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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107492
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ボルト支持金具
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20220713BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20220713BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
E04B9/18 D
F16B9/02 C
F16B1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069461
(22)【出願日】2021-04-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2021001886
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
(72)【発明者】
【氏名】石川 将司
【テーマコード(参考)】
3J023
【Fターム(参考)】
3J023AA01
3J023BA01
3J023BB01
3J023CA10
3J023DA06
(57)【要約】
【課題】デッキプレートの谷部又は谷部近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に設置する作業を従来よりも簡単かつ効率的に行えるようにする。
【解決手段】ボルト支持金具1は、水平方向に山部101と谷部102が連続するデッキプレート100に取り付けられ、デッキプレート100の谷部102又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に支持する。ボルト支持金具1は、水平方向に沿って谷部102の下面に接合するように配置され、ボルト部材130を垂下させた状態に保持するボルト保持部2と、谷部102を挟んでボルト保持部2の水平方向の両側に設けられ、ボルト部材130をデッキプレート100に固定する一対の固定部3a,3bと、を備える。一対の固定部3a,3bのそれぞれは、デッキプレート100の山部101、及び、谷部102と山部101とを繋ぐ傾斜部104のいずれか一方に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、
前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、
前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、
を備え、
前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記山部、及び、前記谷部と前記山部とを繋ぐ傾斜部のいずれか一方に固定されることを特徴とするボルト支持金具。
【請求項2】
水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、
前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、
前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、
を備え、
前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記山部に固定されることを特徴とするボルト支持金具。
【請求項3】
前記一対の固定部のそれぞれは、
前記ボルト保持部から、前記谷部に隣り合う前記山部に向かって延びる支持部と、
前記支持部の先端に設けられる平板部と、
を備え、
前記平板部が前記山部の下面に接合した状態に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のボルト支持金具。
【請求項4】
前記支持部は、前記デッキプレートの前記谷部と前記山部とを繋ぐ傾斜部の表面に近接した状態で前記ボルト保持部から前記山部に向かって延びることを特徴とする請求項3に記載のボルト支持金具。
【請求項5】
前記一対の固定部のうちの一方の固定部は、前記谷部の一端側の前記傾斜部に形成された凹部に係合し、
前記一対の固定部のうちの他方の固定部は、締着部材によって前記谷部の他端側の前記傾斜部に固定されることを特徴とする請求項1に記載のボルト支持金具。
【請求項6】
前記ボルト保持部は、前記谷部の前記水平方向の両端に係合する係合部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のボルト支持金具。
【請求項7】
前記ボルト保持部は、前記ボルト部材を装着するボルト装着部を有し、
前記ボルト装着部は、前記水平方向にスライド可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のボルト支持金具。
【請求項8】
前記水平方向において前記ボルト装着部を位置決めした状態で固定する固定部材を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のボルト支持金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、デッキプレートの谷部又は谷部近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機などの天井吊り下げ物は、天井に形成される上階の床スラブなどの上階床構造から垂下する吊りボルトなどのボルト部材によって天井空間に吊り下げられた状態で支持される(例えば特許文献1)。上階の床スラブは、一般にデッキプレートの上面側に形成される。そのため、吊りボルトなどのボルト部材を上階床構造に取り付ける際には、デッキプレートに孔を開けて上階の床スラブにアンカーやインサートを埋設し、ボルト部材の上端をアンカーやインサートに装着する作業が行われる。
【0003】
建造物に使用されるデッキプレートには、水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続する波形形状のものが多い。そのような波形形状のデッキプレートの場合、ボルト部材を谷部に取り付けてしまうと、谷部は山部に比べて脆弱であるため、ボルト部材の取付強度が低下する。そのような強度低下を抑制するためには、ボルト部材を波形形状であるデッキプレートの山部に取り付けることが必要となる。
【0004】
しかしながら、天井空間において空気調和機などの天井吊り下げ物を設置する位置は、設計上予め定められている。そのため、天井吊り下げ物を予め定められた位置に設置しようとすると、デッキプレートの谷部の下方位置にボルト部材を設置しなければならない場合が生じ得る。そのような場合、従来は、剛性の高いH形鋼などを用いてボルト部材を支持するための構造体をデッキプレートに別途取り付け、その構造体にボルト部材を取り付けていた。
【0005】
図28は、従来のボルト部材の取り付け態様を例示する図である。図28に示すように、ボルト部材130を取り付ける上階床構造は、水平方向(X方向)に山部101と谷部102が所定間隔で連続するデッキプレート100の上面側に上階の床スラブ110が打設された構造となっている。一方、天井吊り下げ物200は、吊りボルトなどのボルト部材130と、ブレースボルト140と、空気調和機150とを備えている。空気調和機150は、側面の4箇所にボルト部材130の下端部を接続するための取付片151を有している。デッキプレート100から鉛直方向に垂下する複数のボルト部材130は、下端部がそれらの取付片151に接続され、空気調和機150を天井空間に吊り下げた状態で支持する。そしてデッキプレート100と空気調和機150との間には、互いに隣接する2本のボルト部材130,130の間を互いに交差するように2本のブレースボルト140が取り付けられる。これらブレースボルト140は、地震発生時におけるボルト部材130の振動を抑制するためのものである。
【0006】
図28に示すように、空気調和機150を所定位置に配置した場合、一方の取付片151の上方位置にはデッキプレート100の山部101が位置している。そのため、一方の取付片151に接続されるボルト部材130は、上端部をデッキプレート100の山部101に取り付けることができる。ところが、他方の取付片151の上方位置にはデッキプレート100の谷部102が位置している。そのため、他方の取付片151の上方位置には、複数のH形鋼を組み付けた構造体350を設置し、その構造体350に対してボルト部材130の上端部を固定しなければならない。このような構造体350を設置する作業は高所作業となるため、作業効率が悪い。特に、空気調和機150の側面4箇所に設けられた4つの取付片151の上方位置全てにデッキプレート100の谷部102が位置する場合には、上記のような構造体350を4箇所に設置する必要があり、作業効率が著しく低下する。そのため、天井吊り下げ物200を天井空間に設置するために多大な時間を要するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-125812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、デッキプレートの谷部又は谷部近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に設置する作業を従来よりも簡単かつ効率的に行えるようにしたボルト支持金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、を備え、前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記谷部を挟んで前記水平方向の両側に位置する前記山部、及び、前記谷部と前記谷部を挟んで前記水平方向の両側に位置する前記山部とを繋ぐ傾斜部のいずれか一方に固定されることを特徴とする構成である。
【0010】
第2に、本発明は、水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、を備え、前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記山部に固定されることを特徴とする構成である。
【0011】
第3に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有するボルト支持金具において、前記一対の固定部のそれぞれは、前記ボルト保持部から、前記谷部に隣り合う前記山部に向かって延びる支持部と、前記支持部の先端に設けられる平板部と、を備え、前記平板部が前記山部の下面に接合した状態に固定されることを特徴とする構成である。
【0012】
第4に、本発明は、上記第3の構成を有するボルト支持金具において、前記支持部は、前記デッキプレートの前記谷部と前記山部とを繋ぐ傾斜部の表面に近接した状態で前記ボルト保持部から前記山部に向かって延びることを特徴とする構成である。
【0013】
第5に、本発明は、上記第1の構成を有するボルト支持金具において、前記一対の固定部のうちの一方の固定部は、前記谷部の一端側の前記傾斜部に形成された凹部に係合し、前記一対の固定部のうちの他方の固定部は、締着部材によって前記谷部の他端側の前記傾斜部に固定されることを特徴とする構成である。
【0014】
第6に、本発明は、上記第1乃至第5のいずれかの構成を有するボルト支持金具において、前記ボルト保持部は、前記谷部の前記水平方向の両端に係合する係合部を有することを特徴とする構成である。
【0015】
第7に、本発明は、上記第1乃至第6のいずれかの構成を有するボルト支持金具において、前記ボルト保持部は、前記ボルト部材を装着するボルト装着部を有し、前記ボルト装着部は、前記水平方向にスライド可能であることを特徴とする構成である。
【0016】
第8に、本発明は、上記第7の構成を有するボルト支持金具において、前記水平方向において前記ボルト装着部を位置決めした状態で固定する固定部材を更に備えることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ボルト部材の強度を低下させることなく、デッキプレートの谷部又は谷部近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に設置する作業を従来よりも簡単かつ効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ボルト支持金具をデッキプレートに取り付けた例を示す図である。
図2】第1実施形態におけるボルト支持金具を示す斜視図である。
図3】ボルト支持金具の構成部材を分解して示す斜視図である。
図4】ボルト支持金具の金具本体を斜め下から視た斜視図である。
図5】ボルト支持金具をデッキプレートに取り付ける手順を説明する断面図である。
図6】ボルト支持金具がデッキプレートに取り付けられた状態を示す断面図である。
図7】ビスを打ち込んでボルト装着部を固定する例を示す図である。
図8】ボルト装着部(ロングナット)が平板部に固定された状態を示す断面図である。
図9】ボルト支持金具によって天井空間に吊り下げられた状態に支持される天井吊り下げ物を例示する図である。
図10】第1実施形態におけるボルト支持金具の変形例を示す図である。
図11図10に示すボルト支持金具をデッキプレートに取り付けた状態を示す図である。
図12】第2実施形態におけるボルト支持金具を示す斜視図である。
図13】第2実施形態におけるボルト支持金具がデッキプレートに取り付けられた状態を示す断面図である。
図14】第3実施形態におけるボルト支持金具を示す斜視図である。
図15】ボルト支持金具の構成部材を分解して示す斜視図である。
図16】デッキプレートに対してボルト支持金具が取り付けられた状態を示す断面図である。
図17】第1部材に関する第1の変形例を示す図である。
図18図17に示した第1部材を備えるボルト支持金具をデッキプレートに取り付けた状態を示す断面図である。
図19】第1部材に関する第2の変形例を示す図である。
図20図19に示した第1部材を備えるボルト支持金具をデッキプレートに取り付けた状態を示す断面図である。
図21】傾斜部を有さないデッキプレートを例示する図である。
図22】第4実施形態におけるボルト支持金具を示す斜視図である。
図23】ボルト支持金具の構成部材を分解して示す斜視図である。
図24】金具本体を斜め下から視た斜視図である。
図25】ボルト支持金具をデッキプレートに取り付ける手順を説明する断面図である。
図26】ボルト支持金具をデッキプレートに取り付けた状態を示す斜視図である。
図27】第4実施形態のボルト支持金具によって天井空間に吊り下げられた状態に支持される天井吊り下げ物を示す図である。
図28】デッキプレートに対する従来のボルト部材の取り付け態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付けた例を示す図である。尚、図1に示すXYZ三次元座標系は、XY面を水平面とし、Z方向を鉛直方向とする座標系であり、他の図に示す座標系と共通する座標系である。ボルト支持金具1は、水平方向(X方向)に山部101と谷部102とが所定間隔で連続するデッキプレート100に取り付けられ、デッキプレート100の谷部102又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に支持する金具である。例えば、デッキプレート100は、山部101と谷部102との間に、山部101と谷部102とを斜め方向に繋ぐ傾斜部104を有している。そして谷部102の両側に位置する傾斜部104の下部には、水平方向に所定深さを有する凹部105が設けられている。この凹部105は、Y方向に向かって溝状に形成されている。そしてデッキプレート100の上面側には、上階の床スラブ110が打設され、直下の階において吊りボルトなどのボルト部材130を支持するための上階床構造が形成されている。
【0021】
ボルト支持金具1は、水平方向(X方向)に沿って谷部102の下面に接合するように配置され、ボルト部材130を垂下させた状態に保持するボルト保持部2と、谷部102を挟んでボルト保持部2の水平方向(X方向)の両側に設けられ、ボルト支持金具1をデッキプレート100に固定する一対の固定部3a,3bと、を備えている。本実施形態のボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bのそれぞれがデッキプレート100の谷部102を挟んで水平方向の両側に位置する山部101,101に固定されるタイプのものを例示している。すなわち、一対の固定部3a,3bは、その先端がデッキプレート100の山部101の下面に接合した状態でデッキプレート100に固定される。以下、このようなボルト支持金具1について詳しく説明する。
【0022】
図2は、ボルト支持金具1を示す斜視図である。また図3は、ボルト支持金具1の構成部材を分解して示す斜視図である。図3に示すように、ボルト支持金具1は、金具本体1aと、ボルト装着部20とが組み付けられることによって構成される。金具本体1aは、予め所定形状に形成された金属製の板状体を折り曲げることによって形成される部材であり、ボルト保持部2と、一対の固定部3a,3bとを備えている。
【0023】
ボルト保持部2は、水平方向(X方向)に所定長さを有する長方形状の平板部11と、その平板部11の短尺方向両端部(Y方向両端部)から鉛直方向(Z方向)に立設する一対の壁部12,12とを有している。このボルト保持部2の長尺方向(X方向)の長さは、デッキプレート100の谷部102の水平方向(X方向)の長さよりも長い。
【0024】
図4は、金具本体1aを斜め下から視た斜視図である。図4に示すように、平板部11の中央(Y方向の中央)には、長手方向(X方向)に延びる長孔18が形成される。例えば、長孔18は、平板部11の長手方向のほぼ中央の位置から一方の端部近傍位置まで形成される。また、長孔18の両側には、後述するビス48を打ち込むための複数の孔19が所定間隔で形成される。
【0025】
平板部11から立設する一対の壁部12,12は、デッキプレート100の谷部102の下面に接合し、谷部102の両端と係合する係合部10として機能する。壁部12の上端は、長手方向(X方向)の両端部13の高さが比較的高く、中央部14の高さが両端部13よりも低くなっている。そして両端部13と中央部14との間には、段差部15が設けられている。これら2つの段差部15の間隔Dは、デッキプレート100の谷部102の幅(X方向の寸法)と同じ若しくはそれよりも若干大きい間隔に形成される。そのため、2つの段差部15の間にデッキプレート100の谷部102を収容することが可能である。
【0026】
一対の固定部3a,3bは、平板部11の長尺方向両端部から鉛直方向に立設する。すなわち、一対の固定部3a,3bは、ボルト保持部2の両端から互いに平行な状態でデッキプレート100の谷部102の両側を山部101に向かって延びるように形成される。これら一対の固定部3a,3bのそれぞれは、ボルト保持部2の端部から谷部102に隣り合う山部101に向かって延びる支持部31と、その支持部31の先端に設けられる平板部32とを備えている。平板部32は、支持部31の先端を金具本体1aの外側に向けて水平方向に折り曲げることによって形成される。そして平板部32の中央には、ボルトを挿通するための孔33が予め形成される。本実施形態における孔33は、Y方向に所定長さを有する長孔として形成される場合を例示している。しかし、これに限られるものではなく、孔33は、丸孔であっても構わない。
【0027】
上記のように構成される金具本体1aは、一対の壁部12,12と一対の固定部3a,3bとによって囲まれた領域の内側に凹部空間を有している。その凹部空間には、ボルト装着部20の構成部材が配置される。
【0028】
ボルト装着部20は、図3に示すように、保持板21、ワッシャー22、ボルト23、ワッシャー24、及び、ロングナット25を備えている。このうち、保持板21、ワッシャー22及びボルト23は、平板部11の上面側であって、一対の壁部12,12と一対の固定部3a,3bとによって囲まれた凹部空間に配置される。また、ワッシャー24及びロングナット25は、平板部11の下面側に配置される。
【0029】
保持板21は、平板部11の上面に接合するように配置される。保持板21の中央にはボルト23の雄螺子部を挿通するための孔21aが形成される。ボルト23は、ワッシャー22が装着された雄螺子部の先端が孔21aに挿入され、更に平板部11に形成された長孔18に対して挿入される。これにより、ボルト23の雄螺子部の先端は、平板部11の下面から所定長さ突出するようになる。そして平板部11の下面側に突出するボルト23の雄螺子部に対し、ワッシャー24が装着され、更に、ロングナット25が装着される。図3に示すように、保持板21の厚み、ワッシャー22の厚み、及び、ボルト23の頭部の厚みを合計した厚みは、一対の壁部12,12の中央部14の高さ寸法Hよりも小さくなるように形成される。これにより、ボルト23の頭部がデッキプレート100の谷部102の下面に接触することがなくなり、一対の壁部12,12の中央部14をデッキプレート100の谷部102の下面に突き当てた状態に取り付けることができるようになる。
【0030】
ロングナット25は、軸方向(Z方向)に所定長さを有し、その軸方向に貫通する螺子孔を有している。ロングナット25の螺子孔の上部には、ボルト23の雄螺子部が螺合する。またロングナット25の螺子孔の下部には、吊りボルトなどのボルト部材130が螺合する。つまり、ボルト装着部20は、ボルト保持部2の下面側に突出した状態に設けられるロングナット25に対してボルト部材130を装着する。
【0031】
上記のように構成されるボルト装着部20は、ボルト保持部2の平板部11に形成されている長孔18に沿って水平方向(X方向)にスライド移動させることができる。すなわち、平板部11の下面に対してロングナット25を締め付けていない仮止め状態のとき、ボルト装着部20は、ボルト保持部2に固定されていないため、水平方向(X方向)にスライド可能となる。長孔18は、上述のように、平板部11の長手方向のほぼ中央の位置から一方の端部近傍位置まで形成されている。そのため、ボルト装着部20は、その長孔18が形成されている範囲内において任意の位置にスライド移動可能である。これに対し、平板部11に対してロングナット25が締め付けられると、ボルト装着部20は、ボルト保持部2の平板部11に固定されるため、長孔18に沿ってスライド移動しない状態に位置決めされる。
【0032】
図5は、ボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付ける手順を説明する断面図である。ボルト支持金具1は、ボルト部材130の設置位置に存在する谷部102を跨ぐように配置される。すなわち、ボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bのそれぞれを谷部102の両側に位置する2つの山部101のそれぞれに向けた状態で水平方向(X方向)に配置される。それらの山部101には、図5に示すように、予めボルト部材120が設置される。例えば、ボルト部材120は、先端が上階の床スラブに埋設されたアンカーボルトであっても良いし、また予めデッキプレート100に取り付けられるインサートに装着されたボルトであっても良い。尚、2つの山部101に設置されるボルト部材120は、ボルト支持金具1の一対の固定部3a,3bに形成されている孔33に適合するように設置される。
【0033】
図5に示すように、ボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bの平板部32に形成された孔33にボルト部材120が挿入され、平板部32の上面をデッキプレート100の山部101の下面に接合させた状態に取り付けられる。平板部32の下面側には、補強板41が装着される。この補強板41は、ボルト支持金具1が支持するボルト部材130に多大な荷重が掛かった場合に支持部31と平板部32との角度が開いて平板部32が山部101の下面から浮いてしまうことを防止するためのものである。すなわち、補強板41は、デッキプレート100に対するボルト支持金具1の取付強度が低下することを防止する。そして補強板41の下面側においてボルト部材120にナット42が装着される。このナット42がボルト部材120に締め付けられることにより、ボルト支持金具1は、デッキプレート100に固定される。尚、本実施形態では、平板部32の下面側に補強板41を設ける例を示したが、平板部32が十分な強度を有する場合には平板部32の下面側に補強板41を設ける必要はない。
【0034】
図6は、ボルト支持金具1がデッキプレート100に取り付けられた状態を示す断面図である。ボルト支持金具1がデッキプレート100に取り付けられると、ボルト保持部2は、デッキプレート100の谷部102の下部に位置する状態となる。このとき、ボルト保持部2に設けられた壁部12の上端部がデッキプレート100の谷部102に係合した状態となる。すなわち、壁部12の中央部14は谷部102の下面に接合し、中央部14の両側に位置する段差部15が谷部102の両端に係合した状態となる。そのため、仮に地震が発生したとしても、デッキプレート100に対するボルト保持部2の位置は変化しない。つまり、地震発生時に支持部31がX方向に揺動しようとしても、ボルト保持部2が谷部102に係合しているため、ボルト保持部2はデッキプレート100に対して相対変位しないのである。それ故、ボルト支持金具1は、デッキプレート100に取り付けられると、ボルト保持部2をデッキプレート100に対して相対変位しない状態に固定することができる。
【0035】
ボルト支持金具1がデッキプレート100に取り付けられ、ロングナット25が仮止め状態であるとき、ロングナット25は、矢印F1で示すように、X方向にスライド移動可能である。そのため、吊りボルトなどのボルト部材130を取り付ける位置をX方向に調整することができる。すなわち、空気調和機などの天井吊り下げ物の設置位置に適合するようにロングナット25の位置を調整することができる。上述したように本実施形態のボルト支持金具1の長孔18は、平板部11の長手方向(X方向)のほぼ中央の位置から一方の端部近傍位置までの約半分の領域に形成されている。そのため、ロングナット25は、谷部102のほぼ中央の下方位置と、谷部102に隣接する2つの傾斜部104,104のうちの一方の傾斜部104の下方位置との範囲内で移動させることができる。ロングナット25を他方の傾斜部104の下方位置に設置したい場合には、デッキプレート100に対するボルト支持金具1の向きを反転させれば良い。このようにボルト支持金具1は、長孔18を平板部11の長手方向(X方向)のほぼ中央の位置から一方の端部近傍位置までの約半分の領域に形成することにより、谷部102の下方位置及び谷部102に隣接する2つの傾斜部104の下方位置を含む任意の位置にロングナット25を設置することが可能である。
【0036】
尚、長孔18は平板部11の長手方向の約半分の領域に形成するものに限られず、平板部11の長手方向の全域に亘って形成したものであっても構わない。ただし、長孔18を平板部11の長手方向の全域に亘って形成すると、ボルト保持部2の強度が低下してしまう可能性がある。そのような強度低下を最小限に抑えるためには、長孔18の形成領域を最小限に抑えることが好ましい。そのため、上述したようにボルト支持金具1の長孔18は、平板部11の長手方向(X方向)のほぼ中央の位置から一方の端部近傍位置までの約半分の領域に形成することで、強度低下を抑えつつ、ロングナット25を谷部102の下方位置及び谷部102に隣接する2つの傾斜部104の下方位置を含む任意の位置に設置できるという点で好ましい。
【0037】
ボルト保持部2におけるロングナット25の位置が決まると、ロングナット25を平板部11に対して締め付けることにより、ロングナット25が平板部11に固定される。ただし、ロングナット25を締め付けるだけでは、大規模地震発生時に水平方向に大きな力が作用すると、ロングナット25が長孔18の形成方向に沿って滑る可能性がある。そのような滑りを防止するため、ボルト支持金具1は、ロングナット25の位置が決まると、図7に示すように、長孔18の両側に形成された孔19にビス48を打ち込んで平板部11と保持板21とを相互に固定することが可能である。つまり、ビス48は、ボルト装着部20が水平方向に変位しないように位置決めした状態で固定する固定部材である。例えば、ビス48は、複数の孔19のうち、ロングナット25の近傍に位置する孔19に対して打ち込まれる。ビス48は、孔19から上方に向けて挿入され、平板部11の上面側に位置する保持板21に打ち込まれる。これにより、ロングナット25は、長孔18の長手方向には移動しない状態に完全固定される。そのため、大規模地震が発生した場合でも、ロングナット25が長孔18の形成方向に滑ってしまう現象は生じない。
【0038】
図8は、ロングナット25が平板部11に固定された状態を示す断面図である。図8に示すようにロングナット25がデッキプレート100の谷部102の下方位置又は谷部102の近傍の下方位置に固定されると、ロングナット25の下面の螺子孔25aに吊りボルトなどのボルト部材130が装着される。これにより、ボルト部材130は、デッキプレート100の谷部102又は谷部102の近傍位置から垂下する状態に設置される。このボルト部材130は、空気調和機などの天井吊り下げ物を天井空間に吊り下げた状態で支持する。
【0039】
図9は、ボルト支持金具1を用いて天井空間に吊り下げられた状態に支持される天井吊り下げ物200を示す図である。天井吊り下げ物200は、吊りボルトなどのボルト部材130と、ブレースボルト140と、空気調和機150とを備えている。空気調和機150は、側面の4箇所にボルト部材130の下端部を接続するための取付片151を有している。デッキプレート100から垂下する複数のボルト部材130は、下端部がそれらの取付片151に接続され、空気調和機150を天井空間に吊り下げた状態で支持する。そしてデッキプレート100と空気調和機150との間には、ボルト部材130を補強するための斜め補強材として、隣接する2本のボルト部材130,130間に、互いに交差するように2本のブレースボルト140が取り付けられる。
【0040】
図9に示すように、ボルト支持金具1は、デッキプレート100の谷部102又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に支持することができる。そのため、天井吊り下げ物200の設置位置を水平方向にずらしたり、ボルト部材130を斜め方向に配置したりする必要がなく、設計上予め定められた位置に天井吊り下げ物200を設置することができる。また、本実施形態のボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bをデッキプレート100の谷部102ではなく、山部101に固定しているため、取付強度が低下しない。これにより、ボルト支持金具1は、十分な強度でボルト部材130を垂下させた状態に支持することができる。更に、本実施形態のボルト支持金具1を用いれば、従来のように複数のH形鋼を組み付けた構造体350を設置する必要がない。それ故、本実施形態のボルト支持金具1によれば、デッキプレート100の谷部102の位置又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に設置する作業を従来よりも簡単かつ効率的に行うことができるようになる。
【0041】
図10は、本実施形態におけるボルト支持金具1の変形例を示す図である。このボルト支持金具1は、平板部11から立設する一対の壁部12,12の中央部14の上端にデッキプレート100の谷部102の下面に接合する平板状のフランジ部14aを有している。フランジ部14aの中央には、ボルトを挿通するための孔14bが形成されている。そのため、このボルト支持金具1は、上述のように一対の固定部3a,3bをデッキプレート100の山部101に固定することができると共に、フランジ部14aをデッキプレート100の谷部102に接合させた状態でボルト保持部2をデッキプレート100の谷部102に固定することができる。
【0042】
図11は、図10に示すボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付けた状態を示す図である。図11に示すように、このボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bがデッキプレート100の山部101に固定されると共に、フランジ部14aがボルト46とナット47などの締結部材によってデッキプレート100の谷部102に固定される。特にボルト保持部2がデッキプレート100の谷部102に固定されるため、仮に大規模地震が発生したとしても、ボルト保持部2がY方向に振動することを防ぐことができる。そのため、図10及び図11に示すボルト支持金具1は、耐震性に優れた金具である。
【0043】
尚、本実施形態では、一対の固定部3a,3bをデッキプレート100の山部101に固定する場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば、一対の固定部3a,3bをデッキプレート100の傾斜部104に固定するようにしても構わない。
【0044】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。図12は、第2実施形態におけるボルト支持金具1を示す斜視図である。図13は、そのボルト支持金具1がデッキプレート100に取り付けられた状態を示す断面図である。本実施形態のボルト支持金具1は、第1実施形態で説明した一対の固定部3a,3bをボルト38で構成したものである。すなわち、ボルト保持部2の平板部11の両端近傍位置には、ボルト38を挿通するための孔37が形成される。一方、ボルト38は、その上端がデッキプレート100の山部101に固定される。尚、ボルト38の上端は、アンカー構造を有し、上階の床スラブに埋設された状態で固定されるものであっても構わない。そしてボルト38の下端部がボルト保持部2の両端に形成された孔37に挿通され、その先端にナット39が装着される。このナット39が締め付けられることにより、ボルト支持金具1は、デッキプレート100に固定される。すなわち、ボルト支持金具1は、図13に示すように、ボルト保持部2をデッキプレート100の谷部102の下面に接合させた状態に固定される。
【0045】
本実施形態のボルト支持金具1によれば、金具本体の構成を第1実施形態よりも簡略化することができるため、低コストで実現可能であると共に、取り扱い易くなるという利点がある。その他の点は、第1実施形態で説明したものと同様である。そのため、本実施形態のボルト支持金具1は、第1実施形態で説明したものと同様の作用効果を奏する。尚、本実施形態のボルト支持金具1においても、図10及び図11に示したフランジ部14aを設けた構成を採用しても良い。
【0046】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。図14は、第3実施形態におけるボルト支持金具1を示す斜視図である。図15は、そのボルト支持金具1の構成部材を分解して示す斜視図である。本実施形態のボルト支持金具1は、第1実施形態で説明した金具本体1aを、第1部材4と、第2部材5との2部材で構成したものである。
【0047】
第1部材4は、デッキプレート100に固定される固定金具であり、一対の固定部3a,3bを備えている。すなわち、第1部材4は、水平方向に所定長さを有する長方形状の平板部16と、平板部16の短尺方向両端部から下方に延設される一対の壁部17,17と、平板部16の長尺方向両端部から斜め上方に向かって延設される一対の固定部3a,3bとを備えている。例えば、平板部16の長尺方向の長さは、デッキプレート100の谷部102の水平方向(X方向)の長さとほぼ同一である。その平板部16から下向きに形成される一対の壁部17,17には、ボルト51の軸部(雄螺子部)51aを挿通するための孔17aが形成されている。また、一対の固定部3a,3bは、デッキプレート100の傾斜部104の表面に沿って斜め方向に延びる支持部31と、デッキプレート100の山部101の下面に接合する平板部32とを備えている。平板部32には、第1実施形態と同様に、デッキプレート100の山部101に取り付けられたボルトを挿通するための孔33が形成されている。
【0048】
第2部材5は、ボルト部材130を保持するボルト保持金具であり、概略コ字状に形成される金具である。第2部材5は、水平方向に所定長さを有する長方形状の平板部11と、平板部11の短尺方向両端部から上向きに延設される一対の壁部12,12とを備えている。平板部11の長尺方向の長さは、第1部材4の平板部16よりも長く形成され、例えば、デッキプレート100の谷部102の水平方向の長さと傾斜部104の水平方向の長さとを加算した長さとして形成される。その平板部11から上向きに形成される一対の壁部12,12には、ボルト51の軸部(雄螺子部)51aを挿通するための孔12aが形成される。第2部材5は、長手方向の一端が第1部材4の一端とほぼ同じ位置となるように配置される。つまり、第2部材5は、他端側が第1部材4の他端よりも突出した状態となるように第1部材4に組み付けられる。そのため、壁部12に形成される孔12aは、そのような組み付け態様に適合するように第2部材5の一端側に偏った位置に形成される。一対の壁部12,12の間隔は、第1部材4の一対の壁部17,17の外側の面の間隔にほぼ等しい。そのため、第2部材5は、一対の壁部12,12の内側に第1部材4の一対の壁部17,17を嵌め込むようにして第1部材4に装着される。このとき、第2部材5の一対の壁部12,12に形成された孔12a,12aが第1部材4の一対の壁部17,17に形成された孔17a,17aの位置に合致するように装着される。
【0049】
第2部材5の平板部11には、第1実施形態と同様に、長孔18と複数の孔19とが形成されており、ボルト装着部20を取り付けることができるように構成されている。平板部11に対するボルト装着部20の取り付け態様は、第1実施形態で説明した態様と同様である。したがって、本実施形態においても、ボルト装着部20に含まれるロングナット25は、平板部11に形成された長孔18に沿ってスライド移動させることが可能であり、ボルト部材130の位置を調整することができる。
【0050】
第2部材5が第1部材4の外側に嵌め込むように装着されると、ボルト51,51の軸部51a,51aを第2部材5の孔12a,12a及び第1部材4の孔17a,17aに挿入し、反対側から突出する軸部51a,51aの先端にナット52を取り付けて締め付ける。これにより、第1部材4と第2部材5とが相互に固定され、ボルト支持金具1として一体形成される。
【0051】
図16は、デッキプレート100に対してボルト支持金具1が取り付けられた状態を示す断面図である。本実施形態のボルト支持金具1は、上述したように平板部16の水平方向(X方向)の長さがデッキプレート100の谷部102の水平方向(X方向)の長さとほぼ同一であり、その平板部16の両端からデッキプレート100の山部101に向かって延びる支持部31がデッキプレート100の傾斜部104の表面に近接した状態に配置される。そのため、平板部32がデッキプレート100の山部101に固定されると、ボルト支持金具1の上面がデッキプレート100の下面に沿う状態となり、支持部31の下端部が谷部102の水平方向の両端に係合する係合部31aとして機能する。そのため、仮に地震が発生したとしても、第1部材4及び第2部材5は、デッキプレート100に対する相対位置を変化させない。
【0052】
尚、図16では、第1実施形態と同様に、平板部32をデッキプレート100の山部101に固定する際に補強板41を用いた場合を例示しているが、平板部32の強度が十分にある場合には特に補強板41を設ける必要はない。
【0053】
また、図16に示すように、第1部材4と第2部材5とがボルト51によって相互に固定されると、ボルト51の軸部51aがボルト23の頭部上端よりも高い位置にある。そのため、ボルト支持金具1がデッキプレート100に取り付けられたときにロングナット25を仮止め状態にしていれば、ロングナット25は、長孔18に沿って矢印F1方向にスライド移動する。これにより、ロングナット25の位置を、長孔18が形成された範囲内で調整することができる。すなわち、谷部102の下方位置と、傾斜部104の下方位置との間でロングナット25の位置を調整することができるのである。そしてロングナット25の位置を調整した後、ロングナット25を平板部11に対して締め付けることにより、ロングナット25は平板部11に固定される。その後、ロングナット25に対して吊りボルトなどのボルト部材130を取り付けることで施工が完了する。
【0054】
このように本実施形態のボルト支持金具1は、第1実施形態と同様に、デッキプレート100の谷部102又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に支持することができる。そのため、天井吊り下げ物200の位置を水平方向にずらす必要がなく、設計上予め定められた位置に天井吊り下げ物200を設置することができる。また、本実施形態のボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bをデッキプレート100の山部101に固定しているため、取付強度が低下しない。そのため、ボルト支持金具1は、十分な強度でボルト部材130を垂下させた状態に支持することができる。更に、本実施形態のボルト支持金具1を用いれば、従来のように複数のH形鋼を組み付ける必要がない。それ故、本実施形態のボルト支持金具1によれば、デッキプレート100の谷部102の位置又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に設置する作業を従来よりも簡単かつ効率的に行うことができるようになる。
【0055】
図17は、上記とは別の第1部材4の構成例を示す図である。この第1部材4は、平板部16の両端に設けられる一対の固定部3a,3bのうち、一方の固定部3bに、デッキプレート100の傾斜部104の下部に設けられている凹部105に係合させることが可能な係合部34として形成したものである。このボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付ける際には、一方の固定部3bに形成されている係合部34の先端をデッキプレート100の凹部105に差し込んで係合させ、他方の固定部3aがデッキプレート100の山部101に固定される。
【0056】
図18は、図17に示した第1部材4を備えるボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付けた状態を示す断面図である。図18に示すボルト支持金具1は、デッキプレート100に取り付ける際に、固定部3bに設けられている係合部34を傾斜部104の凹部105に係合させ、固定部3aに設けられている平板部32を、ナット42を用いてデッキプレート100の山部101に固定すれば良い。つまり、ボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付ける際には1つのナット42を締め付ければ良いため、ナット42の締め付け回数を低減することが可能であり、作業効率を向上させることができる。
【0057】
図19は、更に別の第1部材4の構成例を示す図である。この第1部材4は、平板部16の両端に設けられる一対の固定部3a,3bのうち、一方の固定部3bをデッキプレート100の傾斜部104の下部に設けられている凹部105に係合させることが可能な係合部34として形成し、他方の固定部3aをデッキプレート100の傾斜部104に固定するように形成したものである。このボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付ける際には、固定部3bに形成されている係合部34の先端をデッキプレート100の凹部105に差し込んで係合させ、他方の固定部3aがデッキプレート100の傾斜部104に固定される。
【0058】
図20は、図19に示した第1部材4を備えるボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付けた状態を示す断面図である。図20に示すボルト支持金具1は、デッキプレート100に取り付ける際に、固定部3bに設けられている係合部34を傾斜部104の凹部105に係合させ、固定部3aに設けられている支持部31を、ボルト部材121とナット42との締着部材を用いてデッキプレート100の傾斜部104に固定すれば良い。このとき、作業者は、デッキプレート100の傾斜部104にアンカーボルトなどのボルト部材121を取り付け、支持部31に予め形成されている孔33にそのボルト部材121を挿入し、ボルト部材121の先端にナット42を装着して締め付ければ良い。したがって、このボルト支持金具1も、ナット42の締め付け回数を低減することが可能であり、作業効率を向上させることができるという利点がある。加えて、このボルト支持金具1は、金具全体の小型化と軽量化を図ることができるため、高所作業において取り扱いやすいという利点もある。更に、ボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bをデッキプレート100の谷部102ではなく、傾斜部104に固定するため、取付強度が低下しない。
【0059】
尚、図19では、一対の固定部3a,3bのうちの一方の固定部3aをデッキプレート100の傾斜部104にナット42で固定する第1部材4を例示した。しかし、第1部材4は、これに限られるものではなく、例えば一対の固定部3a,3bの双方をデッキプレート100の傾斜部104に固定するものであっても構わない。
【0060】
また、本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0061】
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態について説明する。上記実施形態では、山部101と谷部102の間に傾斜部104を有するデッキプレート100を例示した。しかし、デッキプレート100には、山部101と谷部102との間に傾斜部104を有さないものが存在する。図21は、傾斜部104を有さないデッキプレート100を例示する図である。このデッキプレート100は、水平方向(X方向)に山部101と谷部102とが所定間隔で連続する構造を有し、山部101と谷部102とは逆Y字形の接続部107を介して接続されている。接続部107は、谷部102の水平方向(X方向)の両端部から外側には張り出していない。本実施形態のボルト支持金具1は、図21に示すようなデッキプレート100に対して好適に用いることができる金具である。
【0062】
図22は、第4実施形態におけるボルト支持金具1を示す斜視図である。図23は、そのボルト支持金具1の構成部材を分解して示す斜視図である。本実施形態のボルト支持金具1は、金具本体1aと、ボルト装着部20とを備えており、これらが一体的に組み付けられることによって構成される。金具本体1aは、水平方向(X方向)に沿って谷部102の下面に接合するように配置され、ボルト部材130を垂下させた状態に保持するボルト保持部2と、谷部102を挟んでボルト保持部2の水平方向(X方向)の両側に設けられ、金具本体1aをデッキプレート100に固定する一対の固定部3a,3bと、を備えている。本実施形態のボルト支持金具1は、第1実施形態と同様、一対の固定部3a,3bのそれぞれがデッキプレート100の谷部102を挟んで水平方向の両側に位置する山部101,101に固定される。すなわち、一対の固定部3a,3bは、その先端がデッキプレート100の山部101の下面に接合した状態でデッキプレート100に固定される。また、ボルト装着部20は、金具本体1aのボルト保持部2に取り付けられる。
【0063】
ボルト保持部2は、水平方向(X方向)に所定長さを有する長方形状の平板部11と、その平板部11の短尺方向両端部(Y方向両端部)から鉛直方向(Z方向)に立設する一対の壁部12,12とを有している。
【0064】
図24は、金具本体1aを斜め下から視た斜視図である。図24に示すように、平板部11の中央(Y方向の中央)には、長手方向(X方向)に延びる長孔18が形成される。例えば、長孔18は、平板部11の長手方向のほぼ中央の位置から一方の端部近傍位置まで形成される。また、長孔18の両側には、後述するビス48aを打ち込むための複数の孔19が所定間隔で形成される。
【0065】
平板部11から立設する一対の壁部12,12は、その上端部がデッキプレート100の谷部102の下面に接合する。そして壁部12,12の上端中央には、デッキプレート100の谷部102の下面に接合する平板状のフランジ部14aが設けられる。このフランジ部14aの中央には、後述するビス48bを打ち込むための孔14bが形成されている。
【0066】
一対の固定部3a,3bは、平板部11の長尺方向両端部(X方向両端部)から鉛直方向に立設する。すなわち、一対の固定部3a,3bは、ボルト保持部2の両端から互いに平行な状態でデッキプレート100の谷部102の両側を山部101に向かって延びるように形成される。これら一対の固定部3a,3bのそれぞれは、ボルト保持部2の端部から谷部102に隣り合う山部101に向かって鉛直方向に延びる支持部31と、その支持部31の先端に設けられる平板部32と、支持部31の両側端に設けられる壁部31c,31cとを備えている。平板部32は、支持部31の先端を金具本体1aの外側に向けて水平方向に折り曲げることによって形成される。そして平板部32の中央には、ボルトを挿通するための孔33が形成される。また、壁部31c,31cは、支持部31に対して略直角に折れ曲がっており、支持部31を補強するリブとして機能する。本実施形態における壁部31c,31cは、支持部31の両側端から金具本体1aの内側に向かって折れ曲がっている例を示している。そのため、ボルト保持部2の上部において、固定部3aに設けられる壁部31c,31cと、固定部3bに設けられる壁部31c,31cとが互いに対向するように配置される。そして固定部3aに設けられた壁部31c,31cの端部と、固定部3bに設けられた壁部31c,31cの端部との間隔Dは、デッキプレート100の谷部102の幅(X方向の寸法)と同じ若しくはそれよりも若干大きい間隔に形成される。そのため、一対の固定部3a,3bの間にデッキプレート100の谷部102を収容することが可能である。
【0067】
上記のように構成される金具本体1aは、一対の壁部12,12と一対の固定部3a,3bとによって囲まれた領域の内側に凹部空間を有している。その凹部空間には、ボルト装着部20の構成部材が配置される。
【0068】
ボルト装着部20は、第1実施形態と同様、保持板21、ワッシャー22、ボルト23、ワッシャー24、及び、ロングナット25を備えている。これら各部材は、第1実施形態と同様の態様で金具本体1aに取り付けられる。また、平板部11の下面に対してロングナット25が締め付けられていない仮止め状態のとき、ボルト装着部20がスライド可能である点も第1実施形態と同様である。
【0069】
図25は、ボルト支持金具1をデッキプレート100に取り付ける手順を説明する断面図である。ボルト支持金具1は、ボルト部材130の設置位置に存在する谷部102を跨ぐように配置される。すなわち、ボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bのそれぞれを谷部102の両側に位置する2つの山部101のそれぞれに向けた状態で水平方向(X方向)に配置される。それらの山部101には、図25に示すように、予めボルト部材120が設置される。例えば、ボルト部材120は、先端が上階の床スラブに埋設されたアンカーボルトであっても良いし、また予めデッキプレート100に取り付けられるインサートに装着されたボルトであっても良い。尚、2つの山部101に設置されるボルト部材120は、ボルト支持金具1の一対の固定部3a,3bのそれぞれに形成されている2つの孔33の間隔に適合するように設置される。
【0070】
図25に示すように、ボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bの平板部32に形成された孔33にボルト部材120が挿入され、平板部32の上面をデッキプレート100の山部101の下面に接合させた状態に取り付けられる。平板部32の下面側には、補強板41が装着され、その補強板41の下面側においてボルト部材120にナット42が装着される。このナット42がボルト部材120に締め付けられることにより、ボルト支持金具1は、デッキプレート100に固定される。尚、本実施形態においても、平板部32の下面側に補強板41を設ける例を示したが、平板部32が十分な強度を有する場合には平板部32の下面側に補強板41を設ける必要はない。
【0071】
上記のようにしてボルト支持金具1がデッキプレート100に取り付けられると、ボルト支持金具1は、デッキプレート100の谷部102を、互いに対向する壁部31c,31cで挟み込んだ状態となる。そのため、仮に地震が発生したとしても、デッキプレート100に対するボルト保持部2の位置は変化しない。つまり、地震発生時に支持部31がX方向に揺動しようとしても、壁部31c,31cが谷部102の端部に係合する係合部として機能するため、ボルト保持部2はデッキプレート100に対して相対変位しないのである。それ故、ボルト支持金具1は、デッキプレート100に取り付けられると、ボルト保持部2をデッキプレート100に対して相対変位しない状態に固定することができる。
【0072】
また、ボルト支持金具1がデッキプレート100に取り付けられ、ロングナット25が仮止め状態であるとき、ロングナット25は、X方向にスライド移動可能である。そのため、吊りボルトなどのボルト部材130を取り付ける位置をX方向に調整することができる。すなわち、空気調和機などの天井吊り下げ物の設置位置に適合するようにロングナット25の位置を簡単に調整することができる。
【0073】
ボルト保持部2におけるロングナット25の位置が決まると、ロングナット25を平板部11に対して締め付けることにより、ロングナット25が平板部11に固定される。ただし、ロングナット25を締め付けるだけでは、大規模地震発生時に水平方向に大きな力が作用すると、ロングナット25が長孔18の形成方向に沿って滑る可能性がある。そのような滑りを防止するため、ボルト支持金具1は、ロングナット25の位置が決まると、図26に示すように、長孔18の両側に形成された孔19にビス48aを打ち込んで平板部11と保持板21とを相互に固定することが可能である。つまり、ビス48aは、ボルト装着部20が水平方向に変位しないように位置決めした状態で固定する固定部材である。
【0074】
また、図26に示すように、本実施形態のボルト支持金具1は、壁部12,12の上端中央に設けられたフランジ部14aに形成された孔14bにビス48bを打ち込むことでボルト保持部2をデッキプレート100の谷部102に固定することも可能である。ビス48aをフランジ部14aの孔14bに打ち込むことで、地震発生時にY方向の強い揺れが作用したとしても、ボルト保持部2は、デッキプレート100の谷部102をY方向に滑ることがなくなるという利点がある。
【0075】
図27は、本実施形態のボルト支持金具1を用いて天井空間に吊り下げられた状態に支持される天井吊り下げ物200を示す図である。天井吊り下げ物200は、吊りボルトなどのボルト部材130と、ブレースボルト140と、空気調和機150とを備えている。空気調和機150は、側面の4箇所にボルト部材130の下端部を接続するための取付片151を有している。デッキプレート100から垂下する複数のボルト部材130は、下端部がそれらの取付片151に接続され、空気調和機150を天井空間に吊り下げた状態で支持する。そしてデッキプレート100と空気調和機150との間には、ボルト部材130を補強するための斜め補強材として、隣接する2本のボルト部材130,130間に、互いに交差するように2本のブレースボルト140が取り付けられる。
【0076】
図27に示すように、ボルト支持金具1は、デッキプレート100の谷部102又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に支持することができる。そのため、天井吊り下げ物200の設置位置を水平方向にずらしたり、ボルト部材130を斜め方向に配置したりする必要がなく、設計上予め定められた位置に天井吊り下げ物200を設置することができる。また、本実施形態のボルト支持金具1は、一対の固定部3a,3bをデッキプレート100の谷部102ではなく、山部101に固定しているため、取付強度が低下しない。これにより、ボルト支持金具1は、十分な強度でボルト部材130を垂下させた状態に支持することができる。更に、本実施形態のボルト支持金具1を用いれば、従来のように複数のH形鋼を組み付けた構造体350を設置する必要がない。それ故、本実施形態のボルト支持金具1によれば、デッキプレート100の谷部102の位置又は谷部102の近傍位置からボルト部材130を垂下させた状態に設置する作業を従来よりも簡単かつ効率的に行うことができるようになる。
【0077】
(変形例)
以上、本発明に関する好ましい幾つかの実施形態を説明したが、本発明は、上記各実施形態において説明したものに限定されるものではない。すなわち、本発明には、上記各実施形態において説明したものに種々の変形例を適用したものも含まれる。
【0078】
例えば、上記第1乃至第3実施形態では、傾斜部104の下部に凹部105が設けられているデッキプレート100を例示した。しかし、デッキプレート100は、必ずしも傾斜部104の下部に凹部105が設けられているものに限られない。
【0079】
また、上記実施形態では、ボルト支持金具1が支持するボルト部材130によって空気調和機150を天井空間に吊り下げる例を説明した。しかし、ボルト部材130が天井空間に吊り下げた状態で支持する天井吊り下げ物200は必ずしも空気調和機150に限られない。
【符号の説明】
【0080】
1…ボルト支持金具、2…ボルト保持部、3a,3b…固定部、4…第1部材、5…第2部材、10…係合部、12…壁部、15…段差部、20…ボルト装着部、25…ロングナット、31…支持部、32…平板部、34…係合部、48…ビス(固定部材)、100…デッキプレート、101…山部、102…谷部、104…傾斜部、105…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【手続補正書】
【提出日】2021-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、
前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、
前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、
を備え、
前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記山部、及び、前記谷部と前記山部とを繋ぐ傾斜部のいずれか一方に固定され
前記ボルト保持部は、前記ボルト部材を後付けで装着可能なボルト装着部を有することを特徴とするボルト支持金具。
【請求項2】
前記ボルト装着部は、前記水平方向にスライド可能であることを特徴とする請求項1に記載のボルト支持金具。
【請求項3】
水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、
前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、
前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、
を備え、
前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記山部に固定されることを特徴とするボルト支持金具。
【請求項4】
前記ボルト保持部は、前記ボルト部材を装着するボルト装着部を有し、
前記ボルト装着部は、前記水平方向にスライド可能であることを特徴とする請求項に記載のボルト支持金具。
【請求項5】
前記水平方向において前記ボルト装着部を位置決めした状態で固定する固定部材を更に備えることを特徴とする請求項2又は4に記載のボルト支持金具。
【請求項6】
前記一対の固定部のそれぞれは、
前記ボルト保持部から、前記谷部に隣り合う前記山部に向かって延びる支持部と、
前記支持部の先端に設けられる平板部と、
を備え、
前記平板部が前記山部の下面に接合した状態に固定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のボルト支持金具。
【請求項7】
前記支持部は、前記デッキプレートの前記谷部と前記山部とを繋ぐ傾斜部の表面に近接した状態で前記ボルト保持部から前記山部に向かって延びることを特徴とする請求項に記載のボルト支持金具。
【請求項8】
前記一対の固定部のうちの一方の固定部は、前記谷部の一端側の前記傾斜部に形成された凹部に係合し、
前記一対の固定部のうちの他方の固定部は、締着部材によって前記谷部の他端側の前記傾斜部に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のボルト支持金具。
【請求項9】
前記ボルト保持部は、前記谷部の前記水平方向の両端に係合する係合部を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のボルト支持金具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、を備え、前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記谷部を挟んで前記水平方向の両側に位置する前記山部、及び、前記谷部と前記谷部を挟んで前記水平方向の両側に位置する前記山部とを繋ぐ傾斜部のいずれか一方に固定され、前記ボルト保持部は、前記ボルト部材を後付けで装着可能なボルト装着部を有することを特徴とする構成である。
第2に、本発明は、上記第1の構成を有するボルト支持金具において、前記ボルト装着部は、前記水平方向にスライド可能であることを特徴とする構成である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
に、本発明は、水平方向に山部と谷部が所定間隔で連続するデッキプレートに取り付けられ、前記デッキプレートの前記谷部又は前記谷部の近傍位置からボルト部材を垂下させた状態に支持するボルト支持金具であって、前記水平方向に沿って前記谷部の下面に接合するように配置され、前記ボルト部材を垂下させた状態に保持するボルト保持部と、前記谷部を挟んで前記ボルト保持部の前記水平方向の両側に設けられ、前記ボルト部材を前記デッキプレートに固定する一対の固定部と、を備え、前記一対の固定部のそれぞれは、前記デッキプレートの前記山部に固定されることを特徴とする構成である。
第4に、本発明は、上記第3の構成を有するボルト支持金具において、前記ボルト保持部は、前記ボルト部材を装着するボルト装着部を有し、前記ボルト装着部は、前記水平方向にスライド可能であることを特徴とする構成である。
第5に、本発明は、上記第2又は第4の構成を有するボルト支持金具において、前記水平方向において前記ボルト装着部を位置決めした状態で固定する固定部材を更に備えることを特徴とする構成である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
に、本発明は、上記第1乃至第5のいずれかの構成を有するボルト支持金具において、前記一対の固定部のそれぞれは、前記ボルト保持部から、前記谷部に隣り合う前記山部に向かって延びる支持部と、前記支持部の先端に設けられる平板部と、を備え、前記平板部が前記山部の下面に接合した状態に固定されることを特徴とする構成である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
に、本発明は、上記第の構成を有するボルト支持金具において、前記支持部は、前記デッキプレートの前記谷部と前記山部とを繋ぐ傾斜部の表面に近接した状態で前記ボルト保持部から前記山部に向かって延びることを特徴とする構成である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有するボルト支持金具において、前記一対の固定部のうちの一方の固定部は、前記谷部の一端側の前記傾斜部に形成された凹部に係合し、前記一対の固定部のうちの他方の固定部は、締着部材によって前記谷部の他端側の前記傾斜部に固定されることを特徴とする構成である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
に、本発明は、上記第1乃至第のいずれかの構成を有するボルト支持金具において、前記ボルト保持部は、前記谷部の前記水平方向の両端に係合する係合部を有することを特徴とする構成である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】