(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107942
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】LED光源
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20220715BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002663
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】宮下 猛
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142AA13
5F142AA65
5F142AA82
5F142AA84
5F142BA32
5F142CA02
5F142CA03
5F142CB01
5F142CB15
5F142CB16
5F142CB17
5F142CB22
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142FA34
(57)【要約】
【課題】LEDチップにおいて発光している部分を従来よりも高密度にした状態で実装することができ、単位面積当たりでより大きな光量が得られるLED光源を提供する。
【解決手段】複数のLEDチップ1、2がワイヤボンディングされて、ストリングス状又はマトリックス状に配置されたLED光源100であって、共通電極3と、前記共通電極3上に設けられたp-UP型の第1LEDチップ1と、前記共通電極3上に設けられたn-UP型の第2LEDチップ2と、を具備するLEDユニット4を複数備え、一対の前記LEDユニット4間において、一方のLEDユニット4の前記第1LEDチップ1と他方のLEDユニット4の前記第2LEDチップ2との間をワイヤボンディングした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDチップがワイヤボンディングされて、ストリングス状又はマトリックス状に配置されたLED光源であって、
共通電極と、前記共通電極上に設けられたp-UP型の第1LEDチップと、前記共通電極上に設けられたn-UP型の第2LEDチップと、を具備するLEDユニットを複数備え、
一対の前記LEDユニット間において、一方のLEDユニットの前記第1LEDチップと他方のLEDユニットの前記第2LEDチップとの間がワイヤボンディングされていることを特徴とするLED光源。
【請求項2】
前記第1LEDチップが、
前記共通電極上に設けられた第1導電性基板と、
前記第1導電性基板上に形成された第1n型半導体層と、
前記第1n型半導体層上に形成された第1p型半導体層と、
前記第1p型半導体層上に形成された第1上部電極パッドと、を具備し、
前記第2LEDチップが、
前記共通電極上に設けられた第2導電性基板と、
前記第2導電性基板上に形成された第2p型半導体層と、
前記第2p型半導体層上に形成された第2n型半導体層と、
前記第2n型半導体層上に形成された第2上部電極パッドと、を具備する請求項1記載のLED光源。
【請求項3】
前記共通電極が、概略長方形状に形成されており、
前記第1LEDチップと前記第2LEDチップが前記共通電極上において長辺方向に沿って並べて設けられた請求項1又は2記載のLED光源。
【請求項4】
複数の前記LEDユニットが、マトリックス状に配置され、
各LEDユニットの前記共通電極の長辺方向がマトリックスの行方向に沿って揃えられ、
各LEDユニットの前記共通電極の短辺方向がマトリックスの列方向に沿って揃えられた請求項3記載のLED光源。
【請求項5】
マトリックスの前記行方向に沿って視た場合に、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップが交互に表れるように複数の前記LEDユニットが並べられた請求項4記載のLED光源。
【請求項6】
マトリックスの前記列方向に沿って視た場合に、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップが交互に表れるように複数の前記LEDユニットが並べられた請求項4又は5記載のLED光源。
【請求項7】
マトリックスの前記列方向に沿って視た場合に、前記第1LEDチップ又は前記第2LEDチップのいずれか一方が一列に並ぶように複数の前記LEDユニットが並べられた請求項4又は5記載のLED光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDチップがワイヤボンディングされて、ストリングス状又はマトリックス状に配置されたLED光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の発光面積や光量を得られるようにするために基板上に縦型のLEDチップをマトリックス状に並べて配置し、各LEDチップをワイヤボンディングすることで複数のLEDチップを直列に接続したり、並列に接続したりすることが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、複数のLEDチップを例えば直列接続される場合、従来
図3(b)に示すような縦型のLED4Aと、ワイヤボンディング方法が用いられている。従来の縦型のLED4Aは、概略長方形状の下部電極3Aと、下部電極3Aの一部の領域に対してn型半導体層とp型半導体層を積層して形成されたダイオード部1Aと、半導体層が形成されていない電極露出部2Aと、を備えている。このようなLED4Aを例えば直線状に複数同じ向きとなるように並べて配置するとともに、隣接するLED4A間において一方のLED4Aにおけるダイオード部1A上に取り付けられた上部電極パッドと、他方のLED4Aにおける電極露出部2Aとの間がワイヤボンディングされる。このようにして、各LED4Aは、ダイオード部の向きを揃えた状態で直列に接続される。
【0004】
しかしながら、LEDにおいてワイヤボンディングのために電極露出部の面積が必要となるので、実際に発光するダイオード部だけを十分に密集させて、例えばより大きな光量を得ることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述したような問題に鑑みてなされたものであり、LEDチップにおいて発光している部分を従来よりも高密度にした状態で実装することができ、単位面積当たりでより大きな光量が得られるLED光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係るLED光源は、複数のLEDチップがワイヤボンディングされて、ストリングス状又はマトリックス状に配置されたLED光源であって、共通電極と、前記共通電極上に設けられたp-UP型の第1LEDチップと、前記共通電極上に設けられたn-UP型の第2LEDチップと、を具備するLEDユニットを複数備え、一対の前記LEDユニット間において、一方のLEDユニットの前記第1LEDチップと他方のLEDユニットの前記第2LEDチップとの間がワイヤボンディングされていることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、一対の前記LEDユニット間において、一方のLEDユニットの前記第1LEDチップと他方のLEDユニットの前記第2LEDチップとの間がワイヤボンディングされているので、前記複数のLEDユニット間において電流は第1LEDチップ、共通電極、第2LEDチップの順番で流れるように直列に接続することができる。
【0009】
さらに、前記共通電極上にワイヤボンディングを行うための面積として従来のような電極露出部を形成しなくてもよい。このため、実際に発光する部分である前記第1LEDチップと前記第2LEDの実装密度を従来よりも高くすることができる。
【0010】
また、前記第1LEDチップ及び前記第2LEDチップの実装間隔を従来よりも狭くしつつ、従来であれば基板露出部であった部分に前記第1LEDチップ又は前記第2LEDチップを配置することができる。このため、従来発光していなかった領域でも発光させることができ、発光の均一性も高められる。
【0011】
加えて、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップとの間が直接ワイヤボンディングできるので、従来のように基板露出部を経由して接続する場合と比較して、必要となるワイヤの本数を低減し、射出された光がワイヤで吸収されにくくできる。
【0012】
これらのことから、本発明に係るLED光源であれば単位面積当たりの光量といった光出力を従来よりも向上させることができる。
【0013】
さらにワイヤの本数を減らすことができるので、断線等が発生する確率も低減でき信頼性を向上できる。
【0014】
前記LEDユニットの具体的態様としては、前記第1LEDチップが、前記共通電極上に設けられた第1導電性基板と、前記第1導電性基板上に形成された第1n型半導体層と、前記第1n型半導体層上に形成された第1p型半導体層と、前記第1p型半導体層上に形成された第1上部電極パッドと、を具備し、前記第2LEDチップが、前記共通電極上に設けられた第2導電性基板と、前記第2導電性基板上に形成された第2p型半導体層と、前記第2p型半導体層上に形成された第2n型半導体層と、前記第2n型半導体層上に形成された第2上部電極パッドと、を具備するものが挙げられる。
【0015】
このようなLEDユニットは、市販のLEDチップを共通電極上に実装したり、公知の手法により第1LED及び第2LEDを共通電極上に形成したりすることで製造できる。なお、市販のLEDチップを用いれば、より簡単かつ安価にLEDユニットを製造できる。
【0016】
各LEDチップを高密度で実装できるように前記LEDユニットを並べて配置しやすくするには、前記共通電極が、概略長方形状に形成されており、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップが前記共通電極上において長辺方向に沿って並べて設けられたものであればよい。
【0017】
前記第1LEDチップ及び前記第2LEDチップを高密度で実装して光量の大きい面光源として構成するための具体的な態様としては、複数の前記LEDユニットが、マトリックス状に配置され、各LEDユニットの前記共通電極の長辺方向がマトリックスの行方向に沿って揃えられ、各LEDユニットの前記共通電極の短辺方向がマトリックスの列方向に沿って揃えられたものが挙げられる。
【0018】
使用される全体のワイヤの長さを短くしつつ、複数の一列に並んだ前記LEDユニットによって多数のLEDチップが直列に接続されたストリングスを形成できるようにするには、マトリックスの前記行方向に沿って視た場合に、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップが交互に表れるように複数の前記LEDユニットが並べられたものであればよい。
マトリックスの隣接する行にある前記LEDユニット間を最短距離でワイヤボンディングして各LEDチップを直列に接続できるようにするには、マトリックスの前記列方向に沿って視た場合に、前記第1LEDチップと前記第2LEDチップが交互に表れるように複数の前記LEDユニットが並べられたものであればよい。
【0019】
複数行に亘って各LEDチップが直列に接続されたストリングスを並列に形成できるようにするには、マトリックスの前記列方向に沿って視た場合に、前記第1LEDチップ又は前記第2LEDチップのいずれか一方が一列に並ぶように複数の前記LEDユニットが並べられたものであればよい。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明に係るLED光源は、前記共通電極上にp-UP型の前記第1LEDチップとn-UP型の前記第2LEDチップが設けられた前記LEDユニットを備えているので、各LEDユニット間において前記第1LEDチップと前記第2LEDチップとの間を直接ワイヤボンディングすることができる。このため、従来のようにワイヤボンディングのためにLEDチップが設けられていない基板露出部を形成する必要がないので、各LEDチップの実装密度を従来よりも高くすることができる。この結果、LED光源から得られる単位面積当たりの光量を従来よりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るLED光源を示す模式図。
【
図2】第1実施形態のLEDユニットの構造を示す模式的断面図。
【
図3】第1実施形態のLED光源と従来のLED光源の実装密度の違いを示す模式図。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るLED光源を示す模式図。
【
図5】本発明の第3実施形態に係るLED光源を示す模式図。
【
図6】本発明の第4実施形態に係るLED光源を示す模式図。
【
図7】本発明の第5実施形態に係るLED光源を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1実施形態に係るLED光源100について
図1乃至
図3を参照しながら説明する。
【0023】
このLED光源100は例えば製品の傷や予め付与された文字や印等を撮像画像に基づいて検出する検査システムに用いられるものである。
【0024】
図1に示すように、このLED光源100は概略長方形状をなすものであり、基板上に多数のLEDチップ1、2をマトリックス状に配置してある。第1実施形態では24個のLEDチップ1、2が4行6列をなすように配列してある。
【0025】
また、マトリックス状に配置されているLEDチップ1、2の外周を取り囲むように基板BS上には給電電極SEが複数設けられている。第1実施形態ではマトリックス状に配列されているLEDチップ1、2の各行、各列の両端部にそれぞれ給電電極SEが設けられており、給電電極SEは合計で20個設けられている。なお、給電電極SEはプラス側端子又はマイナス側端子のいずれかであり、20個の給電電極SEのいくつかが複数のLEDチップ1、2が直列に接続されたストリングスの両端に相当するLEDチップ1、2とワイヤボンディングで接続される。第1実施形態ではマトリックス状に配置されているLEDチップ1、2の左側端部に配置されている4つの給電電極SEから各LEDチップ1、2に電力が供給される。なお、以下の説明では複数の給電電極SEにおいてLEDチップ1、2にワイヤWで接続されており、給電に関わっているものについてはプラス側端子であることを示すPX、マイナス側端子であることを示すNXを各図において記載する。ここで、XはLEDチップ1、2が直列に接続された各ストリングスの識別子である。
【0026】
第1実施形態では12個のLEDチップ1、2を直列に接続して、2組のストリングスが並列に形成される。より具体的には
図1に示すようにプラス端子P1、P2である給電電極SEから左側から右側へと行内で6つのLEDチップ1、2が接続された後、その下側の行にある第1LEDチップ1へと接続される。そして、右側から左側に6つのLEDチップ1、2が接続された後、第2LEDチップ2が、マイナス端子N1、N2である給電電極SEへと接続される。このようにして24個のLEDチップ1、2により、12直2並列の接続状態が実現されている。
【0027】
第1実施形態のLED光源100では、隣接するLEDチップ1、2同士を直接ワイヤボンディングで接続できるようにするために、2つのLEDチップ1、2を共通電極3上に設けたLEDユニット4として構成している。
【0028】
すなわち、
図1及び
図2に示すようにLEDユニット4は、平面視において概略長方形状をなす共通電極3と、平面視において概略正方形状をなし、共通電極3上に設けられたp-UP型の第1LEDチップ1と、平面視において概略正方形状をなし、共通電極3上に設けられたn-UP型の第2LEDチップ2と、を備えている。言い換えると、LEDユニット4はそれぞれ最表面側に表れる半導体層の極性を異ならせた一対のLEDチップ1、2を共通電極3上に備えている。第1実施形態では共通電極3上において第1LEDチップ1と第2LEDチップ2は共通電極3の中央部において共通電極3の長辺方向に対して所定距離離間させて左右対称に配置されている。なお、共通電極3上の各LEDチップ1、2は、例えばハンダ付け又は導電性接着剤によって固定されている。
【0029】
また、第1実施形態では各LEDユニット4は共通電極3の長辺方向がマトリックスの行方向と一致するとともに、共通電極3の短辺方向はマトリックスの列方向と一致するように配列されている。より具体的には奇数行目に配置される各LEDユニット4は、
図2において左側にp-UP型の第1LEDチップ1が配置され、右側にn-UP型の第2LEDチップ2が配置されるようにそれぞれの向きが揃えられる。一方、偶数行目に配置される各LEDユニット4は、
図2において左側にn-UP型の第2LEDチップ2が配置され、右側にp-UP型の第1LEDチップ1が配置される。したがって、
図3(a)の模式図に示すようにLED光源100全体としては第1LEDチップ1と第2LEDチップ2が市松模様をなすように配列されている。
【0030】
ここで、第1LEDチップ1及び第2LEDチップ2の構造について詳述する。
図2に示すように第1LEDチップ1は、p型の半導体層が表面側に表れるように構成されたものである。より具体的には第1LEDチップ1は、下側から上側に向かって、第1導電性基板11と、第1導電性基板11上に形成された第1n型半導体層12と、第1n型半導体層12上に形成された第1p型半導体層13と、第1p型半導体層13上に形成された第1上部電極パッド14と、を具備している。すなわち、第1LEDチップ1は、第1n型半導体層12と第1p型半導体層13とによって、上側から下側(表面側から裏面側)に向かってのみ電流が流れる第1ダイオード部が形成される。
【0031】
第2LEDチップ2は、n型の半導体層が表面側に表れるように構成されたものである。より具体的には第2LEDチップ2は、下側から上側に向かって、第2導電性基板21と、第2導電性基板21上に形成された第2p型半導体層22と、第2p型半導体層22上に形成された第2n型半導体層23と、第2n型半導体層23上に形成された第2上部電極パッド24と、を具備する。すなわち、第2LEDチップ2は、第2p型半導体層22と第2n型半導体層23とによって、下側から上側(裏面側から表面側)に向かってのみ電流が流れる第2ダイオード部が形成される。
【0032】
図1の平面図及び
図2の断面図に示すように隣接する一対のLEDユニット4同士では、一方のLEDユニット4の第1LEDチップ1と他方のLEDユニット4の第2LEDチップ2との間がそれぞれの第1上部電極パッド及び第2上部電極パッド上でワイヤボンディングされる。したがって、
図2に示すようにp-UP型の第1LEDチップ1の第1p型半導体層に流れ込んだ電流は、第1LEDチップ1から下側にある共通電極3を経由して、n-UP型の第2LEDチップ2の下側へと流れる。そして、第2LEDチップ2内を下側から上側に流れた電流は、第2LEDチップ2の第2上部電極からワイヤWを介して隣接するLEDユニット4の第1LEDチップ1へと流れこむ。
【0033】
このように構成された第1実施形態のLED光源100は、それぞれ極性の異なるLEDチップ1、2同士を直接ワイヤボンディングすることで、12直2並列の接続状態が実現できる。
【0034】
次に
図3を参照して、第1実施形態のLED光源100におけるLEDチップ1、2の実装密度と、単一種類のダイオード部1Aを具備するLED4Aのみを用いて構成されたLED光源100Aにおけるダイオード部1Aの実装密度とを比較検討する。なお
図3(b)に示す従来技術で用いているLED4Aは説明の簡単化のために第1実施形態のLEDユニット4と同じ大きさを有しているとして説明する。すなわち、
図3(b)における従来技術のLED4は、第1実施形態の共通電極3と同じ面積を有する長方形状の下部電極3Aを具備し、ダイオード部1Aが下部電極3A上において上側半分の領域内に形成されている。下部電極3Aの下側半分の電極露出部2Aには例えば電極パッドが設けられ、隣接するLED4Aのダイオード部1A上の電極パッドとの間でワイヤボンディングされる。
【0035】
図3(a)及び
図3(b)に示すように第1実施形態のLED光源100は、従来のLED光源100Aと比較して発光する部分であるLEDチップ1、2の実装密度を約2倍に高めることができる。これは、第1実施形態のLED光源100は、従来であれば電極露出部2Aとなっていたスペースに表面側の半導体層の極性が異なる第2LEDチップ2を配置し、隣接するLEDユニット4のLEDチップ1、2同士を直接ワイヤボンディングで接続できるように構成しているからである。
【0036】
また、第1実施形態のLED光源100は、隣接するLEDユニット4の各LEDチップ1、2同士を直接ワイヤボンディングできるので、接続状態を実現するために必要となるワイヤWの本数を従来技術と比較して約1/2にできる。この結果、ワイヤWが断線する確率を低減でき、LED光源100が点灯しなくなるといった故障を発生しにくくできる。
【0037】
さらに、第1実施形態のLED光源100は、斜めに接続する箇所をなくすことができるので、各ワイヤWの長さ自体も従来技術よりも短くできる。ワイヤWの長さと本数の低減により、第1実施形態のLED光源100は、各LEDチップ1、2から射出される光がワイヤWによって遮られる箇所も減らし、光量が低下するのを防ぐことができる。
【0038】
これらの結果、第1実施形態のLED光源100は、単位面積当たりの光量や放射強度を従来よりも高められるとともに、ワイヤWに関連する故障を生じにくくできる。
【0039】
次に本発明の他の実施形態におけるLED光源100について
図4乃至
図7を参照しながら説明する。なお、第1実施形態において説明した部材と対応する部材には各実施形態においても同じ符号を付すこととする。
【0040】
図4に示す第2実施形態のLED光源100は、マトリックス状に配置された24個の各LEDチップ1、2によって24直の接続状態を実現している。具体的には各LEDユニット4の配置及び向きは第1実施形態と同様であり、各行の隣接するLEDユニット4が行方向にワイヤボンディングされているとともに、左端又は右端に配置されている第1LEDチップ1と第2LEDチップ2間が列方向にワイヤボンディングされている。すなわち、24個の各LEDチップ1、2がすべて直列に接続されて、蛇行している状態に接続される。加えて、この第2実施形態ではマトリックスにおいて左端と右端に配置されている第1LEDチップ1及び第2LEDチップ2の左側にある給電電極SEが、プラス側端子P1又はマイナス側端子N1として使用される。
【0041】
このように第2実施形態のLED光源100は、第1実施形態のLED光源100とほぼ同じ構成においてワイヤボンディングの場所及び方向を変更するだけで、各LEDチップ1、2について24直の接続状態を実現できる。
【0042】
次に第3実施形態のLED光源100について
図5を参照しながら説明する。第3実施形態のLED光源100は、マトリックス状に配置された各LEDチップ1、2によって8直3並列の接続状態が実現される。具体的には各LEDユニット4の配置及び向きは第1実施形態と同様であり、列方向に対してのみワイヤボンディングが施してある。すなわち、列方向に対して隣接するLEDユニット4間において第1LEDチップ1と第2LEDチップ2間で列方向にワイヤボンディングが施されることによって、8つの各LEDチップ1、2が直列に接続されたストリングスが3組形成される。また、給電電極SEは、各LEDチップ1、2において列方向の端部に隣接するものがプラス側端子P1、P2、P3又はマイナス側端子N1、N2、N3として使用される。
【0043】
このように第3実施形態のLED光源100であれば、第1実施形態のLED光源100とほぼ同じ構成においてワイヤボンディングの場所及び方向を変更するだけで、各LEDチップ1、2について8直3並列の接続状態を実現できる。
【0044】
次に第4実施形態のLED光源100について
図6を参照しながら説明する。第4実施形態のLED光源100は、マトリックス状に配置された各LEDチップ1、2によって4直6並列の接続状態が実現される。具体的には各LEDユニット4の配置及び向きは第1実施形態と同様であり、1行目と2行目において隣接する第1LEDチップ1及び第2LEDチップ2間のすべてにワイヤボンディングを施すとともに、3行目と4行目において隣接する第1LEDチップ1及び第2LEDチップ2間のすべてにワイヤボンディングを施している。この結果、4つの各LEDチップ1、2が直列に接続されたストリングスが6組形成される。また、給電電極SEは、各LEDチップ1、2において列方向の端部に隣接するものがプラス側端子P1、P2、P3、P4、P5、P6又はマイナス側端子N1、N2、N3、N4、N5、N6として使用される。
【0045】
このように第4実施形態のLED光源100であれば、第1実施形態のLED光源100とほぼ同じ構成においてワイヤボンディングの場所及び方向を変更するだけで、各LEDチップ1、2について4直6並列の接続状態を実現できる。
【0046】
図7に示す第5実施形態のLED光源100は、マトリックス状に配置された24個の各LEDチップ1、2によって6直4並列の接続状態を実現している。具体的には各LEDユニット4の配置は第1実施形態と同様であるが、一部のLEDユニット4の向きが異なっている。すなわち、各LEDユニット4は、マトリックスの列方向に沿って視た場合に第1LEDチップ1又は第2LEDチップ2のいずれかで揃うように各LEDユニット4は設けられている。すなわち、行方向に沿って視た場合に第1LEDチップ1及び第2LEDチップ2が交互に表れる縞模様となるようにLED光源100は構成されている。
【0047】
また、各行に配置された各LEDチップ1、2がそれぞれ独立に直列接続されて4本のストリングスをなす。この第5実施形態では各LEDチップ1、2により形成されるマトリックスの行方向の両端部にある給電電極SEがプラス側端子P1、P2、P3、P4又はマイナス側端子N1、N2、N3、N4として使用される。また、ワイヤボンディングは、隣接するLEDユニット4において第1LEDチップ1と第2LEDチップ2との間を行方向にだけ接続するように施される。
【0048】
このように第5実施形態のLED光源100は、LEDユニット4の向きをすべて同じ向きにし、隣接する第1LEDチップ1及び第2LEDチップ2間をワイヤボンディングするだけで、6直4並列の接続状態を実現できる。
【0049】
その他の実施形態について説明する。
【0050】
LED光源は各LEDチップによってマトリックス状に配置されているものに限られず、例えば各LEDチップがストリングス状に接続されたものであってもよい。また、マトリックスを形成するLEDチップの個数については24個に限られるものではなく、その他の個数であってもよい。LED光源の最小構成としては、一対のLEDユニットを備えたものであり、4個の各LEDチップが直列に接続されているものが挙げられる。
【0051】
LEDユニットについては、1つの共通電極上に1つのp-UP型の第1LEDチップと、n-UP型の第2LEDチップが設けられている物に限られない。例えば1つの共通電極上に1つのp-UP型の第1LEDチップと、2つのn-UP型のLEDチップが設けられているものであってもよい。このようなものであれば、LEDユニット単体において第1LEDチップに対して第2LEDチップが2つ並列に接続された状態を実現できる。
【0052】
各実施形態では共通電極上に市販されている第1LEDチップ及び第2LEDチップを実装することでLEDユニットを構成していたが、例えば半導体製造プロセスにおいて共通電極上に直接第1LEDチップ及び第2LEDチップを形成するようにしてもよい。すなわち、第1LEDチップが、共通電極上に形成された第1n型半導体層と、第1n型半導体層上に形成された第1p型半導体層と、第1p型半導体層上に形成された第1上部電極パッドと、を具備し、第2LEDチップが、共通電極上に形成された第2p型半導体層と、第2p型半導体層上に形成された第2n型半導体層と、第2n型半導体層上に形成された第2上部電極パッドと、を具備するものであってもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨に反し無い限りにおいて様々な実施形態の変形や、各実施形態の一部同士の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0054】
1 :第1LEDチップ
11 :第1導電性基板
12 :第1n型半導体層
13 :第1p型半導体層
14 :第1上部電極パッド
2 :第2LEDチップ
21 :第2導電性基板
22 :第2p型半導体層
23 :第2n型半導体層
24 :第2上部電極パッド
3 :共通電極
4 :LEDユニット
100 :LED光源
W :ワイヤ