(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107564
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】タブレット型ウィンドウォッシャー剤およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20220714BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20220714BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20220714BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220714BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20220714BHJP
C11D 1/12 20060101ALI20220714BHJP
B60S 1/46 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D3/50
C11D3/37
C11D3/20
C11D3/10
C11D1/12
B60S1/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002487
(22)【出願日】2021-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】513137329
【氏名又は名称】デジタルランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195981
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 直彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 翔平
(72)【発明者】
【氏名】北澤 優心
【テーマコード(参考)】
3D025
3D225
4H003
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AC02
3D025AD02
3D025AD03
3D025AD09
3D025AF01
3D225AA01
3D225AC02
3D225AD02
3D225AD03
3D225AD09
3D225AF01
4H003AB09
4H003AB27
4H003BA17
4H003CA05
4H003CA15
4H003CA20
4H003DA05
4H003EA16
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB36
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】
水に浸すことにより炭酸ガスが発泡し、タブレットを溶解し、自動車のウィンドウォッシャー液を生成する。保存および携帯に優れたタブレット型ウィンドウォッシャー剤を提供する。
【解決手段】
洗剤活性化合物、ポリエチレングリコール、有機酸、炭酸塩およびエッセンシャルオイルからなるウィンドウォッシャー剤を以下の割合で組成し、攪拌、造粒、成型、乾燥して形成する。フマル酸10~30重量%、炭酸水素ナトリウム25~75重量%、ポリエチレングリコール5~15重量%、ラウリル硫酸ナトリウム4~12重量%、ポリビニル硫酸ナトリウム3~9重量%、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム2.5~7.5重量%、エッセンシャルオイル0.5~1.5重量%。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤活性化合物、ポリエチレングリコール、有機酸、炭酸塩およびエッセンシャルオイルからなるウィンドウォッシャー剤組成物を攪拌、造粒、成型、乾燥して形成することを特徴とするタブレット型ウィンドウォッシャー剤。
【請求項2】
前記洗剤活性化合物は、ポリビニル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウロイルグルタミン酸ナトリウムの3種からなることを特徴とする請求項1記載のタブレット型ウィンドウォッシャー剤。
【請求項3】
前記有機酸は、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸またはシュウ酸からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2のいずれかに記載のタブレット型ウィンドウォッシャー剤。
【請求項4】
前記炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2のいずれか1項に記載のタブレット型ウィンドウォッシャー剤。
【請求項5】
ウィンドウォッシャー剤の組成物質が有機酸10~30重量%、炭酸塩25~75重量%、ポリエチレングリコール5~15重量%、ラウリル硫酸ナトリウム4~12重量%、ポリビニル硫酸ナトリウム3~9重量%、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム2.5~7.5重量%、エッセンシャルオイル05~1.5重量%である請求項1または2に記載のタブレット型ウィンドウォッシャー剤。
【請求項6】
炭酸塩とポリエチレングリコールおよびラウロイルグルタミン酸ナトリウムを攪拌機にかけ、500回転から3000回転数/分で20分から40分間攪拌する第一工程と第一工程で造粒された物質に、フマル酸、ポリビニル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、エッセンシャルオイルを混入し、500回転から3000回転数/分で、5~10分間攪拌造粒する第2工程と、金型を用いて直径20mm、厚さ10mmの円形のタブレットに成型する第3工程と、40℃~60℃の温度で10分~20分間加熱し、その後30分間放冷する第4工程と、乾燥、放冷後、梱包する第5工程とからなる請求項2から5のタブレット型ウィンドウォッシャー剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のタブレット型ウィンドウォッシャー剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の前面または後部ウィンドーは、走行中様々な要因によって視認性を阻害される。ウィンドーの視認性を確保するためには、ウォッシャー液を噴霧し、その界面活性剤の作用とワイパーの機械的作用によってウィンドーの汚れを除去し、視認性を確保する。このため、自動車には、ワイパーおよびウィンドウォッシャー装置が配設され、その装置に補充するための各種のウィンドウォッシャー液が販売されている。
【0003】
しかしながら、長距離の悪路を走行する際には、自動車に配設されているウィンドウォッシャー装置に充填されたウォッシャー液を使い切ってしまうことがある。
【0004】
その際には、市販されているウィンドウォッシャー液を車に積み込んでいれば良いが、そうでない場合は、急遽、水を注入して代替することがある。しかし、水のみをウォッシャー液として使用した場合には、虫の死骸や道路のアスファルトの油分などが洗浄できず、良好な視界を確保できない。またウィンドウォッシャー液を携行する場合には、自動車のウィンドウォッシャー液積載スペースの確保や、ウィンドウォッシャー液が倒れて液漏れする危険性を常に考慮しなければならない。
【0005】
このような課題を解決するため、水さえあれば、ウィンドウーウォッシャー液が簡単に生成できるタブレット型のウィンドウォッシャー剤が必要になる。
【0006】
また従来のタブレット型洗浄剤は、衣類を洗濯する際の洗剤に関するものであり(例えば特許文献1)、自動車のウィンドウォッシャー液に関するものは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、水さえあれば、即座にタブレットを水に溶解させ、洗浄力のあるウィンドウォッシャー液を生成することができ、しかも、携帯性に優れたタブレット型ウィンドウォッシャー剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)ポリビニル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、有機酸、炭酸塩およびエッセンシャルオイルをからなる組成物を攪拌、造粒、成形、乾燥して形成することを特徴とするタブレット型ウィンドウォッシャー剤と、
(2)炭酸塩とポリエチレングリコールおよびラウロイルグルタミン酸ナトリウムを攪拌機にかけ、500回転から3000回転/分で20分から40分間攪拌する第一工程と第一工程で攪拌された物質に、フマル酸、ポリビニル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、エッセンシャルオイルを混入し、5~10分間攪拌造粒する第2工程と、金型を用いて直径20mm、厚さ10mmの円形のタブレットに成型する第3工程と、40℃~60℃の温度で10分~20分間加熱し、放冷する第4工程と、乾燥、放冷後、梱包する第5工程とからなるタブレット型ウィンドウォッシャー剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯可能で、水のみで自動車のウィンドウォッシャー液を生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のタブレット型ウィンドウォッシャー剤は、前記したように、ポリビニル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、有機酸、炭酸塩およびエッセンシャルオイルからなる組成物を攪拌、造粒、成形、乾燥して得られたものである。
【0012】
上記によって製造されたタブレット型ウィンドウォッシャー剤は、有機酸と炭酸塩の反応から発生する炭酸ガスにより水の中で容易にかつ完全に溶解する。
【0013】
本発明のタブレット型ウィンドウォッシャー剤を水に溶解したときには、有機酸と炭酸塩で中和され、水素イオン濃度は、5~6の範囲内にとどまる。よって、ウォッシャー液による自動車の塗装面への影響も少ない。
【0014】
本発明に使用されるウィンドウォッシャー剤は、水に対する溶解性および高洗浄力を発揮させるため、前記した通り、ポリビニル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウロイルグルタミン酸ナトリウムの3種にポリエチレングリコールを加えたものであることが望ましい。
【0015】
また、好ましくは、本発明の各種成分比率は、以下のとおりであることが望ましい。有機酸20重量%、炭酸塩50重量%、ポリエチレングリコール10重量%、ラウリル硫酸ナトリウム8重量%、ポリビニル硫酸ナトリウム6重量%、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム5重量%、エッセンシャルオイル1重量%。
【0016】
前記成分は、有機酸30重量%、炭酸塩25重量%、ポリエチレングリコール15重量%、ラウリル硫酸ナトリウム12重量%、ポリビニル硫酸ナトリウム9重量%、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム7.5重量%、エッセンシャルオイル1.5重量%であってもよい。
【0017】
本発明により生成されるタブレット型ウィンドウォッシャー剤は以下の工程により生成される。
第1工程:炭酸塩とポリエチレングリコールおよびラウロイルグルタミン酸ナトリウムを攪拌造粒機にかけ、500回転から3000回転数/分で20分から40分間攪拌する。
第2工程:第1工程で攪拌された物質に、フマル酸、ポリビニル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、エッセンシャルオイルを混入し5~10分間攪拌造粒する。
第3工程:第2工程で生成された物質を、金型を用いて直径20mm、厚さ10mmの円形のタブレットに成型する。
第4工程:第3工程を経た物質を、40℃~60℃の温度で10分~20分間加熱し、その後放冷する。
第5工程:第4工程を経た物質を、梱包する。タブレットを一つ一つ梱包することにより長期間の保存に耐えうる。
【実施例0018】
次に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0019】
第1工程として、炭酸水素ナトリウム90gとポリエチレングリコール18gおよびラウロイルグルタミン酸ナトリウム9gを混合し、高速造粒機によって、1分間1800回転の速度で20分間攪拌する。
【0020】
第1工程で攪拌された物質に、フマル酸36g、ポリビニル硫酸ナトリウム18g、ラウリル硫酸ナトリウム14.4g、エッセンシャルオイル1.8gをさらに高速造粒機に混入し、1分間1800回転で、8分間攪拌し、40メッシュの網で造粒する。
【0021】
第2工程で造粒された物質を、金型を用い、直径20mm、厚さ10mmのタブレットに成型する。
【0022】
第3工程で、成型されたタブレットを、乾燥機を用い、50℃の温度で10分間乾燥させる。
【0023】
第4工程で乾燥させたタブレットを、室温まで放熱し、梱包する。この際には、室内の湿度はできるだけ低い方が好ましい。
第1工程として、炭酸水素ナトリウム45gとポリエチレングリコール27gおよびラウロイルグルタミン酸ナトリウム13.5gを混合し、高速造粒機によって、1分間3000回転の速度で40分間攪拌する。
第1工程で攪拌された物質に、フマル酸54g、ポリビニル硫酸ナトリウム27g、ラウリル硫酸ナトリウム21.6g、エッセンシャルオイル2.7gをさらに高速造粒機に混入し、1分間3000回転で、10分間攪拌し、60メッシュの網で造粒する。
実施例1および実施例2で生成されたタブレットを3リットルの水で溶かし、水素イオン濃度を計測したところ、6であった。また、水温が(5℃~10℃)でも問題なく溶解した。