(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107905
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】部品内蔵配線板および部品内蔵用回路配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002594
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(72)【発明者】
【氏名】秦 豊
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 政志
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB03
5E316BB04
5E316BB06
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD12
5E316EE01
5E316FF07
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH17
5E316HH22
5E316JJ12
5E316JJ13
(57)【要約】
【課題】内蔵部品の放熱効率の向上を図ることができる部品内蔵配線板および部品内蔵用回路配線板を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る部品内蔵配線板は、電子部品と、基板本体と、複数の外部接続電極とを具備する。前記基板本体は、前記電子部品を収容するキャビティを有する。
前記複数の外部接続電極は、前記電子部品と電気的に接続され、前記基板本体の実装面に配置される。前記複数の外部接続電極は、前記実装面の周縁部である周辺領域に配置された複数の周辺電極と、前記周辺領域の内側である前記実装面の中央領域に配置され、前記複数の周辺電極よりも大きな面積の中央電極と、前記中央電極と前記複数の周辺電極の少なくとも1つとを相互に連結する連結部とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品を収容するキャビティを有する基板本体と、
前記電子部品と電気的に接続され、前記基板本体の実装面に配置された複数の外部接続電極と
を具備し、
前記複数の外部接続電極は、
前記実装面の周縁部である周辺領域に配置された複数の周辺電極と、
前記周辺領域の内側である前記実装面の中央領域に配置され、前記複数の周辺電極よりも大きな面積の中央電極と、
前記中央電極と前記複数の周辺電極の少なくとも1つとを相互に連結する連結部と
を有する
部品内蔵配線板。
【請求項2】
請求項1に記載の部品内蔵配線板であって、
前記中央電極は、グランド用電極である
部品内蔵配線板
【請求項3】
請求項1に記載の部品内蔵配線板であって、
前記中央電極は、グランド用電極と、前記グランド用電極に隣接する少なくとも1つの信号配線用電極とを含む
部品内蔵配線板。
【請求項4】
請求項1に記載の部品内蔵配線板であって、
前記中央電極は、2つのグランド用電極と、前記2つのグランド用電極の間に配置された信号配線用電極とを含む
部品内蔵配線板。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の部品内蔵配線板であって、
前記信号配線用電極は、スイッチング信号用および電源入力用の少なくとも一方を含む
部品内蔵配線板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の部品内蔵配線板であって、
前記連結部は、前記中央電極部から前記1つの周辺電極に向かって延びる第1延在部を含む
部品内蔵配線板。
【請求項7】
請求項6に記載の部品内蔵配線板であって、
前記連結部は、前記1つの周辺電極から他の1つの周辺電極に向かって延びる第2延在部をさらに含む
部品内蔵配線板。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の部品内蔵配線板であって、
前記電子部品は、パワー半導体素子である
部品内蔵配線板。
【請求項9】
電子部品を収容可能なキャビティを有する基板本体と、
前記キャビティに収容された電子部品と電気的に接続可能であり、前記基板本体の実装面に配置された複数の外部接続電極と
を具備し、
前記複数の外部接続電極は、
前記実装面の周縁部である周辺領域に配置された複数の周辺電極と、
前記周辺領域の内側である前記実装面の中央領域に配置され、前記複数の周辺電極よりも大きな面積の中央電極と、
前記中央電極と前記複数の周辺電極の少なくとも1つとを相互に連結する連結部と
を有する
部品内蔵用回路配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性に優れた部品内蔵配線板および部品内蔵用回路配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高機能な電子機器における回路配線板は、高密度実装化、小型・薄型化、そして機能ブロックのモジュール化が進められており、部品の発熱による劣化や誤動作を防ぐために回路配線板の効果的な放熱対策が求められている。このような放熱対策として、例えば、モジュールのメインボードに接続されるグランド電極をできるだけ広くとることで半導体等の電子部品を効率的に放熱する手法が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、半導体素子を支持する絶縁性基板の実装面(実装基板に接続される面)に形成されたグランド電極を、半導体素子を放熱するためのサーマルパッドとして用いた半導体装置であって、当該グランド電極を実装面の中央に他の外部端子よりも広い面積で配置した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年における電子機器の更なる小型化、高機能化に伴い、回路配線板の高密度実装化の1つである部品内蔵配線板における内蔵部品の放熱効率の更なる向上が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、内蔵部品の放熱効率の向上を図ることができる部品内蔵配線板および部品内蔵用回路配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る部品内蔵配線板は、電子部品と、基板本体と、複数の外部接続電極とを具備する。
前記基板本体は、前記電子部品を収容するキャビティを有する。
前記複数の外部接続電極は、前記電子部品と電気的に接続され、前記基板本体の実装面に配置される。
前記複数の外部接続電極は、前記実装面の周縁部である周辺領域に配置された複数の周辺電極と、前記周辺領域の内側である前記実装面の中央領域に配置され、前記複数の周辺電極よりも大きな面積の中央電極と、前記中央電極と前記複数の周辺電極の少なくとも1つとを相互に連結する連結部とを有する。
【0008】
上記部品内蔵配線板においては、中央電極と複数の周辺電極の少なくとも1つを相互に連結する連結部を有するため、中央電極の面積の拡大を図ることが可能となる。これにより、中央電極をサーマルパッドとして用いたときの電子部品の放熱効率の向上を図ることができる。
【0009】
前記中央電極は、グランド用電極であってもよい。
【0010】
前記中央電極は、グランド用電極と、前記グランド用電極に隣接する少なくとも1つの信号配線用電極とを含んでもよい。
【0011】
前記中央電極は、2つのグランド用電極と、前記2つのグランド用電極の間に配置された信号配線用電極とを含んでもよい。
【0012】
前記第2電極部は、スイッチング信号用および電源入力用の少なくとも一方を含んでもよい。
【0013】
前記連結部は、前記中央電極部から前記1つの周辺電極に向かって延びる第1延在部を含んでもよい。
【0014】
前記連結部は、前記1つの周辺電極から他の1つの周辺電極に向かって延びる第2延在部をさらに含んでもよい。
【0015】
前記電子部品は、パワー半導体素子であってもよい。
【0016】
本発明の一形態に係る部品内蔵用回路配線板は、基板本体と、複数の外部接続電極とを具備する。
前記基板本体は、電子部品を収容可能なキャビティを有する。
前記複数の外部接続電極は、前記キャビティに収容された電子部品と電気的に接続可能であり、前記基板本体の実装面に配置される。
前記複数の外部接続電極は、前記実装面の周辺領域に配置された複数の周辺電極と、前記実装面の中央領域に配置され、前記複数の周辺電極よりも大きな面積の中央電極と、前記中央電極と前記複数の周辺電極の少なくとも1つとを相互に連結する連結部とを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内蔵部品の放熱効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵配線板の要部の概略側断面図である。
【
図2】比較例に係る回路配線板における基板実装面の平面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る回路配線板(部品内蔵配線板)における基板実装面の平面図である。
【
図4】第2の実施形態(適用例1)に係る回路配線板(部品内蔵配線板)における基板実装面の平面図である。
【
図5】第2の実施形態(適用例2)に係る回路配線板(部品内蔵配線板)における基板実装面の平面図である。
【
図6】第2の実施形態(適用例3)に係る回路配線板(部品内蔵配線板)における基板実装面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵配線板100の要部の概略側断面図である。本実施形態の部品内蔵配線板100は、部品内蔵用の回路配線板10と、回路配線板10に内蔵される電子部品20とを有する。
【0021】
[全体構成]
回路配線板10は、基板本体11を有する。基板本体11は、自己支持性を有する矩形のリジッド基板である。回路配線板10の大きさは特に限定されず、典型的には数mm角であり、本実施形態では、縦6mm、横6mmである。
【0022】
基板本体11は、コア材12と、コア材12の一方の主面(
図1において上面)に設けられた第1絶縁層13と、コア材12の他方の主面(
図1において下面)に設けられた第2絶縁層14との積層構造を有する。回路配線板10はさらに、第1絶縁層13の内部に形成された第1配線層15と、第2絶縁層14の内部に形成された第2配線層16とを有する。
【0023】
本実施形態においてコア材12は、銅などの熱伝導性に優れた金属材料で構成された金属製基材が用いられる。コア材12を金属製とすることで、基板本体11の剛性を高めることができるとともに、コア材12を配線層の一部として利用することができる。コア材12の厚みは特に限定されず、例えば、数十μm~数百μmである。
【0024】
コア材12は、電子部品20を収容する第1キャビティ121と、スルーホール17を収容する第2キャビティ122とを有する。
【0025】
第1キャビティ121は、単数または複数の電子部品20を収容できる有底または無底の開口部である。本実施形態では、半導体部品21と、インダクタ、キャパシタ、抵抗素子等の受動部品22を同時に収容できる大きさに形成される。電子部品20は、コア材12の厚みよりも小さい高さ寸法を有する部品である。半導体部品21は、半導体チップ、半導体パッケージ部品などであり、典型的には、発熱量の多いパワー半導体素子等の半導体部品である。第1キャビティ121の内部は絶縁性の樹脂材料からなる封止材18が充填されている。
【0026】
第2キャビティ122は、コア材12をその厚み方向に貫通する開口部である。第2キャビティ122は、コア材12の任意の位置に単数または複数設けられる。スルーホール17は、第2キャビティ122に充填された封止材18を貫通する貫通孔の内周面に、無電解めっき法や電解めっき法等により形成された銅めっき層で構成される。スルーホール17は、第1配線層15と第2配線層16との間を電気的に接続する層間接続部である。
【0027】
なお、コア材12は金属製に限られず、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の耐熱性に優れた合成樹脂材料が用いられてもよい。
【0028】
第1絶縁層13は、コア材12の一方の主面に形成され、図示しない表面実装部品が搭載される部品実装面S1を形成する。第1絶縁層13の厚みは特に限定されず、例えば、数十μmである。第1絶縁層13の表面には、上記表面実装部品と電気的に接続される複数の電極パッド151を含む第1配線層15が形成される。第1絶縁層13の表面には、図示せずとも、各電極パッド151を外部へ露出させる開口部を有する保護膜(ソルダレジスト)が形成される。各電極パッド151は、はんだペースト等の導電性接合材を介してメインボードに実装される。
【0029】
第1配線層15は、第1絶縁層13の内部およびその表面に形成された多層配線層であり、適宜の位置に形成された複数のビアを介して各電極パッド151およびコア材12に接続される。第1配線層15を形成する各配線パターンは、典型的には、銅箔を所定形状にパターニングして形成されるとともに、上下の配線パターンを接続するビアは銅めっきなどで形成される。
【0030】
第2絶縁層14は、コア材12の他方の主面に形成され、図示しないメインボード(実装基板)が接続される基板実装面S2を形成する。第2絶縁層14の厚みは特に限定されず、例えば、数十μmである。第2絶縁層14の表面には、電子部品20と電気的に接続される内部接続端子160と、上記メインボードと電気的に接続される複数の外部接続端子161を含む第2配線層16が形成される。第2絶縁層14の表面には、図示せずとも、各外部接続端子161を外部へ露出させる開口部を有する保護膜(ソルダレジスト)が形成される。各外部接続端子161は、はんだペースト等の導電性接合材を介してメインボードに実装される。
【0031】
第2配線層16は、第2絶縁層14の内部およびその表面に形成された多層配線層であり、適宜の位置に形成された複数のビアを介して各内部接続端子160、各外部電極端子161およびコア材12に接続される。第2配線層16を形成する各配線パターンは、典型的には、銅箔を所定形状にパターニングして形成されるとともに、上下の配線パターンを接続するビアは銅めっきなどで形成される。
【0032】
第2配線層16は、グランド用、電源供給用、信号入力用、信号出力用、スイッチング信号用等の各種配線など、各電子部品20に対応する種々の配線パターンを含む。複数の外部接続端子161は、上記各配線に対応するように第2絶縁層14の基板実装面S2に配置される。各外部接続端子161には、同種の配線(例えばGND用配線)に接続される複数の端子が含まれてもよい。これらの外部接続端子161は、基板本体11とメインボードとの間の電気的な接続だけでなく、基板本体11の熱をメインボードへ放出するサーマルパッド(放熱パッド)としての機能をも有する。
【0033】
例えば
図2に、比較例として典型的な外部接続端子の配置レイアウトを示す。
図2に示すように、基板実装面S2の周縁部である周辺領域に配置された複数の周辺電極T1と、上記周辺領域の内側である基板実装面S2の中央領域に配置された中央電極T2とを有する。この例では、周辺電極T1として、グランド用電極(GND)、電圧入力電極(VIN)、電圧出力電極(VOUT)、電源電極(VCC)、スイッチング信号電極(SW)のほか、各種信号配線用電極P1~P9が含まれる。周辺電極T2は、グランド電極である。中央電極T2は、グランド電極以外にサーマルパッドとしての機能をも有し、個々の周辺電極T1よりも大きな面積で形成されている。
【0034】
[放熱構造]
近年における電子機器の更なる小型化、高機能化に伴い、回路配線板の高密度実装化の1つである部品内蔵配線板における、内蔵部品の放熱効率の更なる向上が求められている。そこで本実施形態では、
図3に示すように、サーマルパッドとして機能する中央電極の面積の拡大が図られている。
【0035】
図3は、本実施形態の回路配線板10(部品内蔵配線板100)における基板実装面S2の平面図である。
図3に示すように、外部接続電極161は、基板実装面S2の周縁部である周辺領域に配置された複数の周辺電極T1と、上記周辺領域の内側である基板実装面S2の中央領域に配置された中央電極T2とを有する。周辺電極T1および中央電極T2の種類およびレイアウトは、基本的には
図2に示した比較例(
図2)に示した例と同様である。
【0036】
本実施形態において、中央電極T2は、個々の周辺電極T1よりも大きな面積で形成されるとともに、周辺電極T1に属する他のグランド電極にまで延在している点で比較例と異なる。より具体的に、複数の外部電極161は、中央電極T2と複数の周辺電極T1に属するグランド電極(GND)との間を相互に連結する2つの連結部T3をさらに有する。
【0037】
一方の連結部T3は、中央電極T2から
図3において左辺側の2つのGND用周辺電極T1に向かってY軸方向に平行に延びる第1延在部T31と、当該2つのGND用周辺電極T1から左上隅部のGND用周辺電極T1に向かってX軸方向に平行に延びる第2延在部T32とを有する。
【0038】
他方の連結部T3は、中央電極T2から
図3において上辺側の1つのGND用周辺電極T1に向かってX軸方向に平行に延びる第1延在部T31と、当該GND用周辺電極T1から右上隅部のGND用周辺電極T1に向かってY軸方向に平行に延びる第2延在部T32とを有する。
【0039】
第1延在部T31は、中央電極T2から対象とする周辺電極T1に向かって最短距離で直線的に形成される。同様に、第2延在部T32は、2つの周辺電極T1の間を最短距離で直線的に形成される。第1延在部T31および第2延在部T32の形成幅は特に限定されず、可能な限り大きな幅で形成されるのが好ましい。
【0040】
以上のように、本実施形態の回路配線板10(部品内蔵配線板100)においては、基板実装面S2に配置された中央電極T2が、
図3における左上隅部および右上隅部に配置されたGND用周辺電極T1に向かって、隣接する他のGND用周辺電極T1を介して相互に連結される。これにより、中央電極T2の面積が基板実装面Sの周辺部に向かって拡張されるため、サーマルパッドとしての中央電極T2における放熱面積が向上し、メインボードへの放熱高効率を高めることができる。
【0041】
また、本実施形態において、中央電極T2から
図3において左辺側の2つのGND用周辺電極T1に対して1つの第1延在部T31によって共通に連結されているため、2つのGND用周辺電極T1に対して個々に延在部を設ける場合と比較して、第1延在部T31の面積を拡大することができるため、中央電極T2の面積を効率よく拡大することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、中央電極T2が連結部T3を介して複数のGND用周辺電極T1に連結されるように構成されたが、これに限られず、少なくとも1つのGND用周辺電極T1に連結されていればよい。この場合においても、
図2に示す比較例に比べて中央電極T2の面積が広げられるため、比較例よりも放熱効率の向上を図ることができる。
【0043】
<第2の実施形態>
回路配線板10に内蔵される電子部品20を効率よく放熱するには、電子部品20からの放熱経路が多いほどよい。そのため、電源配線や信号配線等のグランド配線以外の配線も放熱に使用されることが好ましい。
【0044】
本実施形態では、複数の電源配線や信号配線をサーマルパッドとして使用する場合、内蔵するすべての電源配線や信号配線に対して占有面積の大きい電源配線や信号配線を優先的にサーマルパッドとして使用する。複数の信号配線をサーマルパッドとして使用する場合、それぞれのサーマルパッドの面積は電子部品20に対して占有面積の大きい信号配線から優先的にサーマルパッドの面積を広くした方が電子部品20からの放熱経路が増えることで熱抵抗が小さくなり、放熱効果を高めることができる。そのため、サーマルパッドは基板実装面S2の端部まで広げられる。サーマルパッドの形状は四角に限られず、多角形や円形などであってもよい。
【0045】
一例として、
図4~
図6に、中央電極T2を複数領域に分割し、そのうちの一部または全部を基板実装面S2の端部まで延長する例を示す。
【0046】
(適用例1)
図4に示す部品内蔵配線板200(回路配線板20)は、サーマルパッドとして機能する中央電極T2を第1中央電極部T21、第2中央電極部T22、第3中央電極部T23および第4中央電極部T24に4分割した例を示す。第2中央電極部T22および第3中央電極部T23は、第1中央電極部T21と第4中央電極部T24との間に配置される。
【0047】
第1中央電極部T21および第4中央電極部T24はGND用電極である。第1中央電極部T21は、
図4において左辺側、左上隅部および右上隅部にそれぞれ配置された複数のGND用周辺電極T1と連結部T3(第1延在部T31および第2延在部T32)を介して連結されている。また、第4中央電極部T24は、
図4において下辺側に位置するGND用周辺電極T1と連結部T3(第1延在部T31)を介して連結されている。
【0048】
本適用例に係る部品内蔵配線板200(回路配線板20)においては、中央電極T2にSW用およびVIN用の各信号配線用電極が大きな面積で配置されているため、直上に位置する電子部品20との配線長も短くなり、比較例(
図2)に比べて放熱効率の向上を図ることができる。
【0049】
(適用例2)
図5に示す部品内蔵配線板300(回路配線板30)は、サーマルパッドとして機能する中央電極T2を第1中央電極部T21、第2中央電極部T22および第3中央電極部T23に3分割した例を示す。第2中央電極部T22は、第1中央電極部T21と第3中央電極部T23との間に配置される。
【0050】
この例では、第1中央電極部T21は、GND用電極である。第1中央電極部T21は、
図4と同様に、
図5において左辺側、左上隅部および右上隅部にそれぞれ配置された複数のGND用周辺電極T1と連結部T3(第1延在部T31および第2延在部T32)を介して連結されている。第2中央電極部T22は、SW用電極であり、
図5において右辺側に位置するSW用周辺電極T1に連結されている。第3中央電極T23は、VIN用電極であり、
図5において左辺側に位置する2つのVIN用周辺電極T1に連結されている。
【0051】
本適用例に係る部品内蔵配線板300(回路配線板30)においても同様に、中央電極T2にSW用およびVIN用の各信号配線用電極が大きな面積で配置されているため、比較例に比べて放熱効率の向上を図ることができる。また、これらSW用およびVIN用の信号配線用電極が、SW用およびVIN用の各周辺電極T1にそれぞれ連結されているため、適用例1と比較して、SW用およびVIN用信号配線の放熱効率がより高まり、サーマルパッドとしての機能をより向上させることが可能となる。
【0052】
(適用例3)
図6に示す部品内蔵配線板400(回路配線板40)は、サーマルパッドとして機能する中央電極T2を3分割した例であって、第1中央電極部T21がSW用電極、第2電極部T22がVIN用電極、第3電極部T24がGND用電極として構成された例を示している。
【0053】
この例では、第1中央電極部T21は、
図6において左辺側、左上隅部および上辺側にそれぞれ配置された計4つのSW用周辺電極T1と連結部T3(第1延在部T31)を介して連結されている。第2中央電極部T22は、
図6において右辺側に位置するVIN用周辺電極T1に連結されている。第3中央電極T24は、
図3において左辺側および下辺側に位置する計3つのGND用周辺電極T1に連結されている。
【0054】
本適用例に係る部品内蔵配線板400(回路配線板40)においても同様に、中央電極T2にSW用およびVIN用の各信号配線用電極が大きな面積で配置されているため、比較例に比べて放熱効率の向上を図ることができる。また、GND用、SW用およびVIN用の各中央電極部T21,T22,T24が、GND用、SW用およびVIN用の各周辺電極T1にそれぞれ連結されているため、適用例2と比較して、SW用およびVIN用信号配線の放熱効率がより高まり、サーマルパッドとしての機能をより向上させることが可能となる。
【0055】
[実施例]
比較例(
図2)、第1実施形態(
図3)、第2実施形態の適用例1(
図4)および適用例2(
図5)に係る回路配線板において、配線板全体に対する放熱パッドの面積比率と、内蔵部品(半導体部品21)の最高温度(IC Max)を表1にまとめて示す。
ここで、放熱パッドの面積比率とは、基板実装面S2に対する中央電極T2の面積比率をいう。また、内蔵部品の最高温度(IC Max)は、半導体部品21の動作時における最高発熱温度を意味し、最高温度が低いほど配線板の放熱効果が高いことを示している。
【0056】
【0057】
表1に示すように、比較例と第1実施形態の回路配線板10とを比較した場合、回路配線板10の方がGND電極を配線板の端部まで延伸しているため、グランド電極の面積が約7%広い。その結果、回路配線板10によれば、半導体部品21の最高温度が約0.3℃低下し、比較例よりも高い放熱効果が得られた。
【0058】
第1実施形態の回路配線板10と第2実施形態(適用例1)の回路配線板20とを比較した場合、回路配線板10に比べて回路配線板20の方が、グランド電極の面積は小さくなっているが、回路配線板10に比べて約4.4℃程度、放熱効果が高い。これは信号配線(SW、VINI)が配線板の中央部にある場合、回路配線板10のようにGNDだけを延伸するよりも、信号配線(SW、VIN)もサーマルパットとして使用した方が高い放熱効果を有していることを意味している。
【0059】
第2実施形態に係る適用例1の回路配線板20と適用例2の回路配線板30とを比較した場合、回路配線板20に比べて回路配線板30の方が0.7℃程度、放熱効果が高い。これは、回路配線板20よりも回路配線板30の方がサーマルパットの面積比率が高いため、その分、放熱効果も高まるためと考えられる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
10,20,30,40…回路配線板
11…基板本体
20…電子部品
100,200,300,400…部品内蔵配線板
161…外部接続端子
T1…周辺電極
T2…中央電極
T3…連結部