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特開2022-107985振れ止め金具、ボイラ装置、及び振れ止め金具の取付方法
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  • 特開-振れ止め金具、ボイラ装置、及び振れ止め金具の取付方法 図1
  • 特開-振れ止め金具、ボイラ装置、及び振れ止め金具の取付方法 図2
  • 特開-振れ止め金具、ボイラ装置、及び振れ止め金具の取付方法 図3
  • 特開-振れ止め金具、ボイラ装置、及び振れ止め金具の取付方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022107985
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】振れ止め金具、ボイラ装置、及び振れ止め金具の取付方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/20 20060101AFI20220715BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
F22B37/20 B
F28F9/013 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002731
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 亮甫
(72)【発明者】
【氏名】東川 謙示
(72)【発明者】
【氏名】山本 英司
(57)【要約】
【課題】簡単な取付作業で、各部の隙間を適切に設定可能な振れ止め金具を提供する。
【解決手段】振れ止め金具(10)は、互いに直交する第1突出部(17)及び第1係合部(18)を有する第1金具(11)と、互いに直交する第2突出部(19)及び第2係合部(20)を有し、第1係合部(18)及び第2係合部(20)の内面(18a、20a)同士が対面するように配置される第2金具(12)と、第1係合部(18)の内面(18a)及び第2係合部(20)の内面(20a)の間に配置される第1スペーサ(13)と、第1係合部(18)及び第2係合部(20)それぞれの外面(18b、20b)に取り付けられる一対の第2スペーサ(14、15)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ装置の内部に所定の間隔を隔てて配置される第1伝熱管及び第2伝熱管に取り付けられる振れ止め金具であって、
互いに直交する第1突出部及び第1係合部を有する第1金具と、
互いに直交する第2突出部及び第2係合部を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部の内面同士が対面するように配置される第2金具と、
前記第1係合部の内面及び前記第2係合部の内面の間に配置される第1スペーサと、
前記第1係合部及び前記第2係合部それぞれの外面に取り付けられる一対の第2スペーサとを備えることを特徴とする振れ止め金具。
【請求項2】
請求項1に記載の振れ止め金具において、
前記第1スペーサ及び一対の前記第2スペーサは、前記ボイラ装置の運転時の雰囲気温度より酸化限界温度が低い材料で形成されていることを特徴とする振れ止め金具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振れ止め金具において、
前記第1スペーサは、対面する前記第1係合部と前記第2突出部との間、及び対面する前記第2係合部と前記第1突出部との間にまで延設されていることを特徴とする振れ止め金具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の振れ止め金具において、
前記第1スペーサの厚さは、前記第2スペーサの厚さより厚いことを特徴とする振れ止め金具。
【請求項5】
前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管と、
前記第1突出部が前記第1伝熱管に固定され、前記第2突出部が前記第2伝熱管に固定された請求項1~4のいずれか1項に記載の振れ止め金具とを備えることを特徴とするボイラ装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の振れ止め金具を、前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管に取り付ける振れ止め金具の取付方法であって、
前記第1係合部の内面及び前記第2係合部の内面の間に前記第1スペーサを取り付け、前記第1係合部及び前記第2係合部それぞれの外面に一対の前記第2スペーサを取り付ける組立工程と、
前記第2スペーサを前記第2伝熱管に当接させた状態で前記第1金具を前記第1伝熱管に取り付け、前記第2スペーサを前記第1伝熱管に当接させた状態で前記第2金具を前記第2伝熱管に取り付ける取付工程とを有することを特徴とする振れ止め金具の取付方法。
【請求項7】
請求項6に記載の振れ止め金具の取付方法において、
前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管の延設方向において、前記第1スペーサ及び一対の前記第2スペーサの長さは、前記第1金具及び前記第2金具の長さより長く、
前記組立工程において、前記第1スペーサ及び前記第2スペーサと前記第1係合部及び前記第2係合部との間に形成される隅部を点付け溶接することを特徴とする振れ止め金具の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する伝熱管の間隔を保持する振れ止め金具、振れ止め金具を備えたボイラ装置、及び伝熱管への振れ止め金具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ装置の内部に配置される複数の伝熱管は、過熱された空気流の渦、スートブロワから噴射される蒸気、或いは地震などによって個別に振動する。このような伝熱管の振動は、隣接する伝熱管を接触させたり、伝熱管と管寄せとの接合部分に過大な応力を生じさせる原因となる。
【0003】
そこで、隣接する伝熱管同士の間隔を保持することによって、伝熱管の個別の振動を防止する振れ止め金具が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。特許文献1、2に記載の振れ止め金具は、一対のL字金具を所定の間隔を隔てて組み合わせることによって、熱による伝熱管の伸びを許容しつつ、隣接する伝熱管の間隔を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-287705号公報
【特許文献2】特開平10-78201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の振れ止め金具が前述の機能を発揮するためには、L字金具同士の間隔及びL字金具と伝熱管との間隔を適切に設定する必要がある。そのため、従来の振れ止め金具の取り付け作業では、伝熱管にL字金具を溶接した後にハンマリング等で間隔を微調整するなど、長い時間及び熟練技術が必要になるという課題を生じる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単な取付作業で、各部の隙間を適切に設定可能な振れ止め金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、代表的な本発明は、ボイラ装置の内部に所定の間隔を隔てて配置される第1伝熱管及び第2伝熱管に取り付けられる振れ止め金具であって、互いに直交する第1突出部及び第1係合部を有する第1金具と、互いに直交する第2突出部及び第2係合部を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部の内面同士が対面するように配置される第2金具と、前記第1係合部の内面及び前記第2係合部の内面の間に配置される第1スペーサと、前記第1係合部及び前記第2係合部それぞれの外面に取り付けられる一対の第2スペーサとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な取付作業で、各部の隙間を適切に設定可能な振れ止め金具を得ることができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るボイラ装置の全体構成図である。
図2】振れ止め金具の横断面図である。
図3】振れ止め金具の縦断面図である。
図4】振れ止め金具の取付方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係るボイラ装置1の全体構成図である。図1に示すように、ボイラ装置1は、燃料を燃焼させる火炉2と、火炉2内で発生した燃焼ガスの流路である燃焼ガス通路3と、燃焼ガス通路3内に配置された複数の過熱器4、5、6とを主に備える。火炉2及び燃焼ガス通路3は、ボイラ鉄骨の吊下げロッド及び吊下げビーム(図示省略)から吊り下げられている。なお、以下の説明においては、ボイラ装置1の火炉2側を缶前、燃焼ガス通路3の出口側を缶後という。
【0011】
火炉2は、バーナ(図示省略)で燃料を燃焼させることによって、燃焼ガスを発生させる。火炉2で発生した燃焼ガスは、燃焼ガス通路3を通って缶前から缶後に移動し、ボイラ装置1の外部に排出される。火炉2で燃料を燃焼させると(以下、「ボイラ装置1の運転時」と表記する。)、燃焼ガス通路3の雰囲気温度は1200℃程度まで上昇する。
【0012】
過熱器4、5、6は、燃焼ガス通路3を通過する燃焼ガスと熱交換を行い、所定の温度まで過熱された過熱蒸気をタービンに供給する熱交換器である。特に、過熱器4は、燃焼ガス通路3の上部に吊り下げられた吊り下げ型の熱交換器である。過熱器4は、管寄せ7、8と、複数の伝熱管9a、9b、9c、9dと、振れ止め金具10とを主に備える。
【0013】
複数の伝熱管9a~9dそれぞれは、一端が入口側の管寄せ7に接続され、他端が出口側の管寄せ8に接続されている。また、複数の伝熱管9a~9dは、管寄せ7、8の間において、所定の間隔を隔てて平行に延設されている。振れ止め金具10は、例えば、伝熱管9a~9dが上下方向に延設されている区間において、隣接する伝熱管9a、9b及び隣接する伝熱管9c、9dを相互に接続する。
【0014】
図2図3を参照して、伝熱管9a(第1伝熱管)及び伝熱管9b(第2伝熱管)を相互に接続する振れ止め金具10を説明する。図2は、伝熱管9a、9bの延設方向に直交する方向における振れ止め金具10の断面図(横断面図)である。図3は、図2のIII-IIIにおける振れ止め金具10の断面図(縦断面図)である。以下、「左右方向」に離間した伝熱管9a、9bが「上下方向」に延設されているものとして、振れ止め金具10の構成を説明するが、各構成要素の方向は相対的なものであって、前述の例には限定されない。
【0015】
振れ止め金具10は、隣接する伝熱管9a、9bの水平方向(すなわち、前後方向及び左右方向)の間隔を維持することによって、伝熱管9a、9bが個別に振動するのを防止する役割を担う。振れ止め金具10は、第1金具11と、第2金具12と、第1スペーサ13と、一対の第2スペーサ14、15と、ストッパ16とで構成される。
【0016】
第1金具11及び第2金具12は、ボイラ装置1の運転時における雰囲気温度より酸化限界温度が高い材料(例えば、炭素鋼、低合金鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼管)によって形成される。一方、第1スペーサ13及び一対の第2スペーサ14、15は、ボイラ装置1の運転時における雰囲気温度より酸化限界温度が低い材料(例えば、SPCC)によって形成される。酸化限界温度とは、高温酸化が発生する温度であって、SPCCでは500℃程度である。
【0017】
第1金具11は、互いに直交する第1突出部17及び第1係合部18を有するL字形状の外形を呈する。第1突出部17及び第1係合部18は、各々が直方体形状の外形を呈する。そして、第1突出部17及び第1係合部18は、内面17a、18a、外面17b、18b、先端面17c、18c、上面17d、18d、及び下面17e、18e(図3参照)を有する。
【0018】
内面17a、18aは、L字の内側において相互に連続する面である。外面17b、18bは、L字の外側において相互に連続する面である。先端面17c、18cは、L字の一端及び他端に位置する面である。さらに、内面17a、18a、外面17b、18b、及び先端面17c、18cと接する一対の面のうち、一方が上面17d、18dとなり、他方が下面17e、18eとなる。
【0019】
第2金具12の形状は、第1金具11と同様である。すなわち、第2金具12は、内面19a、外面19b、先端面19c、上面19d、及び下面19eを有する第2突出部19と、内面20a、外面20b、先端面20c、上面20d、及び下面20eを有する第2係合部20とで構成される。
【0020】
図2に示すように、第1金具11は、伝熱管9a、9bの間隔が最も狭い位置より後方側において、第1突出部17の先端面17cを伝熱管9aの外周面に溶接することによって、伝熱管9aに固定される。すなわち、第1突出部17は、伝熱管9aから伝熱管9bに向けて右方に突出している。第1係合部18は、第1突出部17の突出端から前方に向けて屈曲している。そして、第1係合部18は、伝熱管9a、9bの間において、前方に向けて延設されている。
【0021】
第2金具12は、伝熱管9a、9bの間隔が最も狭い位置より前方側において、第2突出部19の先端面19cを伝熱管9bの外周面に溶接することによって、伝熱管9bに固定される。すなわち、第2突出部19は、伝熱管9bから伝熱管9aに向けて左方に延設されている。第2係合部20は、第2突出部19の突出端から後方に向けて屈曲している。そして、第2係合部20は、伝熱管9a、9bの間(より詳細には、伝熱管9a及び第1係合部18の間)において、後方に向けて延設されている。
【0022】
すなわち、第1突出部17及び第2突出部19は、伝熱管9a、9bの間隔が最も狭い位置を挟んで前後方向に離間した位置において、各々が左右方向に延設されている。また、第1係合部18及び第2係合部20は、左右方向に離間した位置において、各々が前後方向に延設されている。このように、第1金具11及び第2金具12は、第1係合部18及び第2係合部20が所定の間隔を隔てて係合するように配置されることによって、伝熱管9a、9bの個別の振動を防止している。
【0023】
第1金具11及び第2金具12は、第1係合部18の内面18aと第2係合部20の内面20aとが所定の間隔を隔てて対面し、第1突出部17の内面17aと第2係合部20の先端面20cとが所定の間隔を隔てて対面し、第1係合部18の先端面18cと第2突出部19の内面19aとが所定の間隔を隔てて対面している。そして、第1金具11及び第2金具12の間の隙間には、第1スペーサ13が配置されている。
【0024】
より詳細には、第1スペーサ13は、第1係合部18の内面18aと第2係合部20の内面20aとの間に配置されて、第1係合部18及び第2係合部20の間隔を維持する。また、第1スペーサ13は、第1突出部17の内面17aと第2係合部20の先端面20cとの間にまで延設されて、第1突出部17及び第2係合部20の間隔を維持する。さらに、第1スペーサ13は、第1係合部18の先端面18cと第2突出部19の内面19aとの間にまで延設されて、第1係合部18及び第2突出部19の間隔を維持する。
【0025】
このように、本実施形態に係る第1スペーサ13は、略Z型の外形を呈する。但し、第1スペーサ13は、少なくとも第1係合部18及び第2係合部20の間に配置されていればよく、第1突出部17及び第2係合部20の間と、第1係合部18及び第2突出部19の間とに配置される部分は省略可能である。
【0026】
また、第1金具11及び伝熱管9bは、第1係合部18の外面18bと伝熱管9bの外周面とが所定の間隔を隔てて対面している。さらに、第2金具12及び伝熱管9aは、第2係合部20の外面20bと伝熱管9aの外周面とが所定の間隔を隔てて対面している。そして、第1金具11と伝熱管9bとの間、及び第2金具12及び伝熱管9aとの間の隙間には、第2スペーサ14、15が配置されている。
【0027】
本実施形態に係る第2スペーサ14、15は、直方体形状の外形を呈する。但し、第2スペーサ14、15の伝熱管9a、9bに対面する面は、伝熱管9a、9bの外周面に沿う円弧形状であってもよい。また、第2スペーサ14、15は、伝熱管9a、9bの間隔が最も狭い位置において、第1係合部18及び第2係合部20の外面18b、20bに取り付けられている。
【0028】
ストッパ16は、直方体形状の外形を呈する。ストッパ16は、第2金具12より前方において伝熱管9aの外周面に溶接接合され、伝熱管9bに向けて延設されている。ストッパ16は、第1係合部18及び第2係合部20の係合が解除される向きに伝熱管9a、9bが個別に振動する(すなわち、伝熱管9aが後方に移動し、伝熱管9bが前方に移動する)のを阻止する。
【0029】
図3に示すように、第1係合部18及び第2係合部20の上面18d、20dは、外面18b、20b側から内面18a、20a側に向かって上り傾斜となっている。また、第1係合部18及び第2係合部20の下面18e、20eは、外面18b、20b側から内面18a、20a側に向かって下り傾斜となっている。すなわち、第1係合部18及び第2係合部20の内面18a、20a側の高さ(「伝熱管9a、9bの延設方向の長さ」を指す。以下同じ。)H1は、外面18b、20b側の高さH2より高い。
【0030】
また、第1スペーサ13の高さH3は、第1係合部18及び第2係合部20の内面18a、20a側の高さH1より高く設定されている。さらに、第2スペーサ14、15の高さH4は、第1係合部18及び第2係合部20の内面18a、20a側の高さH1より低く、且つ第1係合部18及び第2係合部20の外面18b、20b側の高さH2より高く設定されている。
【0031】
すなわち、第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15の上端は、第1係合部18及び第2係合部20の上面18d、20dより上方に突出している。また、第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15の下端は、第1係合部18及び第2係合部20の下面18e、20eより下方に突出している。なお、第2スペーサ14、15の高さH4は、第1係合部18及び第2係合部20の内面18a、20a側の高さH1より高くてもよい。
【0032】
その結果、第1係合部18及び第2係合部20と、第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15との間には、隅部が設けられる。そして、この隅部に点付け溶接することによって、第1係合部18及び第2係合部20と、第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15とが結合される。なお、振れ止め金具10に用いられる溶接材料21、22、23、24、25、29、27、28、29、30、31は、例えば、第1スペーサ13及び第2スペーサ14と同じ材料(すなわち、SPCC)である。さらに、第1スペーサ13の厚さW1は、第2スペーサ14、15の厚さW2より厚く設定される。
【0033】
図4を参照して、伝熱管9a、9bに振れ止め金具10を取り付ける手順を説明する。図4は、振れ止め金具10の取付方法を示すフローチャートである。まず、作業者は、第1係合部18の内面18aと第2係合部20の内面20aとが対面し、第1突出部17の内面17aと第2係合部20の先端面20cとが対面し、第1係合部18の先端面18cと第2突出部19の内面19aとが対面するように、第1金具11及び第2金具12を設置する。
【0034】
次に、作業者は、第1係合部18の内面18aと第2係合部20の内面20aとの間に第1スペーサ13を設置し、第1係合部18及び第2係合部20と第1スペーサ13とを点付け溶接する(S1)。また、作業者は、第1係合部18の外面18bに第2スペーサ14を設置し、第2係合部20の外面20bに第2スペーサ15を設置し、第1係合部18及び第2係合部20と第2スペーサ14、15とを点付け溶接する(S2)。ステップS1、S2は、組立工程の一例である。なお、ステップS1、S2は、図4に示す実行順序に限定されず、逆順で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0035】
次に、作業者は、第2スペーサ14を伝熱管9bに当接させ、この状態で第1突出部17の先端面17cを伝熱管9aに溶接接合する(S3)。また、作業者は、第2スペーサ15を伝熱管9aに当接させ、この状態で第2突出部19の先端面19cを伝熱管9bに溶接接合する(S4)。ステップS3、S4は、取付工程の一例である。なお、ステップS3、S4は、図4に示す実行順序に限定されず、逆順で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0036】
さらに、作業者は、第2金具12より前方において、ストッパ16を伝熱管9aに溶接接合する。そして、作業者は、過熱器4の複数の箇所において、前述の工程を実施することによって、複数の振れ止め金具10を取り付ける。
【0037】
上記の実施形態によれば、第1金具11及び第2金具12の間隔が第1スペーサ13によって設定され、第1金具11及び伝熱管9bの間隔が第2スペーサ14によって設定され、第2金具12及び伝熱管9aの間隔が第2スペーサ15によって設定される。そのため、予め組み立てられた振れ止め金具10を伝熱管9a、9bに取り付けるだけで、各部の隙間を適切に設定することができる。その結果、フレッティング摩耗による伝熱管9a、9bの振動増大を防止することができる。
【0038】
また、上記の実施形態によれば、ボイラ装置1の運転時の雰囲気温度より酸化限界温度が低い材料で第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15が形成される。これにより、伝熱管9a、9bに振れ止め金具10を取り付ける過程では、第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15によって各部の隙間が適切に設定される。一方、ボイラ装置1の運転時には、第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15が焼損して拘束力を失うので、熱による伝熱管9a、9bの伸びが許容される。さらに、第1スペーサ13及び第2スペーサ14、15に含まれる炭素成分が粉体化或いは粒状化することによって、摺動潤滑剤として機能する。
【0039】
また、上記の実施形態によれば、図4の手順を作用することによって、振れ止め金具10の組立作業及び伝熱管9a、9bに対する取付作業を、短期間で簡単に行うことができる。その結果、振れ止め金具10の取付作業を低コストで行うことができる。
【0040】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 ボイラ装置
2 火炉
3 燃焼ガス通路
4,5,6 過熱器
9a,9b,9c,9d 伝熱管
10 振れ止め金具
11 第1金具
12 第2金具
13 第1スペーサ
14,15 第2スペーサ
16 :ストッパ
17 :第1突出部
17a,18a,19a,20a 内面
17b,18b,19b,20b 外面
17c,18c,19c,20c 先端面
17d,18d,19d,20d 上面
17e,18e,19e,20e 下面
18 第1係合部
19 第2突出部
20 第2係合部
21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31 溶接材料
図1
図2
図3
図4