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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107728
(43)【公開日】2022-07-22
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20220714BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
B65D77/20 T
B65D77/20 C
B65D43/04 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089423
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2021121727の分割
【原出願日】2020-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】平山 学
(72)【発明者】
【氏名】橘高 仁隆
(57)【要約】
【課題】容器本体内の内容物が中皿へ移動するのを抑制することができる包装用容器を実現する。
【解決手段】包装用容器は、容器本体10と、中皿20と、蓋体30と、を備える。容器本体10は、本体段差部111を有する本体周壁部11と、本体フランジ部12と、を有し、中皿20は、中皿周壁部21と、中皿スカート部24と、を有し、蓋体30は、天面部34と、蓋体周壁部31と、を有する。中皿周壁部21は、中皿段差部211を有し、蓋体30は、中皿頂部23及び中皿段差部211の形状に応じた内向きの階段状部分32を蓋体頂部33から連続して有する。中皿スカート部24が本体段差部111に載置され、蓋体30が容器本体10に嵌合された状態で、階段状部分32が上方から中皿頂部23に当接する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に嵌合される蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に配置される中皿と、を備えた包装用容器であって、
前記容器本体は、本体段差部を有する本体周壁部と、前記本体周壁部の上部から外方に延びる本体フランジ部と、を有し、
前記中皿は、中皿周壁部と、前記中皿周壁部の上部に設けられた中皿頂部から下方に延びて前記中皿周壁部との間に空間部を形成する中皿スカート部と、を有し、
前記蓋体は、天面部と、前記天面部の周縁に設けられた蓋体頂部から下方に延びる蓋体周壁部と、を有し、
前記中皿周壁部は、前記中皿頂部とは異なる幅に形成された中皿段差部を有し、
前記蓋体は、前記中皿頂部及び前記中皿段差部の形状に応じた内向きの階段状部分を前記蓋体頂部から連続して有し、
前記中皿スカート部が前記本体段差部に載置され、前記蓋体が前記容器本体に嵌合された状態で、前記階段状部分が上方から前記中皿頂部に当接する包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで販売される麺類や丼物用の包装用容器として、異なる食材を分離して収容するために、容器本体と蓋体の他に中皿が使用されることがある。このような包装用容器を用いて、例えば、麺類であれば容器本体にスープを収容するとともに中皿に麺や具材を収容し、丼物であれば容器本体に白米を収容するとともに中皿に具材を収容することができる。この種の包装用容器の一例が、特開2015-145285号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1の包装用容器では、容器本体300に中皿200を載せて、その上から蓋体100を装着すると、容器本体300と中皿200と蓋体100とが合体状態となる。中皿200は中皿垂下部260を有しており、容器本体300の載置面340に載置された際に中皿垂下部260が容器本体300の本体縦壁部350の表面を覆う。このため、開蓋時に指やゴミ等が容器本体300内に侵入するのを防止することができる。
【0004】
しかし、特許文献1では、中皿200の平坦部250と容器本体300の載置面340とが上下に当接し、中皿垂下部260が本体縦壁部350を外方から覆うだけなので、容器本体1内の内容物が例えばスープなどに代表される液体である場合に、当該係合箇所から漏れ出て中皿収納部231に侵入する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-145285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、容器本体内の内容物が中皿の収容部へ移動するのを抑制できる包装用容器の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、包装用容器の特徴構成は、容器本体と、前記容器本体に嵌合される蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に配置される中皿と、を備えた包装用容器であって、前記容器本体は、本体段差部を有する本体周壁部と、前記本体周壁部の上部から外方に延びる本体フランジ部と、を有し、前記中皿は、中皿周壁部と、前記中皿周壁部の上部に設けられた中皿頂部から下方に延びて前記中皿周壁部との間に空間部を形成する中皿スカート部と、を有し、前記蓋体は、天面部と、前記天面部の周縁に設けられた蓋体頂部から下方に延びる蓋体周壁部と、を有し、前記中皿周壁部は、前記中皿頂部とは異なる幅に形成された中皿段差部を有し、前記蓋体は、前記中皿頂部及び前記中皿段差部の形状に応じた内向きの階段状部分を前記蓋体頂部から連続して有し、前記中皿スカート部が前記本体段差部に載置され、前記蓋体が前記容器本体に嵌合された状態で、前記階段状部分が上方から前記中皿頂部に当接するように構成されている点にある。
【0008】
本構成によれば、中皿スカート部が本体段差部に載置され、蓋体が容器本体に嵌合された状態で、階段状部分が上方から中皿頂部に当接するので、本体段差部に対して中皿スカート部が上方から押さえつけられる。このため、仮に包装用容器が傾いたとしても、容器本体内の内容物は、本体段差部と中皿スカート部との当接箇所で堰き止められて、中皿周壁部と中皿スカート部との間の空間部に留まる。よって、容器本体内の内容物が容器本体の外へ漏れ出ることを抑制することができる。また、蓋体が容器本体に嵌合された状態で、中皿頂部及び中皿段差部の形状に応じた形状の階段状部分が、比較的広い範囲に亘って上方から中皿頂部に当接するため、仮に容器本体内の内容物が容器本体の外へ漏れ出たとしても、中皿の収容部までは到達しにくい。このように、本構成によれば、容器本体内の内容物が中皿の収容部へ移動するのを抑制することができる。
【0009】
ここで、前記階段状部分は、前記容器本体の底面部に応じた大きさに形成されており、当該階段状部分に、空気の通り道となる通気部が形成されていると好適である。
【0010】
本構成によれば、階段状部分は、容器本体の底面部に応じた大きさに形成されているため、複数の包装用容器を積み重ねる際に、蓋体の天面部の適切な位置に、他の包装用容器の容器本体を適切に載置することができる。また、積み重ねた包装用容器の位置ずれを抑制することができる。さらに、階段状部分に通気部が形成されているため、例えば蓋体から排出された蒸気等が天面部と容器本体の底面との間の空間に到達した際に、通気部を通って外部に逃がすことができる。
【0011】
また、前記蓋体周壁部に、上下に延びる線状のリブ部が全周に亘って形成されていると好適である。
【0012】
本構成によれば、蓋体周壁部を適切に補強することができる。そのため蓋体周壁部や中皿スカート部が変形等するのを抑制することができる。
【0013】
また、前記中皿は、前記中皿スカート部の下端部から外方に延びる延出縁部を有し、前記蓋体は、前記蓋体周壁部の下部に環状に形成された環状底部を有し、前記蓋体が前記容器本体に嵌合された状態で、前記本体段差部と前記環状底部とで前記延出縁部を挟持すると好適である。
【0014】
本構成によれば、蓋体が容器本体に嵌合された状態で本体段差部と環状底部とで延出縁部を挟持することにより、本体段差部と中皿スカート部との密着性を高めることができる。よって、容器本体内の内容物が容器本体の外へ漏れ出ることを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の包装用容器の分解斜視図
図2】包装用容器の斜視図
図3】蓋体の平面図
図4】中皿の平面図
図5】容器本体の平面図
図6】容器本体の底面図
図7】包装用容器の部分断面図
図8】2段重ねの包装用容器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、包装用容器1について図面に基づいて説明する。図1に示すように、この包装用容器1は、主要な構成として、容器本体10と、容器本体10に嵌合される蓋体30と、容器本体10と蓋体30との間に配置される中皿20と、を備えている。
【0017】
包装用容器1は、シート成形によって形成されている。包装用容器1を構成する容器本体10、中皿20、及び蓋体30が、それぞれ、シート成形によって形成されている。
【0018】
容器本体10、中皿20、及び蓋体30は、例えば厚みが0.1mm~3mm(好ましくは0.2mm~1.5mm)の合成樹脂シートを熱成形(例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、及び熱板成形等)して形成することができる。容器本体10と中皿20と蓋体30とで、シート厚が互いに異なっても良い。
【0019】
容器本体10、中皿20、及び蓋体30を構成する合成樹脂シートとしては、例えばポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、及びポリエステル系樹脂シート等の熱可塑性樹脂シートを用いることができる。これらは、発泡シートであっても良いし、非発泡シートであっても良い。また、積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば発泡シートにフィルムをラミネートしたフィルムラミネート発泡シート、共押出ラミネートシート、及び押出ラミネートシート等を用いることができる。
【0020】
容器本体10及び中皿20は、例えば黒色や白色等の有色であっても良いし、無色透明であっても良い。本実施形態の蓋体30は、無色透明に形成されている。蓋体30を無色透明とすることで、内容物を外から視認しやすくできる。なお、容器本体10、中皿20、及び蓋体30の少なくとも1つには、模様等のデザインが付されていても良い。
【0021】
1.容器本体
容器本体10は、第1の食材を収容する。第1の食材としては、例えば白米や、麺類のスープ等を例示することができる。図1及び図2に示すように、容器本体10は、底面部9と、本体周壁部11と、本体嵌合部14と、本体フランジ部12とを有する。これらは一体的に形成されている。底面部9と本体周壁部11とによって、上部が開口した収容空間が形成されている。
【0022】
本実施形態では、底面部9は平面視で円形状に形成されている。底面部9の周縁部には、下方に向かって窪む環状溝6が全周に亘って形成されている。環状溝6には、径方向に沿って延びる隆起部6aが形成されている。複数(本例では4つ)の隆起部6aが、周方向に等間隔で設けられている。上述したように容器本体10はシート成形によって形成されており、容器本体10の外から見ると、環状溝6に対応する部分は下方に突出しているとともに、隆起部6aに対応する部分は上方に向かって窪んでいる。この隆起部6aの裏側の上方に向かって窪む部分は、空気の通り道として機能し、以下ではこれを本体通気部4と称する。図6に示すように、本体通気部4は、環状溝6の裏側の下方突出部分の径方向全域に亘って形成されている。言い換えれば、本体通気部4は、環状溝6の裏側の下方突出部分の内側の空間と外側の空間とを連通するように設けられている。本体通気部4は、例えば包装用容器1を積み重ねた場合に、蓋体30から排出された蒸気等を外部に逃す通り道となる役割を果たす。
【0023】
本体周壁部11は、底面部9の周縁から上方に延びている。本実施形態では、本体周壁部11は、底面部9の周縁部に形成された環状溝6の外縁から上方に延びている。本体周壁部11は、上方に向かうに従って外方に向かうように傾斜して形成されている。本体周壁部11は平面視で円形状に形成されている。図1及び図2に示すように、本体周壁部11の下方には、複数の本体周壁部凹部13が全周に亘って設けられている。
【0024】
本実施形態では、本体周壁部11は、本体段差部111を有している。図1及び図5に示すように、本体段差部111は本体周壁部11の上方に全周に亘って設けられている。図7に示すように、本実施形態の本体段差部111は、2段の段差部として形成されており、本体第1段差部111aと本体第2段差部111bとを有する。下段側の本体第1段差部111aは、水平面に沿って外方に延びている。上段側の本体第2段差部111bは、本体第1段差部111aよりも上方かつ外方に設けられており、本例では上方に向かってやや傾斜しつつ外方に延びている。本体第1段差部111aと本体第2段差部111bとは異なる幅に形成されている。本実施形態では、本体第1段差部111aは、本体第2段差部111bに比べて幅広に形成されている。
【0025】
本体嵌合部14は、本体段差部111の上方に設けられている。本体嵌合部14は、全周に亘る内壁面を有しており、この内壁面で、蓋体30の蓋体嵌合部38に嵌合する。本体嵌合部14は、上下方向の少なくとも一部に、上方に向かうに従って内方に向かって僅かに傾斜する部分を有していることが好ましい。
【0026】
本体フランジ部12は、本体嵌合部14の上部から外方に延びている。本体フランジ部12には、蓋体30を容器本体10に嵌合させた状態で、蓋体30の蓋体フランジ部302に沿うように配置される。
【0027】
2.中皿
中皿20は、第1の食材とは異なる第2の食材を収容する。第2の食材としては、例えば麺や具材等を例示することができる。中皿20は、容器本体10に載置される。図1に示すように、中皿20は、中皿底面部19と中皿周壁部21と中皿スカート部24と延出縁部25とを有する。これらは一体的に形成されている。中皿底面部19と中皿周壁部21とによって、上部が開口した収容空間が形成されている。
【0028】
本実施形態では、中皿底面部19は平面視で円形状に形成されている。中皿周壁部21は、中皿底面部19の周縁から上方に延びている。中皿周壁部21は、上方に向かうに従って外方に向かうように僅かに傾斜して形成されている。本実施形態では、中皿底面部19の周縁付近から中皿周壁部21にかけて上下に延びる複数の第1縦リブ8が全周に亘って形成されている。これにより、中皿底面部19及び中皿周壁部21の強度が向上されている。
【0029】
中皿周壁部21は、その最上部に設けられた中皿頂部23と、中皿頂部23よりも下方に設けられた中皿段差部211とを有する。中皿頂部23は、中皿周壁部21の上端部から水平面に沿って外側に連続して形成されている。中皿段差部211は、中皿周壁部21の上部(少なくとも上下方向における半分よりも上側)に設けられている。本実施形態では、中皿段差部211は、中皿頂部23に対して、段差を認識できる程度の高さの差を設けた直下の位置に設けられている。これにより、中皿段差部211は、中皿頂部23と一体となって、当該中皿頂部23から内側に向かって階段状に下がるように設けられている。
【0030】
中皿段差部211は、中皿頂部23とは異なる幅に形成されている。本実施形態では、図4に示すように、中皿段差部211は、中皿頂部23よりも幅狭に形成されている。中皿段差部211の幅は、中皿頂部23の幅を基準として例えば30%~95%とすることができ、50%~75%であっても良い。
【0031】
中皿スカート部24は、中皿周壁部21の上部(中皿頂部23)から下方に延びている。本実施形態では、中皿スカート部24は下方に向かうに従って外方に向かうように僅かに傾斜して形成されている。中皿頂部23を介して連続する中皿周壁部21と中皿スカート部24とは、全体として、上向き凸のV字状をなしている。そして、図7に示すように、中皿スカート部24と中皿周壁部21との間には、これらによって囲まれた環状の空間部Sが形成されている。本実施形態では、中皿スカート部24の高さは、中皿周壁部21の高さよりも低く設定されている。これにより、中皿底面部19は、中皿スカート部24の下端よりも下方に配置されている。
【0032】
本実施形態では、中皿スカート部24には、上下に延びる複数の第2縦リブ26が全周に亘って形成されている。これにより、中皿スカート部24の強度が向上されている。
【0033】
本実施形態では、図1及び図7に示すように、延出縁部25は、中皿スカート部24の下端部から外方に延出している。延出縁部25は、全周に亘って形成されている。延出縁部25は、水平面に沿って設けられている。延出縁部25は、中皿20を容器本体10に収容した状態で、容器本体10の本体段差部111と当接する。本実施形態では、延出縁部25は、本体段差部111のうちの本体第1段差部111aと当接する。このようにして、中皿20は、延出縁部25と本体第1段差部111aとが当接する状態で本体第1段差部111aに載置される。そして、中皿20は、本体第1段差部111aに載置された状態で、容器本体10の上部開口を覆う。
【0034】
3.蓋体
蓋体30は、容器本体10に嵌合される。また、蓋体30は、容器本体10に嵌合された状態で、容器本体10に載置された中皿20の上部開口を覆う。図1及び図2に示すように、蓋体30は、天面部34と、蓋体頂部33と、蓋体周壁部31と、階段状部分32と、環状底部37と、蓋体嵌合部38と、蓋体フランジ部302とを有する。これらは一体的に形成されている。
【0035】
図3に示すように、天面部34は平面視で円形状に形成されている。天面部34の主要部分は水平面に沿う平坦面である。本実施形態では、天面部34の中心には、正方形状の凹部7が形成されており、当該凹部7には、複数の通気孔2が設けられている。通気孔2は、空気の通り道となる孔部であり、この通気孔2を通って、例えば加熱時等に中皿20に収容された内容物から発生する蒸気が排出される。
【0036】
天面部34の周縁は、上方に向かって隆起するように形成されている。この隆起部の最上部が、蓋体頂部33となっている。
【0037】
また、蓋体30は、天面部34の周縁に、階段状部分32を有している。階段状部分32は、蓋体頂部33から連続する内向きの階段状に形成されている。すなわち、階段状部分32は、蓋体頂部33から内側に向かって階段状に下がるように設けられている。図7に示すように、階段状部分32は、中皿20の中皿頂部23及び中皿段差部211の形状に応じた形状に形成されている。
【0038】
本実施形態では、階段状部分32は、第1階段部32aと、第2階段部32bと、下方に窪むように形成された窪み部32cとを有している。これらは、外側から内側に向かって、第2階段部32b、窪み部32c、第1階段部32aの順に配置されている。第2階段部32bは蓋体頂部33よりも幅狭に形成されており、第1階段部32aは蓋体頂部33よりも幅広に形成されている。また、第2階段部32bは中皿段差部211と同程度の幅であり、かつ、蓋体頂部33も中皿頂部23と同程度の幅である。なお、第1階段部32aの高さと第2階段部32bの高さは等しく、これらは面一となるように形成されている(図7参照)。
【0039】
本実施形態では、図8に示すように、階段状部分32は、容器本体10の底面部9に応じた大きさに形成されている。階段状部分32の直径は、容器本体10の底面部9の直径よりもやや大きく設定されている。具体的には、第1階段部32aの内径(階段状部分32の下側内壁32dの内径)が、底面部9の外径よりもやや大きく設定されている。そのため、包装用容器1を積み重ねる(包装用容器1の蓋体30の天面部34に、他の包装用容器1の容器本体10を載置する)際に、包装用容器1どうしの位置決めが容易となる(図8参照)。
【0040】
本実施形態では、図8に示すように、階段状部分32に、空気の通り道となる蓋体通気部3が形成されている。本実施形態では、蓋体通気部3は、第1階段部32aに形成された蓋体第1通気部3aと、下側内壁32dに形成された蓋体第2通気部3bとを有する。蓋体第1通気部3aは、第1階段部32aの複数箇所(本例では8箇所)において窪み部32cと同程度の深さとなるように浅溝状に窪み形成されている。蓋体第2通気部3bは、複数の蓋体第1通気部3aのそれぞれに対応させて、当該蓋体第1通気部3aと連通するように、下側内壁32dに上下に沿う直線状の細溝状に窪み形成されている。このような蓋体通気部3を備えることで、包装用容器1を複数段に亘って積み重ねた場合において、例えば加熱時に生じた蒸気が天面部34の通気孔2から排出されたとしても、当該蒸気を、上側の包装用容器1の本体通気部4と下側の包装用容器1の蓋体通気部3とを通って、外部へ容易に排出することができる。
【0041】
蓋体周壁部31は、蓋体頂部33から下方に延出している。蓋体周壁部31は、下方に向かうに従って外方に向かうように僅かに傾斜して形成されている。蓋体周壁部31の傾斜角度は、中皿スカート部24の傾斜角度と同程度となっている。加えて、蓋体周壁部31の高さは、中皿スカート部24の高さと同程度となっている。本実施形態では、蓋体頂部33の外径は中皿頂部23の外径よりもやや大きく、容器本体10に中皿20を載置しつつ蓋体30を嵌合した状態(以下、「合体状態」と言う。)において、蓋体周壁部31は中皿スカート部24に沿って当該中皿スカート部24を外側から覆うように配置される。
【0042】
本実施形態では、蓋体周壁部31に、上下に延びる線状のリブ部35が全周に亘って形成されている。これにより、蓋体周壁部31の強度を向上させることができる。本実施形態では、図1に示すように、凹凸形状によって形成される線状のリブ部35は、上下方向に対してやや傾いた姿勢で設けられている。
【0043】
本実施形態では、環状底部37は蓋体周壁部31の最下部に環状に形成されている。図7に示すように、環状底部37は、蓋体周壁部31の下端から水平面に沿って外側に延出している。
【0044】
本実施形態では、図1及び図7に示すように、環状底部37の周縁から連続して階段状に立ち上がる蓋体段差部301が形成されている。蓋体段差部301は、合体状態において、容器本体10の本体第2段差部111bを上方から覆う。
【0045】
蓋体嵌合部38は、蓋体段差部301の上方に設けられている。蓋体嵌合部38は、全周に亘る内壁面を有しており、この内壁面で、容器本体10の本体嵌合部14に嵌合(本例では内嵌合)する。蓋体嵌合部38は、本体嵌合部14に対応する形状を有している。蓋体嵌合部38は、上下方向の少なくとも一部に、上方に向かうに従って内方に向かって僅かに傾斜する部分を有していることが好ましい。
【0046】
図1及び図7に示すように、蓋体フランジ部302は、蓋体嵌合部38の上部から外方に延びている。蓋体フランジ部302は、蓋体30を容器本体10に嵌合させた状態で、容器本体10の本体フランジ部12に沿うように配置される。
【0047】
本実施形態では、図1図3に示すように、蓋体フランジ部302の周縁の一部に蓋体摘み部303が形成されている。蓋体摘み部303は、外方に向かって突出するように形成されている。本例では、蓋体摘み部303は、平面視で半円状に形成されている。図示の例では、複数(本例では2つ)の蓋体摘み部303が、等間隔で設けられている。
【0048】
4.合体状態
次に、容器本体10に中皿20を載置しつつ蓋体30を嵌合した状態、すなわち合体状態(図2及び図7参照)について説明する。
【0049】
本実施形態では、図7に示すように、合体状態において、中皿スカート部24は、本体段差部111に載置される。本実施形態では、中皿スカート部24は、本体段差部111の本体第1段差部111aに載置される。また、本実施形態では、中皿スカート部24は、その下端部から外方に延びる延出縁部25が本体第1段差部111aに沿う状態で当該本体第1段差部111aに載置される。この状態で蓋体30を容器本体10に嵌合させる(蓋体嵌合部38と本体嵌合部14とを嵌合させる)と、蓋体頂部33が上方から中皿頂部23に当接して、本体段差部111(本体第1段差部111a)に対して中皿スカート部24が上方から押さえつけられる。さらに、本実施形態では、中皿20の延出縁部25は、蓋体30の環状底部37と本体段差部111とで挟持される状態となる。これにより、本体段差部111と延出縁部25との密着性を高めることができる。
【0050】
合体状態における本体段差部111と延出縁部25との密着性を高めることで、仮に包装用容器1が傾いたとしても、容器本体10に収容されているスープ等の液状の被収容物の大部分を空間部Sに留めることができる。すなわち、容器本体10に収容されている液状の被収容物が、本体段差部111と延出縁部25との当接箇所を越えて漏れ出ることを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、本体段差部111と延出縁部25との当接箇所の外側で、蓋体嵌合部38と本体嵌合部14とが嵌合(本例では内嵌合)している。このため、仮に液状の被収容物の一部が本体段差部111と延出縁部25との当接箇所を越えて漏れ出たとしても、蓋体嵌合部38と本体嵌合部14との嵌合部位を越えて容器本体10の外に漏れ出ることを抑制することができる。
【0052】
また、本体段差部111と延出縁部25との当接箇所の上方では、中皿頂部23に対して、蓋体30の階段状部分32が上方から当接する。このとき、本実施形態では、中皿頂部23に対して蓋体頂部33が上方から当接するとともに、中皿周壁部21における中皿頂部23と中皿段差部211との間の上部内壁212に対して、階段状部分32のうち蓋体頂部33と第2階段部32bとの間の上側内壁32eが内側から当接する。このため、合体状態において、蓋体頂部33及び中皿頂部23の近傍で、これらが広範囲に亘って当接することになる。よって、仮に液状の被収容物の一部が本体段差部111と延出縁部25との当接箇所を越えて漏れ出たとしても、蓋体頂部33と中皿頂部23との当接部位を越えて中皿20の収容部まで到達するのを抑制することができる。
【0053】
さらに本実施形態では、容器本体10の本体第1段差部111aと本体第2段差部111bとが異なる幅に形成されているとともに、加えて、中皿20の中皿頂部23と中皿段差部211とが異なる幅に形成されている。このように、底面部9からの高さが異なる複数の位置で、それぞれの段差部の幅が異なるように形成されている。これにより、容器本体10内の内容物が外に漏れ出たり中皿20の収容部まで到達したりするのを効果的に抑制することができる。
【0054】
5.その他の実施形態
次に、包装用容器1のその他の実施形態について説明する。
【0055】
(1)上記の実施形態では、蓋体30が容器本体10に嵌合された状態で、階段状部分32のうち最上部に位置する蓋体頂部33が上方から中皿頂部23に当接する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、階段状部分32のうちの第1階段部32aが上方から中皿頂部23に当接する構成としても良い。この場合、中皿周壁部21の上部内壁212に対して階段状部分32のうちの下側内壁32dが内側から当接すると好適である。
【0056】
(2)上記の実施形態では、第1階段部32aに空気の通り道となる蓋体通気部3が形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば積極的には蓋体通気部3を設けなくても良い。この場合、容器本体10側でも、底面部9に本体通気部4を設けなくても良い。
【0057】
(3)上記の実施形態では、蓋体周壁部31に、第1縦リブ8が全周に亘って形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第1縦リブ8が周方向に断続的に設けられても良い。或いは、第1縦リブ8が設けられなくても良い。
【0058】
(4)上記の実施形態では、蓋体30が容器本体10に嵌合された状態で、本体第1段差部111aと環状底部37とで中皿20の延出縁部25を挟持する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、蓋体30が環状底部37を有さずに、蓋体30が容器本体10に嵌合された状態で、本体第1段差部111aと延出縁部25とが当接するだけでも良い。この場合において、中皿20が延出縁部25を有さずに、本体第1段差部111aと中皿スカート部24の下端部とが当接するだけでも良い。
【0059】
(5)上記の実施形態では、容器本体10に4つの本体通気部4を設ける構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本体通気部4の個数は5つ以上であっても良いし、3つ以下であっても良い。
【0060】
(6)上記の実施形態では、蓋体30に8つの蓋体通気部3を設ける構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、蓋体通気部3の個数は9つ以上であっても良いし、7以下であっても良い。
【0061】
(7)上記の実施形態では、中皿段差部211が中皿頂部23よりも幅狭に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、中皿段差部211と中皿頂部23とが同幅に形成されても良いし、中皿段差部211が中皿頂部23よりも幅広に形成されても良い。
【0062】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示に係る技術は、中皿を備えた包装用容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 :包装用容器
3 :蓋体通気部
3a :蓋体第1通気部
3b :蓋体第2通気部
4 :本体通気部
5 :中皿通気部
7 :凹部
8 :縦リブ
9 :底面部
10 :容器本体
11 :本体周壁部
12 :本体フランジ部
19 :中皿底面部
20 :中皿
21 :中皿周壁部
23 :中皿頂部
24 :中皿スカート部
25 :延出縁部
30 :蓋体
31 :蓋体周壁部
32 :階段状部分
32a :第1階段部
32b :第2階段部
33 :蓋体頂部
34 :天面部
37 :環状底部
111 :本体段差部
111a :本体第1段差部
111b :本体第2段差部
211 :中皿段差部
301 :蓋体段差部
302 :蓋体フランジ部
303 :蓋体摘み部
S :空間部
図1
図2
図3
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図5
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図8