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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010798
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 13/22 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
B42F13/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111538
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】515348460
【氏名又は名称】有限会社サンクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 明典
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017UD13
2C017UD27
2C017UD30
(57)【要約】
【課題】紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルにおいて、紙葉類を綴じ片に着脱する際の操作性が良好なファイルを提供する。
【解決手段】綴じ具2と、綴じ具に装着された表表紙31と裏表紙32と背表紙33とを備え、綴じ具には、紙葉類の綴じ孔11に挿通され、幅方向内方へ向いた先端部2ST同士を係合したとき略四角環状に形成された複数の綴じ片2Tと、綴じ片を連結する連結部21と、連結部に形成された軸受け部に挿通された回転中心軸23と、連結部の間に装着されたバネ部材24とを備え、一方の連結部21aの背面側に背表紙が固定され、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、綴じ片の係合を解除したとき、一方の連結部と背表紙が固定されていない他方の連結部21bは、バネ部材の付勢力によって、互いの開き角αが略80~100度の状態まで回動可能に形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の一端側を綴じ込む綴じ具と、前記綴じ具に装着され前記紙葉類を外側から保護する表表紙と裏表紙と、前記表表紙と前記裏表紙とを接続する背表紙とを備え、前記紙葉類の他端側を前記表表紙及び前記裏表紙と共に前記綴じ具を支点に360度開いて折り返すことができるファイルであって、
前記綴じ具には、
前記紙葉類の一端側に形成された複数の綴じ孔に挿通され、幅方向内方へ向いた先端部同士を係合したとき略四角環状に形成された左右の綴じ片と、
前記各綴じ片の基端部を長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部と、
前記左右の連結部にそれぞれ形成され、長手方向で交互に配置された複数の軸受け部と、
前記各軸受け部に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸と、
前記左右の連結部の間に装着されたバネ部材と、を備え、
左右いずれか一方の前記連結部の背面側には、前記背表紙が固定され、
前記表表紙と前記裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の前記綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、前記背表紙が固定された一方の前記連結部と前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部とは、前記バネ部材の付勢力によって、前記回転中心軸に対する互いの開き角が略80~100度の状態まで回動可能に形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項2】
請求項1に記載されたファイルにおいて、
前記バネ部材は、長手方向で交互に配置された前記軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、前記回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネであり、
前記圧縮捻りコイルバネの一方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部を背面側へ付勢し、前記圧縮捻りコイルバネの他方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部を幅方向外方へ付勢していることを特徴とするファイル。
【請求項3】
請求項2に記載されたファイルにおいて、
左右の前記連結部にそれぞれ形成された前記軸受け部の長手方向端面には、前記回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、
前記カム面は、左右の前記綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項4】
請求項1に記載されたファイルにおいて、
前記バネ部材は、長手方向で交互に配置された前記軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、前記回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮コイルバネであり、
左右の前記連結部にそれぞれ形成された前記軸受け部の長手方向端面には、前記回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、
前記カム面は、左右の前記綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載されたファイルにおいて、
前記カム面を設けた前記軸受け部は、少なくとも前記連結部における長手方向の端部近傍に設けたことを特徴とするファイル。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
左右の前記綴じ片の前記基端部は、長手方向の板幅以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成され、
左右の前記綴じ片の先端部には、前記基端部の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部で互いに係合する係合部が形成され、
前記係合部には、前記傾斜部の板幅方向へ山型に突出する凸部が先端側に形成され、相手方の前記凸部に対して前記傾斜部の板幅方向で係合する凹部と、相手方の前記凸部に対して前記傾斜部の板内外方向で係合する受け部とが基端側に形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項7】
請求項6に記載されたファイルにおいて、
前記係合部の内、一方の係合部には、前記凸部と前記受け部とを連結する縦壁部が前記凸部と前記受け部の境界部に沿って形成され、他方の係合部には、前記凸部と前記受け部との間に前記縦壁部を逃げる溝部が前記他方の係合部の板外面から板内面まで形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項8】
請求項7に記載されたファイルにおいて、
前記他方の係合部における前記凸部と前記一方の係合部における前記凹部との係合時に、前記凸部の幅方向先端側で当接する前記凸部と前記凹部の当接面は、前記傾斜部の板幅方向に対して所定の角度で傾斜状に形成され、
前記一方の係合部における前記縦壁部の先端側端面と、前記他方の係合部における前記受け部の先端側端面とは、前記傾斜部の板幅方向に対して略平行又は前記当接面と反対方向に所定の角度で傾斜状に形成され、且つ係合時に微小隙間を有するように形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
前記凸部の板幅方向へ突出する突出量は、略同一に形成され、互いの前記凸部同士が当接する当接面が、正面視で、長手方向に対して所定の角度で負角状に傾斜して形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項10】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
前記凸部の板幅方向へ突出する突出量は、互いに相違するように形成され、
前記突出量の大きい凸部は、略台形状に形成され、前記突出量の小さい凸部は、略三角形状に形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
前記左右の綴じ片は、互いに向き合うコの字状断面に形成され、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部に連結された他方の綴じ片の先端部に対する前記基端部におけるコの字状断面底部の深さを、前記背表紙が固定された一方の前記連結部に連結された一方の綴じ片の先端部に対する前記基端部におけるコの字状断面底部の深さより、大きく形成したことを特徴とするファイル。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
左右の前記連結部に形成された複数の前記軸受け部の内、少なくとも2以上の軸受け部は、左右の前記綴じ片の先端部同士の係合状態で、幅方向で互いに反対方向へ開口する軸受け片が長手方向で連結して形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
前記回転中心軸は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部の幅方向中心線に対して、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部側へ偏心した位置に配置されていることを特徴とするファイル。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
一方の前記連結部の背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部と、当該基部より幅広に形成された爪部とから成り、当該爪部が基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部が形成され、
前記背表紙には、大径部で前記爪部が通過し、小径部で前記基部と係合した状態で前記爪部に挟まれる異径長孔状の係止孔が形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
前記表表紙の他端側及び前記裏表紙の他端側には、前記紙葉類の他端側を前記表表紙及び前記裏表紙とともに前記綴じ具を支点に略360度開いて折り返したとき、前記紙葉類の他端側の先端部より幅方向で拡張形成された拡張部を長手方向の上部領域に形成し、幅方向で短縮形成された短縮部を長手方向の下部領域に形成し、前記拡張部と前記短縮部とを凹湾曲状に連結する湾曲部を備え、
前記表表紙及び前記裏表紙の両湾曲部は、前記紙葉類の他端側の先端部と交差する位置で、互いに長手方向で位置ずれして形成されていることを特徴とするファイル。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載されたファイルにおいて、
JIS規格の用紙より綴じ孔が少なく形成された紙葉類を備えていることを特徴とするファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルに関し、詳しくは、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルであれば、電車等の狭いスペース内でも、360度折り返したファイルを片手で保持して、折り返したファイルの紙葉類に記載された文章を楽に読むことができ、又は折り返したファイルの紙葉類に所要の筆記等を楽に行うことができる。そのため、360度折り返し可能なファイルが、一般に好まれ、世の中で広く利用されている。
【0003】
上記360度折り返し可能なファイルが、例えば、特許文献1に開示されている。すなわち、特許文献1には、図21図22に示すように、紙葉類101と、紙葉類101の一端側を綴じ込む綴じ具102と、綴じ具102に装着され紙葉類101を外側から保護する表表紙103と裏表紙104と背表紙105とを備え、紙葉類101の他端側を表表紙103及び裏表紙104とともに綴じ具102を支点に360度開いて折り返すことができるファイル100が開示されている。
【0004】
上記綴じ具102には、紙葉類101の一端側に形成された綴じ孔101aに挿通され、閉じたとき略四角環状に形成された複数の綴じ片106(左右の綴じ片106a、106b)を備えている。左右の綴じ片106a、106bは、長手方向(矢印Lの方向)に延設された左右のベース部107a、107bの側壁から幅方向(矢印Fの方向)外方へそれぞれ突出して形成された左右の基端部108a、108bと、当該基端部108a、108bの先端側で幅方向内方へ湾曲して形成された左右の先端部109a、109bとを備えている。また、左右の先端部109a、109bは、左右のベース部107a、107bを図示しない連結機構等を介して幅方向(矢印Fの方向)に開閉させることによって、当接離間するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-140785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたファイル100では、左右の綴じ片106a、106bの先端部109a、109b同士を離間させて、綴じた紙葉類101を綴じ片106(106a、106b)から離脱させる場合、又は、新しい紙葉類101を綴じ片106(106a、106b)に装着させる場合には、綴じ片106(106a、106b)の先端部109a、109b同士が互いに幅方向内方へ向いた状態で離間しているため、紙葉類101を水平状態から垂直状態に又は垂直状態から水平状態に略90度回動させながら、不安定な姿勢で移動させる必要があった。そのため、綴じ片106(106a、106b)の先端部109a、109bに紙葉類101の綴じ孔101aが引っかかりやすく、紙葉類101の着脱操作性に問題があった。この問題は、図23に示すように、閉じたとき綴じ片206(206a、206b)が略円環状に形成され、軸部201を中心に先端部209a、209bが回動して開閉する構造の他の綴じ具202についても、同様に生じていた。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルにおいて、綴じ具における綴じ片の先端部同士の係合を解除させ、紙葉類を綴じ片に着脱する際の操作性が良好なファイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るファイルは、次のような構成を有している。
(1)紙葉類の一端側を綴じ込む綴じ具と、前記綴じ具に装着され前記紙葉類を外側から保護する表表紙と裏表紙と、前記表表紙と前記裏表紙とを接続する背表紙とを備え、前記紙葉類の他端側を前記表表紙及び前記裏表紙と共に前記綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルであって、
前記綴じ具には、
前記紙葉類の一端側に形成された複数の綴じ孔に挿通され、幅方向内方へ向いた先端部同士を係合したとき略四角環状に形成された左右の綴じ片と、
前記各綴じ片の基端部を長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部と、
前記左右の連結部にそれぞれ形成され、長手方向で交互に配置された複数の軸受け部と、
前記各軸受け部に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸と、
前記左右の連結部の間に装着されたバネ部材と、を備え、
左右いずれか一方の前記連結部の背面側には、前記背表紙が固定され、
前記表表紙と前記裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の前記綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、前記背表紙が固定された一方の前記連結部と前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部とは、前記バネ部材の付勢力によって、前記回転中心軸に対する互いの開き角が略80~100度の状態まで回動可能に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、綴じ具には、紙葉類の一端側に形成された複数の綴じ孔に挿通され、幅方向内方へ向いた先端部同士を係合したとき略四角環状に形成された左右の綴じ片と、各綴じ片の基端部を長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部と、左右の連結部にそれぞれ形成され、長手方向で交互に配置された複数の軸受け部と、各軸受け部に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸と、左右の連結部の間に装着されたバネ部材と、を備え、左右いずれか一方の連結部の背面側には、背表紙が固定され、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、背表紙が固定された一方の連結部と背表紙が固定されていない他方の連結部とは、バネ部材の付勢力によって、回転中心軸に対する互いの開き角が略80~100度の状態まで回動可能に形成されているので、綴じた紙葉類を綴じ片から離脱させる場合、又は、新しい紙葉類を綴じ片に装着させる場合において、例えば、背表紙を下方に向けて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、他方の連結部は、表表紙及び裏表紙に接続された背表紙の影響を受けにくいことから、主にバネ部材の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部に連結された他方の綴じ片の先端部は、略上方へ向いた姿勢に自動的に回動される。一方で、背表紙が固定された一方の連結部は、略180度開いた状態の表表紙及び裏表紙に接続された背表紙によって、回動を規制又は制限されることになる。そのため、一方の連結部に連結された一方の綴じ片の先端部は、係合解除前の幅方向内方へ向いた姿勢で略維持されやすい。
【0010】
また、背表紙を側方に向けて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、他方の連結部は、表表紙及び裏表紙に接続された背表紙の影響を受けにくいことから、主にバネ部材の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部に連結された他方の綴じ片の先端部は、略横方向へ向いた姿勢に自動的に回動される。一方で、背表紙が固定された一方の連結部は、略180度開いた状態の表表紙及び裏表紙に接続された背表紙によって、回動を規制又は制限されることになる。そのため、一方の連結部に連結された一方の綴じ片の先端部は、係合解除前の略上方へ向いた姿勢で略維持されやすい。
【0011】
したがって、紙葉類を水平状の姿勢で把持し、略上方へ向いた姿勢の他方の綴じ片の先端部に対して、紙葉類の一端側に形成された綴じ孔を略上下方向に通過させることによって、紙葉類を綴じ片から簡単に離脱、又は紙葉類を綴じ片に簡単に装着させることができる。よって、紙葉類の離脱又は装着時において、綴じ片の先端部に紙葉類の綴じ孔が引っかかる可能性を大幅に低減させることができる。その結果、紙葉類を綴じ片に着脱する際の操作性を大幅に向上させることができる。
【0012】
以上のように、本発明によれば、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルにおいて、綴じ具における綴じ片の先端部同士の係合を解除させ、紙葉類を綴じ片に着脱する際の操作性が良好なファイルを提供することができる。
【0013】
(2)(1)に記載されたファイルにおいて、
前記バネ部材は、長手方向で交互に配置された前記軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、前記回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネであり、
前記圧縮捻りコイルバネの一方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部を背面側へ付勢し、前記圧縮捻りコイルバネの他方の端縁アーム部は、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部を幅方向外方へ付勢していることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、バネ部材は、長手方向で交互に配置された軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネであり、圧縮捻りコイルバネの一方の端縁アーム部は、背表紙が固定された一方の連結部を背面側へ付勢し、圧縮捻りコイルバネの他方の端縁アーム部は、背表紙が固定されていない他方の連結部を幅方向外方へ付勢しているので、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネによる捻り方向の付勢力の大部分は、背表紙が固定されていない他方の連結部を幅方向外方へ回動させるモーメント力として作用する。そのため、例えば、背表紙33を下方に向けた場合、他方の連結部に連結された他方の綴じ片の先端部は、圧縮捻りコイルバネの捻り方向の付勢力によって、安定して略上方へ向いた姿勢に保持される。これに対して、背表紙が固定された一方の連結部に連結された一方の綴じ片の先端部は、係合解除前の幅方向内方へ向いた姿勢で略安定して維持される。また、背表紙を側方に向けた場合、他方の連結部に連結された他方の綴じ片の先端部は、略横方向へ向いた姿勢に変更される一方で、一方の連結部に連結された一方の綴じ片の先端部は、係合解除前の略上方へ向いた姿勢で略安定して維持される。
【0015】
したがって、紙葉類を水平状の姿勢で把持し、安定して略上方へ向いた姿勢の他方の綴じ片の先端部(又は一方の綴じ片の先端部)に対して、紙葉類の一端側に形成された綴じ孔を略上下方向に通過させることによって、紙葉類を綴じ片からより簡単に離脱、又は紙葉類を綴じ片により簡単に装着させることができる。その結果、紙葉類の離脱又は装着時において、綴じ片の先端部に紙葉類の綴じ孔が引っかかる可能性をより一層に低減させて、紙葉類を綴じ片に着脱する際の操作性を更に向上させることができる。
【0016】
(3)(2)に記載されたファイルにおいて、
隣接する前記軸受け部の長手方向端面には、前記回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、
前記カム面は、左右の前記綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、解除状態において互いに当接するように形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、隣接する軸受け部の長手方向端面には、回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、カム面は、左右の綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されているので、左右の綴じ片の先端部の係合を解除したとき、カム面同士の当接に伴い、圧縮捻りバネが長手方向へ伸長する付勢力が、カム面が形成された軸受け部に伝達される。そのため、圧縮捻りバネが長手方向へ伸長する付勢力が伝達された軸受け部を介して、左右の連結部同士の開き角の保持力を増強させることができる。したがって、左右の連結部同士の開き角を最大の状態で保持させることができる。その結果、綴じた紙葉類を綴じ片から離脱させる場合、又は新しい紙葉類を綴じ片に装着させる場合において、綴じ片の先端部同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片の先端部に紙葉類の綴じ孔が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0018】
(4)(1)に記載されたファイルにおいて、
前記バネ部材は、長手方向で交互に配置された前記軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、前記回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮コイルバネであり、
左右の前記連結部にそれぞれ形成された前記軸受け部の長手方向端面には、前記回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、
前記カム面は、左右の前記綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、バネ部材は、長手方向で交互に配置された軸受け部の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸の外周側に螺旋状に捲回された圧縮コイルバネであり、左右の連結部にそれぞれ形成された軸受け部の長手方向端面には、回転中心軸に対して傾斜状に形成されたカム面をそれぞれ設け、カム面は、左右の綴じ片の先端部の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されているので、左右の綴じ片の先端部の係合を解除したとき、カム面同士の当接状態への移行に伴い、圧縮コイルバネが長手方向へ伸長する付勢力が、カム面が形成された軸受け部に回転力として伝達される。そのため、圧縮コイルバネが長手方向へ伸長する付勢力に基づいて、一方の連結部と他方の連結部とは、回転中心軸に対する互いの開き角が略80~100度の状態まで回動することができる。その結果、綴じた紙葉類を綴じ片から離脱させる場合、又は新しい紙葉類を綴じ片に装着させる場合において、綴じ片の先端部同士の離間状態を確実に維持して、綴じ片の先端部に紙葉類の綴じ孔が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0020】
(5)(3)又は(4)に記載されたファイルにおいて、
前記カム面を設けた前記軸受け部は、少なくとも前記連結部における長手方向の端部近傍に設けたことを特徴とする。
【0021】
本発明においては、カム面を設けた軸受け部は、少なくとも連結部における長手方向の端部近傍に設けたので、左右の綴じ片の先端部の係合を解除したとき、圧縮捻りバネの長手方向へ伸長する付勢力がカム面に作用して、綴じ具の長手方向の端部近傍においても、連結部の開き角を最大の状態で保持させることができる。そのため、綴じた紙葉類を綴じ片から離脱させる場合、又は新しい紙葉類を綴じ片に装着させる場合において、長手方向の端部近傍における綴じ片の先端部同士の離間状態を維持して、綴じ片の先端部に紙葉類の綴じ孔が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0022】
また、綴じ具の長手方向の端部近傍における、連結部の開き角を最大の状態で保持させることができるので、連結部の長手方向における捻じり剛性を補完することができる。そのため、例えば、圧縮捻りコイルバネ又は圧縮コイルバネをよりコンパクトに形成して、連結部の厚み(幅方向の寸法)を極力薄く形成することができる。したがって、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙と共に綴じ具を支点に360度開いて折り返したときにおける、紙葉類の一端側での連結部による表表紙と裏表紙との隙間を縮小でき、表表紙31と裏表紙32とが密着できる範囲を拡大できる。その結果、折り返した紙葉類に対する筆記時等における違和感(例えば、フワフワ感)を低減できる。
【0023】
(6)(2)乃至(5)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
左右の前記綴じ片の前記基端部は、長手方向の板幅以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成され、
左右の前記綴じ片の先端部には、前記基端部の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部で互いに係合する係合部が形成され、
前記係合部には、前記傾斜部の板幅方向へ山型に突出する凸部が先端側に形成され、相手方の前記凸部に対して前記傾斜部の板幅方向で係合する凹部と、相手方の前記凸部に対して前記傾斜部の板内外方向で係合する受け部とが基端側に形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、左右の綴じ片の基端部は、長手方向の板幅以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成され、左右の綴じ片の先端部には、基端部の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部で互いに係合する係合部が形成されているので、複数のファイルを重ね合わせて書棚等に収納する時に、隣接するファイルの綴じ具同士の干渉を避けることができ、書棚等に収納するファイル収納数を増加させることができる。
【0025】
また、係合部には、傾斜部の板幅方向へ山型に突出する凸部が先端側に形成され、相手方の凸部に対して傾斜部の板幅方向で係合する凹部と、相手方の凸部に対して傾斜部の板内外方向で係合する受け部とが基端側に形成されているので、係合部同士が、傾斜部の板幅方向と板内外方向で確実に係合し、不用意な係合の解除を回避することができる。そのため、安心して、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができる。
【0026】
(7)(6)に記載されたファイルにおいて、
前記係合部の内、一方の係合部には、前記凸部と前記受け部とを連結する縦壁部が前記凸部と前記受け部の境界部に沿って形成され、他方の係合部には、前記凸部と前記受け部との間に前記縦壁部を逃げる溝部が前記他方の係合部の板外面から板内面まで形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、係合部の内、一方の係合部には、凸部と受け部とを連結する縦壁部が凸部と受け部の境界部に沿って形成され、他方の係合部には、凸部と受け部との間に縦壁部を逃げる溝部が他方の係合部の板外面から板内面まで形成されているので、係合部同士を係合させる際、相手方の凹部に対して、凸部が幅方向で行き過ぎて戻らないという不具合を、効果的に回避できる。
【0028】
すなわち、左右の綴じ片では、圧縮捻りコイルバネ(又は圧縮コイルバネ)の長手方向に伸長しようとする付勢力によって、係合部同士が、長手方向で互いに当接するように押圧されている。そのため、縦壁部が形成されていない場合には、係合部の凸部が、相手方の凹部に対して、幅方向で行き過ぎた場合、凸部の山頂部が、相手方の先端部における幅方向から長手方向へ傾斜した傾斜部に引っ掛かって、凸部が、凹部と係合する位置に戻らない場合がある。
【0029】
しかしながら、本発明では、一方の係合部には、凸部と受け部とを連結する縦壁部が凸部と受け部の境界部に沿って形成されているので、凸部が、相手方の凹部に対して、幅方向で行き過ぎた場合でも、縦壁部によって厚肉化された凸部の山頂部が傾斜部の側壁全体に当接するので、滑りやすくなり、凸部の山頂部が相手方の傾斜部に引っ掛かりにくくなる。これによって、凸部は、相手方の凹部と係合する位置に簡単に戻ることができる。そのため、綴じ具における綴じ片の先端部に形成された係合部の係合及び解除の操作を、より一層楽に行うことができる。
【0030】
(8)(7)に記載されたファイルにおいて、
前記他方の係合部における前記凸部と前記一方の係合部における前記凹部との係合時に、前記凸部の幅方向先端側で当接する前記凸部と前記凹部の当接面は、前記傾斜部の板幅方向に対して所定の角度で傾斜状に形成され、
前記一方の係合部における前記縦壁部の先端側端面と、前記他方の係合部における前記受け部の先端側端面とは、前記傾斜部の板幅方向に対して略平行又は前記当接面と反対方向に所定の角度で傾斜状に形成され、且つ係合時に微小隙間を有するように形成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、他方の係合部における凸部と一方の係合部における凹部との係合時に、凸部の幅方向先端側で当接する凸部と凹部の当接面は、傾斜部の板幅方向に対して所定の角度で傾斜状に形成され、一方の係合部における縦壁部の先端側端面と、他方の係合部における受け部の先端側端面とは、傾斜部の板幅方向に対して略平行又は当接面と反対方向に所定の角度で傾斜状に形成され、且つ係合時に微小隙間を有するように形成されているので、左右の綴じ片に対して、幅方向で負荷が掛かった場合、一方の係合部における縦壁部の先端側端面と、他方の係合部における受け部の先端側端面とは、直ちに当接して、先端側端面同士の間には、傾斜部の板幅方向と直交する方向又は係合部同士を係合させる方向で互いに押し合う押圧力が作用する。
【0032】
そのため、各先端側端面同士の間には、押圧力に比例した摩擦力を生じさせることができる。また、押圧力は、傾斜部の板幅方向と直交する方向又は係合部同士を係合させる方向で互いに押し合うので、少なくとも、係合部の係合を解除する方向の分力は生じない。したがって、左右の綴じ片に対して、幅方向で負荷が掛かった場合でも、上記押圧力によって、凸部と凹部の当接面が、係合解除方向へ移動するのを抑制し、凸部と凹部の外れを回避させることができる。その結果、左右の綴じ片における綴じ具の幅方向の負荷に対する変形や潰れ等を、効果的に規制できる。
【0033】
(9)(6)乃至(8)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
前記凸部の板幅方向へ突出する突出量は、略同一に形成され、互いの前記凸部同士が当接する当接面が、正面視で、長手方向に対して所定の角度で負角状に傾斜して形成されていることを特徴とする。
【0034】
本発明においては、凸部の板幅方向へ突出する突出量は、略同一に形成され、互いの凸部同士が当接する当接面が、正面視で、長手方向に対して所定の角度で負角状に傾斜して形成されているので、綴じ片に対して、係合部が長手方向で外れる方向に負荷が掛かった場合でも、長手方向に対して負角状に当接する凸部同士の当接面が、凸部同士の外れを効果的に回避させることができる。その結果、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)における綴じ具2の長手方向の負荷に対する変形や潰れを、効果的に規制できる。
【0035】
(10)(6)乃至(8)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
前記凸部の板幅方向へ突出する突出量は、互いに相違するように形成され、
前記突出量の大きい凸部は、略台形状に形成され、前記突出量の小さい凸部は、略三角形状に形成されていることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、凸部の板幅方向へ突出する突出量は、互いに相違するように形成され、突出量の大きい凸部は、略台形状に形成され、突出量の小さい凸部は、略三角形状に形成されているので、係合部同士を係合させる際、相手方の凹部に対して、凸部が幅方向で行き過ぎて戻らないという不具合を、より効果的に回避できる。
【0037】
すなわち、左右の綴じ片では、圧縮捻りコイルバネ(又は圧縮コイルバネ)の長手方向に伸長しようとする付勢力によって、係合部同士が、長手方向で互いに当接するように押圧されている。そのため、凸部の板幅方向へ突出する突出量が同一に形成されている場合には、係合部の凸部が、相手方の凹部に対して、幅方向で行き過ぎた場合、左右両方の凸部の山頂部が、相手方の先端部における幅方向から長手方向へ傾斜した傾斜部に引っ掛かって、凸部が、凹部と係合する位置により一層戻りにくくなる。
【0038】
しかしながら、本発明では、凸部の板幅方向へ突出する突出量は、互いに相違するように形成され、突出量の大きい凸部は、略台形状に形成され、突出量の小さい凸部は、略三角形状に形成されているので、凸部が、相手方の凹部に対して、幅方向で行き過ぎた場合でも、突出量の大きい凸部のみが、相手方の先端部おける傾斜部に当接し、突出量の小さい凸部は、相手方の先端部おける傾斜部に当接しない。また、突出量が大きい凸部は、略台形状に形成されているので、傾斜部に対して滑りやすくなり、凸部の山頂部が相手方の傾斜部に引っ掛かりにくくなる。これによって、凸部は、相手方の凹部と係合する位置に簡単に戻ることができる。そのため、綴じ具における綴じ片の先端部に形成された係合部の係合及び解除の操作を、より一層楽に行うことができる。
【0039】
(11)(1)乃至(10)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
前記左右の綴じ片は、互いに向き合うコの字状断面に形成され、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部に連結された他方の綴じ片の先端部に対する前記基端部におけるコの字状断面底部の深さを、前記背表紙が固定された一方の前記連結部に連結された一方の綴じ片の先端部に対する前記基端部におけるコの字状断面底部の深さより、大きく形成したことを特徴とする。
【0040】
本発明においては、左右の綴じ片は、互いに向き合うコの字状断面に形成され、背表紙が固定されていない他方の連結部に連結された他方の綴じ片の先端部に対する基端部におけるコの字状断面底部の深さを、背表紙が固定された一方の連結部に連結された一方の綴じ片の先端部に対する基端部におけるコの字状断面底部の深さより、大きく形成したので、背表紙を下方に向けて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したとき、一方の綴じ片のコの字状断面底部に対する先端部の幅方向内方への突出量を減少させる一方で、他方の綴じ片のコの字状断面底部に対する先端部の略上方8の突出量を増大させることができる。
【0041】
そのため、綴じた紙葉類を綴じ片から離脱させる場合、又は新しい紙葉類を綴じ片に装着させる場合において、略上方への突出量を増大させた他方の綴じ片の先端部に対して、より多くの紙葉類を一度に着脱させることができる。また、一方の綴じ片のコの字状断面底部に対する先端部の幅方向内方への突出量を減少させたことによって、紙葉類を略上下方向へ移動させる際、紙葉類の一端側が一方の綴じ片の先端部に引っかかる可能性を低減させることができる。その結果、紙葉類を綴じ片に着脱する際の操作性を、より一層に向上させることができる。
【0042】
(12)(1)乃至(11)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
左右の前記連結部に形成された複数の前記軸受け部の内、少なくとも2以上の軸受け部は、左右の前記綴じ片の先端部同士の係合状態で、幅方向で互いに反対方向へ開口する軸受け片が長手方向で連結して形成されていることを特徴とする。
【0043】
本発明においては、左右の連結部に形成された複数の軸受け部の内、少なくとも2以上の軸受け部は、左右の前記綴じ片の先端部同士の係合状態で、幅方向で互いに反対方向へ開口する軸受け片が長手方向で連結して形成されているので、連結部同士の開き角が如何なる角度に変化しても、反対方向へ開口する軸受け片によって、回転中心軸から軸受け片が径方向へ離れることができず、回転中心軸に対する軸受け部の嵌合状態を維持することができる。そのため、左右の綴じ片の先端部同士の係合が解除され、左右の連結部の開き角が略80~100度になっても、回転中心軸に対する軸受け部の嵌合状態を維持することができる。その結果、綴じた紙葉類を綴じ片から離脱させる場合、又は新しい紙葉類を綴じ片に装着させる場合において、綴じ片の先端部同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片の先端部に紙葉類の綴じ孔が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0044】
(13)(1)乃至(12)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
前記回転中心軸は、前記背表紙が固定された一方の前記連結部の幅方向中心線に対して、前記背表紙が固定されていない他方の前記連結部側へ偏心した位置に配置されていることを特徴とする。
【0045】
本発明においては、回転中心軸は、背表紙が固定された一方の連結部の幅方向中心線に対して、背表紙が固定されていない他方の連結部側へ偏心した位置に配置されているので、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除し、左右の連結部の開き角を最大の状態で保持させるストッパ部を、一方の連結部の幅方向側面側と、他方の連結部の背面側に形成することができる。そのため、一方の連結部及び他方の連結部の幅方向の必要な厚さを確保しつつ、長手方向の好適な位置にストッパ部を設けることができる。
【0046】
また、長手方向の好適な位置にストッパ部を設けることによって、左右の連結部同士の開き角を、長手方向で略均等に保持させることができる。その結果、綴じた紙葉類を綴じ片から離脱させる場合、又は新しい紙葉類を綴じ片に装着させる場合において、長手方向の全体における綴じ片の先端部同士の離間距離を略均等に維持して、綴じ片の先端部に紙葉類の綴じ孔が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0047】
(14)(1)乃至(13)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
一方の前記連結部の背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部と、当該基部より幅広に形成された爪部とから成り、当該爪部が基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部が形成され、
前記背表紙には、大径部で前記爪部が通過し、小径部で前記基部と係合した状態で前記爪部に挟まれる異径長孔状の係止孔が形成されていることを特徴とする。
【0048】
本発明においては、一方の連結部の背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部と、当該基部より幅広に形成された爪部とから成り、当該爪部が基部先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部が形成され、背表紙には、大径部で爪部が通過し、小径部で基部と係合した状態で爪部に挟まれる異径長孔状の係止孔が形成されているので、背表紙の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、係止孔の大径部に爪部を通過させた後、背表紙の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、係止孔の小径部に基部を係合した状態で、爪部によって係止孔の小径部を挟み込んで拘束することができる。
【0049】
そのため、背表紙を一方の連結部の背面側に簡単に固定でき、背表紙を固定するための新たな連結部材を、一方の連結部に付設する必要がない。その結果、背表紙を固定する一方の連結部の構造を簡素化して、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返したときにおける、紙葉類の一端側での連結部による表表紙と裏表紙との隙間を最小化でき、折り返した紙葉類に対する筆記時等における違和感(例えば、フワフワ感)をより一層低減できる。
【0050】
また、背表紙の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、大径部の係止孔に爪部を通過させた後、背表紙の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、小径部の係止孔に基部を係合した状態で、爪部によって係止孔を挟み込んで拘束することができるので、背表紙を一方の連結部の背面側に溶着、又はカシメ等によって固定する工程やその設備が不要となり、コストの削減に寄与することもできる。
【0051】
(15)(1)乃至(14)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
前記表表紙の他端側及び前記裏表紙の他端側には、前記紙葉類の他端側を前記表表紙及び前記裏表紙とともに前記綴じ具を支点に略360度開いて折り返したとき、前記紙葉類の他端側の先端部より幅方向で拡張形成された拡張部を長手方向の上部領域に形成し、幅方向で短縮形成された短縮部を長手方向の下部領域に形成し、前記拡張部と前記短縮部とを凹湾曲状に連結する湾曲部を備え、
前記表表紙及び前記裏表紙の両湾曲部は、前記紙葉類の他端側の先端部と交差する位置で、互いに長手方向で位置ずれして形成されていることを特徴とする。
【0052】
本発明においては、 表表紙の他端側及び裏表紙の他端側には、紙葉類の他端側を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類の他端側の先端部より幅方向で拡張形成された拡張部を長手方向の上部領域に形成し、幅方向で短縮形成された短縮部を長手方向の下部領域に形成し、拡張部と短縮部とを凹湾曲状に連結する湾曲部を備え、表表紙及び裏表紙の両湾曲部は、紙葉類の他端側の先端部と交差する位置で、互いに長手方向で位置ずれして形成されているので、長手方向で突出する湾曲部の一方に、指を掛けることによって、略360度折り返した表表紙と裏表紙とを、元の閉じた状態へ簡単に戻すことができる。そのため、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルにおいて、略360度折り返した表表紙と裏表紙とを、元の閉じた状態へ戻す操作性についても良好なファイルを提供することができる。
【0053】
(16)(1)乃至(15)のいずれか1つに記載されたファイルにおいて、
JIS規格の用紙より綴じ孔が少なく形成された紙葉類を備えていることを特徴とする。
【0054】
本発明においては、JIS規格の用紙より綴じ孔11が少なく形成された紙葉類1を備えているので、紙葉類1を綴じ片2Tに沿って略360度折り返す際、又は綴じ片2Tに対して紙葉類1を着脱させる際などで、紙葉類1が折れ曲がりにくくなり、紙葉類1の操作性を向上させることができる。さらに、紙葉類1が折れ曲がりにくくなるので、コピー機等で原紙として挿入しても、紙詰まりを起こしにくいという利点もある。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルにおいて、綴じ具における綴じ片の先端部同士の係合を解除させ、紙葉類を綴じ片に着脱する際の操作性が良好なファイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本実施形態に係るファイルの側面図である。
図2図1に示すファイルにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略180度開いた状態の正面図である。
図3図1に示すファイルにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態の図面であって、(A)は断面図を示し、(B)は(A)に示すB矢視図を示す。
図4図1に示すA-A断面図である。
図5図4に示すC矢視図である。
図6図5に示すC-C断面図である。
図7図1に示すファイルにおいて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの要部断面図であって、(A)は背表紙を略下方に向け場合の断面図を示し、(B)は背表紙を略側方に向けた場合の断面図を示す。
図8図7に示す綴じ具における正面図である。
図9図8に示すD-D断面において、左右の綴じ片の先端部同士を係合させたときの断面図である。
図10図8に示す綴じ具の斜視図である。
図11図10に示す綴じ具のカム面が形成された軸受け部の拡大詳細図であって、(A)は左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの正面図を示し、(B)は左右の綴じ片の先端部同士を係合したときの正面図を示す。
図12図10に示す綴じ具の分解斜視図である。
図13図12に示すE部の拡大斜視図であって、(A)は綴じ具の外周側から見た斜視図を示し、(B)は綴じ具の内周側から見た斜視図を示す。
図14図12に示すF部の拡大斜視図であって、(A)は綴じ具の外周側から見た斜視図を示し、(B)は綴じ具の内周側から見た斜視図を示す。
図15図9に示す綴じ具の拡大正面である。
図16図15に示す綴じ具の断面図であって、(A)はG-G断面図を示し、(B)はH-H断面図を示し、(C)はI-I断面図を示す。
図17図15に示す綴じ具において、綴じ片の先端部が係合位置より行き過ぎたときの状態を表す正面図である。
図18図9に示す綴じ具の変形例の拡大正面である。
図19図18に示す綴じ具の係合部における拡大図であって、(A)は係合部の正面図を示し、(B)は係合部の水平断面図を示す。
図20図2に示すファイルにおいて、紙葉類の綴じ孔を減少させた変形例の正面図である。
図21】特許文献1に記載されたファイルにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態の断面図である。
図22図21に示すファイルにおける綴じ具の部分拡大斜視図である。
図23】他の綴じ具の断面図であって、(A)は綴じ片の先端部が係合された状態の断面図を示し、(B)は綴じ片の先端部の係合が解除された状態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
はじめに、本実施形態に係るファイルにおける全体構造を詳細に説明する。次に、本ファイルの綴じ具における構造と動作方法を詳細に説明する。
【0058】
<本ファイルにおける全体構造>
まず、本実施形態に係るファイルにおける全体構造について、図1図4を用いて詳細に説明する。図1に、本実施形態に係るファイルの側面図を示す。図2に、図1に示すファイルにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略180度開いた状態の正面図を示す。図3に、図1に示すファイルにおいて、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返した状態の図面を示し、(A)は断面図を示し、(B)は(A)に示すB矢視図を示す。図4に、図1に示すA-A断面図を示す。
【0059】
図1図4に示すように、本実施形態のファイル10は、紙葉類1の一端側を綴じ込む綴じ具2と、綴じ具2に装着され紙葉類1を外側から保護する表表紙31と裏表紙32と、表表紙31と裏表紙32とを接続する背表紙33とを備え、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32と共に綴じ具2を支点に360度開いて折り返すことができるファイル10である。なお、本実施形態のファイル10には、図1図4に示すように紙葉類1が綴じられているが、紙葉類1が綴じられていないものも含まれる。
【0060】
紙葉類1は、例えば、A4、B5等(JIS規格)の各種サイズの用紙であって、紙葉類1の一端側には、綴じ具2の綴じ片2Tを挿通する綴じ孔11が、複数(例えば、30個)形成されている。綴じ具2の綴じ片2Tは、先端部2ST(2STa、2STb)が係合・離間可能に形成されている。また、各綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)が、長手方向に延設された左右の連結部21(21a、21b)に適宜の間隔で連結されている。綴じ具2の各綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、紙葉類1の綴じ孔11に長手方向で1つおきに挿通されるように、形成されている。
【0061】
また、図1図2に示すように、綴じ具2の連結部21(21a、21b)の長手方向の長さは、紙葉類1の長手方向の長さより短く形成されている。紙葉類1の長手方向の両端部近傍の複数(例えば、2個)の綴じ孔11に対しては、挿通可能な綴じ片2T(2Ta、2Tb)が形成されていない。また、紙葉類1の長手方向の中央部近傍の複数(例えば、8個)の綴じ孔11に対しても、挿通可能な綴じ片2T(2Ta、2Tb)が形成されていない。
【0062】
また、表表紙31と裏表紙32と背表紙33は、一体に形成され、互いにインテグラルヒンジで、折り曲げ可能に形成されている。インテグラルヒンジは、背表紙33が固定された一方の連結部21aの背面における幅方向両角部と当接する位置に形成されていることが好ましい。また、表表紙31と裏表紙32には、表表紙31及び裏表紙32を閉じたときに、綴じ具2の綴じ片2Tに挿通する挿通孔311、321が形成されている。表表紙31及び裏表紙32表表紙31及び裏表紙32を360度開いて折り返すときには、挿通孔311、321が綴じ具2の綴じ片2Tから離脱する。表表紙31及び裏表紙32の挿通孔311、321は、幅方向(開き方向)で横長の略長円状に形成されると共に、綴じ片2Tとの干渉を避けるため、幅方向先端側が僅かに鍵型に屈曲して形成されていることが好ましい。なお、綴じ片2Tの詳細な構造については、後述する。
【0063】
また、図1図3に示すように、表表紙31の他端側の先端部312及び裏表紙32の他端側の先端部322には、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12と略揃うように幅方向で短縮形成された短縮部31S、32Sを、長手方向の適宜領域に備えていることが好ましい。この場合、図3に示すように、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、短縮部31S、32Sが掌に閊えることがなく、紙葉類1の他端側を片手で安定して持つことができる。
【0064】
例えば、表表紙31の他端側及び裏表紙32の他端側には、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12より幅方向で拡張形成された拡張部312、322を長手方向の上部領域に形成し、幅方向で短縮形成された短縮部31S、32Sを長手方向の下部領域に形成し、拡張部312、322と短縮部31S、32Sとを凹湾曲状に連結する湾曲部31SW、32SWを備え、表表紙31及び裏表紙32の両湾曲部31SW、32SWは、紙葉類1の他端側の先端部12と交差する位置で、互いに長手方向で位置ズレして形成されていることが好ましい。この場合、図3(B)に示すように、長手方向で突出する湾曲部31SW、32SWの一方に、指を掛けることによって、略360度折り返した表表紙31と裏表紙32とを、元の閉じた状態へ簡単に戻すことができる。
【0065】
なお、図1図4に示すように、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)では、表表紙31の他端側の拡張部312及び裏表紙32の他端側の拡張部322は、短縮部31S、32Sに対して僅かに長く、また、紙葉類1の他端側の先端部12に対して僅かに短く形成しても良い。この場合、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12に対する、表表紙31の他端側の拡張部312及び裏表紙32の他端側の拡張部322の出っ張り量が減少する。そのため、短縮部31S、32S以外の箇所でも、紙葉類1の他端側を片手で把持することも可能となり、略360度開いたときの把持領域を自由に選択できて、利便性が向上する。
【0066】
ただし、綴じ具2に対して紙葉類1等が正常に綴じられた状態(略360度折り返す前の状態)で、表表紙31の他端側の拡張部312及び裏表紙32の他端側の拡張部322を、紙葉類1の他端側の先端部12に対して短く形成した場合には、表表紙31及び裏表紙32によって保護されない個所で、紙葉類1の汚れや損傷等が生じる恐れがある。これを防止するため、表表紙31と紙葉類1との間、及び裏表紙32と紙葉類1との間に、紙葉類1と同サイズの台紙1Dを装着することが好ましい。台紙1Dは、紙葉類1を保護する厚紙又は樹脂等の素材で形成されていれば良い。
【0067】
また、図1に示すように、背表紙33の長手方向中央部には、ラベル用シール34が貼着されていることが好ましい。ラベル用シール34は、背表紙33を跨いで表表紙31の一端側から裏表紙32の一端側まで貼着されていることが好ましい。この場合、ラベル用シール34には、背表紙33の部分と表表紙31及び裏表紙32の部分に、それぞれファイル名称等を記載できる。そのため、本ファイル10を書棚等に格納したときに限らず、本ファイル10を机等に載置したり、手で把持しているときにも、ラベル用シール34に記載したファイル名称等を見ることができ、本ファイル10を識別する利便性が向上する。
【0068】
なお、図4に示すように、表表紙31の背表紙33近傍、及び裏表紙32の背表紙33近傍にも、インテグラルヒンジを追加しても良い。綴じ片2T(2Ta、2Tb)に綴じる紙葉類1の枚数が増加したときには、背表紙33近傍のインテグラルヒンジによって、表表紙、及び/又は、裏表紙を鈍角で面取り状に折り曲げることができ、表表紙、裏表紙の湾曲状の膨らみを回避できるのみならず、背表紙33の幅が面取り部まで見かけ上拡大するので、ラベル用シール34の背表紙33の部分に記載するファイル名称等を拡大して見易くさせることができる。
【0069】
また、図1図2に示すように、表表紙31と裏表紙32の長手方向の長さは、紙葉類1の長手方向の長さと略同一に形成されていることが好ましい。前述したように、綴じ具2の長手方向の長さは、紙葉類1の長手方向の長さより、短く形成されている。そのため、小さ目の鞄やザックにも、必要な大きさの紙葉類1を綴じたファイル10を楽に収納することができる。また、背表紙33の長手方向の長さは、表表紙31及ぶ裏表紙32の長手方向の長さより短く形成され、背表紙33の長手方向端部と接続される表表紙31及び裏表紙32の角部は、円弧状に形成されていることが好ましい。これより、表表紙31及び裏表紙32の角部に手が触れても痛くなく、本ファイル10を小さめの鞄等に収納しても、角部によって鞄等が傷つく恐れを低減できる。
【0070】
<本ファイルの綴じ具における構造と動作方法>
次に、本実施形態に係るファイルの綴じ具における構造と動作方法について、図1図17を用いて詳細に説明する。図5に、図4に示すB矢視図を示す。図6に、図5に示すC-C断面図を示す。図7に、図1に示すファイルにおいて、表表紙と裏表紙とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの要部断面図を示し、(A)は背表紙を下方に向け場合の断面図を示し、(B)は背表紙を側方に向けた場合の断面図を示す。図8に、図7に示す綴じ具における正面図を示す。図9に、図8に示すD-D断面において、左右の綴じ片の先端部同士を係合させたときの断面図を示す。図10に、図8に示す綴じ具の斜視図を示す。図11に、図10に示す綴じ具のカム面が形成された軸受け部の拡大詳細図を示し、(A)は左右の綴じ片の先端部同士の係合を解除したときの正面図を示し、(B)は左右の綴じ片の先端部同士を係合したときの正面図を示す。図12に、図10に示す綴じ具の分解斜視図を示す。図13に、図12に示すE部の拡大斜視図を示し、(A)は綴じ具の外周側から見た斜視図を示し、(B)は綴じ具の内周側から見た斜視図を示す。図14に、図12に示すF部の拡大斜視図を示し、(A)は綴じ具の外周側から見た斜視図を示し、(B)は綴じ具の内周側から見た斜視図を示す。図15に、図9に示す綴じ具の部分拡大正面を示す。図16に、図15に示す綴じ具の断面図を示し、(A)はG-G断面図を示し、(B)はH-H断面図を示し、(C)はI-I断面図を示す。図17に、図15に示す綴じ具において、綴じ片の先端部が係合位置より行き過ぎたときの状態を表す正面図を示す。
【0071】
図1図17に示すように、本実施形態に係るファイル10の綴じ具2には、紙葉類1の一端側に形成された複数の綴じ孔11に挿通され、幅方向内方へ向いた先端部2ST(2STa、2STb)同士を係合したとき略四角環状に形成された左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)と、各綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)を長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部21(21a、21b)と、左右の連結部21(21a、21b)にそれぞれ形成され、長手方向で交互に配置された複数の軸受け部22(22a、22b)と、各軸受け部22(22a、22b)に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸23と、左右の連結部21(21a、21b)の間に装着されたバネ部材24と、を備えている。各綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)は、左右の連結部21(21a、21b)の側壁から幅方向外方へ向けて突設されている。
【0072】
また、図7図10に示すように、左右いずれか一方の連結部21aの背面側には、背表紙33が固定され、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、背表紙33が固定された一方の連結部21aと、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bとは、バネ部材24の付勢力によって、回転中心軸23に対する互いの開き角αが略80~100度の状態まで回動可能に形成されている。ここで、開き角αは、略90度程度がより好ましい。バネ部材24は、後述するように、圧縮捻りコイルバネ24N又は圧縮コイルバネ24Mが好ましいが、他の種類のバネ(例えば、捻りコイルバネ、引張りバネ等)を用いることもできる。また、異なる種類のバネ部材24を組み合わせても良い。
【0073】
例えば、図7(A)に示すように、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は、新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、背表紙33を略下方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、他方の連結部21bは、表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33の影響を受けにくいことから、主にバネ部材24の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、略上方へ向いた姿勢に自動的に回動される。これに対して、背表紙33が固定された一方の連結部21aは、略180度開いた状態の表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33によって、回動を規制又は制限されることになる。そのため、一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の幅方向内方へ向いた姿勢で略維持されやすい。
【0074】
また、図7(B)に示すように、背表紙33を略側方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、他方の連結部21bは、表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33の影響を受けにくいことから、主にバネ部材24の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、略横方向へ向いた姿勢に自動的に回動される。これに対して、背表紙33が固定された一方の連結部21aは、略180度開いた状態の表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33によって、回動を規制又は制限されることになる。そのため、一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の略上方へ向いた姿勢で略維持されやすい。
【0075】
したがって、紙葉類1を水平状の姿勢で把持し、略上方へ向いた姿勢の他方の綴じ片2Tbの先端部2STb(又は一方の綴じ片2Taの先端部2STa)に対して、紙葉類1の一端側に形成された綴じ孔11を略上下方向に通過させることによって、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から簡単に離脱、又は紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に簡単に装着させることができる。よって、紙葉類1の離脱又は装着時において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性を大幅に低減させることができる。その結果、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に着脱する際の操作性を大幅に向上させることができる。
【0076】
また、図9図10図12に示すように、バネ部材24は、長手方向で交互に配置された左右の軸受け部22(22a、22b)の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸23の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネ24Nであり、圧縮捻りコイルバネ24Nの一方の端縁アーム部241は、背表紙33が固定された一方の連結部21aを背面側へ付勢し、圧縮捻りコイルバネ24Nの他方の端縁アーム部242は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ付勢していることが好ましい。なお、圧縮捻りコイルバネ24Nの他方の端縁アーム部242は、他方の連結部21bの内側面側及び正面側に当接するように、略L字状に形成されていることが好ましい。この場合、他方の連結部21bに対する圧縮捻りコイルバネ24Nの装着位置が安定し、圧縮捻りコイルバネ24Nの軸中心に、回転中心軸23を簡単に挿通することができる。
【0077】
ここでは、圧縮捻りコイルバネ24Nは、連結部21(21a、21b)の長手方向の中央部近傍に1つ装着されているが、2つ以上装着しても良い。また、圧縮捻りコイルバネ24Nの装着位置は、必ずしも長手方向の中央部近傍に限らなくても良い。また、圧縮捻りコイルバネ24Nにおける、長手方向(軸方向)に伸長しようとする付勢力Qは、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士を係合させる方向に作用し、また、周方向に捻る付勢力Rは、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除させる方向に作用する。
【0078】
そのため、直接的に又は間接的に、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)又は左右の連結部21(21a、21b)を長手方向で互いに反対側へ移動させることによって、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除すれば、圧縮捻りコイルバネ24の捻り方向の付勢力Rによって、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)が、自動的に幅方向へ離間する。
【0079】
この場合、圧縮捻りコイルバネ24Nの一方の端縁アーム部241は、背表紙33が固定された一方の連結部21aを背面側へ付勢し、圧縮捻りコイルバネ24Nの他方の端縁アーム部242は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ付勢しているので、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24Nによる捻り方向の付勢力Rの大部分は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ回動させるモーメント力として作用する。
【0080】
そのため、例えば、図7(A)に示すように、背表紙33を略下方に向けた場合、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、圧縮捻りコイルバネ24Nの捻り方向の付勢力Rによって、安定して略上方へ向いた姿勢に保持される。これに対して、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の幅方向内方へ向いた姿勢で略安定して維持される。また、図7(B)に示すように、背表紙33を略側方に向けた場合、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、略横方向へ向いた姿勢に自動的に回動される一方で、一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の略上方へ向いた姿勢で略安定して維持される。
【0081】
したがって、紙葉類1を水平状の姿勢で把持し、安定して略上方へ向いた姿勢の他方の綴じ片2Tbの先端部2STb(又は一方の綴じ片2Taの先端部2STa)に対して、紙葉類1の一端側に形成された綴じ孔11を略上下方向に通過させることによって、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)からより簡単に離脱、又は紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)により簡単に装着させることができる。その結果、紙葉類1の離脱又は装着時において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層に低減させて、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に着脱する際の操作性を更に向上させることができる。
【0082】
また、図8図12に示すように、隣接する軸受け部22(22a、22b)の長手方向端面には、回転中心軸23に対して傾斜状に形成されたカム面221(221a、221b)をそれぞれ設け、カム面221(221a、221b)は、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されていることが好ましい。
【0083】
ここで、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合が解除されたときは、図11(A)に示すように、背表紙33が固定された一方の連結部21aに形成された軸受け部22aのカム面221aと、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに形成された軸受け部22bのカム面221bとは、正面視において、回転中心軸23に対して略45~50度程度の傾斜角で傾斜して、互いに当接している。
【0084】
これに対して、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士が係合されているときは、左右の連結部21(21a、21b)の開き角αが、零に戻るため、図11(B)に示すように、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに形成された軸受け部22bのカム面221bは、背表紙33が固定された一方の連結部21aに形成された軸受け部22aのカム面221aに対して、互いの傾斜方向が略直交する位置まで回動し、互いに離間している。
【0085】
したがって、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、カム面221(221a、221b)同士の当接に伴い、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが、カム面221(221a、221b)が形成された軸受け部22(22a、22b)に伝達される。そのため、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが伝達された軸受け部22(22a、22b)を介して、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを最大の状態で保持する保持力を増強させることができる。
【0086】
これによって、多少の外力が作用しても、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを最大の状態で維持させることができる。その結果、図7に示すように、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態(先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間距離や先端部2ST(2STa、2STb)の姿勢等)をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。また、紙葉類1の綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に引っかかって、先端部2ST(2STa、2STb)同士の隙間を狭くさせる不具合を回避できる。
【0087】
なお、本実施形態の変形例として、バネ部材24は、長手方向で交互に配置される軸受け部22(22a、22b)の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸23の外周側に螺旋状に捲回された圧縮コイルバネ24Mであっても良い。この場合には、前述したように、隣接する軸受け部22(22a、22b)の長手方向端面には、回転中心軸23に対して傾斜状に形成されたカム面221(221a、221b)をそれぞれ設け、カム面221(221a、221b)は、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されている必要がある。
【0088】
この場合には、圧縮コイルバネ24Mとカム面221(221a、221b)とが協働することによって、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、カム面221(221a、221b)同士の当接に伴い、圧縮コイルバネ24Mの長手方向へ伸長する付勢力Qが、カム面221(221a、221b)が形成された軸受け部22(22a、22b)に、回転力として伝達される。そして、圧縮コイルバネ24Mが長手方向へ伸長する付勢力Qに基づいて、一方の連結部21aと他方の連結部21bとは、回転中心軸23に対する互いの開き角αを最大の状態で保持させることができる。また、紙葉類1の綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に引っかかって、先端部2ST(2STa、2STb)同士の隙間を狭くさせる不具合を回避できる。
【0089】
その結果、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間距離及び先端部2ST(2STa、2STb)の姿勢を確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0090】
また、図7図12に示すように、カム面221(221a、221b)を設けた軸受け部22(22a、22b)は、少なくとも連結部21(21a、21b)における長手方向の端部近傍に設けたことが好ましい。その場合、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)の長手方向へ伸長する付勢力Qが、長手方向の端部近傍のカム面221(221a、221b)に直接作用して、綴じ具2の長手方向の端部近傍においても、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができる。
【0091】
そのため、図7に示すように、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、長手方向の端部近傍における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間距離及び先端部2ST(2STa、2STb)の姿勢を維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0092】
なお、カム面221(221a、221b)を設けた軸受け部22(22a、22b)は、連結部21(21a、21b)における長手方向の端部近傍に加えて、長手方向の中央部近傍にも設けることが好ましい。左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)の長手方向へ伸長する付勢力Qが、長手方向の端部近傍及び長手方向の中央部近傍の各カム面221(221a、221b)に直接作用して、綴じ具2の長手方向の全体で、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができる。
【0093】
また、カム面221(221a、221b)を設けた軸受け部22(22a、22b)は、少なくとも連結部21(21a、21b)における長手方向の端部近傍に設けたことによって、綴じ具2の長手方向の端部近傍における、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができるので、連結部21(21a、21b)の長手方向における捻じり剛性を補完することができる。そのため、例えば、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)をよりコンパクト(例えば、バネ径及び線径の縮小、バネ長さの縮小等)に形成して、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向寸法)を極力薄く形成することができる。したがって、図3(A)に示すように、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32と共に綴じ具2を支点に360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21(21a、21b)による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを縮小でき、表表紙31と裏表紙32とが密着できる範囲を拡大できる。その結果、折り返した紙葉類1に対する筆記時等における違和感(例えば、フワフワ感)を低減できる。
【0094】
また、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向寸法)を極力薄く形成することによって、表表紙31と裏表紙32とを元の閉じた状態に戻したときの本ファイル10の厚みを、表表紙31及び裏表紙32の厚みと紙葉類1の厚みとを加えた程度とすることができ、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向寸法)に影響されることなく、本ファイル10を書棚等に整列して効率的に収納することができる。この場合、ファイル10の背表紙33は、隣接するファイル10によって隠れることがない。そのため、背表紙33に貼着したラベル用シール34に記載したファイル名等が見易くなり、収納した本ファイル10の識別性を向上させることができる。
【0095】
なお、一般に、圧縮捻りコイルバネ24Nをコンパクトにすると、捻り方向の付勢力Rも弱くなり、一方の連結部21aと他方の連結部21bとの開き角αを最大の状態で保持させることが難しくなる。そのため、従来の構造では、上記開き角αを最大の状態で保持させるため、圧縮捻りコイルバネ24Nを大型化せざるを得ず、その場合、大きな付勢力に対する連結部21(21a、21b)の変形を防止するため、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向寸法)を薄く形成することができなかった。
【0096】
また、図7図9に示すように、本綴じ具2における左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合うコの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおけるコの字状断面底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおけるコの字状断面底部2KTaの深さd1より、大きく形成したことが好ましい。
【0097】
この場合、背表紙33を略下方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STb同士の係合を解除したとき、一方の綴じ片2Taのコの字状断面底部2KTaに対する先端部2STaの幅方向内方への突出量を減少させる一方で、他方の綴じ片2Tbのコの字状断面底部2KTbに対する先端部2STbの略上方への突出量を増大させることができる。
【0098】
そして、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、略上方への突出量を増大させた他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対して、より多くの紙葉類1を一度に着脱させることができる。また、一方の綴じ片2Taのコの字状断面底部2KTaに対する先端部2STaの幅方向内方への突出量を減少させたことによって、紙葉類1を略上下方向へ移動させる際、紙葉類1の一端側が一方の綴じ片2Taの先端部2STaに引っかかる可能性を低減させることができる。その結果、紙葉類1を綴じ片2Tに着脱する際の操作性を、より一層に向上させることができる。
【0099】
なお、図4に示すように、コの字状断面底部2KTa、2KTbは、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において、左右の連結部21(21a、21b)より幅方向外方で、互いに略平行になるように形成されていることが好ましい。これによって、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の幅方向寸法を最小化しつつ、より多くの紙葉類1を綴じることができる。この場合でも、コの字状断面に形成された左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の角部(屈曲部)を円弧状に形成することが好ましい。これによって、より多くの紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して360度折り返す際にも、綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の角部(屈曲部)に引っかかることなく、スムーズに折り返すことができる。
【0100】
また、図9に示すように、他方の綴じ片2Tbでは、他方の連結部21bの側壁から斜め外方へ突出した基端部2LTbの付け根部とコの字状断面底部2KTbとが交差する位置の内角βは、100~120度程度の鈍角で形成されていることが好ましい。この場合、多くの紙葉類1を、深さd2の深いコの字状断面底部2KTbを経由して360度折り返す際の、綴じ孔11の変形等を回避しやすい等の利点がある。その結果、紙葉類1を360度折り返す際の操作性を、より一層に向上させることができる。
【0101】
また、図12に示すように、左右の連結部21(21a、21b)に形成された複数の軸受け部22(22a、22b)の内、少なくとも2以上の軸受け部22(22a、22b)は、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STb同士の係合状態で、幅方向で互いに反対方向へ開口する軸受け片22Na、22Ma、22Nb、22Mbが長手方向で連結して形成されていることが好ましい。
【0102】
例えば、一方の連結部21aに形成された軸受け部22aには、幅方向内方へ略U字状に開口する軸受け片22Naと、幅方向外方へ略U字状に開口する軸受け片22Maとが、長手方向で連結された軸受け部22aが、2以上形成されている。また、他方の連結部21bに形成された軸受け部22bには、幅方向内方へ略U字状に開口する軸受け片22Nbと、幅方向外方へ略U字状に開口する軸受け片22Mbとが、長手方向で連結された軸受け部22bが、2以上形成されている。なお、一方の連結部21aの長手方向端部に形成された軸受け部22aには、回転中心軸23の抜け止め用リブ22Taが形成されている。抜け止め用リブ22Taには、回転中心軸23を撓ませながら挿通できる切欠き溝221Taが形成されている。したがって、回転中心軸23が軸受け部22(22a、22b)から勝手に抜け出ることを防止できる。
【0103】
これによって、図7図9に示す連結部21(21a、21b)同士の開き角αが如何なる角度に変化しても、互いに反対方向へ開口する軸受け片22Na、22Ma、22Nb、22Mbによって、回転中心軸23から軸受け片22Na、22Ma、22Nb、22Mbが径方向へ離れることができず、回転中心軸23に対する軸受け部22(22a、22b)の嵌合状態を常に維持することができる。また、幅方向で互いに反対方向へ開口する軸受け片22Na、22Ma、22Nb、22Mbが長手方向で連結することによって、それぞれの開口部の強度を高めることもできる。
【0104】
そのため、図7図9に示すように、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STb同士の係合が解除され、左右の連結部21(21a、21b)の開き角αが略80~100度になっても、回転中心軸23に対する軸受け部22(22a、22b)の嵌合状態を正常に維持することができる。その結果、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STb同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STbに紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0105】
また、図7図9図12に示すように、本綴じ具2では、回転中心軸23は、背表紙33が固定された一方の連結部21aの幅方向中心線CLに対して、背表紙33が固定されていない他方の連結部21b側へ所定幅d3だけ偏心した位置に配置されていることが好ましい。この場合、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STb同士の係合を解除し、左右の連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させるストッパ部212a、212bを、一方の連結部21aの幅方向側面側と、他方の連結部21bの背面側に形成することができる。そのため、一方の連結部21a及び他方の連結部21bにおける幅方向の強度上必要な厚さを確保しつつ、長手方向の好適な位置にストッパ部212a、212bを設けることができる。
【0106】
また、連結部21(21a、21b)の長手方向の好適な位置に、ストッパ部212a、212bを設けることによって、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを、長手方向で略均等に保持させることができる。その結果、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STb同士の離間状態を、綴じ具2の長手方向で略均等に維持して、綴じ片2Tbの先端部2STbに紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0107】
また、図1図5図6に示すように、本綴じ具2では、一方の連結部21aの背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部211Pと、当該基部211Pより幅広に形成された爪部211Tとから成り、当該爪部211Tが基部211P上端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部211が形成され、また、背表紙33には、大径部331で爪部211Tが通過し、小径部332で基部211Pと係合した状態で爪部211Tに挟まれる異径長孔状の係止孔33Hが形成されていることが好ましい。
【0108】
この場合、例えば、一方の連結部21aの背面と背表紙33の長手方向中央部との間にスペース材(図示しない)を挿入して、背表紙33の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、係止孔33Hの大径部331に爪部211Tを通過させた後、スペース材を外して、背表紙33の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、係止孔33Hの小径部332に基部211Pを係合した状態で、爪部211Tによって係止孔33Hの小径部332を挟み込んで拘束することができる。なお、爪部221Tは、長手方向で長円状に形成されていることが好ましい。
【0109】
これによって、背表紙33を一方の連結部21aの背面側に簡単に固定でき、背表紙33を固定するための新たな固定部材を、一方の連結部21aに付設する必要がない。その結果、背表紙33を固定する一方の連結部21aの構造を簡素化して、図3に示すように、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21(21a、21b)による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを最小化でき、表表紙31と裏表紙32との密着させる範囲を拡大させることができるので、折り返した紙葉類1に対する筆記時等における違和感(フワフワ感)をより一層低減できる。
【0110】
また、背表紙33の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、係止孔33Hの大径部331に爪部211Tを通過させた後、背表紙33の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、係止孔33Hの小径部332に基部211Pを係合した状態で、爪部211Tによって係止孔33Hの小径部332を挟み込んで拘束することができるので、背表紙33を一方の連結部21aの背面側に溶着、又はカシメ等によって固定する工程やその設備が不要となり、コストの削減に寄与することもできる。
【0111】
なお、鉤爪状係止部211は、基部211Pと爪部211Tとが連結して、側面視でL字状に形成されている。小径部332は、大径部331の長手方向中央側に接続されている。一方の連結部21aの背面側には、基部211Pの周囲に、爪部211Tの外方への突出量を最小化させつつ、係止孔33Hを挿入しやすいように、僅かな窪み部21Hが形成されている。なお、窪み部21Hを形成することによって、一方の連結部21aの背面と爪部211Tの内面との隙間を増大させるので、当該箇所における成形型の肉厚を増大でき、その強度及び耐久性を確保することができる。
【0112】
また、背表紙33の長手方向中央部には、ラベル用シール34を貼着するスペースを確保するため、鉤爪状係止部211は、一方の連結部21aの長手方向中央部には形成されていない。ここでは、図1に示すように、一方の連結部21aの背面側には、長手方向中央部を除き、長手方向中央部に対して対称な箇所であって、互いに近接した位置に配置された2つの鉤爪状係止部211が、長手方向の中央部寄りと端部寄りの箇所にそれぞれ形成されている。これによって、背表紙33は、一方の連結部21aに対して、装着しやすく、且つ外れにくくなっている。2つの鉤爪状係止部211を互いに近接して配置することによって、背表紙33を装着したときの見栄えも向上する。
【0113】
また、図2図9図15に示すように、本綴じ具2では、左右の綴じ片2Ta、2Tbの基端部2LTa、2LTb(2KTa、2KTb)が、左右の綴じ片2Ta、2Tbにおける長手方向の板幅d4以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成されていることが好ましい。また、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STbは、基端部2LTa、2LTbの先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設された位置から長手方向へ傾斜した傾斜部2QTa、2QTbで互いに係合する係合部2GTa、2GTbが形成されていることが好ましい。これによって、本綴じ具2を備えた複数のファイル10を幅方向で重ね合わせて書棚等に収納する時に、隣接するファイル10の綴じ具2同士の干渉を避けることができ、書棚等におけるファイル収納数を増加させることができる。
【0114】
また、図12図17に示すように、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STbに形成した係合部2GTa、2GTbには、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向へ山型に突出する凸部2GT1a、2GT1bが先端側に形成され、相手方の凸部2GT1a、2GT1bに対して傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向で係合する凹部2GT2a、2GT2bと、相手方の凸部2GT1a、2GT1bに対して傾斜部2QTa、2QTbの板内外方向で係合する受け部2GT3a、2GT3bとが基端側に形成されていることが好ましい。凸部2GT1a、2GT1bの板内側には、受け部2GT3a、2GT3bと当接可能に形成された当て面2GT12a、2GT12bが形成されている。これによって、係合部2GTa、2GTb同士が、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向と板内外方向で確実に係合し、不用意な係合の解除を回避することができる。そのため、安心して、紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返すことができる。
【0115】
また、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STbに形成した係合部2GT(2GTa、2GTb)の内、一方の係合部2GTaには、凸部2GT1aと受け部2GT3aとを連結する縦壁部2GT4aが凸部2GT1aと受け部2GT3aの境界部に沿って形成され、他方の係合部2GTbには、凸部2GT1bと受け部2GT3bとの間に縦壁部2GT4aを逃げる溝部2GT4bが先端部2STbの板外面から板内面まで形成されていることが好ましい。この場合、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士を係合させる際、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、凸部2GT1a、2GT1bが幅方向で行き過ぎて戻らないという不具合を、縦壁部2GT4aによって効果的に回避できる。
【0116】
すなわち、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)では、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)の長手方向に伸長しようとする付勢力Qによって、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士が、長手方向で互いに当接するように押圧されている。そのため、縦壁部2GT4aが形成されていない場合には、係合部2GT(2GTa、2GTb)の凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合、凸部2GT1a、2GT1bの山頂部2GT11(2GT11a、2GT11b)が、先端部2STa、2STbにおける幅方向から長手方向へ傾斜した傾斜部2QT(2QTa、2QTb)の側壁に引っ掛かって、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に戻らない場合がある。そして、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に戻らない状態で、紙葉類1を略360度折り返そうとすると、紙葉類1の綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STbを通過せず、紙葉類1が破れたりする不具合があった。
【0117】
しかしながら、ここでは、係合部2GT(2GTa、2GTb)の内、一方の係合部2GTaには、凸部2GT1aと受け部2GT3aとを連結する縦壁部2GT4aが凸部2GT1aと受け部2GT3aの境界部に沿って形成されているので、凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合でも、縦壁部2GT4aによって厚肉化された凸部2GT1aの山頂部2GT11aが、相手方の先端部2STbにおける傾斜部2QTbの側壁全体に当接するので、滑りやすくなり、凸部2GT1aの山頂部2GT11aが相手方の傾斜部2QTbに引っ掛かりにくくなる。これによって、凸部2GT1a、2GT1bは、相手方の凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に簡単に戻ることができる。そのため、綴じ具2における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に形成された係合部2GT(2GTa、2GTb)の係合及び解除の操作を、より一層楽に行うことができる。また、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に簡単に戻るので、紙葉類1を略360度折り返す際、紙葉類1の綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STbをスムーズに通過でき、紙葉類1が破れる不具合を防止できる。
【0118】
また、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6は、互いに相違するように形成され、突出量d5の大きい凸部2GT1aは、正面視で、略台形状に形成され、突出量d6の小さい凸部2GT1bは、同じく正面視で、略三角形状に形成されていることが好ましい。係合部2GT(2GTa、2GTb)同士を係合させる際、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、凸部2GT1a、2GT1bが幅方向で行き過ぎて戻らないという不具合を、凸部2GT1a、2GT1bの突出量d5、d6の相違より効果的に回避できる。
【0119】
すなわち、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)では、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)の長手方向に伸長しようとする付勢力Qによって、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士が、長手方向で互いに当接するように押圧されている。そのため、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6が同一に形成されている場合には、係合部2GT(2GTa、2GTb)の凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合、左右両方の凸部2GT1a、2GT1bの山頂部2GT11a、2GT11bが、相手方の先端部2STa、2STbにおける幅方向から長手方向へ傾斜した傾斜部2QT(2QTa、2QTb)に引っ掛かって、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に、より一層戻りにくくなる。
【0120】
しかしながら、ここでは、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6は、互いに相違するように形成され、突出量d5の大きい凸部2GT1aは、略台形状に形成され、突出量d6の小さい凸部2GT1bは、略三角形状に形成されているので、凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合でも、突出量d5の大きい凸部2GT1aのみが、相手方の先端部2STbおける傾斜部2QTbに当接し、突出量d6の小さい凸部2GT1bは、相手方の先端部2STaおける傾斜部2qTaに当接しない。また、突出量d5が大きい凸部2GT1aは、略台形状に形成されているので、傾斜部2QTbに対して滑りやすくなり、凸部2GT1aの山頂部2GT11aが相手方の傾斜部2QTbに引っ掛かりにくくなる。これによって、凸部2GT1a、2GT1bは、相手方の凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に簡単に戻ることができる。そのため、綴じ具2における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STbに形成された係合部2GT(2GTa、2GTb)の係合及び解除の操作を、より一層楽に行うことができる。
【0121】
<作用効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るファイル10によれば、綴じ具2には、紙葉類1と表表紙31と裏表紙32の一端側にそれぞれ形成された綴じ孔11、311、321に挿通され、幅方向内方へ向いた先端部2ST(2STa、2STb)同士を係合したとき略四角環状に形成された複数の綴じ片2T(2Ta、2Tb)と、各綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)を長手方向に適宜の間隔で連結する左右の連結部21(21a、21b)と、左右の連結部21(21a、21b)にそれぞれ形成され、長手方向で交互に配置された複数の軸受け部22(22a、22b)と、各軸受け部22(22a、22b)に挿通され、長手方向に延設された回転中心軸23と、左右の連結部21(21a、21b)の間に装着されたバネ部材24と、を備え、左右いずれか一方の連結部21(21a、21b)の背面側には、背表紙33が固定され、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、背表紙33が固定された一方の連結部21aと背表紙33が固定されていない他方の連結部21bとは、バネ部材24の付勢力によって、回転中心軸23に対する互いの開き角αが略80~100度の状態まで回動可能に形成されているので、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は、新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、例えば、背表紙33を略下方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、他方の連結部21bは、表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33の影響を受けにくいことから、主にバネ部材24の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、略上方へ向いた姿勢に自動的に回動される。一方で、背表紙33が固定された一方の連結部21aは、略180度開いた状態の表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33によって、一方の連結部21aは、回動を規制又は制限されることになる。そのため、一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の幅方向内方へ向いた姿勢で略維持されやすい。
【0122】
また、例えば、背表紙33を略側方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、他方の連結部21bは、表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33の影響を受けにくいことから、主にバネ部材24の付勢力の影響を受けて略80~100度回動する。そのため、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、略横方向へ向いた姿勢に自動的に回動される。一方で、背表紙33が固定された一方の連結部21aは、略180度開いた状態の表表紙31及び裏表紙32に接続された背表紙33によって、回動を規制又は制限されることになる。そのため、一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の略上方へ向いた姿勢で略維持されやすい。
【0123】
したがって、紙葉類1を水平状の姿勢で把持し、略上方へ向いた姿勢の他方の綴じ片2Tbの先端部2STb(又は一方の綴じ片2Taの先端部2STa)に対して、紙葉類1の一端側に形成された綴じ孔11を略上下方向に通過させることによって、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から簡単に離脱、又は紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に簡単に装着させることができる。よって、紙葉類1の離脱又は装着時において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性を大幅に低減させることができる。その結果、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に着脱する際の操作性を大幅に向上させることができる。
【0124】
以上のように、本実施形態によれば、紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返すことができるファイル10において、綴じ具2における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除させ、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に着脱する際の操作性が良好なファイル10を提供することができる。
【0125】
また、本実施形態によれば、バネ部材24は、長手方向で交互に配置された軸受け部22(22a、22b)の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸23の外周側に螺旋状に捲回された圧縮捻りコイルバネ24Nであり、圧縮捻りコイルバネ24Nの一方の端縁アーム部241は、背表紙33が固定された一方の連結部21aを背面側へ付勢し、圧縮捻りコイルバネ24Nの他方の端縁アーム部242は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ付勢しているので、背表紙33を下方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24Nによる捻り方向の付勢力Rの大部分は、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bを幅方向外方へ回動させるモーメント力として作用する。
【0126】
そのため、例えば、背表紙33を下方に向けた場合、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、圧縮捻りコイルバネ24Nの捻り方向の付勢力Rによって、安定して略上方へ向いた姿勢に保持される。これに対して、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の幅方向内方へ向いた姿勢で略安定して維持される。また、背表紙33を側方に向けた場合、他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbは、略横方向へ向いた姿勢に変更される一方で、一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaは、係合解除前の略上方へ向いた姿勢で略安定して維持される。
【0127】
したがって、紙葉類1を水平状の姿勢で把持し、安定して略上方へ向いた姿勢の他方の綴じ片2Tbの先端部2STb(又は一方の綴じ片2Taの先端部2STa)に対して、紙葉類1の一端側に形成された綴じ孔11を略上下方向に通過させることによって、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)からより簡単に離脱、又は紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)により簡単に装着させることができる。その結果、紙葉類1の離脱又は装着時において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層に低減させて、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に着脱する際の操作性を更に向上させることができる。
【0128】
また、本実施形態によれば、隣接する軸受け部22(22a、22b)の長手方向端面には、回転中心軸23に対して傾斜状に形成されたカム面221(221a、221b)をそれぞれ設け、カム面221(221a、221b)は、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されているので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、カム面221(221a、221b)同士の当接に伴い、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが、カム面221(221a、221b)が形成された軸受け部22(22a、22b)に伝達される。
【0129】
そのため、圧縮捻りコイルバネ24Nが長手方向へ伸長する付勢力Qが伝達された軸受け部22(22a、22b)を介して、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αの保持力を増強させることができる。したがって、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを最大の状態で保持させることができる。その結果、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0130】
本実施形態によれば、バネ部材24は、長手方向で交互に配置された軸受け部22(22a、22b)の間で長手方向に圧縮して装着されると共に、回転中心軸23の外周側に螺旋状に捲回された圧縮コイルバネ24Mであり、隣接する軸受け部22(22a、22b)の長手方向端面には、回転中心軸23に対して傾斜状に形成されたカム面221(221a、221b)をそれぞれ設け、カム面221(221a、221b)は、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合状態において互いに離間し、係合解除状態において互いに当接するように形成されているので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、カム面221(221a、221b)同士の当接に伴い、圧縮コイルバネ24Mが長手方向へ伸長する付勢力Qが、カム面221(221a、221b)が形成された軸受け部22(22a、22b)に回転力として伝達される。
【0131】
そのため、圧縮コイルバネ24Mが長手方向へ伸長する付勢力Qに基づいて、一方の連結部21aと他方の連結部21bとは、回転中心軸23に対する互いの開き角αが略80~100度の状態まで回動することができる。その結果、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態を確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0132】
また、本実施形態によれば、カム面221(221a、221b)を設けた軸受け部22(22a、22b)は、少なくとも連結部21(21a、21b)における長手方向の端部近傍に設けたので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)の係合を解除したとき、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)の長手方向へ伸長する付勢力Qがカム面221(221a、221b)に作用して、綴じ具2の長手方向の端部近傍においても、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができる。そのため、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、長手方向の端部近傍における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態を維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0133】
また、綴じ具2の長手方向の端部近傍における、連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させることができるので、連結部21(21a、21b)の長手方向における捻じり剛性を補完することができる。そのため、例えば、圧縮捻りコイルバネ24N又は圧縮コイルバネ24Mをよりコンパクトに形成して、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向寸法)を極力薄く形成することができる。したがって、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32と共に綴じ具2を支点に360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21(21a、21b)による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを縮小でき、表表紙31と裏表紙32とが密着できる範囲を拡大できる。その結果、折り返した紙葉類1に対する筆記時等における違和感(例えば、フワフワ感)を低減できる。また、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向寸法)を極力薄く形成することによって、表表紙31と裏表紙32とを元の閉じた状態に戻したときの本ファイル10の厚みを、表表紙31及び裏表紙32の厚みと紙葉類1の厚みとを加えた程度となり、連結部21(21a、21b)の厚み(幅方向寸法)に影響されることなく、本ファイル10を書棚等に整列して効率的に収納することができる。この場合、背表紙33に貼着したシールに記載したファイル名等を見易くなり、収納した本ファイル10の識別性を向上させることができる。
【0134】
また、本実施形態によれば、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の基端部2LT(2LTa、2LTb)は、長手方向の板幅d4以上の寸法で、長手方向で互いに位置ずれして形成され、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)は、基端部2LT(2LTa、2LTb)の先端側から幅方向内方へ所定長さ突設され、且つ幅方向内方へ突設した位置から長手方向へ傾斜した傾斜部2QT(2QTa、2QTb)で互いに係合する係合部2GT(2GTa、2GTb)が形成されているので、複数のファイル10を重ね合わせて書棚等に収納する時に、隣接するファイル10の綴じ具2同士の干渉を避けることができ、書棚等に収納するファイル収納数を増加させることができる。
【0135】
また、係合部2GT(2GTa、2GTb)には、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向へ互いに長手方向へ山型に突出する凸部2GT1a、2GT1bが先端側に形成され、相手方の凸部2GT1a、2GT1bに対して、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向で係合する凹部2GT2a、2GT2bと、相手方の凸部2GT1a、2GT1bに対して傾斜部2QTa、2QTbの板内外方向で係合する受け部2GT3a、2GT3bとが基端側に形成されているので、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士が、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向と板内外方向で確実に係合し、不用意な係合の解除を回避することができる。そのため、安心して、紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返すことができる。
【0136】
また、左右の綴じ片2Ta、2Tbの先端部2STa、2STbに形成した係合部2GT(2GTa、2GTb)の内、一方の係合部2GTaには、凸部2GT1aの山頂部2GT11aに凸部2GT1aと受け部2GT3aとを連結する縦壁部2GT4aが先端部2STaの板外面から板内面まで形成され、他方の係合部2GTbには、凸部2GT1bと受け部2GT3bとの間に縦壁部2GT4aを逃げる溝部2GT4bが先端部2STbの板外面から板内面まで形成されているので、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士を係合させる際、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、凸部2GT1a、2GT1bが幅方向で行き過ぎて戻らないという不具合を、縦壁部2GT4aによって効果的に回避できる。
【0137】
すなわち、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)では、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)の長手方向に伸長しようとする付勢力Qによって、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士が、長手方向で互いに当接するように押圧されている。そのため、縦壁部2GT4aが形成されていない場合には、係合部2GT(2GTa、2GTb)の凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合、凸部2GT1a、2GT1bの山頂部2GT11(2GT11a、2GT11b)が、先端部2STa、2STbにおける幅方向から長手方向へ傾斜した傾斜部2QT(2QTa、2QTb)の側壁に引っ掛かって、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に戻らない場合がある。そして、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に戻らない状態で、紙葉類1を略360度折り返そうとすると、紙葉類1の綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STbを通過せず、紙葉類1が破れたりする不具合があった。
【0138】
しかしながら、本実施形態では、係合部2GT(2GTa、2GTb)の内、一方の係合部2GTaには、凸部2GT1aと受け部2GT3aとを連結する縦壁部2GT4aが凸部2GT1aと受け部2GT3aの境界部に沿って形成されているので、凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合でも、縦壁部2GT4aによって厚肉化された凸部2GT1aの山頂部2GT11aが、相手方の先端部2STbにおける傾斜部2QTbの側壁全体に当接するので、滑りやすくなり、凸部2GT1aの山頂部2GT11aが相手方の傾斜部2QTbに引っ掛かりにくくなる。
【0139】
これによって、凸部2GT1a、2GT1bは、相手方の凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に簡単に戻ることができる。そのため、綴じ具2における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に形成された係合部2GT(2GTa、2GTb)の係合及び解除の操作を、より一層楽に行うことができる。また、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に簡単に戻るので、紙葉類1を略360度折り返す際、紙葉類1の綴じ孔11が綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STbをスムーズに通過でき、紙葉類1が破れる不具合を防止できる。
【0140】
また、本実施形態によれば、他方の係合部2GTbにおける凸部2GT1bと一方の係合部2GTaにおける凹部2GT2aとの係合時に、凸部2GT1bの幅方向先端側で当接する凸部2GT1bと凹部2GT2aの当接面2GT12b、2GT22a(TS1)は、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)に対して所定の角度γ2で傾斜状に形成され、一方の係合部2GTaにおける縦壁部2GT4aの先端側端面2GT41aと、他方の係合部2GTbにおける受け部2GT3bの先端側端面2GT31bとは、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)に対して略平行又は当接面2GT12b、2GT22a(TS1)と反対方向に所定の角度γ3で傾斜状に形成され、且つ係合時に微小隙間d7を有するように形成されているので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して、幅方向で負荷が掛かった場合、一方の係合部2GTaにおける縦壁部2GT4aの先端側端面2GT41aと、他方の係合部2GTbにおける受け部2GT3bの先端側端面2GT31bとは、直ちに当接して、先端側端面2GT41a、2GT31b同士の間には、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)と直交する方向又は係合部2GT(2GTa、2GTb)同士を係合させる方向で互いに押し合う押圧力PPが作用する。
【0141】
そのため、各先端側端面2GT41a、2GT31b同士の間には、押圧力PPに比例した摩擦力を生じさせることができる。また、押圧力PPは、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)と直交する方向又は係合部2GT(2GTa、2GTb)同士を係合させる方向で互いに押し合うので、少なくとも、係合部2GTa、2GTb同士の係合を解除する方向の分力は生じない。したがって、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して、幅方向で負荷が掛かった場合でも、上記押圧力PPによって、凸部2GT1bと凹部2GT2aの当接面2GT12b、2GT22aが、係合解除方向QQへ移動するのを抑制し、凸部2GT1bと凹部2GT2aの外れを回避させることができる。その結果、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)における綴じ具2の幅方向の負荷に対する変形や潰れ等を、効果的に規制できる。
【0142】
また、本実施形態によれば、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6は、互いに相違するように形成され、突出量d5の大きい凸部2GT1aは、正面視で、略台形状に形成され、突出量d6の小さい凸部2GT1bは、同じく正面視で、略三角形状に形成されているので、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士を係合させる際、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、凸部2GT1a、2GT1bが幅方向で行き過ぎて戻らないという不具合を、凸部2GT1a、2GT1bの突出量d5、d6の相違より効果的に回避できる。
【0143】
すなわち、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)では、圧縮捻りコイルバネ24N(又は圧縮コイルバネ24M)の長手方向に伸長しようとする付勢力Qによって、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士が、長手方向で互いに当接するように押圧されている。そのため、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6が同一に形成されている場合には、係合部2GT(2GTa、2GTb)の凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合、左右両方の凸部2GT1a、2GT1bの山頂部2GT11a、2GT11bが、相手方の先端部2STa、2STbにおける幅方向から長手方向へ傾斜した傾斜部2QT(2QTa、2QTb)に引っ掛かって、凸部2GT1a、2GT1bが、凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に、より一層戻りにくくなる。
【0144】
しかしながら、本実施形態では、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6は、互いに相違するように形成され、突出量d5の大きい凸部2GT1aは、略台形状に形成され、突出量d6の小さい凸部2GT1bは、略三角形状に形成されているので、凸部2GT1a、2GT1bが、相手方の凹部2GT2a、2GT2bに対して、幅方向で行き過ぎた場合でも、突出量d5の大きい凸部2GT1aのみが、相手方の先端部2STbおける傾斜部2QTbに当接し、突出量d6の小さい凸部2GT1bは、相手方の先端部2STaおける傾斜部2qTaに当接しない。また、突出量d5が大きい凸部2GT1aは、略台形状に形成されているので、傾斜部2QTbに対して滑りやすくなり、凸部2GT1aの山頂部2GT11aが相手方の傾斜部2QTbに引っ掛かりにくくなる。これによって、凸部2GT1a、2GT1bは、相手方の凹部2GT2a、2GT2bと係合する位置に簡単に戻ることができる。そのため、綴じ具2における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2STa、2STbに形成された係合部2GT(2GTa、2GTb)の係合及び解除の操作を、より一層楽に行うことができる。
【0145】
また、本実施形態によれば、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6は、略同一に形成され、互いの凸部2GT1a、2GT1b同士が当接する当接面TSMが、正面視で、長手方向に対して所定の角度γで負角状に傾斜して形成されているので、綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して、係合部2GT(2GTa、2GTb)が長手方向で外れる方向に負荷が掛かった場合でも、長手方向に対して負角状に当接する凸部2GT1a、2GT1b同士の当接面TSMが、凸部2GT1a、2GT1b同士の外れを効果的に回避させることができる。
【0146】
また、本実施形態によれば、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合うコの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおけるコの字状断面底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおけるコの字状断面底部2KTaの深さd1より、大きく形成したので、背表紙33を下方に向けて、表表紙31と裏表紙32とを略180度開いた状態で、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除したとき、一方の綴じ片2Taのコの字状断面底部2KTaに対する先端部2STaの幅方向内方への突出量を減少させる一方で、他方の綴じ片2Tbのコの字状断面底部2KTbに対する先端部2STbの略上方への突出量を増大させることができる。
【0147】
そのため、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、略上方への突出量を増大させた他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対して、より多くの紙葉類1を一度に着脱させることができる。また、一方の綴じ片2Taのコの字状断面底部2KTaに対する先端部2STaの幅方向内方への突出量を減少させたことによって、紙葉類1を略上下方向へ移動させる際、紙葉類1の一端側が一方の綴じ片2Taの先端部2STaに引っかかる可能性を低減させることができる。その結果、紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に着脱する際の操作性を、より一層に向上させることができる。
【0148】
また、本実施形態によれば、左右の連結部21(21a、21b)に形成された複数の軸受け部22(22a、22b)の内、少なくとも2以上の軸受け部22(22a、22b)は、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合状態で、幅方向で互いに反対方向へ開口する軸受け片22Na、22Ma、22Nb、22Mbが長手方向で連結して形成されているので、連結部21(21a、21b)同士の開き角αが如何なる角度に変化しても、反対方向へ開口する軸受け片22Na、22Ma、22Nb、22Mbによって、回転中心軸23から軸受け片22Na、22Ma、22Nb、22Mbが径方向へ離れることができず、回転中心軸23に対する軸受け部22(22a、22b)の嵌合状態を維持することができる。
【0149】
そのため、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合が解除され、左右の連結部21(21a、21b)の開き角αが略80~100度になっても、回転中心軸23に対する軸受け部22(22a、22b)の嵌合状態を維持することができる。その結果、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間状態をより一層確実に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0150】
また、本実施形態によれば、回転中心軸23は、背表紙33が固定された一方の連結部21aの幅方向中心線CLに対して、背表紙33が固定されていない他方の連結部21b側へ偏心した位置に配置されているので、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の係合を解除し、左右の連結部21(21a、21b)の開き角αを最大の状態で保持させるストッパ部212a、212bを、一方の連結部21aの幅方向側面側と、他方の連結部21bの背面側に形成することができる。そのため、一方の連結部21a及び他方の連結部21bの幅方向の必要な厚さを確保しつつ、長手方向の好適な位置にストッパ部212a、212bを設けることができる。
【0151】
また、長手方向の好適な位置にストッパ部212a、212bを設けることによって、左右の連結部21(21a、21b)同士の開き角αを、長手方向で略均等に保持させることができる。その結果、綴じた紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)から離脱させる場合、又は新しい紙葉類1を綴じ片2T(2Ta、2Tb)に装着させる場合において、長手方向の全体における綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)同士の離間距離を略均等に維持して、綴じ片2T(2Ta、2Tb)の先端部2ST(2STa、2STb)に紙葉類1の綴じ孔11が引っかかる可能性をより一層低減させることができる。
【0152】
また、本実施形態によれば、一方の連結部21aの背面側には、長手方向中央部に対して対称な位置に起立する基部211Pと、当該基部211Pより幅広に形成された爪部211Tとから成り、当該爪部211Tが基部211P先端からそれぞれ長手方向中央部側へ向けて突設された複数の鉤爪状係止部211が形成され、背表紙33には、大径部331で爪部211Tが通過し、小径部332で基部211Pと係合した状態で爪部211Tに挟まれる異径長孔状の係止孔33Hが形成されているので、背表紙33の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、係止孔33Hの大径部331に爪部211Tを通過させた後、背表紙33の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、係止孔33Hの小径部332に基部211Pを係合した状態で、爪部211Tによって係止孔33Hの小径部332を挟み込んで拘束することができる。
【0153】
そのため、背表紙33を一方の連結部21aの背面側に簡単に固定でき、背表紙33を固定するための新たな固定部材を、一方の連結部21aに付設する必要がない。その結果、背表紙33を固定する一方の連結部21aの構造を簡素化して、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したときにおける、紙葉類1の一端側での連結部21(21a、21b)による表表紙31と裏表紙32との隙間Wを最小化でき、折り返した紙葉類1に対する筆記時等における違和感(例えば、フワフワ感)をより一層低減できる。
【0154】
また、背表紙33の長手方向中央部を山型に湾曲させた状態で、係止孔33Hの大径部331に爪部211Tを通過させた後、背表紙33の長手方向中央部を平坦な状態に戻して、係止孔33Hの小径部332に基部211Pを係合した状態で、爪部211Tによって係止孔33Hの小径部332を挟み込んで拘束することができるので、背表紙33を一方の連結部21aの背面側に溶着、又はカシメ等によって固定する工程やその設備が不要となり、コストの削減に寄与することもできる。
【0155】
また、本実施形態によれば、表表紙31の他端側及び裏表紙32の他端側には、紙葉類1の他端側を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返したとき、紙葉類1の他端側の先端部12より幅方向で拡張形成された拡張部312、322を長手方向の上部領域に形成し、幅方向で短縮形成された短縮部31S、32Sを長手方向の下部領域に形成し、拡張部312、322と短縮部31S、32Sとを凹湾曲状に連結する湾曲部31SW、32SWを備え、表表紙31及び裏表紙32の両湾曲部31SW、32SWは、紙葉類1の他端側の先端部12と交差する位置で、互いに長手方向で位置ずれして形成されているので、長手方向で突出する湾曲部31SW、32SWの一方に、指を掛けることによって、略360度折り返した表表紙31と裏表紙32とを、元の閉じた状態へ簡単に戻すことができる。そのため、紙葉類1を表表紙31及び裏表紙32とともに綴じ具2を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルにおいて、略360度折り返した表表紙31と裏表紙32とを、元の閉じた状態へ戻す操作性についても良好なファイルを提供することができる。
【0156】
また、本実施形態によれば、JIS規格の用紙より綴じ孔11が少なく形成された紙葉類1を備えているので、紙葉類1を綴じ片2Tに沿って略360度折り返す際、又は綴じ片2Tに対して紙葉類1を着脱させる際などで、紙葉類1が折れ曲がりにくくなり、紙葉類1の操作性を向上させることができる。さらに、紙葉類1が折れ曲がりにくくなるので、コピー機等で原紙として挿入しても、紙詰まりを起こしにくいという利点もある。
【0157】
<変形例>
なお、本実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することが可能なことは言うまでもない。例えば、本実施形態では、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合うコの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおけるコの字状断面底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおけるコの字状断面の底部2KTaの深さd1より、大きく形成したが、必ずしも、これに限る必要はない。
【0158】
例えば、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)は、互いに向き合うコの字状断面に形成され、背表紙33が固定されていない他方の連結部21bに連結された他方の綴じ片2Tbの先端部2STbに対する基端部2LTbにおけるコの字状断面底部2KTbの深さd2を、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taの先端部2STaに対する基端部2LTaにおけるコの字状断面底部2KTaの深さd1と、略同一に形成してもよい。
【0159】
また、先端部2STbに対するコの字状断面底部2KTbの深さd2が異なる他方の綴じ片2Tbを複数種類用意して、綴じる紙葉類1の枚数に応じて、背表紙33が固定された一方の連結部21aに連結された一方の綴じ片2Taと組み合わせても良い。この場合、一方の綴じ片2Ta及び連結部21aを成形する金型を共通にすることができるので、他方の綴じ片2Tb及び連結部21bを成形する金型のみを増加させるだけで、紙葉類1の綴じ枚数の異なる綴じ具2を低コストで簡単に製造することができる。
【0160】
また、本実施形態では、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)の係合部2GT(2GTa、2GTb)において、図17に示すように、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6は、互いに相違するように形成され、突出量d5の大きい凸部2GT1aは、正面視で、略台形状に形成され、突出量d6の小さい凸部2GT1bは、同じく正面視で、略三角形状に形成されているが、必ずしも、これに限る必要はない。
【0161】
例えば、図18に示すように、凸部2GT1a、2GT1bの板幅方向へ突出する突出量d5、d6は、略同一に形成され、互いの凸部2GT1a、2GT1b同士が当接する当接面TSMが、正面視で、長手方向に対して所定の角度γで負角状に傾斜して形成されても良い。この場合、綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して、係合部2GT(2GTa、2GTb)が長手方向で外れる方向に負荷が掛かった場合でも、長手方向に対して負角状に当接する凸部2GT1a、2GT1b同士の当接面TSMが、凸部2GT1a、2GT1b同士の外れを効果的に回避させることができる。
【0162】
また、例えば、図18図19に示すように、他方の係合部2GTbにおける凸部2GT1bと一方の係合部2GTaにおける凹部2GT2aとの係合時に、凸部2GT1bの幅方向先端側で当接する凸部2GT1bと凹部2GT2aの当接面2GT13b、2GT22a(TS1)は、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)に対して所定の角度γ2で傾斜状に形成され、一方の係合部2GTaにおける縦壁部2GT4aの先端側端面2GT41aと、他方の係合部2GTbにおける受け部2GT3bの先端側端面2GT31bとは、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)に対して略平行又は当接面2GT13b、2GT22a(TS1)と反対方向に所定の角度γ3で傾斜状に形成され、且つ係合時に微小隙間d7を有するように形成されても良い。なお、角度γ3は、角度γ2より小さい方が好ましく、微小隙間d7は、係合部2GT(2GTa、2GTb)同士が係合する時に先端側端面2GT41a、2GT31b同士が干渉しない程度の隙間であれば良い。
【0163】
この場合、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して、幅方向で負荷が掛かった場合、一方の係合部2GTaにおける縦壁部2GT4aの先端側端面2GT41aと、他方の係合部2GTbにおける受け部2GT3bの先端側端面2GT31bとは、直ちに当接して、先端側端面2GT41a、2GT31b同士の間には、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)と直交する方向又は係合部2GT(2GTa、2GTb)同士を係合させる方向で互いに押し合う押圧力PPが作用する。そのため、各先端側端面2GT41a、2GT31b同士の間には、押圧力PPに比例した摩擦力を生じさせることができる。また、押圧力PPは、傾斜部2QTa、2QTbの板幅方向(TS2)と直交する方向又は係合部2GT(2GTa、2GTb)を係合させる方向で互いに押し合うので、少なくとも、係合部2GTa、2GTb同士の係合を解除する方向の分力は生じない。したがって、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)に対して、幅方向で負荷が掛かった場合でも、上記押圧力PPによって、凸部2GT1bと凹部2GT2aの当接面2GT13b、2GT22aが、係合解除方向QQへ移動するのを抑制し、凸部2GT1bと凹部2GT2aの外れを回避させることができる。その結果、左右の綴じ片2T(2Ta、2Tb)における綴じ具2の幅方向の負荷に対する変形や潰れ等を、効果的に規制できる。
【0164】
また、本実施形態において、紙葉類1は、例えば、A4、B5等(JIS規格)の各種サイズの用紙であって、紙葉類1の一端側には、綴じ具2の綴じ片2Tを挿通する綴じ孔11が、複数(例えば、30個)形成されているが、必ずしも、上記紙葉類1に限る必要はない。例えば、図20に示すように、JIS規格の用紙より綴じ孔11が少なく形成された紙葉類1を備えても良い。この場合、紙葉類1を綴じ片2Tに沿って略360度折り返す際、又は綴じ片2Tに対して紙葉類1を着脱させる際などで、紙葉類1が折れ曲がりにくくなり、紙葉類1の操作性を向上させることができる。さらに、紙葉類1が折れ曲がりにくくなるので、コピー機等で原紙として挿入しても、紙詰まりを起こしにくいという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明は、紙葉類を表表紙及び裏表紙とともに綴じ具を支点に略360度開いて折り返すことができるファイルとして利用できる。
【符号の説明】
【0166】
1 紙葉類
1D 台紙
2 綴じ具
2T、2Ta、2Tb 綴じ片
2GT、2GTa、2GTb 係合部
2GT1a、2GT1b 凸部
2GT11a、2GT11b 山頂部
2GT13b、2GT22a 当接面
2GT2a、2GT2b 凹部
2GT3a、2GT3b 受け部
2GT31b 先端側端面
2GT4a 縦壁部
2GT41a 先端側端面
2GT4b 溝部
2KT、2KTa、2KTb コの字状断面底部
2LT、2LTa、2LTb 基端部
2QTa、2QTb 傾斜部
2ST、2STa、2STb 先端部
10 ファイル
11 綴じ孔
12 先端部
21、21a、21b 連結部
22、22a、22b 軸受け部
23 回転中心軸
24 バネ部材
24N 圧縮捻りコイルバネ
24M 圧縮コイルバネ
31 表表紙
32 裏表紙
33 背表紙
33H 係止孔
211 鉤爪状係止部
211P 基部
211T 爪部
221、221a、221b カム面
241、242 端縁アーム部
311、321 綴じ孔
312、322 拡張部
31S、32S 短縮部
31SW、32SW 湾曲部
331 大径部
332 小径部
CL 幅方向中心線
STM 当接面
α 開き角
γ1、γ2、γ3 角度
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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図17
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