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  • 特開-検査チップ測定装置 図1
  • 特開-検査チップ測定装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107553
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】検査チップ測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20220714BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G01N35/00 D
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002472
(22)【出願日】2021-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】714006956
【氏名又は名称】株式会社エターナス
(72)【発明者】
【氏名】野口 正生
(72)【発明者】
【氏名】青木 大一郎
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CD04
2G058DA07
2G058EA05
2G058EA14
2G058FB09
(57)【要約】
【課題】複数の試薬反応および洗浄行程を経ることで高精度な検査が可能な検査チップを、より簡便な構成で誰もが安全に使用することができるような検査チップ測定装置を実現する。迅速な結果が求められる現場でも使用できるように、装置自体の大幅な小型化も実現する。
【解決手段】検査チップ内の複数の液槽の連結部の流体抵抗を液体の導入口に近いものほど低くなるように設計する。さらに、検査チップの導入口の回転軌道上に複数の試薬類の滴下機構を配置する。これらにより、測定に必要なほとんどの操作を同一の回転機構で実施することができるため、迅速かつ安全な使用が可能であり、装置の大幅な小型化が実現される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの連結された液槽を有する検査チップを回転させる機構を有し、回転により生じる遠心力の作用により、回転軸に近い液槽から回転軸から遠い液槽へと送液を行うことを特徴とする検査チップ測定装置。
【請求項2】
前記液槽間を連結する部分の流体抵抗値は回転軸に近いものほど低くなっており、同一の回転機構の回転速度を段階的に上昇させることにより、回転軸に近い側の液槽から遠い側の液槽へ段階的に送液することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の検査チップ測定装置。
【請求項3】
前記回転機構は回転位置の制御が可能であり、前記検査チップの導入口の回転軌道の上方に配置された試薬ノズルの下方に当該導入口の位置を合わせることにより、必要な試薬を検査チップの導入口に滴下して導入することを特徴とする請求項1~2に記載の検査チップ測定装置。
【請求項4】
前記検査チップの測定部位の回転軌道の上方または下方に測定器具が配置され、前記回転機構により当該測定部位と当該測定器具の位置を合わせることにより、測定動作を行うことを特徴とする請求項1~3に記載の検査チップ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易迅速に被験物質の検出および定量を行うための検査チップの測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、新型コロナウィルスの蔓延を機に、被験者の感染状況の確認を迅速かつ安全に実施する必要性が急速に高まっている。その大きな理由は、当該ウィルスの感染力が極めて強く、無症状の感染者であっても他人にウィルスを感染させてしまうリスクが非常に高いため、可能な限り短時間で感染状況を把握する必要があることが挙げられる。
【0003】
大規模な検査センターではなく個々のクリニック、あるいは患者サイドで検査を行う方法としては、従来からイムノクロマト法を利用したチップ型の検査キットがさまざまな検査項目で用いられている。このチップの利点は検体を適量導入すれば、陰性か陽性かを目視で確認できることであり、新型コロナウィルスの抗原検査キットも既に実用化されている。
【0004】
しかしながら、イムノクロマト法には感度が低いという大きな問題があり、抗原検査であれば目視で十分に変化がわかる程度の抗原量が検体中に含まれていなければならず、感染の初期状態にある被験者に対しては偽陰性の結果となってしまうことが頻繁に生じる。感度の高い検査方法としてはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてウィルスに特有の遺伝情報を検出する方法が用いられるが、検体の前処理に注意が必要であることや、高価なリアルタイムPCR装置が必要であることなどが問題となり、実際に扱えるクリニックは限られている。また、既に感染は治まっていても、ウィルスの断片などが検体中に残っていると、これを増幅させて擬陽性が発生しやすくなることも問題視されている。擬陽性により本来は治療の必要がない被験者に医療ソースが投入されることになると、既に余裕のない医療機関のキャパシティをさらに圧迫してしまうことに繋がってしまう。
【0005】
イムノクロマト法よりも高感度でありながらPCR法のように擬陽性も発生しにくい方法としては、抗原抗体反応を用いながらもその反応量を電気化学的に検出する方法や蛍光等を検出する方法、酵素反応のように継続的な反応が起こる方法を利用することが挙げられる。このような反応を利用して測定を行うためには、検体と数種類の試薬を順に混合して反応させる必要があることが多いため、一般的には特許文献1に示すように、検体および数種類の試薬や洗浄液を設置するスペースと、それらから順に適量を吸引して反応位置に滴下するための電動ピペット、さらに電動ピペットを適切な位置に移動させるための3次元駆動機構などを含んだ大型の検査装置となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-215931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の通り、抗原抗体反応や酵素反応などの化学反応の結果として生じる電流量や蛍光強度などを測定する検査方法は、高感度かつ高精度な結果が得られる方法として非常に優れているが、検体に対して数種類の試薬を順に混合して反応させる必要や、その都度洗浄を行う必要があり、反応から測定までの時間や温度も厳密に管理する必要もあることから、一般的には検査者が手動で実施するのではなく自動検査装置で実施されることが多い。さらに、検体、各試薬類、吸引手段やその移動手段のために大きなスペースが必要となるため装置の大型化が避けられない。1検体を測定するだけでも大きなスペースが必要になるのであれば、同時に検査できる検体数を増やす方がコスト面でも時間の面でも効率化されるため、結果的に数十~数百の検体を検査する非常に大型で高価な装置となる。このような装置は大規模な臨床検査センターや病院でしか利用できず、一般のクリニックレベルで迅速かつ安全に検査を実施したいという要望には応えられない。
【0008】
そこで本発明の検査チップ測定装置では、小規模なクリニックのみならず、場合によってはイベント会場などでも迅速に誰でも簡単に扱える検査を行えるようにすることを目的とする。この目的を達成するために解決しなければならない課題は3つある。第一の課題は、特に熟練を必要とせず、誰でも簡便かつ安全に装置を使用できるようにすることである。これにより、検査の先任者や熟練者でなくても使用でき、より現場に近いところで直ちに検査を行い、適切な対処をすることが可能になる。第二の課題は、小さな机上でも扱えるほどに小型化を実現することである。これにより、場所を選ばず装置を設置でき、場合によっては自動車などに積載して移動型の検査機能を実現でき、やはり現場に近いところで検査を行うことが可能になる。第三の課題は、低コスト化である。これは第二の課題である小型化を実現することによって構造が簡素化され、結果的に低コスト化できる部分もあるが、いずれにせよ低コスト化を進めることにより小規模な利用者であっても容易に導入ができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の検査チップ測定装置は、10~200μL程度の検体を導入し、これと同程度の試薬および洗浄液を使用して検査を行うチップを扱う。このチップには廃液槽を有し、感染性を有する可能性がある廃液をここに蓄えられるため、測定後には廃液に触れることなくチップごと廃棄することができる。これにより、使用者は検査作業に熟練していなくとも、簡便かつ安全に使用することができるため、第一の課題は解決される。
【0010】
また、本発明の検査チップ測定装置は、前記の検査チップを収容するホルダーを回転させ、遠心力により送液、すなわち液の導入や排出を行うことである。検査チップは検体および試薬類の導入部と、それらを混合して反応させ電流あるいは蛍光などのシグナルを発生させる反応槽を少なくとも有し、望ましくは反応後の廃液や洗浄液を排出し蓄えるための廃液槽を有することを前提とする。これらの各槽は流路で連結されており、導入部と反応槽の連結流路の流体抵抗は、反応槽と廃液槽の連結流路の流体抵抗よりも小さくなるように設計されている。すなわち、前者の方が後者よりも断面積が大きい、および/または長さが短くなっている。これにより、各槽の間で送液を実施するために必要な遠心力に差異が生じるため、検査チップのホルダーを回転させる速度を低くすれば導入部から反応槽へ送液しつつ、液体を反応槽に留めておくことができ、必要な処理が完了したらホルダーの回転速度を高くすることで、反応槽から廃液槽への送液を実施することが可能になる。従来の検査装置でこのような各槽の間で液体の移動を行うには、自動ピペット等で吸引と吐出を行うか、導入部に加圧するといった方法が採用されているが、本発明の検査チップ測定装置では単一の回転機構のみでこれらを実施できるのが特徴である。これにより、装置の大幅な小型化が実現される。
【0011】
さらに本発明の検査チップ測定装置は、この回転機構をチップの位置制御にも利用する。すなわち、検査チップの導入部の回転軌道上に試薬および洗浄液等の複数のノズルを配置し、必要に応じて各ノズルの下に検査チップの導入部が来るように位置を回転させて停止させることにより、各試薬の滴下による反応や反応後の洗浄といった処理を実施できる。各ノズルはそれぞれポンプを介して液タンクと接続されており、ポンプを動作させることにより必要量の液体を検査チップの導入部に滴下することができる。滴下後は導入部から反応槽へ送液できる速度で検査チップホルダーを回転させ、反応あるいは洗浄に必要な時間だけ待機した後、反応槽から廃液槽へ送液できる速度で回転させるという動作を検査に適切な準に実行すればよい。
【0012】
このように、検査に必要な送液動作と、検査に適切な順に試薬等を滴下していくための検査チップ位置調整動作を同一の回転機構で行うことにより、装置の構成は非常に簡素化され、第二の課題である大幅な小型化が実現される。検査チップを試薬類の滴下位置に合わせて移動させる方式であるため、複数の試薬類を滴下するための構成も、それぞれに対応した小型のポンプを固定配置すればよいため駆動機構が不要となり、さらなる小型化が可能となる。また、これらの要因により装置の構成部品が大幅に削減されるため、第三の課題である低コスト化も実現される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の検査チップ測定装置によれば、廃液ごと廃棄できる検査チップを装置にセットするのみの操作で測定できるため、とくに検査作業に熟練していない人でも簡便かつ安全に検査を行うことができる。回転機構を多用途に使用することで構造が非常に簡素化かつ小型化されるため、場所を選ばず設置して使用することも可能である。使用されている構成部品も非常に少なく、低コスト化も実現されている。これらの理由により、大規模な検査機関や病院でなくとも、迅速な判定が必要な検査を、それが求められる現場で誰もが簡便かつ安全に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の検査チップ測定装置の第1の実施形態の内部構成概略図である。
図2】本発明の検査チップ測定装置の第1の実施形態の内部構成概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の検査チップ測定装置の実施形態について説明する。
図1は本発明の検査チップ測定装置の第1の実施形態の内部構成概略図である。本来はこの状態に外部筐体が取り付けられて完成形となるが、説明のため内部構成のみを図示する。検査チップ101には検体、試薬および洗浄液の導入部102と、それらを混合および反応させるための反応槽103と、反応あるいは洗浄後の廃液を蓄える廃液槽104が設けられているものとする。導入部102は上方から液体を滴下されるため、少なくとも使用時には開放されている。反応槽103には、例えば測定方法が化学反応に応じて発生する電流量を測定するものであれば、電極の一端が設けられている。抗原抗体反応を利用する方式などでは、反応に必要な試薬類があらかじめ塗布されている場合もある。測定方法が蛍光や発色を測定する方式であれば、蛍光や発色のバックグラウンドにならない透明な材質で形成される必要がある。いずれにせよ、反応の結果を測定する方式では、反応のために導入された検体あるいは試薬の量が一定であることが求められる場合が多いため、反応槽103は検査チップ内に納められ一定の容積をもつようにしておくのがよい。廃液槽104は反応槽103よりも大きな容量をもつように形成され、測定に使用される検体と各試薬および洗浄液を全て収容できるようにしておく。廃液が反応槽103に逆流することを防止するため、廃液槽104には液体の吸収剤を内包しておくのがよい。
【0016】
導入部102と反応槽103、および反応槽103と廃液槽104はそれぞれ流路で連結されている。検査チップ101は測定装置の検査チップホルダー105にセットされるが、検査チップホルダーの回転軸106に近い方から順に導入口102、反応槽103、廃液槽104が配置される。これは、検査チップを回転させた時の遠心力が回転軸から遠ざかる方向に作用するためであり、この順に配置することで導入口から反応槽を通して最終的に廃液槽まで送液する動作を同一の回転機構で行うことができる。導入部102と反応槽103を連結する流路は、反応槽103と廃液槽104を連結する流路よりも大きな断面積あるいは短距離で形成することにより、流体抵抗が小さくなるように設計されている。これにより、回転速度が低ければ導入部102と反応槽103への送液は実施されるが反応槽103から廃液槽104への送液は実施されず、液体が反応槽103に留まっている状態を作り出すことができるため、ここで一定時間の反応や測定を行うことができる。さらに、必要な処理が完了した後はより高い速度で回転させることにより、反応槽103から廃液槽104への送液が実施される。具体的な例としては、導入部102は直径10mm、反応槽103は直径8mmかつ厚み1mm程度とする。これらを連結する流路は幅2mm以上、長さ3mm以下とする。このとき回転速度は200~300rpm程度で送液が可能である。一方、廃液槽104は20mm×8mm程度の長方形状であり、厚みは2mm程度とする。反応槽103と廃液槽104を連結する流路は幅0.5mm以下、長さ10mm以上とし、蛇行形状にして距離を長くする。このとき回転速度は500~800rpm程度で送液が可能である。したがって、反応槽103に液体を送った状態で留めておきたい時は300rpmで回転させ、廃液したい時は800rpmで回転させればよい。なお、ここでは導入部と反応槽、廃液槽がそれぞれ1つずつ存在する場合の例を説明したが、目的によってはより多くの液槽があっても、これらを連結する部位の流体抵抗値が回転軸に近い側から段階的に高くなっていくように設計されていれば、同一の回転機構で順に送液を実施することが可能である。
【0017】
このような構成が最も大きな効果を発揮するのは、反応槽の洗浄行程である。反応槽で検体と試薬を反応させた後、さらに異なる試薬と反応させる、あるいは一旦液体を完全に排除しなければ測定ができないような場合に、十分に高い速度で回転させることにより、反応槽内の液体を完全に排除することができる。洗浄液を導入する際に液体が残っていると洗浄効率が低下してしまうが、遠心力により完全に液体が排除されていれば、その後に洗浄液を導入する際の洗浄効率は非常に高くなるのである。
【0018】
以上をまとめると、本発明の検査チップ測定装置は以下のような特徴を有する。
[1]少なくとも2つの連結された液槽を有する検査チップを回転させる機構を有し、回転により生じる遠心力の作用により、回転軸に近い液槽から回転軸から遠い液槽へと送液を行うことを特徴とする検査チップ測定装置。
[2]前記液槽間を連結する部分の流体抵抗値は回転軸に近いものほど低くなっており、同一の回転機構の回転速度を段階的に上昇させることにより、回転軸に近い側の液槽から遠い側の液槽へ段階的に送液することが可能であることを特徴とする検査チップ測定装置。
【0019】
検査チップホルダー105を回転させる動力源は電動モーター107であるが、好ましくは単に回転のみならず回転位置を制御できるサーボモーターを使用するのがよい。あるいは、ステッピングモーターと位置センサーを組み合わせ、回転位置を制御する方式でもよい。回転位置を制御するメリットは、検査チップの導入部102の位置を、検査チップホルダー105の上方に複数配置された試薬ノズル108のうちの任意の一本の真下に調整することが可能になることである。このため試薬ノズル108は、検査チップの導入部102の回転軌道上に並べて配置される。各試薬ノズル108は、送液チューブ109を通じて送液ポンプ110の出口と繋がっている。さらに送液ポンプ110の入口はチューブを通じて試薬タンク111と繋がっており、送液ポンプ110を回転させることにより、試薬タンク111から検査チップの導入部102へ適量の試薬を滴下することが可能である。
【0020】
以上をまとめると、本発明の検査チップ測定装置は以下のような特徴を有する。
[3]前記回転機構は回転位置の制御が可能であり、前記検査チップの導入口の回転軌道の上方に配置された試薬ノズルの下方に当該導入口の位置を合わせることにより、必要な試薬を検査チップの導入口に滴下して導入することを特徴とする[1]または[2]に記載の検査チップ測定装置。
【0021】
検体と試薬や洗浄液を適切な順で混合処理した後は、測定動作を行う。この測定が反応によって生じる電流量を測定するものである場合は、装置には電極プローブ113と、これを適切なタイミングで上下動させて検査チップ101の電極に接触させる駆動系114が具備される。測定が蛍光量など光学的測定によるものである場合は、反応槽を撮影するカメラあるいは光学センサーなどが配置されることになる。ここで重要なことは、検査チップ101に対して測定を行う器具類も、検査チップの測定部位の回転軌道上に配置されることにより、やはり同一の回転機構を用いて測定動作を行うことができるということである。
【0022】
以上をまとめると、本発明の検査チップ測定装置は以下のような特徴を有する。
[4]前記検査チップの測定部位の回転軌道の上方または下方に測定器具が配置され、前記回転機構により当該測定部位と当該測定器具の位置を合わせることにより、測定動作を行うことを特徴とする[1]~[3]に記載の検査チップ測定装置。
【0023】
試薬タンク111には測定を行うための反応に必要な試薬類の他、洗浄液を収容しているものも存在する。これは、検体と試薬Aを混合反応させた後、一旦洗浄しなければ次の試薬Bと適切に反応させられない場合や、洗浄してからでなければ測定できない用例があるためである。試薬によっては適切な温度管理が求められるものもあり、必要に応じて試薬スタンド112には温度調節機構が備えられている。これはペルチェ素子などを利用したものでよい。
【0024】
これまでに説明した検査チップの回転機構、各送液ポンプ、各温度調節機構、測定器具、測定器具の駆動系は、いずれも制御基板115に接続され、コンピュータから適切に動作制御を行うことができる。また、制御基板115には電源入力プラグ116と主電源スイッチ117も接続されており、必要な電力の供給および遮断が行えるようになっている。この図では電源入力プラグ116は交流直流変換アダプターを接続する想定で描いているが、交流直流変換電源を内蔵する場合には、交流用の電源コードを繋ぐことになる。また、パーソナルコンピュータを接続して表示や動作を行う場合には、USB接続を可能にする接続ポートも同様に具備される。
【0025】
図2は、本発明の検査チップ測定装置の第1の実施形態の概略断面図である。検査チップ201は検査チップホルダー202の窪みに嵌る形でセットされるが、この窪みは重心バランスのため回転軸を挟んで対称となる位置にも設けられている。検査チップホルダー202は電動モーター203によって回転し、これによって生じる遠心力によって各槽間の送液が行われるが、試薬ノズル204の真下に検査チップの液体導入部が位置するように角度調整を行って停止させることも可能である。試薬ノズル204は検査に必要な試薬に応じて複数配置されるが、いずれも検査チップ201の液体導入部の回転軌道上に配置されているため、回転動作による位置調節のみで試薬の滴下が可能になっている。試薬ノズル204は送液チューブを通じて送液ポンプ205の出口側に接続され、さらに送液ポンプ205の入口側には送液チューブを通じて試薬タンク206が接続されており、各試薬の検査チップへの供給が可能となっている。試薬スタンド207は試薬タンク206を収容するためのものであるが、試薬を一定温度に保つ必要がある場合は、保温機能も有するものとする。
【0026】
本発明の検査チップ測定装置の主な特徴はこれまでに記述した通りであるが、必須ではないながらもより便利に使用するための機能としては、以下のようなものが例示される。
検査チップホルダーに複数のチップをセットする際に、例えばユーザーに最も近い前方を標準セット位置と定めた場合、その付近に設けられたスイッチを押す毎に、検査チップホルダーの第一チップ位置、第二チップ位置、・・・が順に標準セット位置に来るように検査チップホルダーを自動回転させる機能。
【符号の説明】
【0027】
101 検査チップ
102 導入部
103 反応槽
104 廃液槽
105 検査チップホルダー
106 回転軸
107 電動モーター
108 試薬ノズル
109 送液チューブ
110 送液ポンプ
111 試薬タンク
112 試薬スタンド
113 電極プローブ
114 駆動系
115 制御基板
116 電源入力プラグ
201 検査チップ
202 検査チップホルダー
203 電動モーター
204 試薬ノズル
205 送液ポンプ
206 試薬タンク
207 試薬ホルダー
図1
図2