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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107501
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】搬送システム、及び搬送制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220713BHJP
【FI】
G05D1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168765
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2021539163の分割
【原出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】521293800
【氏名又は名称】株式会社LexxPluss
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康幸
(72)【発明者】
【氏名】阿蘇 将也
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA09
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301EE05
5H301EE06
5H301EE07
5H301EE12
5H301FF04
5H301FF18
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG12
5H301HH10
5H301LL02
5H301LL03
5H301LL06
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】軌道上に存在する障害物や作業者の位置に応じて搬送車の移動目標位置などを柔軟に変更できず、作業効率を向上させることができない、あるいは、分岐地点において搬送車が意図しない分岐先へ進行してしまうという課題があった。
【解決手段】本開示による搬送システムは、走行路に敷設された誘導ラインに沿って走行する搬送車を有する搬送システムであって、前記搬送車は、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記搬送車の周辺の物体の位置に関する情報を検出する物体位置検出部と、を備え、前記物体位置検出部による検出結果に応じて、前記搬送車の停車位置を判定する停車位置判定部を備える、搬送システムが提供される。
【選択図】図12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路に敷設された誘導ラインに沿って走行する搬送車を有する搬送システムであって、
前記搬送車は、
前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、
前記搬送車の周辺の物体の位置に関する情報を検出する物体位置検出部と、を備え、
前記物体位置検出部による検出結果に応じて、前記搬送車の停車位置を判定する停車位置判定部を備える、搬送システム。
【請求項2】
前記搬送車は、停車位置の候補となる1つ以上の停車候補位置に関する情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記物体位置検出部は、前記記憶部に記憶された前記停車候補位置に関する情報、および検出した物体位置の情報に基づいて、前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置、を判定する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、停車位置を判定する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置以外の前記停車候補位置のエリアから停車位置を選択する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置に近接する位置を停車位置として選択する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記搬送車の外部から停車位置判定のトリガとなるトリガ情報を受信した場合、もしくは前記搬送車が取得した自機の位置情報が所定位置となった場合、前記物体位置検出部により前記搬送車の周辺の物体の位置を検出する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送車は、前記停車位置判定部により決定された停車位置に関する情報を表示部に出力、又は前記搬送車の外部装置に通知する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記物体位置検出部が作業員を検出した場合に、前記停車位置判定部は、作業員の検出位置に近接する前記誘導ライン上の位置を停車位置と判定する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記停車候補位置は、前記誘導ラインが複数に分岐した分岐先に定義されており、
前記停車位置判定部は、前記搬送車が前記誘導ラインの分岐を通過する前に、停車位置の判定処理を実行する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記誘導ラインに沿って走行する誘導走行モードと、前記物体位置検出部の検出結果を用いて前記誘導ラインの敷設されていないエリアを自律走行する自律走行モードと、を切り替えるモード切替部を備える、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記誘導ラインは、複数のバーコードと複数の二次元コードの少なくともいずれかを含んでおり、
前記誘導ライン検出部は、前記誘導ラインを撮影するカメラと、撮影した画像情報から前記バーコード又は前記二次元コードに含まれるコード情報を取得し、
前記停車位置判定部は、前記誘導ライン検出部が所定の前記コード情報を取得した場合に停車位置の判定を行う、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項12】
走行路面に敷設された複数のコードを備える誘導ラインと、当該誘導ラインに沿って走行する搬送車と、を有する搬送システムであって、
前記誘導ラインは、前記搬送車が走行している前記誘導ラインである本線と、当該本線から所定間隔以上離間又は分岐して敷設された前記誘導ラインである支線とを有し、
前記搬送車は、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記誘導ライン検出部の検出範囲内に前記誘導ラインが位置する状態を維持して前記搬送車を走行させる誘導ライン追従制御を実行する走行制御部と、を備え、
前記走行制御部は、前記コードからトリガ情報を取得した場合には、前記誘導ライン追従制御を停止して、予め定められた所定走行制御を実行し、前記所定走行制御を実行している際に前記誘導ライン検出部が前記支線の前記誘導ラインを検出した場合には、前記所定走行制御を停止して前記誘導ライン追従制御を実行する、搬送システム。

【請求項13】
走行路に敷設された誘導ラインに沿って走行する搬送車の搬送制御方法であって、
前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、
前記搬送車の周辺の物体の位置に関する情報を検出する物体位置検出ステップと、
前記物体位置検出ステップで検出した物体の位置に関する情報に応じて、前記搬送車の停車位置を判定する停車位置判定ステップと、を備える搬送制御方法。
【請求項14】
前記搬送車は、停車位置の候補となる1つ以上の停車候補位置に関する情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記記憶部に記憶された前記停車候補位置に関する情報、および前記物体位置検出ステップで検出した物体の位置の情報に基づいて、前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置、を判定する停車候補位置物体判定ステップを更に備える、請求項13に記載の搬送制御方法。
【請求項15】
前記停車位置判定ステップでは、前記停車候補位置物体判定ステップにより判定された前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、停車位置判定する、請求項13又は請求項14に記載の搬送制御方法。
【請求項16】
前記停車位置判定ステップでは、前記停車候補位置物体判定ステップにより判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置以外の前記停車候補位置のエリアから停車位置を選択する、請求項13乃至請求項15のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項17】
前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置に近接する位置を停車位置として選択する、請求項13乃至請求項15のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項18】
前記搬送車の外部から停車位置判定のトリガとなるトリガ情報を受信した場合、もしくは前記搬送車が取得した自機の位置情報が所定位置となった場合、物体位置検出ステップを実行して前記搬送車の周辺の物体の位置を検出する、請求項13乃至請求項17のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項19】
前記搬送車は、
前記停車位置判定ステップにより決定された停車位置に関する情報表示部に出力、又は前記搬送車の外部装置に通知するステップを備える、請求項13乃至請求項18のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項20】
前記物体位置検出ステップにより作業員を検出した場合に、前記停車位置判定ステップにおいて作業員の検出位置に近接する前記誘導ライン上の位置を停車位置と判定する、請求項13乃至請求項19のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項21】
前記停車候補位置は、前記誘導ラインが複数に分岐した分岐先に定義されており、
前記停車位置判定ステップでは、前記搬送車が前記誘導ラインの分岐を通過する前に、前記停車位置判定ステップの判定処理を実行する、請求項13乃至請求項20のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項22】
前記誘導ラインに沿って走行する誘導走行モードと、前記物体位置検出部の検出結果を用いて前記誘導ラインの敷設されていないエリアを自律走行する自律走行モードと、を切り替えるモード切替ステップを備える、請求項13乃至請求項21のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項23】
前記誘導ラインは、複数のバーコードと複数の二次元コードの少なくともいずれかを含んでおり、
前記誘導ライン検出ステップでは、前記誘導ラインを撮影するカメラにより撮影した画像情報から前記バーコード又は前記二次元コードに含まれるコード情報を取得し、
前記停車位置判定ステップでは、前記誘導ライン検出ステップにて所定の前記コード情報を取得した場合に停車位置の判定を行う、請求項13乃至請求項22のいずれか1項に記載の搬送制御方法。
【請求項24】
走行路面に敷設された複数のコードを備える誘導ラインに沿って走行する搬送車の搬送制御方法であって、
前記誘導ラインは、前記搬送車が走行している前記誘導ラインである本線と、当該本線から所定間隔以上離間又は分岐して敷設された前記誘導ラインである支線とを有し、
前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、
前記誘導ライン検出部の検出範囲内に前記誘導ラインが位置する状態を維持して前記搬送車を走行させる誘導ライン追従制御を実行する走行制御ステップと、
前記走行制御ステップにおいて、前記コードからトリガ情報を取得した場合には、前記誘導ライン追従制御を停止して、予め定められた所定走行制御を実行し、前記所定走行制御を実行している際に前記誘導ライン検出部が前記支線の前記誘導ラインを検出した場合には、前記所定走行制御を停止して前記誘導ライン追従制御を実行する、搬送制御方法。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システム、及び搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場や倉庫内などの施設内における荷物の運搬に自律走行可能な無人搬送車を活用することが実用化されている。特に、施設内に敷設された所定のレール軌道に沿って、無人搬送車を所定の目的位置まで走行させる技術が提案されている。また、特許文献1には、軌道に沿って走行する前方の無人搬送車等との衝突を回避しつつ、運搬している荷物に損傷を与えないようにするために、前方の障害物を検知する障害物検知装置により障害物との距離を検出して、当該距離に応じて減速する技術が開示されている。また特許文献2には、誘導テープで構成された誘導ラインが分岐する地点において、進行方向の情報に基づいて搬送車の位置を横方向にオフセットさせることで、分岐点における走行制御を円滑に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-305837号公報
【特許文献2】WO 2010/150580A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によると、搬送車の進行予定の軌道上に障害物が存在する場合に、搬送車が障害物と衝突することを回避できるものの、軌道上に障害物などが存在する場合などに搬送車の移動目標位置などを柔軟に変更できず、作業効率を向上させることができない。あるいは、特許文献2のような従来技術では、分岐地点において搬送車が意図しない分岐先へ進行してしまう、又は誘導ラインが途切れている部分を走行できない、という課題があった。
【0005】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、現場の状況に応じた動作判定を行うことにより作業効率を向上させることが可能な搬送システム、及び搬送制御方法を提供すること、あるいは誘導ラインの分岐地点における走行制御の精度を向上させることが可能な搬送システム、及び搬送制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、走行路に敷設された誘導ラインに沿って走行する搬送車を有する搬送システムであって、前記搬送車は、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記搬送車の周辺の物体の位置に関する情報を検出する物体位置検出部と、を備え、前記物体位置検出部による検出結果に応じて、前記搬送車の停車位置を判定する停車位置判定部を備える、搬送システムが提供される。
【0007】
また、本開示によれば、走行路面に敷設された複数のコードを備える誘導ラインと、当該誘導ラインに沿って走行する搬送車と、を有する搬送システムであって、前記誘導ラインは、前記搬送車が走行している前記誘導ラインである本線と、当該本線から所定間隔以上離間又は分岐して敷設された前記誘導ラインである支線とを有し、前記搬送車は、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記誘導ライン検出部の検出範囲内に前記誘導ラインが位置する状態を維持して前記搬送車を走行させる誘導ライン追従制御を実行する走行制御部と、を備え、前記走行制御部は、前記コードからトリガ情報を取得した場合には、前記誘導ライン追従制御を停止して、予め定められた所定走行制御を実行し、前記所定走行制御を実行している際に前記誘導ライン検出部が前記支線の前記誘導ラインを検出した場合には、前記所定走行制御を停止して前記誘導ライン追従制御を実行する、搬送システムが提供される。
【0008】
また、本開示によれば、走行路に敷設された誘導ラインに沿って走行する搬送車の搬送制御方法であって、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、前記搬送車の周辺の物体の位置に関する情報を検出する物体位置検出ステップと、前記物体位置検出ステップで検出した物体の位置に関する情報に応じて、前記搬送車の停車位置を判定する停車位置判定ステップと、を備える搬送制御方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、走行路面に敷設された複数のコードを備える誘導ラインに沿って走行する搬送車の搬送制御方法であって、前記誘導ラインは、前記搬送車が走行している前記誘導ラインである本線と、当該本線から所定間隔以上離間又は分岐して敷設された前記誘導ラインである支線とを有し、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、前記誘導ライン検出部の検出範囲内に前記誘導ラインが位置する状態を維持して前記搬送車を走行させる誘導ライン追従制御を実行する走行制御ステップと、前記走行制御ステップにおいて、前記コードからトリガ情報を取得した場合には、前記誘導ライン追従制御を停止して、予め定められた所定走行制御を実行し、前記所定走行制御を実行している際に前記誘導ライン検出部が前記支線の前記誘導ラインを検出した場合には、前記所定走行制御を停止して前記誘導ライン追従制御を実行する、搬送制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、現場の状況に応じた動作判定を行うことにより作業効率を向上させることが可能な搬送システム、及び搬送制御方法を提供すること、あるいは誘導ラインの分岐地点における走行制御の精度を向上させることが可能な搬送システム、及び搬送制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送システムの稼働エリアの例を示す図である。
図2】同実施形態に係る誘導走行エリア110の構成例を示す図である。
図3】同実施形態に係る誘導走行エリア130の構成例を示す図である。
図4】同実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す斜視図である。
図5】同実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す上面図である。
図6】同実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す下面図である。
図7】同実施形態に係る搬送車と牽引台車が結合された際のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】同実施形態に係る搬送車と牽引台車が結合された際のハードウェア構成の他の一例を示す図である。
図9】同実施形態に係る搬送システムの全体構成図を示す図である。
図10】同実施形態に係る搬送車の機能構成図の一例を示す図である。
図11】同実施形態に係る搬送車による一連の動作シナリオの一例を示す図である。
図12】同実施形態に係る搬送車が誘導ラインの分岐点における動作例を示す図である。
図13】同実施形態に係る搬送車が誘導ラインの分岐点における制御フローの一例を示すフローチャート図である。
図14】磁気テープタイプの誘導ラインを利用した場合の同実施形態に係る搬送車の動作例を示す図である。
図15】二次元コードで構成される誘導ラインを利用した場合の同実施形態に係る搬送車の動作例を示す図である。
図16】二次元コードで構成される誘導ラインの分岐点において搬送車が分岐前の本線を走行中の動作例を示す図である。
図17】二次元コードで構成される誘導ラインの分岐点において搬送車が分岐後の支線を検出する際の動作例を示す図である。
図18】第2の実施形態に係る搬送システムの誘導走行エリア110の構成例を示す図である。
図19】第2の実施形態に係る搬送システムが停車目的地を判断する際の動作例を示す図である。
図20】第2の実施形態に係る搬送システムが停車目的地を判断する際の制御フローの一例を示すフローチャート図である。
図21】第3の実施形態に係る搬送システムが停車目的地を判断する際の動作例を示す図である。
図22】第3の実施形態に係る搬送システムが停車目的地を判断する際の制御フローの一例を示すフローチャート図である。
図23】搬送システムの誘導走行エリア110の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
[実施例1]
物流倉庫や製造工場などでは、現場の作業と連携させるために、台車やパレットなどの搬送物を所定の位置と向きに所定の方法で停止させることが求められる。例えば、台車をベルトコンベヤとの連携位置に停車させたり、作業員の作業位置に横付けしたりすることで、作業員が移動せず搬送物に乗せられた荷物を取ることができるように搬送物を搬送することが求められる。上記したようなベルトコンベアと連携させ、または作業員の作業位置に横付けするためには、精度の高い搬送作業が必要となる。
【0014】
従来の自律走行方式(レーザー光などを利用した障害物検知センサーにより障害物を検知し、障害物を避けて自律走行する方式)では、精度の高い搬送作業を実現することは難しく、また所定の位置と向きに所定の方法で停止させるためのシステム導入に手間がかかるという課題がある。また誘導方式(走行路面に敷設された誘導ラインに沿って走行する方式)では、誘導ラインを走行路面に敷設する必要があり、敷設作業を行う際に現場のオペレーションの妨げになることや、敷設された誘導ラインを傷めないように現場オペレーションを変更する必要が生じることがある。また、磁気誘導線を路面に埋め込むタイプの誘導ラインを敷設した後には、走行経路の変更が容易ではないという課題がある。
【0015】
そのため、所定の方法で停止させ、またはベルトコンベアなどの他機器と連携させるための精度の高い搬送作業が求められるエリアは、誘導走行エリアと定義して、誘導方式で搬送車が走行可能となるように誘導ラインを敷設し、他のエリアは自律走行エリアと定義して、誘導ラインが無くても予め取得している地図データをもとにして自律走行方式で指定された目的地に向かって搬送車を走行させることが望ましい。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送システムの稼働エリアの例を示す図であり、上記したように搬送車の稼働エリアを誘導走行エリアと自律走行エリアに分けて定義することで、搬送制御の精度向上と搬送システムの導入容易性を両立可能とする搬送システムの稼働エリアの例を示している。図1では、エリア110及び130を誘導走行エリア、エリア120を自律走行エリアと定義している。
【0017】
図2は、本実施形態に係る誘導走行エリア110の構成例を示す図である。図2に示す通り、誘導走行エリア110内には、誘導ライン111が敷設され、自律走行モードで誘導走行エリア110に進入した搬送車が誘導ラインを検出して誘導走行モードに切り替わる誘導走行モード開始エリア112と、作業エリア114A、114B、114Cが定義されている。誘導ライン111で構成される軌道は、誘導走行モード開始エリア112から作業エリア114A、114B、114Cまでを接続するように配置されている。また、軌道は分岐点113を備え、分岐後に作業エリア114A、114B、114Cへそれぞれ誘導する分岐後誘導ライン111A、111B、111Cを備える。作業エリア114A、114B、114Cは、例えば、ベルトコンベヤと台車等を連携させるための3つの停車位置、または作業員が台車に乗せられた荷物を取るための3つの停車位置である。作業エリア114A、114B、114Cで作業が完了した後、搬送車は誘導ライン111に沿って自律走行モード開始エリア115に移動して、自律走行モード開始エリア115にて走行モードをから誘導走行モードから自律走行モードに切り替えて、誘導走行エリア110を進出する。作業エリア114A、114B、114Cで作業が完了した後の動作としては、上述したように自律走行モード開始エリア115から自律走行モードに切り替わる実施形態以外に、作業エリア114A、114B、114Cにおいて自律走行モードに切り替わって誘導走行エリア110を進出するようにしても良いく、または誘導ラインに沿って誘導走行モード開始エリア112まで移動して、誘導走行モード開始エリア112から自律走行モードに切り替わって誘導走行エリア110を進出するようにしても良い。
【0018】
自律走行エリア120を自律走行モードで走行している搬送車は、図2下側に示す自律走行エリア120から図2上側に示す誘導走行エリア110に進入する。つまり、図2の下から上に向かって走行し、誘導走行モード開始エリア112に進入する。ここで、誘導走行モード開始エリア112に敷設された誘導ライン111は、搬送車が誘導走行モード開始エリア112に進入する際の進行方向に対して所定角度以上(例えば20度以上)の角度をつけて敷設されている。このように所定の角度をつけて誘導ライン111が敷設されているのは、搬送車の図2の左右方向の進入位置がばらついた場合であっても、誘導走行モード開始エリア112の誘導ラインを検出して、誘導走行モードへの切り替えをより確実に行えるようにするためである。
【0019】
図3は、本実施形態に係る誘導走行エリア130の構成例を示す図である。図3に示す通り、誘導走行エリア130内には、誘導ライン131が敷設され、自律走行モードで誘導走行エリア130に進入した搬送車が誘導ライン131を検出して誘導走行モードに切り替わる誘導走行モード開始エリア132と、作業エリア133が定義されている。誘導ライン131で構成される軌道は、複数の分岐点を介して、誘導走行モード開始エリア132と、作業エリア133と、誘導走行モードから自律走行モードへの切り替えを行う自律走行モード開始エリア134とを接続するように配置されている。作業エリア133には、複数の搬送車が停車できるように、分岐点を介して複数の誘導ラインが配置されている。誘導走行エリア110の作業エリア114A、114B、114Cと同様に、作業エリア133は、例えば、ベルトコンベヤと台車等を連携させるための複数の停車位置、または作業員が台車に乗せられた荷物を取るための複数の停車位置である。
【0020】
自律走行エリア120を自律走行モードで走行している搬送車10は、図3の左側に示す自律走行エリア120から図3右側に示す誘導走行エリア130に進入する。つまり、搬送車10は図3の左から右に向かって走行し、誘導走行モード開始エリア132に進入する。ここで、誘導走行モード開始エリア132に敷設された誘導ライン131は、搬送車10が誘導走行モード開始エリア132に進入する際の進行方向に対して所定角度以上(例えば20度以上)の角度をつけて敷設されている。このように所定の角度をつけて誘導ライン131が敷設されているのは、搬送車の図3の上下方向の進入位置がばらついた場合であっても、誘導走行モード開始エリア132の誘導ラインを検出して、誘導走行モードへの切り替えをより確実に行えるようにするためである。誘導走行モード開始エリア132の誘導ラインを検出した搬送車は、誘導ライン131に沿って走行し、作業エリア133で停車する。作業エリア133での作業が完了した後、搬送車は誘導ライン131に沿って自律走行モード開始エリア134まで移動し、自律走行モード開始エリア134から自律走行モードに切り替わって誘導走行エリア130を進出する。作業エリア133で作業が完了した後の動作としては、上述したように自律走行モード開始エリア134から自律走行モードに切り替わる実施形態以外に、作業エリア133から自律走行モードに切り替わって誘導走行エリア130を進出するようにしても良いく、または誘導ラインに沿って誘導走行モード開始エリア132まで移動して、誘導走行モード開始エリア132から自律走行モードに切り替わって誘導走行エリア130を進出するようにしても良い。
【0021】
図2及び図3で示した誘導ライン111、131としては、後述するような、従来から利用されている様々な誘導方式の誘導ラインを適用することができる。具体的には、例えば、誘導ラインとして設置した金属線に微弱な交流電流を流すことで生じる磁場を搬送車側のピックアップコイルで検出する電磁誘導方式、誘導ラインとして床面に敷設した磁気テープを搬送車側の磁気センサーで読み取る磁気誘導方式、誘導ラインとして床面に敷設した二次元コードを搬送車側のカメラで撮影して画像処理を行う画像認識方式などを適用することができる。
【0022】
次に、図4乃至図8を用いて搬送車及び牽引される台車のハードウェア構成を説明する。図4は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す斜視図である。図4の矢印15は搬送車の進行方向を示している。図4に示す通り、搬送車は、台車との連結と非連結状態を切り替えるための連結部11、搬送車周辺の物体の位置を検出する物体位置検出部12、駆動輪13、非駆動輪14を備えている。
【0023】
図5は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す上面図、図6は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す下面図である。図5に示す通り、搬送車の上面側には、連結部11と、物体位置検出部12が搭載されている。連結部11は、例えばアクチュエータで構成され、台車と連結する場合にはアクチュエータを上側に伸ばして台車側の連結受け部(図示しない)と連結し、連結を解除する場合にはアクチュエータを縮めて連結部と台車側の連結受け部との連結を解除できるように構成されている。また、連結部11は、平面上で搬送車の駆動輪13を取り囲む4か所の位置に配置され、台車と4か所で連結可能となっている。
【0024】
物体位置検出部12は、物体位置検出部から物体までの距離を検出する装置である。物体位置検出部12の一例としては、レーザー光を照射して物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測することで物体までの距離や方向を計測するレーザー距離センサー(LiDAR(Light detection and ranging)など)、ミリ波の送信信号と物体に反射して戻ってくる受信信号に基づいて物体までの距離を検出するミリ波レーダー、または、カメラで物体を撮影して撮影画像を解析することで物体までの距離を計測するカメラ式距離センサー、などを適用することができる。本実施形態では、物体位置検出部12を搬送車の上面部の進行方向前方に配置する例を示したが、これに替えて進行方向の前方側面に配置しても良い。また、前方だけでなく進行方向の後方側面や左右両側面に配置しても良い。
【0025】
物体位置検出部12は、搬送車の周囲360度に対して物体を検出するようにしても良いが、少なくとも搬送車の進行方向15の前方に対して物体を検出できるように構成されている。
【0026】
図6は、本実施形態に係る搬送車のハードウェア構成例を示す下面図である。搬送車の底面には、搬送車の進行方向15に対する左右両側の位置に駆動輪13が設けられ、各駆動輪13の前後の位置にはそれぞれ非駆動輪14が設けられる。駆動輪13は、モーターの回転軸に接続されて駆動される車輪であり、右側の駆動輪と左側の駆動輪はそれぞれ個別に制御され、各駆動輪の回転速度や回転方向を個別に制御することにより、搬送車をカーブさせて走行させたり、その場で搬送車を回転させて向きを変えたりすることが可能となる。非駆動輪14は、駆動されない車輪で構成され駆動輪13により搬送車が移動することで受動的に回転する車輪である。非駆動輪14は、例えば、車輪と車軸を固定するフォークを有し、フォークは搬送車の底面部材と旋回可能に接続される回転キャスターで構成される。そのため、搬送車の進行方向や回転動作に応じて非駆動輪14の車輪回転方向が受動的に変化する。図6では、2つの駆動輪と、四隅に4つの非駆動輪を備える搬送車のハードウェア構成を例示したが、本発明は当該ハードウェア構成に限定されるものではなく、駆動輪2つと非駆動輪2つの計4輪の構成を採用することも可能であり、また当該4輪構成において前輪がステアリング可能となる構成を採用することも可能である。
【0027】
搬送車の底面には、誘導ラインを検出する誘導ライン検出部16が設けられている。誘導ライン検出部16は、望ましくは駆動輪13よりも搬送車の進行方向前方に設けられる。これにより、誘導ラインがカーブしている位置を走行する場合に誘導ラインに追従して走行しやすくなり、また搬送車及び牽引する台車が進行する際にいち早く誘導ラインから情報を受信することでいち早く停止等の処理が実行できる。誘導ライン検出部は、上述したような誘導方式のタイプに応じたセンサーが用いられる。誘導方式として、電磁誘導方式を用いる場合はピックアップコイル、磁気誘導方式を用いる場合は磁気センサー、画像認識方式を用いる場合はカメラが誘導ライン検出部のセンサーとして用いられる。
【0028】
図7は、本実施形態に係る搬送車と牽引台車が結合された際のハードウェア構成の一例を示しており、具体的には、搬送車10が牽引対象である台車の下側に潜り込んだ状態で台車と連結する例を示している。この際、円錐形上の連結部11と対応する位置にすり鉢状の連結受け部が台車の底面に配置されており、連結部11を上側に伸ばすことで台車と連結でき、連結部11を縮めることで台車との連結を解除できる。
【0029】
図8は、本実施形態に係る搬送車と牽引台車が結合された際のハードウェア構成の他の一例を示している。図8に示す例では、搬送車は台車2000の横に位置する状態で台車と連結する例を示している。台車は、搬送車の連結部11の少なくとも一部と連結する連結受け部2010を備えており、連結部11を上側に伸ばすことで台車と連結でき、連結部11を縮めることで台車との連結を解除できる。図7図8では、搬送車の上面にアクチュエータ等で構成される連結部11を上下方向に伸縮させることで、台車との連結と連結解除を行う例を示したが、搬送車と台車の連結方法はこれに限られず、他の連結方法であっても良い。また、搬送車と連結される搬送物は、台車に限られず、例えば、車輪を有さないパレットやキャビネット等であっても良い。パレットやキャビネットを搬送する場合には、搬送車はパレットやキャビネットの下側に潜り込んで、パレットやキャビネットを持ち上げた状態で連結される。
【0030】
次に、本実施形態に係る搬送システムの全体構成図を説明する。図9に搬送システムの全体構成の一例を示す。搬送システム1000は、複数の搬送車(10a, 10b)、搬送物である台車2000、搬送車の状態を表示又は搬送車へ指令を入力可能な操縦機3000、搬送車の運行に必要な情報を管理する運行管理装置4000、運行管理装置の情報を表示し運行管理装置に情報を入力する入出力装置5000、複数の搬送車(10a, 10b)と操縦機3000と運行管理装置4000を通信可能に接続する通信ネットワーク6000を備える。
【0031】
また、搬送システム1000は通信ネットワーク6000を介して外部システム7000と接続させることもできる。搬送システム1000を製造工場に導入して、製造に必要な部品を収納庫から製造ラインに搬送する場合には、搬送システム1000は、外部システム7000として製造管理システムとシステム間連携を行う。この場合、製造管理システムから製造作業の稼働進捗状況に関する情報を取得すれば、搬送車による輸送量や輸送経路を製造作業の作業進捗状況に応じて動的に調整することができる。
【0032】
別の例として、搬送システム1000を物流走行に導入して、トラック等で荷物が倉庫に搬入される際に搬入物を搬入口から収納庫に搬送し、また倉庫から荷物を出荷する際に収納庫から出荷される荷物を搬出口へ搬送する場合には、搬送システム1000は、外部システム7000として物流管理システムとシステム間連携を行う。この場合、物流管理システムから搬入に関する情報や出荷に関する情報を取得すれば、搬送車による輸送量や輸送経路を変更することができる。
【0033】
搬送システムが導入される施設では、一般的に複数の搬送車(10a, 10b)が稼働するため、それぞれの搬送車は通信ネットワーク6000を介して他搬送車や他構成要素と通信可能に連結される。例えば、搬送車は自機の検出部で検出した各種検出情報やその他制御情報を操縦機3000や運行管理装置4000や他搬送車に送信する。また搬送車10は台車2000と近距離通信手段で通信可能に接続され、台車から連結状態に関する情報や台車の識別情報などを受信可能に構成される。
【0034】
操縦機3000は、指定した搬送車の状態情報を表示する機能と、指定した搬送車へ指令を入力する機能を備えている。例えば、操縦機に表示される搬送車の状態情報としては、搬送車に搭載されて搬送車の電源となるバッテリの充電量の情報、搬送車と連結された台車の識別情報などである。搬送車へ入力する指令としては、例えば、搬送車の目的地に関する指令情報、台車との連結や連結解除の動作指令、搬送車の走行開始指令、搬送車の停止指令などである。
【0035】
運行管理装置4000は、施設エリアで運行される複数の搬送車の状態情報を記録する状態情報記録部4010と、複数の搬送車の動作シナリオを管理する動作シナリオ管理部4020を有している。状態情報記録部4010で記録される搬送車の状態情報は、例えば、運行中の複数の搬送車のバッテリ充電量の情報、複数の搬送車と連結された台車の識別情報、複数の搬送車の位置情報、複数の搬送車の動作モード(誘導走行モードまたは自律走行モード)、その他搬送車の検出部230で検出される各種検出情報などである。動作シナリオ管理部4020で管理される動作シナリオは、例えば、複数の搬送車それぞれの目的地の情報、目的地に行き着くまでに実行する複数の動作内容、複数動作の動作順序、複数動作の切替条件を含んでいる。
【0036】
入出力装置5000は、運行管理装置4000の状態情報記録部4010に記録された情報を表示するとともに、動作シナリオ管理部4020で管理される動作シナリオを入力することで新規に動作シナリオを追加したり、更新したりすることができる。入出力装置5000に入力される情報は、例えば、任意の搬送車の目的地が誘導走行エリア110の作業エリアAであることや、誘導走行エリア110に進入して作業エリアAに行き着くための動作内容、動作切替条件などを含んでいる。
【0037】
次に、図10を用いて搬送車の有する機能を説明する。図10は本実施形態に係る搬送車の機能構成図を示す図である。搬送車10は、搬送車外部の台車2000や通信ネットワーク6000と通信を行う通信部210と、記録部220、後述する各種センサーを備えた検出部230、台車と連結するための連結部11、車輪を駆動させる車輪駆動部280、入力部240、表示部250、車輪駆動部280などの動作を制御する制御部260、を備えている。
【0038】
記録部220は、通信部210が外部から受信した情報、検出部230が検出した検出情報、制御部が出力した制御情報を記録する機能を有する。
【0039】
検出部230は、物体位置検出部12、誘導ライン検出部232、走行距離検出部233、衝突検出部234、姿勢検出部235、充電量検出部236を備えている。物体位置検出部12は、前述した通り、レーザー光を照射して物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測することで物体までの距離や方向を計測するレーザー距離センサー(LiDAR(Light detection and ranging)など)、ミリ波の送信信号と物体に反射して戻ってくる受信信号に基づいて物体までの距離を検出するミリ波レーダー、または、カメラで物体を撮影して撮影画像を解析することで物体までの距離を計測するカメラ式距離センサー、などで構成される。
【0040】
誘導ライン検出部16は、上述したように誘導方式のタイプに応じたセンサーが用いられる。誘導方式として、電磁誘導方式を用いる場合はピックアップコイル、磁気誘導方式を用いる場合は磁気センサー、画像認識方式を用いる場合はカメラが誘導ライン検出部のセンサーとして用いられる。誘導ライン検出部は、誘導ラインの直上に位置している場合に誘導ラインを検出して検出信号を出力する。また、カメラにより二次元コードやバーコードを使った誘導ラインを読み取る画像認識方式の場合には、誘導ラインの検出信号に加えて、検出したコードの情報に基づいて位置情報を生成し、更にコードの画像情報を行うことで誘導ラインと搬送車の相対角度情報を生成することができる。
【0041】
走行距離検出部233は、非駆動輪14または駆動輪13の回転数を検出し、当該回転数の検出情報と非駆動輪または駆動輪の直径(または円周長)の情報に基づいて搬送車の走行距離を計測する。代替手段として、ミリ波を床面に照射して反射波を検出するミリ波センサーを用いて、搬送車の走行速度を検出し、当該走行速度を積分することで走行距離を推定する手段を適用することも可能である。
【0042】
衝突検出部234は、搬送車が障害物や人に衝突したことを検出する機能を有する。具体的には、ジャイロセンサーなどにより加速度を検出して、加速度の急変を検出した場合に衝突が発生したと判断することができる。代替手段として、搬送車の進行方向前方にバンパーと共に物理スイッチを設け、当該物理スイッチが押されたことにより衝突が発生したと判断する手段を適用することも可能である。衝突検出部234が衝突を検出した場合には、搬送車を停止させ、衝突発生情報と衝突発生位置の少なくともいずれかの情報を記録部に記録すると共に、当該情報を運行管理装置4000及び操縦機3000に情報を通知する。姿勢検出部235は、磁気コンパス又は左右駆動輪の回転数の情報又は車輪のステアリング情報に基づいて、自車の向き(姿勢)を検出する。
【0043】
充電量検出部236は、搬送車の電源であるバッテリの充電量を検出する。充電量検出部236で検出した充電量が所定値以下となった場合には、充電が必要と判断して、充電量減少の検知情報を記録部に記録すると共に、当該情報を運行管理装置4000及び操縦機3000に情報を通知する。更に、充電量が所定値以下であることを検出した場合に、上記処理に加えて充電スポットへ自動で移動して充電を行うようにしても良い。なお、充電量検出部236が要充電と判断するための前記所定値は、当該搬送車に設定された目的地までの距離と当該搬送車に連結された搬送物の重量の少なくともいずれかに基づいて予め設定された値であっても良い。
【0044】
入力部240は、搬送車に搭載された物理スイッチ又はタッチパネル等で構成され、ユーザは動作指令等を直接搬送車に入力することができる。表示部250は、搬送車に搭載された液晶パネル等で構成され、搬送車の状態情報(検出部230での各種検出情報や現在実行中の動作シナリオなど)を表示する。
【0045】
制御部260は、動作判定部261と、モード切替部262と、連結制御部263と、表示制御部264と、停車位置判定部265と、走行制御部266と、自車位置推定部267を備えている。動作判定部261は、動作シナリオ管理部4020から取得した自搬送車の動作シナリオに基づいて搬送車の動作を判定する。動作シナリオの例は図11を用いて後述する。
【0046】
モード切替部262は、動作シナリオであらかじめ定められた条件、または入力部240で入力された指令に基づいて、搬送車の走行モードを誘導走行モードと自律走行モードの間でモードの切り替えを行う。連結制御部263は、動作シナリオであらかじめ定められた条件、または入力部240で入力された指令に基づいて、連結部11の動作を制御して、台車等の搬送物との連結/非連結を制御する。表示制御部264は、前述した入力部240と表示部250を制御する。
【0047】
停車位置判定部265は、停車位置判定を行う位置と予め設定された位置に自機が到着した場合に、物体位置検出部12により検出された物体の位置情報に基づいて、自機の停車位置を判定する処理を実行する。本実施例では、誘導ラインが複数に分岐して、目的地となる作業エリア114が複数設定可能である場合の停車位置判定を説明する。この場合、記憶部220に各作業エリア114A、114B、114Cの位置情報を含むマップ情報を記憶しており、検出した物体の位置がマップ情報における各作業エリア114A、114B、114Cのいずれの位置と一致するかを判断し、物体が検出された作業エリアは停車目的位置とはせず、物体が検出されない作業エリアのいずれかを停車目的位置と判定する。ここで、物体位置検出部12は、搬送車を基準とした物体までの距離と方向を検出することができ、更に誘導ライン検出部は搬送車の位置と向きの情報を取得するため、これらの情報に基づいて、検出した物体の位置がマップ情報における各作業エリア114A、114B、114Cのいずれの位置と一致するかを判断することができる。
【0048】
走行制御部266は、動作判定部261、モード切替部262、停車位置判定部265による判定情報の少なくともいずれかに基づいて、搬送車の走行を制御する。具体的には、車輪駆動部280の有する右輪駆動部281、左輪駆動部282をそれぞれ個別に制御する。右輪駆動部281と左輪駆動部282は例えばモーターで構成され、各駆動輪の回転速度や回転方向を個別に制御することで、搬送車を任意の軌跡半径でカーブさせて走行させたり、搬送車を回転させて向きを変えたりすることが可能となる。自車位置推定部267は、走行距離検出部233で検出した走行距離と、姿勢検出部235で検出した自車の向きの情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて、走行エリア全体における自車の位置を推定する。または、物体位置検出部12で計測した物体までの距離や方向の情報と、記録部220に記録されているエリア全体のマップ情報に基づいて走行エリア全体における自車の位置を推定することも可能である。あるいは、二次元コードで構成された誘導ライン上を走行している場合には、二次元コードの識別情報と上記マップ情報とに基づいて走行エリア全体における自車の位置を推定することも可能である。
【0049】
次に、搬送システムを施設に導入した場合の動作シナリオの例を説明する。図11は、本実施形態に係る搬送車による一連の動作シナリオの一例を示す図であり、具体的には、作業エリア133をスタートしてから、再び作業エリア133に戻ってくるまでの一連の動作シナリオを示している。動作シナリオの情報は、運行管理装置4000から受信して記録部220に記録される。
【0050】
搬送システムによる一連の動作は、図11に示すような複数の動作シナリオによって構成される。当該動作シナリオは、入出力装置5000によってユーザにより入力され、運行管理装置4000内の記憶装置に保存される。各動作シナリオには、当該動作の完了条件が予め定義されており、搬送車の検出部等で検出された情報に基づいて完了条件が成立した場合には、次の動作シナリオを実行する。シナリオ1の動作内容は作業エリア133で停車を行うであり、完了条件は当該作業エリアで行われる作業完了である。作業エリアで行われる作業は、例えば作業者による台車上の荷物の乗せ換えや搬送車に連結される台車の付け替えなどである。次に実行されるシナリオ2の動作内容は誘導ライン131に沿って走行することであり、完了条件は自律走行モード開始エリア134に移動が完了したことである。自律走行モード開始エリア134に移動が完了したことを検知する手段としては、当該自律走行モード開始エリア134に設置された近接通信装置により位置情報を受信する手段でも良いし、固有ID情報を有する二次元コードで誘導ラインを構成して、当該二次元コードを読み取ることにより検知しても良い。
【0051】
シナリオ3の動作内容は、自律走行モードで走行して誘導走行モード開始エリア112まで移動することである。記録部220に記録した搬送車が走行するエリア全体(誘導走行エリアと自律走行エリアを含む)のマップ情報と自車位置推定部により推定した自車位置情報とに基づいて、当該マップ情報に含まれる自律走行エリアを逸脱しないように走行し、また物体位置検出部により物体を検出した場合には、当該物体を回避したルートを通って誘導走行モード開始エリア112まで走行する。完了条件は誘導ライン111を検出することである。
【0052】
シナリオ4の動作内容は、誘導ライン111に沿って走行することであり、完了条件は目的地判定地点である分岐点に移動完了したことである。シナリオ5の動作内容は、停車目的地を判定して停車目的地へ走行することであり、完了条件は当該停車目的地へ移動完了したことである。シナリオ6の動作内容は、停車目的地である作業エリア114で停車を継続することであり、完了条件は作業者による作業が完了したことである。作業が完了したことは、例えば、操縦機3000や入力部240にも設けられた作業完了ボタンを作業者が押すことなどにより作業が完了したことを検知できる。シナリオ7の動作内容は、誘導ラインに沿って走行することであり、完了条件は自律走行モード開始エリア115に移動完了したことである。シナリオ8の動作内容は、自律走行モードで走行して誘導走行モード開始エリア132まで移動することである。自律走行モードの走行制御は上述したシナリオ3と同様である。完了条件は誘導ライン131を検出することである。シナリオ9の動作内容は、誘導ライン131に沿って走行することであり、完了条件は、作業エリア133に移動完了することである。シナリオ9の動作が完了したらシナリオ1に戻る。
【0053】
次に、図12を用いて搬送車10が誘導ラインの分岐点において停車目的地を判定する動作例を示す。図12では、特に、停車目的地の候補位置が分岐先にそれぞれある場合の停車目的地の判定について説明する。誘導走行エリア110の誘導ライン111に沿って走行する搬送車は、停車目的地判定地点(本実施例では分岐点)に到着した際に、停車目的地を判定する処理を実行する。目的地判定地点に到着したことの検出は、停車目的地判定処理のトリガとなるマークを誘導ラインの脇に設けることにより実現しても良い。または、固有の識別情報を持つ複数の二次元コードで誘導ラインを構成して、停車目的地判定位置に対応する二次元コードを検出した場合に停車目的地判定地点に到着したと判定しても良い。
【0054】
停車目的地判定地点に到着したら物体位置検知部により搬送車の周辺の物体の位置を検出する。ここで、停車目的地の候補位置である各作業エリア114A、114B、114Cの位置情報は記録部220に既読されており、検出された物体の位置と各作業エリアの位置を比較することにより、物体が存在する作業エリアと物体が無い作業エリアをそれぞれ判断する。図12に示す例では、中央の作業エリア114Bに作業員がおり、右側の作業エリア114Cに他の台車が停車している。そのため、搬送車10は、作業エリア114Bと114Cには物体が有ると判定して、物体を検出しない左側の作業エリア114Aを停車目的地として判定する。停車目的地を判定したら、分岐を当該停車目的地(作業エリア114A)の方へ進行して、停車目的地に到着したら停車させる。
【0055】
次に、図13を用いて搬送車10が誘導走行エリア110に進入してから停車目的地に停車するまでの制御フローを説明する。ステップ1201では、自律走行エリア120を走行している搬送車が誘導走行エリア110に進入した場合には、まず自律走行モードでの進行を継続する(S1201)。次に、ステップ1202では、誘導ライン111を検出したか否かの判定を行い、誘導ライン111の検出が行われない場合はS1201に戻って自律走行モードでの走行を継続する(S1202)。つまり、誘導ライン111を検出するまで自律走行モードで走行継続する。誘導ラインを検出した場合にはステップ1203(S1203) へ遷移する。S1203では、誘導ライン111に沿って走行する。ここで、自律走行エリア120を走行している搬送車が誘導走行エリア110に進入した場合に自律走行モードから誘導走行モードにモード切替を行い、S1201において誘導走行モードの動作として誘導ラインを検出するまで直進走行を行うことも可能である。
【0056】
次に、ステップ1204では、目的地判定地点に到着したか否かを判定して、到着していなければS1203に戻って誘導ラインに沿った走行を継続する(S1204)。目的地判定地点は任意の場所に設定可能であるが、図12に記載したように誘導ラインが分岐した先に目的地となるそれぞれの作業エリアが配置されている場合には、誘導ラインの分岐地点より手前の地点を目的地判定地点として定義することが望ましい。目的地判定地点に到着したことの検出は、上述した通り、停車目的地判定処理のトリガとなるマークを誘導ラインの脇に設けて当該マークを検出することで実現しても良いし、分岐前の所定地点からの誘導ラインに沿って所定距離移動したことを走行距離検出により検出することで実現しても良い。あるいは、固有の識別情報を持つ複数の二次元コードで誘導ラインを構成した場合には、停車目的地判定処理のトリガとなる二次元コードを検出することで実現しても良い。または、誘導ラインが分岐して複数の二次元コードを同時に検出したことにより検出するようにしても良い。
【0057】
次に、ステップ1205(S1205)では、物体位置検出部により、目的地候補の位置に物体が有るか否かを判定する。物体位置検知部は、レーザー距離センサー(LiDAR(Light detection and ranging)など)、ミリ波の送信信号と物体に反射して戻ってくる受信信号に基づいて物体までの距離を検出するミリ波レーダー、または、カメラで物体を撮影して撮影画像を解析することで物体までの距離を計測するカメラ式距離センサー、のいずれかを用いて物体までの距離を検知することが可能である。
【0058】
次に、ステップ1206では、目的地第1候補位置(例えば作業エリア114C)に物体があるかを判定する(S1206)。そして、物体が有る場合にはステップ1207(S1207)に遷移して、物体が無い場合には目的地第1候補位置に進行して停車するステップ1210(S1210)に遷移する。次に、ステップ1207では、目的地第2候補位置(例えば作業エリア114B)に物体があるかを判定する(S1207)。そして、物体が有る場合にはステップ1208(S1208)に遷移して、物体が無い場合には目標第2候補位置に進行して停車するステップ1211(S1211)に遷移する。次も同様に、ステップ1208では、目的地第3候補位置(例えば作業エリア114A)に物体があるかを判定する(S1208)。そして、物体が有る場合にはステップ1209(S1209)に遷移して、物体が無い場合には目的地第3候補位置に進行して停車するステップ1212(S1212)に遷移する。なお、ステップ1210(S1210)、ステップ1211(S1211)、ステップ1212(S1212)において停車エリアに到着する前に停車目的地として判定した目的地位置である作業エリアの情報を搬送車の表示部250、操縦機3000、運行管理装置4000に送信して、各装置により音声又は表示で出力しても良い。
【0059】
上述した例では、停車目的地の候補位置が作業エリア114A~114Cの3つである場合の制御フローのため、S1206-S1208の判断ステップを3つ設ける制御フローとなっているが、停車目的地の候補位置が5つであればその数に応じて制御ステップの数も5つとする。次に、ステップ1209では、すべての停車目的地候補の位置に物体があると判定した場合には、運行管理装置4000に通知して、その場で所定時間待機する(S1209)。所定時間待機したらステップ1205(S1205)に戻って物体の有無の判断を再度行う。
【0060】
上述した例では、停車目的地の優先順位(第1候補から第3候補)が作業エリア114C、114B、114Aの順に設定されている例を示したが、優先順位は任意に設定することが可能である。
【0061】
次に、誘導ライン111で構成される分岐点113の具体例と、当該分岐点113を上述した停車目的地判定に基づく所望の経路へ進行する具体例を以下図14図17を用いて説明する。図14では、誘導ラインとして磁気テープを床面に敷設する例を示している。誘導ライン111で構成される搬送車の経路は、分岐点113を起点に3つの経路に分かれており、それぞれの分岐後の経路は、作業エリア114A、114B、114Cへの経路を構成している。
【0062】
誘導ライン111を走行してくる搬送車の左右方向に複数の磁気センサー17を並べて誘導ライン検出部16を構成している。図14に示す例では、7個の磁気センサー17を左右方向に並べて配置しており、斜線で示す中央の3個の磁気センサー17Aが磁気テープを検出しているセンサーであり、左側2個と右側2個の磁気センサー17Bは磁気テープを検出していないセンサーを示している。走行制御部は、分岐以外の誘導テープ上を走行している場合には、磁気センサーの検出結果に応じて、磁気テープを誘導ライン検出部16の中央に配置された磁気センサーで検出されるように右輪駆動部281と左輪駆動部282の回転速度を制御する。例えば、磁気テープを検出する磁気センサーが誘導ライン検出部16の中央よりも右側にずれてきた場合には、右側駆動輪の回転速度を左側駆動輪よりも相対的に高くし、逆に、磁気テープを検出する磁気センサーが誘導ライン検出部16の中央よりも左側にずれてきた場合には、左側駆動輪の回転速度を右側駆動輪よりも相対的に高くすることで、搬送車が誘導ライン上を安定して走行できるように制御する。
【0063】
また、床面には、制御情報の指示を搬送車に与えるための誘導マーク116が誘導ラインの側方であって分岐点の手前側に敷設される。搬送車には、当該誘導マーク116を検出するマーク検出部18を更に有しており、マーク検出部18により誘導マーク116から停車目的地判定を行うトリガ情報を受信する。
【0064】
停車目的地判定を行った結果、図14左上の作業エリア114Aを停車目的地と判定した場合には、分岐点を左側の経路に進むために、例えば、誘導ライン検出部16の右側2つの磁気センサー17Bの検出を停止する、検出感度を低下させる、または制御に考慮する重みづけを下げる等の方法により、搬送車を左側の経路に進行させることができる。
【0065】
図15図17では、誘導ラインとして複数の二次元コードを経路方向に沿って床面に敷設する例を示している。二次元コードに替えてバーコードを利用することも可能である。誘導ライン111で構成される搬送車の経路は、分岐点113を起点に3つの経路に分かれており、それぞれの分岐後の経路は、作業エリア114A、114B、114Cへの経路を構成している。
【0066】
図15に示すように、二次元コード1000は二次元平面上に複数の点が印刷されており、誘導ラインを構成する二次元コードはそれぞれ固有のコードとなっている。誘導ライン111の上を走行する搬送車の誘導ライン検出部16は、カメラを備えており、当該カメラで二次元コードを認識しながら走行する。また、誘導ライン検出部16は、検出した二次元コードから各二次元コード固有の識別情報と位置情報の少なくともいずれかを有するコード情報を取得すると共に、二次元コードと搬送車の相対角度の情報を取得する。本実施例では二次元コードを利用する例を説明するが、二次元コードに替えてバーコードを利用しても良く、二次元コードとバーコードの両方を利用しても良い。
【0067】
走行制御部は、上記した二次元コードの識別情報、位置情報及び相対角度情報に基づいて、二次元コードがカメラの撮影範囲内となり、継続して二次元コードを検出できるように左右の駆動輪の回転速度をそれぞれ制御することで搬送車の走行を制御する。
【0068】
誘導ライン検出部により誘導ライン1010を検出した場合に、当該誘導ライン1010の識別情報又は位置情報を停車目的地判定を行うトリガとして、一旦搬送車を停車させて停車目的地判定の処理を実行する。ここで、図14に示した磁気マーカーを使った誘導ラインと異なり、図15~17に示す誘導ラインは、分岐する各誘導ラインは分岐点で互いに重ならないように、互いに離れた位置に敷設される。図16に示す通り、分岐前の誘導ラインの本線と分岐後の支線との最短の距離D1は、例えば7~15cm程度である。また、誘導ライン111を走行する搬送車の誘導ライン検出部16は、床面における撮影範囲の車体左右方向における中央から端部までの距離D2は、距離D1よりも短くなるように構成されており、例えば6cm程度である。上記したように距離D2は距離D1よりも短くなっているため、搬送車の誘導ライン検出部16は、誘導ラインの支線の二次元コードを検出することなく、本線の二次元コードを検出することができる。仮に、本線と支線の二次元コードを同時に検出した場合には、いずれの二次元コードに基づいて制御を行って良いか判断ができない、という課題がある。
【0069】
搬送車の制御部は、停車目的地判定が完了した後、判定された停車目的地に移動するための分岐制御を行う。例えば、停車目的地判定の結果として作業エリア114Aが停車目的地と判定された場合には、記録部220に予め作業エリア114Aに対応付けて記録された所定の回転方向へ自車を回転させる。つまり、作業エリア114Aに繋がる左側の支線へ進行するため、右側駆動輪を進行方向側に回転させ、左側駆動輪を後進方向側に回転させて、搬送車を左回りに回転させる動作を行う。図17に示す通り、回転動作により誘導ライン検出部16の撮影範囲が移動して、支線の二次元コード1020を検出した場合には回転動作を停止して、支線の誘導ラインに沿って前進走行させる。ここで、記録部220に予め設定される回転動作を停止させる条件は、特定の二次元コード1020を検出すること、としても良いが、これに限らず、支線の誘導ラインのいずれかの二次元コードを検出すること、または任意の二次元コードを検出すること、としても良い。また、上述した分岐動作のシナリオ(所定回転方向、回転動作を停止させる条件及び回転動作を停止した後の動作)は、判定された停車目的地に対応して予め記録部220に記録されている情報であり、入出力装置5000等を介してユーザーがシナリオを設定する際に、当該所定回転方向の情報も設定することができる。
【0070】
ここで、図16に示す搬送車の回転中心、つまり左側駆動輪と右側駆動輪の中点と誘導ライン検出部16の撮影範囲の距離D3は、距離D1よりも長い距離となっているため、搬送車の回転動作により確実に分岐後の支線の二次元コードを検出することが可能となる。距離D3は例えば、15~20cm程度である。また、図17に示す通り、搬送車の回転動作は、搬送車の回転中心が支線の延長線と本線が交わる位置と一致した状態で行うのが好ましい。なぜなら、搬送車が分岐後の支線の誘導ラインを検出したときに、誘導ラインと搬送車の相対角度がほぼゼロで平行となるため、分岐後の走行制御が安定するからである。他方、搬送車の回転動作は、搬送車の回転中心が本線と支線の距離が最短となる位置と一致した状態で行っても良い。この場合には、誘導ライン検出部16の撮影範囲が支線の二次元コードをより検出しやすい位置に移動するため、支線の検出をより確実に行うことができる。
【0071】
[第2の実施形態]
上述した実施形態では、停車目的地への経路が分岐点から分岐している場合の実施形態を示したが、本第2の実施形態では、同一経路上に複数の停車目的地(作業エリア114A、114B、114C)が定義されている場合の搬送車の動作を図18~20を用いて説明する。本実施形態では、上述した第1の実施形態とは異なる部分を説明するものとし、言及しない部分は第1の実施形態と同様であるものとする。
【0072】
図18に示す通り、停車目的地となる作業エリア114A、114B、114Cは、搬送車の同一経路上に定義されており、進行方向奥側から順に、作業エリア114A、114B、114Cと定義されている。搬送車が停車目的地判定のトリガとなる情報を取得した場合、物体位置検出部12により経路前方の各作業エリアに物体があるか否かを判定する。図19では、進路奥側の作業エリア114Aに先行する台車が停車している例を示している。この状況では、搬送車10は、物体位置検出部12により作業エリア114Aに物体があること、かつ手前の作業エリア114B及び114Cには物体が無いと判断する。そのため、物体が無く、かつ進行方向で最も奥側の作業エリアである作業エリア114Bを停車目的地として判定する。
【0073】
上記判定を行うための制御フローを図20に示す。図20のS2001~S2005までは図13のS1201~S1205と同様であるため、説明を省略する。ステップ2005(S2005)で物体位置検出部12により目的地候補位置における物体の有無を判定した後、ステップ2006(S2006)にて作業エリア114Aに台車等の物体があるかを判定して、物体が無ければ作業エリア114Aを停車目的地と判定して作業エリア114Aまで進行して停車するステップ2010(S2010)に遷移する。物体があれば、ステップ2007(S2007)の判定処理に遷移する。次に、作業エリア114Bに台車等の物体があるかを判定して(S2007)、物体がなければ作業エリア114Bを停車目的地と判定して作業エリア114Bまで進行して停車するステップ2011(S2011)に遷移する。物体があれば、ステップ2008(S2008)の判定処理に遷移する。次も同様に、ステップ2008(S2008)にて、作業エリア114Cに台車等の物体があるかを判定して、物体が無ければ作業エリア114Cを停車目的地と判定して作業エリア114Cまで進行して停車するステップ2012(S2012)に遷移する。なお、ステップ2010(S2010)、ステップ2011(S2011)、ステップ2012(S2012)において停車エリアに到着する前に停車目的地の作業エリアの情報を搬送車の表示部250、操縦機3000、運行管理装置4000に出力しても良い。
【0074】
上述した例では、停車目的地の候補位置が作業エリア114A~114Cの3つである場合の制御フローのため、S2006-S2008の判断ステップを3つ設ける制御フローとなっているが、停車目的地の候補位置が5つであればその数に応じて制御ステップの数も5つとする。次に、ステップ2009では、すべての停車目的地候補の位置に物体があると判定した場合には、運行管理装置4000に通知して、その場で所定時間待機する(S2009)。所定時間待機したらS2005に戻って物体の有無の判断を再度行う。
【0075】
[第3の実施形態]
上述した第2の実施形態では、先行する台車等の検出位置に基づいて、停車目的地を判定する実施形態を示したが、本第3の実施形態では、作業員の有無に応じて停車目的地を判定する場合の搬送車の動作を図21~24を用いて説明する。本実施形態では、上述した第2の実施形態とは異なる部分を説明するものとし、言及しない部分は第2の実施形態と同様であるものとする。
【0076】
図21に示す通り、停車目的地となる作業エリア114A、114B、114Cは、搬送車の同一経路上に定義されており、進行方向奥側から順に、作業エリア114A、114B、114Cと定義されている。搬送車が停車目的地判定のトリガとなる情報を取得した場合、物体位置検出部12により経路前方の各作業エリアに物体があるか否かを判定する。図21では、作業員が進路手前側の作業エリア114Cに対応する位置に居る例を示している。この状況では、搬送車10は、物体位置検出部12により作業エリア114C側方の当該作業エリアに対応する位置に作業員が居ること、かつ作業エリア114Cには物体が無いと判断する。停車目的地判定で、作業エリア114Cを停車目的地として判定して搬送車を作業エリア114Cまで走行させて停車させる。
【0077】
上述した各実施形態では、搬送車の進路上となる作業エリアに物体があるか否かに基づいて停車目的地を判定する例を示したが、本第3の実施形態では、作業エリアにおいて作業者が搬送物をピッキングしたり仕訳けたりする場合には、作業者の作業場所に応じて停車位置を変更することで作業者と搬送車を連携させることが可能となり作業効率を向上させることができる。
【0078】
作業者の検出は、レーザー距離センサーやカメラで取得した情報を処理して、作業者と認識する方法が望ましいが、単純に所定の作業者位置に物体を検知したことをもって作業者が居ると判断しても良い。
【0079】
上述した第3の実施形態の制御フローを図22に示す。図20のS2201~S2205までは図13のS1201~S1205と同様であるため、説明を省略する。ステップ2205(S2205)で物体位置検出部12により目的地候補位置に対応する側方に作業者の有無を判定した後、ステップ2206にて、作業エリア114Aの対応位置に作業者が居るかを判定して(S2206)、作業者が居れば作業エリア114Aを停車目的地と判定して作業エリア114Aまで進行して停車するステップ2210(S2210)に遷移する。作業者が居なければ、ステップ2207(S2207)の判定処理に遷移する。次に、ステップ2207(S2207)では、作業エリア114Bの対応位置に作業者が居るかを判定して、作業者が居れば作業エリア114Bを停車目的地と判定して作業エリア114Bまで進行して停車するステップ2211(S2211)に遷移する。作業者が居なければ、ステップ2208(S2208)の判定処理に遷移する。次も同様に、ステップ2208(S2208)では、作業エリア114Cの対応位置に作業者が居るかを判定して、作業者が居れば作業エリア114Cを停車目的地と判定して作業エリア114Cまで進行して停車するステップ2212(S2212)に遷移する。作業者が居なければ、ステップ2209(S2209)に遷移する。なお、ステップ2210(S2210)、ステップ2211(S2211)、ステップ2212(S2212)において停車エリアに到着する前に停車目的地の作業エリアの情報を搬送車の表示部250、操縦機3000、運行管理装置4000に出力しても良い。
【0080】
S2206、S2207、S2208の各ステップでは、作業者が居ることを条件に停車目的地を判定する例を示したが、上述したように、作業者が作業エリアの対応位置に居ることと合わせて、作業エリアにおける物体が無いことを停車目的地としての選定条件としても良い。上述した例では、停車目的地の候補位置が作業エリア114A~114Cの3つである場合の制御フローのため、S2006-S2008の判断ステップを3つ設ける制御フローとなっているが、停車目的地の候補位置が5つであればその数に応じて制御ステップの数も5つとする。
【0081】
図21では、搬送車の走行経路上に複数の作業エリアが定義される例を示したが、図23のように複数台の搬送車が進入できる広範囲の作業エリアが定義されており、当該作業エリア内の任意の位置に搬送車を停車させることも可能である。このような場合に、作業者の位置に応じて搬送車の停車位置を変更することで作業者と搬送車を連携させることが可能となり作業効率を向上させることができる。
【0082】
搬送車が停車目的地判定のトリガとなる情報を取得した場合、物体位置検出部12により経路前方の各作業エリアに物体があるか否かを判定する。図23では、作業員が進路手前側の作業エリア114に対応する位置に居る例を示している。この状況では、搬送車10は、物体位置検出部12により作業エリア114側方の当該作業エリアに対応する位置に作業員が居ることを判断する。また、停車目的地判定により、作業者の位置に応じて作業者位置の側方の軌道上を停車目的地として判定し、搬送車を作業エリア114内の停車目的地まで走行させて停車させる。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、搬送車の制御部260および記録部220は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。また、本明細書において説明した搬送システムでは、操縦機3000、運行管理装置4000、入出力装置5000がそれぞれネットワークを介して接続された別個のハードウェアで構成される例を説明したが、操縦機3000、運行管理装置4000、入出力装置5000の機能の一部又は全部が搬送車10に実装されていても良い。
【0085】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る制御部260の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0086】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0087】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0088】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)走行路に敷設された誘導ラインに沿って走行する搬送車を有する搬送システムであって、前記搬送車は、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記搬送車の周辺の物体の位置に関する情報を検出する物体位置検出部と、を備え、前記物体位置検出部による検出結果に応じて、前記搬送車の停車位置を判定する停車位置判定部を備える、搬送システム。
(項目2)前記搬送車は、停車位置の候補となる1つ以上の停車候補位置に関する情報を記憶する記憶部を更に備え、前記物体位置検出部は、前記記憶部に記憶された前記停車候補位置に関する情報、および検出した物体位置の情報に基づいて、前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置、を判定する、項目1に記載の搬送システム。
(項目3)前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、停車位置を判定する、項目2に記載の搬送システム。
(項目4)前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置以外の前記停車候補位置のエリアから停車位置を選択する、項目1乃至項目3のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目5)前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置に近接する位置を停車位置として選択する、項目1乃至項目3のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目6)前記搬送車の外部から停車位置判定のトリガとなるトリガ情報を受信した場合、もしくは前記搬送車が取得した自機の位置情報が所定位置となった場合、前記物体位置検出部により前記搬送車の周辺の物体の位置を検出する、項目1乃至項目5のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目7)前記搬送車は、前記停車位置判定部により決定された停車位置に関する情報を表示部に出力、又は前記搬送車の外部装置に通知する、項目1乃至項目6のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目8)前記物体位置検出部が作業員を検出した場合に、前記停車位置判定部は、作業員の検出位置に近接する前記誘導ライン上の位置を停車位置と判定する、項目1乃至項目7のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目9)前記停車候補位置は、前記誘導ラインが複数に分岐した分岐先に定義されており、前記停車位置判定部は、前記搬送車が前記誘導ラインの分岐を通過する前に、停車位置の判定処理を実行する、項目1乃至項目8のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目10)前記誘導ラインに沿って走行する誘導走行モードと、前記物体位置検出部の検出結果を用いて前記誘導ラインの敷設されていないエリアを自律走行する自律走行モードと、を切り替えるモード切替部を備える、項目1乃至項目9のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目11)前記誘導ラインは、複数のバーコードと複数の二次元コードの少なくともいずれかを含んでおり、前記誘導ライン検出部は、前記誘導ラインを撮影するカメラと、撮影した画像情報から前記バーコード又は前記二次元コードに含まれるコード情報を取得し、前記停車位置判定部は、前記誘導ライン検出部が所定の前記コード情報を取得した場合に停車位置の判定を行う、項目1乃至項目10のいずれか1つに記載の搬送システム。
(項目12)走行路面に敷設された複数のコードを備える誘導ラインと、当該誘導ラインに沿って走行する搬送車と、を有する搬送システムであって、前記誘導ラインは、前記搬送車が走行している前記誘導ラインである本線と、当該本線から所定間隔以上離間又は分岐して敷設された前記誘導ラインである支線とを有し、前記搬送車は、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、前記誘導ライン検出部の検出範囲内に前記誘導ラインが位置する状態を維持して前記搬送車を走行させる誘導ライン追従制御を実行する走行制御部と、を備え、前記走行制御部は、前記コードからトリガ情報を取得した場合には、前記誘導ライン追従制御を停止して、予め定められた所定走行制御を実行し、前記所定走行制御を実行している際に前記誘導ライン検出部が前記支線の前記誘導ラインを検出した場合には、前記所定走行制御を停止して前記誘導ライン追従制御を実行する、搬送システム。

(項目13)走行路に敷設された誘導ラインに沿って走行する搬送車の搬送制御方法であって、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、前記搬送車の周辺の物体の位置に関する情報を検出する物体位置検出ステップと、前記物体位置検出ステップで検出した物体の位置に関する情報に応じて、前記搬送車の停車位置を判定する停車位置判定ステップと、を備える搬送制御方法。
(項目14)前記搬送車は、停車位置の候補となる1つ以上の停車候補位置に関する情報を記憶する記憶部を更に備え、前記記憶部に記憶された前記停車候補位置に関する情報、および前記物体位置検出ステップで検出した物体の位置の情報に基づいて、前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置、を判定する停車候補位置物体判定ステップを更に備える、項目13に記載の搬送制御方法。
(項目15)前記停車位置判定ステップでは、前記停車候補位置物体判定ステップにより判定された前記停車候補位置に物体があるか否か、又は前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、停車位置判定する、項目13又は請求項14に記載の搬送制御方法。
(項目16)前記停車位置判定ステップでは、前記停車候補位置物体判定ステップにより判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置以外の前記停車候補位置のエリアから停車位置を選択する、項目13乃至項目15のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目17)前記停車位置判定部は、前記物体位置検出部により判定された前記停車候補位置のエリア内における物体の位置に基づいて、物体が有ると判定された位置に近接する位置を停車位置として選択する、項目13乃至項目15のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目18)前記搬送車の外部から停車位置判定のトリガとなるトリガ情報を受信した場合、もしくは前記搬送車が取得した自機の位置情報が所定位置となった場合、物体位置検出ステップを実行して前記搬送車の周辺の物体の位置を検出する、項目13乃至項目17のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目19)前記搬送車は、前記停車位置判定ステップにより決定された停車位置に関する情報表示部に出力、又は前記搬送車の外部装置に通知するステップを備える、請求項13乃至請求項18のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目20)前記物体位置検出ステップにより作業員を検出した場合に、前記停車位置判定ステップにおいて作業員の検出位置に近接する前記誘導ライン上の位置を停車位置と判定する、項目13乃至項目19のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目21)前記停車候補位置は、前記誘導ラインが複数に分岐した分岐先に定義されており、前記停車位置判定ステップでは、前記搬送車が前記誘導ラインの分岐を通過する前に、前記停車位置判定ステップの判定処理を実行する、項目13乃至項目20のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目22)前記誘導ラインに沿って走行する誘導走行モードと、前記物体位置検出部の検出結果を用いて前記誘導ラインの敷設されていないエリアを自律走行する自律走行モードと、を切り替えるモード切替ステップを備える、項目13乃至項目21のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目23)前記誘導ラインは、複数のバーコードと複数の二次元コードの少なくともいずれかを含んでおり、前記誘導ライン検出ステップでは、前記誘導ラインを撮影するカメラにより撮影した画像情報から前記バーコード又は前記二次元コードに含まれるコード情報を取得し、前記停車位置判定ステップでは、前記誘導ライン検出ステップにて所定の前記コード情報を取得した場合に停車位置の判定を行う、項目13乃至項目22のいずれか1つに記載の搬送制御方法。
(項目24)走行路面に敷設された複数のコードを備える誘導ラインに沿って走行する搬送車の搬送制御方法であって、前記誘導ラインは、前記搬送車が走行している前記誘導ラインである本線と、当該本線から所定間隔以上離間又は分岐して敷設された前記誘導ラインである支線とを有し、前記誘導ラインを検出する誘導ライン検出ステップと、前記誘導ライン検出部の検出範囲内に前記誘導ラインが位置する状態を維持して前記搬送車を走行させる誘導ライン追従制御を実行する走行制御ステップと、前記走行制御ステップにおいて、前記コードからトリガ情報を取得した場合には、前記誘導ライン追従制御を停止して、予め定められた所定走行制御を実行し、前記所定走行制御を実行している際に前記誘導ライン検出部が前記支線の前記誘導ラインを検出した場合には、前記所定走行制御を停止して前記誘導ライン追従制御を実行する、搬送制御方法。

【符号の説明】
【0089】
10 搬送車、 11 連結部、 12 物体位置検出部、 13 駆動輪、 14 非駆動輪、 16 誘導ライン検出部、 17 磁気センサー、 18 マーク検出部、 110、130 誘導走行エリア、 111、131 誘導ライン、 112、132 誘導走行モード開始エリア、 113 分岐点、 114、133 作業エリア、115、134 自律走行モード開始エリア、 116 磁気マーカ、 120 自律走行エリア、 210 通信部、 220 記録部、 230 検出部、 240 入力部、 250 表示部、 240 制御部、 280 車輪駆動部、2000 台車、 2010 連結受け部、 3000 操縦機、4000 運行管理装置、 5000 入出力装置、 6000 通信ネットワーク、 7000 外部システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23