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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107441
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】電動剪定鋏ケース
(51)【国際特許分類】
   B25H 3/00 20060101AFI20220713BHJP
   B26B 29/04 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B25H3/00 Z
B26B29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002394
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】390011578
【氏名又は名称】アルスコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 和宏
【テーマコード(参考)】
3C012
3C061
【Fターム(参考)】
3C012BG01
3C061BC03
(57)【要約】
【課題】電動剪定鋏を用いた作業の利便性を向上した電動剪定鋏ケースを提供することを目的とする。
【解決手段】利用者が着用している腰ベルトまたはズボン腰回り部に装着される装着部2と、電動剪定鋏を収納する収納部4とを備えた電動剪定鋏ケースであって、装着部2と収納部4の間に、幅方向の断面形状が略直線状である接続部3を備え、接続部3は、可撓性を有する第1部材5および第2部材6によって形成された電動剪定鋏ケース1とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が着用している腰ベルトまたはズボン腰回り部に装着される装着部と、
電動剪定鋏を収納する収納部とを備えた電動剪定鋏ケースであって、
前記装着部と前記収納部の間に、幅方向の断面形状が略直線状である接続部を備え、
前記接続部は、可撓性を有する
電動剪定鋏ケース。
【請求項2】
前記収納部は、
前記接続部との接続部分に開口部を有し、前記接続部分の反対側に底面を有するポケット状に形成され、
前記開口部の幅方向の長さが、前記底面の幅方向の長さよりも長い
請求項1記載の電動剪定鋏ケース。
【請求項3】
前記収納部の幅方向に対向する一対の内側面は、
前記収納部の前記底面から前記開口部に向かうに連れて、幅方向の外側に向かうように傾斜する
請求項2記載の電動剪定鋏ケース。
【請求項4】
前記装着部と前記接続部と前記収納部のうち少なくとも前記接続部と前記収納部がひと続きの共通素材によって形成され、
前記接続部は、前記装着部から前記収納部までの間の長手方向長さが幅方向長さと同一かそれ以上である
請求項2または3記載の電動剪定鋏ケース。
【請求項5】
長手方向の全長が350mm以上600mm以下である
請求項1から4のいずれかに記載の電動剪定鋏ケース。
【請求項6】
前記接続部は、
長手方向の長さが80mm以上400mm以下である
請求項5記載の電動剪定鋏ケース。
【請求項7】
前記接続部および前記収納部は、
布または革である第1部材と、前記第1部材を保護する第2部材とが重ねられて形成され、
前記第2部材は、前記収納部において前記第1部材よりも内側に配置され、少なくとも前記収納部の内面を構成する
請求項1から6のいずれかに記載の電動剪定鋏ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動剪定鋏を収納する電動剪定鋏ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物の剪定には、様々な剪定鋏が利用されている。近年では、電動で刃が動作する剪定鋏も提案されている。
このような剪定鋏は、主に屋外に植えられた植物の剪定に使用される。このとき、剪定以外の作業を行う場合や、休憩する場合などに、剪定鋏を収納しておくケースが用いられる。
【0003】
こうした剪定鋏を収納するケースの背景技術の一例が特許文献1に開示される。背景技術の剪定鋏を収納するケースでは、剪定鋏の刃体を開いた状態で収納可能なスペース8が設けられていた。
【0004】
しかし、電動剪定鋏は、手動の剪定鋏と比べて全長が長く、手動の剪定鋏よりも重量が重いため、特許文献1のような手動の剪定鋏を収納するケースをそのまま使用することはできない。また、特許文献1のような手動の剪定鋏を収納するケースを、電動の剪定鋏が収納できる大きさまで単純に大きくすると、ケースの全長が長くなるため、使用者が休憩のため地面の上に座ろうとした場合、ケースが地面に突っかかってしまい邪魔になるという問題があった。以上のように、背景技術のケースでは、ケースの取り回しの利便性の観点で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-12162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑みて、電動剪定鋏を用いた作業の利便性を向上した電動剪定鋏ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、利用者が着用している腰ベルトまたはズボン腰回り部に装着される装着部と、電動剪定鋏を収納する収納部とを備えた電動剪定鋏ケースであって、前記装着部と前記収納部の間に、幅方向の断面形状が略直線状である接続部を備え、前記接続部は、可撓性を有する電動剪定鋏ケースとした。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、電動剪定鋏を用いた作業の利便性を向上した電動剪定鋏ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電動剪定鋏ケースの正面図。
図2】電動剪定鋏ケースの背面図。
図3】電動剪定鋏ケースの平面図。
図4A】電動剪定鋏ケースの左側面図。
図4B】電動剪定鋏ケースの左側面B-B,C-C部分拡大図。
図5A】電動剪定鋏ケースの右側面図。
図5B】電動剪定鋏ケースの右側面拡大図。
図6】電動剪定鋏ケースの内部に位置する収納部を示した内部図。
図7】電動剪定鋏ケースのA-A矢視端面図。
図8】電動剪定鋏ケースに電動剪定鋏を収納した使用状態図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、電動剪定鋏ケース1の正面図であり、図2は、電動剪定鋏ケース1の背面図であり、図3は、電動剪定鋏ケース1の平面図であり、図4Aは、電動剪定鋏ケース1の左側面図であり、図4Bは、電動剪定鋏ケース1の左側面B-B,C-C部分拡大図であり、図5Aは、電動剪定鋏ケース1の右側面図であり、図5Bは、電動剪定鋏ケース1の右側面拡大図であり、図6は、電動剪定鋏ケース1の内部に位置する収納部を示した内部図であり、図7は、電動剪定鋏ケース1のA-A矢視端面図である。
また、図1から図5は本発明の電動剪定鋏ケースの六面図のうち底面図を除く5図である。底面図は、平面図(図3)が対称に表れるため省略する。
【0011】
電動剪定鋏ケース1は、電動剪定鋏8(図8参照)電動剪定鋏を収納するためのケースであり、長手状に形成されている。なお、本実施形態では、電動剪定鋏ケース1の長手方向を「長手方向」として記載し、正面図における長手方向と直角をなす短手方向を「幅方向」として記載し、長手方向および幅方向によって形成される面に対して直行する方向を「厚み方向」として記載する。
【0012】
電動剪定鋏ケース1は、第1部材5と第2部材6とにより構成されている。第1部材5は略一定の厚みを有する薄板状の素材によって形成され、全体として可撓性を有している。なお、本実施形態では、心材シート(樹脂シートまたは厚紙等)の正面及び背面を布素材で被覆し、端辺全周にわたって所定幅(この実施例では12mm程度)を布製の側端カバー7で縫い付けて綴じたものを第1部材5としている。この第1部材5は、手で湾曲させることができるが手を放すと元に戻ろうとする弾力性を有している。ただし、第1部材5の素材はこれに限定されない。例えば、可撓性の樹脂素材や布素材のみで構成されてもよい。
【0013】
この第1部材5は、長手方向の一端側が背面へ向かって折り返されて装着部2を形成し、他端側が正面へ向かって折り返されて重なる部分の幅方向両端辺が閉じられて収納部4を形成している。なお、本実施形態では、第1部材5における収納部4が形成された側の面を正面(第1面)とし、その裏面を背面(第2面)として記載する。
第1部材5の弾力性は、接続部3が曲がって装着部2と収納部4を近づけるように手で自然に湾曲させると、2重になっている収納部4と装着部2は殆ど湾曲せず、1重である接続部3が大きな円弧を描いて全体的に湾曲する程度である。
【0014】
第2部材6は略一定の厚みを有して湾曲させると元に戻ろうとする弾力性を有する薄板状(シート状)の素材によって形成され、全体として可撓性を有している。
第2部材6は、基体部分から四方に突出する略十字架形状で薄板状の素材を用いて、三方(幅方向突出部62と先端側突出部63)の突出部分を正面へ折り曲げて上面開口のポケット状に形成されている。この第2部材6は、四方の突出部分のうち基部側突出部分61が最も長く突出するよう形成されている。また、第2部材6は、基部側突出部分61(図1参照)の突出先端付近がリベット204により第1部材5に固定され、他方のポケット状部分60(図5B参照)が第1部材5の収納部4内に収納される。したがって、第2部材6は、基体部分と上方部分が第1部材5に重ねられた状態となっている。
【0015】
第2部材6の弾力性は、長手方向の両端が近づくように手で自然に湾曲させると、ポケット状部分60は殆ど曲がらず、1重である基部側突出部分61が大きな円弧を描いて全体的に湾曲する程度である。
【0016】
また、第2部材6は、少なくとも第1部材5よりも金属に対する耐久性が高い素材で形成される。すなわち、電動剪定鋏ケース1は、裏面に比べて表面の方が金属に対する耐久性が高い。ここで言う金属に対する耐久性とは、電動剪定鋏の刃による裂傷および破断に対する耐久性である。例えば、金属刃に対して第1部材5よりも貫通しづらい素材を選択できる。詳しくは、第2部材6は、電動剪定鋏(電動剪定鋏)の刃が当接した状態で、電動剪定鋏の自重がかかったとしても、破損しない程度の強度および耐久性を有する。なお、本実施形態では、可撓性を有する薄板状樹脂を第2部材6としたが、第2部材6の形態はこれに限定されず、第1部材5の金属に対する耐久性に応じて適宜設定できる。
【0017】
電動剪定鋏ケース1は、装着部2と接続部3と収納部4とを含む複数の機能部分を有する。電動剪定鋏ケース1の長手方向の一方端部から他方端部に向かって装着部2、接続部3、収納部4の順に連続して配置される。詳述すると、接続部3は、リベット204から重ね閉じ範囲7a手前までの間であり、リベット204より向こう側が装着部2、重ね閉じ範囲7aを含む向こう側が収納部4である。なお、本実施形態では、装着部2を被固定物に装着されると、電動剪定鋏ケース1が被固定物から垂下された状態となる。この状態を電動剪定鋏ケース1の使用状態という。すなわち、使用状態においては、電動剪定鋏ケース1の一方端部とは上端部に相当し、他方端部(収納部4の他方側端部)は下端部に相当する。また、収納対象である電動剪定鋏は、電動剪定鋏ケース1の正面側に収納される。また、電動剪定鋏ケース1の全長(長手方向の長さ)は、収納対象である電動剪定鋏の長さに応じて適宜設定される。たとえば、電動剪定鋏ケース1の全長は、350mm以上600mm以下であり、350mm以上550mm以下とすることが好ましく、350mm以上500mm以下とすることがより好ましい。
【0018】
装着部2は、第1部材5の一端側が裏面へ折り返してリベット204で固定されることによって、その折り返し内部に貫通孔201が形成されている。これにより、電動剪定鋏ケース1の幅方向に伸びる(中心軸線を有する)筒状に形成されている。この貫通孔201に利用者の腰ベルトが挿通されて、電動剪定鋏ケース1が利用者の腰に装着される。また、装着部2の遠心方向に、接続部3が延伸するように連続して形成される。なお、装着部2の遠心方向と、電動剪定鋏ケース1の長手方向とは同じ方向である。収納部4は、長手方向における装着部2側(長手方向の一方端部側、上端部側)を向く開口部401を有する有底円筒状(ポケット状)に形成される。接続部3は、装着部2と収納部4とを接続する。
【0019】
装着部2は、電動剪定鋏ケース1の幅方向に貫通した貫通孔201と、電動剪定鋏ケース1の厚み方向に重ねられた2枚の第1部材5と第2部材6とを固定する固定部202とを有する。貫通孔201は、第1部材5の一方端部(上端部)を、電動剪定鋏ケース1の背面側へ長手方向に曲げて折り返し、第1部材5の先端部と、第1部材5の先端部以外の部分(他の部分)を重ねた状態とすることによって形成される。したがって、第1部材5の先端部と、第1部材5の他の部分との間の背面が、貫通孔201の内面となる。
【0020】
なお、貫通孔201の各方向の内径は、少なくともズボンの腰部に装着されるベルト等の線状の被固定物が差し込める程度の大きさを有し、電動剪定鋏ケース1の全長、接続部3の長手方向の大きさ、および収納部4の長手方向の大きさに応じて適宜設定することができる。なお、本実施形態では、内径の長手方向の最大径(上下方向の直線長さ)を81mmに設定した。ここで言う内径の長手方向の最大径とは、固定部202から折り返し点における内面までの上下方向の直線長さに相当する。
【0021】
本実施例においては、固定部202は、2枚の第1部材5と第2部材6とが重なっている部分に設けられ、厚み方向に貫通する留め孔203(図7参照)と、留め孔203に挿通されるリベット204とで構成されている。また、留め孔203を構成する2枚の第1部材5および第2部材6に形成される貫通孔205は、大きさおよび範囲が略同じである。すなわち、各貫通孔205のそれぞれの中心点が直線状に並ぶように配置することによって、留め孔203が形成される。また、固定部202は、電動剪定鋏ケース1の長手方向の中心線に対して対称(幅方向において線対称)となるように幅方向に1つずつ設けられる。
【0022】
すなわち、重ねられた2枚の第1部材5と第2部材6は、それぞれに形成された留め孔203にリベット204が挿通されることによって、位置が固定されている。また、留め孔203およびリベット204の固定位置(固定部202の位置)により、貫通孔201における内径の長手方向の最大径と、装着部2の長手方向の大きさが決定される。
【0023】
なお、固定部202における固定方法はリベットを用いる方法に限られず、種々の固定方法を使用することができる。例えば、ボルトねじ等の金具を用いる固定方法であってもよいし、縫い合わせ等の固定方法であってもよい。
【0024】
収納部4は、電動剪定鋏ケース1において装着部2の反対側の端部(他方端部側)に配置されている。収納部4は、長手方向に伸びる有底円筒状(ポケット状)に形成され、一方端部(上端部)に開口部401を有する。すなわち、収納部4は、接続部3との接続部分に開口部401を有する。また、収納部4においては、第2部材6は第1部材5の内周面側に配置され、背面側の第2部材6および第1部材5は開口部401からさらに装着部2の一方端部(上端部)に向かって延伸する。すなわち、収納部4は、第2部材6によって形成された長手方向に伸びる有底円筒形状の内側ポケット402と、内側ポケット402の外周側に配置され、第1部材5によって形成された長手方向に伸びる有底円筒形状の外側ポケット403とで構成される。すなわち、第1部材5は収納部4の外面を形成し、第2部材6は収納部4の内面を形成する。内側ポケット402と外側ポケット403は、電動剪定鋏ケース1の正面側に配置される。また、内側ポケット402は、一方端部(上端部)に内側ポケット開口部404を有し、外側ポケット403は、一方端部(上端部)に外側ポケット開口部405を有する。本実施形態では、外側ポケット開口部405によって開口部401が形成される。
【0025】
内側ポケット402は、正面から見て、上端部にあたる一方端部(内側ポケット開口部404)の内周面の幅方向の大きさが、下端部にあたる他方端部(底部409)の幅方向の大きさよりも大きく形成される。また、内側ポケット402の幅方向に対向する一対の内側面408は、下端部(底部409)から上端部(内側ポケット開口部404)に向かうに連れて、幅方向の外側に向かうように傾斜する。ここで言う内側面408とは、内側ポケット402の横断面(長手方向に直交する切断面)における形状が円または楕円状である場合には、内側ポケット開口部404の中心点から、幅方向に向かって30°以下を形成する扇形の弧の部分に相当する。
【0026】
また、内側ポケット402は、電動剪定鋏ケース1の正面から見た場合に、その一対の内側面408を長手方向の一方端部側(装着部2側または接続部3側)に延長した場合に、各内側面408を延長した仮想面408qが装着部2と重ならないように形成される。また、各内側面408を延長した仮想面408qと、装着部2の折り返し端2bの延長線上での側部2aとの距離W1は、10mm~300mmである。
【0027】
内側ポケット402は、一対の内側面408において、下端部に内側排出孔406が形成される。内側排出孔406の形状は、自由に設定することができ、内側排出孔406の大きさは、剪定後の木屑が通過できる程度であればよい。たとえば、内側排出孔406の長手方向の径は、1mm以上70mm以下とすることが好ましく、3mm以上40mm以下とすることがより好ましい。
【0028】
外側ポケット403は、内側ポケット402の外周を覆うように配置される。本実施形態における外側ポケット403は、上端部にあたる一方端部(外側ポケット開口部405)の内周面の幅方向の大きさが、下端部にあたる他方端部(底部)の幅方向の大きさよりも大きく形成される。また、外側ポケット403の幅方向に対向する一対の内側面は、下端部(底部)から上端部(外側ポケット開口部405)に向かうに連れて、幅方向の外側に向かうように傾斜する。すなわち、収納部4全体として、幅方向に対向する一対の内側面が、底面から外側ポケット開口部405に向かうに連れて、幅方向の外側に向かうように傾斜する形状を有する。
【0029】
また、外側ポケット403は、幅方向に対向する一対の側面において、下端部に外側排出孔407が形成される。外側排出孔407の形状は、自由に設定することができ、外側排出孔407の大きさは、剪定後の木屑が通過できる程度であればよい。たとえば、外側排出孔407の大きさは、内側排出孔406の大きさと同じ以上とすることが好ましい。すなわち、内側ポケット402の内部空間(収納空間)は、内側排出孔406と外側排出孔407を介して電動剪定鋏ケース1の外部と接続される。
【0030】
内側ポケット402および外側ポケット403の長手方向の大きさは、収納対象である電動剪定鋏の大きさによって適宜設定される。具体的には、電動剪定鋏の刃が内側ポケット402の底部409に接触するように収納された際に、把持部分が開口部401から上方に突出する程度に設定されることが好ましい。また、内側ポケット402および外側ポケット403の長手方向の大きさは、電動剪定鋏が内側ポケット402に収納されたときに、少なくとも内側ポケット402または外側ポケット403の少なくとも一方が電動剪定鋏の重心位置を覆うように設定されることが好ましい。本実施形態では、内側ポケット402の下端部(底部409)から収納部4の上端部(開口部401)の長さ、すなわち内側ポケット402および外側ポケット403の長手方向の大きさが185mmとなるように設定した。
【0031】
接続部3は、1枚の第1部材5と1枚の第2部材6が重ねられた状態で、長手方向に伸びる薄板状(帯状)に形成される。接続部3は、装着部2と収納部4との間に配置され、装着部2と収納部4とを接続する。このため、装着部2、接続部3および収納部4が一体的に連続する。すなわち、接続部3の上端部は、装着部2の下端部(固定部202)に連続し、接続部3の下端部は、収納部4の上端部(開口部401)に連続する。また、接続部3を構成する第2部材6および第1部材5は、収納部4から連続して一体的に形成されている。すなわち、接続部3における第2部材6は、第1部材5よりも正面側(第1面)に配置される。接続部3の接続方向(長手方向)の長さは、接続部3の主要部分の幅(装着部2付近の幅)よりも長く形成されている。
【0032】
また、接続部3の幅方向の断面は、装着部2側が図7に示すように略直線状に形成され、収納部4側の中央が裏面へ向かって少し凸となる湾曲状に形成されてる。この湾曲は、装着部2側へ向かって徐々に直線へ近づくが、接続部3の大部分が若干湾曲している形状になっている。この湾曲形状は、第1部材5の収納部40内に第2部材6のポケット状部分60が収納されることによって、正面と裏面の間のふくらみが形成されることによって形成されている。これにより、接続部3は、少なくとも長手方向の両端を近づけるように湾曲できる可撓性を有し、かつ、加えた力を解放すると元に戻ろうとする弾力性を有する。すなわち、第1部材5と第2部材6の弾力性に加えて、幅方向の湾曲によって元の安定形状に戻ろうとする弾力性も得られる。なお、接続部3は、幅方向に延びる折り目がついた蛇腹状であってもよい。ただし、どの形状であっても接続部3の任意の場所を長手方向に湾曲させるように変形させることができる。すなわち、接続部3の幅方向を軸線(中心)として、収納部4と装着部2とを正面方向(第1面方向)および背面方向(第2面方向)に相対的に回転させることができる。
【0033】
また、接続部3の長手方向の長さは、80mm以上400mm以下に形成され、100mm以上350mm以下に形成されることが好ましく、150mm以上250mm以下に形成されることがより好ましい。
【0034】
続いて、電動剪定鋏ケース1の使用形態について説明する。
図8は、電動剪定鋏ケース1に電動剪定鋏を収納した使用状態図である。
使用者は、装着部2の貫通孔201に、ズボンの腰部に装着されるベルト等の自身の腰周り部に備え付けられた線状の被固定物を挿通する。このとき、電動剪定鋏ケース1の全長が350mm以上600mm以下であるため、およそ一般の成人男性であれば電動剪定鋏ケース1の下端が膝付近(膝より上から膝の下100mmあたりまで)に収まることとなる。また、電動剪定鋏ケース1を構成する接続部3は、長手方向の長さが80mm以上400mm以下であるため、およそ一般の成人男性であれば接続部3の下端部(収納部4の開口部401)が、股より下かつ膝より上の間(太股)に収まることとなる。
【0035】
図8に示すように、使用者は、電動剪定鋏ケース1に電動剪定鋏8を収納し、また取り出すことができる。このとき、収納された電動剪定鋏8は、内側ポケット402の底部409の内面と、内側ポケット開口部404の側端部(内側面408の上端部)に接触するように傾いた状態で収納位置が決定され、把持部が収納部4の上端(開口部401)から上方向に突出する。また、電動剪定鋏8は、底部409の内面から内側ポケット開口部404の側端部にかけて傾斜する姿勢となり、収納部4から突出した電動剪定鋏8の把持部は、装着部2と重ならない。すなわち、接続部3の長手方向のいずれかの位置において、接続部3の側端部から幅方向(電動剪定鋏ケース1の外側)に突出する。
【0036】
以上の構成により、電動剪定鋏を用いた作業の利便性を向上した電動剪定鋏ケースを提供することができる。
電動剪定鋏ケース1の接続部3は、幅方向の断面形状が略直線状に形成され、接続部3を構成する第1部材5と第2部材6は可塑性を有する。この構成により、電動剪定鋏ケース1の先端が垂直な平面と接触した場合であっても、接続部3の幅方向を軸として、地面に沿うように折れ曲がる。すなわち、電動剪定鋏ケース1は、電動剪定鋏を収納できるほどの全長を有しながら、使用者が休憩のため地面の上に座る場合等であっても、地面につっかかることなく変形するので、使用者は、電動剪定鋏ケース1が邪魔になることなく座ることができる。
【0037】
また、接続部3を構成する第1部材5と第2部材6は可塑性を有し、接続部3の幅方向の断面は、収納部4側の中央が裏面へ向かって少し凸となる湾曲状に形成されている。この構成により、接続部3は、少なくとも長手方向の両端を近づけるように湾曲できる可撓性を有し、かつ、加えた力を解放すると元に戻ろうとする弾力性を有する。したがって、使用者が休憩のため地面の上に座った状態から起立した際に、接続部3が折れ曲がった形状から元の形状に戻ろうとする。すなわち、使用者が作業を再開するにあたって電動剪定鋏ケース1の形状を確認する必要がなく、スムーズに作業を行うことができる。
【0038】
電動剪定鋏ケース1の収納部4は、第1部材5の一部が折り返し端4aで正面側に折り返されて、その両側辺が重ねられた状態で側端カバー7により閉じられることにより、接続部3側に開口部401(上端)を有するポケット状に形成されている。重ねられた状態で側端カバー7により閉じられている重ね閉じ範囲7aは、折り返し端4aから所定距離(この実施例では35mm程度)の位置から開口部401までである。この収納部4は、実際に電動剪定鋏8が収納される内側ポケット開口部404の幅方向の長さが、上端部にあたる一端(内側ポケット開口部404)と対向する下端部にあたる他端(底部409)の幅方向の長さよりも大きく形成される。この構成により、使用者は電動剪定鋏8を、収納部4に滑り込ませるような形でスムーズに収納することができる。
【0039】
また、電動剪定鋏ケース1の収納部4は、実際に電動剪定鋏8が収納される内側ポケット開口部404の幅方向に対向する一対の内側面408が、内側ポケット402の下端(底部409)から上端(内側ポケット開口部404)に向かうに連れて、幅方向の外側に向かうように傾斜するように形成される。この構成により、電動剪定鋏8は、内側ポケット402の下端部(底部409)の底面と、内側面408の上端部(内側ポケット開口部404の側端部)に接触するように傾いた状態で収納される。すなわち、使用者は収納された電動剪定鋏8をスムーズに取り出すことができる。
【0040】
また、内側ポケット402は、電動剪定鋏ケース1の正面から見た場合に、その一対の内側面408の延長が両方ともに装着部2と重ならないように形成される。この構成により、傾いた状態で収納された電動剪定鋏8は、収納部4から上方に突出した把持部が装着部2と重ならず、接続部3の長手方向のいずれかの位置において、接続部3の側端部から幅方向に突出するため、接続部3が折れ曲がる際にその動作を妨げることがない。すなわち、電動剪定鋏8を収納した状態であっても接続部3がスムーズに変形できる。
【0041】
また、接続部3と収納部4がひと続きの共通素材によって形成され、接続部3は、装着部2から収納部4までの間の長手方向長さが幅方向長さと同一かそれ以上に形成されている。この構成により、接続部3が折れ曲がる際の抵抗が減少し、接続部3がスムーズに変形できる。
【0042】
また、電動剪定鋏ケース1は、長手方向の全長が350mm以上600mm以下に形成される。この構成により、およそ一般の成人男性であれば、電動剪定鋏ケース1の下端が、ひざより上からひざの下100mmあたりまでに収まることとなる。すなわち、電動剪定鋏8を十分に収納できる程度の収納部4の長手方向の大きさを加味すると、使用者は、肘を大きく曲げることなく電動剪定鋏8を収納および取り出すことができ、使用者の作業負担を軽減することができる。
【0043】
また、接続部3は、長手方向の長さが80mm以上400mm以下に形成される。この構成により、およそ一般の成人男性であれば下端(収納部4の開口部401)が、股より下かつひざより上の間に収まる。すなわち、電動剪定鋏8を十分に収納できる程度の収納部4の大きさを加味すると、使用者は、肘を大きく折りたたむことなく電動剪定鋏8を収納するおよび取り出すことができ、使用者の作業負担を軽減することができる。さらに、収納された電動剪定鋏8の把持部が装着部2と重ならない程度に十分な距離を確保することができ、電動剪定鋏8を収納した状態であっても接続部3がスムーズに変形できる。
【0044】
また、電動剪定鋏ケース1は、接続部3および収納部4が、第1部材5と、第1部材5を保護する第2部材6とを重ねられて形成され、第2部材6は、収納部4において第1部材5よりも内側に配置されて収納部4の内面(内側ポケット402)を形成し、接続部3において正面に配置されている。この構成により、使用者は電動剪定鋏8を収納する場合に、電動剪定鋏8を接続部3に沿わせるようにして収納部4に収納できる。すなわち、第1部材5よりも金属に対する耐久性が高い第2部材6によって、電動剪定鋏8が第1部材5に接触することを防止でき、より耐久性の高い電動剪定鋏ケース1を提供できる。
【0045】
さらに、収納部4は、内側ポケット402の下端部に内側排出孔406が設けられ、外側ポケット403の下端部に外側排出孔407が設けられている。すなわち、内側ポケット402の内部空間(収納空間)の下端部は電動剪定鋏ケース1の外部と接続されている。この構成により、電動剪定鋏8に付着していた木屑等の細かい屑が、収納部4内で落下した場合であっても、内側排出孔406および外側排出孔407を通して内側ポケット402の内部空間(収納空間)から排除することができる。
【0046】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施形態の電動剪定鋏ケース1は、第1部材5と第2部材6の2層により形成されているが、第2部材6のみで形成されていてもよい。この場合、内側ポケット402によって収納部4が形成され、内側ポケット開口部404によって収納部4の上端(開口部401)が形成される。
【0047】
また、第1部材5や第2部材6とは異なる第3、第4の部材をさらに使用してもよいし、第1部材5や第2部材6によって複数の層を構成してもよい。すなわち、本発明は、使用する部材の量や重ね合わせる層数によって限定されない。
【0048】
また、本実施形態では電動剪定鋏ケース1を形成する連続する装着部2、接続部3、および収納部4を分離不可能に一体として形成したが、装着部2、接続部3、および収納部4をそれぞれ別部材で形成して接続させる形態として、お互いに分離可能としてもよい。この場合、使用者は、長手方向の大きさが異なる複数の接続部3を使用者の身長等に合わせて適宜変更したり、長手方向の大きさが異なる複数の収納部4を電動剪定鋏8の大きさに合わせて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明は、電動剪定鋏を収納する電動剪定鋏ケースの製造販売に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…電動剪定鋏ケース
2…装着部
3…接続部
4…収納部
401…開口部
402…内側ポケット
403…外側ポケット
404…内側ポケット開口部
405…外側ポケット開口部
406…内側排出孔
407…外側排出孔
408…内側面
409…底部
5…第1部材
6…第2部材
7…側端カバー
8…電動剪定鋏
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8