(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107552
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】フロート式逆流防止弁
(51)【国際特許分類】
E03F 7/04 20060101AFI20220714BHJP
E03C 1/298 20060101ALI20220714BHJP
F16K 31/18 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
E03F7/04
E03C1/298
F16K31/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002471
(22)【出願日】2021-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛士
【テーマコード(参考)】
2D061
3H068
【Fターム(参考)】
2D061AA10
2D061AB04
2D061DD14
3H068AA02
3H068BB81
3H068DD02
3H068DD12
3H068FF06
3H068FF08
3H068GG01
(57)【要約】
【課題】フロートの弁座への固着を解除可能なフロート式逆流防止弁を提供する。
【解決手段】フロート式逆流防止弁は、上流から下流に排水を行う排水系統中に配設され、環状弁座、フロート、ガイド部材、規定部材、復帰機構を備える。環状弁座は、上下方向に開口し、排水系統の上流側と下流側とを連通する。フロートは、環状弁座下方の下流側において上下方向に移動可能に位置し、排水の水位上昇に伴って浮上して開口を閉じることで環状弁座を閉塞し、排水の水位低下に伴って降下して開口を開けることで環状弁座を開放する。ガイド部材は、フロートの上下方向の移動をガイドする。規定部材は、フロートの移動の下限位置を規定する。復帰機構は、環状弁座の上方に位置し、環状弁座を閉塞した状態におけるフロートを降下方向に付勢可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に排水を行う排水系統中に配設されるフロート式逆流防止弁であって、
上下方向に開口し、前記排水系統の上流側と下流側とを連通する環状弁座、
前記環状弁座下方の下流側において上下方向に移動可能に位置し、排水の水位上昇に伴って浮上して前記開口を閉じることで該環状弁座を閉塞し、排水の水位低下に伴って降下して該開口を開けることで該環状弁座を開放するフロート、
前記フロートの上下方向の移動をガイドするガイド部材、
前記フロートの移動の下限位置を規定する規定部材、
前記環状弁座の上方に位置し、該環状弁座を閉塞した状態におけるフロートを降下方向に付勢可能な復帰機構、
を備えたことを特徴とするフロート式逆流防止弁。
【請求項2】
前記復帰機構は、
一端部が前記環状弁座に対向し、他端部が前記排水系統の上流側に露出した軸、
前記環状弁座を閉塞した状態におけるフロートに前記一端部が当接して該フロートを前記降下方向に付勢する位置である第一位置と、該一端部が該フロートを該降下方向に付勢しない位置である第二位置との間で、前記軸を上下方向に移動自在に支持する支持部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のフロート式逆流防止弁。
【請求項3】
前記一端部には、前記フロートに向かって凹である曲面形状の当接面を有する当接部材が配設されていることを特徴とする請求項2に記載のフロート式逆流防止弁。
【請求項4】
前記復帰機構は、前記軸を前記第二位置から前記第一位置に向かう方向に付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のフロート式逆流防止弁。
【請求項5】
前記フロートが降下によって着地する衝撃吸収部材を前記規定部材の上面に配設したことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のフロート式逆流防止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工場などの敷地内や建屋内で発生する排水を河川や海、公共排水施設などに排出する排水系統中に配設されるフロート式逆流防止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などの敷地内や建屋内で発生する排水を河川や海、公共排水施設などに排出する排水系統において、上流から下流への順方向に排水を行うべく、球形フロートを用いた逆流防止弁(フロート式逆流防止弁)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、フロート式逆流防止弁は、排水系統の上流側と下流側とを連通する弁座(環状弁座)、環状弁座の下方に位置するフロート等を備えている。逆流時において水位が上昇することによって、フロートは、浮上した状態となって環状弁座を閉塞する。これにより、環状弁座より上流側への逆流が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したフロート式逆流防止弁では、逆流状態が長時間連続した場合、排水に含まれる汚物やスケール等により、フロートが弁座に固着してしまう虞がある。
【0006】
この発明は、フロートの弁座への固着を解除可能なフロート式逆流防止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるフロート式逆流防止弁は、上流から下流に排水を行う排水系統中に配設され、環状弁座、フロート、ガイド部材、規定部材、復帰機構を備える。環状弁座は、上下方向に開口し、排水系統の上流側と下流側とを連通する。フロートは、環状弁座下方の下流側において上下方向に移動可能に位置し、排水の水位上昇に伴って浮上して開口を閉じることで環状弁座を閉塞し、排水の水位低下に伴って降下して開口を開けることで環状弁座を開放する。ガイド部材は、フロートの上下方向の移動をガイドする。規定部材は、フロートの移動の下限位置を規定する。復帰機構は、環状弁座の上方に位置し、環状弁座を閉塞した状態におけるフロートを降下方向に付勢可能である。
【0008】
上記復帰機構は、一端部が環状弁座に対向し、他端部が排水系統の上流側に露出した軸、環状弁座を閉塞した状態におけるフロートに一端部が当接してフロートを降下方向に付勢する位置である第一位置と、一端部がフロートを降下方向に付勢しない位置である第二位置との間で、軸を上下方向に移動自在に支持する支持部材、を備えるようにしてもよい。
【0009】
上記一端部には、フロートに向かって凹である曲面形状の当接面を有する当接部材が配設されるようにしてもよい。
【0010】
上記復帰機構は、軸を第二位置から第一位置に向かう方向に付勢する付勢部材を備えるようにしてもよい。
【0011】
上記フロートが降下によって着地する衝撃吸収部材を規定部材の上面に配設するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、作業者等が復帰機構を操作することで、環状弁座を閉塞した状態のフロートが降下方向に付勢される。したがって、逆流時から通常時に戻った場合などにおいて、フロートと環状弁座とが固着していても、復帰機構による付勢力によって固着が解除され、フロートを通常時の位置に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施形態に係る逆流防止弁の断面図である。
【
図2】この発明の実施形態に係る逆流防止弁の底板の平面図である。
【
図3】この発明の実施形態に係る逆流防止弁の復帰機構の平面図及び底面図である。
【
図4】逆流防止弁が有する機能を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照してこの発明の実施形態であるフロート式逆流防止弁(以下、逆流防止弁という)について説明する。なお、この発明の構成は、実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、この発明の実施形態に係る逆流防止弁1の断面図である。また、
図2は、逆流防止弁1の底板6の平面図である。
図3(A)及び
図3(B)は、逆流防止弁1の復帰機構3の平面図及び底面図である。
【0016】
図1に示すように、この実施形態の逆流防止弁1は、例えば建屋の床面200に発生する排水を河川や海などに排出する排水系統中に配設され、河川等から床面200に水が逆流してくるのを防止する。排水系統は、床面200に配設された蓋体201、床面200に形成された凹部202、凹部202から下方に延びる排水管203等から構成される。逆流防止弁1は、排水管203の上端側の内部に配設される。
【0017】
逆流防止弁1は、本体2、復帰機構3、環状弁座4、ガイド棒5、底板6、台座7及びフロート8等を備える。本体2は、上下方向に貫通した断面が円形状の流路21を有する略円筒形状を呈する。本体2は、上端のフランジ20にネジ穴22を有している。ネジ(不図示)がネジ穴22を貫通して凹部202底面のネジ穴23とねじ結合することで、本体2が凹部202に固定支持される。流路21は、上端及び下端に開口を有し、排水管203の上流側と下流側とを連通する。
【0018】
復帰機構3は、環状弁座4の上方の流路21内に位置し、フロート8が環状弁座4に固着した場合に固着(閉弁)を解除するために使用される。復帰機構3は、支持板31、軸32、レバー33、当接部材34及びバネ35等から構成されている。作業者等がレバー33を下方に押し込む(押し下げる)ことで、当接部材34(当接面341)が環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8を降下方向に付勢する。これにより、固着が解除される。復帰機構3の詳細な動作は後述する。なお、
図1では、環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8の位置を二点鎖線Sで示している。
【0019】
支持板(支持部材)31は、円板形状を呈し、挿通孔311及び貫通孔312A~312Dを有する。支持板31は、挿通孔311に挿通された軸32を上下方向に移動自在に支持する。貫通孔312A~312Dは、流路21の上流側と下流側とを連通する。支持板31は、例えば、シリコンゴム等のOリングを用いて本体2の内周面の段部に固定されている。
【0020】
軸32は、一端部に当接部材34が配設され、他端部にレバー33が配設されている。軸32は、上限位置及び下限位置の間で支持板31によって移動自在に支持されている。上限位置は、当接部材34(当接面341)が環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8を降下方向に付勢しない位置(第二位置)である。例えば、
図1に示す位置が上限位置である。この実施形態では、当接部材34(当接面341)と環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8とが、僅かな隙間を介して対向する状態を上限位置としている。なお、上限位置は、環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8を降下方向に付勢しない位置であればよい。例えば、当接部材34(当接面341)と環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8とがより大きな隙間を介して対向する状態の位置を上限位置としてもよい。また、例えば、当接部材34(当接面341)と環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8とが、付勢のない、単に接触する状態の位置を上限位置としてもよい。
【0021】
また、下限位置は、レバー33の下部が支持板31の上面に当接する位置である。例えば、
図4(B)に示す位置が下限位置である。下限位置は、当接部材34(当接面341)が環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8を降下方向に付勢する位置(第一位置)に該当する。なお、下限位置は、少なくとも当接部材34(当接面341)が環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8を降下方向に付勢する位置であればよい。例えば、
図4(B)に示す位置よりも上方の位置を下限位置としてもよい。
【0022】
レバー33は、円形の板状部材であり、上面が排水系統の上流側に露出した状態である。軸32の他端部がレバー33の固定穴に嵌入し、軸32の移動に合わせてレバー33も上下方向に移動する。例えば、作業者等がレバー33の上面を下方に押し下げることで、軸32が下方に移動する(
図4(B)参照)。
【0023】
当接部材34は、平面視において円形状であり、フロート8に向かって凹である曲面形状の当接面341を有する。軸32の一端部が当接部材34の固定穴に嵌入し、軸32の移動に合わせて当接部材34も上下方向に移動する。当接面341は、フロート8に対向し、少なくとも当接部材34が下限位置に到達している状態において、環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8に当接する。これにより、フロート8には降下方向に付勢させれる。なお、上述の当接は、当接部材34(当接面341)が、環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8を降下方向に付勢するように接触している状態である。この実施形態では、軸32が上限位置から下限位置に移動していく場合において、下限位置に到達するより前に、当接面341は、環状弁座4を閉塞した状態におけるフロート8に当接し始める。したがって、下限位置ではなくても、当接を開始した以降の軸32の位置は、本発明の第一位置に該当する。
【0024】
なお、当接面341の曲率は、フロート8の外周面と面接触するように、フロート8の曲率と同等である。面接触によって、当接面341の当接によるフロート8の変形を抑制できる。また、レバー33及び当接部材34は、例えば、樹脂製である。
【0025】
バネ(付勢部材)35は、軸32が挿通された状態で、両端部が支持板31とレバー33とに固定されている。バネ35は、レバー33を上方向に付勢する。すなわち、バネ35は、レバー33を介して軸32を下限位置から上限位置に向かう方向に付勢する。これにより、軸32は、レバー33が押し下げられた場合を除いて、上限位置に位置する状態となる。なお、バネ35とは異なる付勢部材を用いてもよい。また、バネ35は設けなくてもよい。
【0026】
環状弁座4は、例えばゴム製であり、流路21の下端の開口に対向する連通開口40を有する。環状弁座4は、弁座押え42を介して本体2の下端に押圧固定されている。環状弁座4は、連通開口40を介して、流路21と下流側の排水管203とを連通する。
【0027】
弁座押え42は、環状構造を有している。弁座押え42は、環状弁座4を固定する小ネジ43を挿入するための小ネジ穴(不図示)を有している。この小ネジ43が小ネジ穴及び環状弁座4を貫通して本体2とネジ結合することで、弁座押え42が本体2に固定支持される。
【0028】
ガイド棒(ガイド部材)5は、テンレス鋼等の金属製であり、フロート8を上下方向に案内する。ガイド棒5は、上端部が本体2下端に等間隔に設けられたネジ穴25とねじ結合し、本体2に固定支持されている。この実施形態では、4本のガイド棒5が設けられているが、4本のうちの1本のガイド棒5の図示は省略する。ガイド棒5は、フロート8に常に接触している状態ではなく、
図1等に示すように、フロート8が底板6の中心に位置している状態では、隙間ができる状態で配設されている。なお、ガイド棒5は、少なくとも3本設けられていればよい。
【0029】
ガイド棒5の下端部は、底板6のガイド棒孔61(
図2参照)を貫通した状態でナット15に螺合する。底板(規定部材)6は、板面が水平になるようにナット15によって支持され、フロート8の下方に位置してフロート8の移動の下限位置を規定する。底板6は、上面の中央において台座7を固定支持する。また、底板6は、
図2に示すように排水を通過させるための複数の貫通孔62を有する。なお、底板6の板面は、精密に水平支持される必要はなく略水平であればよい。
【0030】
台座7は、フロート8が降下によって着地(着座)する衝撃吸収部材であり、降下した際のフロート8を支持する。台座7は、樹脂製であり、例えば、接着剤によって底板6に固定されている。また、台座7は、
図2に示すように平面視において円形状であり、
図4に示すようにフロート8に向かって凹である曲面形状の座面71を有する。フロート8は、
図1に示すように、座面71に着座する。なお、座面71の曲率は、フロート8の外周面と面接触するように、フロート8の曲率と同等である。上述したように、台座7は、樹脂製であるので、降下してきたフロート8との衝撃を吸収することができ、フロート8の変形を抑制できる。
【0031】
フロート8は、ステンレス鋼等の金属で形成され、中空の球形状を呈する。フロート8は、環状弁座4下方の下流側に位置する。フロート8は、排水よりも比重が軽く形成されている。そのため、排水管203内の水位の変化によって上下方向に移動する。フロート8は、上昇時において、一部が環状弁座4の連通開口40と嵌合する(連通開口40を閉じる)ことで環状弁座4を閉塞する。なお、フロート8は、平常時の水位が低い状態においては、
図1に示すように台座7(底板6)に載った(着地した)状態にある。また、フロート8は、精密な球形状でなくてもよく、環状弁座4を閉塞できる程度の略球形状であればよい。
【0032】
次に、逆流防止弁1の動作について説明する。
【0033】
順方向に排水が流れる平常時において、排水管203内の水位は、一般的に底板6の配設位置よりも低いので、フロート8は、
図1に示すように、自重などによって降下して台座7(底板6)に載った(着地した)状態にある。したがって、環状弁座4は開放されている。これにより、排水が床面200(上流)から流路21に流れ込む。その後、排水は、流路21から貫通孔312A~312D及び環状弁座4の連通開口40を通過し、4本のガイド棒5の隙間及び底板6の貫通孔61を通過して排水管203の下流に流れていく。逆流防止弁1を通過した排水管203内の排水は、例えば河川等(下流)に排出される。
【0034】
一方、下流側からの水の逆流時においては、排水管203内の水位は下流側から環状弁座4に向かって上昇するので、フロート8は、例えば、下部略半分が水没した状態で浮力によって浮上する。そして、水位が更に上昇して環状弁座4にまで達する状態では、フロート8は、
図1の二点鎖線Sに示すように、環状弁座4を閉塞する状態となる。これにより、環状弁座4よりも上流側に水が逆流して床面200などに溢れ出すことを確実に防止する。その後、逆流が解消して水位が低下した場合には、
図4(A)に示すように環状弁座4に固着した場合などを除いて、フロート8は自重により降下して連通開口40が開けられることになるので環状弁座4が開放される。
【0035】
次に、復帰機構3の動作について
図4を参照しつつ説明する。
図4(A)は、復帰機構3の軸32が上限位置にある状態を示す。また、
図4(A)は、フロート8が環状弁座4に固着している状態であって水位は低下している状態(平常時)を示す。
図4(B)は、復帰機構3の軸32が下限位置にある状態を示す。
【0036】
上述したように、復帰機構3は、フロート8が環状弁座3に固着した場合に固着(閉弁)を解除するために使用される。フロート8が環状弁座3に固着した場合、フロート8の自重等では固着を解除できない場合がある。
【0037】
図4(A)に示す状態において、床面200にいる作業者等は、例えば手でレバー33を押し下げる。これにより、軸32が降下していき、当接部材34の当接面が341がフロート8に当接し始める。これにより、フロート8が降下方向に付勢され始める。さらに、レバー33が押し下げられていくと、
図4(B)に示すように軸32は下限位置まで降下する。これによって、フロート8は、降下方向に継続して付勢されて環状弁座4との固着が解除される。そして、フロート8は、自重によって降下して台座7(底板6)に載った(着地した)状態の平常時の状態に復帰する。
【0038】
その後、作業者等がレバー33の押し下げを停止すれば、軸32はバネ35の上方向の付勢力によって上限位置に戻る。
【0039】
以上のように、作業者等が復帰機構を操作することで、環状弁座を閉塞した状態のフロートが降下方向に付勢される。したがって、逆流時から通常時(平常時)に戻った場合などにおいて、フロートと環状弁座とが固着していても、復帰機構による付勢力によって固着が解除され、フロートを通常時の位置に復帰させることができる。
【0040】
なお、この実施形態の復帰機構のレバーの形状及び大きさは、作業者等が押し下げ可能であれば、任意の形状及び大きさを採用可能である。また、復帰機構の当接部材の形状及び大きさも、フロートに当接可能であれば、任意の形状及び大きさを採用可能である。なお、上記レバー及び当接部材はなくてもよい。この場合、軸の一端部(下端部)を当接部材として機能させ、軸の他端部(上端部)をレバーとして機能させればよい。また、バネは、一端側を軸に固定させておけばよい。
【0041】
また、この実施形態の台座は、樹脂製であり、フロート8に向かって凹である曲面形状の座面71を有するが、特にこれに限定されるものではなく、降下するフロートの衝撃を吸収可能であれば、任意の材質及び形状を採用可能である。また、台座は設けなくてもよい。
【0042】
さらに、この実施形態の逆流防止弁は、排水管の内部に配設されているが、特にこれに限定されるものではない。排水系統中に配設される構成であれば、任意の構成を採用可能である。例えば、2つの排水管の間に逆流防止弁を配設する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、工場などの敷地内や建屋内で発生する排水を河川や海、公共排水施設などに排出したり、一般家庭などで浴槽や洗面所などで使用した水を公共排水施設などに排水したりする排水系統などを施工、販売、運用する産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 フロート式逆流防止弁
2 本体
3 復帰機構
4 環状弁座
5 ガイド棒(ガイド部材)
6 底板(規定部材)
7 台座(衝撃吸収部材)
8 フロート
31 軸
32 支持板(支持部材)
33 レバー
34 当接部材
35 バネ(付勢部材)
203 排水管