(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107689
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】自動流体管理システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/172 20060101AFI20220714BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20220714BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
A61M5/172 500
A61M5/142 530
A61M5/168 510
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088302
(22)【出願日】2022-05-31
(62)【分割の表示】P 2019558719の分割
【原出願日】2018-05-21
(31)【優先権主張番号】62/521,898
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/570,990
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ ピーター ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パテル マユール キラン
(72)【発明者】
【氏名】スタンホープ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウォン エリック
(72)【発明者】
【氏名】スランダ ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ガウビン クリストファー ピー
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー チャド
(72)【発明者】
【氏名】クラフト ブランドン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】デグラーフ キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】ワチュケ ブライアン ピー
(72)【発明者】
【氏名】ハラー ティモシー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラウニヤール ニラジ プラサド
(72)【発明者】
【氏名】タン サチャ
(57)【要約】
【課題】流体管理システムを提供する。
【解決手段】流体管理システムは、システムを通して流体をある流体流量で圧送するように構成されたポンプを含む。システムは、ユーザがシステム作動パラメータセットを入力することを可能にするユーザインタフェースを含むプロセッサを含み、プロセッサは、システム作動パラメータセットに基づいてポンプを制御してターゲット流体流量を維持するように構成される。システムは、ターゲット手術部位に流体を送出するためにポンプに結合されたスコープデバイスを更に含み、スコープデバイスは、その遠位端から延びる細長シャフトを含み、細長シャフトは、ターゲット手術部位に関連するセンサデータをプロセッサに送信する少なくとも1つのセンサを含む。プロセッサは、センサデータに基づいて流体流量を調節する信号をポンプに自動的に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管理システムであって、
前記システムを通して流体を流体供給源からある流体流量で圧送するように構成されたポンプと、
ユーザがシステム作動パラメータセットを入力することを可能にするユーザインタフェースを含み、前記システム作動パラメータセットに基づいてターゲット治療流体流量を決定し、前記ポンプを制御して該ターゲット治療流体流量に基づくターゲット治療流体流れ範囲内にターゲット流体流量を維持するように構成され、ターゲット手術部位に関するビデオフィードバックを受け取るプロセッサと、
ターゲット手術部位に流体を送出するために前記ポンプに結合されたスコープデバイスであって、該スコープデバイスが、その遠位端から延びる細長シャフトを含み、該細長シャフトが、前記細長シャフトの遠位部分にターゲット手術部位に関連するセンサデータを前記プロセッサに送信する少なくとも2つのセンサを含み、前記細長シャフトの遠位部分がターゲット手術部位に隣接して位置するとき、前記少なくとも2つのセンサがターゲット手術部位に隣接する体腔内に配置されている、前記スコープデバイスと、
を含み、
前記プロセッサは、前記ビデオフィードバックに基づいて前記ターゲット治療流体流量から離れるように前記流体流量を調節する信号を前記ポンプに自動的に送信する、流体管理システム。
【請求項2】
前記センサは圧力センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体をターゲット温度まで加熱するように構成された加熱アセンブリを更に含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記流体流量及びセンサデータを実時間で表示するように構成された表示画面を更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記流体流量がターゲット圧力範囲の外側であることを検出した場合に、視覚警報が前記表示画面上に表示される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、温度センサからの温度データに基づいて、前記ポンプを自動的に調節するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
軟性尿管鏡検査、子宮鏡検査、又は膀胱鏡検査手順のうちの1つに使用されるように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
流体バッグの重量を実時間で測定するための重量センサを更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記流体管理システムは、開システムからなり、身体から取り出される流体が前記システムから取り出される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔優先権主張〕
本発明の開示は、本明細書に引用によってその開示が組み込まれている2017年6月19日出願の米国仮特許出願第62/521,898号及び2017年10月11日出願の米国仮特許出願第62/570,990号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
軟性尿管鏡検査(fURS)手順は、いくつかの理由から流体の循環を必要とする。今日の外科医は、例えば、流体バッグを吊り下げて重力を用いて流体を送出すること、流体を注射器に充填してそれを手動で注入すること、又は蠕動ポンプを用いて流体をリザーバから固定圧力又は流量で送出することによるような様々な方法で流体を送出する。これら及び他の送出方法での欠点は、圧力累積系又は解剖学的構造(尿管、膀胱、腎臓)が何を体験しているかをユーザが完全に知らず、それが患者を害するリスクを高めることである。慎重な外科医は、一般的に低圧で流体を循環させる。しかし、圧力を低く保つために流量を低減することは、血液、血栓、及び粒子状物質が低圧では十分に除去されない場合があるので手術野の可視化に直接に影響する場合がある。対照的に、高いかん流流量は、望ましい明瞭な可視性を得ることができるが、過度に高い腔内圧力をもたらす場合がある。高い腔内圧力は、細菌及び内毒素が血液中に吸収されることを容易にし、これは術後発熱をもたらす場合がある。高い腔内圧力に起因して発生する場合がある他の状況は、流体漏出、術後疼痛、尿路性敗血症、及び腎臓損傷を引き起こすリンパ節及び静脈逆流を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の開示は、流体管理システムに関する。システムは、システムを通して流体供給源からある流体流量で流体を圧送するように構成されたポンプと、ユーザインタフェースを含むプロセッサであって、ユーザインタフェースが、ユーザがシステム作動パラメータセットを入力することを可能にし、プロセッサが、ポンプを制御してシステム作動パラメータセットに基づいてターゲット流体流れ範囲を維持するように構成される上記プロセッサと、ターゲット手術部位に流体を送出するためにポンプに結合されたスコープデバイスであって、スコープデバイスが、その遠位端から延びる細長シャフトを含み、細長シャフトが、少なくとも1つのセンサを含み、センサが、ターゲット手術部位に関連するセンサデータをプロセッサに送信する上記スコープデバイスとを含み、プロセッサは、センサデータに基づいて流体流量を調節する信号をポンプに自動的に送信する。
【0004】
実施形態では、センサは、圧力変換器である。
【0005】
実施形態では、システムは、流体をターゲット温度まで加熱するように構成された加熱アセンブリを含む。
【0006】
実施形態では、プロセッサは、流体流量及びセンサデータを実時間で表示するように構成された表示画面を更に含む。
【0007】
実施形態では、プロセッサが、流体流量がターゲット流体流れ範囲の外側であることを検出した場合に、視覚警報が表示画面上に表示される。
【0008】
実施形態では、スコープデバイスは、細長シャフト上に位置付けられた温度センサを更に含む。
【0009】
実施形態では、流体供給源は、流体バッグである。
【0010】
実施形態では、システムは、流体バッグの重量を実時間で測定するための重量センサを含む。
【0011】
本発明の開示はまた、流体管理システムに関する。システムは、システムを通して流体供給源からある流体流量で流体を圧送するように構成されたポンプと、ポンプを制御するように構成されたプロセッサと、ターゲット手術部位に流体を送出するためにポンプに結合されたスコープデバイスであって、スコープデバイスが、その遠位端から延びる細長シャフトを含み、細長シャフトが、ターゲット手術部位に関連するビデオフィードバックをプロセッサに送信するカメラを含む上記スコープデバイスとを含み、プロセッサは、ビデオフィードバック内の変動を検出する画像認識ソフトウエアを含み、変動に基づいて流体流量を調節する信号をポンプに自動的に送信する。
【0012】
実施形態では、プロセッサは、ユーザがシステム作動パラメータセットを入力することを可能にするユーザインタフェースを含む。
【0013】
実施形態では、プロセッサは、ビデオフィードバック及び流量を実時間で表示するように構成された表示画面を含む。
【0014】
実施形態では、スコープデバイスは、細長シャフト上に位置付けられた温度センサを更に含む。
【0015】
実施形態では、システムは、流体をターゲット温度まで加熱するように構成された加熱アセンブリを含む。
【0016】
実施形態では、流体供給源は、流体バッグである。
【0017】
実施形態では、デバイスは、流体バッグの重量を実時間で測定するための重量センサを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の開示の例示的実施形態による流体管理システムの概略図である。
【
図2】本発明の開示の例示的実施形態による
図1の流体管理システムの別の概略図である。
【
図3】第1の例示的実施形態による
図1のシステムのタッチ画面インタフェースを示す図である。
【
図4】第2の例示的実施形態による
図1のシステムのタッチ画面インタフェースを示す図である。
【
図5】第3の例示的実施形態による
図1のシステムのタッチ画面インタフェースを示す図である。
【
図6】例示的実施形態による
図1のシステムのタッチ画面インタフェース及びポンプシステムの斜視図である。
【
図7】例示的実施形態による
図1のシステムの視覚フィードバック表示を示す図である。
【
図8】例示的実施形態による
図1のシステムの様々な手動ユーザインタフェースの斜視図である。
【
図9】例示的実施形態による
図1のシステムのスコープデバイスの側面図である。
【
図11】例示的実施形態による
図1のシステムの加熱器アセンブリの側面図である。
【
図12】例示的実施形態による
図11の加熱器アセンブリの加熱器カセットの上面図である。
【
図13】例示的実施形態による
図1のシステムの廃棄物管理システムの斜視図である。
【
図14】第2の例示的実施形態による
図1のシステムの廃棄物管理システムの概略図である。
【
図15】第3の例示的実施形態による
図1のシステムの廃棄物管理システムの概略図である。
【
図16】第4の例示的実施形態による
図1のシステムの廃棄物管理システムの概略図である。
【
図17】第5の例示的実施形態による
図1のシステムの廃棄物管理システムの概略図である。
【
図18】第6の例示的実施形態による
図1のシステムの廃棄物管理システムの概略図である。
【
図19】例示的実施形態による廃棄物管理システム天井マウントの斜視図である。
【
図20】別の例示的実施形態による廃棄物管理システムマウントの斜視図である。
【
図21】別の例示的実施形態による廃棄物管理システムマウントの斜視図である。
【
図22】本発明の開示の例示的実施形態による廃棄物回収モジュールの斜視図である。
【
図23】本発明の開示の別の例示的実施形態による廃棄物回収モジュールの斜視図である。
【
図24】本発明の開示の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図25】別の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図26】第3の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図27】第4の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図28】第4の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図29】第5の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図30】第6の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図31】第7の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図32】第8の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図33】第9の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図34】第10の例示的実施形態による廃棄物管理システム構成の斜視図である。
【
図35】本発明の開示の例示的実施形態による生理食塩水バッグ構成の斜視図である。
【
図36】別の例示的実施形態による生理食塩水バッグ構成の斜視図である。
【
図37】第3の例示的実施形態による生理食塩水バッグ構成の斜視図である。
【
図38】第4の例示的実施形態による生理食塩水バッグ構成の斜視図である。
【
図39】本発明の開示の例示的実施形態による流体管理システムモジュール式カート設定を示す図である。
【
図40】別の例示的実施形態による流体管理システムモジュール式カート設定を示す図である。
【
図41】第3の例示的実施形態による流体管理システムモジュール式カート設定を示す図である。
【
図42】第4の例示的実施形態による流体管理システムモジュール式カート設定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、以下の説明及び類似の要素を同じ参照番号で参照する添付図面に関して理解することができる。本発明は、fURS手順での制御された流量及びセンサフィードバックによる流体の送出のためのシステム、方法、デバイス、及びキットに関する。例示的実施形態は、ユーザ制御又は自動のいずれかのものであるポンプと、先端にセンサを有するLithoVue(登録商標)スコープデバイスのような尿管鏡デバイスと、流体管理システムと、一部の実施形態では排液回収システムとを含むモジュール式システムを説明する。ポンプシステムは、ユーザが望む場合に流体を体温まで加熱するために加熱源を含むことができる。他の例示的実施形態は、洗浄チューブ系、圧力センサ又は温度センサを有するツール、排液キャニスタ、並びにストレージ情報及び洗浄チューブ系をどのように構成するかに関する取り扱い説明のうちの1又は2以上が印刷された資料のうちのいずれか2又は3以上のあらゆる組合せを含むことができる流体管理システムキットを説明する。本明細書に使用する時の用語「近位」及び「遠位」は、デバイスのユーザに向う方向(近位)及びそこから離れる方向(遠位)を意味するように意図したものであることに注意しなければならない。
【0020】
図1~
図2は、例示的モジュール式流体管理システム10を示している。流体管理システム10は、そこを通る流体の流れを可能にし、例えば、LithoVue(登録商標)スコープデバイス20のような圧力センサを含む外科デバイスに結合することができる。例示的実施形態では、デバイス20は、システム10に温度フィードバックを供給するための温度センサ及び/又は流体管理システム10に視覚フィードバックを供給するためのカメラを更に含む。流体管理システム10は、流体ハンガーモジュール100を更に含む。例示的な流体ハンガーモジュール100は、各々が1又は2以上の流体バッグ104を支持する流体バッグハンガー102のような1又は2以上の流体容器支持体を含むことができる。一部の実施形態では、流体バッグ104の配置は、遠隔センサを用いて検出することができる。流体バッグハンガー102は、例えば、1リットル(L)から5Lまでのバッグのような様々なサイズの流体バッグ104を受け入れることができる。あらゆる個数の流体容器を使用することができることは理解されるであろう。更に、手順に依存してあらゆるサイズの流体容器を使用することができる。例示的な流体管理ユニット100は、ポール106及び/又はベース108を含むことができる転動スタンドに装着することができる。ベース108は、使用時に流体管理ユニット100の容易な移動を容易にするために複数の車輪を含むことができる。しかし、流体バッグ104はまた、臨床プリファレンスに依存して天井又は中段から吊り下げることができることは理解されるであろう。流体バッグハンガー102は、ポール106から延び、かつ1又は2以上の流体バッグ104を懸架することができる1又は2以上のフック110を含むことができる。流体管理システム100に使用される流体は、0.9%生理食塩水とすることができる。しかし、手順に依存して様々な粘性の様々な他の流体を使用することができることは理解されるであろう。
【0021】
流体管理システム10は、タッチ画面インタフェース112のような1又は2以上のユーザインタフェース構成要素を含むことができる。タッチ画面インタフェース112は表示画面113を含み、タッチ機能に加えてスイッチ又はノブを含むことができる。タッチ画面インタフェース112は、ユーザが、例えば、流量、圧力、又は温度のようなシステム10の様々な関数を入力/調節することを可能にする。ユーザはまた、パラメータ及び警報(最大圧警報のような)、表示される情報、及び手順モードを設定することができる。タッチ画面インタフェース112は、ユーザが、流体管理システム10内の様々なモジュール式システムの使用を追加、変更、又は中断することを可能にする。タッチ画面インタフェース112は、システム10を様々な手順に向けて自動モードと手動モードの間で切り換えるために使用することができる。
【0022】
図3~
図6は、例示的タッチ画面インタフェース112を示している。タッチ画面インタフェース112の各部分は、ボタンのように見えるように構成することができ、当業者には理解されると考えられるような物理的ボタンと類似の機能を提供することができる。表示画面113は、流体管理システム10内に含まれるモジュール式システム及びデバイスに関するアイコン114を示すように構成することができる。例えば、
図3では、表示画面113は、スコープデバイス又は医療デバイス20からのターゲット組織/血管/腔のライブビデオフィード116をユーザに提供する。表示画面113は、
図5に示すように流量表示118を更に含むことができる。流量表示118は、手順の前にユーザによって設定された流量に対する望ましい閾値又は公知の一般値に基づいて決定することができる。一部の実施形態では、作動パラメータは、タッチ画面インタフェース112の対応する部分にタッチすることによって調節することができる。更に、例示的流量表示118は、流量スケール120を例えばユーザによって入力された作動パラメータ、並びに実流量122に基づいて明確に異なる低、中、高の範囲を用いて提供する。流量表示118は、実流量122と流量スケール120上の流量マーカの両方を実時間で調節する。この実施形態では、流量が高範囲に入ると、
図5に示すように、視覚警報125及び/又は音声警報を自動的に作動させることができる。
図4に示すように、表示画面113上に類似の圧力表示119を提供することができる。ここでもまた、圧力スケール123は、以前にユーザによって入力されたパラメータ又は公知の一般値に基づいて決定することができる。表示画面113は、実圧力121も実時間で表示することができる。他の実施形態では、表示画面113は、
図5に見ることができるように、システム電力127、流体バッグ内に残っている流体の量131、及び手順中に有利であるとユーザが決定することができるいずれかの他の情報を更に示すことができる。
【0023】
例示的実施形態では、流体管理システム100はまた、フットペダル117、加熱器インタフェース168、流体制御インタフェース127、又は様々なモジュール式システムを手動制御するための他のデバイスのような更に別のユーザインタフェース構成要素を更に含む。例えば、流量を手動制御するためにフットペダル117を使用することができる。
【0024】
タッチ画面インタフェース112は、コンピュータのような主処理デバイス124と作動的に接続されるか又は一体的にその一部である。主処理デバイス124は、例えば、ポンプアセンブリ、加熱アセンブリ、及び流体不足管理システムのような1又は2以上のシステム構成要素と作動的に接続することができる。主処理デバイス124は、計算、制御、演算、表示などのような様々な機能を実施することができる。主処理デバイス124は、管理システム10及びその各構成要素の作動に関するデータを追跡及び格納することができる。例示的実施形態では、主処理デバイス124は、デバイスを例えばソーシャルエリアネットワークに接続することを可能にするWiFiのようなネットワーク通信機能を含む。主処理デバイス124は、システム10のセンサからの信号を受信することができる。実施形態では、主処理124は、表示画面113上でユーザに対して表示することができる最良の診療提案及び患者記録の維持に向けてデータベースと通信することができる。
【0025】
流体管理システム10は、手順、患者特性等に基づいて異なるモード間でユーザ選択可能である場合がある。例えば、異なるモードは、すなわち、fURSモード、BPHモード、子宮鏡検査モード、膀胱鏡検査モードを含むことができる。モードがユーザによって選択された状態で、流量、圧力、流体不足、及び温度が表示画面を通してユーザに示される。特定のモードの例示的パラメータは、予め決定され、主処理デバイス124上に例えばソフトウエアを用いて読み込むことができる。従って、ユーザが、タッチ画面インタフェース表示画面113上の初期表示から手順を選択した時に、これらの既知のパラメータは、プロセッサから流体管理システムBの様々な構成要素、すなわち、ポンプ、加熱アセンブリ、流体不足管理システムに読み込まれる。流体管理システム10は、自動モードと手動モード間でユーザ選択可能である場合がある。例えば、ある一定の手順に関して、ユーザは、流量、圧力、又は他のパラメータを手動で調節しようと望む場合がある。ユーザが、例えばタッチ画面インタフェース112上で手動モードを選択した状態で、ユーザは、フットペダル117又は流体制御インタフェース127のような他の手動インタフェースを通して流量又は圧力を調節することができる。
【0026】
主処理デバイス124は、輝度(すなわち、光モニタ)、コントラスト、又はカラーピクシレーションの変動に基づいて視覚ノイズを検出することができる視覚ソフトウエア/画像認識ソフトウエアを含むように構成することができる。主処理デバイス124に供給された画像が十分に明瞭又は鮮明ではないと決定された場合に、流体管理システム10は、デブリ129を洗い流して画像を鮮明化/明瞭化するために流体の流量を増大する。流量は、一時的な時間(すなわち、予め決められた期間)にわたって又は視野が十分に明瞭であると見なされるまで増加される。この一時的な増量は、圧力が安全限界を超えないことを保証するために流量が増加される時間が限られることを保証する。例えば、システム10は、洗浄において
図7に示すように赤の色相(血液の兆候)を認識し、血液が視野から除去されるまで流量を増大するように蠕動ポンプセット126に信号送信することができる。これに代えて、プロセッサは、曇った視像が検出されたという視覚警報を表示画面113上に提供するか又は可聴警報を医師又は看護師に与えることができる。別の例では、多くのデブリが存在する事例では、デブリから反射された光は、画像を実質的に高輝度にすることになる。この状況では、主処理デバイス124は、この過度の輝度を検出し、デブリを除去するために流量を増大するようにポンプ126に信号送信する。デブリが視覚システムの視野から洗い流された時に反射光が低減された状態で、ポンプ126は、主処理デバイス124によって流量を低減するように制御される。好ましくは、医師は、自分が視野明瞭化流体流れを始動したいと思う可視性に対するベースラインレベルを生成し、手順の前にタッチ画面インタフェース112を通してこれらのパラメータをシステム10内に入力することができる。ベースラインが生成された状態で、システム10は、映像の変動に関して視覚フィードをモニタし、必要に応じて流量を調節する。
【0027】
システム10を通して流体の流量を調節するために、流体管理ユニット100は、ポンプ126のような1又は2以上の加圧デバイスを含むことができる。例示的ポンプ126は蠕動ポンプとすることができる。ポンプ126は、電気駆動することができ、壁コンセントのような電源ラインから又は使い捨て又は再充電可能バッテリのような外部又は内部蓄電デバイスから電力を受け入れることができる。蠕動ポンプ126は、例えば、5mmHgから50mmHgまでのようなターゲット圧力で流体を送出するほど十分なあらゆる望ましい速度で作動させることができる。先に上述のように、ポンプ126は、例えば、患者の体内の圧力及び温度の読取値及びスコープ20からの視覚フィードバックに基づいて自動的に調節することができる。ポンプ126は、例えば、フットペダル117、タッチ画面インタフェース112、又は個別の流体コントローラ127(
図4に示す)を通して手動で調節することができる。流体コントローラ127は、ユーザが各個々のポンプ126を強めるか又は弱めることを可能にするボタンを含む個別のユーザインタフェースとすることができる。あらゆる個数のポンプを使用することができることは理解されるであろう。実施形態では、システム10は、異なる流動機能を有する複数のポンプを含むことができる。ポンプの前又は後に流量計が位置付けられる。
【0028】
この実施形態では、いずれかの変動に関する手術室(OR)視認に向けていずれかの所与の時間での流体の流量が表示画面113上に表示される。OR職員が、過度に高い又は過度に低いいずれかの流量の変動に気づいた場合に、ユーザは、流量を好ましいレベルに手動で調節し戻すことができる。これは、例えば、医師がツールをスコープ20の作業チャネル内に挿入するか又はそこから取り出す時に発生する場合がある。システム10は、先に解説したように予め設定されたパラメータに基づいて流量をモニタし、自動的に調節することができる。この特徴は、助手が洗浄液を注射器によって注入する時のような流れが手動で供給される時にも有益とすることができる。
【0029】
上述のように、実施形態では、システム10は、視覚ソフトウエア又は画像認識及び解析ソフトウエアを含むことができる。この実施形態では、システム10は、体内のスコープ20上に位置決めされたカメラ128により、ツールが挿入されているか否か及びどのツールが使用されているかを検出することができる。ツールは、例えば、どのタイプのツールが使用されているかを通知するために視覚ソフトウエアが見ることができる識別可能マーカを有することができる。次に、流体管理システム10は、視覚ソフトウエアによって識別されたツールに基づいて流量を自動的に調節することができる。ツールが作業チャネルから後退すると、流体管理システム10は、相応にポンプ流量を低減する。
【0030】
別の実施形態では、システム10は、患者の体内で検出された圧力及び/又は温度に基づいて流量を自動的に調節する。圧力及び/又は温度は、システム10と併用されるスコープ20のようなツールによって順次測定することができる。システム10は、手術部位に送出される流体圧力をターゲット圧力及び/又は予め決められた圧力帯域内に維持するためにポンプ126をシステム10が自動的に始動、停止、及び/又は速度調節するように、このポンプをユーザが構成することができるような圧力モニタソフトウエアを含むことができる。例えば、スコープ圧力センサは、腎臓内部の圧力を検出し、モニタ中の内圧に基づいてシステム10内の流量を自動的に変更することができる。内圧が過度に高い場合に、システム10は流量を低下することになり、その逆も同様である。例示的温度制御モードでは、下記でより詳細に説明するように、システム10は、手術部位に送出される流体温度をほぼターゲット温度及び/又は予め決められた温度圧力帯域内に維持するために加熱器を制御する(例えば、始動、停止、及び温度調節する)ことができるような温度モニタソフトウエアを含むことができる。例えば、温度を生体内又は生体外でモニタし、供給される温度フィードバックに基づいて流体の流れを変更することができる。例示的実施形態では、システム10は、腎臓内で感知された温度及び圧力を既知の値と比較し、パラメータが予め決められた安全領域の外にある時に警告を提供することができる。警告は、視覚警報又は音声警報とすることができる。
【0031】
実施形態では、システム10は、例えば、腎臓結石のようなターゲット構造体の移動をモニタすることができる。システムは、結石の元の位置及び新しい位置に基づいて移動速度を計算することができる。移動が予め決められた閾値を超えた場合に、ユーザにシステムの流量を手動で調節するように警告することができる。上述のように、流量は、フットペダル117、タッチ画面インタフェース112、又はポンプインタフェースを通して手動で調節することができる。実施形態では、システム10が自動モードにある場合に、システム10は、洗浄の流れを必要に応じて自動的に調節することができる。この機能は、結石の後方突進を制御するための砕石術のような手順中に非常に有益である場合がある。
【0032】
スコープデバイス20は、
図9~
図10に示すように、例えば、LithoVue(登録商標)スコープのような尿管鏡とすることができる。LithoVue(登録商標)スコープは、多くの既存モデルよりも軽量であり、臨床医の作業負担を軽減する。スコープ20は、流体を流体管理システム10からスコープシャフト169を通してターゲット組織に送出する。スコープ20は、上述のように供給ライン(すなわち、チューブ)を通して流体管理システム10に接続される。流体管理システム10からスコープ20への供給ラインは、好ましくは、ポンプ126によって生成される蠕動運動を弱めるのに役立つ材料で形成される。
図9に示すように、スコープ20は、例えば、腎臓内の圧力を測定するためにスコープシャフト169の遠位先端に圧力変換器170を含むことができる。スコープ20は、例えば、温度センサのような他のセンサを含むことができる。例示的実施形態では、スコープ20の遠位端172は、表示画面113上でユーザに対して視覚フィードを提供するために少なくとも1つのカメラ128を含むことができる。別の実施形態では、スコープ20は、各カメラ128によって異なる情報をユーザに伝えることができるように異なる通信要件を有する2つのカメラ128を含むことができる。この実施形態では、ユーザは、タッチ画面インタフェース112によってこれらのカメラ128間で意図的に交互に切り換えを行うことができる。スコープ20はハンドル174を含む。ハンドル174は、流体がスコープ20を貫流して何時患者の体内に流れ込むかをユーザが制御することを可能にする流体流れオン/オフスイッチ176を有することができる。ハンドル174は、他の様々な機能を実施する他のボタン177を更に含むことができる。例えば、一実施形態では、スコープハンドル174は、スコープ又は流体の温度を制御するためのボタンを含むことができる。別の実施形態では、スコープハンドル174は、ユーザがレーザエネルギを放出することができるようにレーザを含むことができる。例示的実施形態では、レーザは、Lumenisレーザ又はStarMed Techレーザとすることができる。「レーザシステムにはレーザファイバを接続し、尿管鏡作業チャネルを通して挿入することができる。ユーザは、エネルギがレーザファイバ先端から射出し、デブリ/結石に当たってそれを破壊するようにレーザを放出することができる。スコープ上にレーザボタンを含む例示的実施形態では、レーザシステムとスコープの間の通信ライン(すなわち、有線又は無線)が維持される。この例示的実施形態は、尿管鏡を説明するが、上記で詳述した特徴は、膀胱鏡、子宮鏡、又は画像機能を有する事実上あらゆるデバイス内に直接に組み込むことができることは理解されるであろう。スコープ20は、下記でより詳細に説明する排液システムに接続することができる排液ポート178を含むことができる。
【0033】
流体管理システム10は、流体不足モニタシステム130を含むことができる。例示的実施形態では、流体不足モニタシステム130は、流体バッグ104内の流体(すなわち、生理食塩水)の量を重量によってモニタする。この実施形態では、計量器のような重量センサ132がフック110から吊り下げられる。重量センサ132は、1又は2以上の流体バッグ104が懸架されるフック134を更に含むことができる。重量センサ132は、ハンガーモジュール100に取り付けられた流体バッグ104の重量を決定し、流体バッグ104内の流体の初期量を流体バッグ104内に残っている流体の現在量と比較する。
図4~
図5に示すように、計量器の読取値は、表示画面113上でユーザに対して示される。手順が進行する時に、計量器の読取値は、どれ程の量の流体が流体バッグ104内に残っているかを医師に通知するために実時間で更新され、次に、この量を用いて患者内に輸液された流体の量を決定することができる。例示的実施形態では、システム10は、新しいバッグが必要になるまでに残っている時間の量をバッグ104の重量と、バッグ104が空になって行く速度、すなわち、流量とに基づいて提供する。別の実施形態では、残りの流体の量は、
図6に見ることができる流体不足バー131として示すことができる。例えば、生理食塩水のうちの10%がバッグ104内に残っている時に表示画面113上に可聴信号と共に警報を示すことができる。例示的実施形態では、重量センサ132は、表示画面113にWiFi信号を通して接続することができる。別の例示的実施形態では、重量センサ132は、有線接続を通して表示画面113に接続することができる。
【0034】
別の例示的実施形態では、流体不足モニタシステム130は、流体バッグ104とデバイス20の間で一列に接続された圧力センサを含むことができる。この実施形態では、圧力は、流体バッグ104の高さに基づいて決定される。バッグが空になる時に水頭圧力の量が減少する。圧力が、ユーザによって設定された閾値よりも小さいと、表示画面113上に警報が示され、可聴信号が発せられる。別の例示的実施形態では、流体不足モニタシステム130は、経過した時間の量に基づいて特定の流量に設定することができる。医師は、バッグ流体体積をシステム10に入力することができ、次に、システム10は、既知の流量とシステム10が使用状態にあった時間の量とに基づいて既に使用された流体の量及びどれ程の量が残っているかを計算する。
【0035】
流体管理システム10は、小径ポンプチューブ系136を利用して様々な構成要素に接続することができる。洗浄手順のための例示的チューブ系136は、直径が1/16インチよりも小さいか又はそれに等しいとすることができる。しかし、チューブ系のサイズは、用途に基づいて異なる場合があることは理解されるであろう。チューブ系は使い捨てとし、無菌かつ使用準備が整った状態で設けることができる。システム10内の様々な機能に向けて異なるタイプのチューブ系を使用することができる。例えば、1つのタイプのチューブ系は、流体の加熱及びデバイス20への流体流れ制御に使用することができ、それに対して別のタイプのチューブ系は、体内の洗浄に使用することができる。
【0036】
例示的実施形態では、
図11~
図12に示すように、流体管理システム10は、患者に送出される流体を加熱するための加熱器アセンブリ138を任意的に含むことができる。加熱器アセンブリ138は、加熱器140と、加熱器カセット142と、カセット142に対する締結機構144とを含む。例示的カセット142は、その側面に位置付けられた流体入口ポート146及び流体出口ポート148を含むことができる。流体入口ポート及び流体出口ポート146、148の各々は、カセット142の側面から延びる入口コネクタ及び出口コネクタ150、152それぞれを含む。コネクタ150、152は、ルアーロック取り付け具、バルブ取り付け具、迅速接続取り付け具などの形態にある場合がある。コネクタ150、152は、加熱器アセンブリ138を流体管理システム10の他の構成要素に接続する。例えば、流体入口ポート146は、流体チューブ系136を通してポンプ126に接続することができ、それに対して流体出口ポート148はデバイス20に接続される。例示的実施形態では、
図12に示すように、カセット142は、流体が入口コネクタ150から出口コネクタ152に貫流することができるチャネル154に沿って内部流路を含む。カセット142は、1つの流路又は複数の流路を含むことができる。複数の流路が存在する場合に、1又は2以上の壁156が、様々な流体チャネル154を分離することができる。例示的流体チャネル154は、水平セクション158と垂直セクション160を含み、流体入口ポート146と流体出口ポート148の間に複雑な流路を形成する。流体チャネル154は、内部容積に対して外を向く実質的な量の表面積を与え、加熱器140による流体の効率的な加温を促進するように構成される。例示的実施形態では、流体は入口ポート146を通ってカセット142に流入し、更に下側水平セクション158a内に流入する。流体は垂直セクション160aを貫流し、方向を逆転させて第1の中間水平セクション158bを貫流する。流体は、このようにして出口ポート148を流れ抜けるまでチャネル154を辿る。チャネル154のセクション158、160は、水平壁156によって分離される。カセット142は、例えば、ポリカーボネート又はいずれかの高い熱定格の生体適合プラスチックで形成することができ、単一部品又は互いに永久接合された複数部品として形成される。入口コネクタ及び出口コネクタ150、152は、カセット142と一体形成することができ、又は当業者によって理解されるように別々に設置された部品とすることができる。
【0037】
カセット142は、締結機構144を通して加熱器140に結合される。
図11の例示的実施形態では、締結機構144は、2つの側板162として構成され、これらの側板162の間にカセット142を受け入れるためのスロット164が延びる。例示的実施形態では、スロット164は、ユーザがカセット142をスロット164内に挿入することを助けるガイド(図示せず)を含むことができる。スロット164内に挿入されると、側板162は、2つのノブ166によってカセット142の周りに締結される。ノブ166の第1の方向の回転は、側板162をそれらの間で定位置にカセット142を締結するように互いにより近く移動し、それに対してノブ166の第2の方向の回転は、カセット142がスロット164から滑り出ることを可能にするように側板162を引き離す。締結機構144は、ポール106に沿って締結機構144及び加熱器アセンブリ138を望ましい場所まで摺動することができるように、例えば、調節可能ポールクランプのようないずれかの手段によってポール106に取り付けることができる。
【0038】
カセット142は、
図11に示すように、カセット142が加熱器アセンブリ138のスロット164内に挿入された時にチャネルセクション158、160が加熱器140と実質的に位置合わせするように設計される。加熱器140は、プラテンシステム又は流体供給ライン内の電気エネルギを使用する直列コイルのような1又は2以上の熱源を含むことができる。加熱は、システム10の特定の用途において必要とされる流量に対して特定的に設計及び適応させることができる。加熱器140は、側板162のうちの一方又は両方の中に設置することができる。例示的実施形態では、加熱器140は、板162の内側表面積全体を覆っている。別の例示的実施形態では、加熱器140は、板162のうちの一方又は両方の上側部分のみに位置付けることができる。加熱器140は、加熱器アセンブリ138内でそこを貫流する流体に隣接するどこにでも位置付けることができることは理解されるであろう。
【0039】
加熱器アセンブリ138は、加熱器ユーザインタフェース168を含むことができる。加熱器ユーザインタフェース168は、単純に加熱器の内部温度のデジタル表示を提供することができる表示画面(図示せず)とすることができる。別の実施形態では、ユーザインタフェース168は、加熱器140の温度を上げる又は下げるための温度調節ボタンを含むことができる。この実施形態では、加熱器表示画面(図示せず)は、加熱器の現在温度、並びに到達されるターゲット温度を示すことができる。加熱器ユーザインタフェース168を必要としないように、加熱器アセンブリ138から出力される全ての情報を表示画面113に直接に送信することができることに注意されたい。
【0040】
例示的実施形態では、カセット142を貫流する流体の温度を検出するように加熱器アセンブリ140内に温度センサが装着される。センサは、流体入口ポート146及び流体出口ポート148又はその近くに位置付けることができる。例示的実施形態では、温度センサは、流体がチャネル154内に流入する前及び流体が流体チャネル154を流出した後にカセット142を貫流する流体の温度を検出するように装着することができる。一部の実施形態では、追加のセンサをカセット142内の流体の温度上昇の進行を検出するようにチャネル154の中間部分に位置付けることができる。センサは、いずれの情報も表示画面113に遠隔的に送ることができ、又は情報を加熱器ユーザインタフェース表示画面に送ることができる。別の実施形態では、センサは、加熱器ユーザインタフェース168に有線接続され、更に加熱器ユーザインタフェース168は、望ましい情報をシステム表示画面113に遠隔的に送信することができる。
【0041】
流体管理システム10は、廃棄物管理システム200を含むことができる。例示的廃棄物管理システムは、単純にスコープ20内の流体廃棄ポートから排液バッグ又は回収容器180に至るチューブ系とすることができる。廃棄物の回収は、プラットフォーム上のキャニスタを通じたもの又は代替システムへの直接給送とすることができる。例えば、
図13に図示の実施形態では、1又は2以上の廃棄物回収容器又はキャニスタ202(この実施形態では5つ)を患者から回収容器202に廃棄物を吸引するための真空ポンプ(図示せず)との組合せで使用することができる。本明細書の実施形態は、5つの回収容器を示すが、あらゆる個数の容器を使用することができることは理解されるであろう。例えば、
図34は、3つの回収容器を使用する別の例示的実施形態を示している。チューブ系236は、回収容器202が1つずつ満たされるようにその各々を互いに直線的に接続する。特に、第1の回収容器202が満杯になると、廃棄物はその後の回収容器内に流れ込み始め、回収容器の各々が満杯になるまでそれが続く。しかし、この「連鎖」システムの1つの懸念は、満たされた廃棄物回収容器202をシステムから出して交換するために真空(図示せず)を停止しなければならないことである。更に、システム200は、満杯の時にセットとして設置する又は取り外すように容易に事前配管されておらず、潜在的に真空中断時間が増大する。
【0042】
図14では、「連鎖」システムの懸念に対処する代替実施形態による廃棄物管理システム300が示されている。この実施形態では、廃棄物管理システム200と同様に、5つの回収容器302A~302Eと真空ポンプ304とが使用される。しかし、手順に依存してあらゆる個数の回収容器を使用することができることは理解されるであろう。この実施形態では、中間保持チャンバ306、2位置弁308、及び従来のピンチ弁310が更にシステムに含められる。中間保持チャンバ306は、患者、第1の回収容器302A、及び2位置ピンチ弁310に接続される。ピンチ弁310は、中間保持チャンバ306と第1の回収容器302Aの間に位置決めされ、第1の回収容器302A内への流体廃棄物の流入を許容又は阻止するように作動させることができる。第1の回収容器302Aは、第2の容器302Bに接続され、第2の容器302Bは第3の容器302Cに接続され、以降同じく続く。真空ポンプ304は、
図14に示すように、中間保持チャンバ306と最後の回収容器302Eとの両方にチューブ系336及びYピンチ弁である2位置ピンチ弁308を通して接続される。2位置ピンチ弁308は、廃棄物回収容器302A~302E又は中間保持チャンバ306のいずれかへの流れを許すように作動させることができる。
【0043】
使用時に、廃棄物流体は、患者から中間保持チャンバ306を通して廃棄物回収容器302内に圧送される。廃棄物回収容器302が満杯になると、患者と廃棄物回収容器302の間の接続が遮断されるようにピンチ弁310及び2位置弁308が作動され、回収容器302内への廃棄物の流れが阻止され、ユーザが満杯の容器を空の容器と交換するか又は一杯の容器を空にして元の場所に戻すことを可能にする。この段階が発生すると、中間保持チャンバ306は、ピンチ弁308、310が回収容器302への流れを再度許すように切り換え戻されるまで患者からの廃棄物を回収する。こうしてシステム300は、ユーザが真空304を停止する必要なく、又は患者からの廃棄物流を停止する必要なく使用された回収容器302を容易に交換することを可能にする。
【0044】
図15により、例示的実施形態では、2マニホルド廃棄物管理システム400が示されている。この実施形態では、廃棄物管理システムは、一方のマニホルド406を廃棄物に対して用い、他方のマニホルド408を真空ポンプ404に対して使用する。特に、1つのチューブ系ライン410が患者から延びて個々のチューブ410A~410Eに分岐し、チューブ410A~410Eの各々は、回収容器402のうちの対応する1つのものに延びる。真空ポンプ404からは第2のチューブ系ライン412が延び、同じく個々のチューブ412A~412Eに分岐し、その各々は、回収容器402A~402Eのうちの対応する1つのものに延びる。このように患者と真空404との両方が回収容器402A~402Eの各々に個々に別々に接続される。
図15に示すように、チューブ系ライン410A~410E、412A~412Eのうちの対応する1つの上に各々が位置決めされた複数のピンチ弁414A~414Eが位置付けられ、対応する回収容器402A~402Eへの廃棄物流れ及び真空吸引を制御する。使用時に、ピンチ弁414A~414Eは、真空ポンプ404と未使用回収容器への廃棄物流れとの両方を停止するように作動させることができ、流れが一度に1つの回収容器にしか流入しないように制御する。同様に、回収容器402が満杯になった時には、対応するピンチ弁414を作動させて真空と満杯の回収容器への廃棄物流れとを停止し、空き空間を有する他の回収容器への廃棄物流れを妨害することなく満杯の回収容器の取り外しを可能にする。
【0045】
図16は、単一マニホルド廃棄物管理システム402’を有する例示的実施形態を示している。この実施形態では、廃棄物管理システムは、患者と真空ポンプの両方を個々の回収容器の各々に接続する単一チューブ系マニホルド406’を使用する。特に、患者と真空ポンプ404’とを延びる2つのチューブ系ライン410’は、回収容器402’のうちの対応する1つに各々が延びる個々のチューブ410A’~410E’に分岐する。システム400と同様に、各回収容器402A’~402E’は、例えば、流れを一度に1つの回収容器にしか許すことができないように対応する回収容器への流れを制御する関連のピンチ弁414A’~414E’を有する。すなわち、ピンチ弁は、回収容器への流れをあらゆる望ましい組合せで許容又は阻止するように作動させることができ、残り空間を有する他の回収容器への廃棄物流れを妨害することなく満杯の回収容器の取り外しを可能にする。
【0046】
図17による別の例示的実施形態では、廃棄物管理システム500は、3つの真空ポンプ504と、2位置ピンチ弁506とを含む。この実施形態では、2つの回収容器(セット502での502A及び502B及びセット502’での502A’及び502B’)から構成される各セット502、502’は、独自の真空ポンプ504を有する。個別の回収容器502’’は、ドレープに対するポンプ504を含む。チューブ系ライン510は、患者から延びてピンチ弁506の場所で個別のチューブ510’、510’’に分岐し、これらのチューブの各々は、回収容器セット502、502’のうちの対応する一方に延びる。すなわち、回収容器セット502の各々の第1の回収容器502B、502B’は、チューブ510’及び510’’それぞれを通して患者に接続され、それに対して各セット502の第2の回収容器502A、502A’は、チューブ511及び511’それぞれを通して第1の回収容器502A、502A’に接続され、チューブ513、513’を通して真空ポンプ514に接続される。2位置ピンチ弁506は、患者と回収容器セット502の間に位置決めされ、一度に1つの回収容器内への廃棄物の流入しか許さないように作動される。この廃棄物流れ制限は、他方の容器への流れが持続する中で満杯の廃棄物回収容器を交換するか又は空にすることを可能にする。
図18に示す別の例示的実施形態では、システムは、ドレープ真空のない2真空システムとして使用することができる。
【0047】
使用時に、廃棄物管理システム200~500の構成要素は、アクセス性及び機能性を改善するために手順に依存して様々な構成で配置することができる。
図19に示す第1の実施形態では、廃棄物管理システム200を天井192に装着することができる。廃棄物管理システム300、400、400’、及び500のうちのいずれも、本明細書に説明する様々な構成を用いて配置することができることは理解されるであろう。この実施形態では、廃棄物回収容器202を前棚194内に嵌め込み、アクセス容易性及び取り外し容易性の理由から互いに位置合わせすることができる。この天井装着アセンブリ190は、手順において空間が制限を受ける床面を整頓状態に保つ。下記でより詳しく解説する
図20に示す別の例示的実施形態では、廃棄物管理システム200は、例えば、IVポールへの装着を容易にするために汎用マウント(図示せず)を含むことができる。更に、汎用マウントは、廃棄物管理システム200を壁マウントに装着するために使用するか、又は卓上構成においてを使用することもできることは理解されるであろう。別の例示的実施形態では、
図21に見ることができるように、より容易な取り外し及び廃棄を可能にするために、使用中の廃棄物回収容器を腰の高さでIVポール106に取り付けることができる。この実施形態では、2つ又は4つの廃棄物回収容器202が各ウエストレベルアセンブリ196内に保持され、それに対して待機中の(使用していない)廃棄物回収容器202は、下方の保存プラットフォーム198上に位置する。
図22に示す別の例示的実施形態では、廃棄物管理システムは、床面キャディー190’のような廃棄物回収容器202に対する個別のモジュールを含むことができる。この実施形態では、床面キャディー190’は、廃棄物回収容器202の各々に対して個々の区画192’を含むことができる。しかし、これに代えて、床面キャディー190’は、廃棄物回収容器の全てを保持する単一区画又は
図23に示すように単一使い捨て廃棄物バッグ196’を含むことができることは理解されるであろう。床面キャディー190’は、手術室内で邪魔にならないように必要に応じてあちこちに転動することができる。
【0048】
流体管理システム10の人間工学性、アクセス性、及び機能性を最適化するために、流体管理システム10の主要なサブシステム、構成要素、及びモジュールを手順に依存して様々な構成で配置することができる。例えば、ポンプ、生理食塩水バッグ、タッチ画面などの場所は、実施される手順に依存して外科医又は手術助手によるアクセスを最適化するのに望ましいいずれの構成にも配置することができる。
図24~
図34に示す例示的実施形態では、流体管理システム10は、転動(ローリング)ベース108を有する垂直IVポール106上に主要構成要素及びモジュール式オプションの垂直スタックとして構成される。この垂直構成要素スタックは、流体管理システム10の幅を縮小し(すなわち、流体管理システム10はより幅狭である)、狭い区域内、例えば、手術室に置くことができるようにシステム10をより小型にする。これらの実施形態では、ポール106は、その下側部分にシステム10の重量分布を乱すことなく構成要素及びモジュール式オプションの各々をポール106の前部に結合することができるように曲げ部602を含むことができる。
【0049】
回収容器202は、この実施形態では、ポール106の底部の周りに小型構成で位置決めされる。
図24に示す例示的実施形態では、回収容器は、重量吊り下げ機構604によって計量される。重量吊り下げ機構604は、ポール106に結合され、かつ回収容器202を装填するための複数の個々の区画606を含むことができる。
図24及び
図26の実施形態では、重量吊り下げ機構604は、5つの区画606を含む。しかし、手順及び流体廃棄物レベルに依存してあらゆる個数の回収容器区画606を使用することができることは理解される。区画606の各々は、回収容器202を入れることができる孔(図示せず)を含む。重量吊り下げ機構604は、重量センサ(図示せず)を含むことができる。別の実施形態では、個々の区画604は、それぞれの区画の中に装填された容器202の重量の変動を検出するための重量センサ(図示せず)を含むことができる。
図26~
図27に示す他の実施形態では、回収容器202は、個々のベースプレート610上に装填することができる。ベースプレート610の各々は、それぞれのベースプレート610上に装填された回収容器202の重量の変動を検出する重量センサ(図示せず)を含むことができる。別の例示的実施形態では、回収容器は、
図28に示すように回転カートリッジ612内に装填することができる。このカートリッジ612は、手動又は自動で回転させることができる。カートリッジ612及び回収容器202を安定させるために追加の支持体614を追加することができる。この実施形態では、回収容器をグループで又は個々に計量することができる。これに代えて、回収容器内の流体のレベルの変化は、光学レベルセンサ(図示せず)を用いてモニタすることができる。
【0050】
ユーザのプリファレンス又は利用可能空間の制約に基づいて、表示ユニット616を垂直構成要素スタックと一体的なものとするか又はそうではない場合がある。例えば、ディスプレイがポール106に結合された場合に提供することができるいずれとも異なる表示角度でテーブル上に位置決めされた表示ユニット616を有することが好適である場合がある。あるいは、別の例では、表示ユニット616をスタック式構成要素と統合することにより、手術室内の指定空間の範囲に収まらなくなるほど垂直スタックの高さが増大する場合がある。これらの場合に、例えば、
図24及び
図27に図示の実施形態では、表示ユニット616はIVポールに統合されず、望ましい場所に位置決めされることになる個別の表示ユニットである。しかし、他の実施形態では、
図25、
図28に見ることができるように、表示ユニット616は、曲げたIVポール106の上部に結合することができる。IVポール106の上部での表示ユニット616のこの位置は、ユーザによる高い視認性を可能にし、同時に表示ユニット161がシステム10の他の構成要素によって遮蔽されるのを防止する。一部の実施形態では、多重撮像方式に向けて複数の表示画面を使用することができる。例えば、
図31及び
図34に図示の実施形態では、システム10は、オペレータディスプレイ618と手術ディスプレイ620とを含むことができる。この実施形態では、表示画面618、620は、手術室内の視認性を改善するように配置することができる。表示画面618、620は、
図31、
図34に示すように、ユーザ及び/又はサポートスタッフが改善された視認性に関して望ましい角度に画面を移動することを可能にするために揺動ヒンジ617によってシステム10に結合することができる。
図32に示す別の実施形態では、オペレータ表示画面618は、旋回ヒンジ619を通してシステム10に結合することができる。旋回ヒンジ619は、ユーザが画面618をより容易に配置することを可能にするより高い可動性を画面に与える多方向ヒンジである。
【0051】
流体生理食塩水バッグ104の位置決めはまた、装填法、高さ、可視化、及びアクセスのプリファレンスに依存して異なる場合がある。一部の場合に、流体バッグ104がユーザによって容易に目視可能であることが好適である場合がある。例えば、医師は、流体バッグ104をいつ交換するかを知るために、生理食塩水が使用されている速度又は各流体バッグ104内に残っている生理食塩水のレベルを確認したいと望む場合がある。別の例では、手順は、チューブ系内のYピンチ弁のための上部又は背部アクセスを必要とする場合がある。
図24~
図28及び
図34に示すこれらの実施形態では、流体バッグ104は、IVポールの上部に装着することができる。この高い装着は、ユーザ又はサポートスタッフが流体バッグ104を容易に確認することを可能にし、同時に容易な流体流れに向けてチューブ系136を吊り下げることも可能にする。外部ディスプレイがIVポールの上部に装着される
図28に示す一実施形態では、流体バッグ104は、ディスプレイの背後に位置決めすることができる。この後部アクセスは、サポートスタッフがシステム10のモジュール式構成要素へのユーザのアクセスを妨害することなくシステム10の背後から流体バッグ104にアクセスすることを可能にする。別の例示的実施形態では、流体バッグ104は、システム10のモジュール式構成要素の底部に装着することができる。例えば、
図35に示すように、流体バッグ104は、ポンプ126の底部に装着することができる。この実施形態は、ユーザ/医師に対して最良の装填アクセスを含み、同時に流体バッグ104の良好な視認性も可能にする。
図36に示す別の例示的実施形態では、流体バッグ104は、コーナに装着することができる。すなわち、流体バッグ104の各々は、斜めにモジュール式システムの背後に装着することができる。この構成は、良好な装填高さと、サポートスタッフによるバッグの設定又は交換のための後部アクセスとを与える。
図37に示す別の例示的実施形態では、流体バッグ104は、同じくコーナに装着することができる。しかし、流体バッグ104は、
図36の場合のように斜めの場所に装着されるのではなく、モジュール式システムの背後に同軸状に装着される。
図36の実施形態の場合と同様に、この構成は、良好な装填高さと、容易な設定及び生理食塩水バッグ交換のための後部アクセスとを与える。一部の例示的実施形態では、生理食塩水バッグハンガーは、後退ハンガーとすることができる。例えば、ハンガーのアームは、内向きに回転/ピボット回転することができ、バッグを主本体により近く引くことができる。別の例では、アームは、それ自体が伸縮することができるであろう。この後退ハンガーは、特に複数のバッグが吊り下げられる場合の装填容易性及び空間の最小化を可能にする。
【0052】
垂直スタック実施形態では、
図24~
図34に見ることができるように、ポンプ126は、垂直グループ、水平グループ、又はその組合せに編成することができる。すなわち、流体管理ユニット100が複数の流入ポンプ及び/又は流出ポンプを含むシステム10では、良好な流体流れを促進し、異なる流体流れ通路及び効率を与えるためにポンプ126を異なるグループに編成することができる。例えば、高/低流れ流出ポンプ622は、垂直にグループ分けすることができ、又は
図24~
図26及び
図28に示すように、高/低流れ流出ポンプ622は、水平にグループ分けすることができる。同様に、高/低流出ポンプ622は、流入ポンプ624と共に垂直にグループ分けすることができ、又は
図27の場合のように流入ポンプ624と水平に位置合わせすることができる。更に、
図27~
図28に示す一部の実施形態では、流入/流出ポンプ624、622は、流入ポンプ624が流出ポンプから分離された状態で、システム10全体に関して対称なレイアウトを有することができる。これに代えて、流入ポンプ及び流出ポンプ624、622は、
図24及び
図26に示すように、互いに隣接するように位置決めすることができる。
図24の例示的実施形態では、流入ポンプ624は、流出ポンプ622を含む流出構成要素の残りからは別の平面に配置することができる。例えば、高/低流出ポンプは、システムの前部又は第1の側に位置決めすることができ、それに対して流入ポンプは、システムの反対の側に位置決めされる。例示的実施形態では、高/低流出ポンプは格納可能であり、又は適正な設定に向けて覆われる。ポンプの構成の各々において、ポンプとシステム10の他のモジュール式構成要素との間の接続は、流入ポンプ及び流出ポンプセットと共にグループ分けされる。
【0053】
垂直スタック式流体管理システム10の一部の実施形態では、様々な追加の特徴は統合することができる。例えば、
図29~
図30に示す一実施形態では、システム10は、患者から延びる洗浄チューブ系のためのフィルタネストを含むことができる。フィルタネストは、患者から戻る流体を再使用し、患者内に圧送して戻すことができるようにこの流体を濾過する円筒形フィルタを保持するのに使用される。
図30~
図31に示す他の例示的実施形態では、システム10は、ユーザが流体バッグ104からの生理食塩水流を停止することを可能にするためのピンチ弁を含むことができる。これらの実施形態では、流体バッグ104は、流体バッグから例えばポンプシステム126への直接流路を生成するためにシステム10の残余の直上に位置決めされる。
図30の実施形態では、流体バッグハンガー102は、流体バッグ104がユニットの前部で吊り下がり、流体のより容易な流れ、並びにユーザによるより優れた視認性及びアクセスを可能にするために、ポール106から前方に傾斜させることができる。
【0054】
図39~
図42に示す他の例示的実施形態では、流体管理システム10は、転動ベース608を含むモジュール式カート630上に位置決めすることができる。モジュール式カート630は、モジュール式カート630の側部に結合されたポール632と、個別のモジュール式ユニットを配置するための平坦で清浄な上面634とを含む。
図39に示す一実施形態では、個別のモジュール式ユニットは、垂直に積み重ねることができる。特に、回収容器202は、モジュール式カート630の底部で平面634の下に位置決めすることができる。回収容器202は、回収容器を患者及び流体管理システム10の残余に接続するために露出接続部(図示せず)を用いて覆われた容器区画636の中にスナップ留めすることができる。折り畳みタッチ画面638と流入ポンプ624及び流出ポンプ622とは、清浄な上面634上に位置決めすることができ、流入ポンプ624と流出ポンプ622が、タッチ画面638によって分離される。このレイアウトは、小型のモジュール式カート及び流体管理システム10に関して最適である。この実施形態では、表示ユニット616は、モジュール式カート630に統合され、かつポール632の上部に結合することができ、流体バッグ104は、ユーザ又はサポートスタッフのいずれかによる容易なアクセスに向けて表示ユニット616の底部から吊り下がる。流体バッグ104を表示ユニット616から吊り下げることにより、バッグ104は、好ましい装填高さに位置決めされる。例えば、生理食塩水バッグは、地面から約48インチに位置決めすることができる。
【0055】
図40に示すモジュール式カートベースのシステムの別の例示的実施形態では、清浄な上面634上に個別のモジュール式機能ユニットを水平に積み重ねることができる。この実施形態では、ポール632をモジュール式カート630の側部に結合することができ、流体バッグ104は、ポール632の上部から吊り下がる。表示ユニット616のための第2の側部ポール640が、カート634の反対側に位置決めされる。流体バッグ104と表示ユニット616は、互いに平衡させてモジュール式カート630により高い安定性を与えるためにモジュール式カート630の両側に位置決めされる。流入ポンプ624及び流出ポンプ622は、適正な構成に向けて機械的カバー(図示せず)又は格納機構(図示せず)を有する平坦上面634上に垂直グループで配置することができる。接続(図示せず)は、流入ポンプ624及び流出ポンプ622セットと共にグループ分けされる。平坦上面634上にタッチ画面638を配置することができる。この実施形態では、回収容器202は、
図40に示すように、平坦上面634上に位置決めされた覆われた区画642内でグループ分けすることができる。平坦上面634上の回収容器202のこの上昇した位置決めは、区画642内の回収容器202のより容易な観察及び交換を可能にする。
【0056】
一部の事例では、より小型のモジュール式カート設定を有することが有益である場合がある。例えば、小型カートは、手術室内にごく僅かな利用可能空間しかない時に必要とされる場合がある。
図41の例示的実施形態では、平坦上面634及びカートポール632を含む最小限のモジュール式カート配置を見ることができる。この実施形態では、平坦上面634は、地面の上方約16インチに位置決めすることができ、その下方に回収容器202のためのちょうど十分な空間が与えられる。回収容器202は、回収容器202を流体管理システム10の残余に接続するための露出接続部(図示せず)を有する前部区画636内でグループ分けすることができる。この実施形態でのポール632は、カート630の後部中心に位置付けられ、流体バッグ104は、平衡の理由から、更にカート630の安定性を高めるために流体バッグハンガー102からその上面部分で吊り下がる。機能モジュール式構成要素、すなわち、ポンプ、タッチ画面、及び接続部の全ては、平坦上面634上に小型配置で位置決めされる。特に、流入ポンプ624及び流出ポンプ622は水平に位置決めされ、タッチ画面638は、小さいカートレイアウトを容易するために折り畳みタッチ画面である。カートレイアウトを可能な限り小型にするために、この実施形態は、室内のいずれか他の場所に配置することができる個別の外部表示ユニット616を使用する。
【0057】
図42による別の例示的実施形態では、モジュール式カート設定は、用途に依存して追加又は除外することができる複数のスタック式モジュール644を含むことができる。この実施形態でのモジュール式カート630は、流体バッグ104を吊り下げるためのポール632と、カート630の底部に位置付けられた回収容器区画636とを含む。モジュール式デバイス又はシステムの各々は、ポール632に結合されるように構成された棚と類似の個々の平坦上面634上に位置決めすることができる。例えば、タッチ画面638は、1つの取外し可能な平坦上面634上に、流入ポンプ624及び流出ポンプ622は、第2の平坦上面634上に、更に加熱器は、第3の平坦上面634上に位置決めすることができる。平坦上面634のこの取外し可能性は、システム10の柔軟性を高め、患者又は手順に依存してシステム10の構成要素を交換することを可能にする。更に、システムのモジュール式構成要素とは個別にカート630上で流体を管理することができるので、サポートスタッフに対するアクセス性が高められる。平坦上面は、あらゆる適切な結合機構を通してポールに接続することができる。例えば、平坦上面は、ネジ又は装着ハードウエアを用いてポールに装着することができる。
【0058】
流体管理システム10は、開ループシステム又は閉ループシステムとすることができる。上述のように、流体管理システム10は、システム10内の様々なモジュール式構成要素の追加、交換、又は中断を可能にするモジュール式システムである。例えば、システム10は、1つの用途に向けて加熱器アセンブリ138を含むように構成することができ、加熱器アセンブリ138は、異なる用途に向けて取り外すことができる。タッチ画面インタフェース112は、各モジュール式品目に関するフィードバック及び警報が表示画面113上でユーザに対して表示されるように、様々なモジュール式品目の追加及び取り外しを可能にする。
【0059】
電力は、あらゆる公知の方法により、例えば、切り離し可能コードを通して流体管理システム10に供給することができる。実施形態では、一部の構成要素は、1よりも多い電源から電力を受けることができる。例えば、1又は2以上の電源ユニットは、適切な電圧及び電流を様々な電気負荷に供給することができる。主処理デバイス124は、電力障害又は偶発的な切断のために予備バッテリによって保護することができる。
【0060】
流体管理システム10を作動させる例示的方法では、ユーザは、1又は2以上の流体バッグ104を重量センサ132から延びる重量センサフック134のうちの1又は2以上の上に吊り下げることができる。流体バッグ104は、チューブ136を通して蠕動ポンプ126に接続される。ポンプ126は、別のチューブ136を通して加熱器アセンブリ138の流体流れ入口ポート146に接続することができる。別のチューブ136は、加熱器アセンブリ138の流体出口ポート148をスコープデバイス20に接続することができる。次に、オペレータは、タッチ画面インタフェース112を利用して流体管理システム10を設定することができ、これは、手術規範(モード)、手順タイプ、使用されているモジュール式システム、及び設定流体圧力、温度、及び流量設定値、及び/又は他のパラメータ(例えば、警報設定値、表示内容及び/又は配置)を選択する段階を含むことができる。スコープ20が患者の体内のターゲットチャネル(すなわち、膀胱、尿管)内に挿入されると、ユーザは、スコープ20上の流体流れオン/オフボタン176又はタッチ画面インタフェース112上のタッチボタンを用いて流体の循環を開始することができる。スコープ20上に位置決めされたセンサは、スコープが内部に位置決めされたターゲットの解剖学的構造の状態に関するフィードバックを供給し、次に、このフィードバックは表示画面113上に表示される。ユーザがシステム10を自動モードに入れるように選択した場合に、圧力、温度の変化、又はセンサによる内部の視覚フィードバックが特定の設定値を超えた又はそれを下回った場合にポンプ/流量の変化を自動的にトリガすることができる。そのような変化は、例えば、視覚化を改善するために、血液、尿、血栓、又はデブリを洗い流すために、又はツールがスコープを通して挿入された場合の作業チャネル内の低い流れ空間を補償するために行うことができる。同時に、ユーザ及び/又は手術チーム全体に音声警報又は視覚警報によってこの変化を警告することができる。センサが、条件が正常化した(すなわち、障害物又はツールが取り除かれた)ことを検出した状態で、システム10は、ポンプ/流量を低減することになる。手順中のいかなる時点でも、ユーザは、ポンプ126のようなシステム10の構成要素を手動で調節することができるようにタッチ画面インタフェース112又は他の物理的スイッチを通してシステム10を切り換えることができる。手動調節は、フットペダル117を用いて又は表示画面113上のタッチボタンによって行うことができる。
【0061】
同時に、加熱器アセンブリ138、ポンプ126、及び流体不足モニタシステム130のような様々な他のモジュール式デバイス及びシステムは、各システムの作動条件に関する情報を表示画面113上でユーザに対して提供することができる。例えば、加熱器アセンブリは、加熱器の及び加熱器アセンブリ138を貫流する流体の内部温度を表示することができる。別の例では、ポンプ126は、ポンプ速度を表示画面に供給することができ、流体不足システムは、先に解説したように、既存の流体バッグ104を交換しなければならなくなる前に残っている時間量を供給することができる。ユーザは、モジュール式システムの各々を手動で制御するために、いつでもシステム10を手動モードに切り換えることができる。
【0062】
現在のデバイス及び方法が開示した実施形態に限定されないことは当業者によって認められるであろう。例えば、開示した流体管理システム10は、例えば、子宮鏡検査、膀胱鏡検査、TURPなどのような様々な他の手順に対して使用することができる。すなわち、システム10は、尿管鏡との併用に限定されず、むしろ膀胱鏡、子宮鏡のような他のデバイス、又はセンサ及び画像機能を有するあらゆる他のデバイスと併用することができる。
【0063】
上述した実施形態にその発明概念から逸脱することなく変更を加えることができることは当業者によって認められるであろう。実施形態の1つに関連付けられた構造的特徴及び方法は、他の実施形態に組み込むことができることを更に認めるべきである。従って、本発明は、開示した特定の実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内で修正も含まれることは理解される。
以下に本発明の実施態様を記載する。
(実施態様1)流体管理システムであって、
前記システムを通して流体を流体供給源からある流体流量で圧送するように構成されたポンプと、
ユーザがターゲット圧力を入力することを可能にするユーザインタフェースを含み、前記ポンプを制御して該ターゲット圧力に基づくターゲット流体流れ範囲を維持するように構成されたプロセッサと、
ターゲット手術部位に流体を送出するために前記ポンプに結合されたスコープデバイスであって、該スコープデバイスが、その遠位端から延びる細長シャフトを含み、該細長シャフトが、ターゲット手術部位に関連するセンサデータを前記プロセッサに送信する少なくとも1つのセンサを含む前記スコープデバイスと、
を含み、
前記プロセッサは、前記センサデータに基づいて前記流体流量を調節する信号を前記ポンプに自動的に送信する、流体管理システム。
(実施態様2)前記センサは圧力センサである、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様3)前記流体をターゲット温度まで加熱するように構成された加熱アセンブリを更に含む、実施態様1又は2に記載のシステム。
(実施態様4)前記プロセッサは、前記流体流量及びセンサデータを実時間で表示するように構成された表示画面を更に含む、実施態様1~3のいずれか1項に記載のシステム。
(実施態様5)前記プロセッサが、前記流体流量が前記ターゲット圧力範囲の外側であることを検出した場合に、視覚警報が前記表示画面上に表示される、実施態様4に記載のシステム。
(実施態様6)前記スコープデバイスは、前記細長シャフト上に位置付けられた温度センサを更に含む、実施態様1~5のいずれか1項に記載のシステム。
(実施態様7)軟性尿管鏡検査、子宮鏡検査、又は膀胱鏡検査手順のうちの1つに使用されるように構成されている、実施態様1~6のいずれか1項に記載のシステム。
(実施態様8)流体バッグの重量を実時間で測定するための重量センサを更に含む、実施態様1~7のいずれか1項に記載のシステム。
(実施態様9)流体管理システムであって、
システムを通して流体を流体供給源からある流体流量で圧送するように構成されたポンプと、
前記ポンプを制御するように構成されたプロセッサと、
ターゲット手術部位に流体を送出するために前記ポンプに結合されたスコープデバイスであって、該スコープデバイスが、その遠位端から延びる細長シャフトを含み、該細長シャフトが、該ターゲット手術部位に関連するビデオフィードバックを前記プロセッサに送信するカメラを含む前記スコープデバイスと、
を含み、
前記プロセッサは、前記ビデオフィードバック内の変動を検出するための画像認識ソフトウエアを含み、該変動に基づいて前記流体流量を調節する信号を前記ポンプに自動的に送信する、流体管理システム。
(実施態様10)前記プロセッサは、ユーザがシステム作動パラメータセットを入力することを可能にするユーザインタフェースを含む、実施態様9に記載のシステム。
(実施態様11)前記プロセッサは、前記ビデオフィードバック及び前記流量を実時間で表示するように構成された表示画面を含む、実施態様9又は10に記載のシステム。
(実施態様12)前記スコープデバイスは、前記細長シャフト上に位置付けられた温度センサを更に含む、実施態様9~11のいずれか1項に記載のシステム。
(実施態様13)前記流体をターゲット温度まで加熱するように構成された加熱アセンブリを更に含む、実施態様9~12のいずれか1項に記載のシステム。
(実施態様14)前記流体供給源は、流体バッグである、実施態様9~13のいずれか1項に記載のシステム。
(実施態様15)前記流体バッグの重量を実時間で測定するための重量センサを更に含む、実施態様9~14のいずれか1項に記載のシステム。
【符号の説明】
【0064】
10 モジュール式流体管理システム
20 スコープデバイス
100 流体管理ユニット
106 ポール
132 重量センサ