。試験組は、濃度100μg/mL、200μg/mLの本発明のシロキクラゲ組成物を投入したHaCaT細胞とする。12時間の観察を通して、HaCaT細胞の傷口が明らかに癒合した。故に、本発明で製造するシロキクラゲ組成物にはHaCaT細胞を修復する機能がある。
【0034】
抽出を行う時に、異なる原料液比(1:20、1:40、1:60)と、異なる粒子径のシロキクラゲ粉末で多糖類を抽出できる。多糖類の産出量は差動フェノール硫黄方法で含有量を測定する。本社の開発試験結果により、シロキクラゲの多糖類含有量とシロキクラゲの粒子径は反比例する。シロキクラゲ粒子径が小さいほど、多糖類の産出量が多くなる。対して、シロキクラゲ粒子径が大きいほど、多糖類の産出量が少なくなる。
【0035】
その他、異なる粒子径クラスのシロキクラゲは、異なる温度のお湯で多糖類を獲得できる。関連溶解度は下記を参照する。
【0036】
【表6】
【0037】
食物繊維の使用と処理については下記の通りである。
【0038】
植物性可溶性食物繊維を本発明に使用する。食物繊維は植物ガムまたは藻類抽出物で構成される。ペクチン、植物ガム、ビスコースなどの可溶性繊維、また、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどの不溶性繊維は使用可能である。粉末状組成物を製造する場合に、不溶性繊維を使用し、溶剤を製造する場合に、可溶性繊維を使用する。
【0039】
シロキクラゲにも食物繊維があるが、製造の時に、シロキクラゲの粗繊維含有量が少ないため、別途で食物繊維を添加する。固体食品として製造する場合に、人体の胃酸でより長い消化時間が必要なため、不溶性繊維を添加する。多糖類を主要な栄養源として扱う場合に、可溶性繊維を使用する、或いは可溶性繊維を使用しないとする。
【0040】
シロキクラゲを食物繊維として扱う場合に、MES/TRIS緩衝溶液を加え、またアミラーゼを加えて65~95℃で加熱する。また遠心処理および加熱乾燥を通してシロキクラゲの水溶性食物繊維を獲得する。
【0041】
タンパク質の使用と処理については下記の通りである。
【0042】
本発明において、乳漿タンパク質(whey protein)であるタンパク質をシロキクラゲ抽出物に加える理由は、シロキクラゲ抽出物の多糖類に合わせて、苦味を減少できるうえ、人体組織の成長に必要なアミノ酸を補充し、少量の脂肪と炭水化物として利用することが可能なためである。また、乳糖不耐症の使用者にとって、他の栄養源として利用することが可能なためである。その他、乳漿タンパク質には免疫グロブリン、ラクトペルオキシダーゼおよびラクトフェリンがあるため、大豆より優れたタンパク質を提供できるためである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキクラゲを脱水するシロキクラゲ脱水ステップと、
脱水した前記シロキクラゲを粉砕する第一粉砕ステップと、
食物繊維を粉砕する第二粉砕ステップと、
粉砕した前記食物繊維に所定量の乾燥片栗粉を加え、混合する第一混合ステップと、
粉砕した前記シロキクラゲおよび乳漿タンパク質であるタンパク質に前記食物繊維を加え、混合する第二混合ステップと、
前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物にシロキクラゲ抽出物のDNAタンパク、RNAタンパクおよびビタミンコンプレックスで構成される核酸液を加え、混合する第三混合ステップと、
前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物を予定時間まで加熱する煎じステップと、
加熱した前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物のpH値を調整し、シロキクラゲ組成物を獲得するpH値調整ステップと、
前記シロキクラゲ組成物が持つ人体細胞に対する修復効果を検測する検測ステップと、
を含むシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項2】
前記第一粉砕ステップにおいて、直径が10~15cmの乾燥した前記シロキクラゲを3~10枚取り、15~20分間の粉砕で粉末状にし、篩に掛け、
前記第二粉砕ステップにおいて、粉砕した前記食物繊維にMES/TRIS緩衝溶液を加え、pH値を8.2に調整し、アミラーゼを加え、65~95℃の温度で加熱し、更に遠心処理し、加熱乾燥を通して水溶性食物繊維を獲得し、
前記第二混合ステップにおける各成分の重量パーセントは、前記シロキクラゲが15~30%、前記食物繊維が10~20%、前記タンパク質が40%以下であり、
前記第三混合ステップにおいて、水を加えて、前記シロキクラゲ、前記タンパク質および前記食物繊維の混合物を覆い、
前記煎じステップにおいて、0.6MPaの圧力、65~95℃の温度で、加熱時間は20分間とし、
前記pH値調整ステップにおいて、前記シロキクラゲのpH値を5.68~5.83の間に固定し、乳漿タンパク質で全体溶液のpH値を7.05~7.45の間に調整する請求項1に記載のシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項3】
前記煎じステップにおいて、65~95℃の温度で加熱された前記シロキクラゲは、分子量が9000~10000Daの多糖類を産出可能である請求項2に記載のシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項4】
前記第三混合ステップにおいて、前記シロキクラゲ、前記タンパク質、前記食物繊維および前記核酸液の重量パーセント比が8:8:3:2となる請求項2に記載のシロキクラゲ組成物の調製方法。
【請求項5】
粒子径が1.6~25ミクロンの粉末状のシロキクラゲと、
植物ガムまたは藻類抽出物で構成される食物繊維と、
乳漿タンパク質であるタンパク質と、
シロキクラゲ抽出物のDNAタンパク、RNAタンパクおよびビタミンコンプレックスで構成される核酸液と、
を含み、全体溶液のpH値が調製されているシロキクラゲ組成物。
【請求項6】
前記核酸液におけるシロキクラゲ抽出物であるDNAタンパク、RNAタンパクおよびビタミンコンプレックスそれぞれの成分の重量パーセントは、前記DNAタンパクが0~40%、前記RNAタンパクが0~40%、前記ビタミンコンプレックスが10%以下となる請求項5に記載のシロキクラゲ組成物。
【請求項7】
前記食物繊維は、多糖類発酵物、ブドウ糖発酵物、ショ糖発酵物を含む植物ガムである請求項6に記載のシロキクラゲ組成物。
【請求項8】
前記シロキクラゲ、前記タンパク質、前記食物繊維および前記核酸液の全体溶液のpH値が7.05~7.45の間である請求項5に記載のシロキクラゲ組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、シロキクラゲを脱水するシロキクラゲ脱水ステップと、脱水したシロキクラゲを粉砕する第一粉砕ステップと、食物繊維を粉砕する第二粉砕ステップと、粉砕した食物繊維に所定量の乾燥片栗粉を加え、混合する第一混合ステップと、粉砕したシロキクラゲおよび乳漿タンパク質であるタンパク質に食物繊維を加え、混合する第二混合ステップと、シロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物にシロキクラゲ抽出物のDNAタンパク、RNAタンパクおよびビタミンコンプレックスで構成される核酸液を加え、混合する第三混合ステップと、シロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物を予定時間まで加熱する煎じステップと、加熱したシロキクラゲ、タンパク質および食物繊維の混合物のpH値を調整し、シロキクラゲ組成物を獲得するpH値調整ステップと、シロキクラゲ組成物が持つ人体細胞に対する修復効果を検測する検測ステップが含まれるシロキクラゲ組成物の調製方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、本発明は、粒子径が1.6~25ミクロンの粉末状のシロキクラゲと、植物ガムまたは藻類抽出物で構成される食物繊維と、乳漿タンパク質であるタンパク質と、シロキクラゲ抽出物のDNAタンパク、RNAタンパクおよびビタミンコンプレックスで構成される核酸液と、を含み、全体溶液のpH値が調製されているシロキクラゲ組成物を提供する。