(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107725
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】排煙ガス洗浄液浄化システム
(51)【国際特許分類】
B01D 36/00 20060101AFI20220714BHJP
B01D 21/00 20060101ALI20220714BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20220714BHJP
B01D 21/02 20060101ALI20220714BHJP
B01D 21/24 20060101ALI20220714BHJP
B01D 53/92 20060101ALI20220714BHJP
B01D 29/31 20060101ALI20220714BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20220714BHJP
B01D 37/04 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
B01D36/00
B01D21/00 C ZAB
B01D21/01 C
B01D21/02 C
B01D21/24 F
B01D21/24 S
B01D21/24 W
B01D53/92 215
B01D23/06
B01D29/38 510C
B01D29/38 520E
B01D37/04
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089383
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2020570672の分割
【原出願日】2019-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0074449
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514090153
【氏名又は名称】パンアジア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,スー-タエ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ス-キュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,チェ-ポン
(57)【要約】
【課題】排煙ガス洗浄液浄化システムの提供。
【解決手段】洗浄液を用いて排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバーと、スクラバーから排出された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化部と、洗浄液浄化部で浄化された洗浄液をスクラバーに再び供給する洗浄液再供給部と、を含み、洗浄液浄化部は、汚染した洗浄液を濾過し、汚染物を濾して浄化する濾過装置を含むことを特徴とする排煙ガス洗浄液浄化システムを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を用いて排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバーと、
前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化部と、
前記洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を前記スクラバーに再び供給する洗浄液再供給部と、を含み、
前記洗浄液浄化部は、前記汚染した洗浄液を濾過し、汚染物を濾して浄化する濾過装置を含む排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項2】
前記濾過装置は、汚染した洗浄液を濾過させるメッシュと、前記メッシュに付着した汚染物を除去する自動洗浄部を含み、
前記自動洗浄部は、前記メッシュに付着した汚染物を含む逆洗浄水を吸入する吸入部と、前記吸入部の一側を収容し、吸入部から吸入された逆洗浄水を排出する排出部と、動力を提供する駆動部と、前記駆動部の動力を受けて前記吸入部を機械的に回転させる従動部とを含む、請求項1に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項3】
前記濾過装置は、流入した汚染した洗浄液を前記メッシュで濾過する濾過モードと、流入した汚染した洗浄液を迂回経路を通じて濾過過程無しでそのまま排出する迂回モードで動作することを特徴とする、請求項2に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項4】
洗浄液が一時的に集まる前室と、
前記メッシュを通過して濾過された洗浄液を捕集して排出する濾過後室と、
前記メッシュを通過しない洗浄液を捕集して排出する後室と、をさらに備える、請求項2に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項5】
前記メッシュの両端に前記前室および前記後室が連結され、
前記前室は前記濾過後室および前記後室の間の圧力差を形成し、前記前室が濾過または逆洗浄の洗浄液の流れを誘導する、請求項4に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項6】
前記濾過後室は、濾過された洗浄液を前記洗浄液再供給部に供給する、請求項4に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項7】
前記洗浄液浄化部は、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一時的に貯留する循環バッファタンクをさらに含み、
前記後室は、前記後室内の洗浄液を迂回経路を通じて濾過無しで循環させる、請求項4に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項8】
前記洗浄液浄化部は、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一定時間滞留させ、汚染物を沈殿させて浄化する沈殿装置を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項9】
前記沈殿装置は、内側に汚染した洗浄液が流入し、前記汚染した洗浄液中の汚染物が沈殿して形成された濃縮スラッジを排出する沈殿槽を含み、
前記沈殿槽は、複数の傾斜板が一定の間隔で離隔して設置された傾斜モジュールを含み、前記傾斜板の間に汚染した洗浄液が下方から上方に傾斜して流動しながら汚染物が分離される、請求項8に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項10】
前記沈殿槽は、スラッジの濃縮を円滑に保持するように、上端部が長幅に、下端部が短幅に形成されたスラッジ濃縮槽を含む、請求項9に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項11】
前記沈殿装置は、前記沈殿槽の上部に連結され、汚染した洗浄液を前記沈殿槽に案内する流入管と、前記沈殿槽から排出された濃縮スラッジを一時的に貯留するスラッジバッファタンクと、汚染した洗浄液から汚染物が除去された上等水を一時的に貯留する上等水貯留槽を含む、請求項8に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項12】
前記沈殿装置は、前記上等水貯留槽に貯留された上等水を流出する上等水流出管を含み、
前記上等水流出管は2個の管に分岐し、前記上等水貯留槽から流出された上等水を前記濾過装置に供給する第1上等水流出分岐管と、前記上等水貯留槽から流出された上等水を前記洗浄液再供給部に供給する第2上等水流出分岐管とを含む、請求項11に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【請求項13】
前記洗浄液浄化部は、前記上等水流出管を通じて流出される上等水の水質をモニタリングする水質監視装置を含み、
前記水質監視装置の結果に基づいて、上等水の水質が設定基準より低いと、前記上等水貯留槽に貯留された上等水を前記第1上等水流出分岐管を通じて前記濾過装置に供給し、設定基準より高いと、前記第2上等水流出分岐管を通じて前記洗浄液再供給部に供給する制御装置を含む、請求項12に記載の排煙ガス洗浄液浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排煙ガス洗浄液浄化システムに関し、より詳細には、洗浄液を用いて排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバーと、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化部と、前記洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を、前記スクラバーに再び供給する洗浄液再供給部と、前記洗浄液浄化部から排出されたスラッジを処理して貯留するスラッジ処理部とを含み、前記洗浄液浄化部は、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一時的に貯留する循環バッファタンクと、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液の汚染物を凝集させる凝集剤を供給する凝集剤供給装置と、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一定時間滞留させ汚染物を沈殿させて1次に浄化する沈殿装置と、前記汚染した洗浄液を濾過して汚染物を濾して2次に浄化する濾過装置とを含むことを特徴とする排煙ガス洗浄液浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の船舶は、ほとんどが、自体動力と暖房のためのエンジン及びボイラーなどを備えている。前記エンジン及びボイラーなどを駆動するためには燃料を燃やさなければならないが、燃焼過程で発生する排煙ガスには硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、PM(Particular Matter、粒子性物質)などの有害物質が含まれている。
【0003】
硫黄酸化物や窒素酸化物は、人体の粘膜に作用して呼吸器疾患を招くことがあり、世界保健機構(WHO)傘下国際癌研究所が第一級発癌物質として指定した汚染物質でもある。また、前記SOxやNOxが空気中にそのまま放出されると、大気中の水分(H20)と反応してそれぞれ硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)となり、酸性雨の主な原因になることもある。
【0004】
PMは、ガス相汚染物質に対比される小さな粒子の形態であり、排煙ガス中のPMがそのまま大気中に放出されると、可視距離を縮める視程障害を起こしたり、微細な粒子が肺や呼吸器を通じて人体に入って各種疾患を発生させたりすることがある。最近、韓国内で問題となっている微細ホコリも前記PMによるものであり、大気汚染の主な原因であるといえよう。
【0005】
このため、このような排煙ガス中の有害物質に対する防止策が望まれるが、特に、船舶は、エンジンの出力規模が巨大で、自動車の130倍もする排煙ガスを吹き出すことが知られているところ、膨大な量の有害物質の排出を防止するために、船舶の排煙ガスに対する具体的且つ実体的な対策が必要である。
【0006】
そこで、国際海事機構(International Maritime Organization;以下、IMO)では、排出規制地域(Emission Control Area;以下、ECA)を設定し、当該海域内で有害物質の排出量を制限している。特に、硫黄酸化物排出規制地域(SOx Emission Control Area;以下、SECA)ではNOxなどの他の有害物質も共に規制し、前記ECAよりも広範囲で強力な制裁を加えている。
【0007】
しかも、2015年1月1日からは規制をより強化し、前記SECAを通過する全船舶に対して環境汚染を起こす燃料中の硫黄(Sulphur)含有率を0.1%に制限した(IMO 184(59))。前記SECAは、2011年8月に海洋汚染防止協約の修正によって既存のバルト海及び北海地域から北米地域へと拡大規定され、2016年4月1日からは中国近海も指定されるなど、今後も拡張し続くと予想され、船舶の硫黄酸化物の管理はより一層重要になる見込みである。
【0008】
また、ECA以外の全世界の海域でも排煙ガス中のSOx含有量が3.5%以下に規制されていたが、2016年10月28日に開催されたIMO総会で0.5%に下げる法案が通過し、2020年から施行される予定であるところ、地域を問わずに硫黄酸化物管理の必要性は増す一方である。
【0009】
排煙ガスから汚染物質を除去する方法には、大きく、乾式法と湿式法があるが、乾式法は投資費用及びメンテナンス費用が低廉で、工程が単純で、廃水処理が不要であるという長所があるが、粉塵による影響が大きく、汚染物質が除去されずに流出される可能性が大きいという短所がある。湿式法は、粉塵による影響が少なく、SOxとNOxを同時に除去するのに効率的であり、特に、SOxの除去効率が高いという長所があるが、汚染水に対する廃水処理が必要であるという短所がある。
【0010】
一般に、船舶の排煙ガスの処理に関しては、SOxの除去効率が高く、粉塵による影響が少ないという長所から湿式法が多く用いられているが、排煙ガスを洗浄する工程で排出された汚染した洗浄液の処理が問題になる。
【0011】
図1は、従来の湿式法を用いた排煙ガス洗浄液浄化システムの構成図である。
図1を参照すると、従来の排煙ガス洗浄液浄化システムは、排煙ガスに含まれた硫黄酸化物などの汚染物質を、スクラバー91に供給された洗浄液との吸着によって除去し、この過程で排出された汚染した洗浄液は循環水槽95に一時的に貯留されてからスクラバー91に再び供給される。そして、循環される洗浄液の汚染度を下げるために濾過装置94を含んでおり、濾過システムは、前記スクラバー91→循環水槽95→循環水配管93→スクラバー91を循環する配管とは別に、循環水槽95→濾過装置94→循環水槽95を循環する濾過専用配管を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバーから排出された汚染した洗浄液を浄化し、浄化された洗浄液を前記スクラバーに再び供給することによって、排煙ガスの汚染物質を減らすと同時に、排煙ガスの汚染物を除去する過程で生成される汚染した洗浄液の排出を減らす排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一時的に貯留する循環バッファタンクを含み、洗浄液循環システムの安全性を高める排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、循環バッファタンクが一時的に貯留する汚染した洗浄液の一部を取り出して浄化し、再び前記循環バッファタンクに供給することによって、スクラバーに再び供給される洗浄液の汚染度を下げ、前記スクラバーに洗浄液を供給する配管とスクラバー内で洗浄液を噴霧するノズルの汚染物による閉塞を防止する排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、凝集剤を供給し、汚染した洗浄液中で汚染物の凝集がより起きやすくすることによって、洗浄液の浄化がより効率的に行われるようにする排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、汚染した洗浄液を1次に浄化する沈殿装置を含み、粒子の大きい汚染物は前記沈殿装置で浄化し、直列連結された濾過装置の負荷を低減させることによって、長期間運転可能な排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、複数の傾斜板が一定の間隔で離隔して設置された傾斜モジュールを含み、前記傾斜板の間に汚染した洗浄液が下方から上方に傾斜して流動しながら汚染物の分離がなされる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、沈殿槽内の一側上部に配置された凝集反応槽で洗浄液と凝集剤の撹拌がなされ、洗浄液に含まれた汚染物の大きさを増大させることによって、沈殿槽で効率的に汚染物が分離される排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、下部遮断壁と上部遮断壁が交差して配置された排出モジュールを含み、分離槽を経た洗浄液が前記下部/上部遮断壁を超流して排出されるようにすることによって、残留する汚染物をさらに除去する排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、沈殿装置で浄化された上等水の水質をモニタリングする水質検査装置を含み、上等水の水質に基づいて、濾過装置で2次浄化を行うか否かを決定することによって、システムを効率的に運用できる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、濾過装置に自動洗浄部を含み、濾過装置が長期間運転できる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、濾過装置を逆洗浄の方法で自動洗浄をし、濾過装置が汚染した洗浄液を濾過する過程中にも逆洗浄が可能な排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、濾過装置の流入端、流出端及び排出端の圧力情報に基づいてバルブを制御する制御装置を含み、逆洗浄が効率的且つ自動で行われる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、濾過装置が濾過モードと、流入した洗浄液を濾過過程無しでそのまま排出する迂回モードで動作するように構成し、濾過装置が濾過モードで動作できない状況にも全体システムを停止させずに継続して稼動できる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0026】
本発明の他の目的は、洗浄液浄化部で浄化された洗浄液をスクラバーに直接再供給し、純度の高い洗浄液をスクラバーに再び提供できる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0027】
本発明の他の目的は、洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を循環バッファタンクを経由してスクラバーに再供給することによって、洗浄液浄化部の負荷を減らすことができる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【0028】
本発明の他の目的は、洗浄液浄化部から排出されたスラッジに含まれている洗浄液を捕集して沈殿装置に供給する脱水装置を含み、船舶の外部に排出されるスラッジの量を減らし、システムの効率を高めることができる排煙ガス洗浄液浄化システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、上記の目的を達成するために、次のような構成を有する実施例によって具現される。
【0030】
本発明の一実施例によれば、本発明は、洗浄液を用いて排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバーと、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化部と、前記洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を前記スクラバーに再び供給する洗浄液再供給部とを含むことを特徴とする。
【0031】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記洗浄液浄化部が、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一定時間滞留させ、汚染物を沈殿させて浄化する沈殿装置を含むことを特徴とする。
【0032】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記沈殿装置が、内側に汚染した洗浄液が流入し、前記汚染した洗浄液中の汚染物が沈殿して形成された濃縮スラッジを排出する沈殿槽を含み、前記沈殿槽が、複数の傾斜板が一定の間隔で離隔して設置された傾斜モジュールを含み、前記傾斜板の間に汚染した洗浄液が下方から上方に傾斜して流動しながら汚染物が分離されることを特徴とする。
【0033】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記沈殿槽が、スラッジの濃縮を円滑に保持するように、上端部が長幅に、下端部が短幅に形成されたスラッジ濃縮槽を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記沈殿装置が、前記沈殿槽の上部に連結され、汚染した洗浄液を前記沈殿槽に案内する流入管と、前記沈殿槽から排出された濃縮スラッジを一時的に貯留するスラッジバッファタンクと、汚染した洗浄液から汚染物が除去された上等水を一時的に貯留する上等水貯留槽とを含むことを特徴とする。
【0035】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記洗浄液浄化部が、前記汚染した洗浄液を濾過し、汚染物を濾して浄化する濾過装置を含むことを特徴とする。
【0036】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記沈殿装置が、前記上等水貯留槽に貯留された上等水を流出する上等水流出管を含み、前記洗浄液浄化部が、前記上等水流出管を通じて流出される上等水の水質をモニタリングする水質監視装置を含むことを特徴とする。
【0037】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記上等水流出管が、2個の管に分岐し、前記上等水貯留槽から流出された上等水を前記濾過装置に供給する第1上等水流出分岐管と、前記上等水貯留槽から流出された上等水を前記洗浄液材供給部に供給する第2上等水流出分岐管とを含むことを特徴とする。
【0038】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記水質監視装置の結果に基づいて、上等水の水質が設定基準より低いと、前記上等水貯留槽に貯留された上等水を前記第1上等水流出分岐管を通じて前記濾過装置に供給し、設定基準より高いと、前記第2上等水流出分岐管を通じて前記洗浄液再供給部に供給する制御装置を含むことを特徴とする。
【0039】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記濾過装置が、汚染した洗浄液を濾過させるメッシュと、前記メッシュに付着した汚染物を除去する自動洗浄部とを含むことを特徴とする。
【0040】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記自動洗浄部が、前記メッシュに付着した汚染物を含む逆洗浄水を吸入する吸入部と、前記吸入部の一側を収容し、吸入部から吸入された逆洗浄水を排出する排出部と、動力を提供する駆動部と、前記駆動部の動力を受けて前記吸入部を機械的に回転させる従動部とを含むことを特徴とする。
【0041】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記濾過装置が、流入した汚染した洗浄液を前記メッシュで濾過する濾過モードと、流入した汚染した洗浄液を迂回経路を通じて濾過過程無しでそのまま排出する迂回モードで動作することを特徴とする。
【0042】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記洗浄液浄化部が、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一時的に貯留する循環バッファタンクを含むことを特徴とする。
【0043】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記洗浄液浄化部が、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液の汚染物を凝集させる凝集剤を供給する凝集剤供給装置を含むことを特徴とする。
【0044】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記沈殿槽が、前記沈殿槽内の一側上部に配置され、流入した汚染した洗浄液を前記凝集剤供給装置から供給された凝集剤と撹拌する凝集反応槽を含むことを特徴とする。
【0045】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記洗浄液再供給部が、前記洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を前記スクラバーに直接再供給することを特徴とする。
【0046】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記洗浄液再供給部が、前記洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を前記循環バッファタンクを経由して前記スクラバーに再供給することを特徴とする。
【0047】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記洗浄液再供給部が、一つの管から延びて、前記循環バッファタンクに貯留された洗浄液の一部を前記スクラバーに再供給する管と、前記洗浄液浄化部から浄化された洗浄液を前記スクラバーに再供給する管とに分岐されていることを特徴とする。
【0048】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記排煙ガス洗浄液浄化システムが、前記洗浄液浄化部から排出されたスラッジを処理して貯留するスラッジ処理部を含み、前記スラッジ処理部が、前記洗浄液浄化部から排出されたスラッジに含まれている洗浄液を捕集して沈殿装置に供給する脱水装置と、脱水されたスラッジを貯留する脱水ケーキ貯留槽とを含むことを特徴とする。
【0049】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記流入管が、前記循環バッファタンクから汚染した洗浄液を前記沈殿槽に案内する第1流入分岐管と、前記脱水装置から捕集された汚染した洗浄液を前記沈殿槽に案内する第2流入分岐管とが合流した管であることを特徴とする。
【0050】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記流入管が、前記第1流入分岐管と第2流入分岐管とが合流する地点に設けられた3方向バルブを含み、前記3方向バルブの調節によって、前記沈殿槽に流入する汚染した洗浄液の経路が決定可能であることを特徴とする。
【0051】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記脱水装置が、円筒形の濾過体と、前記濾過体の内側に回転可能に挿入されたスクリューとを含み、前記スクリューの一端側から前記濾過体との間に供給されたスラッジを前記スクリューの回転によって他端側に搬送しながら前記濾過体によって洗浄液を捕集することを特徴とする。
【0052】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記脱水装置が、水平に移動可能であり、一定間隔離隔して設置された複数個の濾過板と、前記濾過板を水平方向に加圧する加圧手段とを含み、前記濾過板の間に供給されたスラッジを前記濾過板で加圧して洗浄液を捕集することを特徴とする。
【0053】
本発明の一実施例によれば、本発明は、スクラバーが、洗浄液を用いて排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するガス洗浄段階と、洗浄液浄化部が、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化段階と、洗浄液再供給部が、前記洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を前記スクラバーに再び供給する洗浄液再供給段階とを含むことを特徴とする。
【0054】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記洗浄液浄化段階が、沈殿装置が前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一定時間滞留させ、汚染物を沈殿させて浄化する第1浄化段階を含むことを特徴とする。
【0055】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第1浄化段階が、汚染した洗浄液が沈殿槽に流入する汚染水流入段階と、前記沈殿槽が汚染した洗浄液を一定時間滞留させて汚染物を沈殿させる沈殿段階と、前記汚染した洗浄液から前記沈殿した汚染物が除去された上等水を流出する上等水流出段階と、前記汚染した洗浄液から汚染物が沈殿して形成されたスラッジを排出するスラッジ排出段階とを含むことを特徴とする。
【0056】
本発明の一実施例によれば、本発明は、前記洗浄液浄化段階が、凝集剤供給装置が前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液の汚染物を凝集させる凝集剤を供給する凝集剤供給段階を含むことを特徴とする。
【0057】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記洗浄液浄化段階が、濾過装置が前記沈殿装置から流出された上等水を濾過し、汚染物を濾して浄化する第2浄化段階を含むことを特徴とする。
【0058】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第2浄化段階が、前記濾過装置のメッシュに付着した汚染物を除去する自動洗浄段階を含むことを特徴とする。
【0059】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記自動洗浄段階が、前記濾過装置の流入圧力と流出圧力を測定し、測定された圧力の差が一定範囲を超えるか否か判断する感知段階と、一定範囲を超える差圧の発生時に自動洗浄部の排出部を開放し、吸入部が、メッシュに付着した汚染物を含む逆洗浄水を吸入する吸入段階と、前記排出部が、吸入部から吸入された逆洗浄水を排出する排出段階とを含むことを特徴とする。
【0060】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記排煙ガス洗浄液浄化方法が、スラッジ処理部が洗浄液浄化部から排出されたスラッジを処理して貯留するスラッジ処理段階を含むことを特徴とする。
【0061】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記スラッジ処理段階が、前記洗浄液浄化部から排出されたスラッジに含まれている洗浄液を捕集する脱水段階と、捕集した洗浄液を沈殿装置に供給する再供給段階と、脱水されたスラッジを脱水ケーキ貯留槽に排出する脱水ケーキ排出段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0062】
本発明は、上記の実施例と、下記に説明する構成、結合及び使用関係によって次のような効果を得ることができる。
【0063】
本発明は、排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバーから排出された汚染した洗浄液を浄化し、浄化された洗浄液を前記スクラバーに再び供給することによって、排煙ガスの汚染物質を減らすと同時に、排煙ガスの汚染物を除去する過程で生成される汚染した洗浄液の排出を減らす効果がある。
【0064】
本発明は、スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一時的に貯留する循環バッファタンクを含み、洗浄液循環システムの安全性を導く。
【0065】
本発明は、循環バッファタンクが一時的に貯留する汚染した洗浄液の一部を取り出して浄化して前記循環バッファタンクに再び供給することによって、スクラバーに再び供給される洗浄液の汚染度を下げ、前記スクラバーに洗浄液を供給する配管とスクラバー内で洗浄液を噴霧するノズルの汚染物による閉塞を防止する効果がある。
【0066】
本発明は、凝集剤を供給し、汚染した洗浄液中で汚染物がより凝集し易くなるようにすることによって、洗浄液がより効率的に浄化されるようにする効果がある。
【0067】
本発明は、汚染した洗浄液を1次に浄化する沈殿装置を含み、粒子の大きい汚染物は前記沈殿装置で浄化し、直列連結された濾過装置の負荷を低減させることによって、長期間運転可能な効果を導出する。
【0068】
本発明は、複数の傾斜板が一定の間隔で離隔して設置された傾斜モジュールを含み、前記傾斜板の間に汚染した洗浄液が下方から上方に傾斜して流動しながら汚染物の分離がなされる効果がある。
【0069】
本発明は、沈殿槽内の一側上部に配置された凝集反応槽で洗浄液と凝集剤とが撹拌され、洗浄液中の汚染物の大きさを増大させることによって、沈殿槽で効率的に汚染物が分離される効果がある。
【0070】
本発明は、下部遮断壁と上部遮断壁が交差して配置された排出モジュールを含み、分離槽を経た洗浄液を前記下部/上部遮断壁を超流して排出させることによって、残留する汚染物をさらに除去する効果を導出する。
【0071】
本発明は、沈殿装置で浄化された上等水の水質をモニタリングする水質検査装置を含み、上等水の水質に基づいて、濾過装置で2次浄化するか否かを決定することによって、システムを効率的に運用できる効果がある。
【0072】
本発明は、濾過装置に自動洗浄部を含み、濾過装置を長期間運転できる効果を導出する。
【0073】
本発明は、濾過装置を逆洗浄の方法で自動洗浄し、濾過装置が汚染した洗浄液を濾過する過程中にも逆洗浄が可能な効果を有する。
【0074】
本発明は、濾過装置の流入端、流出端及び排出端の圧力情報に基づいてバルブを制御する制御装置を含み、逆洗浄が効率的に且つ自動で行われる効果がある。
【0075】
本発明は、濾過装置が濾過モードと、流入した洗浄液を濾過過程無しでそのまま排出する迂回モードで動作するように構成し、濾過装置が濾過モードで動作できない状況でも全体システムを停止させずに継続して稼動できる効果を導出する。
【0076】
本発明は、洗浄液浄化部で浄化された洗浄液をスクラバーに直接再供給し、純度の高い洗浄液をスクラバーに再び提供できる効果がある。
【0077】
本発明は、洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を循環バッファタンクを経由してスクラバーに再供給することによって、洗浄液浄化部の負荷を減らすことができる効果がある。
【0078】
本発明は、洗浄液浄化部から排出されたスラッジに含まれている洗浄液を捕集して沈殿装置に供給する脱水装置を含み、船舶の外部に排出されるスラッジの量を減らし、システムの効率を高めることができる効果を導出する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】従来の排煙ガス洗浄液浄化システムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る排煙ガス洗浄液浄化システムの構成図である。
【
図3】
図2に示した排煙ガス洗浄液浄化システムのブロック図である。
【
図4】
図2に示した洗浄液浄化部のブロック図である。
【
図8】
図2に示した洗浄液再供給部の構成図である。
【
図9】本発明の他の実施例に係る洗浄液再供給部の構成図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施例に係る洗浄液再供給部の構成図である。
【
図11】
図2に示したスラッジ処理部のブロック図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る排煙ガス洗浄液浄化方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、本発明に係る排煙ガス洗浄液浄化システムを、添付の図面を参照して詳細に説明する。図面中、同一の構成要素は、いずれの箇所においても、可能な限り同一の符号で示されていることに留意されたい。また、本発明の要旨を却って曇らせ得る公知機能及び構成に関する詳細な説明は省略する。特に断りのない限り、本明細書における全ての用語は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する技術者が理解する当該用語の一般的な意味と同一であり、仮に本明細書に使われた用語の意味と衝突する場合には、本明細書に使われている定義に従う。
【0081】
図2は、本発明の一実施例に係る排煙ガス洗浄液浄化システムの構成図であり、
図3は、
図2に示した排煙ガス洗浄液浄化システムのブロック図である。
図2及び
図3を参照すると、本発明である排煙ガス洗浄液浄化システムは、排煙ガスをスクラバー2に流入させる排煙ガス供給部1と、前記排煙ガスの洗浄液との吸着によって排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバー2と、前記スクラバー2から供給された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化部3と、前記浄化された洗浄液を前記スクラバー2に再び供給する洗浄液再供給部4と、前記浄化された洗浄液を船舶外に排出する洗浄液排出管5と、前記洗浄液浄化部3から排出されたスラッジを処理して貯留するスラッジ処理部6とを含む。
【0082】
前記排煙ガス供給部1は、船舶内で発生する排煙ガスを、後述するスクラバー2に流入させる構成であり、船舶の主エンジン又は補助エンジンのような大型ディゼルエンジンに一側が連結され、硫黄酸化物などの汚染物質が含まれた排煙ガスを前記スクラバーに流入させる。
【0083】
前記スクラバー2は、前記排煙ガス供給部1から流入した排煙ガスに含まれている硫黄酸化物などの汚染物質を、前記スクラバー2に供給された洗浄液との吸着によって除去する。前記洗浄液は、排煙ガスを洗浄する工程初期に含まれてもよく、システム作動の中途に追加されてもよい。
【0084】
本発明の作動中に前記スクラバー2に供給された洗浄液は、スクラバー内で微粒化して噴霧され、排煙ガス中に含まれた硫黄酸化物などの汚染物粒子は、微粒化した洗浄液に付着して排煙ガスから分離され、汚染物粒子の付着した汚染した洗浄液は、後述する洗浄液浄化部3で浄化され、浄化された洗浄液は、後述する洗浄液再供給部4を通じて前記スクラバー2に再び供給されて循環する。浄化された洗浄液は、減少した量の汚染物を有するものであるが、依然として少量の汚染物が含まれることがある。
【0085】
図4は、
図2に示した洗浄液浄化部のブロック図である。
図2~
図4を参照すると、前記洗浄液浄化部3は、前記スクラバー2から排出された汚染した洗浄液を浄化するが、スクラバー連結管31、循環バッファタンク32、凝集剤供給装置33、沈殿装置34、濾過装置35、水質判読装置36、制御装置37を含む。
【0086】
前記スクラバー連結管31は、一端が前記スクラバー2に連結され、他端は後述する循環バッファタンク32に連結され、前記スクラバー2から排出された汚染した洗浄液を洗浄液浄化部3に供給させる。
【0087】
前記循環バッファタンク32は、前記スクラバー連結管31に連結され、前記スクラバー2から排出された汚染した洗浄液を一時的に貯留し、後述する汚染水流入管342に連結され、汚染した洗浄液を沈殿装置34に輸送し、後述する洗浄液再供給部4に連結され、一時的に貯留している洗浄液をスクラバー2に再び供給する。前記洗浄液再供給部4に連結される位置は、前記循環バッファタンク2の下端側部に連結され、前記汚染水流入管342に連結される位置は、前記循環バッファタンク2の下部に連結されることが好ましい。前記循環バッファタンク2に一時的に貯留されている洗浄液の汚染度は、汚染物の沈殿によって下端に行くほど大きくなり、下部には沈殿した汚染物が存在することがあるため、相対的に汚染度の低い洗浄液は前記スクラバー2に再び供給し、沈殿した汚染物と共に汚染度が相対的に高い洗浄液は後述する沈殿装置34に輸送することが好ましいわけである。
【0088】
本発明において、前記循環バッファタンク32は、洗浄液を循環させるシステムの安全性を高める効果をもたらす。例えば、本発明の作動中に、後述する沈殿装置34又は濾過装置35が故障したり点検が必要となる場合、全体システムを直ちに停止させず、前記スクラバー2を作動させても洗浄液の循環はスクラバー2→循環バッファタンク32→洗浄液再供給部4→前記スクラバー2の閉ループとなるようにすることによって、前記スクラバー2の作動を一定時間維持することが可能となる。このように洗浄液が浄化されずに循環しても、洗浄液を一時的に貯留する前記循環バッファタンク32によって、洗浄液の汚染度が大幅に悪くなることはないので、一時的には前記スクラバー2の運転が可能である。
【0089】
また、前記循環バッファタンク32は、後述する洗浄液再供給部4が浄化された洗浄液をスクラバー2に供給する方法を、システムの運営状況に応じて多様化する効果がある。前記循環バッファタンク32に一時的に貯留された汚染した洗浄液を一部取り出して浄化し、浄化された洗浄液を前記循環バッファタンク32を経由して前記スクラバー2に再供給する場合には、システムで浄化すべき洗浄液の量を下げることができ、浄化された洗浄液を前記循環バッファタンク32に再び流入させることによって、循環バッファタンク32に貯留される洗浄液の汚染度は低く維持される。したがって、洗浄液がシステムを循環する過程でファウリング(fouling)又はスケーリング(scaling)による汚染物の沈着によって、システムを構成する配管が閉塞したり、或いは前記スクラバー2内で大きい汚染物質集落(cluster)が形成されるなどの問題を防止することができる。
【0090】
前記凝集剤供給装置33は、後述する汚染水流入管342に連結され、前記循環バッファタンク32から流出される汚染した洗浄液に凝集剤を供給し、凝集剤貯留槽331、凝集剤供給管332、凝集剤供給ポンプ332pを含む。
【0091】
前記凝集剤貯留槽331は、凝集剤を貯留する。前記凝集剤は、洗浄液に含まれた汚染物が凝集されるようにして汚染物の大きさを増大させ、後述する沈殿装置34と濾過装置35で汚染物の沈殿及び濾過が効率的に行われるようにする。
【0092】
前記凝集剤供給管332は、一端が前記凝集剤貯留槽331に連結され、他端は後述する汚染水流入管342に連結され、前記凝集剤貯留槽331に貯留された凝集剤を、前記汚染水流入管342を通じて前記沈殿装置34に供給する。そのために、前記凝集剤供給管332は凝集剤供給ポンプ332pを含むことができる。
【0093】
図5は、
図2に示した沈殿装置の構成図であり、
図6は、
図2に示した沈殿槽の構成図である。
図2~
図6を参照すると、前記沈殿装置34は、前記スクラバー2から排出された汚染した洗浄液を貯留し汚染物を沈殿させて1次に浄化し、沈殿槽341、流入管342、上等水貯留槽343、スラッジバッファタンク345、上等水流出管346、スラッジバッファタンク連結管347、濾過後室連結管348を含む。
【0094】
前記沈殿槽341は、汚染した洗浄液を一定時間滞留させて汚染物を沈殿させることによって汚染した洗浄液を1次に浄化し、流入口3411、凝集反応槽3412、分離槽3413、排出モジュール3414、流出口3415を含む。
【0095】
前記流入口3411は、後述する流入管342に連結され、汚染した洗浄液を前記沈殿槽341に案内する。
【0096】
前記凝集反応槽3412は、前記沈殿槽341内の一側上部に配置され、外部から流入する汚染した洗浄液と凝集剤との撹拌がなされる部分であり、洗浄液に含まれた汚染物の大きさを増大させることによって、前記沈殿槽341で汚染物の分離が効率的になされるようにする。
【0097】
前記分離槽3413は、前記沈殿槽341内で洗浄液中の汚染物が沈殿過程を経て洗浄液から分離される部分であり、隔壁34131、傾斜モジュール34132、スラッジ濃縮槽34133を含む。
【0098】
前記隔壁34131は、前記分離槽3413内の上部に設置され、前記分離槽3413内に流入する洗浄液が、前記傾斜モジュール34132の傾斜板の間で上部に傾斜して流動する洗浄液と混合されることを防止するための構成である。前記分離槽3413内に流入した洗浄液は、前記隔壁に沿って下降流れを形成し、下降した洗浄液は、前記傾斜モジュール34132の傾斜板の間に下方から上方に流動しながら沈殿過程を経る。
【0099】
前記傾斜モジュール34132は、前記分離槽3413内の上部で複数の傾斜板が一定の間隔で離隔して設置され、前記傾斜板の間に汚染した洗浄液が下方から上方に傾斜して流動しながら洗浄液から汚染物が分離される部分であり、沈殿効率が滞留時間よりも沈殿面積に大きく影響を受けることを応用したものである。傾斜板同士間の汚染物粒子は、重力Fgと洗浄液の流動による流体抗力Flとの合力によってそれぞれの傾斜板の表面に移って沈殿され、前記傾斜板に移った汚染物粒子は下部に滑り落ちる。
【0100】
前記スラッジ濃縮槽34133は、前記分離槽3413の下部に形成され、その上部が長幅、下部が短幅となって、その断面が‘V’字状のホッパー(hopper)の形状を有し、前記傾斜モジュール34132を通じて沈殿した汚染物粒子は、前記スラッジ濃縮槽34133の傾斜面によって圧密沈殿が誘導され、濃縮されたスラッジ状態で捕集される。
【0101】
前記排出モジュール3414は、前記傾斜モジュール34132で汚染物が分離された洗浄液に残留する汚染物をさらに除去する構成であり、第1遮断壁34141、第2遮断壁34142を含み、前記分離槽3413を経た洗浄液が前記排出モジュール3414内で上/下に流動しながら排出されるようにすることによって、残留する汚染物をさらに除去する。
【0102】
前記第1遮断壁34141は、洗浄液に残留する汚染物のうち浮遊物質を濾すための構成であり、洗浄液の下部流れを防ぐ堰(weir)の形状を有する。前記傾斜板の間に汚染した洗浄液が下方から上方に流動しながら汚染物の分離がなされた洗浄液は、層流状態で上向き流れを形成するが、前記第1遮断壁34141を通じて浮遊汚染物質は濾され、洗浄液は第1遮断壁34141を超流する。
【0103】
前記第2遮断壁34142は、洗浄液の上部と下部流れを防ぐ堰(weir)の形状であり、前記第1遮断壁34141を超流した洗浄液の上昇流れを下降流れに誘導し、前記分離槽3413を経た洗浄液が前記排出モジュール3414内で上/下に流動しながら排出されるようにすることによって、残留する汚染物をさらに除去する。前記排出モジュール3414によって残留汚染物がさらに除去された洗浄液は、流出口3415を通過して上等水貯留槽343に一時貯留する。
【0104】
前記流出口3415は、前記排出モジュール3414で残留汚染物がさらに除去された洗浄液を、上等水貯留槽343に案内する。
【0105】
前記流入管342は、一端が前記沈殿槽341の流入口3411に連結され、他端は分岐して前記循環バッファタンク32及び後述するスラッジ処理部6に連結され、前記循環バッファタンクに一時的に貯留された汚染した洗浄液と、前記スラッジ処理部6で捕集された汚染した洗浄液を前記沈殿槽341に供給する。そのために、前記流入管342は、第1流入分岐管3421、第2流入分岐管3422、3方向バルブ3423を含む。
【0106】
前記第1流入分岐管3421は、一端が循環バッファタンク32に連結され、他端は3方向バルブ3423に連結される。
【0107】
前記第2流入分岐管3422は、一端がスラッジ処理部6に連結され、他端は3方向バルブ3423に連結される。
【0108】
前記3方向バルブ3423は、前記流入管342が前記第1流入分岐管3421と第2流入分岐管3422とに分岐される地点に設けられ、前記流入管342から流入する汚染した洗浄液の流路を決定する。前記3方向バルブ3423の調節によって、前記流入管342から流入する汚染した洗浄液の流路が、前記循環タンク32からの流入、及び前記スラッジ処理部6からの流入へと切り替わる。
【0109】
前記上等水貯留槽343は、前記沈殿槽341で汚染物の分離がなされた洗浄液を一時的に貯留し、前記上昇水貯留槽343に貯留された洗浄液は、後述する水質判読装置36が測定した水質に基づいて、設定基準よりも水質が低い場合には濾過装置35に送られて2次浄化過程が行われ、設定基準よりも水質が高い場合には洗浄液再供給部4を通じてスクラバー2に再供給される。
【0110】
前記スラッジバッファタンク345は、前記沈殿槽341のスラッジ濃縮槽34133から排出された濃縮されたスラッジと、沈殿装置35が自動洗浄過程で排出する逆洗浄水を一時的に貯留する貯留槽であり、前記スラッジバッファタンク345に貯留されたスラッジはスラッジ処理部6に供給される。
【0111】
前記上等水流出管346は、一端が上等水貯留槽343に連結され、他端は分岐して濾過装置35と洗浄液再供給部4に連結され、前記上等水貯留槽に貯留された洗浄液を前記濾過装置35に供給したり前記洗浄液再供給部4に供給する。そのために、前記上等水流出管346は、第1上等水流出分岐管3461、第2上等水流出分岐管3462を含む。
【0112】
前記第1上等水流出分岐管3461は、一端が上等水流出管346に連結され、他端が濾過装置35に連結され、上等水貯留槽343に一時的に貯留された洗浄液を前記濾過装置35に供給する。
【0113】
前記第2上等水流出分岐管3462は、一端が上等水流出管346に連結され、他端が洗浄液再供給部4に連結され、上等水貯留槽343に一時的に貯留された洗浄液を前記洗浄液再供給部4に供給する。
【0114】
前記スラッジバッファタンク連結管347は、一端が沈殿槽341のスラッジ濃縮槽34133の下部に連結され、他端がスラッジバッファタンク345に連結され、前記スラッジ濃縮槽34133から排出される濃縮されたスラッジを、前記スラッジバッファタンク345に案内する。
【0115】
前記濾過後室連結管348は、一端が上等水貯留槽343に連結され、他端が濾過装置35の後室358に連結され、前記濾過装置35が、流入した洗浄液を濾過過程を無しでそのまま排出する迂回モードで動作できるように迂回経路を提供する。
【0116】
図7は、
図2に示した濾過装置の構成図である。
図2~
図4、及び
図7を参照すると、前記濾過装置35は、第1上等水流出分岐管3461から流入した洗浄液を、メッシュ352に通して濾過し、後述する洗浄液再供給部4を通じて前記スクラバー2に浄化された洗浄液を再び供給し、メッシュ352、濾過水流出管353、自動洗浄部354、前室355、濾過後室356、後室357を含む。
【0117】
前記メッシュ352は、所定の孔隙サイズを持つ網目構造であり、内部に流入した汚染した洗浄液を濾過し、該洗浄液から汚染物を濾すことによって2次浄化をする。既存の低容量の遠心分離機を循環する洗浄液の流量は通常、スクラバー2と循環バッファタンク32を循環する流量の2%未満であるのに対し、前記自動洗浄が可能なメッシュ352を循環する洗浄液の流量は通常30%まで可能である。また、本発明においては、前述した沈殿装置34で粒子の大きい汚染物が1次的に浄化されるが、前記メッシュ352の排圧上昇周期が長くなって自動洗浄の周期が長くなるので、前記メッシュ352の過負荷を防止し、長期間運転できる長所がある。また、遠心分離機は作動のために消耗するエネルギーが大きいが、前記メッシュ352は遠心分離機に比して消耗するエネルギーがより少ないので、運用費用を節減できる長所がある。
【0118】
前記濾過水流出管353は、一端が洗浄液再供給部4と洗浄液排出管5に連結され、前記メッシュ352で濾過された洗浄液を、前記洗浄液再供給部4を通じてスクラバー2に再び供給したり、洗浄液排出管5を通じてシステム外に排出する。そのために、前記濾過水流出管353は、導管上にバルブ353vと圧力測定器PT2を含むことができる。
【0119】
前記自動洗浄部354は、逆洗浄によって、前記メッシュ352に付着した汚染物を吸入して除去する部分であり、吸入部3541、排出部3542、駆動部3543、従動部3544を含む。
【0120】
前記メッシュ352によって汚染した洗浄液の濾過がなされると、前記洗浄液から濾された汚染物は前記メッシュ352の孔隙を塞いで濾過装置35の内部圧力を上昇させ、洗浄液の濾過が円滑にならなくなる。したがって、メッシュ352の孔隙を塞いでいる汚染物の除去が必要になるが、本発明では、逆洗浄の方法により、前記メッシュ352の孔隙を塞いでいる汚染物を除去することによって、自動洗浄の進行中にも前記濾過装置35が汚染した洗浄液を濾過するのに差し支えがないようにした。
【0121】
逆洗浄が必要な時期は、濾過装置35の流入端である中等水流入管351と、流出端である濾過水流出管353との圧力差を測定して判断することができる。前記メッシュ352の孔隙が汚染物によって塞がれている程度が大きくなるほど、濾過して流出される洗浄液の量が少なくなるので、前記濾過装置35の流入圧力p1は流出圧力p2よりも大きくなる。したがって、設定された値以上の圧力差が発生する時に逆洗浄が行われるようにする。または、前記濾過装置35の運転時間が設定された時間を経過する時に、逆洗浄が行われるようにしてもよい。
【0122】
前記吸入部3541は、前記メッシュ352に付着した汚染物を吸入して除去する部分であり、延長棒35411、中心棒35412を含む。
【0123】
前記延長棒35411は、内部に貫通孔が形成された棒又はバー状であり、一端が前記メッシュ352の内周面に密着し、他端は前記中心棒35412に連結される。逆洗浄は、後述する排出部3542のバルブ3542vを開放すると、差圧と重力によって濾過された洗浄液(濾過水)が前記メッシュ352の逆方向(内部方向)に流入し、これによって、前記メッシュ352の孔隙を塞いでいる汚染物は、前記メッシュ352の内周面に密着した前記延長棒35411の吸入圧力によって逆洗浄水と共に吸入され、吸入した汚染物と逆洗浄水は前記中心棒35412に移動する。逆洗浄が円滑になされるためには、前記濾過装置35の流入圧力p1、流出圧力p2、排出部圧力p3の関係がp1>p2>p3になることが好ましい。
【0124】
また、前記延長棒35411の吸入圧力を高めるための方法として、制御装置37の制御の下に、濾過水流出管353のバルブ353vを一時的に閉鎖して流入圧力p1と流出圧力p2との圧力差を大きくすることによって、前記延長棒35411の吸入圧力を上げ、前記メッシュ352における自動洗浄度を高めることができる。
【0125】
一方、前記延長棒35411は、複数個が前記中心棒35412の外周面に個別の高さに放射状に取り付けられた形態であり得るが、これは、後述するように、前記中心棒35412が回転しながら上下移動する場合に、前記メッシュ352に付着している汚染物をより効率的に吸入するためである。
【0126】
前記中心棒35412は、内部に空間が形成された棒又はバーの形状であり、一端が前記延長棒35411に連結され、他端は前記排出部3542に連結され、前記延長棒35411から吸入された汚染物を逆洗浄水と共に排出部3542を通じてスラッジバッファタンク345に排出する。
【0127】
前記排出部3542は、一端が前記吸入部3541の前記中心棒35412に連結され、他端は沈殿装置34のスラッジバッファタンク345に連結され、逆洗浄水を前記スラッジバッファタンク345に供給する。そのために、前記排出部3542はバルブ3542v、圧力測定器PT3を含むことができる。前記バルブ3542vは、前記濾過装置35が濾過モードの時には閉鎖され、逆洗浄モードの時には開放される。
【0128】
前記駆動部3543は、一端が前記従動部3543に連結され、制御装置37の制御の下に、最終的に前記吸入部3541が上下移動及び回転できるように動力を提供する構成であり、好ましくは、モーターなどを用いることができる。
【0129】
前記従動部3544は、一端が前記駆動部3543に連結され、他端は前記吸入部3541の中心棒35412に連結され、前記駆動部3543から動力を受けて前記吸入部3541を機械的に上下移動及び回転させる構成であり、好ましくは、ギアなどを用いることができる。
【0130】
前記前室355は、前記メッシュ352の一端に連結され、第1上等水流出分岐管3461から流入した洗浄液が一時的に集まる所である。前記メッシュ352を用いた濾過方式を用いる場合、濾過液の流れと平行に形成される濾過面に沿って一定の圧力が形成される必要があり、前記メッシュ352の逆洗浄過程においても、前記前室355と後述する濾過後室356及び後室357間の圧力差が要求される。そのために、前記前室355は後述する濾過後室356及び後室357間の圧力差を形成し、濾過又は逆洗浄のための洗浄液の流れを誘導することができる。
【0131】
前記濾過後室356は、前記メッシュ352の外側面を取り囲むように形成され、前記メッシュ352の孔隙部を通過しながら濾過された洗浄液が捕集される所であり、上述したように、濾過のための洗浄液の流れ及び効果的な逆洗浄のための圧力差を形成する役割を担う。濾過された洗浄液は、濾過水流出管353を通じて流出されて洗浄液再供給部4に供給されたり、洗浄液排出管5から船舶外に排出される。上述したように、前記濾過水流出管353の導管上にはバルブ353vと圧力測定器PT2を含むことができる。
【0132】
前記後室357は前記メッシュ352の他端に形成され、メッシュ352の孔隙部を通過しない洗浄液が捕集される場所である。本願発明の濾過方式では濾過液が濾過面に沿って平行に流れるので、前室355に流入する洗浄液の相当部分がメッシュ352の孔隙部を通過しないまま前記後室357に集まる。このように捕集された洗浄液は、濾過後室連結管348を通じて上等水貯留槽343に戻る。
【0133】
本発明の濾過装置35は、前記後室357を配置することによって、前記濾過装置35の点検時、メッシュ352の表面に汚染物質が積もって濾過作用が正常に行われない場合、又は前記濾過装置35が故障する場合などには、前記濾過装置35に流入した洗浄液を濾過せずに迂回経路を通じてそのまま排出する迂回モードで動作させることができる。具体的に、前記メッシュ352の他端に形成された前記後室357及び前記濾過後室連結管348を通じて前記上等水貯留槽343に復帰する洗浄液の流れを形成し、全システムを停止させることなく連続してシステムを稼動でき、濾過過程を行えない場合でも、洗浄液の迂回経路(bypass)を提供し、システム内の洗浄液の流れと流量を調節する役割も担うことができる。さらに、洗浄液の流れが停止することから発生し得る洗浄液供給量の不足及び浄化システム内汚染物質の沈着(clogging、scaling、fouling)を防止することができる。
【0134】
前記水質判読装置36は、上等水流出管346に設けられ、上等水貯留槽343から流出される洗浄液の水質を判読する。前記水質判読装置36で判読した水質の程度によって、設定された基準に至らない場合には、前記上等水貯留槽343から流出される洗浄液を第1上等水流出分岐管3461を通じて濾過装置35に供給し、2次浄化後に洗浄液再供給部4に供給し、設定された基準に至る場合には、第2上等水流出分岐管3462を通じて前記洗浄液をそのまま洗浄液再供給部4に供給することによって、効率的なシステムの運用が可能である。
【0135】
前記制御装置37は、前記洗浄液浄化部3の全般を制御する構成であり、具体的に、沈殿装置34に関しては、3方向バルブ3423を制御し、前記沈殿装置34に流入する洗浄液の経路として、循環バッファタンク32に貯留された洗浄液及びスラッジ処理部6に捕集された洗浄液のいずれかを決定でき、前記沈殿装置34で1次浄化された洗浄液に対する水質判読装置36の判読値に基づいて、上等水貯留槽343に貯留された洗浄液が供給される経路として、濾過装置35及び洗浄液再供給部4のいずれかを決定できる。また、濾過装置35に関しては、濾過装置の流入端と流出端と排出端の圧力測定器PT1,PT2,PT3からメッシュの流入圧力p1と流出圧力p2の情報を受け取り、中等水流入管351のバルブ351vと濾過水流出管353のバルブ353vと排出部3542のバルブ3542vを制御し、前述したように、濾過装置の各端の圧力関係がp1>p2>p3となるようにすることによって逆洗浄を円滑にさせる。
【0136】
図2は、本発明の一実施例に係る排煙ガス洗浄液浄化システムの構成図であり、
図3は、
図2に示した排煙ガス洗浄液浄化システムのブロック図である。
図2及び
図3を参照すると、前記洗浄液再供給部4は、一端が濾過水流出管353に連結され、他端はスクラバー2に連結され、洗浄液浄化部3で1次、2次にわたって浄化された洗浄液を再び前記スクラバー2に供給し、洗浄液がスクラバー2→洗浄液浄化部3→洗浄液再供給部4→スクラバー2に循環するようにする。そのために、前記洗浄液再供給部4は導管上にポンプ4pを含むことができる。
【0137】
図8は、
図2に示した洗浄液再供給部の構成図であり、
図9は、本発明の他の実施例に係る洗浄液再供給部の構成図であり、
図10は、本発明のさらに他の実施例に係る洗浄液再供給部の構成図である。
【0138】
図8を参照すると、前記洗浄液再供給部4は、循環バッファタンク32を経由して前記洗浄液浄化部3で浄化された洗浄液を前記スクラバー2に供給している。前記循環バッファタンク32を経由して洗浄液を供給すると、前記洗浄液浄化部3で処理(浄化)すべき量を低減できる利点がある。この方法によれば、スクラバー2に供給される洗浄液の汚染度は次の方法に比べて高いことがあるが、前記スクラバー2が排出する洗浄液を全量浄化するのではなく、一定濃度以下に維持するための程度に浄化すればいいので、前記洗浄液浄化部3の負荷を下げることができるという利点がある。
【0139】
図9を参照すると、前記洗浄液再供給部4は、前記洗浄液浄化部3で浄化された洗浄液を前記スクラバー2に直接供給している。この場合、前記スクラバー2に供給される洗浄液の汚染度が他の実施例に比べて最も低いという利点がある。しかし、この場合には、前記スクラバー2が排出する洗浄液全量を前記洗浄液浄化部3で浄化しなければならないという不具合がある。
【0140】
図10を参照すると、前記洗浄液再供給部4は、一つの管から延びて、前記循環バッファタンク32に貯留された洗浄液の一部を前記スクラバー2に再供給する管と、前記洗浄液浄化部3から浄化された洗浄液を前記スクラバー2に再供給する管とに分岐された構成となっている。これは、前述した
図7及び
図8の長短所を組み合わせた中間形態と見なすことができる。すなわち、この方法によれば、前記スクラバー2に供給される洗浄液の汚染度は相対的に中間程度であり、前記洗浄液浄化部3で浄化すべき量も中間であるといえる。
【0141】
図2は、本発明の一実施例に係る排煙ガス洗浄液浄化システムの構成図であり、
図3は、
図2に示した排煙ガス洗浄液浄化システムのブロック図である。
図2乃至
図3を参照すると、前記洗浄液排出管5は、一端が前記濾過水流出管353に連結され、濾過された洗浄液を船舶外に輸送して海洋に排出できるようにする。前記濾過水流出管353から流出された濾過された洗浄液は、3方向バルブ72の調節により、前記洗浄液再供給部4への輸送と、前記洗浄液排出管5への輸送が決定される。
【0142】
図2は、本発明の一実施例に係る排煙ガス洗浄液浄化システムの構成図であり、
図3は、
図2に示した排煙ガス洗浄液浄化システムのブロック図であり、
図11は、
図2に示したスラッジ処理部のブロック図である。
図2、
図3、及び
図11を参照すると、前記スラッジ処理部6は、洗浄液浄化部から排出されたスラッジを処理して貯留し、洗浄液浄化部連結管61、脱水装置63、脱水ケーキ貯留槽64を含む。
【0143】
前記洗浄液浄化部連結管61は、一端が沈殿装置34のスラッジバッファタンク345に連結され、他端は脱水装置63に連結され、前記スラッジバッファタンク345から排出されたスラッジを前記脱水装置63に供給する。
【0144】
前記脱水装置63は、前記スラッジバッファタンク62から供給されたスラッジに含まれている洗浄液を捕集し、捕集された洗浄液は第2流入分岐管3422を通じて沈殿装置34に供給される。前記沈殿装置34と前記濾過装置35から排出されたスラッジは相当量の洗浄液(水分)を含有しているので、これをそのままシステム外に排出するよりは、前記脱水装置63でスラッジ中の洗浄液を脱水して再使用する方が、スラッジの排出量を減らし、再使用する洗浄液の量も増える点で効率的である。
【0145】
前記脱水装置63は、一実施例として円筒形の濾過体と、前記濾過体の内側に回転可能に挿入されたスクリューを含み、前記スクリューの一端側から前記濾過体との間に供給されたスラッジを、前記スクリューの回転によって他端側に搬送しながら前記濾過体によって洗浄液を捕集する方式であるスクリュープレスで構成することができる。
【0146】
また、前記脱水装置63は、他の実施例として、水平に移動可能であり、一定間隔で離隔して設置された複数個の濾過板と、前記濾過板を水平方向に加圧する加圧手段を含み、前記濾過板の間に供給されたスラッジに対して前記濾過板の加圧によって洗浄液を捕集する方式であるフィルタープレスで構成されてもよい。
【0147】
このように、本発明に係る排煙ガス洗浄液浄化システムは、洗浄液を用いて排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するスクラバー2と、前記スクラバー2から排出された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化部3と、前記洗浄液浄化部で浄化された洗浄液を前記スクラバー2に再び供給する洗浄液再供給部4と、前記洗浄液浄化部から排出されたスラッジを処理して貯留するスラッジ処理部6とを含み、
特に、前記洗浄液浄化部3は、前記スクラバーから排出された汚染した洗浄液を一時的に貯留する循環バッファタンク32を含み、洗浄液循環システムの安全性を高め、前記スクラバー2から排出された汚染した洗浄液の汚染物を凝集させる凝集剤を供給する凝集剤供給装置33を含み、洗浄液中で汚染物がより凝集しやすくすることによって、より効率的な浄化がなされるようにし、汚染物を沈殿させて1次に浄化する沈殿装置34を含み、主浄化装置である濾過装置35の負荷を低減させ、2次に浄化する濾過装置35は自動洗浄部354を含み、前記濾過装置34を長期間運転可能にした。
【0148】
以下では、前述した排煙ガス洗浄液浄化システムを用いた排煙ガス洗浄液浄化方法について詳しく説明する。
【0149】
図12は、本発明の一実施例に係る排煙ガス洗浄液浄化方法のフローチャートである。
図12を参照すると、本発明の排煙ガス洗浄液浄化方法は、スクラバー2が、排煙ガスから洗浄液との吸着によって排煙ガスから硫黄酸化物などの汚染物を除去するガス洗浄段階(S1)、洗浄液浄化部3が、前記スクラバー2から供給された汚染した洗浄液を浄化する洗浄液浄化段階(S2)、洗浄液再供給部4が、前記浄化された洗浄液を前記スクラバー2に再び供給する洗浄液再供給段階(S3)、スラッジ処理部6が、前記洗浄液浄化部3から排出されたスラッジを処理して貯留するスラッジ処理段階(S4)を含む。
【0150】
前記ガス洗浄段階(S1)は、前記スクラバー2が、排煙ガス供給部1から流入した排煙ガスに含まれている硫黄酸化物などの汚染物質を、前記スクラバー2に供給された洗浄液との吸着によって除去する段階である。前記洗浄液は排煙ガスを洗浄する工程初期に含まれてもよく、システム作動中途に追加されてもよい。
【0151】
前記洗浄液浄化段階(S2)は、前記洗浄液浄化部3が、前記スクラバー2から排出された汚染した洗浄液を浄化する段階であり、凝集剤供給段階(S21)、第1浄化段階(S22)、第2浄化段階(S23)を含む。
【0152】
前記凝集剤供給段階(S21)は、凝集剤供給装置32が、循環バッファタンク32から流出される汚染した洗浄液に凝集剤を供給する段階である。凝集剤を供給することによって洗浄液中の汚染物が凝集されて汚染物の大きさが増大し、これによって沈殿装置34における第1浄化段階(S22)と濾過装置35における第2浄化段階(S23)が効率的に行われる。
【0153】
前記第1浄化段階(S22)は、沈殿装置34がスクラバー2から排出された汚染した洗浄液を貯留して汚染物を沈殿させて1次に浄化する段階であり、汚染水流入段階(S221)、沈殿段階(S222)、上等水流出段階(S223)、スラッジ排出段階(S224)を含む。
【0154】
前記汚染水流入段階(S221)は、循環バッファタンク32に一時的に貯留された汚染した洗浄液と、凝集剤供給装置33から供給された凝集剤が沈殿装置34に流入する段階である。前記循環バッファタンク32は、洗浄液を循環させるシステムの安全性を高める効果をもたらす。
【0155】
前記沈殿段階(S222)は、沈殿槽341が、汚染した洗浄液を一定時間滞留させて汚染物を沈殿させる段階である。前記沈殿槽341は、複数の傾斜板が一定の間隔で離隔して設置された傾斜板モジュールを含み、前記傾斜板の間に汚染した洗浄液が下方から上方に傾斜して流動しながら洗浄液から汚染物の分離がなされる部分であり、滞留時間よりも沈殿面積に沈殿効率がより大きく影響を受けることを応用したものである。
【0156】
前記上等水流出段階(S223)は、上等水流出管346が、沈殿槽341で汚染物の沈殿過程を経て浄化された洗浄液を最終的には濾過装置35に供給するために、1次に浄化された洗浄液を流出する段階である。
【0157】
前記スラッジ排出段階(S224)は、スラッジバッファタンク345の下部に連結されたスラッジ流入管61を通じて、沈殿した汚染物であるスラッジをスラッジ処理部6に供給する段階である。前記スラッジは、前記スラッジ処理部6で脱水過程が行われ、脱水されたスラッジは、後述する脱水ケーキ貯留槽64に貯留され、脱水過程中に捕集された洗浄液は沈殿装置34に流入して再び第1浄化段階(S22)を経る。
【0158】
前記第2浄化段階(S23)は、濾過装置35が、第1上等水流出分岐管3461を通じて流入した洗浄液をメッシュ352で濾過する段階であり、上等水流入段階(S231)、濾過段階(S232)、自動洗浄段階(S233)を含む。
【0159】
前記上等水流入段階(S231)は、沈殿装置34で第1浄化段階を経た上等水が第1上等水流出分岐管3461を通じて濾過装置に流入する段階である。
【0160】
前記濾過段階(S232)は、メッシュ352が、内部に流入した洗浄液を濾過し、該洗浄液から汚染物を濾すことによって2次浄化を行う段階である。前記濾過段階(S232)を終えた濾過水は、洗浄液再供給部4を通じてスクラバー2に再び供給される。
【0161】
前記自動洗浄段階(S233)は、自動洗浄部354が逆洗浄によって、前記メッシュ352に付着した汚染物を吸入して除去する段階であり、感知段階(S2331)、吸入段階(S2332)、排出段階(S2333)を含む。
【0162】
前記感知段階(S2331)は、濾過装置35の流入端である中等水流入管351と、流出端である濾過水流出管353の圧力を測定し、それらの圧力差が設定された値以上として測定されるか否かを感知する段階である。前記メッシュ352の孔隙が汚染物によって塞がっている程度が大きくなるほど、濾過されて流出される洗浄液の量が少なくなるので、前記濾過装置35の流入圧力p1は流出圧力p2よりも大きくなるが、設定された値以上の圧力差が発生する時に逆洗浄がなされるようにする。
【0163】
前記吸入段階(S2332)は、吸入部3541が前記メッシュ352に付着した汚染物を吸入して除去する段階である。逆洗浄は、排出部3542のバルブ3542vを開放すると、差圧及び重力によって、濾過された洗浄液(濾過水)が前記メッシュ352の逆方向(内部方向)に流入し、これにより、メッシュ352の孔隙を塞いでいる汚染物が、前記メッシュ352の内周面に近接した前記吸入部3541に吸入圧力によって吸入され、前記排出部3542を通じて逆洗浄水と共にスラッジバッファタンク345に排出される。
【0164】
前記排出段階(S2333)は、一端が前記吸入部3541に連結され、他端は洗浄液浄化部連結管61及び沈殿装置34のスラッジ排出管344に連結された排出部3542が、逆洗浄水を排出する段階である。排出された逆洗浄水はスラッジバッファタンク345に供給され、後述するスラッジ処理段階(S4)を経る。
【0165】
前記洗浄液再供給段階(S3)は、一端が濾過水流出管353に連結され、他端はスクラバー2に連結された洗浄液再供給部4が、洗浄液浄化段階(S2)を経て浄化された洗浄液を再びスクラバー2に供給し、洗浄液がスクラバー2→洗浄液浄化部3→洗浄液再供給部4→スクラバー2に循環するようにする段階である。洗浄液再供給段階(S3)は、前記洗浄液再供給部4が、循環バッファタンク32を経由して前記スクラバー2に再供給する方法、前記スクラバー2に直接再供給する方法、両方法を組み合わせて洗浄液を再供給する方法がある。
【0166】
前記スラッジ処理段階(S4)は、スラッジ処理部6が、スラッジバッファタンク345から排出されたスラッジを処理して貯留する段階であり、スラッジ流入段階(S41)、脱水段階(S42)、再供給段階(S43)、脱水ケーキ排出段階(S44)を含む。
【0167】
前記スラッジ流入段階(S41)は、一端が沈殿装置34のスラッジバッファタンク345の下部に連結され、他端は脱水装置63に連結された洗浄液浄化部連結管61が、前記スラッジバッファタンク345から排出されたスラッジを前記脱水装置63に供給する段階である。
【0168】
前記脱水段階(S42)は、脱水装置63が、前記スラッジバッファタンク345から供給されたスラッジに含まれている洗浄液を捕集して沈殿装置34に供給し、脱水されたスラッジを脱水ケーキ貯留槽64に供給する段階である。前記沈殿装置34と前記濾過装置35から排出されたスラッジは相当量の洗浄液(水分)を含有しているので、スラッジに含まれている洗浄液を脱水して再使用する方が、スラッジの排出量を減らし、再使用する洗浄液の量も増える点で効率的である。
【0169】
前記再供給段階(S43)は、第2流入分岐管3462が、脱水装置63で捕集した洗浄液を排出して沈殿装置34に供給する段階である。前記沈殿装置34に供給された洗浄液は、第1浄化段階(S22)、第2浄化段階(S23)及び洗浄液再供給段階(S3)を経てスクラバー2に再供給される。
【0170】
前記脱水ケーキ排出段階(S44)は、脱水ケーキ排出管633が、脱水されたスラッジを脱水ケーキ貯留槽64に排出する段階である。
【0171】
以上の詳細な説明は、本発明を例示するものである。また、前述した内容は、本発明の好ましい実施形態を取り上げて説明するものであり、本発明は、様々な別の組合せ、変更及び環境でも使用可能である。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、記述した開示内容と均等な範囲及び/又は当業界における技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施例は、本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明するものであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される様々な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は、開示した実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付する特許請求の範囲は、他の実施状態も含むものとして解釈されるべきである。