(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010773
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】展示システム
(51)【国際特許分類】
A47F 5/06 20060101AFI20220107BHJP
A47F 5/10 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A47F5/06
A47F5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111499
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】504381696
【氏名又は名称】株式会社パティシエエスコヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100109254
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 雅典
(72)【発明者】
【氏名】小山 進
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA12
3B118AA22
3B118BA01
3B118BA19
3B118DA20
(57)【要約】
【課題】 化粧箱に個別商品を箱詰めした包装商品の見本を立てて展示しても容易に転倒せず、展示作業をスムーズに行える展示システムを提供する。
【解決手段】 商品の見本を展示スタンドで展示する展示システムであって、見本は、強磁性体材料を外装とする包装商品であり、展示スタンドは、基台部と、基台部に立設する支柱部と、支柱部の上端側に設けられて見本を保持する横向きの見本保持面を有する保持部を備え、基台部の底面と保持部の見本保持面に磁石を設けたものであり、基台部が設置される設置面は、強磁性体からなる吸着板を設けたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の見本を展示スタンドで展示する展示システムであって、
前記見本は、紙又は合成樹脂シートを外装とする包装商品又はその包装材において、強磁性体材料からなる板状の吸着体を前記外装の内側に沿わせるように設けられているものであり、
前記展示スタンドは、基台部と、前記基台部に立設する支柱部と、前記支柱部の上端側に設けられて前記見本を保持する横向きの見本保持面を有する保持部を備え、前記基台部の底面と前記保持部の見本保持面に磁石を設けられているものであり、
前記基台部が設置される展示部の設置面は、強磁性体材料からなる吸着板を設けられていることを特徴とする展示システム。
【請求項2】
前記見本は、蓋と身箱からなる化粧箱を外装とする包装商品又はその包装材において、前記吸着体を前記身箱の底面の概ね全面に亘るように設けたものであることを特徴とする請求項1記載の展示システム。
【請求項3】
前記保持部は、前記支柱部に前後方向に回動自在に支持されて、前記見本保持面の傾きが調整可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の展示システム。
【請求項4】
商品の見本を展示スタンドで展示する展示システムであって、
前記見本は、強磁性体材料を外装とする包装商品又はその包装材であり、
前記展示スタンドは、基台部と、前記基台部に立設する支柱部と、前記支柱部の上端側に設けられて前記見本を保持する横向きの見本保持面を有する保持部を備え、前記基台部の底面と前記保持部の見本保持面に磁石を設けられているものであり、
前記基台部が設置される展示部の設置面は、強磁性体材料からなる吸着板が設けられていることを特徴とする展示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱詰商品等の商品見本を展示スタンドで展示する展示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、百貨店等の店舗では、菓子や食品等の個別商品を化粧箱に収容した包装商品を販売しており、顧客向けの見本として、化粧箱の蓋を開けて身箱の中身(個別商品の詰合せ状態)を見せるようにしたものを陳列しているが、平置きするとスペースを取るため、展示スタンドに立て掛けて展示している。展示スタンドは、展示台等に設置される基台と、基台に立設する支柱と、支柱の上端側に取り付けられて商品見本を載せる断面L字型の受台を備えており、支柱は上下伸縮可能、受台は支柱に対し前後回動可能であり、固定ネジを緩めて商標見本の高さや角度を調整する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、展示スペースの奥行寸法を狭めたり、見本の正面(身箱の開口)を顧客に正対させたりしたい等の理由から、受台の立ち角度を急にして、見本をなるべく真直ぐ立てたいという要請があるが、そうすると見本の姿勢が安定せず、展示スタンド全体の重心位置が前方に偏って展示スタンドごと転倒する恐れがある。また、立ち角度を急にしていない場合も、見本を狭いスペースに陳列する作業では不注意で手等が当たれば簡単に倒れるし、見本の高さを僅かに上下させようとして、受台の高さ調整をするときには、見本を受台から降ろして固定ネジを緩めたり、締めたりする必要があって大変煩わしい。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑みて、商品の見本を立てて展示しても容易に転倒せず、展示作業をスムーズに行える展示システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、商品の見本を展示スタンドで展示する展示システムであって、前記見本は、紙又は合成樹脂シートを外装とする包装商品又はその包装材において、強磁性体材料からなる板状の吸着体を前記外装の内側に沿わせるように設けられているものであり、前記展示スタンドは、基台部と、前記基台部に立設する支柱部と、前記支柱部の上端側に設けられて前記見本を保持する横向きの見本保持面を有する保持部を備え、前記基台部の底面と前記保持部の見本保持面に磁石を設けられているものであり、前記基台部が設置される展示部の設置面は、強磁性体材料からなる吸着板を設けられていることを特徴とする展示システムを提供する。
【0007】
請求項2の発明は、前記見本は、蓋と身箱からなる化粧箱を外装とする包装商品又は包装材において、前記吸着体を前記身箱の底部の内側面の概ね全面に亘るように設けたものであることを特徴とする請求項1記載の展示システムを提供する。
【0008】
請求項3の発明は、前記保持部は、前記支柱部に前後方向に回動自在に支持されて、前記見本保持面の傾きを調整可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の展示システムを提供する。
【0009】
請求項4の発明は、商品の見本を展示スタンドで展示する展示システムであって、前記見本は、強磁性体材料を外装とする包装商品であり、前記展示スタンドは、基台部と、前記基台部に立設する支柱部と、前記支柱部の上端側に設けられて前記見本を保持する横向きの見本保持面を有する保持部を備え、前記基台部の底面と前記保持部の見本保持面に磁石を設けられているものであり、前記基台部が設置される展示部の設置面は、強磁性体からなる吸着板が設けられていることを特徴とする展示システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、商品見本に内蔵された吸着体と横向きの見本保持面に設けられた磁石が吸着することにより、見本を立てて横向きに展示することができ、しかも見本の姿勢が安定し、作業中に不注意で手等が当たっても容易に脱落しない。また、外装はその内側の吸着板と磁石で挟み込まれるため、見本の重み等で外装に対する吸着体の取り付けが外れて見本が脱落する心配がなく、外装と吸着体を強固に取り付ける必要もないため、見本の製作にかかる手間が少なく済む。更に展示部の設置面の吸着板に基台部の磁石を吸着させるので、見本の重みで展示スタンドの重心位置が偏っても容易に転倒しない。
【0011】
請求項2の発明によれば、化粧箱の底部内側面の概ね全面に亘るように吸着体を設けることにより、化粧箱を内側から支持するように補強し、立てて展示しても容易に型崩れしない。また、展示作業中に見本の吸着体と展示スタンドの磁石が対応する位置にあるかどうか確かめずにセットできるうえに、見本を上下方向にずらすことにより、高さ位置を容易に調整できる。取り外し時は、化粧箱の底部外側面に手をかけて引っ張れば、化粧箱にダメージを与えない。
【0012】
請求項3の発明によれば、見本を展示する高さ位置に応じて見本保持面の傾きを変えることにより、顧客に対して見本が正面を向くようにセットすることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、商品見本の外装を横向きの見本保持面に設けた磁石に吸着させることにより、見本を立てて正面を横向きに展示することができ、しかも見本の姿勢が安定し、作業中に不注意で手等が当たっても容易に脱落しない。更に展示部の設置面の吸着板に基台部の磁石を吸着させるので、見本の重みで展示スタンドの重心位置が偏っても容易に転倒しない。見本を展示する高さ位置に応じて見本保持面の傾きを変えることにより、顧客に対して見本が正面を向くようにセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の展示システムを示す側面図であり、見本及び展示台は断面を示す。
【
図2】(a)包装商品の構造を示す断面図、(b)包装商品を見本に改造する方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る展示システムを図面参照しながら説明する。本展示システムは、
図1に示すように、包装商品1(
図2に示す。)の見本2の背面側を、展示スタンド(
図3に示す。以下「スタンド」という。)3に固定し、これらを展示台4に設置することにより、見本2の正面側を顧客に向けて展示するものである。見本2の製作は、包装商品1をスタンド3に対して着脱可能に固定できるように改造することにより行われる。
【0016】
包装商品1は、
図2(a)に示すように紙製の蓋11と紙製の身箱12を組み合わせた直方体形状で蓋身式の化粧箱(包装箱)を外装としており、身箱12の中に個別商品13を多数収容してなる箱詰商品である。個別商品13は、小さな菓子を薄い樹脂製シートで個別包装してなり、身箱12内で仕切兼用の中敷材14により整列させられている。
【0017】
見本2の製作は、
図2(b)に示すように包装商品1の蓋11を開けて(取り外して)、内容物の個別商品13と中敷材14をすべて取り出し、身箱12の平らな底部の内側面12bを露出させて、その概ね全面に亘る大きさ・形状にカットされた鉄板(吸着板21)を内側面12bに沿うように挿入した後、その上に先ほど取り出した中敷材14と個別商品13を元に戻すことにより行う。なお、見本2は、個別商品の詰合せ状態を顧客に見せるため、
図1に示すように蓋11を取り外した状態で身箱12の開口12aを正面として真横方向に向けて展示するため、吸着体21と、個別商品13や中敷材14等の内容物は脱落しないように両面テープ、接着剤や留め具等を用いて、身箱12に対して直接又は間接的に固定しておく。但し、脱落するおそれがなければ必ずしも固定しなくて良い。
【0018】
スタンド3(
図3)は、展示台4に設置する基台部31と、基台部31の上面に立設する支柱部32と、支柱部32の上端側に取り付けられて見本2を保持する保持部33を備えてなる。基台部31は木製の矩形状厚板でその底面31aの四隅に形成した有底丸穴内にそれぞれリング状のネオジム磁石(以下「磁石」という。)311がネジ固定されており底面31aと略面一となるように設けられている。なお、
図3では磁石を収容する有底丸穴と固定ネジが図示省略されている。支柱部32は、断面矩形状の木製棒状体で下端側が基台部31にネジ固定されている。保持部33は、木製の矩形状厚板で、その裏面33bが支柱部32の上端側の垂直面に宛がわれてネジ固定されて、表面(見本保持面)33aが真横を向いている。見本保持面33aの四隅には、それぞれリング状のネオジム磁石(以下「磁石」という。)331がネジ固定されて設けられている。
【0019】
したがって、
図1に示すように身箱12の底部の外側面12cを見本保持面33aに宛がうと、磁石331が身箱12の底部内側面に沿って設けられた鉄板製の吸着体21を吸着することにより、見本2を着脱可能に且つ安定的に保持し固定する。これにより、見本2の姿勢が安定し、展示作業中に不注意で見本に手や体が当たっても容易に脱落しない。また、見本2は、その外装が内側の吸着体21と磁石331で挟み込まれるため、外装に対する吸着体21の取り付けが自らの重みで外れる心配はない。
【0020】
身箱12には、自らの重みで底面(背面)を前側(
図1における左側)へ撓ませようとする力も作用するが、底面の概ね全面に亘って設けた吸着板21(鉄板)が補強的な支えとなるため、容易に撓むことはない。また、スタンド3から見本2を取り外す際も身箱12の底面に手をかけて引っ張るようにすれば、吸着板21が補強的な役割を果たすため、見本2の外装が型崩れする等のダメージが防止される。見本2の底面が見本保持面33aの磁石に接していれば、底面の概ね全面に亘る吸着板21が確実に吸着されるので、展示作業中に見本2の吸着板21が底面の何処にあるか考えなくても良く、見本2を上下方向にずらして高さ位置を容易に調整することもできる。
【0021】
展示台4は、スタンド3を設置する置き台であり、基台31の底面31aが接する平らな上面(設置面)は、本体41の平らな上面に鉄製の吸着板42で覆い、更にその上面を装飾用の布シート43で覆うことにより構成される。吸着板42は本体41にネジ止めや接着等により固定され、布43は接着等により固定される。なお、布シート43は吸着板42に付く傷を目隠しするものである。スタンド3が展示台4に置かれると、設置面の内部に設けられている吸着板42と基台31の磁石311が吸着して、展示台に着脱可能に固定される。したがって、スタンド3は、見本2が固定されることにより重心位置が水平方向に多少ずれても容易に転倒することはない。
(上記実施形態の変形例)
【0022】
上記実施形態において、包装商品の外装となる包装材は、蓋と身箱が別々に形成された蓋身式化粧箱としたが、蓋と身箱が相互連結された蝶番式化粧箱としても良く、その他の化粧箱や包装箱でも良い。外装の素材は、紙製に限らず合成樹脂シート製でも良く、鉄板等の強磁性体材料を用いても良い。外装が強磁性体材料の板で形成されていれば、それ自体が磁石と吸着するため、その場合は内部に吸着体を設ける必要はない。なお、見本に設けられる鉄製の吸着体及び展示台に設けられる鉄製の吸着板に代えて、磁石と吸着可能な他の強磁性体材料製の吸着体及び吸着板を用いても良い。
【0023】
上記実施形態において、展示する見本は蓋を開けた状態のものとしたが、これに限らず蓋を閉じた状態のものとしても良い。その場合、外から見えない内容物を取り出し、包装材(外装)のみを用いてその内側に板状の吸着体を沿わせるように設けた見本を製作しても良い。見本の外装は、箱状のものに限らず、袋状やバッグ状のものでも良い。包装商品に収容される個別商品は、複数に限らず1個でも良く、合成樹脂フィルムで包装されたものに限らず、他の合成樹脂容器、紙、ゴム、瓶、缶等で包装された商品或いは未包装商品でも良い。
【0024】
上記実施形態において、スタンドは木製であるが、合成樹脂製、金属製、その他の材料を用いても良い。見本保持面は真横向きのほか、上向き又は下向きに傾いていても良い。また、保持部は支柱部に固定され、見本保持面は真横向きのみであるが、これに限らず、保持部を、支柱部にヒンジで連結し、前後方向に回動自在に支持して、ネジ等の固定具で任意の角度位置に固定可能とすることにより、斜め上向きや斜め下向きに調整可能にしても良い。上記実施形態では、基台部と保持部にネオジム磁石を設けたが、見本の脱落やスタンドの転倒を防止できる吸着力を満たせば他の永久磁石でも差し支えない。また、磁石は、矩形状の基台部と保持部の四隅に配置したが、他の配置パターンを採用しても良く、磁石の形状もリング形状に限らず、丸形、四角形、大きな板状の磁石を取り付けるようにしても良い。
【0025】
上記実施形態において、スタンドを設置する設置面は、展示台の上面に設けられるものとしたが、棚板面、床面等、他の展示部に設けられるものでも良く、平たいものであれば傾斜していても良い。また、吸着板を覆うシートは、磁石と吸着板の吸着を妨げないものであれば、布製に限らず樹脂シート製や紙製でも良く、或いはシートで覆うことなく吸着板をむき出しにしても良い。その他、本発明は、上記実施形態や変形例に限定されることなく、適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 商品(包装商品)
2 見本
3 展示スタンド
4 設置面(展示台)