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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107681
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】3次元ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/33 20200101AFI20220714BHJP
   G09F 9/37 20060101ALI20220714BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220714BHJP
   G02F 1/167 20190101ALN20220714BHJP
   G02F 1/1514 20190101ALN20220714BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALN20220714BHJP
【FI】
G02B30/33
G09F9/37
G09F9/00 336F
G09F9/00 336J
G02F1/167
G02F1/1514
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022086061
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2021538169の分割
【原出願日】2019-09-10
(31)【優先権主張番号】62/733,785
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/809,939
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ. テルファー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ブル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エル. チューマ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ジー. ハリス
(72)【発明者】
【氏名】コスタ ラダバック
(72)【発明者】
【氏名】アラン サドゥン
(57)【要約】
【課題】好適な3次元ディスプレイ装置を提供すること。
【解決手段】3次元ディスプレイのための装置が、開示され、3次元ディスプレイのための装置は、その長さに沿って放射を伝搬するように構成された一対の対向面を有する導波管と、導波管に光学的に結合された放射源と、導波管の面に光学的に結合された面を有する少なくとも1つのプリズム要素と、導波管の面に光学的に結合された画像変調材料の層とを含む。画像変調材料は、導波管の面のエリアに光学的に結合され得、エリアの少なくとも一部は、プリズム要素の面の周辺の外に位置している。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年9月20日に出願され、出願番号第62/733,785号を有する米国仮特許出願と、2019年2月25日に出願され、出願番号第62/809,939号を有する米国仮特許出願との利益および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、3次元ディスプレイに関し、より具体的に、導波管内を進行する光の変調を使用するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
3次元オブジェクトを表示するための2次元画像の使用は、種々の不利点に悩まされる。例えば、多くの人々は、3次元オブジェクトの最終外観を2次元画像の組から想像することに苦労し、オブジェクトの相対的位置または分かりにくい視線を2次元画像から認識することが困難であり得る。故に、画像の種々の構成要素間の空間関係が明白であるように、3次元オブジェクトを画像内に表示することが有用である。
【0004】
多くのタイプの3次元ディスプレイが、公知であるが、全て、限界を有する。その結果、立体画像に真の視差を提供する3次元ディスプレイが、積極的研究の対象である。そのようなディスプレイ(時として、「明視野」ディスプレイとも称される)は、視認者が、特殊眼鏡を装着することを要求せず、より従来的な立体視3次元ディスプレイにおいて利用可能であるそれよりはるかに多い情報を提供する。
【0005】
そのような立体ディスプレイを提供するために使用され得る1つの技法は、例えば、米国特許第5,812,186号(特許文献1)に説明されるように、例えば、液晶(LCD)技術を使用して、導波管内を伝搬する光の変調を使用する。しかしながら、液晶材料は、光変調の角度依存性を導入し得、それは、そのような3次元ディスプレイの性能を限定し得る。
【0006】
米国特許第出願第20170160556号(特許文献2)は、導波管内の全内部反射を妨げ、3次元画像のスライスを提供するための電気泳動またはエレクトロウェッティング技術の使用を説明する。それに説明されるように、複数の導波管を備えているスタックが、完全な画像を提供するために使用され得る。
【0007】
そのような3次元ディスプレイの設計は、単一導波管のみを利用することによって簡略化され得る。ある用途に関して、単一導波管を使用する3次元ディスプレイは、そのような設計がより低い製造コストおよびよりコンパクトなディスプレイを可能にするので、有利であり得る。単一導波管を使用する3次元ディスプレイの従来技術例は、図1に図示され、前述の米国特許第5,812,186号に説明される。図1(この特許から復元)を参照すると、導波管35の区分36内の(x,z’)2次元画像が、最初に、光を導波管を通して区分37に、次いで、画像変調材料39から作製されるスイッチを介して、区分37に光学的に結合されたプリズム38に伝搬することによって、3次元で表示され得る。画像変調材料39は、光が選択された平面内の導波管から逃れることを可能にし、選択され得る平面の各々は、3次元画像のy-座標の異なる値に対応する。
【0008】
図1に図示されるディスプレイの不利点は、ディスプレイが、3次元画像に水平視差を提供するが、ある用途において所望され得る垂直視差を提供しないことである。加えて、画像変調材料39の切り替え率は、ディスプレイが画像の3つの次元のうちの2つを走査するので、非常に高くなければならない(現在の最先端技術において、非現実的に高い)。最後に、画像が、時間多重化によって生産されるので、通常の3次元場面内で生じるような非透明画像(すなわち、その中で前景内のオブジェクトがそれらの背後のオブジェクトのビューをブロックする画像)を提供することが可能ではない。
【0009】
故に、単一導波管を利用する改良された3次元ディスプレイの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,812,186号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0160556号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面において、3次元ディスプレイのための装置は、面間で導波管の長さに沿って放射を伝搬するように構成された一対の対向面を有する導波管と、導波管に光学的に結合され、放射を導波管に伝送するように構成された放射源と、導波管の面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された面を有する少なくとも1つのプリズム要素であって、プリズム要素の面は、周辺を有する少なくとも1つのプリズム要素と、導波管の面のうちの少なくとも1つのエリアに光学的に結合された画像変調材料の層であって、エリアの少なくとも一部は、プリズム要素の面の周辺外に位置する、画像変調材料の層とを備えている。
【0012】
別の側面において、3次元ディスプレイのための装置は、面間で導波管の長さに沿って放射を伝搬するように構成された一対の対向面を有する導波管と、導波管に光学的に結合され、放射を導波管に伝送するように構成された放射源と、導波管の面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された面を有する少なくとも1つのプリズム要素と、導波管の面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された画像変調材料の層とを備え、導波管は、画像変調材料の層と少なくとも1つのプリズム要素との間にある。
【0013】
本発明のこれらおよび他の側面は、以下の説明に照らして明白であろう。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
3次元ディスプレイのための装置であって、前記3次元ディスプレイのための装置は、
一対の対向面を有する導波管であって、前記導波管は、前記面間で前記導波管の長さに沿って放射を伝搬するように構成されている、導波管と、
前記導波管に光学的に結合され、前記放射を前記導波管に伝送するように構成された放射源と、
前記導波管の前記面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された面を有する少なくとも1つのプリズム要素であって、前記プリズム要素の前記面は、周辺を有する、少なくとも1つのプリズム要素と、
前記導波管の前記面のうちの少なくとも1つのエリアに光学的に結合された画像変調材料の層と
を備え、
前記エリアの少なくとも一部は、前記プリズム要素の前記面の前記周辺の外に位置している、3次元ディスプレイのための装置。
(項目2)
前記画像変調材料の層に光学的に結合された前記導波管の前記少なくとも1つの面のエリア全体は、前記プリズム要素の前記面の前記周辺の外にあり、前記周辺に隣接している、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目3)
前記放射源は、発光型ディスプレイである、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目4)
前記導波管の前記面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された面のアレイを形成している複数のプリズム要素を備え、前記プリズム要素の前記面のアレイは、前記周辺を形成している、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目5)
前記画像変調の層は、複数の独立して変調される領域を備えている、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目6)
第1および第2の画像変調材料の層を備え、前記第1の画像変調材料の層は、前記導波管の対向面の一方に光学的に結合され、前記第2の画像変調材料の層は、前記導波管の他方の対向面に光学的に結合されている、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目7)
前記画像変調材料は、蛍光性材料を備えている、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目8)
前記画像変調媒体は、液晶材料を備えている、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目9)
前記画像変調媒体は、複数の荷電粒子および懸濁流体を備え、前記荷電粒子は、電場の影響下、前記懸濁流体を通して移動する、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目10)
前記画像変調媒体は、エレクトロクロミック材料を備えている、項目1に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目11)
3次元ディスプレイのための装置であって、前記3次元ディスプレイのための装置は、
一対の対向面を有する導波管であって、前記導波管は、前記面間で前記導波管の長さに沿って放射を伝搬するように構成されている、導波管と、
前記導波管に光学的に結合され、前記放射を前記導波管に伝送するように構成された放射源と、
前記導波管の前記面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された面を有する少なくとも1つのプリズム要素と、
前記導波管の前記面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された画像変調材料の層と
を備え、
前記導波管は、前記画像変調材料の層と前記少なくとも1つのプリズム要素との間にある、3次元ディスプレイ装置。
(項目12)
前記放射源は、発光型ディスプレイである、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目13)
前記導波管の前記面のうちの少なくとも1つに光学的に結合された面のアレイを形成している複数のプリズム要素を備えている、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目14)
前記画像変調材料の層は、複数の独立して変調される領域を備えている、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目15)
前記少なくとも1つのプリズム要素と同じ前記導波管の面に光学的に結合された第2の画像変調材料の層をさらに備えている、項目11に記載の3次元ディスプレイ。
(項目16)
前記第2の画像変調材料の層は、複数の独立して変調される領域を備えている、項目15に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目17)
前記画像変調材料の層に光学的に結合された第2の導波管をさらに備え、前記画像変調材料の層は、前記第1の導波管と第2の導波管との間にある、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目18)
前記画像変調材料は、蛍光性材料を備えている、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目19)
前記画像変調材料は、液晶材料を備えている、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目20)
前記画像変調材料は、複数の荷電粒子および懸濁流体を備え、前記荷電粒子は、電場の影響下、前記懸濁流体を通して移動する、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
(項目21)
前記画像変調材料は、エレクトロクロミック材料を備えている、項目11に記載の3次元ディスプレイ装置。
【0014】
本図面は、限定としてではなく、例としてのみ、本概念による1つ以上の実装を描写する。図面は、正確な縮尺で描かれていない。図において、同様の参照番号は、同一または類似要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、3次元ディスプレイのための導波管デバイスの概略断面側面図である。
【0016】
図2A図2Aは、本発明の実施形態による、3次元ディスプレイのための導波管デバイスの概略断面側面図である。
【0017】
図2B図2Bは、単一導波管デバイスの一部の概略断面側面図である。
【0018】
図2C図2Cも、単一導波管デバイスの一部の概略断面側面図である。
【0019】
図3A図3Aは、本発明の好ましい実施形態による、導波管デバイスの一部の概略断面側面図である。
【0020】
図3B図3Bは、マイクロカプセル化された電気泳動媒体を含む図3Aに図示される実施形態の拡大図である。
【0021】
図3C図3Cは、別のマイクロカプセル化された電気泳動媒体を含む図3Aに図示される実施形態の拡大図である。
【0022】
図3D図3Dは、図3Aに図示される実施形態のスペーサおよび導波管の拡大図である。
【0023】
図4A図4Aは、本発明の別の実施形態に組み込まれ得るプリズムアレイの概略側面図である。
【0024】
図4B図4Bは、本発明のある実施形態に含まれ得る導波管内を進行する光を示す概略断面側面図である。
【0025】
図5A図5Aは、本発明の別の実施形態による、3次元ディスプレイの概略断面側面図である。
【0026】
図5B図5Bは、図5Aの断面側面図の一部の拡大図である。
【0027】
図6図6は、本発明の実施形態による、複数の導波管要素を備えている3次元ディスプレイの概略断面側面図である。
【0028】
図7A図7Aは、本発明の実施形態による、複数の導波管要素を備えている第1の3次元ディスプレイの概略断面側面図である。
【0029】
図7B図7Bは、本発明の別の実施形態による、複数の導波管要素を備えている第2の3次元ディスプレイの概略断面側面図である。
【0030】
図7C図7Cは、本発明の別の実施形態による、複数の導波管要素を備えている第3の3次元ディスプレイの概略断面側面図である。
【0031】
図8図8は、本発明の別の実施形態による、複数の導波管要素を備えている第4の3次元ディスプレイの概略上部平面図である。
【0032】
図9図9は、本発明の実施形態による、3次元ディスプレイのための別の導波管デバイスの概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の発明を実施するための形態において、多数の具体的な詳細が、関連する教示の完全な理解を提供するために、例として記載される。しかしながら、本教示は、そのような詳細がなくとも実践され得ることが、当業者に明白であるはずである。
【0034】
ここで図2Aを参照すると、本発明の第1の実施形態による、3次元ディスプレイのための装置200が、断面図において図示される。装置200は、2つの対向平面表面を有する光透過導波管202を備えている。導波管202は、例えば、ガラスまたは高分子樹脂材料から作製され得る。装置200は、導波管202の面の一部に光学的に結合された放射源206をさらに備え得る。この放射は、好ましくは、可視光の形態にあるが、源は、ある実施形態において、例えば、図2Aに示されるように、液晶または有機発光ダイオード(OLED)技術またはプロジェクタを使用するピクセル化された発光型ディスプレイであり得る。代替として、非ピクセル化光源が、使用され得る。光は、直接(すなわち、その屈折率が導波管の屈折率とほぼ同一またはより高い透明媒体を通して)または間接的に導波管の中に結合され得る。後者の場合、光源は、(例えば)空気の層によって、導波管から分離され得、導波管(図2Aにおいて、要素204として示される)と光学接触する光散乱、屈折、または回折光学要素が、光源から導波管の中への光の結合を媒介し得る。
【0035】
導波管202内を伝搬する示されるような光線は、導波管の外部の媒体の屈折率が導波管が作製される材料の屈折率未満であるとき、全内部反射によって捕獲されたままであり、導波管の平面表面の法線に対する光の入射角は、臨界角、θ=sin-1(n/n)を上回り、nおよびnは、それぞれ、導波管の外部の媒体および導波管自体の媒体の屈折率である。
【0036】
「画像変調材料」は、本明細書で使用されるように、明細書および請求項全体を通して、(1)光が導波管を通して伝搬する能力に影響を及ぼし得る材料(例えば、導波管のクラッディングの屈折率を変化させることによって、および/または光を吸収することによって)、および/または、(2)光が導波管の中に結合されることを可能にし得る材料(例えば、光散乱、屈折、または蛍光性材料)を意味する。画像変調材料は、一方または両方の特性を有し得る。例えば、画像変調材料は、導波管より高い屈折率を伴う光散乱材料を備え得、したがって、導波管のクラッディングの有効屈折率を変化させ、光を散乱させ得る。再び図2Aを参照すると、画像変調材料を含む画像変調層アセンブリ208および210は、導波管の対向面に光学的に結合され得る。本発明のいくつかの実施形態において、画像変調層は、導波管の1つのみの面に結合され得る(すなわち、層アセンブリ208および210のうちの1つがないこともある)。
【0037】
好ましい実施形態において、画像変調材料は、電気光学材料、より好ましくは、双安定電気光学材料である。用語「電気光学」は、明細書および請求項全体を通して、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であり、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる材料を指すために本明細書で使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。用語「双安定」および「双安定性」は、本明細書において、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように有限持続時間のアドレスパルスを用いて駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、ディスプレイ要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなある電気光学材料を指すために、明細書および請求項で使用される。
【0038】
1つのタイプの電気光学材料は、エレクトロクロミック媒体、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に付着して色の変化を反転可能な複数の染色分子とを備えているナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体である。例えば、O’Regan,B.,etal,Nature1991,353,737,およびWood,D.,InformationDisplay,18(3),24(2002年3月)を参照されたい。Bach,U.,etal,Adv.Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体も、典型的に、双安定性である。
【0039】
別のタイプの電気光学材料は、例えば、Philipsによって開発され、Hayes,R.A.,etal,“Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting”,Nature,425,383-385(2003)に説明されているエレクトロウェッティング媒体である。米国特許第7,420,549号に、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイが双安定性にされ得ることが示されている。
【0040】
長年にわたり研究および開発の関心の対象であるさらに別のタイプの電気光学材料は、粒子ベースの電気泳動媒体であり、複数の荷電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。流体は、概して、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成され得る(例えば、Kitamura,T.,et al.“Electrical toner movement for electronic paper like display”,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,“Toner display using insulative particles charged triboelectricaily”,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4を参照)。米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。
【0041】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、およびその関連会社に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化されたマイクロセルの電気泳動および他の電気光学媒体内で使用される種々の技術を説明する。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それ自体が高分子結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる凝集層を形成する。代替として、荷電粒子および流体は、キャリア媒体、典型的に、多くの場合、マイクロセルと称される高分子フィルム内に形成される複数のシールされた空洞内に保持され得る。これらの特許および出願に説明される技術として、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照);
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照);
(c)マイクロセルを形成するマイクロセル構造、壁材料、および方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照);
(d)マイクロセルを充填かつシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照);
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照);
(f)ディスプレイにおいて使用されるバックプレーン、接着剤層、および他の補助層および方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照);
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照);および、
(h)ディスプレイを駆動させる方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)。
【0042】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動媒体を生成し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備えていることを認識し、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0043】
カプセル化された電気泳動媒体は、典型的に、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および故障モードの解決に悩まされることがなく、多様な柔軟性および剛体基板上に媒体を印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(用語「印刷」の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を参照)、および他の同様の技術が挙げられる。)
【0044】
他のタイプの電気光学媒体も、本発明のディスプレイにおいて使用され得る。
【0045】
再び図2Aを参照すると、画像変調層アセンブリ208および210は、分割型またはアクティブマトリクス電気泳動ディスプレイを備え得る。電気光学ディスプレイは、通常、電気光学材料の層と、電気光学材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの一方は、電極層である)とを備えている。大部分のそのようなディスプレイにおいて、両層が、電極層であり、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するように光透過性であり、および/または、パターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極に、他方は、行電極に対して直角に伸びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行および列電極の交差によって、画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、それらの各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。本発明の実施形態のうちのいくつかにおける導波管の対向表面の反射特性の変調は、したがって、図2Bに図示される変調等、導波管のそれを下回る屈折率を有する溶媒中に比較的に高屈折率を有する顔料の電気泳動運動によって提供され得る。
【0046】
図2Bにおいて、光学的に透明な導波管202が、透明な導電性層244によって覆われている。電気泳動流体層210が、層244と、個々にアドレス可能な電極のアレイ(従来、「バックプレーン」と称されるが、図2Bにおいて、最上層として示される)を支える層246との間の間隙に及んでいる。電気泳動流体は、導波管202のそれより低い屈折率を有する懸濁流体254と、懸濁流体254のそれより高い、好ましくは、導波管202のそれより高い屈折率を有する荷電粒子256とを備えている。粒子256は、正にまたは負に帯電され得、可視波長の光を吸収および/または散乱させ得る。
【0047】
電圧差が、透明電極244とバックプレーン電極のうちの1つとの間に提供されると、粒子は、粒子の電荷および電圧差の極性に応じて、透明電極244に誘引されるか、またはそれから反発されるように、結果として生じる電場内を移動する。図2Bにおいて、粒子は、バックプレーン電極248によってアドレスされる領域内において、透明電極244に誘引され、バックプレーン電極250によってアドレスされる領域内において、透明電極244から反発されるように示される。導波管内を伝搬する光(図2Bにおいて、光線258によって図示される)は、電極250によってアドレスされる領域内において、導波管に隣接する電気泳動媒体が、導波管のそれより低い屈折率を有し、光線258が、導波管と電気泳動媒体との間の界面の法線に対するその入射角が全内部反射のための臨界角より大きいように十分に浅いと仮定されるので、この領域において、全内部反射される。
【0048】
しかしながら、電極248によってアドレスされる領域において、透明伝導性層244に隣接する電気泳動流体中の移動性粒子の存在が、全内部反射が妨げられるようにし、光は、電気泳動流体を貫き、光は、移動性粒子によって吸収されるか、または散乱させられる。この吸収および/または散乱は、導波管の端部の中を見ている観察者226に見える画像点を提供し、観察者226は、導波管の平らな面における反射と導波管/空気界面における屈折との結果として、図2Bにおける点270によって図示される場所において導波管の平面の下方にあるようにそれを知覚する。光は、導波管を通して折り曲げられているので、観察者226は、全内部反射が妨げられた領域を除き、バックプレーン246または電気泳動流体層210を見ることができない。
【0049】
図2Bにおいて、全内部反射は、導波管の1つのみの面上で変調される。図2Aにおいて、全内部反射は、両方の面上で変調され、それは、ディスプレイの深度分解能を増加させる。
【0050】
本発明の実施形態に従って作製されるディスプレイは、視認角度の範囲にわたって所望の光学効果を達成し得るが、その限界が、ここで、さらに詳細に説明されるであろう。図2Cを参照すると、θは、導波管の内側の光の光線と電極-流体界面に対して法線の垂直軸との間の角度を示し、Φ「視認角度」は、空気中の光の光線と水平軸との間の角度を示すために使用されるであろう。nが、導波管の屈折率であり、nが、電気泳動分散液の懸濁流体の屈折率であり、空気の屈折率が、1であると仮定される場合、2つの角度は、導波管/空気界面におけるSnellの法則によって関連付けられる(式1)。
Sin(Φ)=ncos(θ) (1)
【0051】
高角度限界は、上で説明されるように、懸濁流体と導波管との間の屈折率コントラストから生じる。θの最小値は、sin-1(n/n)によって与えられるので、最大ディスプレイ角度Φmaxは、式2によって与えられる。
Φmax=sin-1(ncos(sin-1(n/n)))=sin-1(√(n -n )) (2)
【0052】
低角度視認限界Φminは、レンダリングされる3次元画像の意図される分解能によって設定される。図2Cに示されるように、dが、単一導波管の厚さ(垂直分解能)を示し、wが、オペレータが解決することを所望する最も細かい水平特徴(すなわち、バックプレーン電極の長さまたは幅)のサイズを示すとする。光の光線が、tan(θ)>w/2dを有するように十分に浅い場合、光線が導波管に入射する点に応じて、それは、電極全体を飛び越え得、画像が完全に表示されないようにする。限界角度Φminは、したがって、式3によって与えられる。
Φmin=sin-1(cos(tan-1(w/2d)))=sin-1(n/√(1+(w/2d))) (3)
【0053】
wは、デバイス毎ベースではなく、画像毎ベースで定義されることに留意されたい。多くの用途に関して、同じパターンを伴って近傍の電極を駆動し、その有効分解能を減少させることによって、画像は、Φminを実質的に下回る角度でも、大部分が視認可能にされることができる。
【0054】
望ましくは、Φmaxは、可能な限り大きく、Φminは、可能な限り小さい。これは、導波管の屈折率を最大化し、懸濁流体の屈折率を最小化し、導波管の厚さを最小化し、水平画像分解能の粗さを最大化することによって達成され得る。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、透明な導電性層は、透明中間基板上に提供され、透明中間基板は、その屈折率が導波管の屈折率に等しいかまたはより高い光学的に透明な接着剤を使用して、導波管に接合される。このアプローチは、中間基板のエリアのうちの電気的に変調される部分のみが導波管に接合される必要があるので、好ましい。このエリアのうちの非変調部分、例えば、縁シールの領域は、空気の層によって、導波管から分離されたままであり、したがって、ディスプレイの縁の中を見ている観察者によって見られない。一般に、ディスプレイの視認者によって見られるように意図される電気泳動セルのそれらの領域のみが、本発明の実施形態において、導波管に光学的に結合される。
【0056】
例えば、図3Aは、本発明の1つの好ましい実施形態による、導波管モジュール300を図示する。導波管302は、光学的に透明な接着剤304を用いて中間基板306に結合される。中間基板306の反対側に、透明導電性層308があり、それは、随意に、保護高分子層310を具備する。電気泳動流体312は、中間基板306(およびその関連付けられる表面コーティング)およびバックプレーン316によって画定された空洞内に含まれる。この空洞の幅は、例えば、ビーズ、ねじ山、またはメッシュであり得る随意のスペーサ314によって維持される。空洞の縁は、随意に、好ましくは、中間基板306を導波管302に接合するために使用されるそれと同じ光学的に透明な接着剤であり得る高分子材料318でシールされる。中間基板306を導波管302に接合する光学的に透明な接着剤層304は、好ましくは、縁シール318まで延びていない(すなわち、図3Aに示される距離d1は、>0である)。バックプレーンまたは中間基板のいずれかは、所望に応じて、縁シールを越えて延び得る(図3Aにおける距離d2およびd3によって示されるように)。
【0057】
図3Aは、導波管に光学的に接合および結合され、視認表面に接触するスペーサ330も提供する。随意に、この接合は、光学的に透明な接着剤332の層によって達成される。スペーサ330と接着剤層332との組み合わせられた厚さは、少なくとも光学的に透明な接着剤304と、中間基板306と、層308および310と、電気泳動流体312と、バックプレーン316との組み合わせと同程度の厚さである。
【0058】
上で説明されるように、電気泳動流体312は、さらなる区画化を伴わずに、空洞内に含まれる。しかしながら、図3Bおよび3Cに示されるように、電気泳動流体をマイクロカプセルまたはマイクロセル内に組み込むことも可能である。電気泳動流体の区画化は、電気泳動流体の重力沈降を限定し、特に、導波管が垂直平面に向けられる場合、有利である。
【0059】
図3Bは、電気泳動流体312がマイクロカプセル336内に含まれる図3Aの非区画化セルの代替構造の正確な縮尺で描かれていない拡大図を示す。マイクロカプセルは、直接、透明伝導性層308上にコーティングされ、従来の導電性接着剤層338を使用して、バックプレーン316に積層される。好ましくは、マイクロカプセルは、カプセル間の任意の間隙(図3Bにおいて、340として示される)が空気で充填され、高分子材料によって充填されないように、追加の高分子結合剤を伴わずに透明伝導性層308上にコーティングされる。高分子結合剤が、使用される場合、導波管のそれより低い、好ましくは、電気泳動粒子のための懸濁流体の屈折率に等しいか、またはより低い屈折率を有するべきである。このように、全内部反射は、電気泳動流体が存在しないマイクロカプセルコーティングの領域において途絶させられない。
【0060】
図3Cは、電気泳動流体312がマイクロセル内に含まれる図3Aの非区画化セルの代替構造の正確な縮尺で描かれていない拡大図を示す。マイクロセルの壁は、要素342によって示される。マイクロセルは、好ましくは、その屈折率が、低く、すなわち、電気泳動粒子のための懸濁流体の屈折率に等しいか、またはより低い高分子材料から作製され、壁は、低屈折率の材料を用いて透明伝導性層308に接着されるべきである。マイクロセルは、随意の層344でシールされ、接着剤層346によってバックプレーン316に積層される。
【0061】
スペーサ330および関連付けられる接着剤層332の寸法は、図3Dに示されるように、好ましくは、視認者へのスペーサの背面の露出を回避するように配置される。スペーサは、その背面を最小視認角度における直視から外れるように設置するために十分に長くあるべきであるが、同時に、その背面を最大視認角度における反射視から外れるように設置するために十分に短くあるべきである。要求される高さhが十分に低い(近似であるが、有用な比較値は、dΦmin/Φmaxである)場合、これらの制約は、同時に、寸法lの正しい値によって満たされ得る。該当しない場合、背面壁の可視性は、達成可能視認角度の範囲に追加の制約を課す。
【0062】
再び図2Aを参照すると、ディスプレイ200は、3次元画像を提供し、3次元画像において、x次元は、光源206内のピクセルの行(これがピクセル型であるとき)と、断面図の平面に対して垂直に延びている画像変調領域208および210とによって提供される。y次元は、光源206内の図2AにおけるL/R方向に延びているピクセル(これがピクセル型であるとき)と、画像変調領域208および210とによって提供される。z次元は、図2Aの実施形態において、7つの平面に分割される。視認者226から最も離れた平面は、光源画像206によって提供される。視認者から知覚される距離の順序において(最も遠いものが最初に列挙される)、他の6つの平面は、画像変調領域208および210の独立して変調された領域224、222、220、218、216および214によって提供される。
【0063】
導波管から出射する光は、導波管の面に光学的に結合された1つ以上のプリズム要素212を通して伝送され得る。図2Aにおける長さ230として示される視認窓は、視認角度と、導波管およびそのクラッディングの厚さおよび屈折率とに依存する。可能な限り導波管の平面と垂直に近い視認角度に対して視認窓をサイズ決定することが、好ましくあり得る。
【0064】
図2Aに図示されるように、3次元ディスプレイは、本発明の種々の実施形態に従って作製されるディスプレイが、概して、プリズム要素と導波管との間の任意の切り替え材料がないという点で、図1に図示されるそれら等の以前のディスプレイと異なる。言い換えると、画像変調材料は、プリズム要素の占有エリアの外側、すなわち、導波管に結合されるプリズム要素の面の周辺によって境を限られるエリアの外側のエリア内の導波管の対向面の一方または両方に適用され得る。
【0065】
本発明の種々の実施形態に従って作製されるデバイスは、単一プリズム要素、または代替として、プリズム要素のアレイを含み得る。1つの好ましいプリズム幾何学形状は、図4Aに図示されるように、非対称設計を有するプリズム要素のアレイである。そのようなプリズムアレイは、例えば、「光方向変換フィルム」として利用可能であり、その一例は、Film Optics Ltd(Oxfordshire,UK)から利用可能な29-度光方向変換フィルムである。プリズム要素401は、断面図に図示され、プリズムフィルムシートの全体的幅を横断して延びている。しかしながら、画像コンテンツの損失を伴わずに、光を導波管から逃れさせる任意の光学要素が、使用され得る。例えば、回折またはホログラフィック要素が、採用され得る。
【0066】
プリズム要素は、使用される場合、好ましくは、導波管の対向面のうちの1つに光学的に結合された約10~500ミクロンの厚さを有する透明中間基板403上に配置される。再び図4Aを参照すると、アレイ内のプリズム要素401は、好ましくは、約25~約1000ミクロンのピッチ409を有し、好ましいピッチは、約50~約200ミクロンの範囲内である。各プリズム要素は、放射源(図2Aにおける源206等)に近接した第1の角度405と、放射源に対して遠位の第2の角度407とを含み得る。角度405は、好ましくは、約20~約45度の範囲内である一方、角度407は、角度405より大きく、好ましくは、約60~約90度の範囲内である。角度405のより大きい値は、導波管の平面の垂直により近く、ディスプレイが自然な角度で視認されることを可能にするように、導波管から出射する光の屈折につながり得る。代替として、角度405は、約45~約60度の範囲内であり得るが、この場合、別の光学要素が、光を視認者に向かって曲げるために要求され得る。
【0067】
種々の図に示されるディスプレイの向きは、水平であるが、ある用途において、ディスプレイを垂直に整列させることが好ましくあり得ることに留意されたい。
【0068】
本発明の種々の実施形態に従って作製されるデバイスにおいて使用される導波管厚は、ディスプレイの視認窓の幅の約半分以下であり得る。前述のように、プリズム要素と導波管との間のエリアは、概して、任意の画像変調材料がない。これらの2つの特徴の組み合わせは、図4Bに図示されるように、水平および垂直視差の両方を有する3次元画像が表示され得るディスプレイを提供する。
【0069】
図4Bは、画像点406および408で生じる光が、位置410および412に位置する視認者によって知覚されるであろう様子を示す。位置410における視認者は、導波管402内を伝搬し、プリズム要素404を通して出射する略図内に描かれる光線によって図示されるように、直接、画像点408の背後に(かつそれによって塞がれて)現れる画像点406を見るであろう。太い光線は、2つの画像点からの光の組み合わせを示すように意図される。しかしながら、位置412における視認者は、点線光線によって示されるように、画像点の両方を見ることが可能であろう。より離れた画像点406は、より近い画像点408の左に現れるであろう(描かれるように)。したがって、位置410と412との間で移動することによって、視認者は、2つの点間の「高度視差」を知覚するであろう。代替用語「垂直視差」は、厳密に、導波管自体が垂直であった場合のみに適用されるであろうことに留意されたい。「方位角視差」(代替として、「水平視差」と称される)は、図における紙の平面と垂直な方向に分離された画像点によって提供されるであろう。
【0070】
本発明のいくつかの特に好ましい詳細な実施形態が、ここで、さらに詳細に説明されるであろう。第1の好ましい実施形態は、以降、「電気泳動光散乱」または「ELS」ディスプレイと称される。ELSディスプレイの動作の原理は、図5Aおよび5Bに示される。本発明の実施形態において、図5Aに示されるように、画像変調層は、導波管の1つのみの面上に提供され、それは、図示されるようにプリズム外部結合要素510を支える面または反対面であり得る。導波管502は、画像変調領域508および随意の領域504に光学的に結合され、それを通して、光は、例えば、光散乱によって、導波管の中に結合され得る。プロジェクタとして図に示される光源506は、透明導波管を通して、画像変調領域508および光結合領域504を照明する。上で述べられるように、代替光源が、プロジェクタの代わりに使用され得、例えば、液晶またはOLEDディスプレイ等の平面発光ディスプレイであることに留意されたい。
【0071】
ディスプレイの詳細な動作は、図5Aにおける点線長方形によって示されるように、ディスプレイの断面部分の拡大図(正確な縮尺で描かれていない)である図5Bに図示される。
【0072】
図5Bに示されるように、導波管502は、層(または複数の層)505によって透明電極507に光学的に結合される。層505は、光学的に透明な接着剤層を備え得、光学的に透明な接着剤層は、導波管502と、光学的に透明な接着剤層と透明電極507との間の透明基板(例えば、ポリカーボネートフィルムのポリ(エチレンテレフタレート))とに接合される。電極507は、ディスプレイの画像変調領域のエリア全体(すなわち、従来の電気泳動ディスプレイ内の共通電極に対応し得る)を覆い得るか、または、ピクセル化され得る。空洞516は、透明電極507を、ピクセル電極509および511を支える基板512から分離する。空洞516は、電気泳動的に移動性粒子514を含む流体(例えば、低屈折率のガスまたは溶媒)を備えている電気泳動組成物で充填される。電気泳動組成物は、当技術分野において周知のように、添加剤、例えば、高分子または界面活性剤も備え得る。溶媒は、使用される場合、導波管502、透明電極507、および層505のそれより低い屈折率を有する。導波管の電気泳動組成物と反対面上に、導波管より低い屈折率の媒体518によって導波管502から分離される光源506がある。便利に、層518は、空気層である。上で説明されるように、光源506は、ピクセル化され、カラーまたはモノクロであり得る画像を提供し得る。例えば、光源506は、電気泳動層上に集束される画像を提供するプロジェクタであり得る。代替として、光源506は、非ピクセル化され、均一照明を提供し得る。
【0073】
光源506からの光は、層518、導波管502、層505、および透明電極507を通して、電気泳動組成物に進行し、電気泳動組成物において、光は、粒子514によって散乱させられる。散乱させられた光が、導波管に入射するかどうかは、粒子514の位置に依存する。図5Bにおいて、粒子514の一部は、電極511に隣接し、空洞516を充填する流体によって、(導波管に光学的に結合された)透明電極505から分離されて示される。上で記載のように、この流体は、導波管自体または他の介在層より低い屈折率を有するので、散乱させられた光は、導波管に入射しないであろうが、光源506に向かって戻るように導波管502を通過するとき、屈折させられるであろう。電極509の近傍において、他方において、散乱させられた光は、粒子514と溶媒との組み合わせが導波管502または介在層505より高い屈折率を有するので、導波管502の中に結合される。したがって、電極509の領域において、光源506からの入射光の色を有する画像点が、形成される。
【0074】
適切な電場の印加が、粒子514を空洞516の正面または背面に移動させるために使用され得ることが、当業者に明白であろう。空洞516の間隙厚が、壁、柱、またはビーズ等の適切な部材によって維持され得、マイクロセルまたはマイクロカプセル等のマイクロ区画が、電気泳動組成物を含むために使用され得ることも明白であろう。同様に、伝導性接着剤または他の層等の示されない他の層も、電極507と電極509および511の平面との間に含まれ得ることも明白であろう。
【0075】
視認者により近いオブジェクトが視認者からより離れたオブジェクトを塞ぐフルカラー画像が、形成され得る。導波管内を伝搬するより離れたオブジェクトからの光は、より近いオブジェクトの位置において、導波管から出射し(この位置において、クラッディングの屈折率は、導波管のそれより高いので)、再び、粒子514によって散乱させられるであろう。散乱は、等方性であるので、散乱させられた光のわずかな部分のみが、導波管内で視認者の方向に伝搬するような角度であろう。より離れたオブジェクトからの光は、2回、散乱させられているであろう一方、より近いオブジェクトからの伝搬光は、1回のみ、散乱させられており、その結果、強度が、よりかなり高いであろう。3次元空間内の画像点の位置は、導波管に対する光散乱粒子514の位置によって決定される。画像点の色は、光源506によって光散乱粒子上に投影された画像によって決定されるであろう。
【0076】
図2Aに示される光源206に対応する画像の最も離れた平面は、光散乱表面が上で述べられるように恒久的に光学的に結合されている導波管の領域上に入射する光源からの光によって提供され得ることが可能である。
【0077】
ディスプレイの第2の好ましい実施形態は、以降、「受動的に結合される」ディスプレイと称され、図5Aにおける画像変調領域508は、導波管502上に蛍光性または光散乱材料を備えているコーティングまたは複数のコーティングを備えている。
【0078】
画像変調領域508が光散乱材料を備えている実施形態は、光散乱度が動的に改変されることができないことを除き、電気泳動散乱ディスプレイを備えている前述の実施形態に類似する。結果として、本発明の受動的散乱ディスプレイから利用可能なコントラスト比は、電気泳動的に能動的実施形態において達成され得るそれよりはるかに低い。本実施形態において、遠位画像点からの光は、視認者に向かって導波管内で反射されるにつれて、散乱させられる。遠位画像点の閉塞を回避するために、受動的散乱度が低いことが好ましい。例えば、光源506からの入射光の10%未満、好ましくは、約5%未満が、画像変調領域508の単一通過において散乱させられるべきである。プリズム外部結合要素510からより離れた画像変調領域508の領域が、外部結合要素510により近い領域より多くの光を散乱するように、光散乱効率の勾配を提供することも好ましくあり得る。例えば、外部結合要素510に近い領域は、入射光の約5%を散乱させ得る一方、外部結合要素510から最も遠い距離における点は、入射光の20%以上を散乱させ得る。
【0079】
本発明の受動的散乱実施形態において、したがって、電気泳動的に能動的な実施形態と異なり、近位画像点による遠位画像点の完全な閉塞を提供することが困難である。
【0080】
蛍光性材料が画像変調領域508の中に組み込まれる本発明の実施形態は、遠位画像点からの光が損なわれるという問題を被らない。例えば、導波管上に入射する1つの波長の光源506からの光は、吸収され、若干より長い波長(「Stokesシフト」と称される吸収最大値と放出最大値との間の差異)において再放出され得る。理想的に、Stokesシフトは、放出される光が再吸収されないように十分に大きくあるべきである。例えば、光源506からの青色光が、導波管内を伝搬する緑色光として再放出され得るか、または、(異なる蛍光性材料を使用して)緑色入射光が、赤色光として再放出され得る。青色光は、より短い波長の青色光または紫外線光によって生産され得る。
【0081】
蛍光性材料は、当技術分野において周知であり、有機(例えば、フルオレセインまたはローダミン色素およびその誘導体等の有機色素)または無機(例えば、量子ドット)であり得る。導波管自体が、蛍光性材料に含浸され得ることも可能である。
【0082】
フルカラー画像が本発明の受動的蛍光性実施形態において形成されるべき場合、2つ以上の導波管を使用することが好ましい。これは、1つの蛍光性材料によって放出される光が、蛍光性材料の両方が同じ導波管と光学接触している場合、第2の蛍光性材料によって吸収され得るからである。
【0083】
図6は、3つの異なる交互導波管による配置を示し、3つの異なる交互導波管の異なる蛍光性材料を具備し、各々は、一緒に結合され、複合フルカラー画像を形成し得る。1つの波長の光が伝搬する導波管606は、ダイクロイック材料610によって、導波管604に光学的に結合され、ダイクロイック材料610は、下側導波管606の端部領域において導波管604、606の対向面間に位置している。ダイクロイック材料610は、導波管606内を伝搬する波長の光を透過させるが、導波管604内を伝搬する波長の光を反射する。同様に、導波管604は、別のダイクロイック材料608によって、導波管602に光学的に結合され、別のダイクロイック材料608は、中央導波管604の端部領域において導波管604、602の対向面間に位置している。ダイクロイック材料608は、導波管604および606内を伝搬する波長の光を透過させるが、導波管602内を伝搬する波長の光を反射する。
【0084】
図6の実施形態と同様に、複数の導波管を備えている、ディスプレイは、図3Aおよび3Dに関して上で説明されるそれら等のスペーサを有するように提供され得る。例えば、本発明の実施形態による、完全なディスプレイ700を形成するための導波管構成要素702の組立が、図7Aに図示される。導波管704は、光学的に透明な層708によって、図7Aでは706として集合的に示される二次基板、電気泳動組成物、およびピクセル電極アレイのアセンブリに結合される。アセンブリ706の電気泳動的に能動的領域のみが、導波管704に結合される;そのほかの場所では、2つの要素は、空気間隙710によって分離される。空気間隙710は、電気泳動粒子のための懸濁溶媒の屈折率に等しいか、またはより低い屈折率を有する任意の材料によって置換され得ることが、当業者に明白あろう。
【0085】
スペーサ712は、層714によって、導波管704に光学的に結合される。しかしながら、スペーサ712の上部は、次の導波管モジュール718に光学的に結合されず、電気泳動粒子のための懸濁溶媒のそれに等しいか、またはより低い屈折率の層716によって分離されている。層716は、空気間隙または低屈折率の固体または液体であり得る。層716は、導波管モジュール718内の光が層716との界面において鏡面反射を受けることを所与として、ミラー層、またはいくつかの層の組み合わせでもあり得る。
【0086】
図7Aに図示される実施形態に関して、作業視認角度の範囲を上下にシフトさせることが好ましくあり得、これは、導波管のスタックに光学的に結合されることも、結合されないこともある追加の光学要素を組み込むことによって達成され得る。1つの好ましい実施形態において、この光学要素は、図7Aでは722として示されるプリズムである。このプリズムは、層720によって、導波管スタックに光学的に結合されるように示され、それは、導波管アセンブリの縁における任意の光学非均一性を排除するように、ゲル等の変形可能なクリア材料を用いて達成され得る。光学結合材料720は、例えば、当技術分野において周知のように、UV硬化によって、硬化させられ得る。代替として、図7Bに図示されるように、視認角度タイルが、空気またはある他のより低い屈折率材料の大きいカラム728によって導波管スタックからオフセットされたプリズム722を用いて達成され得、それは、画像の見掛け場所を上向きかつ若干後方にシフトさせる(後者の効果は、光学経路長の増加に起因する)。
【0087】
いくつかの実施形態において、スペーサ要素712の可視性を最小化するために、図7Cに示されるように、個々の導波管要素を整列させることが好ましい。中央導波管要素718は、底部導波管要素702および上部導波管要素719に対してオフセットされるように示される。中央要素718の導波管部分の上縁および上部要素719の導波管部分の底縁は、Φmin≦Ψ<Φmaxであるように、視認面の法線に対して角度Ψを画定する。プリズム要素は、図7Bにおける導波管要素の非オフセットスタックに関して図示されるように、オフセットされた導波管要素の面と視認者との間に位置することができる。
【0088】
随意に、ディスプレイの背面側は、正面と同一方法で構成されることができる。この場合、視認者は、3次元でレンダリングされたオブジェクトを正面または背面から見ることが可能とであろう。代替として、ディスプレイは、発光型または反射性であり得る二次2次元ディスプレイ726(図7Aに示されるように)を用いて、後方照明されることができる。
【0089】
上で議論されるように、各導波管サブアセンブリは、バックプレーン電極のアドレス可能ピクセルアレイを備えている。1つの平面における個々のピクセルのアドレスは、2次元ディスプレイをアドレスするために使用される従来の方法を使用して、達成されることができる。各ピクセルは、いくつかの制御スイッチから、個々にアドレスされることができるか、または、代替として、ピクセルアレイが、アクティブマトリクスアドレスが達成され得るように、薄膜トランジスタ等の論理要素を備えていることができる。
【0090】
ディスプレイの視認表面の断面上部平面図である、図8に示されるように、可撓性アクティブマトリクスバックプレーン804、または可撓性回路要素と一緒に接続された剛体アクティブマトリクスバックプレーンの組を使用することも可能であり、それによって、全体的ディスプレイが単一コントローラ806によってアドレスされ得る。要素804が、可撓性アクティブマトリクスピクセルアレイである場合、導波管要素802は、ピクセルアレイの同一面からアドレスされる。1つの好ましい実施形態において、可撓性バックプレーンは、図8におけるように、対の導波管要素の周囲に蛇行方式で配置され;間隙808は、可能な限り小さく作製されるであろう。要素804が、可撓性回路要素と接続される剛体バックプレーンの組である場合、対へのそのような配置は、必要ない。
【0091】
図9は、本発明のさらに別の実施形態によるディスプレイを示し、視認窓が、導波管902内に広がり部を提供することによって、すなわち、外部結合プリズム(または他の)要素904の領域内に楔形状の導波管を提供することによって、「y」次元において広げられる。図9に示されるように、光は、導波管の平面に対して角度θ’(これは、上で述べられた光の入射角に対する相補的角度である)で導波管内を伝搬し、楔形状部分において、導波管は、φの広がり角度を有し、広がり部は、好ましくは、導波管の外部結合要素904を支えるそれと反対側に提供される。広がり部がない場合、視認窓は、長さ2d/tanθ’(dは、導波管の厚さである)を有するが、この窓の長さは、広がり部が提供されるとき、拡大されることができる。拡大度は、所与の角度φに関する角度θ’に依存する。φは、約5~12度の範囲内であることが好ましい。
【0092】
本明細書に、本発明の好ましい実施形態が示され、説明されているが、そのような実施形態は、例としてのみ提供されることを理解されたい。多数の変形例、変更、および代用が、本発明の精神から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。故に、添付の請求項が、本発明の精神および範囲に該当するような、そのような変形例の全てを網羅することが意図される。
【0093】
前述の特許および出願の内容は全て、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【外国語明細書】