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特開2022-107517遊星歯車デバイス歯車歯のためのプロファイル修正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107517
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】遊星歯車デバイス歯車歯のためのプロファイル修正
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/08 20060101AFI20220713BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
F16H55/08 Z
F16H1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021212902
(22)【出願日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】17/144,288
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】久井 孝喜
(72)【発明者】
【氏名】山田 和貴
【テーマコード(参考)】
3J027
3J030
【Fターム(参考)】
3J027FA12
3J027FA37
3J027FB02
3J027GA01
3J027GA03
3J027GC13
3J027GC22
3J027GD03
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD09
3J027GD12
3J030AA00
3J030BA01
3J030BA04
3J030BA05
3J030BB07
3J030BB09
3J030BC01
3J030BC02
(57)【要約】
【課題】 遊星歯車デバイス歯車歯のためのプロファイル修正を提供する。
【解決手段】 遊星歯車デバイスの歯車のための歯車歯は、摩耗及び騒音を減らすために歯車歯のプロファイルを変えるプロファイル修正を含み得る。プロファイル修正の態様は、歯車歯の先端面を歯車歯の第1又は第2側と接続する平面を含み得る。プロファイル修正の他の態様は、歯車歯の先端面を歯車歯の第1又は第2側と接続する湾曲面を含み得る。歯車歯はまた、歯車の頂面及び底面の間に延在する歯車厚さ方向における第1側と第2側との間で測定された非一定のプロファイル幅を含み得る。プロファイル修正及び非一定のプロファイル幅の一方又は両方を備えた歯車歯の態様は、遊星歯車デバイスの操作中の歯の摩耗及び歯車の騒音を減らし得る。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星歯車デバイスの歯車のための歯車歯であって、
半径方向において前記歯車歯の外側拡張部に形成された先端面と、
歯車本体の外面から前記先端面に向かって延在する第1面と、
前記歯車本体の前記外面から前記先端面に向かって延在する第2面と、
プロファイル修正であって、前記プロファイル修正が前記先端面と前記第1面又は前記第2面の少なくとも1つとを接合するように、前記先端面と前記第1面又は前記第2面の前記少なくとも1つとの間に延在するプロファイル修正と
を含み、
前記プロファイル修正が前記先端面及び前記第1面と交差する第1平面を含み、
前記プロファイル修正が前記先端面及び前記第2面と交差する第2平面を含み、
前記第1平面及び前記第2平面が、前記先端面とのそれらの交差部とそれぞれ前記第1面及び第2面間との間で同じ距離延在する、歯車歯。
【請求項2】
請求項1に記載の歯車歯の1つ又は複数を含む遊星歯車デバイスのための歯車。
【請求項3】
遊星歯車デバイスであって、
歯車ハウジングと、
前記歯車ハウジングに固定され、前記歯車ハウジング内部に配置された内歯歯車と、
前記歯車ハウジング内部に回転可能に取り付けられたキャリアと、
遊星歯車シャフトで前記キャリアにおいて回転可能に取り付けられた遊星歯車であって、前記遊星歯車が前記内歯歯車と噛み合う遊星歯車と、
前記キャリア内部に配置された太陽歯車であって、前記太陽歯車が前記遊星歯車と噛み合う太陽歯車と
を含み、
前記遊星歯車、前記太陽歯車、及び前記内歯歯車の少なくとも1つが請求項1に記載の歯車歯の1つ又は複数を含む、遊星歯車デバイス。
【請求項4】
遊星歯車デバイスであって、
歯車ハウジングと、
前記歯車ハウジングに固定され、前記歯車ハウジング内部に配置された内歯歯車と、
前記歯車ハウジング内部に回転可能に取り付けられたキャリアであって、前記キャリアが、前記キャリアを形成するために接合される2つの分離可能な部分を含むキャリアと、
遊星歯車シャフトで前記キャリアにおいて回転可能に取り付けられた遊星歯車であって、前記遊星歯車が前記内歯歯車と噛み合う遊星歯車と、
前記キャリア内部に配置された太陽歯車であって、前記太陽歯車が前記遊星歯車と噛み合う太陽歯車と
を含み、
前記遊星歯車、前記太陽歯車、及び前記内歯歯車の少なくとも1つが、1つ又は複数の歯車歯を含み、前記1つ又は複数の歯車歯が、
半径方向において前記歯車歯の外側拡張部に形成された先端面と、
歯車本体の外面から前記先端面に向かって延在する第1面と、
前記歯車本体の前記外面から前記先端面に向かって延在する第2面と
を含み、
前記歯車歯が、一定の歯車歯高さで前記第1面の第1ポイントと前記第2面の対応する第1ポイントとの間で測定された第1距離が前記歯車本体の上面と下面との間に延在する歯車厚さ方向において一定ではないように形成される、遊星歯車デバイス。
【請求項5】
前記太陽歯車が前記1つ又は複数の歯車歯を含み、
前記遊星歯車が1つ又は複数の第2歯車歯を含み、前記第2歯車歯の1つ又は複数が、
半径方向において前記第2歯車歯の外側拡張部に形成された先端面と、
歯車本体の外面から前記先端面に向かって延在する第1面と、
前記歯車本体の前記外面から前記先端面に向かって延在する第2面と、
プロファイル修正であって、前記プロファイル修正が前記先端面及び前記第1面又は前記第2面の少なくとも1つを接合するように、前記先端面と前記第1面又は前記第2面の前記少なくとも1つとの間に延在するプロファイル修正と
を含む、請求項4に記載の遊星歯車デバイス。
【請求項6】
前記遊星歯車が前記1つ又は複数の歯車歯を含み、
前記太陽歯車が1つ又は複数の第2歯車歯をさらに含み、前記第2歯車歯の1つ又は複数が、
半径方向において前記第2歯車歯の外側拡張部に形成された先端面と、
歯車本体の外面から前記先端面に向かって延在する第1面と、
前記歯車本体の前記外面から前記先端面に向かって延在する第2面と、
プロファイル修正であって、前記プロファイル修正が前記先端面及び前記第1面又は前記第2面の少なくとも1つを接合するように、前記先端面と前記第1面又は前記第2面の前記少なくとも1つとの間に延在するプロファイル修正と
を含む、請求項4に記載の遊星歯車デバイス。
【請求項7】
前記一定の歯車歯高さで前記第1面の第2ポイントと前記第2面の対応する第2ポイントとの間で測定された第2距離が前記第1距離未満であり、
前記第2距離が、前記歯車歯の、前記第1距離を含む部分よりも、前記歯車歯の、前記歯車の前記上面又は前記歯車の前記下面のいずれかのより近くに位置する部分で取られる、請求項4に記載の遊星歯車デバイス。
【請求項8】
第3距離が、前記一定の歯車高さで前記第1面の第3ポイントと前記第2面の第3ポイントとの間で測定され、
前記歯車歯の、前記第2距離を含む部分が、前記歯車歯の、前記第1距離を含む前記部分よりも前記上面に近く、
前記歯車歯の、前記第3距離を含む部分が、前記歯車歯の、前記第1距離を含む前記部分よりも前記下面に近く、
前記第1距離が前記第2距離及び前記第3距離より大きい、請求項7に記載の遊星歯車デバイス。
【請求項9】
前記第1面の前記第1ポイント及び前記第2面の前記対応する第1ポイントが、それぞれ前記第1面及び前記第2面と前記先端面との間の交差部に位置し、
前記第1距離が前記歯車厚さ方向において一定である、請求項8に記載の遊星歯車デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
[0001] 本発明の開示は、遊星歯車デバイスにおける歯車の構成に、具体的には、パワーバックドアのための遊星歯車デバイスにおける歯車のための歯車歯の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 遊星歯車デバイス(エピサイクリック歯車デバイスとしても知られている)は、機械における回転運動の変換のために使用される歯車装置システムのあるタイプである。これらのデバイスは、比較的コンパクトであるとともに回転運動を変換するための複数の異なるギヤ比の選択肢を可能にすることから多くの異なる用途において使用される。遊星歯車デバイスの用途の例には、自動車(遊星歯車ボックスという用語がしばしば使用される)、重量車両(例えばトラクター及び掘削装置)、工業用機械、住宅設備機器が含まれる。遊星歯車デバイスはまた、サイズを減少させられ得るとともに、例えば、車両又は住宅若しくはオフィスビルなどの建物における設置及び使用のための車両のパワーバックドア(PBD)、車両におけるパーキングブレーキ、車両におけるパワーウインドウ、電動シャッタ又は電動ブラインドを含む、多くの異なる機構を作動させるためにアクチュエータと併せて使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 以下で詳細に検討されるとおり、遊星歯車デバイスは、いくつかの異なる歯車であって、入力回転運動を望ましい出力回転運動へ変換するギヤ比を生じさせるために互いと噛み合い協働するいくつかの異なる歯車を含む。異なる歯車は、各歯車の中心に位置するシャフト穴を使用して歯車シャフトに取り付けられる。様々な歯車が、歯車間の回転運動を伝達するために噛み合う歯車歯を有する。歯車が噛み合うと、歯が物理的に接触し、歯車歯で騒音及び摩耗が生じる。歯車の騒音及び摩耗を減らすための現在の戦略には、例えば、歯車の潤滑並びに、歯車及び歯車歯のための材料の選択が含まれる。したがって、騒音及び摩耗の両方を同時に緩和するために歯車及び歯車歯を改良することは先行技術においては困難であることが分かっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] 本開示の態様は遊星歯車デバイスの歯車のための歯車歯を含む。歯車歯は、半径方向において歯車歯の外側拡張部に形成された先端面、歯車本体の外面から先端面に向かって延在する第1面、及び歯車本体の外面から先端面に向かって延在する第2面を含む。プロファイル修正が、プロファイル修正が先端面と第1面及び第2面の少なくとも1つとを接合するように先端面と第1面又は第2面の少なくとも1つとの間に延在する。
【0005】
[0005] 歯車歯のさらなる態様は、半径方向において歯車歯の外側拡張部に形成された先端面、歯車本体の外面から先端面に向かって延在する第1面、及び歯車本体の外面から先端面に向かって延在する第2面を含む。歯車歯は、歯車本体の上面と下面との間に延在する幅方向において第1面と第2面との間で測定される距離が一定ではないように形成される。
【0006】
図面の簡単な説明
[0006] 本明細書に組み込まれているとともに明細書の一部をなす添付図面は、本開示の態様を例証し、説明と併せて、さらに、本開示の原理を説明する働きをするとともに、当業者が本開示を作製及び使用することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]本開示の態様による遊星歯車デバイスの斜視図である。
図2】[0008]本開示の態様による、図1に示された遊星歯車デバイスの断面図である。
図3】[0009]本開示の態様による遊星歯車デバイスのキャリアの分解図である。
図4】[0010]本開示の態様による遊星歯車の側面図である。
図5】[0011]本開示の態様による遊星歯車デバイスの上面図である。
図6】[0012]本開示の態様による歯車歯の断面図である。
図7】[0013]本開示の態様による歯車歯の断面図である。
図8】[0014]本開示の態様による歯車歯の断面図である。
図9】[0015]本開示の態様による歯車歯の断面図である。
図10】[0016]本開示の態様による歯車歯の上面図である。
図11】[0017]本開示の態様による歯車歯の上面図である。
図12】[0018]本開示の態様による歯車歯の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
[0019] 本開示はここで、添付図面に示されたその実施形態を参照して詳細に説明される。「一態様」、「態様」、「例示的態様」などへの言及は、説明された態様が特定の特質、構造、又は特徴を含み得ることを示すが、全ての態様が特定の特質、構造、又は特徴を必ずしも含まなくてもよい。さらに、そのような表現は必ずしも同じ態様を指さない。さらに、特定の特質、構造、又は特徴が態様に関連して説明されると、明示的に説明されたかどうかにかかわらず、他の態様に関連してそのような特質、構造、又は特徴に影響を与えることは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
【0009】
[0020] 遊星歯車デバイスの歯車は歯車間の回転運動を伝達するために噛み合う歯を含む。この噛合いは、どのようにして回転運動が遊星歯車デバイスの入力及び出力部分の間で遊星歯車デバイスを通じて伝達されるかである。2つの歯車が噛み合うとき、典型的には、ある瞬間に接触しているのは各歯車から単一の歯のみである。これらの独立した歯車歯は、歯車間の回転運動により生じた力の全てを伝達しなければならない。歯車が回転すると、歯車歯は繰り返し互いに接触し、繰り返される物理的接触に由来する摩耗を呈し始める。歯車歯が過剰に摩耗すると、最終的に、歯車歯が成功裏に噛み合うには摩耗し過ぎる原因となり得、このことは、動力伝達効率の低下、及び、最終的に、遊星歯車デバイスの機械的故障をもたらし得る。歯車歯はまた、噛み合うときに、噛合いプロセスにより生じる物理的接触を原因として、騒音を生じる。遊星歯車デバイスの騒音を最少化することは、多くの場合において、特に、遊星歯車デバイスが機械又は車両の製造において使用されるときによくあるように、人であるオペレータが遊星歯車デバイスの近くに配置される場合に望ましい可能性がある。例えば歯車のための特別な潤滑及び材料選択などの技術が歯車歯の摩耗及び騒音を緩和し得るが、歯車歯の摩耗を改善する及び歯車歯の騒音を減らすシステム及び方法の必要性は依然としてある。本開示の態様は、歯車歯の摩耗及び騒音の一方又は両方にかなりの改良をもたらすことができ、特別な潤滑又は歯車の材料選択のみに頼ること無しに、歯車歯自身の形状を改良する。
【0010】
[0021] 本開示による遊星歯車デバイスの歯車のための歯車歯の態様は、半径方向において歯車歯の外側拡張部に形成された先端面、歯車本体の外面から先端面に向かって延在する第1面、及び歯車本体の外面から先端面に向かって延在する第2面を含む。プロファイル修正は、プロファイル修正が先端面と第1面及び第2面の少なくとも1つとを接合するように、第1面及び第2面の少なくとも1つと先端面との間に延在する。以下で検討されるとおり、このシステムは、歯車歯の摩耗及び騒音の一方又は両方に対処する利点を提供する。
【0011】
[0022] 図1は、遊星歯車デバイスの部分分解斜視図を示す。円筒形ハウジング2と共に、ハウジング2から除去されたキャリア10が示されている。2つの遊星歯車20がキャリア10において取り付けられた状態で見える。各遊星歯車20はキャリア10に回転可能に取り付けられている。少なくとも1つの遊星歯車20がキャリア10において取り付けられていてもよい。いくつかの態様において2つの、3つの、4つの、又は5つ以上の遊星歯車20がキャリア10において回転可能に取り付けられていてもよい。キャリア10は外面12において開口14を含む。開口14は、遊星歯車20の位置に対応する外面12の円周における間隙として設計され得る。遊星歯車20は、同様に、遊星歯車20の歯23が、開口14を通って、半径方向においてキャリア10の外面12を越えて延在するように取り付けられ得る。
【0012】
[0023] 図1において同様に示されているのは、太陽歯車30の太陽歯車シャフト32である。図2に示されるとおり、太陽歯車30は、太陽歯車30の歯が遊星歯車20の歯23と噛み合うように、キャリア10の中心において太陽歯車開口に挿入される。図1に示された態様において、太陽歯車シャフト32はハウジング2を越えて延在するとともに、太陽歯車シャフト32(及び、したがって、太陽歯車30)へ又はから回転運動を伝達するように構成された歯を有する。
【0013】
[0024] 破線軸ラインにより示されるとおり、キャリア10は、キャリア10の軸及びハウジング2の軸が整列させられるように、ハウジング2に挿入される。図4に示されるとおり、キャリア10のこの態様は、キャリア10の、太陽歯車開口とは反対の側から延在するボス16を含む。ボス16はハウジング2又は他の支持構造における対応する開口により受け止められるとともに、キャリア10がハウジング2内で回転することを可能にする。
【0014】
[0025] 図2は、遊星歯車デバイスが完全に組み立てられたときのハウジング2の断面図を示す。この図は、遊星歯車デバイスの最終歯車要素、すなわち内歯歯車4を示す。この態様において、内歯歯車4はハウジング2の内側壁に固定されている。図2に示されるとおり、組み立てられると、ハウジング2の中心に位置する太陽歯車30は、遊星歯車20と噛み合い、遊星歯車20は今度は内歯歯車4と噛み合う。
【0015】
[0026] 図3は、接合されてキャリア10を形成する2つの個別の部分を含むキャリア10の態様を示す。キャリア10のこれらの態様は、個別の部分が接合されてキャリア10を形成する前にキャリア10の個別の部分内部に位置付けられている遊星歯車20により組立効率を改良し得る。図3において示されたもののような態様において、遊星歯車シャフト17はキャリア10の一部へと一体化されてもよく、一方で、キャリア10の別の部分は対応する遊星歯車シャフト穴18を含むように構成されてもよい。遊星歯車20は、いくつかの態様により、キャリア10のこれらの対応する部分を接合する前に遊星歯車シャフト17に取り付けられてもよく、このことは、組立効率をさらに向上させ得る。
【0016】
[0027] 上で検討された遊星歯車デバイスの要素のいずれも、好適な材料から製造され得る。例えば、要素は好適な金属又はプラスチックから製造され得る。いくつかの態様において、上で検討された要素の一部又は全ては、ウルトラポリマーポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリアセタール(POM)、又はポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)を含む合成樹脂から作られる。任意の特定の態様において、上で検討された要素の1つ又は複数が、その重量及び製造の容易さに対するその強度及び摩耗特徴を理由として、選択され得る。
【0017】
[0028] 遊星歯車デバイスの態様の用途は、例えば自動車(遊星歯車ボックスという用語が使用されることが多い)、重量車両(例えばトラクター、建設機械、及び掘削装置)、工業用機械、及び住宅設備機器を含む。遊星歯車デバイスのいくつかの態様は、大きさ及び重量を減少させることができ、より小さい用途におけるそれらの使用を可能にする。遊星歯車デバイスのコンパクトで軽量な態様が、車両又は建物(例えば住宅及びオフィスビル)において設置及び使用するための、例えば、パワーリフトゲート、パワーリアハッチ、又はパワートランクリッドとしても知られるパワーバックドア(PBD)、パーキングブレーキ又は非常用ブレーキ、パワーウインドウ、及び電動シャッタ又は電動ブラインドを含む車両における多くの異なる機構を作動させるために、アクチュエータと共に使用され得る。
【0018】
[0029] 図1及び2に示された遊星歯車デバイスは、いくつかの異なる方法で機能し得る。例えば、太陽歯車30に回転入力を提供するとともにキャリア10が自由に回転することを可能にすることは、添付図面に示されるとおり内歯歯車4がハウジング2に固定されているため、回転出力がハウジング2において生じることをもたらす。回転運動が受けるギヤ比は遊星歯車デバイスにおいて各歯車部材が有する歯の数により規定される。どのコンポーネントが自由に回転するか、並びにどのコンポーネントが入力及び出力であるかを変更することは、ギヤ比及びどのように回転運動が遊星歯車デバイスにより伝達されるかを変える。以下で検討される潤滑システム及び方法は、遊星歯車デバイスのいずれの作動方法又は構成にも当てはまる。
【0019】
[0030] 図4及び5は、遊星歯車20の態様のそれぞれ側面図及び上面図である。図4及び5に示されるとおり、遊星歯車20は、開口が半径方向中央にある円盤形状の本体として形成され得る。歯車歯23は、図4において、遊星歯車20の外面26にわたって歯車幅方向において延在している状態で見える。図4に示されるとおり、歯車歯23は遊星歯車20から半径方向に外向きに延在している。図4及び5に示されている遊星歯車20の態様は、各歯車歯23が遊星歯車20の軸に平行に延びている平歯車として構成されている。遊星歯車20の他の態様はとして構成されてもよく、各歯車歯23は遊星歯車20の軸に対してある角度で延びる。いくつかの態様において、遊星歯車20のらせん状構成が好ましい場合がある。各歯車歯23は、歯車歯23の対の間に間隙又は空間がある、遊星歯車20の中実形材押出加工として形成される。これらの間隙又は空間は、歯車の噛合い中に他の歯車の歯車歯を受けるように構成される。遊星歯車デバイスにおける他の歯車(例えば太陽歯車30及び内歯歯車4)もまた、遊星歯車20と同様のやり方で歯車歯を有する。図2に示されるとおり、太陽歯車30は、太陽歯車30の中心から半径方向外向きに延在する歯車歯を有しているという点で遊星歯車20と同様に構成される。内歯歯車4は逆向きを有するとともに、ハウジング2内部での内歯歯車4の位置を理由として半径方向内向きに延在する歯車歯を有する。両方の場合において、太陽歯車30及び内歯歯車4の歯車歯は、遊星歯車20の歯車歯23と機能的に同一であり得る。
【0020】
[0031] 図6は単一の歯車歯60の側面図である。この図は歯車歯60のプロファイルを示す。歯車歯60は、以下で説明される遊星歯車デバイスの歯車のいずれにおいても見られ得る標準的な歯車歯の例である。図6に示された歯車歯60の態様は、歯車歯60が、歯車表面66から半径方向に対してある角度で外向きに延在する第1側62及び第2側63を有する台形の形状を備えて形成されていることを示す。第1面62及び第2面63は、歯車歯60の端部を形成する外面又は先端面61と交わる。外面61は、したがって、歯車歯60の半径方向範囲の最も外に配置される。図6に示されるとおり、第1面62及び第2面63は、第1面62及び第2面63と外面61との間に形成された鈍角をもたらす別個のポイントで外面61と交わる。歯車歯60の特定の高さ及び厚さは、歯車及び歯車装置システムの詳細に依存して必要に応じて変えられ得る。図6に示されるとおり、歯車歯の高さは半径方向に測定される。歯車歯の厚さは図6における高さに垂直な方向である。歯車歯は典型的には、図6に示されるとおり、歯車厚さが半径方向距離(すなわち高さ)が増加するにつれて狭くなるように設計される。この結果、外面61が歯車歯60の最も薄い領域となる。これは、歯車歯60の先細プロファイルが対応する歯車における結果としての間隙により容易に適合するため、歯車の噛合いを向上させるためになされ得る。
【0021】
[0032] 図6に示された歯車歯60の態様のプロファイルは、歯車厚さ方向において一定のままであってもよく、歯車厚さ方向は、図6においては頁を出入りする方向である。このことは、歯車歯60の厚さ及び高さが、歯車歯60が歯車表面66にわたって延在する際に変わらないことを意味する。
【0022】
[0033] 図7~12は本開示による歯車歯60の態様を示す。これらの態様は、歯車歯の摩耗及び歯車の騒音に関してかなりの利点を提供し得る方法で、図6に示された態様と異なる。
【0023】
[0034] 図7は、本開示によるプロファイル修正を組み込む歯車歯60の態様の側面図である。歯車歯60の態様は、歯車表面66から外面61に向かって延在する第1側62及び第2側63を含む。第1側62は、図6に関して上で検討されたのと同じやり方で外面61と交差する。しかしながら、図7の歯車歯60において、プロファイル修正64が第2側63と外面61との間に配置される。ここで、プロファイル修正64は、第2側63と外面61との間に延在するとともに第2側63と外面61とをつなげる追加的な平面として形成される。この表面は、第2側63及び外面61とある角度をなして形成され、このことは第2側63と外面61との間のあまり急激ではない移行をもたらす。このより滑らかな移行は、よりやわらかい又はより可撓性のある歯車材料の場合であっても摩耗を減じることができ、比較的硬い又はあまり可撓性がない歯車材料の場合であっても歯車歯60が噛み合うときの騒音を減らすことができる。プロファイル修正64のこの態様の平面の特定の長さ及び角度は、システム全体の作動可能条件に基づき選択され得る。概して、プロファイル修正64のこの態様の大きさを増加させることは、外面61と第2面63との間のより滑らかな移行をもたらし得る。しかしながら、このサイズの増加は、他の検討事項、例えば歯車歯60の構造的一体性及び歯車歯60の噛合い性能とバランスをとられる必要があり得る。
【0024】
[0035] 図7における歯車歯60の態様は、歯車歯60の単一の側のみに延在するプロファイル修正64を示す。これは、例えば、1つの方向にのみ回る歯車においては望ましい場合があり、その理由は、このとき、歯車歯60はかなりの負荷を単一の側に受けるのみであり、したがって、負荷のかけられた側のプロファイル修正64のみ必要とするからである。しかしながら、歯車は両方向に(例えば自動車のギアボックスにおける前方及び逆方向に)回り得る場合が多い。これらのシステムにおいては、図8に示されるとおり、歯車歯60の両側にプロファイル修正64を有することが望ましい場合がある。図8に示された歯車歯60の態様は図7の態様と同様であり、歯車表面66から延在する第1側62及び第2側63を含む。しかしながら、第1側62及び第2側63を外面61につなげる平面を含む、2つのプロファイル修正64がある。これらのプロファイル修正64は同一であってもよく(及び、したがって、歯車歯60のプロファイルは対称的である)、又はそれらは設計要件に依存して異なっていてもよい。例えば、操作中の歯車歯60への負荷が両回転方向において等しくない場合、より低い作動負荷に対応する歯車歯60の側により小さいプロファイル修正64を有することが望ましい場合があり、その理由は、この側は、より負荷が低いことを原因として物理的接触により生じた摩耗をそれほど受けないからである。
【0025】
[0036] 図9は別の歯車歯60の態様を示し、2つのプロファイル修正64が第1側62及び第2側63を外面61につないでいる。図9に示されるとおり、これらのプロファイル修正64は、側部と外面61との間の角度の付いた交差部を実質的に取り除く又は無くす滑らかで、湾曲した移行部である。これらの湾曲した移行部は一定の半径を有してもよく、又はそれらは、特定の作動上のニーズに依存して様々な曲率半径を有してもよい。さらに、プロファイル修正64のこれらの態様のサイズは、上で検討された平らな態様と同じやり方で変えられてもよい。図9に示されたプロファイル修正64のこれらの湾曲した態様は、側部と外面61との間の意向を滑らかにし、よりやわらかい又はより可撓性のある歯車材料の場合であっても摩耗を減らすことができ、比較的硬質又はあまり可撓性のない歯車材料の場合であっても歯車の騒音を減らすことができる。上で検討されたとおり、図9は、2つの同一の湾曲したプロファイル修正64を備えた歯車歯60の態様を示すが、プロファイル修正は同一である必要はなく、作動要件に依存して変えられ得る。さらに、図7及び8に示された平面プロファイル修正64との組合せで存在する1つの湾曲したプロファイル修正64のみがあってもよく、又は湾曲したプロファイル修正64は、歯車歯60に存在するプロファイル修正64のみであってもよい。
【0026】
[0037] 上で検討されたとおり、歯車歯60のプロファイルの態様は歯車厚さ方向において一定のままであってもよい。しかしながら、歯車歯60のいくつかの態様は一定のプロファイルを有しなくてもよい。例えば、図10は、図4に示されたのと同じ視点からの図である歯車歯60の側面図を示すが、明確さのために単一の歯車歯60のみを含む。歯車歯60のこの態様は一定のプロファイルを有しない。代わりに、図10に示されるとおり、歯車歯60のプロファイルは歯車歯60の頂部に向かって著しく小さくなり、次いで歯車歯60の底部に向かってより幅広いプロファイルへと移行する。図10の態様において、歯車歯60のプロファイル全体が歯車歯60の頂部で狭くされ、これは、歯車歯60の底部(歯車表面66に最も近い部分)が外面61に比例して減少することを意味する。しかしながら、プロファイルの減少は一定である必要はない。例えば、歯車歯60の底部は一定のサイズであってもよいが、外面61はサイズが変わってもよい。歯車歯60の底部での材料の増加、及びしたがって構造上の強度をもたらすため、このタイプの変形形態が望ましい場合がある。他の態様において、歯車歯60の底部はサイズが外面61のサイズの変化とは異なる率で変わり得る。
【0027】
[0038] 歯車幅方向において歯車歯60の様々なプロファイルを変えること、及び特にプロファイルを選択的に狭くすることは、他の歯車歯と接触している歯車歯60の表面積の減少を理由として、より少ない歯車の騒音及び摩耗をもたらし得る。
【0028】
[0039] 図11に示された歯車歯60の態様は、様々なプロファイルを備えた歯車歯60の別の例を示す。この態様において、歯車歯60の上及び下端の両方は歯車歯60の中間よりも狭い。図11のプロファイルバリエーションは対称的であるが、歯車厚さにおける非対称的な変化も可能である。例えば、歯車歯60の態様は中心においてより狭く、歯車歯60の上及び下端でより幅広くなっていてもよい。図12は、図11に示された歯車歯60の態様の斜視図である。破線で見えるのは、図6において示された態様による標準的な歯車歯60の輪郭である。
【0029】
[0040] 図12は異なる視点からの態様において検討されたプロファイルにおける変化を示す。図12において同様に示されているのは、第1面62と第2面63との間で測定される距離67である。この距離67は、歯車歯厚さ方向に延びる直線と接続され得る、それぞれ第1面62及び第2面63で見つけられる2つのポイント67a及び67bの間で歯車歯厚さ方向に測定される。歯車歯60の態様、例えば図10~12において示されたものにおいて、歯車歯60の一定の高さ位置で測定された距離67は、歯車厚さ方向(すなわち図10及び11における垂直方向)において変化する。したがって、距離67は歯車厚さ方向において異なる位置で測定されるため、ポイント67a及び67bは一定の(選択された)高さで保たれる。例えば、距離67の高さが3つの測定全てで維持されると仮定すると、図11に示される歯車歯60の態様の頂部及び底部の近くで測定される距離67は歯車歯60の中心の近くで測定される距離67未満である。
【0030】
[0041] 上で検討された歯車歯60に対する修正は、遊星歯車デバイスにおいて見つけられる歯車のいずれにも施され得る。例えば、これらの修正は、遊星歯車20、太陽歯車30、又は内歯歯車4に施され得る。さらに、修正は、これらの歯車の2つ以上に施されてもよい。例えば、上で検討された歯車歯60の態様は遊星歯車20及び太陽歯車30の両方で用いられてもよい。他の態様において、遊星歯車デバイスにおける単一の歯車(例えば遊星歯車20)のみが修正された歯車歯60を含んでもよい。
【0031】
[0042] 上で検討された歯車歯60の態様は異なる組合せの歯車にわたって用いられてもよい。例えば、図8に示された歯車歯60の態様が遊星歯車20で用いられ得る一方で、図11及び12に示された歯車歯60の態様は太陽歯車30で用いられ得る。いくつかの態様において、歯車歯60は、プロファイル修正及び厚さ修正の両方を含み得る。したがって、例えば単一の歯車歯60が、図9に示されるとおりのプロファイル修正64を含んでもよく、図11及び12に示されるとおり様々なプロファイルを有してもよい。
【0032】
[0043] 上で検討された態様による歯車歯60を備えた遊星歯車デバイスの態様のいくつかの例は、以下のものを含み得る。例えば図7~9において示されたプロファイル修正64を備えた遊星歯車20を含む遊星歯車デバイス。この態様において、太陽歯車30及び内歯歯車4は修正された歯車歯60を有しない。遊星歯車デバイスの別の態様は、図10~12に示されたプロファイルサイズ修正を備えた遊星歯車20を含む。この態様において、太陽歯車30及び内歯歯車4は修正された歯車歯60を有しない。例えば図7~9に示されたプロファイル修正64を備えた太陽歯車30を含む遊星歯車デバイスの別の態様。この態様において、遊星歯車20及び内歯歯車4は修正された歯車歯60を有しない。遊星歯車デバイスの別の態様は、図10~12に示されたプロファイルサイズ修正を備えた太陽歯車30を含む。この態様において、遊星歯車20及び内歯歯車4は修正された歯車歯60を有しない。遊星歯車デバイスの他の変更形態は、例えばこれらの態様の特徴を組み合わせることにより着想され得るため、これらの態様は例としてのみ意図されている。
【0033】
[0044] 上で検討されたプロファイル修正64を備えた遊星歯車20の態様は、図3に関して検討された複数の部分を含むキャリア10の態様のための特定の追加的な恩恵を提供し得る。上で検討されたとおり、図3のキャリア10は組立効率の向上を可能にする。しかしながら、複数の部分を接合してキャリア10を形成することは公差の増加をもたらし得、このことは、複数部品からなるキャリア10を使用する遊星歯車デバイスの態様における様々な歯車のあまり厳密でない噛合いをもたらし得る。これは、歯車の騒音の増加、歯車効率の低下、及び摩耗の増加をもたらし得る。しかしながら、プロファイル修正64の1つ又は複数を実装することは、歯車歯の噛合いを向上させるとともに騒音を減らし、したがって、複数部品からなるキャリア10を使用する際のこれらの効果を低下させる。したがって、複数部品からなるキャリア10の向上した組立効率はプロファイル修正64により作り出された改良を通じて保持され得る。
【0034】
[0045] 概要及び要約セクションではなく詳細な説明のセクションが特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されることが認められるべきである。概要及び要約セクションは、発明者により想定されるとおり本開示の例示的な態様の1つ又は複数を定め得るがその全ては定め得ず、したがって、本開示及び添付の特許請求の範囲を決して限定することを意図されるものではない。
【0035】
[0046] 特定の態様の前述の説明は、本開示の一般的な性質を完全に明らかにするため、他者も、当業者が備えている技能の範囲内の知識を適用することにより、過度の実験無しに、本開示の一般的な概念から逸脱すること無しに、そのような特定の態様の様々な適用のために容易に修正する及び/又は適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書において提示された教示及び助言に基づき、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書における言葉遣い又は用語法は、本明細書の用語法又は言葉遣いが教示及び助言に照らして当業者により解釈されるように、限定ではなく説明を目的とすることを理解されたい。
【0036】
[0047] 本開示の広がり及び範囲は、上述の例示的態様のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
2 ハウジング
4 内歯歯車
10 キャリア
12 外面
14 開口
16 ボス
17 遊星歯車シャフト
18 遊星歯車シャフト穴
20 遊星歯車
23 歯車歯
26 外面
30 太陽歯車
32 太陽歯車シャフト
60 歯車歯
61 先端面
62 第1面
63 第2面
64 プロファイル修正
66 歯車表面
67 距離
67a ポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】