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▶ 株式会社コスメティック・アイーダの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107482
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】頭髪用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20220713BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220713BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/34
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021022890
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】397022069
【氏名又は名称】株式会社コスメティック・アイーダ
(72)【発明者】
【氏名】久保 友秋
(72)【発明者】
【氏名】会田 康二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC372
4C083AC432
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD052
4C083AD112
4C083AD162
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE21
4C083EE50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エタノール、イソプロピルメチルフェノール、および塩化ラウリルトリメチルアンモニウムの3成分を含有することを特徴とする毛髪の殺菌および抗菌作用を持つ頭髪用化粧料を提供する。
【解決手段】(A)エタノール10~60質量%と(B)イソプロピルメチルフェノール0.01~0.1質量%および(C)塩化ラウリルトリメチルアンモニウム0.01~0.2質量%との3成分の殺菌剤を含有することを特徴とする毛髪の殺菌および抗菌作用を有する頭髪用化粧料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エタノール10~60質量%と(B)イソプロピルメチルフェノール0.01~0.1質量%および(C)塩化ラウリルトリメチルアンモニウム0.01~0.2質量%との3成分の殺菌剤を含有することを特徴とする毛髪の殺菌および抗菌作用を有する頭髪用化粧料。
【請求項2】
使用後、洗髪を必要としない、pHが4.0~6.5である請求項1に記載の頭髪用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺菌および抗菌性成分を含有し、毛髪の殺菌効果に優れる頭髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
頭皮や皮膚に使用する殺菌および抗菌性成分は多く見られるが、毛髪に使用するそれらはごく僅かである。
また、頭皮や毛髪への殺菌作用を有する成分を含有した組成物の用法は、頭皮や毛髪を洗浄する仕様のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-110993号広報
【特許文献2】特開平05-221805号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄することにより毛髪の除菌や殺菌を行うことは、時間的な問題や場所などを考慮すると色々な制約を受け問題が有った。そこで洗浄することなく、スプレーするなどして毛髪に塗布することにより毛髪の殺菌および抗菌効果を有する利便性の良い組成物の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エタノールは、アルコール消毒液として手指、顔、体皮の消毒などに広く使用されている。イソプロピルメチルフェノールは各種の細菌、真菌および酵母類に対する殺菌、防腐作用を有している。また塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩は細菌に対し優れた殺菌力を持ち、また速攻的効力にも優れ医療、医薬部外品、化粧品、環境、食品工場等広い分野で用いられている。
【0006】
本発明者らは、上記課題の解決に向けた鋭意研究の結果、エタノール、イソプロピルメチルフェノール、および塩化ラウリルトリメチルアンモニウムの3成分の併用が毛髪に対し殺菌力を速やかに発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
エタノール、イソプロピルメチルフェノール、および塩化ラウリルトリメチルアンモニウムの3成分は化粧品、医薬部外品に用いることができ、安全性が確認されている。
【0008】
本発明におけるエタノールの頭髪用化粧料への含有量は、好ましくは10~60質量%であり、より好ましくは30~40質量%である。10質量%未満では十分な効果を得にくく、60質量%を超えると効果の増強は小さく、また不経済である。
【0009】
本発明におけるイソプロピルメチルフェノールの頭髪用化粧料への含有量は、好ましくは0.01~0.1質量%であり、より好ましくは0.03~0.1質量%である。0.01質量%未満では十分な効果を得にくく、0.1質量%を超えると効果の増強は小さく、また不経済である。
【0010】
本発明における塩化ラウリルトリメチルアンモニウムの頭髪用化粧料への含有量は、好ましくは0.01~0.2質量%であり、より好ましくは0.05~0.15質量%である。0.01質量%未満では十分な効果を得にくく、0.2質量%を超えると効果の増強は小さく、また不経済である。
【0011】
本発明の頭髪用化粧料のpH範囲は、組成物の安定性の面などから、好ましくは4.0~6.5であり、より好ましくは5.0~6.0である。
【0012】
本発明の頭髪用化粧料には、その効果を損なわない範囲内で、通常の頭髪用化粧料に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、シリコーンオイル、脂肪酸、アルコール類、エステル類、界面活性剤、防腐剤、香料、アミノ酸類、コラーゲン、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、キレート剤等の成分を含有することもできる。
【発明の効果】
【0013】
エタノール、イソプロピルメチルフェノール、および塩化ラウリルトリメチルアンモニウムの3成分を含有した頭髪用化粧料は、毛髪の優れた抗菌性を示した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明の処方例および実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。各成分の量は純分換算した量である。
【実施例0015】
処方例
処方例は本発明品の頭髪用化粧料。エタノール、イソプロピルメチルフェノール、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムを含有する。
成 分 質 量%
1.精製水 64.680
2.塩化ラウリルトリメチルアンモニウム 0.035
3.エデト酸二ナトリウム 0.003
4.1,3-ブチレングリコール 0.100
5.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.008
6.エタノール 35.000
7.イソプロピルメチルフェノール 0.050
8.ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシ
エチレングリセリル 0.025
9.ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチル
ポリシロキサン共重合体 0.013
10.(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)
コポリマー 0.037
11.シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリ
コール 0.037
12.ジプロピレングリコール 0.012
合 計 100.000
[製造方法] 成分1~5を常温にて均一溶解:A相。成分6~12を常温にて均一溶解:B相。A相にB相を常温にて均一混合させる。
【0016】
比較例
比較例はエタノール、イソプロピルメチルフェノール、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムを含有せず。
成 分 質 量%
1.精製水 99.765
2.塩化ラウリルトリメチルアンモニウム ―
3.エデト酸二ナトリウム 0.003
4.1,3-ブチレングリコール 0.100
5.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.008
6.エタノール ―
7.イソプロピルメチルフェノール ―
8.ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシ
エチレングリセリル 0.025
9.ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチル
ポリシロキサン共重合体 0.013
10.(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)
コポリマー 0.037
11.シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリ
コール 0.037
12.ジプロピレングリコール 0.012
合 計 100.000
[製造方法] 成分1.3.4を常温にて均一溶解:A相。成分5.8.9.10.11.12を40℃に加温して均一溶解:B相。A相にB相を均一混合させる。
【実施例0017】
次に、本発明の効果を説明するため、実験例を挙げる。
【0018】
実験1 処方例の殺菌、抗菌力の確認
処方例の無菌溶液に予め選択した細菌および真菌を接種して、それを検体とし
て微生物試験を行い残存した生菌数をカウントした。
【0019】
処方例に接種した細菌および真菌の菌種と接種した菌数を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
微生物試験方法は、日本薬局方による。
【0022】
処方例の微生物試験の結果、残存した菌数を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
本発明の頭髪用化粧料は表2の結果から、細菌から真菌まで幅広く優れた殺菌、抗菌力を持っていることが明らかとなった。
【0025】
実験2 比較例の殺菌、抗菌力の確認
比較例の殺菌、抗菌力を確認する為、処方例と同様に菌を接種して微生物試験を行った。処方例と同様に、同じ菌種、同じ接種菌数そして試験方法は日本薬局方と全て同じ方法で試験した。
【0026】
比較例の微生物試験の結果、残存した菌数を表3に示す。
【表3】
【0027】
この結果から比較例の殺菌、抗菌力は処方例すなわち本発明の頭髪化粧料と比較して劣っており問題であることが分かった。
【0028】
実験3 毛髪表面菌の培養と菌種の特定
毛髪を採取し、寒天培地(アテクト 生培地SCD寒天培地)上に乗せ、毛髪表面の菌を培養した。培養条件は、温度37℃、湿度50~60%、培養時間72時間。
【0029】
次に、培養した菌を液体培地(和光純薬 SCD培地「ダイゴ」)を用いて増殖させた。増殖条件は、温度30℃、湿度50~60%、培養時間15時間。
【0030】
次に、選択培地(栄研化学 パールコアマンニット食塩培地)にて菌種を特定した結果、黄色ブドウ球菌であることが分かった。
【0031】
黄色ブドウ球菌については、処方例の微生物試験の結果から優れた殺菌、抗菌力を持っており何ら問題は無い。
【0032】
実験4 本発明品を毛髪に塗布した時の殺菌、抗菌力の効果検討
処方例の溶液を適量手に取り毛髪に塗布するか、あるいはスプレーするなどして塗布した毛髪を採取し、それを検体として微生物検査を行った。
【0033】
微生物検査方法は、SCDLP寒天培地(栄研化学(株))を用いて温度37℃、湿度50~60%の条件下で48時間培養して細菌の検査を、そしてGPLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬(株))を用いて温度25℃、湿度50~60%で7日間培養して真菌の検査を行った。
【0034】
その結果、細菌および真菌どちらも0cfu/本で無菌であった。
【0035】
この結果から、本発明品は毛髪に塗布することにより優れた殺菌、抗菌作用を発揮することが、また洗髪しなくても十分に殺菌、抗菌作用を有することが明らかになった。