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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108000
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】液体注入ポート
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20220715BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61M37/00 560
A61M39/02 102
A61M39/02 114
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002769
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 偉師
(72)【発明者】
【氏名】有川 清貴
(72)【発明者】
【氏名】坂手 俊文
(72)【発明者】
【氏名】東海林 憲作
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF01
4C066GG07
4C066QQ48
4C066QQ52
4C066QQ85
4C267AA02
4C267AA75
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB32
4C267BB34
4C267BB38
4C267BB40
4C267BB48
4C267BB61
4C267CC05
4C267GG02
4C267GG05
4C267GG21
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】体外から液体注入ポートの位置を認識することが可能な液体注入ポートシステムを提供する。
【解決手段】液体注入ポート100は、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部50を構成する凹部52を有するハウジング部10と、凹部52の開口56を塞いでいる栓体と、液溜り部50と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタ(コネクタ部36)と、発光部91と、を備えている。栓体20は光透過性の樹脂材料により構成されており、発光部91が発光することにより、その光が栓体20の内部を通過して栓体20の上面から放射される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
発光部と、
を備え、
前記栓体は光透過性の樹脂材料により構成されており、前記発光部が発光することにより、その光が前記栓体の内部を通過して前記栓体の上面から放射される液体注入ポート。
【請求項2】
非接触給電により受電するコイルを備え、
前記コイルが受電した電力が前記発光部に供給されて、前記発光部が発光する請求項1に記載の液体注入ポート。
【請求項3】
前記発光部は、前記ハウジング部に埋設されており、
前記ハウジング部は、光透過性の透過部を有し、
前記発光部からの光が前記透過部を介して前記栓体に到達する請求項1又は2に記載の液体注入ポート。
【請求項4】
前記発光部は、前記ハウジング部において前記栓体の上面よりも下方に位置する部位に埋設されている請求項3に記載の液体注入ポート。
【請求項5】
前記ハウジング部は、
前記栓体の上部の周囲を囲む上側部分と、
前記凹部の周囲を囲む下側部分と、
を有し、
前記上側部分と前記下側部分とが相互に組み付けられており、
前記下側部分に前記発光部が埋設されているとともに、前記下側部分が前記透過部を有する請求項4に記載の液体注入ポート。
【請求項6】
前記上側部分は遮光性である請求項5に記載の液体注入ポート。
【請求項7】
前記下側部分は、
前記凹部の周囲を囲む内側部分と、
前記内側部分の周囲を囲む外側部分と、
を有し、
前記内側部分と前記外側部分とが相互に組み付けられており、
前記内側部分が前記透過部であり、
前記外側部分は遮光性である請求項5又は6に記載の液体注入ポート。
【請求項8】
前記栓体は、光散乱材を含有する請求項1から7のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項9】
前記栓体は、蛍光材を含有する請求項1から8のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項10】
前記栓体は、光を散乱させるボイドを内部に有する請求項1から9のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項11】
前記栓体の外表面の少なくとも一部分は、光を乱反射する凹凸面となっている請求項1から10のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項12】
前記発光部と前記栓体との間に、光を乱反射する乱反射構造が配置されている請求項1から11のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項13】
前記栓体は、第1部分と、前記第1部分とは屈折率が異なる材料により構成されている第2部分と、を有し、
前記第1部分と前記第2部分との界面に、光を乱反射する凹凸構造部が形成されている請求項1から12のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項14】
前記栓体の周囲を囲んでいる金属製の環状の枠体を備える請求項1から13のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項15】
前記ハウジング部は、樹脂材料により構成されているとともに、前記栓体の側周面に対して直に当接して、当該栓体を保持している請求項1から13のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体注入ポートに関する。
【背景技術】
【0002】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートが知られている。液体注入ポートは、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を内部に有している。体外から液体供給用の針を液溜り部に刺して、液溜り部に液体を供給すると、液体は液体導入コネクタを介してカテーテルに導かれ、カテーテルから体内の所望の箇所に供給される。
そのような液体注入ポートとしては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-10563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、体外から液体注入ポートの位置を認識することについて、ニーズがあると考えた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、体外から液体注入ポートの位置を認識することが可能な液体注入ポートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
発光部と、
を備え、
前記栓体は光透過性の樹脂材料により構成されており、前記発光部が発光することにより、その光が前記栓体の内部を通過して前記栓体の上面から放射される液体注入ポートを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、体外から液体注入ポートの位置を認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る液体注入ポートの斜視図である。
図2】第1実施形態に係る液体注入ポートの平面図である。
図3】第1実施形態に係る液体注入ポートの側断面図である。
図4】第1実施形態の変形例1に係る液体注入ポートの側断面図である。
図5図5(a)は第1実施形態の変形例2に係る液体注入ポートの側断面図であり、図5(b)は図5(a)に示すA部の部分拡大図である。
図6】第1実施形態の変形例3に係る液体注入ポートの側断面図である。
図7】第2実施形態に係る液体注入ポートの側断面図である。
図8】第2実施形態の変形例に係る液体注入ポートの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明において、上方および下方とは、液体注入ポート100の天面側(図3における上側)および底面側(図3における下側)をいう。また、環状とは、上方または下方から視たとき、一定領域を包囲している形状(円形や方形等)、又は、一定領域を包囲している輪郭が一部欠落している形状(C形やコの字形等)をいう。
【0010】
図1から図3のいずれかに示すように、液体注入ポート100は、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部50を構成する凹部52を有するハウジング部10と、凹部52の開口56を塞いでいる栓体20と、液溜り部50と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタ(コネクタ部36)と、発光部91と、を備えている。
栓体20は光透過性(可視光に対して光透過性)の樹脂材料により構成されており、発光部91が発光することにより、その光が栓体20の内部を通過して栓体20の上面22から放射される。
ここで、「光が栓体20の内部を通過して栓体20の上面22から放射される」とは、栓体20の上面22側から視て発光を視認可能であることを意味する。
【0011】
本実施形態によれば、発光部91が発光することにより、その光が栓体20の内部を通過して栓体20の上面22から放射される。よって、栓体20の上面22から放射される光を視認することによって、体外から液体注入ポート100の位置を認識することが可能となる。更には、後述するように、栓体20の上面22と上側部分12の上面とのうち栓体20の上面22から選択的に光が放射されるので、液体注入ポート100における穿刺針(図示せず)の穿刺位置を、体外から容易に認識することができる。
【0012】
本実施形態の場合、液体注入ポート100は、ハウジング部10、液溜り部50、コネクタ部36及び栓体20に加えて、栓体20の周囲を囲んでいる金属製の環状の枠体(上方フレーム60および下方フレーム70)を備えている。
液溜り部50は、ハウジング部10に内包されている。液溜り部50は、開口56を有しており、液体を貯留する。
コネクタ部36は、液溜り部50からハウジング部10の外方に連通している。
上方フレーム60および下方フレーム70は、それぞれハウジング部10より高い剛性を有しており、互いに組み合わされて環状の枠体を構成している。
栓体20は、隔膜部とも称されるものであり、弾性体によって構成されている。栓体20は、枠体の中に押し込められており、開口56を覆っている。
【0013】
金属製の環状の枠体は、上方に位置する環状の上方フレーム60と、下方に位置する環状の下方フレーム70と、を含んでいる。
上方フレーム60は、軸方向における寸法(上下寸法)が小さい筒状に形成されている筒状部61と、筒状部61の上端部から内方に張り出している内フランジ部62と、を有する。
下方フレーム70は、軸方向における寸法(上下寸法)が小さい筒状に形成されている筒状部71と、筒状部71の下端部から内方に張り出している内フランジ部72と、を有する。
例えば、上方フレーム60の筒状部61の内径と下方フレーム70の筒状部71の外径とは互いに同等の寸法に設定されており、上方フレーム60の筒状部61内に下方フレーム70の筒状部71が嵌入している。
上方フレーム60の内フランジ部62と下方フレーム70の内フランジ部72とは互いに対向している。上方フレーム60の内フランジ部62と下方フレーム70の内フランジ部72とが栓体20を上下から挟み込むことによって栓体20に押圧力を与えている。
上方フレーム60および下方フレーム70は、高剛性の材料で形成されることが好ましい。その材料としては、一例として、チタニウムやステンレス等の金属が挙げられる。なお、上方フレーム60および下方フレーム70は、単一の材料で形成される態様に限らず、複数種の材料で形成されていてもよい。
なお、本実施形態において、栓体20の周囲を囲んでいる環状の枠体は、上方フレーム60および下方フレーム70の2つの剛性フレームにより構成され、栓体20の上下方向から押圧力を与えているが、この態様は一例であり、必ずしもこの態様に限られない。例えば、3つ以上の剛性フレームにより環状の枠体を構成してもよいし、複数の円弧状の剛性フレームを組み合わせて側方から押圧力を与えてもよい。
【0014】
例えば、上方フレーム60の内フランジ部62の内径は、下方フレーム70の内フランジ部72の内径よりも小さい寸法に設定されている。これにより、栓体20に穿刺針(図示せず)を刺すときに、下方フレーム70の内フランジ部72に対する穿刺針の衝突を抑制することができる。ただし、この態様は一例であって、上方フレーム60の内フランジ部62の内径は、下方フレーム70の内フランジ部72の内径と等しくなっている態様であっても、同様の効果を奏する。
【0015】
栓体20は、液溜り部50の開口56を覆う部材であり、穿刺針(図示せず)で突き刺し可能な弾性体で形成される。また、栓体20には上方フレーム60および下方フレーム70により強い押圧力が与えられており、穿刺針を抜いて生じる孔が自然と塞がるようになっている。栓体20を形成する材料としては、例えば、シリコーン、イソプレーン等のゴムが挙げられる。
【0016】
ここで、栓体20は、光散乱材を含有することが好ましい。
このようにすることにより、栓体20の各所において、光散乱材によって、光を様々な方向に散乱させることができるので発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、栓体20の上面22の全面から均一に光を放射させることができる。
光散乱材は特に限定されないが、例えば、酸化チタン、ジルコニア、マイカ、アルミナ、シリカ等の無機粒子(顔料、着色材及び金属粉等を含む)、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の有機粒子(顔料、着色材等を含む)などであることが挙げられ、特に栓体20と屈折率が異なるものが好ましい。
光散乱材の粒子径(円相当径)は、可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいものを含む。これにより、より確実に、光散乱材によって、光を様々な方向に反射させることができる。光散乱材の平均粒子径は、例えば、0.4μm以上であることが好ましい。
【0017】
栓体20は上方フレーム60または下方フレーム70と一体成形されていることが好ましい。これにより、強い押圧力が作用した場合にも、栓体20が枠体から剥離し難いようにできる。
一例として、栓体20は下方フレーム70と一体成形されている。より詳細には、下方フレーム70の内フランジ部72には、当該内フランジ部72の幅寸法よりも小径の小孔が複数設けられており、栓体20は、これら小孔を通じて当該内フランジ部72の上方および下方で相互に繋がっており、これにより、下方フレーム70と共に一体化されている。
栓体20を下方フレーム70と一体成形する際に、栓体20の一部分である環状の凸部28や環状の凹部26が内フランジ部72の下面よりも下方に形成されている。
栓体20の下面24は、例えば、凹部26や凸部28よりも僅かに下方に突出している。
環状の凸部28は、栓体20の下面に栓体20と一材で形成されており、液溜り部50の開口56の周囲に当接している。環状の凸部28は、いわゆるOリングのように作用し、開口56から液溜り部50に貯留される液体が漏れることを抑制する。環状の凸部28は、下方フレーム70の中心軸周りの全方位にわたって延在し、欠落部分が存在しない閉じた環状に形成されていることが望ましい。
なお、本発明は、栓体20と環状の凸部28とが一体成形されている態様に限らず、凸部28の代わりに、栓体20とは別部材で形成されたOリングが栓体20の下面に設けられている態様であってもよい。
【0018】
本実施形態の場合、図2及び図3に示すように、栓体20において、平面視にて栓体20の中心を囲むように分散して配置されている複数部分の各々が、他部と比べて厚肉に形成された凸部21となっている。凸部21は、栓体20が部分的に上方に向けて突出している部分である。これにより、凸部21によって、被験者の体表面を介して触診により液体注入ポート100の位置を把握することができる。
本実施形態の場合、凸部21は、栓体20の周方向における3箇所以上(例えば、図2に示すように3箇所)に配置されている。また、複数の凸部21は、栓体20の周方向において等角度間隔で配置されていることが好ましい。
【0019】
ハウジング部10は、例えば、栓体20の上部の周囲を囲む上側部分12と、凹部の周囲を囲む下側部分14と、を有し、上側部分12と下側部分14とが相互に組み付けられることによって、ハウジング部10が構成されている。
上側部分12及び下側部分14は、例えば、樹脂材料により構成されている。
液溜り部50は、ハウジング部10に内包され、開口56を有しており、液体を貯留する。穿刺針が栓体20を介して液溜り部50に到達した状態で、穿刺針を介して液溜り部50に薬液等の液体が供給される。コネクタ部36は、液溜り部50からハウジング部10の外方に連通している。
【0020】
上側部分12には、外部から栓体20に穿刺針を刺すための開口12aが形成されている。
図3に示すように、例えば、開口12aの内径は、上方フレーム60の内フランジ部62の内径と同等の寸法に設定されている。栓体20の上部は、上方フレーム60の内フランジ部62の内側領域と上側部分12の開口12aの内側領域とに亘って配置されている。栓体20の上面22は、開口12aを介して外部に露出している。より詳細には、平面視において、開口12aは、液体注入ポート100の全体の中央部に形成されており、上面22において外部に露出している部分の周囲が上側部分12の上面によって取り囲まれている。術者は、開口12aを通して、上面22における外部に露出している領域に穿刺針を刺すことによって、栓体20を通して液溜り部50に穿刺針を到達させることができる。
また、例えば、上側部分12において、開口12aの周囲の部分は、上方に突出した環状の凸部となっている。
【0021】
液溜り部50は、栓体20に刺した穿刺針(図示せず)を介して注液された薬液等の液体を貯留する部位である。
液溜り部50は、下側部分14に形成された凹部52により構成されている。従って、液溜り部50の底面は樹脂材料で形成されており、その側面54も樹脂材料で形成されている。すなわち、液溜り部50を囲っている壁面(底面及び側面54)が樹脂材料で形成されている。
なお、本発明は、この例に限らず、液溜り部50は、下側部分14とは別個の部材により構成されていてもよい。この場合に、液溜り部50は、樹脂材料により構成されていてもよいし、その他の材料により構成されていてもよい。また、液溜り部50は、下方フレーム70の一部分により構成されていてもよい。
例えば、下側部分14において、液溜り部50の開口56の周囲の部分は、上方に突出した環状の凸部となっている。また、上述のように、栓体20の下面において、環状の凹部26が環状の凸部28に隣接している。そして、下側部分14における開口56の周囲の環状の凸部は、環状の凹部26に嵌合している。これにより、環状の凸部28とともに開口56の周縁もいわゆるOリングとして機能し、開口56からの液漏れをより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態においては、環状の凹部26が環状の凸部28よりも内径側に形成されている態様を例示するが、環状の凹部26が環状の凸部28よりも外径側に形成される態様であっても同様の効果を奏する。
【0022】
コネクタ部36は、液溜り部50に貯留される液体を液体注入ポート100の外方、より詳細には、コネクタ部36の先端に接続されるカテーテル(図示せず)に排出する流路として機能する部材である。
コネクタ部36の基端は、図3に示すように、液溜り部50の側面54に設けられている連通孔58に嵌合されている。そして、コネクタ部36の内径と連通孔58の内径は略等しくなっており、液溜り部50に貯留される液体が連通孔58を介してコネクタ部36へと円滑に流動するようになっている。
コネクタ部36は液体の流路となるので、耐薬品性の材料で形成されることが好ましい。また、長尺のカテーテル(図示せず)が接続され、カテーテルに付与される負荷がコネクタ部36にも与えられるので、一定の強度(剛性)を有することが望ましい。
コネクタ部36を構成する材料としては、例えばチタニウムやステンレス等の金属や硬質の樹脂材料、セラミックス等が挙げられる。
コネクタ部36の外周面の形状は、先端から基端にかけて拡大するテーパー状の部分を含む形状になっており、テーパー状の部分の基端において、不連続に(急峻に)外径が縮小している。このため、コネクタ部36に嵌め込まれた(外嵌された)カテーテル(図示せず)がコネクタ部36から脱落することが抑制されるようになっている。
【0023】
ハウジング部10は、他の構成要素を収容して保護する部位である。
上述のように、ハウジング部10は、上方に位置する上側部分12と下方に位置する下側部分14とを含んでいる。
図3に示すように、上方フレーム60および下方フレーム70は、上側部分12と下側部分14とにより上下から挟み込まれている。なお、上側部分12と下側部分14とが上方フレーム60および下方フレーム70に与えている押圧力が、上方フレーム60の内フランジ部62と下方フレーム70の内フランジ部72とが栓体20に与えている押圧力よりも小さくなっている。
上側部分12と下側部分14とが上方フレーム60および下方フレーム70に与えている押圧力は、環状の凸部28や環状の凹部26が当接する箇所にも伝達される。このため、当該箇所における液密性が向上する。
【0024】
ハウジング部10は生体組織に接触するので生体適合性を有することが好ましい。また、液体注入ポート100は長期間にわたって皮膚下に埋設されるので、ハウジング部10は一定の強度を有しており体熱で変形しないことが好ましい。さらに、ハウジング部10は加工が容易な材料で形成されることが好ましい。
以上の条件を満たす材料として、例えば、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0025】
ここで、本実施形態の場合、発光部91は、ハウジング部10に埋設されており、ハウジング部10は、光透過性の透過部を有し、発光部91からの光が透過部を介して栓体20に到達する。
より詳細には、例えば、下側部分14に発光部91が埋設されているとともに、下側部分14が透過部を有する。下側部分14は、例えば、光透過性の樹脂材料により構成されており、下側部分14において、発光部91の近傍に位置している部分が透過部を構成している。
これにより、発光部91から出力された光が下側部分14の内部を通過し、更には栓体20の内部を通過することとなる。よって、下側部分14に埋設されている発光部91が発光することにより、その光が栓体20の上面22から放射されることとなるので、液体注入ポート100における穿刺針の穿刺位置を、体外から容易に認識することができる。
【0026】
発光部91は、例えば、ハウジング部10において栓体20の上面よりも下方に位置する部位に埋設されている。
図3に示すように、発光部91は、例えば、栓体20の下面よりも下方に配置されている空洞部16の内部に配置されている。
より詳細には、発光部91の発光面92は、栓体20側を向いている。図3に示す例では、発光部91は、その発光面92が栓体20の中心軸(図3に示す軸AX)側に向けて下り傾斜する姿勢で配置されている。平面視において、栓体20と発光部91とは互いに重なり合っていることが好ましく、発光部91の発光面92の少なくとも一部分は、環状の枠体よりも内側に配置されている。
なお、発光部91は、例えば、ハウジング部10の外表面に開口した凹部(不図示)内に配置されていてもよい。この場合、発光部91が配置されている凹部の開口は、例えば、ハウジング部10を構成している樹脂材料と同種の樹脂材料によって封止されていることが好ましい。
発光部91から出力された光の一部は、下側部分14を通過、又は当該下側部分14及び液溜り部50をそれぞれ通過して栓体20に入光する。ただし、発光面92が、例えば、栓体20に対して直に接触しており、発光部91から出力された光は直に栓体20に入光するように構成されていてもよい。
発光部91は特に限定されないが、一例として、LED(light Emitting Diode)であることが挙げられ、発光部91からは可視光が出力される。また、液体注入ポート100が備える発光部91の数は特に限定されず、1つでもよいし、複数でもよい。発光部91の数が複数の場合、各発光部91は、例えば、平面視において、分散して配置されていることが好ましく、より好ましくは中心軸AXの軸回りに等角度間隔で配置されている。
【0027】
一方、本実施形態の場合、上側部分12は遮光性である。これにより、栓体20と上側部分12とのうち栓体20から選択的に光を放射させることができる。すなわち、栓体20においては、発光部91から出力された光が良好に放射される一方で、栓体20の周囲においては、当該光が放射されない構成とすることができる。これにより、液体注入ポート100における穿刺針(図示せず)の穿刺位置を体外から認識することが容易となる。
上側部分12は、例えば、カーボンブラックやチタン等の顔料や着色材などを含有する樹脂材料によって構成されており、これにより遮光性となっている。
【0028】
更に、液体注入ポート100は、非接触給電により受電するコイル96を備え、コイル96が受電した電力が発光部91に供給されて、発光部91が発光する。
コイル96を構成する線材の巻回数は特に限定されないが、複数であることが好ましい。コイル96の軸方向は、例えば、上下方向と一致している。
本実施形態の場合、液体注入ポート100への非接触給電の給電方式は、電磁誘導方式である。ただし、本発明は、この例に限らず、液体注入ポート100への非接触給電の給電方式は、その他の方式であってもよい。
コイル96は、図示しない配線を介して発光部91と電気的に接続されており、外部機器(不図示)によってコイル96に誘導起電力が生じると、コイル96から発光部91に電力が供給される。
コイル96は、例えば、下側部分14に埋設されている。コイル96は、平面視において、液溜り部50を囲むように配置されている。ただし、下側部分14には、例えば、ハウジング部10の外表面に開口した凹部(不図示)が形成されており、当該凹部の内部にコイル96が配置されていてもよい。
【0029】
液体注入ポート100は、被験者の皮下に埋め込まれた状態で留置される。以下、穿刺針を用いて液体注入ポート100に薬液等の液体を供給する動作の例を説明する。なお、薬液としては、抗がん剤や栄養剤が挙げられる。
先ず、上述のように、外部機器からコイル96へと非接触給電がなされることによって、コイル96から発光部91に電力が供給され、当該発光部91が発光する。そして、栓体20の上面22から光が放射される。
これにより、術者は、液体注入ポート100の位置を容易且つ正確に認識することができる。更に、本実施形態の場合、上述のように、栓体20と上側部分12とのうち栓体20の上面22から選択的に光が放射される一方で、当該上面22の周囲からは光が放射されない。すなわち、液体注入ポート100における穿刺位置が発光することとなるので、当該穿刺位置を正確に認識することができる。よって、術者は、開口12aを通して、液体注入ポート100における発光している領域(穿刺位置)に穿刺針を刺すことによって、より確実に、栓体20を通して液溜り部50に穿刺針を到達させることができる。
【0030】
<第1実施形態の変形例1>
次に、図4を用いて第1実施形態の変形例1を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0031】
本変形例の場合、栓体20は、光を散乱させるボイドを内部に有する。
これにより、栓体20の各所において、ボイドによって光を様々な方向に散乱させることができるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、栓体20の上面22の全面から均一に光を放射させることができる。
例えば、ボイドは、発泡剤が混合された光透過性の樹脂材料を加熱することにより形成することができる。また、例えば、栓体20を成形するに際して、光透過性の樹脂材料を攪拌し気体(空気等)と混合(混練)することによって、ボイドを形成してもよい。
ボイドの外径(円相当径)は、可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいことが好ましい。これにより、より確実に、ボイドによって、光を様々な方向に反射させることができる。
【0032】
<第1実施形態の変形例2>
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて第1実施形態の変形例2を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態及び変形例1に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態及び変形例1に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0033】
本変形例の場合、図5(a)に示すように、栓体20は、第1部分23aと、第1部分23aとは屈折率が異なる材料により構成されている第2部分23bと、を有し、第1部分23aと第2部分23bとの界面に、光を乱反射する凹凸構造部29が形成されている。
【0034】
このようにすることにより、発光部91から出力された光の一部を、凹凸構造部29によって、様々な方向に散乱させることができるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、栓体20の上面22の全面から均一に光を放射させることができる。より詳細には、凹凸構造部29によって、第1部分23aと第2部分23bとの界面で全反射が生じることを抑制し、栓体20の内部に入光した光の方のうち外部に放射される光の割合を向上させることができる。更には、第1部分23aと第2部分23bとの屈折率の差によって、より確実に、発光部91から射出された光の一部を様々な方向に向けて散乱させることができるので、その一部の光については、界面を透過させて、栓体20の上面22側に向かわせることができる。
【0035】
本変形例の場合、第1部分23aは栓体20の上部を構成しており、第2部分23bは栓体20の下部を構成している。栓体20は、第1部分23aと第2部分23bとが相互に組み付けられることによって構成されている。したがって、第1部分23aの上面が栓体20の上面22を構成しており、第2部分23bの下面が栓体20の下面24を構成している。凸部28や凹部26は、第2部分23bの下面に形成されており、当該第2部分23bが凹部52の開口を塞いでいる。発光部91の発光面92は、第2部分23b側を向いて配置されている。
図5(b)に示すように、第1部分23aの第2部分23b側の面は、凹凸面となっており、第2部分23bの第1部分23a側の面は、第1部分23aの凹凸面に対して組み合わされている凹凸面となっている。凹凸構造部29は、第1部分23aの凹凸面と第2部分23bの凹凸面とによって構成されている。
凹凸構造部29の凹凸面は特に限定されないが、例えば、図5(b)に示すように、その断面形状が曲線状となることが好ましい。このようにすることにより、光をより様々な方向に散乱させることができる。凹凸構造部29の凹凸面の凸部の形状及び凹部の形状は、特に限定されないが、例えば、半球状、ドーム状、円錐形状、ピラミッド形状(四角錐形状)、その他の角錐形状、円錐台形状、角錐台形状等の形状とすることができる。凹凸面の凸部及び凹部は、規則的に(周期的に)配置されていても良いし、不規則に配置されていても良い。また、凹凸面は、例えば、ダイヤカット面、クリスタルカット面、プリズム面及び粗面等であってもよい。
なお、凹凸構造部29における凹部及び凸部の径(円相当径)は、それぞれ可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいことが好ましい。これにより、より確実に、凹凸構造部29によって、光を様々な方向に反射させることができる。
【0036】
第2部分23bの屈折率は、例えば、第1部分23aの屈折率より低くてもよい。すなわち、第1部分23aと第2部分23bとのうち、屈折率がより低い方が栓体20の下部を構成していてもよい。
この場合、栓体20の下部側から栓体20の上部側への光の取り出しが容易となるので、栓体20の内部に到達した光の方のうち外部に放射される光の割合をより向上させることができる。
また、第2部分23bの屈折率は、例えば、第1部分23aの屈折率より高くてもよい。すなわち、第1部分23aと第2部分23bとのうち、屈折率がより高い方が栓体20の下部を構成していてもよい。
この場合、栓体20の上部側から外部への光の取り出しが容易となるので、栓体20の内部に到達した光の方のうち外部に放射される光の割合をより向上させることができる。
【0037】
<第1実施形態の変形例3>
次に、図6を用いて第1実施形態の変形例3を説明する。
本変形例に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態及び変形例1、2に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態及び変形例1、2に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0038】
本変形例の場合、発光部91と栓体20との間に、光を乱反射する乱反射構造80が配置されている。
これにより、乱反射構造80によって様々な方向に散乱された光が、栓体20の内部に入光することとなるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、栓体20の上面22の全面から均一に光を放射させることができる。
本変形例の場合、乱反射構造80は、下側部分14に埋設されており、発光部91の発光面92に対して直に接触しているとともに、栓体20の下面24よりも下方に配置されている。
乱反射構造80は、例えば、当該乱反射構造80の表面によって光が乱反射するように構成されていてもよいし、当該乱反射構造80の内部において光が乱反射するように構成されていてもよい。
乱反射構造80がその表面によって光が乱反射するように構成されている場合、乱反射構造80の表面の少なくとも一部分は凹凸面となっている。乱反射構造80の凹凸面は特に限定されないが、例えば、その断面形状が曲線状となることが好ましい。このようにすることにより、光をより様々な方向に散乱させることができる。乱反射構造80の凹凸面の凸部の形状及び凹部の形状は、特に限定されないが、例えば、半球状、ドーム状、円錐形状、ピラミッド形状(四角錐形状)、その他の角錐形状、円錐台形状、角錐台形状等の形状とすることができる。凹凸面の凸部及び凹部は、規則的に(周期的に)配置されていても良いし、不規則に配置されていても良い。また、乱反射構造80の凹凸面は、例えば、ダイヤカット面、クリスタルカット面、プリズム面及び粗面等であってもよい。また、乱反射構造80の凹凸面の凹部及び凸部の径(円相当径)は、それぞれ可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいことが好ましい。
乱反射構造80の内部において光が乱反射するように構成されている場合、乱反射構造80は、例えば、光散乱材を含んだ光透過性の樹脂材料によって構成されている。光散乱材は特に限定されてないが、例えば、酸化チタン、ジルコニア、マイカ、アルミナ、シリカ等の無機粒子(顔料、着色材及び金属粉等を含む)、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の有機粒子(顔料、着色材等を含む)などであることが挙げられる。また、乱反射構造80の内部において、ボイドを含有していてもよいし、2つの凹凸面が互いに組み合わされて形成された凹凸構造部を有していてもよい。
【0039】
〔第2実施形態〕
次に、図7を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0040】
図7に示すように、本変形例の場合、ハウジング部10が、栓体20の側周面20aに対して直に当接して、当該栓体20を保持している。
より詳細には、図7に示すように、本実施形態の場合、栓体20は、金属製の環状の枠体を介さずに、上側部分12と下側部分14とにより上下から挟み込まれている。
このように、本実施形態の場合、液体注入ポート100は、金属製の環状の枠体を備えていないので、当該液体注入ポート100が体内に埋め込まれた生体に対して、例えば、磁気共鳴画像診断装置(不図示)を用いた検査を行う際に生じる発熱を抑制することができる。
【0041】
<第2実施形態の変形例>
次に、図8を用いて第2実施形態の変形例を説明する。
本変形例に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第2実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0042】
本変形例の場合、図8に示すように、ハウジング部10の下側部分14は、凹部52の周囲を囲む内側部分15bと、内側部分の周囲を囲む外側部分15aと、を有する。内側部分15bと外側部分15aとが相互に組み付けられて下側部分14が構成されている。
そして、内側部分15bが透過部であり、外側部分15aは遮光性である。
【0043】
これにより、発光部91が発光することにより、その光が内側部分15bの内部を通過し、更には栓体20の内部を通過する一方で、内側部分15bの周囲(外側部分15aの内部)を通過しない構成とすることができる。よって、発光部91から射出された光を効率的に内側部分15bから栓体20に放射することができる。
【0044】
図8に示すように、外側部分15aの中央部には、上下方向に開放した開口が形成されている。内側部分15bは、外側部分15aの開口に対して嵌入する形状及び寸法に形成されており、内側部分15bの外周面は、外側部分15aの内周面に対して密着している。
本変形例の場合、内側部分15bに凹部52が形成されている。栓体20は、内側部分15bの上方に配置されており、凹部52の開口を液密に覆っている。また、内側部分15bには、発光部91が埋設されている。
【0045】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0046】
例えば、上述においては、栓体20が光散乱材を含有する例を説明したが、栓体20は、例えば、蛍光材を含有することも好ましい。
このようにすることにより、栓体20に光が照射されることによって、栓体20に含まれる蛍光材が点光源となる。このため、栓体20の内部において、点光源となる蛍光材が点在することとなり、各蛍光材間において光が伝達される。このようにして、栓体20の内部において光の連鎖が生じることとなるので、栓体20の全体が光るようにできる。
【0047】
また、例えば、栓体20の外表面の少なくとも一部分が、光を乱反射する凹凸面となっていてもよい。
このようにすることにより、凹凸面によって、光をより様々な方向に散乱させることができるので、発光部91としてLED等の指向性が高い光源を用いた場合でも、栓体20の上面22の全面から均一に光を放射させることができる。
凹凸面は特に限定されないが、例えば、その断面形状が曲線状となることが好ましい。このようにすることにより、光をより様々な方向に散乱させることができる。凸面の凸部の形状及び凹部の形状は、特に限定されないが、例えば、半球状、ドーム状、円錐形状、ピラミッド形状(四角錐形状)、その他の角錐形状、円錐台形状、角錐台形状等の形状とすることができる。凹凸面の凸部及び凹部は、規則的に(周期的に)配置されていても良いし、不規則に配置されていても良い。また、凹凸面は、例えば、ダイヤカット面、クリスタルカット面、プリズム面及び粗面等であってもよい。また、凹凸面の凹部及び凸部の径(円相当径)は、それぞれ可視光の波長領域と同等かそれよりも大きいことが好ましい。
例えば、栓体20の上面22が凹凸面となっている場合、当該凹凸面によって、上面22において全反射が生じることを抑制できるので、栓体20に入光した光の方のうち外部に放射される光の割合をより向上させることができる。
また、例えば、栓体20の側周面又は下面が凹凸面となっている場合、当該凹凸面によって様々な方向に散乱された光が、栓体20の内部に入光することとなるので、当該光を栓体20の上面22に万遍なく到達させることができる。なお、この場合、栓体20の外表面における凹凸面の形成領域の近傍に、発光部91が配置されることが好ましい。
なお、本発明において、栓体20は、例えば、上述した光散乱材、蛍光材、ボイド、乱反射構造80、凹凸構造部29及び凹凸面のうち2つ以上を含んでいてもよい。
【0048】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を構成する凹部を有するハウジング部と、
前記凹部の開口を塞いでいる栓体と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
発光部と、
を備え、
前記栓体は光透過性の樹脂材料により構成されており、前記発光部が発光することにより、その光が前記栓体の内部を通過して前記栓体の上面から放射される液体注入ポート。
(2)非接触給電により受電するコイルを備え、
前記コイルが受電した電力が前記発光部に供給されて、前記発光部が発光する(1)に記載の液体注入ポート。
(3)前記発光部は、前記ハウジング部に埋設されており、
前記ハウジング部は、光透過性の透過部を有し、
前記発光部からの光が前記透過部を介して前記栓体に到達する(1)又は(2)に記載の液体注入ポート。
(4)前記発光部は、前記ハウジング部において前記栓体の上面よりも下方に位置する部位に埋設されている(3)に記載の液体注入ポート。
(5)前記ハウジング部は、
前記栓体の上部の周囲を囲む上側部分と、
前記凹部の周囲を囲む下側部分と、
を有し、
前記上側部分と前記下側部分とが相互に組み付けられており、
前記下側部分に前記発光部が埋設されているとともに、前記下側部分が前記透過部を有する(4)に記載の液体注入ポート。
(6)前記上側部分は遮光性である(5)に記載の液体注入ポート。
(7)前記下側部分は、
前記凹部の周囲を囲む内側部分と、
前記内側部分の周囲を囲む外側部分と、
を有し、
前記内側部分と前記外側部分とが相互に組み付けられており、
前記内側部分が前記透過部であり、
前記外側部分は遮光性である(5)又は(6)に記載の液体注入ポート。
(8)前記栓体は、光散乱材を含有する(1)から(7)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(9)前記栓体は、蛍光材を含有する(1)から(8)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(10)前記栓体は、光を散乱させるボイドを内部に有する(1)から(9)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(11)前記栓体の外表面の少なくとも一部分は、光を乱反射する凹凸面となっている(1)から(10)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(12)前記発光部と前記栓体との間に、光を乱反射する乱反射構造が配置されている(1)から(11)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(13)前記栓体は、第1部分と、前記第1部分とは屈折率が異なる材料により構成されている第2部分と、を有し、
前記第1部分と前記第2部分との界面に、光を乱反射する凹凸構造部が形成されている(1)から(12)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(14)前記栓体の周囲を囲んでいる金属製の環状の枠体を備える(1)から(13)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(15)前記ハウジング部は、樹脂材料により構成されているとともに、前記栓体の側周面に対して直に当接して、当該栓体を保持している(1)から(13)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【符号の説明】
【0049】
10 ハウジング部
12 上側部分
12a 開口
14 下側部分
15a 外側部分
15b 内側部分
16 空洞部
20 栓体
20a 側周面
21 凸部
22 上面
23a 第1部材
23b 第2部材
24 下面
26 凹部
28 凸部
29 凹凸構造部
36 コネクタ部
50 液溜り部
52 凹部
54 側面
56 開口
58 連通孔
60 上方フレーム
61 筒状部
62 内フランジ部
70 下方フレーム
71 筒状部
72 内フランジ部
80 乱反射構造
91 発光部
92 発光面
96 コイル
100 液体注入ポート
AX 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8