(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107528
(43)【公開日】2022-07-21
(54)【発明の名称】イコライザ回路および関連する電力管理回路
(51)【国際特許分類】
H03F 1/32 20060101AFI20220713BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H03F1/32
H03F1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022001373
(22)【出願日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】63/135,134
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/412,823
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517216431
【氏名又は名称】コルボ ユーエス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】クラ,ナディム
(72)【発明者】
【氏名】ケイ,マイケル アール
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC22
5J500AC36
5J500AF08
5J500AF12
5J500AF15
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH30
5J500AH32
5J500AH33
5J500AK01
5J500AK41
5J500AK49
5J500AM08
5J500AM22
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT03
5J500AT06
5J500NG02
5J500NH13
5J500NH16
5J500RG03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】RF信号が広い変調帯域幅で変調される場合に、エンベロープトラッキング(ET)電圧の歪みを低減するイコライザ回路及び関連する電力管理回路を提供する。
【解決手段】電力管理装置30において、電力管理回路28は、差動目標電圧に基づいてET電圧V
CCを生成し、高周波(RF)信号38を増幅するための信号経路36を介して電力増幅器回路32にET電圧V
CCを提供する電力増幅器回路34と、ET電圧V
CCを生成する前に、差動目標電圧を均等化するためのイコライザ回路40と、を有する。具体的には、イコライザ回路40は、信号経路の固有のトレースインダクタンス及び電圧増幅器回路の固有のインピーダンスの伝達関数をオフセットするための、二次複素ゼロ項及び実ゼロ項を含む伝達関数を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イコライザ回路であって、
負の目標電圧と正の目標電圧とを含む差動目標電圧を受け取る電圧入力と、
前記差動目標電圧に対応する等化目標電圧を出力する電圧出力と、
前記電圧入力と前記電圧出力との間に結合され、二次複素ゼロ項および実ゼロ項を含む伝達関数に基づいて、前記等化目標電圧を前記差動目標電圧から生成させるように構成されたイコライザチューニング回路と、を備える、イコライザ回路。
【請求項2】
前記イコライザチューニング回路が、
前記電圧入力と前記電圧出力との間に直列に結合された左抵抗器および右抵抗器と、
接地と、前記左抵抗器と前記右抵抗器との間の連結ノードとの間に設けられたチューナブルキャパシタと、を備える、請求項1に記載のイコライザ回路。
【請求項3】
前記イコライザチューニング回路が、前記チューナブルキャパシタと前記接地との間に結合されたシャント抵抗器をさらに備える、請求項2に記載のイコライザ回路。
【請求項4】
前記差動目標電圧に基づいて前記チューナブルキャパシタを調整し、それによって前記伝達関数内の前記実ゼロ項を調整するように構成された制御回路をさらに備える、請求項2に記載のイコライザ回路。
【請求項5】
前記制御回路が、
前記差動目標電圧によって示される変調帯域幅に基づいて、ルックアップテーブル(LUT)から容量を取得することと、
前記チューナブルキャパシタを、前記LUTから取得された前記容量に設定することと、を行うようにさらに構成されている、請求項4に記載のイコライザ回路。
【請求項6】
前記電圧入力と前記電圧出力との間に直列に結合された第1の演算増幅器および第2の演算増幅器をさらに備える、請求項2に記載のイコライザ回路。
【請求項7】
前記電圧入力が、前記正の目標電圧を受け取る正の目標電圧入力と、前記負の目標電圧を受け取る負の目標電圧入力と、を備える、請求項6に記載のイコライザ回路。
【請求項8】
前記第1の演算増幅器が、
前記正の目標電圧入力に結合された第1の反転入力ノードと、
前記接地に結合された第1の非反転入力ノードと、
第1の出力ノードと、を備え、
前記第2の演算増幅器が、
前記第1の出力ノードおよび前記負の目標電圧入力に結合された第2の反転入力ノードと、
前記接地に結合された非反転入力ノードと、
前記電圧出力に結合された第2の出力ノードと、を備える、請求項7に記載のイコライザ回路。
【請求項9】
前記イコライザチューニング回路が、
前記第2の演算増幅器の前記第2の反転入力ノードおよび前記負の目標電圧入力に結合された左ノードと、
前記電圧出力に結合された右ノードと、をさらに備え、
前記左抵抗器および前記右抵抗器が、前記左ノードと前記右ノードとの間に直列に結合されている、請求項8に記載のイコライザ回路。
【請求項10】
電力管理回路であって、
イコライザ回路であって、
負の目標電圧と正の目標電圧とを含む差動目標電圧を受け取る電圧入力、
前記差動目標電圧に対応する等化目標電圧を出力する電圧出力、および
前記電圧入力と前記電圧出力との間に結合され、二次複素ゼロ項および実ゼロ項を含む伝達関数に基づいて、前記等化目標電圧を前記差動目標電圧から生成させるように構成されたイコライザチューニング回路、を備える、イコライザ回路と、
前記等化目標電圧に基づいて、エンベロープトラッキング(ET)電圧を生成するように構成された電圧増幅器回路と、を備える、電力管理回路。
【請求項11】
前記イコライザチューニング回路が、
前記電圧入力と前記電圧出力との間に直列に結合された左抵抗器および右抵抗器と、
前記左抵抗器と前記右抵抗器との間に位置する結合ノードに結合された第1の端部、および接地に結合された第2の端部を有するチューナブルキャパシタと、を備える、請求項10に記載の電力管理回路。
【請求項12】
前記イコライザチューニング回路が、前記チューナブルキャパシタの前記第2の端部と前記接地との間に結合されたシャント抵抗器をさらに備える、請求項11に記載の電力管理回路。
【請求項13】
前記イコライザ回路が、前記差動目標電圧に基づいて前記チューナブルキャパシタを調整し、それによって前記伝達関数内の前記実ゼロ項を調整するように構成された制御回路をさらに備える、請求項11に記載の電力管理回路。
【請求項14】
前記制御回路が、
前記差動目標電圧によって示される変調帯域幅に基づいて、ルックアップテーブル(LUT)から容量を取得することと、
前記チューナブルキャパシタを、前記LUTから取得された前記容量に設定することと、を行うようにさらに構成されている、請求項13に記載の電力管理回路。
【請求項15】
前記イコライザ回路が、前記電圧入力と前記電圧出力との間に直列に結合された第1の演算増幅器および第2の演算増幅器をさらに備える、請求項11に記載の電力管理回路。
【請求項16】
前記電圧入力が、前記正の目標電圧を受け取る正の目標電圧入力と、前記負の目標電圧を受け取る負の目標電圧入力と、を備える、請求項15に記載の電力管理回路。
【請求項17】
前記第1の演算増幅器が、
前記正の目標電圧入力に結合された第1の反転入力ノードと、
前記接地に結合された第1の非反転入力ノードと、
第1の出力ノードと、を備え、
前記第2の演算増幅器が、
前記第1の出力ノードおよび前記負の目標電圧入力に結合された第2の反転入力ノードと、
前記接地に結合された非反転入力ノードと、
前記電圧出力に結合された第2の出力ノードと、を備える、請求項16に記載の電力管理回路。
【請求項18】
前記イコライザチューニング回路が、
前記第2の演算増幅器の前記第2の反転入力ノードおよび前記負の目標電圧入力に結合された左ノードと、
前記電圧出力に結合された右ノードと、をさらに備え、
前記左抵抗器および前記右抵抗器が、前記左ノードと前記右ノードとの間に直列に結合されている、請求項17に記載の電力管理回路。
【請求項19】
前記電圧増幅器回路が、
前記等化目標電圧に基づいて、初期ET電圧を生成するように構成された電圧増幅器と、
前記初期ET電圧をオフセット電圧だけ上昇させて、前記ET電圧を生成するように構成されたオフセットキャパシタと、を備える、請求項10に記載の電力管理回路。
【請求項20】
バッテリ電圧に基づいて、複数の電圧レベルで低周波電圧を発生させるように構成されたマルチレベルチャージポンプと、
前記低周波電圧に基づいて、低周波電流を誘導するように構成された電力インダクタと、をさらに備える、請求項10に記載の電力管理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年1月8日に出願された仮特許出願第63/135,134号の利益を主張し、その開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、イコライザ回路、特に、広い変調帯域幅にわたって動作するように構成された電力管理回路のイコライザ回路に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル通信デバイスは、無線通信サービスを提供するために現在の社会でますます一般的になっている。これらのモバイル通信デバイスの普及は、部分的には、そのようなデバイスで現在有効になっている多くの機能によって推進される。そのようなデバイスにおける処理能力の増加は、モバイル通信デバイスが、純粋な通信ツールであることから、より高度なユーザエクスペリエンスを可能にする高性能モバイルマルチメディアセンターへと進化していることを意味する。
【0004】
再定義されたユーザエクスペリエンスには、第5世代新規無線(5G-NR)技術など、ミリ波(mmWave)無線周波数(RF)信号を12GHz超の周波数に位置するmmWaveスペクトルで通信するように構成された無線通信技術により提示される高速データレートが必要とされる。より高いデータレートを達成するために、モバイル通信デバイスは、(例えば、ビット当たりの十分なエネルギーを維持する)mmWaveRF信号の出力電力を増加させるために電力増幅器を用いてもよい。しかしながら、mmWaveRF信号の出力電力の増加は、モバイル通信デバイスにおける消費電力および放熱の増加につながり得るため、全体的なパフォーマンスおよびユーザエクスペリエンスを損なう。
【0005】
エンベロープトラッキング(ET)は、モバイル通信デバイスの消費電力と放熱を削減するのに役立つように、電力増幅器の効率レベルを改善するために設計され電力管理技術である。ETシステムでは、電力増幅器は、RF信号の時変振幅に従って生成された時変ET電圧に基づいて、RF信号を増幅する。より具体的には、時変ET電圧は、RF信号の時変電力エンベロープを追跡する(例えば、上昇および下降する)時変電圧エンベロープに対応する。当然のことだが、時変電圧エンベロープが時変電力エンベロープを追跡するほど、電力増幅器はより高い線形性を達成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、時変ET電圧は、特に、時変ET電圧が高変調帯域幅(例えば、>200MHz)RF信号の時変電力エンベロープを追跡するように生成されるときに、トレースインダクタンスおよび/または負荷インピーダンスによって引き起こされる歪みに非常に影響されやすい場合がある。その結果、時変電圧エンベロープは、RF信号の時変電力エンベロープとずれてしまい、したがって、RF信号に望ましくない歪み(例えば、振幅クリッピング)を引き起こす可能性がある。これに関して、時変ET電圧におけるトレースインダクタンスおよび/または負荷インピーダンスによって引き起こされる歪みを低減することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、イコライザ回路および関連する電力管理回路に関する。電力管理回路は、差動目標電圧に基づいてエンベロープトラッキング(ET)電圧を生成し、高周波(RF)信号を増幅するための信号経路を介して電力増幅器回路にET電圧を提供するように構成された電圧増幅器回路を含む。特に、電圧増幅器回路は固有のインピーダンスを有し得、信号経路は、ET電圧を集合的に歪ませることができる固有のトランスインダクタンスを有し得る。このように、電力管理回路には、ET電圧を生成する前に、差動目標電圧を均等化するためのイコライザ回路が設けられている。具体的には、イコライザ回路は、固有のトレースインダクタンスおよび固有のインピーダンスの伝達関数をオフセットするための、二次複素ゼロ項および実ゼロ項を含む伝達関数を提供するように構成されている。固有のトレースインダクタンスおよび固有のインピーダンスをオフセットするために、実ゼロ項を有する二次伝達関数を用いることにより、特にRF信号が広い変調帯域幅(例えば、>200MHz)で変調される場合に、ET電圧の歪みを低減することが可能である。
【0008】
一態様では、イコライザ回路が提供される。イコライザ回路は、負の目標電圧と正の目標電圧とを含む差動目標電圧を受け取る電圧入力を含む。イコライザ回路はまた、差動目標電圧に対応する等化目標電圧を出力する電圧出力を含む。イコライザ回路はまた、電圧入力と電圧出力との間に結合されたイコライザチューニング回路を含む。イコライザチューニング回路は、二次複素ゼロ項および実ゼロ項を含む伝達関数に基づいて、等化目標電圧を差動目標電圧から生成させるように構成されている。
【0009】
別の態様では、電力管理回路が提供される。電力管理回路は、イコライザ回路を含む。イコライザ回路は、負の目標電圧と正の目標電圧とを含む差動目標電圧を受け取る電圧入力を含む。イコライザ回路はまた、差動目標電圧に対応する等化目標電圧を出力する電圧出力を含む。イコライザ回路はまた、電圧入力と電圧出力との間に結合されたイコライザチューニング回路を含む。イコライザチューニング回路は、二次複素ゼロ項および実ゼロ項を含む転送関数に基づいて、等化目標電圧を差動目標電圧から生成させるように構成されている。電力管理回路はまた、均等化された目標電圧に基づいて、ET電圧を生成するように構成された電圧増幅器回路を含む。
【0010】
当業者は、添付の図面と関連して、好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、本開示の範囲を理解し、その追加の態様を実現するであろう。
【0011】
本明細書に組み込まれ、この一部を形成する添付の図は、本開示のいくつかの態様を図示し、説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ET電圧を生成するように構成されている例示的な従来のエンベロープトラッキング(ET)電力増幅装置の概略図である。
【
図2】ET電圧を歪ませることができる
図1の従来の電力増幅装置の様々なインピーダンスおよび/またはインダクタンスを示すための例示的な等価回路の概略図である。
【
図3】
図1のET電圧を歪ませることができる
図2の等価回路における電圧擾乱に寄与する要因の例示的な図を提供するグラフ図である。
【
図4】本開示の実施形態に従って、ET電圧における電圧擾乱をオフセットするために、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数を実装するように構成されている例示的な電力管理回路の概略図である。
【
図5】
図4の電力管理回路が、ET電圧の電圧擾乱をオフセットするために、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数に基づいて、
図3に示すように電圧擾乱をどのように効果的に低減することができるかについての例示的な図を提供するグラフ図である。
【
図6】ET電圧における電圧擾乱をオフセットするために実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数を実装するために、本開示の実施形態に従って構成されている
図4の電力管理回路におけるイコライザ回路の例示的な図を提供する概略図である。
【
図7】
図6のイコライザ回路に提供されるイコライザチューニング回路の例示的な図を提供する概略図である。
【
図8A】
図7におけるイコライザチューニング回路の代替の実装態様の例示的な図を提供する概略図である。
【
図8B】
図7におけるイコライザチューニング回路の代替の実装態様の例示的な図を提供する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に記載される実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にするために、必要な情報を表し、実施形態を実施する最良の態様を表している。添付の図面を参照して以下の説明を読むと、当業者は本開示の概念を理解し、本明細書で特に取り上げていないこれらの概念の応用を認識するであろう。これらの概念および応用は、本開示の範囲および添付の特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。
【0014】
第1、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって制限されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素と別の要素を区別するためにのみ使用される。例えば、第1の要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、第2の要素と称され得、同様に、第2の要素は、第1の要素と称され得る。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の、および全ての組み合わせを含む。
【0015】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素「上に」ある、またはその「上へ」延在すると言われる場合、他の要素上に直接的にある、またはその上へ直接延在する、または介在する要素もまた存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素の「直接上にある」、またはその「上へ直接」延在すると言われる場合、介在要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上方に」ある、または「上方に」延在していると言われる場合、他の要素の上方に直接あってもよいし、その上方に直接延在してもよいし、または介在する要素も存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素の「上方に直接」または「上方に直接」延在すると言われる場合、介在要素は存在しない。要素が、別の要素に「接続されている」または「結合されている」と言われる場合、他の要素に直接接続されても、結合されてもよく、または介在する要素が存在してもよいことも理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と言われる場合、介在要素は存在しない。
【0016】
「下に」または「上に」または「上」または「下」または「水平」または「垂直」などの相対的な用語は、図に示されるように、1つの要素、層、または領域と別の要素、層、または領域との関係を説明するために本明細書で使用され得る。これらの用語および上で考察された用語は、図に描かれている向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することを意図していることが理解されるであろう。
【0017】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用されるとき、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0018】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されないことはさらに理解されるであろう。
【0019】
実施形態は、イコライザ回路および関連する電力管理回路を参照して本明細書に記載される。電力管理回路は、差動目標電圧に基づいてエンベロープトラッキング(ET)電圧を生成し、高周波(RF)信号を増幅するための信号経路を介して電力増幅器回路にET電圧を提供するように構成されている電圧増幅器回路を含む。特に、電圧増幅器回路は固有のインピーダンスを有し得、信号経路は、ET電圧を集合的に歪ませることができる固有のトランスインダクタンスを有し得る。このように、電力管理回路には、ET電圧を生成する前に、差動目標電圧を等化するためのイコライザ回路が設けられている。具体的には、イコライザ回路は、固有のトレースインダクタンスおよび固有のインピーダンスの伝達関数をオフセットするための二次複素ゼロ項および実ゼロ項を有する伝達関数を提供するように構成されている。固有のトレースインダクタンスおよび固有のインピーダンスをオフセットするために、実ゼロ項を有する二次伝達関数を用いることにより、特にRF信号が広い変調帯域幅(例えば、>200MHz)で変調される場合に、ET電圧の歪みを低減することが可能である。
【0020】
図4において始まる、本開示による電力管理回路およびその中に組み込まれたイコライザ回路について考察する前に、まず、
図1~
図3を参照して、ET電圧歪みを経験し得る従来のET電力管理装置の概要を提供する。
【0021】
図1は、ET電圧V
CCを生成するように構成されている例示的な従来の電力管理装置10の概略図である。従来の電力管理装置10は、トランシーバ回路12、ET集積回路(ETIC)14、電力増幅器回路16、およびETIC14を電力増幅器回路16に結合する信号線18を含む。
【0022】
トランシーバ回路12は、時変電力エンベロープPENVに関連付けられたRF信号20を生成し、電力増幅器回路16に提供するように構成されている。トランシーバ回路12はまた、(別名、追跡)時変電力エンベロープPENVに従って目標電圧VTGTを生成するように構成されている。ETIC14は、目標電圧VTGTに基づいてET電圧VCCを生成するように構成され、電力増幅器回路16は、ET電圧VCCに基づいてRF信号20を増幅するように構成されている。
【0023】
当業者は、電力増幅器回路16が、ET電圧VCCがRF信号20の電力エンベロープPENVを正確に追跡するときに、改善された効率および線形性で動作し得ることを理解するであろう。これは、ET電圧VCCが目標電圧VTGTと時間的に整合しているときに達成される。しかしながら、ET電圧VCCと目標電圧VTGTとの間の時間的な整合は、従来の電力管理装置10に提示される様々なインピーダンスおよび/またはインダクタンスによって複雑になり得る。
【0024】
様々なインピーダンスおよび/またはインダクタンスを例示するために、
図2は、ET電圧V
CCを歪ませることができる
図1の従来の電力管理装置10の様々なインピーダンスおよび/またはインダクタンスを例示するための例示的な等価回路22の概略図である。
図1と
図2の間に共通する要素については、共通の要素番号で示し、本明細書での再説明は行わない。
【0025】
等価回路22において、ETIC14は、等価インダクタンスLETICによってモデル化することができる固有のインダクタンスを有し、信号線20は、等価トランスインダクタンスLTRACEによってモデル化することができる固有のトランスンスインダクタンスを有する。したがって、等価回路22は、等価インダクタンスLETICと等価トランスインダクタンスLTRACE(LE=LETIC+LTRACE)の合計に等しい全等価インダクタンスLEを有する。
【0026】
電力増幅器回路16は、変調された電流I
CC(s)を有する電流源としてモデル化され、全等価容量C
PAを有し得る。したがって、電流源に提示される等価電流源インピーダンスZ
SOURCE(s)は、以下の式(式1)のように決定され得る。
【数1】
【0027】
式(式1)において、sはs変換表記を表し、s=j2πfと表すことができる。変調された電流I
CC(s)は、目標電圧V
TGTにある程度比例しており、以下の式(式2)のように表現され得る。
【数2】
【0028】
上記の式(式2)において、ZICC(s)は、電力増幅器回路16のコレクタ(図示せず)におけるインピーダンスを表し、ΔDは、電力増幅器回路16の出力段(図示せず)におけるVTGTと時変電力エンベロープPEVNとの間のグループ遅延を表す。
【0029】
特に、変調電流I
CCは、電力増幅器回路16のコレクタ全体にわたって電圧擾乱を生じさせることができる。電圧擾乱は、Z
SOURCE(s)*I
CC(s)にほぼ等しい。
図3に例示され、考察されるように、電圧擾乱は、主に全等価インダクタンスL
Eによって引き起こされ得る。
図3は、
図1のET電圧を歪ませることができる
図2の等価回路22における電圧擾乱に寄与する要因の例示的な図を提供するグラフ図である。
【0030】
図3は、第1の伝達関数曲線24および第2の伝達関数曲線26を示す。具体的には、第1の伝達関数曲線24は、ET電圧V
CCに電圧擾乱を引き起こすことができる等価トレースインダクタンスL
TRACEの伝達関数を示す。第2の伝達関数曲線26は、ET電圧V
CCに電圧擾乱を引き起こすことができる等価インピーダンスL
ETICの伝達関数を示している。
図3に示されるように、等価トレースインダクタンスL
TRACEは、ET電圧V
CCを周波数Aでピークにし、その後急激に低下させることができる。一方、等価インダクタンスL
ETICは、周波数BからET電圧V
CCの低下を引き起こすことができる。等価トレースインダクタンスL
TRACEおよび等価インダクタンスL
ETICの伝達関数によって引き起こされるET電圧V
CCの変化(別名、電圧擾乱)は、ET電圧V
CCの歪みにつながり得る。
【0031】
再び
図2を参照すると、等価トレースインダクタンスL
TRACEおよび等価インダクタンスL
ETICの伝達関数は、概して、以下の式(式3)によるsドメインでH(s)として表すことができる。
【数3】
【0032】
上記の式(式3)では、N(s)およびD(s)は、それぞれ、伝達関数の1つ以上のゼロおよび1つ以上の極を定義する単純多項式であり、s=j2πfである。1つ以上のゼロは、多項式方程式N(s)の根であり、式N(s)=0を解くことによって決定することができる。多項式N(s)の次数は、伝達関数H(s)のゼロの数を決定する。各ゼロは、伝達関数H(s)のゼロ出力に対応する。多項式N(s)は、N(s)が定数値を表すときのゼロ次多項式であり、N(s)=1+b0s(b0は定数)のときの一次多項式であり、N(s)=1+b0s+b1s2(b1は定数)のときの二次多項式、などである。特に、伝達関数H(s)は、N(s)が一次多項式N(s)=1+b0sである場合には実ゼロ項、またはN(s)が二次多項式N(s)=1+b0s+b1s2である場合には二次複素ゼロ伝達関数と、さらに呼ばれる。したがって、二次複素ゼロ項(1+b0s+b1s2)および実ゼロ項(1+b0s)の両方を有する伝達関数H(s)は、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数と呼ぶことができる。
【0033】
ゼロとは対照的に、1つ以上の極は、多項式D(s)の根であり、式D(s)=0を解くことによって決定することができる。多項式D(s)の次数は、伝達関数H(s)の極の数を決定する。各極は、伝達関数H(s)の無限出力に対応する。多項式D(s)は、D(s)が定数値を表すときのゼロ次多項式であり、D(s)=1+a0s(a0は定数)のときの一次多項式であり、D(s)=1+a0s+a1s2(a1は定数)のときの二次多項式、などである。特に、伝達関数H(s)は、D(s)が一次多項式N(s)=1+a0sである場合には実極項、またはD(s)が二次多項式N(s)=1+a0s+a1s2である場合には二次複素極伝達関数と、さらに呼ばれる。したがって、二次複素極項(1+a0s+a1s2)および実極項(1+a0s)の両方を有する伝達関数H(s)は、実極項を有する二次複素極伝達関数と呼ぶことができる。
【0034】
具体的には、等価トレースインダクタンスL
TRACEの伝達関数H(s)は、二次複素極伝達関数であり得、等価インダクタンスL
ETICの伝達関数H(s)は、実極伝達項であり得る。したがって、等価トレースインダクタンスL
TRACEおよび等価なインダクタンスL
ETICの全体的な伝達関数H(s)は、実極項を有する二次複素極伝達関数H(s)であり得る。この点で、ET電圧V
CCの電圧擾乱を低減または排除するためには、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)を実装して、実極項を有する二次複素極伝達関数H(s)をオフセットする必要がある。次に、電圧擾乱をオフセットするための二次複素ゼロ伝達関数N(s)を作成することに関する具体的な実施形態を、
図4から考察する。
【0035】
図4は、本開示の実施形態に従って、ET電圧V
CCにおける電圧擾乱をオフセットするために、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)を実装するように構成されている例示的な電力管理回路28の概略図である。電力管理回路28は、電力増幅器回路32も含む電力管理装置30に設けることができる。電力管理回路28は、差動目標電圧V
TGTに基づいてET電圧V
CCを生成し、RF信号38を増幅するための信号経路36(例えば、導電トレース)を介してET電圧V
CCを電力増幅器回路32に提供するように構成されている電圧増幅器回路34を含む。
【0036】
注目すべきことに、電圧増幅器回路34は、
図2に示されるように等価インダクタンスL
ETICによってモデル化され得る固有のインピーダンスを有することができる。同様に、信号経路36は、
図2に示されるように、等価インダクタンスL
TRACEによってモデル化され得る固有のトランスインダクタンスを有することができる。したがって、
図2および
図3の先の考察によれば、等価インダクタンスL
ETICおよび等価インダクタンスL
TRACEは、二次複素極伝達関数H(s)を実極と共に集合的に提示して、電圧擾乱にET電圧V
CCを歪ませることができる。
【0037】
このように、電力管理回路28は、イコライザ回路40を含むように構成されている。以下で詳細に考察されるように、イコライザ回路40は、差動目標電圧VTGTを等化して、等化目標電圧VTGT-Eを生成するように構成されている。したがって、電圧増幅器回路34は、等化目標電圧VTGT-Eに基づいて、ET電圧VCCを生成するように構成され得る。
【0038】
具体的には、イコライザ回路40は、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)に基づいて、等化目標電圧VTGT-Eを生成するように構成されている。これに関して、等化目標電圧VTGT-Eは、等価トレースインダクタンスLTRACEおよび等価インダクタンスLETICの伝達関数H(s)を効果的にオフセットすることができる。その結果、特にRF信号38が広い変調帯域幅(例えば、>200MHz)で変調されるときに、ET電圧VCCの電圧擾乱を排除することが可能である。
【0039】
図5は、
図4の電力管理回路28のイコライザ回路40が、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)に基づいて、
図3に示すように電圧擾乱をどのように効果的に低減することができるかについての例示的な図を提供するグラフ図である。
図3と
図5の間に共通する要素については、共通の要素番号で示し、本明細書での再説明は行わない。
【0040】
図5はさらに、第3の伝達関数曲線42および第4の伝達関数曲線44を示す。具体的には、第3の伝達関数曲線42は、イコライザ回路40で実装された、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)を表す。第4の伝達関数曲線44は、電力管理回路28の全体的な伝達関数である。ほぼ平坦な第4の伝達関数曲線44に示されるように、電力管理回路28は、第3の伝達関数曲線42で表される実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H (s)を実装した結果として、等価トレースインダクタンスL
TRACEおよび等価インダクタンスL
ETICによって生じる電圧擾乱を効果的に排除することができる。
【0041】
図6は、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)を実装するために、本開示の実施形態に従って構成されている
図4の電力管理回路28におけるイコライザ回路40の例示的な図を提供する概略図である。
図4と
図6の間に共通する要素については、共通の要素番号で示し、本明細書での再説明は行わない。
【0042】
「EQUALIZER FOR ENVELOPE POWER SUPPLY CIRCUITRY」と題された米国特許出願第17/142,350号(以下、「App’350」)は、等価トレースインダクタンスLTRACEの二次複素ゼロ伝達関数を効果的にオフセットすることができるイコライザ回路を開示した。本明細書で考察されるイコライザ回路40は、イコライザ回路40が等価インダクタンスLETICの実ゼロ項をさらにオフセットすることができる点で、App’350のイコライザ回路とは異なる。イコライザ回路40はさらに、イコライザ回路40がイコライザチューニング回路46を含み、これは、(例えば、RF信号38の変調帯域幅に基づいて)イコライザ回路40の伝達関数H(s)を変更するように制御され得るという点で、アプリケーション350のイコライザ回路とは異なる。
【0043】
イコライザ回路40は、負の目標電圧VTGT-Mおよび正の目標電圧VTGT-Pを含む差動目標電圧VTGTを受け取る電圧入力48を含む。非限定的な例では、電圧入力48は、負の目標電圧VTGT-Mを受け取るための負の目標電圧入力50Mと、正の目標電圧VTGT-Pを受け取るための正の目標電圧入力50Pとを含む。イコライザ回路40はまた、差動目標電圧VTGTに対応する等化目標電圧VTGT-Eを出力する電圧出力52を含む。イコライザチューニング回路46は、電圧入力48と電圧出力52との間で結合される。
【0044】
以下で詳細に考察されるように、イコライザ回路40は、等化目標電圧VTGT-Eが実極項を有する二次複素極伝達関数H(s)をオフセットできるように、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)に基づいて差動目標電圧VTGTを等化するように構成されている。
【0045】
イコライザ回路40は、第1の演算増幅器OPA1および第2の演算増幅器OPA2を含む。第1の演算増幅器OPA1は、第1の反転入力ノード54、第1の非反転入力ノード56、および第1の出力ノード58を含む。第1の反転入力ノード54は、互いに並列に結合された第1の抵抗R1および第1のキャパシタC1を介して、正の目標電圧入力50Pに結合されている。第2の抵抗R2は、第1の反転入力ノード54と第1の出力ノード58との間に結合されている。第1の非反転入力ノード56は、接地(GND)に結合されている。第2の演算増幅器OP2は、第2の反転入力ノード60、第2の非反転入力ノード62、および第2の出力ノード64を含む。第2の反転入力ノード60は、第2のキャパシタC2を介して第1の出力ノード58に結合される。さらに、第2の反転入力ノード60は、第3の抵抗R3を介して負の目標電圧入力50Mに結合され得、さらに、イコライザチューニング回路46を介して第2の出力ノード64に結合され得る。第2の非反転入力ノード62は、接地(GND)に結合されている。第2の出力ノード64は、電圧出力52に結合され得る。イコライザ回路40は、電圧出力52のみを含むように示されるが、いくつかの実施形態では、イコライザ回路40は、反転電圧出力ノード(図示せず)を含むことも可能であり、その結果、等化目標電圧VTGT-Eは、差動等化目標電圧であり得る。第1の演算増幅器OPA1および第2の演算増幅器OPA2が、どのようにして二次複素ゼロ伝達関数を実装することができるかに関する具体的な詳細は、App’350に見出すことができ、本明細書では再説明されない。
【0046】
一実施形態では、イコライザチューニング回路46は、Tネットワーク構成に基づいて実装され得る。
図7は、
図6のイコライザ回路40におけるイコライザチューニング回路46の例示的な図を提供する概略図である。
図6と
図7の間に共通する要素については、共通の要素番号で示し、本明細書での再説明は行わない。
【0047】
イコライザチューニング回路46は、負の目標電圧入力50Mと電圧出力52との間に直列に結合された左抵抗器RLと、右抵抗器RRを含む。イコライザチューニング回路46はまた、左抵抗器RLと右抵抗器RRとの間に位置する結合ノード66と接地(GND)との間に結合されたチューナブルキャパシタC0を含む。図示されるように、左抵抗器RL、右抵抗器RR、チューナブルキャパシタC0、およびシャント抵抗器RSは、共同でTネットワークを形成する。一実施形態では、イコライザチューニング回路46は、チューナブルキャパシタC0と接地(GND)との間に結合されたシャント抵抗器RSをさらに含んでもよい。
【0048】
再び
図6を参照すると、
図7に示すようにイコライザチューニング回路46を組み込むことによって、イコライザ回路40は、以下の式(式4)で表されるように、実ゼロ項を有する二次複素ゼロ伝達関数H(s)を実現することができる。
【数4】
【0049】
式(式4)に示すように、伝達関数H(s)は、二次次複素ゼロ項
【数5】
および実ゼロ項
【数6】
を含む。したがって、イコライザ回路40によって実現される伝達関数H(s)は、等価トレースインダクタンスL
TRACEおよび等価インダクタンスL
ETICによって実現されるように、実極を有する二次複素極伝達関数H(s)を効果的にオフセットすることができる。
【0050】
さらに、式(式4)は、チューナブルキャパシタC
0の容量を変更することにより、実ゼロ項
【数7】
を変更することが可能であることを示している。これに関して、非限定的な例では、イコライザ回路40は、制御回路68およびルックアップテーブル(LUT)70をさらに含み、チューナブルキャパシタC
0を介して、実ゼロ項
【数8】
を静的または動的に調整するように構成することができる。
【0051】
一実施形態では、LUT70は、チューナブルキャパシタC
0の様々な容量値とRF信号38の様々な変調帯域幅との間の相関を確立するように予め構成されていてもよい。これに関して、例としてフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり得る制御回路68が、RF信号38の特定の変調帯域幅を示す差動目標電圧V
TGT(例えば、負の目標電圧V
TGT-Mおよび/または正の目標電圧V
TGT-P)を受け取るとき、制御回路68は、特定の変調帯域幅に対応するLUT70からそれぞれのキャパシタンスを取得し、LUT70から取得されたそれぞれのキャパシタンスに(例えば、制御信号72を介して)チューナブルキャパシタC
0を設定してもよい。結果として、例えば、シンボルまたはフレームのバースト間で実ゼロ項
【数9】
を動的に変更することが可能になる。
【0052】
図7に示すようなTネットワーク構成に基づいてイコライザチューニング回路46を実装する代わりに、πネットワーク構成に基づいてイコライザチューニング回路46を実装することも可能である。これに関して、
図8Aおよび
図8Bは、
図7におけるイコライザチューニング回路46の代替の実装の例示的な図を提供する概略図である。
【0053】
図8Aは、実ゼロ項を含む伝達関数H(s)を実現するために、本開示の代替的な実施形態に従って構成されているイコライザチューニング回路46Aの例示的な図を提供する概略図である。イコライザチューニング回路46Aは、シャント抵抗器R
Sなしで
図7のイコライザチューニング回路46と機能的に等価であり得る。
図8Aに示されるように、イコライザチューニング回路46Aは、インピーダンスZ
a、Z
b、およびZ
cを含むπネットワーク構成に従って構成されている。インピーダンスZ
a、Z
b、およびZ
cは、以下の式(式5.1~5.3)に基づいて決定することができる。
【数10】
【数11】
【数12】
【0054】
上記の式(式1~式3)において、ZR
L、ZR
R、およびZC
0は、それぞれ、
図7における左抵抗器R
L、右抵抗器R
R、およびチューナブルキャパシタC
0の等価インピーダンスを表す。一実施形態では、インピーダンスZ
cは、等価インダクタL
EQ(R
EQ=R
L*R
R*C
0)に直列に結合されている等価抵抗器R
EQ(R
EQ=R
L+R
R)によってモデル化され得る。イコライザチューニング回路46は、実ゼロ項[(R
L+R
R)+(R
L-R
R)*C
0*s]を定義する。
【0055】
図8Bは、実ゼロ項および実極伝達関数を実現するために、本開示の別の代替的な実施形態に従って構成されているイコライザチューニング回路46Bの例示的な図を提供する概略図である。イコライザチューニング回路46Bは、シャント抵抗器R
Sを有する
図7のイコライザチューニング回路46と機能的に等価であり得る。イコライザチューニング回路46Bは、実ゼロ項[(R
L+R
R)+(R
L*R
R+(R
L+R
R)*R
S)*C
0*s]および実極項[1+R
S*C
0*s]を定義する。
【0056】
再び
図4を参照すると、電圧増幅器回路34は、オフセットキャパシタC
OFFに直列に結合されている電圧増幅器74(「VA」として表される)を含むことができる。電圧増幅器74は、等化目標電圧V
TGT-Eに基づいて、初期ET電圧V
AMPを生成するように構成されている。オフセットキャパシタC
OFFは、低周波電流I
DCによって充電され、初期ET電圧V
AMPをオフセット電圧V
OFFによって上昇させ、ET電圧V
CC(V
CC=V
AMP+V
OFF)を生成してもよい。電圧増幅器回路34は、ET電圧V
CCのフィードバックを電圧増幅器74に提供することができるフィードバック経路76を含んでもよい。
【0057】
電力管理回路28は、電力インダクタ80に直列に結合されているマルチレベルチャージポンプ(MCP)78を含むことができる。MCP78は、バッテリ電圧VBATに基づいて複数のレベルで低周波電圧VDCを生成するように(例えば、差動目標電圧VTGTに基づいて)制御されてもよい。例えば、MCP78は、0VまたはVBATで低周波電圧VDCを生成するために、バックモードで動作してもよい。MCP78はまた、2*VBATで低周波電圧VDCを生成するために、ブーストモードで動作してもよい。電力インダクタ80は、低周波電圧VDCに基づいて、低周波電流IDCを誘導するように構成されている。
【0058】
電力管理回路28は、イコライザ回路40と電圧増幅器回路34との間に結合されている処理回路82をさらに含んでもよい。処理回路82は、等化目標電圧VTGT-Eを電圧増幅器回路34に提供する前に、等化目標電圧VTGT-Eに対してさらなる信号処理(例えば、アンチエイリアシング)を実行し得る。
【0059】
当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改善および修正を認識するであろう。全てのこのような改善および修正は、本明細書に開示される概念の範囲および以下の特許請求の範囲内で考慮される。
【外国語明細書】