(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107584
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】排ガス処理装置、船舶及び発電セット
(51)【国際特許分類】
F01N 13/18 20100101AFI20220714BHJP
【FI】
F01N13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022000949
(22)【出願日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】21150970.8
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518415071
【氏名又は名称】ボルボ ペンタ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】VOLVO PENTA CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・イヴァルソン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マグヌッソン
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA05
3G004AA06
3G004BA06
3G004BA09
3G004DA01
3G004DA11
3G004EA01
3G004EA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置プロセスの後期においてレイアウトの変更がなされたとしてもEATSの設置を容易にする。
【解決手段】排ガス後処理装置は、上面215と、下面と、側面とを有して密閉容積を形成するケーシング213を備え、ケーシングには、排気入口開口部214と、排気出口開口部221とが設けられ、排ガスが上面を通してケーシングへと供給されると共にケーシングから排出される。入口及び出口開口部のうちの少なくとも一方は、ケーシングの方を向く第1の開口部221とケーシングから見て外方を向く第2の開口部222とを有するパイプコネクタ220によって、その対応する入口パイプ207又は出口パイプ209に動作可能に接続される。少なくとも1つのパイプコネクタは、ケーシングにおける関連する入口開口部又は出口開口部に対する所定の角度位置へと、開口部の中心軸周りに回転可能となるように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力伝達装置の用途における排ガス後処理装置であって、
上面(115;215;415)と、下面と、前記上面と前記下面とを接続する側面とを有して密閉容積を形成するケーシング(113;213;413)を備え、該ケーシングには、
燃焼機関からの入口パイプ(107;207)に動作可能に接続される排気入口開口部(214;414)と、
外部出口に繋がる出口パイプ(109;209)に動作可能に接続される排気出口開口部(216;416)と、
が設けられ、
排ガスが前記上面(215;415)を通して前記ケーシング(213;413)へと供給されると共に該ケーシング(213;413)から排出され、
前記排気入口開口部(214;414)及び前記排気出口開口部(216;416)のうちの少なくとも一方は、前記ケーシング(213;413)の方を向く第1の開口部(221;421、431)と前記ケーシング(213;413)から見て外方を向く第2の開口部(222;422、432)とを有するパイプコネクタ(220;420、430)によって、その対応する入口パイプ(207)又は出口パイプ(209)に動作可能に接続され、
前記少なくとも1つのパイプコネクタ(220;420、430)は、前記第2の開口部(222;422、432)の方向を前記ケーシング(213;413)におけるその関連する前記排気入口開口部(214;414)又は前記排気出口開口部(216;416)に対する所定の角度位置において位置決めするために、前記開口部の中心軸(Xi、X0)周りに前記所定の角度位置へと回転可能となるように配置される、排ガス後処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパイプコネクタ(220;420、430)の前記第1の開口部は、前記ケーシング(213;413)におけるその関連する開口部の前記中心軸と一致する中心軸(X1)を有し、前記第2の開口部は、前記ケーシング(213;413)の前記上面(215;415)における前記開口部に対する所定の角度位置へと角度付けられる中心軸(X2)を有する、請求項1に記載の排ガス後処理装置。
【請求項3】
前記排気入口開口部及び前記排気出口開口部の双方は、前記ケーシング(213;413)の方を向く前記第1の開口部(221;421、431)と前記ケーシング(213;413)から見て外方を向く前記第2の開口部(222;422、432)とを有する個々のパイプコネクタ(220;420、430)によって、それぞれ前記入口パイプ及び前記出口パイプに動作可能に接続される、請求項1又は2に記載の排ガス後処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回転可能な入口又は出口のパイプコネクタ(220;420、430)は、その第1の開口部周りに径方向フランジ(223;423、433)を備え、該フランジは、前記ケーシング(213;413)における対応する入口開口部又は出口開口部周りの対向する径方向フランジに動作可能に接続可能である、請求項1~3の何れか1項に記載の排ガス後処理装置。
【請求項5】
前記パイプコネクタの径方向フランジ(223;423、433)及び前記ケーシングにおける開口部のフランジは、同じボルト穴中心径と、ボルト穴間で同一の円ピッチ(α)とを有する、請求項4に記載の排ガス後処理装置。
【請求項6】
一方のフランジ(620)におけるボルト穴(621)の数は、対向する径方向フランジ(610)におけるボルト穴(611)の数の整数倍である、請求項4に記載の排ガス後処理装置。
【請求項7】
前記円ピッチ(α;β)は、前記パイプコネクタの径方向フランジに一定数の角度位置を提供するように選択される、請求項5又は6に記載の排ガス後処理装置。
【請求項8】
少なくとも前記ケーシングの上面(915)における前記排気出口開口部及び前記少なくとも1つのパイプコネクタの前記第1の開口部は、型出しされた合わせ面が、外部クランプ装置(935)と係合して動作可能に接続される周方向フランジ(931、932)を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の排ガス後処理装置。
【請求項9】
前記外部クランプ装置(935)は、前記少なくとも1つのパイプコネクタを、前記ケーシングにおけるその関連する開口部に対する所定の角度位置において固定するように配置されるクランプリングである、請求項8に記載の排ガス後処理装置。
【請求項10】
前記ケーシング(213;413)に分離可能に取り付けられると共に、前記ケーシング(213;413)の前記上面(215;415)における前記排気入口開口部を介して前記ケーシング(213;413)内へと挿入可能である排ガス浄化ユニット(212;412)を備える、請求項1~5の何れか1項に記載の排ガス後処理装置。
【請求項11】
前記排気入口開口部(414)は、前記ケーシング(413)における前記排ガス浄化ユニットの方を向く第1の開口部(431)を有するパイプコネクタ(430)に動作可能に接続される、請求項10に記載の排ガス後処理装置。
【請求項12】
前記排気入口開口部(214)は、前記ケーシング(213)の前記上面(215)に位置し、前記入口パイプ(207)は、前記ケーシング(213)の前記上面(215)から延出する前記排ガス浄化ユニットの一部に動作可能に接続される、請求項10に記載の排ガス後処理装置。
【請求項13】
船を推進する少なくとも1つの燃焼機関を備える船舶用動力伝達装置を備える船舶であって、請求項1に記載の少なくとも1つの排ガス後処理装置が設けられる、船舶。
【請求項14】
発電機を駆動する少なくとも1つの燃焼機関を備える発電セットであって、請求項1に記載の少なくとも1つの排ガス後処理装置が設けられる、発電セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理装置、及びそのような装置が設けられた船舶又は発電セット(genset)に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用途において、船尾駆動又はアジマスポッド(azimuthing pod)駆動の形態である推進ユニットを備える船には、通常、船の船殻内に配置される内蔵型の内燃機関(ICE)が設けられている。そのようなICEは、通常、該ICEと船殻又は水中の推進手段を通って出る外部出口との間の排気システム内に配置される排ガス後処理システム(EATS:Exhaust After Treatment System)に接続される。EATSは、排ガスを受け入れる入口開口部と排ガス用の出口開口部とを有するケーシングを含む排ガス処理装置を備える。排ガス処理装置の目的は、マフラーとして機能すると共に、排気からの粒子及び汚染物質を少なくとも部分的に除去することである。排ガス処理装置を搭載するには、装置の上流にある第1のセットのパイプをICE上の排気マニフォールドに嵌合すると共に、装置の下流にある第2のセットのパイプを外部出口に嵌合することが必要となる。
【0003】
船舶用設備において、顧客は船内に設置されるICEの作り、タイプ及びモデルを指定することがある。加えて、顧客は、推進システムの設置時にEATSの排ガス処理装置の最終的な設置に関して現場で決定することもある。それゆえ、設置を注文する時には、顧客は機関室における動力伝達装置及びEATSの設置の最終的なレイアウトを把握していない場合がある。これにより、過剰な数の異なる装置が利用可能であり、その全てが異なる入口及び出口の配置を有することから、排ガス処理装置に関して問題が生じる。発電機を駆動するのにICEが使用される発電セットについても同様の設置問題が発生する。発電セットは、定置式であり得るが、推進ユニットを駆動するために及び他の電気用途のために電力を生成するように、船上に載置することもできる。
【0004】
この問題に対する解決策は、排気入口及び/又は出口用に複数の代替的な開口部を有する汎用装置を提供することである。例えば、3つの代替的な排気出口用の開口部を設けることができ、その場合、顧客は推進システムの設置時に何れかの出口を使用するかを選択できる。次に、使用されない出口にプラグ又は制動板を被せる。このシステムの問題は、いくつかの排気出口を設けると、不要な実装容積(packing volume)、重量及び費用を伴うことである。この解決策も、2つ又は3つの異なる出口方向に対する可能な代替策を制限してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題を解決することを目的とした改善された排ガス処理装置を提供する。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題を解決する、船舶又は発電セットの排ガス処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、添付の特許請求の範囲に記載された排ガス処理装置及びそのような排ガス処理装置を備える船舶によって達成される。
【0008】
以降の文章において、「排ガス処理装置」という用語は、ICEの完全なEATSを備える又はマフラーの上流(又は下流)にガス処理手段を有するEATSのマフラーセクションのみを備える装置として定義される。排ガス後処理装置は、船舶用動力伝達装置の用途における、及び船舶用又は定置式発電セットの用途における使用に適したものである。「上」、「下」又は「側」等の相対的な用語は、装置が船内の動作位置に搭載されたときの該装置及びそのケーシングの部分を説明することが意図されている。後述する構成要素の部品は、「入口」及び/又は「出口」を有するものとして定義することができる。これらの用語は、排ガスの流れ方向を指すものであり、或る構成要素が入口を通して排ガスを受け入れ、出口を通して排ガスを放出する。以降の文章において回転可能な構成要素を参照するとき、「回転可能な」という用語は、中心軸周りに回転することによって所望の位置へと調整可能である構成要素を説明するものと解釈されるべきである。そのような回転可能な変位は、固定の刻みで、刻みなしの変位として、又は刻み単位の及び刻みなしの変位の組み合わせを使用することによって行うことができる。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、上面と、下面と、上面と下面とを接続する側面とを有して密閉容積を形成するケーシングを備える排ガス処理装置に関する。ケーシングには、燃焼機関からの入口パイプに動作可能に接続される排気入口開口部と、外部出口に繋がる出口パイプに動作可能に接続される排気出口開口部とが設けられる。外部出口は、装置が使用される用途に応じて、船舶用駆動装置、船殻内に配置することもできるし、大気に繋がる排気パイプを備えることもできる。排ガスは、上面を通してケーシングへと供給されると共にケーシングから排出される。「上面」という用語の定義は、ケーシングの主に平らな頂面である。コンバータ等の追加の構成要素を上面に取り付けることができ、これについては以下で更に詳細に説明する。
【0010】
一例として、排気入口開口部及び排気出口開口部のうちの少なくとも一方は、ケーシングの上面の方を向く第1の開口部とケーシングから見て外方を向く第2の開口部とを有するパイプコネクタによって、その対応する入口パイプ又は出口パイプに動作可能に接続される。「外方を向く」という用語は、第2の開口部から延出する中心軸がいかなる点においてもケーシングと交差しないことを示す。少なくとも1つのパイプコネクタは、ケーシングにおけるその関連する開口部の中心軸周りに回転可能となるように配置される。結果として、パイプコネクタの方向は、第1の開口部の中心軸と一致すると共に第2の開口部の中心と交差する平面によって表されるものであり、選択することができる。これにより、パイプコネクタは、ケーシングの上面における開口部に対する所定の角度位置に位置することが可能になる。パイプコネクタの回転は、装置の設置時にその関連する入口パイプ又は出口パイプの開口部と一致する位置において第2の開口部を位置決めするために行われる。
【0011】
少なくとも1つのパイプコネクタの第1の開口部は、ケーシング上に取り付けられるとき、ケーシングの上面におけるその関連する開口部の中心軸と一致する中心軸を有する。第2の開口部は、中心軸が第1の開口部の中心軸と交差する又はこれに対して平行とすることができるように、第1の開口部の中心軸とは別個である中心軸を有する。ただし、これらの軸は、互いに一致しないものとすることができる。第1の開口部の中心軸及び第2の開口部の中心軸は、双方とも同じ平面に位置することが好ましい。この平面は、上述したように、ケーシングにおける開口部の中心軸と一致し、パイプコネクタの方向を示す。
【0012】
更なる例によれば、排気入口開口部及び排気出口開口部の双方は、ケーシングの上面の方を向く第1の開口部とケーシングから見て外方を向く第2の開口部とを有する個々のパイプコネクタによって、それぞれ入口パイプ及び出口パイプに動作可能に接続される。この例において、双方のパイプコネクタは、上述したようにケーシングにおけるその関連する開口部の中心軸周りに回転可能となるように配置される。
【0013】
第1の開口部と第2の開口部との間のパイプコネクタの形状は、特許請求の範囲内で自由に変更することができる。最も単純な形態において、第1の開口部の中心軸及び第2の開口部の中心軸は、双方とも同じ平面と一致し、その場合、第2の開口部の中心軸は、第1の開口部の中心軸と直角に向けられるか、又は上向きに向けられて鈍角を形成する。このようにして、第2の開口部から延出する中心軸は、ケーシングの上面と一致する平面と平行であり得るが、これと交差しない。これらの軸の間の角度は、必ずしもそうではないが、90度~最大135度から選択され、概ねL字形状又は鈍角のV字形状を有するパイプコネクタが提供されることが好ましい。上述したように、これらの軸は一致しないものとすることができる。当然ながら135度を上回る角度が可能であるが、角度の増加に伴ってパイプコネクタを回転させる効果が低減する。
【0014】
この例に対する代替策は、パイプコネクタの第1の開口部と第2の開口部との間に湾曲した又は下向きに曲がったセクションを設けることであり、その場合、双方の軸は、依然として同じ平面と一致するが、第2の開口部から延出する中心軸は、ケーシングの上面と一致する平面とケーシングの外周の外側で交差することになる。これらの軸の間の角度は、必ずしもそうではないが、90度超~最大180度から選択され、鋭角なV字形状又は概ねU字形状を有するパイプコネクタが提供されることが好ましい。この配置の利点は、上向きに延在する入口パイプ又は出口パイプの方を向くように、パイプコネクタの第2の開口部をケーシングの上面に対して下向きに向けることができることである。
【0015】
パイプコネクタをケーシングの上面に取り付けるのは、複数の方法において実現することができる。1つの例によれば、少なくとも1つの回転可能な入口又は出口パイプコネクタは、その第1の開口部周りに径方向フランジを備え、該フランジは、ケーシングの上面における対応する入口開口部又は出口開口部周りの対向する径方向フランジに動作可能に接続可能である。
【0016】
一例において、パイプコネクタフランジ及びケーシング開口部フランジは、同じボルト穴中心径と、ボルト穴間で同一の円ピッチとを有する。円ピッチとは、隣接するボルト穴間の円周距離である。環状フランジの周りに等距離の穴を設けることにより、同一かつ対称的なボルトパターンが実現される。ケーシングの上面における開口部の中心軸周りにパイプコネクタを調整するには、対向するフランジを接続する任意の締結具を取り外すだけで済む。その後、パイプコネクタは、パイプコネクタの第2の開口部がケーシングの上面における開口部に対する所望の角度位置に位置するまで、円ピッチに対応する刻みで回転させることができる。その後、締結具が再び取り付けられる。これに関連して、適切な締結具の非排他的なリストは、ねじ又はナット及びねじ山付きボルトを含む。
【0017】
代替的には、一方のフランジにおけるボルト穴の数は、対向するフランジに設けられるボルト穴の数の整数倍であり得る。それぞれのフランジ上のボルト穴間の円ピッチは同一であり、穴の数に依存するものであるため、フランジのうちの一方におけるボルト穴の数を二倍にすれば、円ピッチが対向するフランジの円ピッチの半分になる。その結果、この配置により、パイプコネクタを調整することができる可能な位置の数が二倍になる。
【0018】
フランジを一緒にクランプするのに使用される締結具の数は、フランジのサイズ及び最大ボルト穴中心径に依存する。円ピッチは、ケーシングの上面における開口部の中心軸周りのパイプコネクタフランジに一定数の角度位置を提供するように選択される。例えば、各フランジにおいて12個のボルト穴を使用することにより、パイプコネクタを30度刻みで調整することができる。ボルト穴中心径が許すのであれば、一方のフランジが12個のボルト穴を有することができ、かつ他方が24個のボルト穴を有することができる場合、パイプコネクタを15度刻みで調整することができる。これらの刻みは、ボルト穴の数をより多く又はより少なく選択することによって調整することができる。更なる代替策としては、1つのフランジ、又は、ボルト穴を少なくしたフランジ、ボルト穴の代わりに弓状のスロットを有するフランジを設けることであり得る。このようにして、パイプコネクタは、ボルト端位置間のスロットの円弧に対応する角度にわたって対向するフランジに対して更に調整することができ、上記角度は、ボルト穴間に使用される円ピッチよりも小さい。
【0019】
各フランジは、ケーシングの上面へと直接取り付けられる平坦な環状フランジとして形成することができる。代替的には、環状フランジは、ケーシングにおける開口部を囲む上面に取り付けられる円柱セクションに固定することができる。円柱セクションの高さは、パイプコネクタをケーシングに取り付けるのに使用されるねじ山付きボルト及びナット又は他の適切な締結又はクランプ手段を嵌合することを可能にする間隙を設けるのに十分なものであるべきである。対向する面の間にはシールガスケットを載置し、気密シールを提供することができる。
【0020】
更なる例によれば、パイプコネクタをケーシングの上面に取り付けるのは、適切なクランプ手段によって実現することができる。例えば、少なくともケーシングにおける排気出口開口部及び少なくとも1つのパイプコネクタの第1の開口部は、型出しされた又は平坦な合わせ面が、周方向フランジの外面と係合する外部クランプ装置によって動作可能に接続される周方向フランジを有することができる。
【0021】
周方向フランジは、上述した径方向フランジと同様の平坦な合わせ面を有することができる。この場合、外部クランプ装置は、対向するフランジの直径を超えて直径が拡大された一対の環状セクションを有する。各環状セクションは、接続されるフランジの対向する外面と係合するように配置される。環状セクションのうちの少なくとも一方は、隣接するフランジを覆って嵌合させるために少なくとも2つのサブセクションに分割することができる。環状セクションは、環状セクションの拡大部分における穴を通って延在する適切な締結具、例えば、ねじ山付きナット及びボルトによって接続される。締結具を締めることにより、フランジを一緒にクランプする軸方向の圧縮力が生まれる。合わせ面の間にはシールガスケットを載置し、気密シールを提供することができる。パイプコネクタをケーシングの上面における開口部に対して回転させて調整するには、締結具を緩め、その後に締め作業を行うだけで済む。
【0022】
代替的には、周方向フランジは、概ね円錐形状を有する型出しされた合わせ面を有することができる。この場合、一方のフランジは、対向するフランジの方向に向かって径方向の外向きに延在する円錐状の正面セクションを有することができる。対向するフランジは、第1のフランジの方向に向かって径方向の外向きに延在する円錐状の背面セクションを有することができる。円錐状の背面セクションの後には、第1のフランジの方向に向かって径方向の内向きに延在する円錐状の正面セクションが続く。対向する正面セクションは、同じ円錐角を有することが好ましい。ケーシング上に位置するフランジは、ケーシングの上面における開口部から或る距離だけ離れるように延在しなければならない。パイプコネクタをケーシングの上面における開口部に取り付けるとき、対向するフランジの円錐状の正面セクションは、嵌合接触にて配置される。円錐状の正面セクションの合わせ面の間にはシールガスケットを載置し、気密シールを提供することができる。
【0023】
パイプコネクタは、双方のフランジの円錐状の合わせセクションを取り囲む周方向クランプ手段によって適所に固定される。外部の周方向クランプ装置は、少なくとも1つのパイプコネクタを、ケーシングにおける関連する開口部に対する所定の角度位置においてケーシングの上面上のフランジに固定するように配置されるクランプリングとすることができる。この例におけるクランプリングは、双方の円錐状のセクションを取り囲んで接触させるために、双方のフランジの円錐状のセクションに向かって上に開くV字形状の断面を有する。クランプリングは、リングを径方向の内向きに合わせフランジ周りに締めるために、リングの接線方向において作用するねじ山付き締結具等のクランプ装置によって埋められる単一の間隙を有することができる。代替的には、リングは分割することができ、2つの接線方向の締結具、又はヒンジ及び単一の接線方向の締結具を含むことができる。
【0024】
排ガス後処理装置は、ケーシングに分離可能に取り付けられると共に、ケーシングの上面における排気入口開口部を介してケーシング内へと部分的又は完全に挿入可能である排ガス浄化ユニットを備えることができる。ICEがディーゼル機関である場合、排ガス浄化ユニットは、ディーゼル機関用酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)、及び任意選択で選択的触媒還元装置(SCR:Selective Catalytic Reduction device)又はNOx吸着体を備える触媒コンバータを含むことができる。触媒コンバータの設計は、当該技術分野において既知であり、ここでは更に詳細に説明することはない。
【0025】
1つの例によれば、排ガス浄化ユニットは、ケーシング内部においてケーシングにおける排気入口開口部に隣接して、又はケーシングの上面に直接隣接して分離可能に取り付けられる。この場合、排気入口開口部は、排気入口開口部の方を向く第1の開口部を有する入口パイプコネクタと、排気入口開口部の下方においてケーシング内に位置する排ガス浄化ユニットとに動作可能に接続される。排気出口開口部は、ケーシングの上面に位置し、排気出口開口部の方を向く第1の開口部を有する出口パイプコネクタに動作可能に接続される。この例において、双方のパイプコネクタは、ケーシングの上面に対して回転可能であり得る。
【0026】
更なる例によれば、排ガス浄化ユニットは、ケーシング内部に少なくとも部分的に取り付けられ、ケーシングの上面における入口開口部を介してケーシング内に挿入可能である。その場合、排ガス浄化ユニットの上部は、ケーシングの上面を突き出て延在する。この場合、排気出口開口部は、ケーシングの上面に位置し、排気出口開口部の方を向く第1の開口部を有する回転可能な出口パイプコネクタに動作可能に接続される。排ガスはICEから排気入口パイプへ供給され、排気入口パイプは、ケーシングの上面から延出する排ガス浄化ユニットの部分に動作可能に接続される。結果として、排ガス浄化ユニットは、中間の回転可能なパイプコネクタなしで入口パイプをケーシングの上面に間接的に接続する。
【0027】
本発明の更なる態様によれば、本発明は、船を推進する少なくとも1つの燃焼機関を備える船舶用動力伝達装置を備える船舶であって、上述したような少なくとも1つの排ガス後処理装置が設けられる、船舶に関する。
【0028】
本発明の更なる態様によれば、本発明は、発電機を駆動する少なくとも1つの燃焼機関を備える発電セットであって、上述したような少なくとも1つの排ガス後処理装置が設けられる、発電セットに関する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る排ガス処理装置は、設置プロセスの後期においてレイアウトの変更がなされたとしてもEATSの設置を容易にするという課題を解決する。ケーシングに対する排気入口パイプコネクタ及び排気出口パイプコネクタのうちの一方又は双方の調整を可能にすることにより、パイプコネクタを特定の位置及び方向へと調整することが可能である。また、交換可能なパイプコネクタを使用することにより、パイプコネクタの入口と出口との間の角度は、ICEからの又は外部出口に繋がる、対応するパイプ又は導管に合致するように所望の角度に調整することができる。これは、より短いパイプを装置の上流及び下流に設置することに貢献し、実装容積、重量及び費用が削減される。更なる利点としては、複数の代替的な開口部を有する装置の使用を回避することで、実装容積、重量及び費用を更に削減することができる点である。
【0030】
本発明の更なる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属請求項において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】排ガス処理装置を備える船舶を概略的に示す切欠斜視図である。
【
図2】第1の例による排ガス処理装置を示す概略斜視図である。
【
図3】
図2の排ガス処理装置を示す概略平面図である。
【
図4】第2の例による排ガス処理装置を示す概略斜視図である。
【
図5】
図4の排ガス処理装置を示す概略平面図である。
【
図6】フランジ配置の代替例を示す概略平面図である。
【
図7】第1の例によるパイプコネクタを示す側面図である。
【
図8】第2の例によるパイプコネクタを示す側面図である。
【
図9A】パイプコネクタのクランプ配置の代替例を示す概略断面図である。
【
図9B】パイプコネクタのクランプ配置の代替例を示す概略断面図である。
【
図9C】パイプコネクタのクランプ配置の代替例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、例として記載される本開示の実施形態をより詳細に説明する。
【0033】
図1は、二重動力伝達装置101、102を備える概略的に示された船舶100の切欠斜視図を示している。各動力伝達装置は、アジマスポッドの形態である推進ユニット105、106(1つを図示する)を駆動する内燃機関103、104を備える。各内燃機関からの排ガスは、第1の排気管107、108を通って排ガス処理装置111、112へと移り、その後、第2の排気管109、110を通って推進ユニット105、106へと移り、ここで周囲の水域へと排出される。第1の排気管107、108及び第2の排気管109、110は、それぞれの排ガス処理装置111、112のケーシング113、114の上面115、116に接続される。
図1に概略的に示すように、各ケーシングは、上面と、下面と、上面と下面とを接続する側面とを有して密閉容積を形成する。以降の文章においては、一方の排ガス処理装置111についてのみ説明する。
【0034】
図2は、第1の例による排ガス処理装置211の概略斜視図を示している。排ガス後処理装置211は、ケーシング213に分離可能に取り付けられると共に、ケーシング213の上面215における排気入口開口部214(図示せず)を介してケーシング213内へと部分的に挿入可能である排ガス浄化ユニット又はコンバータ212を備える。ICEがディーゼル機関である場合、排ガス浄化ユニットは、ディーゼル機関用酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)、及び任意選択で選択的触媒還元装置(SCR)又はNOx吸着体を備える触媒コンバータを含むことができる。排ガス浄化ユニット212の上部212’は、ケーシング213の上面215を突き出て延在する。排ガスは、ICE(
図1参照)から排気入口パイプ207(破線にて示す)へ供給され、排気入口パイプ207は、ケーシングの上面215から延出する排ガス浄化ユニット212の上部212’の側面における開口部208に動作可能かつ分離可能に接続される。排ガス浄化ユニット212は、ケーシング213の上面215に分離可能に接続されるが、この表面に対して回転可能ではない。
【0035】
排気出口開口部216(図示せず)が、ケーシング213の上面215に位置し、排気出口開口部216の方を向く第1の開口部221を有する回転可能な出口パイプコネクタ220に動作可能に接続される。排ガスは、排気出口パイプ209(破線にて示す)を介して排ガス後処理装置211から外部出口(
図1参照)へと放出される。排気出口パイプ209は、回転可能な出口パイプコネクタ220の第2の開口部222に動作可能かつ分離可能に接続される。パイプコネクタ220は、ケーシング213における出口開口部216の中心軸X
0周りに回転可能となるように配置される。この例において、パイプコネクタの方向は、第1の開口部221の中心軸X
1と一致するとともに第2の開口部222の中心と交差する平面によって表される。
図2において、出口開口部216の中心軸X
0及び第1の開口部221の中心軸X
1は、一致するように配置される。これにより、パイプコネクタ220は、
図3に示すように、ケーシング213の上面における開口部216に対する所定の角度位置に位置することが可能になる。パイプコネクタ220には、第1の開口部221の周りに径方向フランジ223が設けられ、当該フランジは、ケーシング213の上面215における排気出口開口部216を囲む対向するフランジ(図示せず)と接触している。対向するフランジは、複数のねじ山付き締結具224によって接続され、複数のねじ山付き締結具224は、この場合、径方向フランジ223におけるボルト穴を通り、ケーシング213におけるフランジ内へとねじ留めされる。パイプコネクタの径方向フランジ223及びケーシングの開口部のフランジは、同じボルト穴中心径と、ボルト穴間で同一の円ピッチとを有する(
図8参照)。設置時、パイプコネクタ220は、第2の開口部222が排気出口パイプ209と合流する所望の角度位置に位置するまで、円ピッチに対応する刻みで回転させることができる。その後、締結具が取り付けられ、締められる。その後、排気出口パイプ209を適切な締結手段によって第2の開口部222に接続することができる。
【0036】
図3は、
図2に示す排ガス処理装置211の概略平面図を示している。
図3は、パイプコネクタ220が、ケーシング213における排気出口開口部216(
図2参照)及びパイプコネクタ220の第1の開口部221の一致する中心軸X
0及びX
1周りにどのように回転可能であるかを示している。この例において、パイプコネクタの方向は、第2の開口部222の中心軸X
2と一致する。パイプコネクタ220の回転は、矢印Aによって示す。また、
図3は、元の位置から90度のところに第2の開口部222’の1つの代替方向X
2’(破線にて示す)を示している。代替位置の数は、フランジ223における締結具224間の円ピッチによって決まる。
【0037】
図4は、第2の例による排ガス処理装置411の概略斜視図を示している。排ガス後処理装置411は、ケーシング413に分離可能に取り付けられると共に、ケーシング413の上面415における排気入口開口部414(図示せず)を介してケーシング413内へと部分的に挿入可能である排ガス浄化ユニット又はコンバータ412を備える。ディーゼル機関の場合、排ガス浄化ユニットは、ディーゼル機関用酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)、及び任意選択で選択的触媒還元装置(SCR)又はNOx吸着体を備える触媒コンバータを含むことができる。
【0038】
排ガスは、ICE(
図1参照)から排気入口パイプ407(破線にて示す)へ供給され、排気入口パイプ407は、回転可能な入口パイプコネクタ430に動作可能に接続される。入口パイプコネクタ430は、ケーシング413における排気入口開口部414の方を向く第1の開口部431と、ICEからの排気入口パイプ407の方を向く第2の開口部432とを有する。排気入口パイプ407は、回転可能な入口パイプコネクタ430の第2の開口部432に動作可能かつ分離可能に接続される。排気出口開口部416(図示せず)が、ケーシング413の上面415に位置し、排気出口開口部416の方を向く第1の開口部421と、排気出口パイプ409(破線にて示す)の方を向く第2の開口部422とを有する回転可能な出口パイプコネクタ420に動作可能に接続される。排ガスは、排気出口パイプ409を介して排ガス後処理装置411から外部出口(
図1参照)へと放出される。排気出口パイプ409は、回転可能な出口パイプコネクタ420の第2の開口部422に動作可能かつ分離可能に接続される。この例において、入口パイプコネクタ430及び出口パイプコネクタ420は双方とも、ケーシング413の上面415に対して回転可能である。
【0039】
入口パイプコネクタ430は、ケーシング413における排気入口開口部414の中心軸Xi周りに回転可能となるように配置される。この例において、パイプコネクタの方向は、第1の開口部431の中心軸X
3と一致すると共に第2の開口部432の中心と交差する平面によって表される。
図4において、排気入口開口部414の中心軸X
i及び第1の開口部431の中心軸X
3は、一致するように配置される。これにより、入口パイプコネクタ430は、
図5に示すように、ケーシング413の上面における排気入口開口部414に対する所定の角度位置に位置することが可能になる。入口パイプコネクタ430には、第1の開口部431の周りに径方向フランジ433が設けられ、当該フランジは、ケーシング413の上面415における排気出口開口部416を囲む対向するフランジ(図示せず)と接触している。対向するフランジは、複数のねじ山付き締結具434によって接続され、複数のねじ山付き締結具434は、この場合、径方向フランジ433におけるボルト穴を通り、ケーシング413におけるフランジ内へとねじ留めされる。入口のパイプコネクタフランジ433及びケーシング開口部フランジは、同じボルト穴中心径と、ボルト穴間で同一の円ピッチとを有する(
図8参照)。設置時、入口パイプコネクタ430は、第2の開口部432が排気入口パイプ407と合流する所望の角度位置に位置するまで、円ピッチに対応する刻みで回転させることができる。その後、締結具が取り付けられ、締められる。そして、排気入口パイプ407を適切な締結手段によって第2の開口部432に接続することができる。
【0040】
出口パイプコネクタ420は、ケーシング413における排気出口開口部416の中心軸X
0周りに回転可能となるように配置される。この例において、パイプコネクタの方向は、第1の開口部421の中心軸X
1と一致すると共に第2の開口部422の中心と交差する平面によって表される。
図4において、排気出口開口部416の中心軸X
0及び第1の開口部421の中心軸X
1は、一致するように配置される。これにより、出口パイプコネクタ420は、
図5に示すように、ケーシング413の上面における排気出口開口部416に対する所定の角度位置に位置することが可能になる。出口パイプコネクタ420には、第1の開口部421の周りに径方向フランジ423が設けられ、当該フランジは、ケーシング413の上面415における排気出口開口部416を囲む対向するフランジ(図示せず)と接触している。対向するフランジは、複数のねじ山付き締結具424によって接続され、複数のねじ山付き締結具424は、この場合、径方向フランジ423におけるボルト穴を通り、ケーシング413におけるフランジ内へとねじ留めされる。パイプコネクタフランジ423及びケーシング開口部フランジは、同じボルト穴中心径と、ボルト穴間で同一の円ピッチとを有する(
図8参照)。設置時、出口パイプコネクタ420は、第2の開口部422が排気出口パイプ409と合流する所望の角度位置に位置するまで、円ピッチに対応する刻みで回転させることができる。その後、締結具が取り付けられ、締められる。そして、排気出口パイプ409を第2の開口部422に接続することができる。
【0041】
図5は、
図4に示す排ガス処理装置411の概略平面図を示している。
図5は、入口パイプコネクタ430が、ケーシング413における排気入口開口部414(
図4参照)及び入口パイプコネクタ430の第1の開口部431の一致する中心軸X
i及びX
3周りにどのように回転可能であるかを示している。この例において、入口パイプコネクタの方向は、第2の開口部432の中心軸X
4と一致する。パイプコネクタ430の回転は、矢印A
1によって示す。また、
図5は、入口パイプコネクタ430の元の位置から90度のところに第2の開口部432’の1つの代替方向X
4’(破線にて示す)を示している。
図5は、出口パイプコネクタ420が、ケーシング413における排気出口開口部416(
図4参照)及び出口パイプコネクタ420の第1の開口部421の一致する中心軸X
0及びX
1周りにどのように回転可能であるかを更に示している。この例において、出口パイプコネクタ420の方向は、第2の開口部422の中心軸X
2と一致する。出口パイプコネクタ420の回転は、矢印A
2によって示す。また、
図5は、元の位置から90度のところに第2の開口部422’の1つの代替方向X
2’(破線にて示す)を示している。それぞれのパイプコネクタ420、430の代替位置の数は、それぞれのフランジ423、433における締結具424、434間の円ピッチによって決まる。
【0042】
図6は、フランジ配置の代替例の概略平面図を示している。パイプコネクタをケーシングの上面又はケーシングの上面の上方に位置する対向するフランジに取り付けるのは、複数の方法において実現することができる。1つの例によれば、回転可能な入口又は出口パイプコネクタは、
図6の第1の四分円601に示すような径方向フランジ610を備える。この例において、パイプコネクタフランジ610及びケーシング開口部フランジ(図示せず)は、同じボルト穴中心径Dと、隣接するボルト穴611間で同一の円ピッチαとを有する。円ピッチとは、隣接するボルト穴間の円周距離である。環状フランジの周りに等距離のボルト穴611を設けることにより、同一かつ対称的なボルトパターンが実現される。ケーシングの上面における開口部の中心軸X
1、X
3(
図3及び
図5参照)周りにパイプコネクタを調整するには、対向するフランジを接続する任意の締結具を取り外すだけで済む。その後、パイプコネクタは、パイプコネクタの第2の開口部がケーシングの上面における開口部に対する所望の角度位置に位置するまで、円ピッチαに対応する刻みで回転させることができる。その後、締結具が再び取り付けられる。四分円601の例は、16個のボルト穴を有するフランジを含み、これにより、パイプコネクタを22.5度刻みで調整することが可能になる。
【0043】
更なる例によれば、回転可能な入口又は出口パイプコネクタは、
図6の第2の四分円602に示すような径方向フランジ620を備える。この例において、パイプコネクタフランジ620及びケーシング開口部フランジ(図示せず)は、同じボルト穴中心径Dを有するが、円ピッチが異なる。例えば、ケーシング開口部フランジは、四分円601のフランジと同じ円ピッチαを有することができる一方で、パイプコネクタフランジ620は、隣接するボルト穴621間の円ピッチβが低減している。円ピッチ間の関係には、大きい方の円ピッチを小さい方の円ピッチで除算した数値が整数となることが必要である。ケーシングの上面における開口部の中心軸X
1、X
3(
図3及び
図5参照)周りにパイプコネクタを調整するには、対向するフランジを接続する任意の締結具を取り外すだけで済む。その後、パイプコネクタは、パイプコネクタの第2の開口部がケーシングの上面における開口部周りのフランジ(16個の穴を有する)に対する所望の角度位置に位置するまで、円ピッチβに対応する刻みで回転させることができる。その後、締結具が再び取り付けられる。四分円602の例は、32個のボルト穴を有するフランジを含み、これにより、パイプコネクタを11.25度刻みで調整することが可能になる。
【0044】
更なる例によれば、回転可能な入口又は出口パイプコネクタは、
図6の第3の四分円603に示すような径方向フランジ630を備える。この例において、パイプコネクタフランジ630及びケーシング開口部フランジ(図示せず)は、同じボルト穴中心径Dと、隣接するボルト穴631間で同一の基準円ピッチαとを有する。ケーシング開口部フランジには円形の穴を設けることができ、一方、パイプコネクタフランジ630には縦長で弓状のボルト穴が設けられる。この場合、基準円ピッチとは、隣接する弓状のボルト穴631の中点間の円周距離である。環状フランジの周りに等距離の弓状のボルト穴611を設けることにより、同一かつ対称的なボルトパターンが実現される。ケーシングの上面における開口部の中心軸X
1、X
3(
図3及び
図5参照)周りにパイプコネクタを調整するには、対向するフランジを接続する任意の締結具を取り外すだけで済む。まず、パイプコネクタは、パイプコネクタの第2の開口部がケーシングの上面における開口部に対する略所望の角度位置に位置するまで、円ピッチαに対応する刻みで回転させることができる。弓状のボルト穴631により、パイプコネクタを刻みなしで更に微調整することが可能になる。その後、締結具が再び取り付けられる。四分円603の例は、16個のボルト穴を有するフランジを含み、これにより、パイプコネクタを22.5度刻みで初期位置へと調整することが可能になる。例えば、各弓状のスロットの円ピッチが、ボルト端位置間で10度の角度γにわたって全変位を可能にするように選択される場合、パイプコネクタは、初期位置の片側へ更に5度、端位置間の途中まで調整することができる。
【0045】
更なる例によれば、回転可能な入口又は出口パイプコネクタは、
図6の第4の四分円604に示すような中実の径方向フランジ640を備える。各フランジは、ケーシングにおける開口部を囲む上面に取り付けられる円柱セクション(図示せず)に固定される平坦な環状フランジ640として形成することができる。円柱セクションの高さは、パイプコネクタをケーシングに取り付けるように協働するフランジの対向する面の周りに適切な締結又はクランプ手段を嵌合することを可能にする間隙を設けるのに十分なものであるべきである(
図9C参照)。
【0046】
図7は、第1の例によるパイプコネクタの側面図を示している。この例において、ケーシング713の上面715における開口部716の中心軸X
0は、パイプコネクタ730における第1の開口部721の中心軸X
1と一致する。パイプコネクタ730における第2の開口部722の中心軸X
2は、角度δによって示すように、第1の開口部721の中心軸X
1と直角に交差し、ここで、両軸は垂直面と一致する。径方向フランジ717は、上面715における開口部716を囲み、パイプコネクタ730の第1の開口部721を囲む径方向フランジ723と協働する。
【0047】
図8は、第2の例によるパイプコネクタの側面図を示している。この例において、ケーシング813の上面815における開口部816の中心軸X
0は、パイプコネクタ830における第1の開口部821の中心軸X
1と一致する。パイプコネクタ830における第2の開口部822の中心軸X
2は、第1の開口部821の中心軸X
1と鈍角δに、この場合は135度に交差し、ここで、両軸は垂直面と一致する。これらの軸の間の角度δは、必ずしもそうではないが、90度~135度の間で選択され、概ねL字形状又は鈍角のV字形状を有するパイプコネクタが提供されることが好ましい。軸X
1及びX
2は一致しなくてもよい。135度を上回る角度が可能であるが、角度の増加に伴ってパイプコネクタを回転させる有効性が低減する。径方向フランジ817は、上面815における開口部816を囲み、パイプコネクタ830の第1の開口部821を囲む径方向フランジ823と協働する。
【0048】
図9A~
図9Cは、パイプコネクタのクランプ配置の代替例の概略断面図を示している。パイプコネクタをケーシングの上面915に取り付けるのは、適切なクランプ手段によって実現することができる。
図9Aは、一対の対向する周方向フランジ911、912が平坦な合わせ面を有する第1の例を示しており、ここで、フランジには、同じボルト穴中心径上に配置されると共に同じ円ピッチを有する複数の穴が設けられる。周方向フランジ911、912は、その周方向フランジ911、912における穴を通って延在する適切な締結具914、例えば、ねじ山付きナット及びボルトによって一緒にクランプされる。締結具914を締めることにより、フランジを一緒にクランプする軸方向の圧縮力が生まれる。合わせ面の間にはシールガスケット913が載置され、気密シールが提供される。パイプコネクタをケーシングの上面における開口部に対して回転させて調整するのは、締結具を緩めて取り外し、調整を行って締結具を再び組み付けることによって行われる。
【0049】
図9Bは、一対の対向する周方向フランジ921、922が上述した径方向フランジと同様の平坦な合わせ面を有する更なる例を示している。この場合、外部クランプ装置は、対向する周方向フランジ921、922の直径を超えて直径が拡大された一対の環状セクション925、926を有する。各環状セクションは、接続されるフランジの対向する外面と係合するように配置される。環状セクションのうちの少なくとも一方は、隣接するフランジを覆って嵌合させるために少なくとも2つのサブセクションに分割することができる。環状セクションは、環状セクション925、926の拡大部分における穴を通って延在する適切な締結具924、例えば、ねじ山付きナット及びボルトによって一緒にクランプされる。締結具924を締めることにより、フランジを一緒にクランプする軸方向の圧縮力が生まれる。合わせ面の間にはシールガスケット923が載置され、気密シールが提供される。パイプコネクタをケーシングの上面における開口部に対して回転させて調整するには、締結具を緩め、調整を行った後に締め作業を行うだけで済む。
【0050】
図9Cは、一対の周方向フランジ931、932が概ね円錐形状を有する型出しされた合わせ面を有する。この場合、一方の周方向フランジ931は、対向するフランジの方向に向かって径方向の外向きに延在する円錐状の正面セクションを有する。対向する周方向フランジ932は、第1の周方向フランジ931の方向に向かって径方向の外向きに延在する円錐状の背面セクションを有する。円錐状の背面セクションの後には、第1の周方向フランジ931の方向に向かって径方向の内向きに延在する円錐状の正面セクションが続く。対向する正面セクションは、同じ円錐角を有することが好ましい。ケーシング上に位置する周方向フランジ932は、ケーシングの上面915における開口部から或る距離だけ離れるように延在しなければならない。パイプコネクタをケーシングの上面915における開口部に取り付けるとき、対向するフランジの円錐状の正面セクションは、嵌合接触にて配置される。円錐状の正面セクションの合わせ面の間にはシールガスケット933が載置され、気密シールが提供される。
【0051】
パイプコネクタは、双方の周方向フランジ931、932の円錐状の合わせセクションを取り囲む周方向クランプ手段935によって適所に固定される。外部の周方向クランプ手段935は、上述したように、パイプコネクタを、ケーシングにおける関連する開口部に対する所定の角度位置においてケーシングの上面上の周方向フランジ932に固定するように配置されるクランプリングとすることができる。この例におけるクランプリングは、双方の円錐状のセクションを取り囲んで接触させるために、双方のフランジの円錐状のセクションに向かって上に開くV字形状の断面を有する。クランプリングは、リングを径方向の内向きに合わせフランジ周りに締めるために、リングの接線方向において作用するねじ山付き締結具等のクランプ装置によって埋められる単一の間隙を有することができる。代替的には、リングは分割することができ、2つの接線方向の締結具、又はヒンジ及び単一の接線方向の締結具を含むことができる。
【0052】
本発明は、上述及び図示した実施形態に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で多くの変更及び変形を行い得ることを認識するであろう。
【外国語明細書】