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特開2022-107577プラスチック複合素材パネルおよびその成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107577
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】プラスチック複合素材パネルおよびその成形方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 29/04 20060101AFI20220714BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
B62D29/04 Z
B62D25/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168999
(22)【出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003308
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 ミン 洙
(72)【発明者】
【氏名】申 重 賢
(72)【発明者】
【氏名】韓 胤 敬
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB57
3D203BB59
3D203BB62
3D203CA07
3D203CB07
(57)【要約】
【課題】成形性が良好であり、車体フレームの断面の縮小を防止できるプラスチック複合素材パネルおよびその成形方法を提供する。
【解決手段】本発明によるプラスチック複合素材パネルは、設定された形状に折り曲げられ、車体フレームに接着剤を介して接合されるアウタ板材部と、アウタ板材部に一体に形成され、アウタ板材部より厚く形成された肉充填(material filling)部と、を含んで構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された形状に折り曲げられ、車体フレームに接着剤を介して接合されるアウタ板材部と、
前記アウタ板材部に一体に形成され、前記アウタ板材部より厚く形成された肉充填(material filling)部と、を含むことを特徴とするプラスチック複合素材パネル。
【請求項2】
前記アウタ板材部の下部に一体に形成され、前記車体フレームのボディ部から延びた第1フランジ部に接着剤を介して接合される第1接合フランジをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック複合素材パネル。
【請求項3】
前記肉充填部には、第2接合フランジが一体に形成され、
前記第2接合フランジは、前記車体フレームのボディ部から延びた第2フランジ部に接着剤を介して接合されることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック複合素材パネル。
【請求項4】
前記アウタ板材部および前記肉充填部は、車体フレームに接着剤を介して接合可能なサイドアウタパネルとして構成されることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック複合素材パネル。
【請求項5】
前記第2接合フランジには、プラスチック複合素材からなるルーフパネルのフランジ部が接着剤を介して接合されることを特徴とする請求項3に記載のプラスチック複合素材パネル。
【請求項6】
前記肉充填部は、前記車体フレームのボディ部に接着剤を介して接合されることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック複合素材パネル。
【請求項7】
前記アウタ板材部および前記肉充填部は、前記車体フレームに接合されるサイドアウタパネルとして構成され、
前記肉充填部は、前記車体フレームのボディ部から上側に延びた突出面に接着剤を介して接合されることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック複合素材パネル。
【請求項8】
前記肉充填部は、
前記車体フレームのボディ部から延びた第2フランジ部に接着剤を介して接合されたルーフパネルのフランジ部とシールストリップを介して連結されることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック複合素材パネル。
【請求項9】
車体フレームに接合されるプラスチック複合素材パネルの成形方法であって、
(a)ゲルタイプのプラスチック複合素材を提供する段階と、
(b)肉充填部を成形するための平面形状の第1成形面と、アウタ板材部を成形するための第2成形面とを有する固定ダイに前記ゲルタイプのプラスチック複合素材をローディングする段階と、
(c)前記肉充填部を成形するための第3成形面と、前記アウタ板材部を成形するための第4成形面とを有する第1可動ダイと、前記肉充填部を成形するための成形溝を有する第2可動ダイとを前記固定ダイに型合わせする段階と、
(d)前記第2および第4成形面によって前記アウタ板材部を形成し、前記第1および第3成形面と前記成形溝によって前記アウタ板材部より厚い肉充填部を前記アウタ板材部に一体に形成するプラスチック複合素材パネルを成形する段階と、を含むことを特徴とするプラスチック複合素材パネルの成形方法。
【請求項10】
(e)前記第1および第2可動ダイを前記固定ダイから離型させ、前記プラスチック複合素材パネルを取り出す段階をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のプラスチック複合素材パネルの成形方法。
【請求項11】
前記(e)段階では、前記プラスチック複合素材パネルを、前記第1成形面を介して前記第1可動ダイの可動方向に取り出すことを特徴とする請求項10に記載のプラスチック複合素材パネルの成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック複合素材パネルに関し、より詳しくは、PBV(Purpose Built Vehicle)車両の車体に接合されるプラスチック複合素材パネルおよびその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、自動車業界は、人間中心の躍動的未来都市の実現のための新しい概念の未来モビリティビジョンを提案している。このような未来モビリティソリューションの一つが目的基盤モビリティとしてのPBV(Purpose Built Vehicle)車両である。PBV車両は、地上から目的地まで移動する時間の間、搭乗客に必要な個人向けサービスを提供する環境にやさしい移動ソリューションであり、電気車ベース(EV:electric vehicle)、人工知能を活用して状況別の最適経路の設定および隊列走行も可能である。
【0003】
PBV車両の車体は、アンダーボディ(当業界ではローリングシャシーまたはスケートボードともいう)と、アンダーボディ上に装着されるアッパーボディとを含む。ここでアッパーボディはスペースフレームで構成される。アッパーボディは、車体の軽量化を図るために、アルミニウムまたはスチール素材の車体フレームと、車体フレームに接着剤で接合されるプラスチック複合素材パネルとを備えている。
【0004】
このようなプラスチック複合素材パネルは、プラスチック複合素材原反を金型により設定された形状に成形する方式で製造される。しかし、従来は、プラスチック複合素材パネルの折り曲げ形状部位(アンダーカット部位)が金型の成形部にかかることにより、プラスチック複合素材パネルを金型から円滑に取り出せない問題が発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-210398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、成形性が良好であり、車体フレームの断面の縮小を防止できるプラスチック複合素材パネルおよびその成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるプラスチック複合素材パネルは、i)設定された形状に折り曲げられ、車体フレームに接着剤を介して接合されるアウタ板材部と、ii)前記アウタ板材部に一体に形成され、前記アウタ板材部より厚く形成された肉充填(material filling)部と、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記アウタ板材部は、下部に一体に形成され、前記車体フレームのボディ部から延びた第1フランジ部に接着剤を介して接合される第1接合フランジを含むことを特徴とする。
【0009】
前記肉充填部には、第2接合フランジが一体に形成され、前記第2接合フランジは、前記車体フレームのボディ部から延びた第2フランジ部に接着剤を介して接合されることを特徴とする。
【0010】
前記アウタ板材部および前記肉充填部は、車体フレームに接着剤を介して接合可能なサイドアウタパネルとして構成されることを特徴とする。
【0011】
前記第2接合フランジには、プラスチック複合素材からなるルーフパネルのフランジ部が接着剤を介して接合されることを特徴とする。
【0012】
前記肉充填部は、前記車体フレームのボディ部に接着剤を介して接合されることを特徴とする。
【0013】
前記アウタ板材部および前記肉充填部は、前記車体フレームに接合されるサイドアウタパネルとして構成され、前記肉充填部は、前記車体フレームのボディ部から上側に延びた突出面に接着剤を介して接合されることを特徴とする。
【0014】
前記肉充填部は、前記車体フレームのボディ部から延びた第2フランジ部に接着剤を介して接合されたルーフパネルのフランジ部とシールストリップを介して連結されることを特徴とする。
【0015】
本発明によるプラスチック複合素材パネルの成形方法は、車体フレームに接合されるプラスチック複合素材パネルの成形方法であって、(a)ゲルタイプのプラスチック複合素材を提供する段階と、(b)肉充填部を形成可能な平面形状の第1成形面と、アウタ板材部を形成可能な第2成形面とを有する固定ダイに前記ゲルタイプのプラスチック複合素材をローディングする段階と、(c)前記肉充填部を形成可能な第3成形面と、前記アウタ板材部を形成可能な第4成形面とを有する第1可動ダイと、前記肉充填部を形成可能な成形溝を有する第2可動ダイと、を前記固定ダイに型合わせする段階と、(d)前記第2および第4成形面によって前記アウタ板材部を形成し、前記第1および第3成形面と前記成形溝によって前記アウタ板材部より厚い肉充填部を前記アウタ板材部に一体に形成しているプラスチック複合素材パネルを成形する段階と、を含むことを特徴とする。
【0016】
(e)前記第1および第2可動ダイを前記固定ダイから離型させ、前記プラスチック複合素材パネルを取り出す段階をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
前記(e)段階では、前記プラスチック複合素材パネルを、前記第1成形面を介して前記第1可動ダイの可動方向に取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プラスチック複合素材パネルの成形性を増大させることができ、プラスチック複合素材パネルの品質を確保することができ、ルーフパネルなどの装着空間を確保することができ、車体フレームの断面の拡張を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例に適用される車体の一例を示す図である。
図2】本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネルで、図1のA-A線断面図である。
図3】本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネルで、図1のB-B線断面図である。
図4】本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネルの成形方法を説明する図である。
図5】本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネルの成形方法を説明する図である。
図6】本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネルの成形方法を説明する図である。
図7】本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネルで、図1のC-C線断面図である。
図8】本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネルを成形するための金型を示す図である。
図9】本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネルで、図1のD-D線断面図である。
図10】本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネルで、図1のE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0021】
明細書全体にわたって、同一または類似の構成要素は、同一の参照符号を付した。図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、便宜的なもので、様々な部分および領域を拡大して示した。構成要素を第1、第2などと区分したが、この順序に限定されるものではない。ある部分がある構成要素を含むとする場合、特に記載がない限り、他の構成要素をさらに包含できる。「部」や「手段」などの用語は、1つの機能や動作を行なう包括的な構成である。
【0022】
図1は、本発明の実施例で、車体の一例を示す図である。図1に示すように、本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネル100は、例えば、電気車ベースの目的基盤モビリティ(Purpose Built Vehicle:PBV)の車体に適用可能である。ここで、PBVは地上から目的地まで移動する時間の間、搭乗客に必要な個人向けサービスを提供する環境にやさしい移動車両である。PBVは、状況別の最適経路を設定し、隊列走行が可能であり、広い室内空間を有するボックス型デザインの車両である。PBVの車体は、スケートボードタイプのアンダーボディ1と、アンダーボディ1に装着されるモノコックタイプの車体としてのアッパーボディ3とを含む。
【0023】
アンダーボディ1は、当業界でローリングシャシーともいい、バッテリアセンブリ(図示せず)が搭載可能なシャシーフレーム5を含む。そして、アッパーボディ3は、アンダーボディ1上に結合されるボディであって、キャビンを構成する車体フレーム7を含む。アッパーボディ3は、例えば、鋼板やパイプのような複数のメンバを連結して骨格を構成したスペースフレームである。
【0024】
当業界では、車幅方向(全幅方向)をL方向、車体の長手方向(車体の前後方向または全長方向)をT方向、そして車体の高さ方向をH方向という。しかし、本発明の実施例では、基準方向としてLTH方向の代わりに、車幅方向、車体の前後方向および上下方向を使用して構成要素を説明する。さらに、下記における端(一側/一側端または他の一側/一側端)は、いずれか一方の端と定義され、その端を含む一定部分(一側/一側端部または他の一側/一側端部)と定義する。
【0025】
アッパーボディ3の車体フレーム7は、スチールまたはアルミニウム素材のフレームが連結されたもので、アンダーボディ1の両側シャシーフレーム5に装着されるサイドインナと、そのサイドインナに連結されるルーフレールとを含む。車体フレーム7には、本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネル100が側面に接合され、プラスチック複合素材からなるルーフパネル9が上面に接合される。以下、車体フレーム7において前方に位置するボディ部を前方ボディ部7aとし、後方に位置するボディ部を後方ボディ部7bとする。
【0026】
プラスチック複合素材は、繊維素材に樹脂を含浸した強化材であって、金型により設定された形状に成形される。さらに、プラスチック複合素材は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastic)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)、およびガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastic)の中から選択されるいずれか1つの素材である。
【0027】
本発明によるプラスチック複合素材パネル100は、車体フレーム7に接着剤を介して接合されるサイドアウタパネル8として構成される。このようなプラスチック複合素材パネル100は、成形性が良好であり、車体フレーム7の断面の縮小を防止できる構造からなる。
【0028】
図2は、本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネルを示し、図1のA-A線断面図である。図2に示すように、本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネル100は、アウタ板材部10と、肉充填(material filling)部30とを含む。本発明の実施例において、アウタ板材部10は、車体フレーム7のアウタ側に接着剤41を介して接合される部分で、車体フレーム7のアウタに対応する折り曲げ形状に成形される。
【0029】
アウタ板材部10の下部には、アウタ板材部10と一体に形成される第1接合フランジ11が形成される。第1接合フランジ11は、車体フレーム7の前方ボディ部7aから延びた第1フランジ部51に接着剤41を介して接合される。本発明の実施例において、肉充填部30は、アウタ板材部10より厚く、アウタ板材部10に一体に形成される。さらに、肉充填部30は、図面を基準として、アウタ板材部10の上部に一体に形成される。肉充填部30は、アウタ板材部10の平面を基準として、その平面に繊維素材が設定された形状に積層されたものであって、アウタ板材部10の平面でラウンド形状に具備される。
【0030】
肉充填部30には、アウタ板材部10と同一の厚さを有する第2接合フランジ31が一体に形成される。第2接合フランジ31は、車体フレーム7の前方ボディ部7aから延びた第2フランジ部52に接着剤41を介して接合される。第2接合フランジ31には、ウインドシールドガラス61の周縁部分が接着剤41を介して接合される。
【0031】
図3に示すように、第2接合フランジ31には、上述したルーフパネル9のフランジ部9aが接着剤41を介して接合される。そして、ルーフパネル9のフランジ部9aには、ウインドシールドガラス61の周縁部分が接着剤41を介して接合される。
【0032】
以下、本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネル100の成形方法を、図面を参照して説明する。図4図6は、本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネルの成形方法を説明する図である。図4に示すように、まず、本発明の実施例では、繊維素材からなるゲルタイプのプラスチック複合素材71を提供する。そして、図5に示されているように、固定ダイ81にゲルタイプのプラスチック複合素材71をローディングする。ここで、固定ダイ81は、肉充填部30を形成するための平面形状の第1成形面82と、アウタ板材部10を形成するための第2成形面83とを含む。
【0033】
次に、図6に示すように、固定ダイ81に第1および第2可動ダイ84、85を型合わせし、ゲルタイプのプラスチック複合素材71をプレスする。第1可動ダイ84は、肉充填部30を形成するための第3成形面86と、アウタ板材部10を形成するための第4成形面87とを含む。そして、第2可動ダイ85は、肉充填部30を形成するための第1成形溝88と、第2接合フランジ31を形成するための第2成形溝89とを含む。したがって、本発明の実施例では、第2および第4成形面83、87によってアウタ板材部10を成形し、第1および第3成形面82、86と第1成形溝88によってアウタ板材部10より厚い肉充填部30をアウタ板材部10に一体に形成されるプラスチック複合素材パネル100を成形することができる。
【0034】
本発明の実施例では、第2可動ダイ85の第2成形溝89と固定ダイ81の第1成形面82によって肉充填部30に一体に連結された第2接合フランジ31をプラスチック複合素材パネル100に成形することができる。このようなプラスチック複合素材パネル100を成形した状態で、第1および第2可動ダイ84、85を固定ダイ81から離型させ、プラスチック複合素材パネル100を取り出す。本発明の実施例では、プラスチック複合素材パネル100を固定ダイ81の第1成形面82を介して第1可動ダイ84の可動方向に沿って取り出すことができる。
【0035】
この時、本発明の実施例では、肉充填部30をアウタ板材部10に一体に成形することによって、プラスチック複合素材パネル100にアンダーカットが形成されないことから、固定ダイ81の第1成形面82を介してプラスチック複合素材パネル100を円滑に取り出すことができる。固定ダイ81、第1可動ダイ84および第2可動ダイ85を含むプラスチック複合素材成形金型は、設定された形状のプラスチック複合素材パネルを成形する公知技術の金型装置からなるので、本明細書においてより詳しい説明は省略する。
【0036】
本発明の実施例によるプラスチック複合素材パネル100によれば、アウタ板材部10に一体に形成され、アウタ板材部10より厚い肉充填部30を含む。したがって、金型によるプラスチック複合素材パネル100の成形過程において、金型からプラスチック複合素材パネル100を容易に取り出すことができる。これによって、プラスチック複合素材パネル100の成形性を増大させることができ、プラスチック複合素材パネル100の品質を確保することができる。また、アウタ板材部10に肉充填部30を一体に形成することによって、スチールまたはアルミニウム素材対比の厚さの増大および接着剤の厚さを考慮する時、車体フレーム7の断面を縮小しなくても、ルーフパネルとウインドシールドガラスの装着空間を確保することができる。これによって、本発明の実施例では、車体フレーム7の断面を縮小しなくても良いので、車両の正面、オフセット、スモールオーバーラップ衝突性能の低下を防止することができる。
【0037】
図7は、本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネルを示し、図1のC-C線断面図である。図面にて上記の実施例と同一の構成については、同一の図面参照符号を付す。図7に示すように、本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネル200は、上述した実施例におけるような第2接合フランジ31が除去され、車体フレーム7の前方ボディ部7aに接合される肉充填部30が形成される。
【0038】
アウタ板材部10の第1接合フランジ11は、前方ボディ部7aの第1フランジ部51に接着剤41を介して接合される。そして、本発明の実施例による肉充填部30は、車体フレーム7の前方ボディ部7aに接着剤41を介して接合される。前方ボディ部7aの第2フランジ部52には、図示しないルーフパネルのフランジ部およびウインドシールドガラスの周縁部分が接着剤を介して接合される。したがって、本発明の他の実施例では、フランジレス(flangeless)タイプの肉充填部30を構成することによって、車体フレーム7に対するルーフパネルおよびウインドシールドガラスの装着空間を確保することができる。
【0039】
一方、上記のようなアウタ板材部10にフランジレスタイプの肉充填部30を形成しているプラスチック複合素材パネル200は、図8に示すように、固定ダイ81と、第1可動ダイ84および第2可動ダイ85とを含むプラスチック複合素材成形金型により成形できる。プラスチック複合素材成形金型は、上述した実施例におけるような構成を基本的に備え、固定ダイ81および第2可動ダイ85に上述した実施例におけるような第2接合フランジを形成するための成形溝部分は除去される。
【0040】
図9は、本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネルを示し、図1のD-D線断面図である。図面にて上記の実施例と同一の構成については、同一の図面参照符号を付す。図9に示すように、本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネル200は、車体フレーム7の前方ボディ部7aから上側に延びた突出面7cに接合される肉充填部30を構成することができる。ここで、アウタ板材部10の第1接合フランジ11は、前方ボディ部7aの第1フランジ部51に接着剤41を介して接合される。そして、肉充填部30は、前方ボディ部7aの突出面7cに接着剤41を介して接合される。したがって、本発明の実施例では、前方ボディ部7aの突出面7cに肉充填部30を接合することによって、車体フレーム7の断面の増大を図ることができる。
【0041】
前方ボディ部7aの第2フランジ部52には、ルーフパネル9のフランジ部9aが接着剤41を介して接合される。このようなルーフパネル9のフランジ部9aは、シールストリップ91(seal strip)を介して肉充填部30と連結される。これによって、本発明の実施例では、ルーフパネル9の装着空間を確保しながら、フランジ部9aの厚さの確保を図ることができる。
【0042】
図10は、本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネルを示し、図1のE-E線断面図である。図面にて上記の実施例と同一の構成については、同一の図面参照符号を付す。図10に示すように、本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネル200は、車体フレーム7の後方ボディ部7bに接合される肉充填部30を構成することができる。ここで、後方ボディ部7bは、リヤエクステンションメンバ7dを含むことができる。このような後方ボディ部7bの上部には、パネル装着面7eを形成している。本発明の実施例において、肉充填部30は、パネル装着面7eに接着剤41を介して接合される。
【0043】
このため、本発明の実施例では、後方ボディ部7bのパネル装着面7eに肉充填部30を接合することによって、プラスチック複合素材パネル200のローディング性を確保することができる。上述のような本発明の他の実施例によるプラスチック複合素材パネル200の残りの構成および作用効果は、上記の実施例と同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、詳細な説明および図面の範囲内で多様に変形することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 アンダーボディ
3 アッパーボディ
5 シャシーフレーム
7 車体フレーム
7a 前方ボディ部
7b 後方ボディ部
7c 突出面
7d リヤエクステンションメンバ
7e パネル装着面
8 サイドアウタパネル
9 ルーフパネル
9a ルーフパネルのフランジ部
10 アウタ板材部
11 第1接合フランジ
30 肉充填部
31 第2接合フランジ
41 接着剤
51 第1フランジ部
52 第2フランジ部
61 ウインドシールドガラス
71 ゲルタイプのプラスチック複合素材
81 固定ダイ
82 第1成形面
83 第2成形面
84 第1可動ダイ
85 第2可動ダイ
86 第3成形面
87 第4成形面
88 第1成形溝
89 第2成形溝
91 シールストリップ
100、200 プラスチック複合素材パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10