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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108015
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】チューブ状容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/02 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
B65D35/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002791
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】浦川 直也
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065AA05
3E065BA05
3E065BA16
3E065BB03
3E065CA09
3E065DA16
3E065DB05
3E065DC01
3E065DD05
3E065FA08
3E065GA10
(57)【要約】
【課題】輸送効率および輸送適性が良く、成形しやすいチューブ状容器を提供する。
【解決手段】チューブ状容器は、注出口部と胴部とを有し、注出口部は、筒状の注出筒部と、注出筒部の一方端に接続され、注出筒部の外方に延伸するフランジ部とを有し、フランジ部の外形は略四角形であり、胴部は、一方端が閉塞され、他方端がフランジ部にシールされ、横断面形状が略四角形で、総厚が30μm以上300μm以下であり、坪量が50g/m以上200g/m以下の紙を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口部と胴部とを有し、
前記注出口部は、筒状の注出筒部と、注出筒部の一方端に接続され、注出筒部の外方に延伸するフランジ部とを有し、前記フランジ部の外形は略四角形であり、
前記胴部は、一方端が閉塞され、他方端が前記フランジ部にシールされ、横断面形状が略四角形で、総厚が30μm以上300μm以下であり、坪量が50g/m以上200g/m以下の紙を有する、
ことを特徴とするチューブ状容器。
【請求項2】
前記胴部は、前記紙を含む積層シートより成り、中間層としてバリア層を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ状容器。
【請求項3】
前記胴部の高さ方向の長さは、90mm以上250mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のチューブ状容器。
【請求項4】
前記注出口部に取り付けられるキャップを備え、前記キャップの横断面形状は略四角形であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のチューブ状容器。
【請求項5】
前記胴部の他方端は、前記フランジ部の、前記胴部の一方端側とは反対側の面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のチューブ状容器。
【請求項6】
前記フランジ部は、前記胴部の高さ方向に直交する平板状であることを特徴とする、請求項5に記載のチューブ状容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口部と胴部を有するチューブ状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、化粧品、食品等を充填して包装することができるチューブ状容器が知られている。例えば、特許文献1には、円筒状に成形された胴部と、胴部の上端部に連設された肩部と、肩部に連設された口栓部とを有するチューブ容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-231372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のように、胴部が円筒状(横断面形状が円形)のチューブ状容器(図2参照)は、例えば段ボール箱などに梱包した際に、チューブ状容器と段ボール箱の間に無駄な隙間が生じるため、輸送効率が悪いという問題がある。そこで、チューブ状容器の胴部の横断面形状を略四角形とすることが考えられる。しかし、胴部の横断面形状を略四角形とすることで輸送効率は改善されるが、胴部を構成する樹脂シートなどを略四角形状に折り曲げた部分などが分厚くなり、成形しにくいという問題がある。そこで胴部を薄くすることも考えられるが、リジッド性がなくなり、綺麗に整列したままの輸送が困難となる。よって、集積落下や振動などによるダメージを受けやすく、輸送適性が悪くなる、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、輸送効率および輸送適性が良く、成形しやすいチューブ状容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、注出口部と胴部とを有し、前記注出口部は、筒状の注出筒部と、注出筒部の一方端に接続され、注出筒部の外方に延伸するフランジ部とを有し、前記フランジ部の外形は略四角形であり、前記胴部は、一方端が閉塞され、他方端が前記フランジ部にシールされ、横断面形状が略四角形で、総厚が30μm以上300μm以下であり、坪量が50g/m以上200g/m以下の紙を有する、ことを特徴とするチューブ状容器である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記胴部は、前記紙を含む積層シートより成り、中間層としてバリア層を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ状容器である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記胴部の高さ方向の長さは、90mm以上250mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のチューブ状容器である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記注出口部に取り付けられるキャップを備え、前記キャップの横断面形状は略四角形であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のチューブ状容器である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記胴部の他方端は、前記フランジ部の、前記胴部の一方端側とは反対側の面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに
記載のチューブ状容器である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記フランジ部は、前記胴部の高さ方向に直交する平板状であることを特徴とする、請求項5に記載のチューブ状容器である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のチューブ状容器は、注出口のフランジ部の外形、およびそのフランジ部にシールされる胴部の横断面形状が略四角形である。よって、例えばそのチューブ状容器が梱包された段ボール箱とチューブ状容器の間に無駄な隙間が生ぜず、フランジ部の外形や胴部の横断面形状が円形である従来のチューブ状容器と比較して、同じ本数の容器の梱包に要する面積を減らせる(同じ収納スペースに従来よりも多量に梱包することができる)など、輸送効率が良い。
また、胴部の総厚は30μm以上300μm以下で、一般的なチューブ状容器の胴部よりも薄い。よって、胴部を横断面形状が略四角形状の筒状に容易に成形することができる。
さらに、胴部は、坪量が50g/m以上200g/m以下の紙を有しているため、薄いにもかかわらず、リジッド性があり、綺麗に整列したままチューブ状容器を輸送することができるため、集積落下や振動などによるダメージを受けにくく、輸送適性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態から第4実施形態に係るチューブ状容器の正面斜視図である。
図2】従来のチューブ状容器の一例の正面斜視図である。
図3】(a)第1実施形態から第5実施形態に係るチューブ状容器の正面図である。(b)第1実施形態から第5実施形態に係るチューブ状容器の側面図である。
図4図3(b)の注出口部近傍のA-A線における拡大断面図である。
図5】(a)図1の第1実施形態に係るチューブ状容器のB-B線拡大断面図である。(b)図1の第2実施形態に係るチューブ状容器のB-B線拡大断面図である。(c)図1の第3実施形態に係るチューブ状容器のB-B線拡大断面図である。(d)図1の第4実施形態に係るチューブ状容器のB-B線拡大断面図である。
図6】第1実施形態から第5実施形態に係るチューブ状容器の胴部を構成する積層シートの層構成を示す断面図である。
図7】第5実施形態に係るチューブ状容器の正面斜視図である。
図8図7の第5実施形態に係るチューブ状容器のC-C線拡大断面図である。
図9図1に示すD-D線または図7に示すE-E線における端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明の実施形態の例について説明する。
【0015】
<第1実施形態に係るチューブ状容器>
図1は、本実施形態に係るチューブ状容器100の正面斜視図である。図3(a)は、本実施形態に係るチューブ状容器100の正面図である。図3(b)は、本実施形態に係るチューブ状容器100の側面図である。図4は、図3(b)の注出口部近傍のA-A線における拡大断面図である。図5(a)は、図1の本実施形態に係るチューブ状容器100のB-B線拡大断面図である。図9は、図1に示すD-D線における端面図である。
【0016】
第1実施形態に係るチューブ状容器100は、注出口部10と胴部20とを有する。胴部20の一方端に位置する底部30が閉塞され、内容物(図示せず)が収容されている。また、胴部20の他方端が、後述するフランジ部13にシールされている。
【0017】
図4に示されるように、注出口部10は、筒状の注出筒部11と、注出筒部11の一方
端に接続され、胴部20の高さ方向に直交する平板状の閉塞部12を備える。ここで、「高さ方向」とは、図1のチューブ状容器100の中心軸X-Xの方向を意味する。この閉塞部12の一部がフランジ部13となるため、フランジ部13も平板状である。フランジ部13は、注出筒部11の一方端に接続され、注出筒部11の外方に延伸する。フランジ部13の外形は、後述する胴部20に合うように略四角形であり、フランジ部13は、角張り、なだらかな曲面を有さない。
【0018】
胴部20は、内容物を収容するための部材であり、紙およびシーラントを含む積層シート50により形成されている。第1実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20は、略平行な一対の端縁を有する積層シート50を横断面形状が略四角形の筒状に形成しつつ、図5(a)に示されるように、積層シート50の一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させることにより背貼りシール部21が形成される。胴部20は、製袋機やピロー・スティック包装機などを用いて作製することができる。胴部20の一方端に位置する底部30が閉塞され、内容物(図示せず)が収容されている。また、胴部20の他方端がフランジ部13にシールされている。
【0019】
底部30における積層シート50同士の接着方法は、特に限定されないが、例えば対向させた積層シート50の最内層同士の間にポリエチレンを含んだ接着層を設けて、これらを熱溶着する方法を用いることができる。
【0020】
胴部20の高さ方向の長さは、90mm以上250mm以下であることが好ましい。90mmより短いと成形できず、250mmより長いと使用しにくくなる。
【0021】
図5(a)に示されるように、胴部20の横断面形状は略四角形であり、胴部20は、角張り、なだらかな曲面を有さない。ここで、「横断面形状」とは、チューブ状容器100の中心軸X-Xに直交する平面(横断面)における胴部20の断面形状を意味する。
【0022】
フランジ部13の外形、およびそのフランジ部13にシールされる胴部20の横断面形状が略四角形であるため、図2に示される、注出口部のフランジ部212の外形や胴部211の横断面形状が円形である従来のチューブ状容器200と比較して、同じ本数の容器の梱包に要する面積を減らせるなど、輸送効率が良い。
【0023】
図4に示されるように、胴部20の底部30と反対側の他方端は、フランジ部13の、胴部20の一方端側とは反対側の面に取り付けられている。
【0024】
フランジ部13は平板状であるため、従来技術のようにテーパ形状に形成されたフランジ部212(図2参照)とは異なり、内方側に内容物の残留を可能とする空間を有さない。このため、指等で胴部20をフランジ部13の端縁で折り曲げることにより、胴部20にわずかに残った内容物を、フランジ部13の内方側の平面と胴部20の内面とで挟み込むことにより注出口部10の開口の周辺へ向かって押し出すことができる。また、注出口部10の開口の周辺へ向かって押し出された内容物を、胴部20および注出口部10の内部へ残留させることなく開口から絞り出すことができる。この結果、容器内部における内容物の残留を抑制することができる。
【0025】
なお、上述のように、胴部20を折り曲げながら内容物を絞り出すことで内容物の残留を抑制することができる。このため、胴部20を容易に折り曲げることが可能となる、剛性が低い(コシが強くない)積層シート50で胴部20を形成することが好ましい。
【0026】
チューブ状容器の胴部20を構成する積層シート50の厚みを30μm以上300μm以下とすることで、チューブ状容器の胴部20を容易に折り曲げることが可能となるため
、胴部20を横断面形状が略四角形状の筒状に容易に成形することができるととともに、軽い力で内容物を絞り出しやすく、内容物の残留を抑制できる。
【0027】
注出口部10の材料は、特に限定されないが、低密度ポリエチレン等の樹脂材料を好適に用いることができる。また、胴部20と共に注出口部10にもバリア機能を付与した材料を用いることで、チューブ状容器100全体のバリア機能が向上し、内容物の品質をより保護することができる。閉塞部12を平板状に形成した注出口部10は、テーパ形状に形成された従来技術に係る注出口部10(図2参照)と比較して、使用する材料を低減することができる。
【0028】
閉塞部12は、一例として略中心部に円環状のハーフカット15を有し、ハーフカット15の内側にプルリング16を備える。閉塞部12が、ハーフカット15とプルリング16とを備えることにより、チューブ状容器の使用者は、プルリング16を引っ張りハーフカット15に沿って閉塞部12の一部を除去することで、閉塞部12に内容物を取り出すための開口を形成することができる。なお、ハーフカット15とプルリング16とを設けずに、閉塞部12に内容物を取り出すための開口をあらかじめ形成してもよい。
【0029】
胴部20と注出口部10との接着方法は、特に限定されないが、例えば積層シート50の最内層にポリエチレンを含んだシーラント層54を設けるとともにポリエチレンを含んだ材料で注出口部10を形成して、これらを熱溶着する方法を用いることができる。
【0030】
フランジ部13の外形、即ちフランジ部13と胴部20との境界の輪郭は、略四角形であり、フランジ部13には、図1に示されるように、重なり部14が、チューブ状容器の中心軸X-X回りに4つ環状配置されている。図1では、外形が略四角形のフランジ部13の角部から対角線上に重なり部14が配置されているが、胴部20がフランジ部13に緩みなく密着した状態でシールされていれば、重なり部14の位置は上記場所に限られず、また4つより少なくても多くても良い。
【0031】
図9に示されるように、フランジ部13上には、胴部20の端部の少なくとも一部が折り畳まれることにより、重なり部14が形成される。重なり部14においては、重なり合った積層シート50の外面同士が接しており、互いに接する積層シート50の外面同士が熱溶着性を有する材料を用いてシールされている。
【0032】
チューブ状容器100は、注出口部10の注出筒部11に着脱可能なキャップを備えていても良い。着脱可能なキャップとしては例えば、注出口部10に取り付けられるヒンジキャップ40や、螺合により着脱可能なスクリューキャップなどが挙げられる。チューブ状容器100が着脱可能なキャップを備える場合、チューブ状容器の開栓後に再封することが容易となる。
【0033】
第1実施形態に係るチューブ状容器100におけるキャップは、図1に示されるように、注出口部10に取り付けられるヒンジキャップ40である。図1は、チューブ状容器100全体の構造を分かりやすくするために、ヒンジキャップ40とそれ以外の部分を分けて示しているが、使用時はこのヒンジキャップ40が注出口部10に取り付けられている。
【0034】
ヒンジキャップ40の横断面形状は、胴部20に合うように略四角形であり、ヒンジキャップ40は、角張り、なだらかな曲面を有さない。
【0035】
キャップとして、ヒンジキャップ40を設けると、閉塞部12と螺合し、回転させて開栓するキャップを設ける場合に比べて、開栓時に手でつかまれる胴部20に要求される捩
じれに対する剛性を低減できるので、剛性が低い積層シート50を採用しやすく好ましい。
【0036】
図6は、本実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20を構成する積層シート50の層構成を示す断面図である。
【0037】
胴部20は、紙を主体とする積層シート50により構成される。積層シート50の総厚は、30μ以上300μm以下であることが好ましい。この総厚は一般的なチューブ状容器よりも薄く、胴部20を横断面形状が略四角形状の筒状に容易に成形することができる。
【0038】
積層シート50は、紙層51の一方面に、基材フィルム層52、バリア層53およびシーラント層54をこの順に積層し、紙層51の他方面に、紙保護層55を積層し、紙保護層55上にインキ層56及びオーバーコートニス層57を積層し、熱溶着性コート層58をパターンコートした多層シートである。以下、各層の詳細を説明する。
【0039】
(紙層)
紙層51は、チューブ状容器100に強度及びコシを付与する構造層である。紙層51を構成する用紙の種類は特に限定されないが、強度、屈曲耐性、印刷適性を備える点で、片艶クラフト紙または両艶クラフト紙を用いることが好ましい。また、紙層51を構成する用紙として、必要に応じて、耐水紙または耐油紙を使用しても良い。また、紙層51はセルロース繊維を50%以上含む紙であれば良く、セルロース繊維の他に樹脂繊維を含む混抄紙であっても良い。
【0040】
紙層51に用いる紙の坪量は、50g/m以上200g/m以下であることが好ましく、70g/m以上150g/m以下であることがより好ましい。紙層51に用いる紙の坪量が50g/m未満である場合、胴部20のコシが不足する。コシを補うためには、例えば、紙層51より内側に設ける樹脂フィルムを厚くする必要があるが、樹脂比率の上昇に繋がり、環境負荷低減の面で望ましくない。また、紙層51に用いる紙の坪量が200g/mを超える場合、紙のコシや断熱性により、製筒性(製袋性)、成形性及び溶着性が悪化する上、製造コストも増加するため好ましくない。
【0041】
紙の坪量を上記坪量とすることにより、胴部20全体は薄いにもかかわらず、リジッド性があり、この胴部20を用いたチューブ状容器100は、集積落下や振動によるダメージを受けにくく、輸送適性が良い。
【0042】
(基材フィルム層)
基材フィルム層52は、積層シート50に耐熱性と物理的強度とを付与する層である。基材フィルム層52は、バリア層53の基材となる層でもある。基材フィルム層52を構成するフィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性及び物理的強度の観点から、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の延伸フィルムを用いることが好ましい。ただし、基材フィルム層52を紙により構成しても良い。
【0043】
(バリア層)
バリア層53は、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能層である。バリア層53は、例えば、ナイロン、シリカやアルミナ等の無機化合物の蒸着膜、アルミニウム等の金属蒸着膜、アルミニウム等の金属箔、板状鉱物及び/またはバリア性樹脂を含むバリアコート剤の塗膜の1種以上により構成することができる。バリアコート剤に用いるバリア性樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を使用することができ、バリアコート剤にはバリア性樹
脂以外のバインダー樹脂が適宜配合される。バリア層53は、予め基材フィルム層52上に積層されてバリアフィルムを構成していても良いし、単層膜として設けられても良い。
【0044】
(シーラント層)
シーラント層54の材質は特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。シーラント層54には、軟化温度が基材フィルム層52の軟化温度より20℃以上低い樹脂を用いる。シーラント層54の軟化温度が、基材フィルム層52の軟化温度より20℃以上低くない場合、シール時に基材フィルム層52が軟化してピンホールが発生する可能性が高くなるため好ましくない。シーラント層54の軟化温度は、基材フィルム層52の軟化温度より40℃以上低いことが好ましい。
【0045】
シーラント層54に用いる熱可塑性樹脂は、注出口部10の材料を構成する熱可塑性樹脂に対して接着性を有するものであれば良いが、注出口部10に用いる熱可塑性樹脂と同じ材質であることが好ましい。シーラント層54に用いる熱可塑性樹脂と注出口部10に用いる熱可塑性樹脂層とを同じにすることにより、胴部20と注出口部10とのシール強度を向上させることができる。
【0046】
(紙保護層)
紙保護層55は、積層シート50を構成する紙層51への内容物や汚れの付着から保護するための層である。紙保護層55の材料や形成方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の押出コートや、耐水剤あるいは耐油剤等のコート剤のコートにより紙保護層55を積層することができる。紙保護層55の厚みは、0.2μm~50μmであることが好ましく、1μm~20μmであることがより好ましい。紙保護層55の厚みが0.2μm未満である場合、紙保護層55にピンホールが発生する可能性があり、紙層51の保護が不十分となる場合がある。また、紙保護層55の厚みが50μmを超える場合、樹脂使用量や製造コストの面で好ましくない。
【0047】
(インキ層、オーバーコートニス層)
インキ層56は、各種表示を行うために印刷により施される層であり、オーバーコートニス層57は、耐摩性等を付与するための層である。インキ層56とオーバーコートニス層57の積層順序は図3と逆であっても良い。また、オーバーコートニス層57が紙保護層55を兼ねていても良い。
【0048】
(熱溶着性コート層)
熱溶着性コート層58は、積層シート50の外面に熱溶着性を付与するための層である。本実施形態では、積層シート50の外面にパターンコート(部分コート)した熱溶着性コート層58により、背貼りシール部21の外面を胴部20の外面にシールしている(図5(a)参照)と共に、注出口部10のフランジ部13上に形成される重なり部14で重なる積層シート50の外面同士をシールしている(図9参照)。
【0049】
熱溶着性コート層58は、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリビニルアセテート、ポリエステル等の融点が200℃以下の熱可塑性樹脂を含むコート剤を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。コート剤には、熱可塑性樹脂の他に、ブロッキング防止のための無機物等を配合しても良い。
【0050】
熱溶着性コート層58を形成するためのコート剤の塗布量は、0.2g/m~40g/mであり、3.0g/m~30g/mであることが好ましい。コート剤の塗布量が0.2g/m未満の場合、積層シート50の外面同士の接着強度が不足し、背貼りシール部21や重なり部14の積層シート50が跳ね上がる現象が発生する。一方、コート
剤の塗布量が40g/mを超える場合、摩擦係数が大きくなり、製袋機等の加工装置に対する機械適性が低下したり、積層シート50同士のブロッキングが発生しやすくなったりする。
【0051】
熱溶着性コート層58は、積層シート50の全面に設けても構わないが、積層シート50の表面の摩擦係数が大きくなるため、胴部20を加工する工程及びその後の工程での機械適性が低下する場合がある。したがって、熱溶着性コート層58は、コート剤をパターンコートすることにより、積層シート50の表面の一部に設けることが、機械適性の面でより好ましい。
【0052】
熱溶着性コート層58を積層シート50の表面の一部に設ける場合、シール対象箇所、すなわち、背貼りシール部21の外面と胴部20の外面とが接触する部分と、重なり部14において重なる積層シート50の外面同士が接触する部分とに熱溶着性コート層58が設けられていれば良い。ただし、シール対象箇所において接触する面の一方にのみ熱溶着性コート層58を設けても良い。
【0053】
胴部20を構成する積層シート50の総厚は、30μm以上300μm以下であることが好ましい。胴部20を構成する積層シート50の厚みが、この範囲であれば、製袋機やピロー・スティック包装機等を用いて、胴部20を横断面形状が略四角形状の筒状に容易に成形することができる。また、紙層51によって強度とコシが付与されるため、一般的なチューブ状容器(厚み300μm~500μm)と比べて、薄くすることができ、樹脂使用量も低減できる。
【0054】
胴部20を構成する積層シート50の樹脂比率を低減するため、積層シート50の質量のうち、紙層51の占める割合が50%以上であることが好ましい。樹脂の使用量を低減する観点では紙の割合は高いほど好ましい。
【0055】
なお、図3に示した積層シート50の層構成において、基材フィルム層52、バリア層53、紙保護層55、インキ層56及びオーバーコートニス層57の1層以上を省略しても良い。
【0056】
第1実施形態に係るチューブ状容器100の胴部20を形成する方法の一例を次に説明する。
【0057】
例えば、胴部20は、積層シート50が搬送装置により搬送されながら順次加工される。横断面形状が略四角形の板状の治具に積層シート50を巻き付け、一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分同士を重ね合わせる。次に、断面が逆T字形のガイドを用いて、一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分同士を立ち上げ、それぞれの内面同士をガイドを挟んで合掌状に対向させる。次に、平板状のガイドを用いて、積層シート50の内面同士を合掌状に突き合わせた部分を約90度折り曲げて、3枚の積層シート50を重ね合わせた状態とする。この状態で、シールバーを用いてシールすることにより、積層シート50の内面同士を溶着させて背貼りシール部21を形成すると同時に、熱溶着性コート層58により背貼りシール部21が胴部20の外面に溶着した胴部20を形成することができる。
【0058】
<第2実施形態に係るチューブ状容器>
図1は、本実施形態に係るチューブ状容器101の正面斜視図である。図3(a)は、本実施形態に係るチューブ状容器101の正面図である。図3(b)は、本実施形態に係るチューブ状容器101の側面図である。図4は、図3(b)の注出口部近傍のA-A線における拡大断面図である。図5(b)は、図1の本実施形態に係るチューブ状容器101のB-B線拡大断面図である。図6は、本実施形態に係るチューブ状容器101の胴部
61を構成する積層シート50の層構成を示す断面図である。図9は、図1に示すD-D線における端面図である。
【0059】
上記の第1実施形態に係るチューブ状容器100と第2実施形態に係るチューブ状容器101の違いは、胴部を筒状に形成するための構造のみである。以下に、第2実施形態に係るチューブ状容器101の胴部を筒状に形成するための構造について説明する。それ以外は第1実施形態に係るチューブ状容器100と同じであるため、説明を省略する。
【0060】
図5(b)に示されるように、第2実施形態に係るチューブ状容器101の胴部61は、略平行な一対の端縁を有する積層シート50を横断面形状が略四角形の筒状に形成しつつ、積層シート50の一方の端縁を含む帯状の部分の一面側を他方の端縁を含む帯状の部分の他面側に重ね合わせてシールすることにより形成される。胴部61は、製袋機やピロー・スティック包装機などを用いて作製することができる。
【0061】
第2実施形態に係るチューブ状容器101の胴部61の形成方法の一例を次に説明する。
【0062】
例えば、横断面形状が略四角形の板状の治具に積層シート50を巻き付け、一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分同士の間にポリエチレンなどを含んだ接着層を設けて、一方の端縁を含む帯状の部分の一面側を他方の端縁を含む帯状の部分の他面側に重ね合わせる。重ね合わせた部分の片面または両面からヒートシールバーや熱板をあてて、積層シート50の一対の端縁同士をシールする。
【0063】
上述した通り、熱溶着性コート層58は、積層シート50の外面に熱溶着性を付与するための層である。本実施形態では、積層シート50の外面にパターンコート(部分コート)した熱溶着性コート層58により、注出口部10のフランジ部13上に形成される重なり部14で重なる積層シート50の外面同士をシールしている(図9参照)。胴部61はポリエチレンなどを含んだ接着層により筒状に形成されるため、筒状に形成するための熱溶着性コート層58は不要である。
【0064】
熱溶着性コート層58を形成するためのコート剤の塗布量は、0.2g/m~40g/mであり、3.0g/m~30g/mであることが好ましい。コート剤の塗布量が0.2g/m未満の場合、積層シート50の外面同士の接着強度が不足し、重なり部14のシートが跳ね上がる現象が発生する。
【0065】
熱溶着性コート層58を積層シート50の表面の一部に設ける場合、シール対象箇所、すなわち、重なり部14において重なるシートの外面同士が接触する部分に熱溶着性コート層58が設けられていれば良い。ただし、シール対象箇所において接触する面の一方にのみ熱溶着性コート層58を設けても良い。
【0066】
<第3実施形態に係るチューブ状容器>
図1は、本実施形態に係るチューブ状容器102の正面斜視図である。図3(a)は、本実施形態に係るチューブ状容器102の正面図である。図3(b)は、本実施形態に係るチューブ状容器102の側面図である。図4は、図3(b)の注出口部近傍のA-A線における拡大断面図である。図5(c)は、図1の本実施形態に係るチューブ状容器102のB-B線拡大断面図である。図6は、本実施形態に係るチューブ状容器102の胴部62を構成する積層シート50の層構成を示す断面図である。図9は、図1に示すD-D線における端面図である。
【0067】
上記の第1実施形態に係るチューブ状容器100と第3実施形態に係るチューブ状容器
102の違いは、胴部を筒状に形成するための構造のみである。以下に、第3実施形態に係るチューブ状容器101の胴部62を筒状に形成するための構造について説明する。それ以外は第1実施形態に係るチューブ状容器100と同じであるため、説明を省略する。
【0068】
図5(c)に示されるように、第3実施形態に係るチューブ状容器102の胴部62は、略平行な一対の端縁を有する積層シート50が横断面形状が略四角形の筒状に形成され、一対の端縁同士の端面を突き合わせた突き合わせ部を有し、その突き合わせ部における胴部62の少なくとも内周面側に、例えば樹脂製のシールテープ70が貼着されることで形成される。
【0069】
樹脂製のシールテープ70と積層シート50のシーラント層54は、同一の樹脂で形成されていることが好ましい。また、シールテープ70は、単層の樹脂テープであっても良いしあるいは複層による樹脂テープであっても良い。シールテープ70が複層による樹脂テープである場合、シールテープ70の少なくとも積層シート50のシーラント層54側の面と、積層シート50のシーラント層54とが同一の樹脂で形成されている場合には、シールテープ70と積層シート50のシーラント層54との間の溶着が極めて良好に行なえる。
【0070】
上述した通り、熱溶着性コート層58は、積層シート50の外面に熱溶着性を付与するための層である。本実施形態では、積層シート50の外面にパターンコート(部分コート)した熱溶着性コート層58により、注出口部10のフランジ部13上に形成される重なり部14で重なる積層シート50の外面同士をシールしている(図9参照)。胴部62はシールテープ70により筒状に形成されるため、筒状に形成するための熱溶着性コート層58は不要である。
【0071】
熱溶着性コート層58を形成するためのコート剤の塗布量は、0.2g/m~40g/mであり、3.0g/m~30g/mであることが好ましい。コート剤の塗布量が0.2g/m未満の場合、積層シート50の外面同士の接着強度が不足し、重なり部14のシートが跳ね上がる現象が発生する。
【0072】
熱溶着性コート層58を積層シート50の表面の一部に設ける場合、シール対象箇所、すなわち、重なり部14において重なるシートの外面同士が接触する部分に熱溶着性コート層58が設けられていれば良い。ただし、シール対象箇所において接触する面の一方にのみ熱溶着性コート層58を設けても良い。
【0073】
<第4実施形態に係るチューブ状容器>
図1は、本実施形態に係るチューブ状容器103の正面斜視図である。図3(a)は、本実施形態に係るチューブ状容器103の正面図である。図3(b)は、本実施形態に係るチューブ状容器103の側面図である。図4は、図3(b)の注出口部近傍のA-A線における拡大断面図である。図5(d)は、図1の本実施形態に係るチューブ状容器103のB-B線拡大断面図である。図6は、本実施形態に係るチューブ状容器103の胴部63を構成する積層シート50の層構成を示す断面図である。図9は、図1に示すD-D線における端面図である。
【0074】
上記の第1実施形態に係るチューブ状容器100と第4実施形態に係るチューブ状容器103の違いは、胴部を筒状に形成するための構造のみである。以下に、第4実施形態に係るチューブ状容器103の胴部63を筒状に形成するための構造について説明する。それ以外は第1実施形態に係るチューブ状容器100と同じであるため、説明を省略する。
【0075】
図5(d)に示されるように、第4実施形態に係るチューブ状容器103の胴部63は
、略平行な一対の端縁を有する積層シート50が横断面形状が略四角形の筒状に形成される途中で、3箇所、積層シート50の内面同士が合掌状に突き合わされることで3つの角部81~83が形成されている。4つ目の角部84で、積層シート50の一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させることにより、背貼りシール部が形成される。胴部63は、製袋機やピロー・スティック包装機などを用いて作製することができる。
【0076】
第4実施形態に係るチューブ状容器103の胴部63の形成方法の一例を以下に説明する。
【0077】
例えば、横断面形状が略四角形の板状の治具に積層シート50を巻き付け、胴部63の横断面形状が略四角形となるように、3箇所、積層シート50の内面同士が合掌状に突き合わされることで3つの角部81~83を形成する。4つ目の角部84が形成される部分で、一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分の内面同士を合掌状に対向させて重ね合わせる。次に、4つの角部81~84における、積層シート50の内面同士を合掌状に突き合わせた部分を、隣接する積層シート50の外面にそれぞれ折り曲げて、4つの角部近傍において、3枚のシートを重ね合わせた状態とする。この状態で、シールバーを用いて4つの角部近傍をそれぞれシールすることにより、積層シート50の内面同士を溶着させて4カ所の合掌貼りシール部を形成すると同時に、熱溶着性コート層58により4カ所の合掌貼りシール部が胴部63の外面に溶着した胴部63を形成することができる。
【0078】
熱溶着性コート層58は、積層シート50の外面に熱溶着性を付与するための層である。本実施形態では、積層シート50の外面にパターンコート(部分コート)した熱溶着性コート層58により、合掌貼りシール部の外面を胴部63の外面にシールしている(図5(d)参照)と共に、注出口部10のフランジ部13上に形成される重なり部14で重なる積層シート50の外面同士をシールしている(図9参照)。
【0079】
熱溶着性コート層58を形成するためのコート剤の塗布量は、0.2g/m~40g/mであり、3.0g/m~30g/mであることが好ましい。コート剤の塗布量が0.2g/m未満の場合、積層シート50の外面同士の接着強度が不足し、胴部20の角部81~84近傍の積層シート50の外面同士のシール部や重なり部14のシートが跳ね上がる現象が発生する。
【0080】
熱溶着性コート層58を積層シート50の表面の一部に設ける場合、シール対象箇所、すなわち、胴部63の角部81~84の合掌貼りシール部の外面と胴部20の外面とが接触する部分と、重なり部14において重なるシートの外面同士が接触する部分とに熱溶着性コート層58が設けられていれば良い。ただし、シール対象箇所において接触する面の一方にのみ熱溶着性コート層58を設けても良い。
【0081】
<第5実施形態に係るチューブ状容器>
図3(a)は、本実施形態に係るチューブ状容器104の正面図である。図3(b)は、本実施形態に係るチューブ状容器104の側面図である。図4は、図3(b)の注出口部近傍のA-A線における拡大断面図である。図6は、本実施形態に係るチューブ状容器104の胴部64を構成する積層シート50の層構成を示す断面図である。図7は、本実施形態に係るチューブ状容器104の正面斜視図である。図8は、図7の本実施形態に係るチューブ状容器104のC-C線拡大断面図である。図9は、図7に示すE-E線における端面図である。
【0082】
第5実施形態に係るチューブ状容器104の胴部64の横断面形状は略四角形であるが、第1実施形態に係るチューブ状容器100と異なり、角が丸みを帯びている。ただし、
第5実施形態に係るチューブ状容器104の胴部64は、角の丸みを除いて、なだらかな曲面を有さない。
【0083】
注出口部90のフランジ部91の外形は、その胴部64に合うように角が丸みを帯びている略四角形であり、フランジ部91は、角の丸みを除いて、なだらかな曲面を有さない。
【0084】
ヒンジキャップ92の横断面形状は、その胴部64に合うように角が丸みを帯びている略四角形であり、ヒンジキャップ92は、角の丸みを除いて、なだらかな曲面を有さない。
【0085】
上記の胴部64、フランジ部91およびヒンジキャップ92における角の丸み以外は、胴部を筒状に形成するための構造も含めて第1実施形態に係るチューブ状容器100と同じであるため、説明を省略する。
【実施例0086】
本願発明者は、実施例1~4および比較例1~4のチューブ状容器を用いて、成形性、輸送効率、および輸送適性を確認する試験を実施した。実施例1~4および比較例1~4のチューブ状容器について次に説明する。
【0087】
実施例1~4、および比較例1~4のチューブ状容器は、いずれも、注出口部と、注出口部に接着された胴部と、胴部に取り付けられたヒンジキャップとを有する。
【0088】
実施例1~4のチューブ状容器の胴部は、総厚が300μm以下であり、横断面形状が略四角形であり、角張り、なだらかな曲面を有さない。また、実施例1~4のチューブ状容器の胴部を構成する積層シートの層構成は、下記の通りである。下記の層構成は、それぞれ最外層側から記載している。
【0089】
ポリエチレン(PE)(15μm)/紙(70g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
紙(70g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
紙(120g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
紙(70g)/ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/アルミニウム(AL)(9μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
ポリエチレン(PE)(10μm)/紙(50g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
紙(200g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
【0090】
実施例1~4のチューブ状容器のフランジ部を含む注出口部は、ポリエチレン(PE)樹脂の射出成型によって作製されており、フランジ部の外形は胴部に合うように略四角形であり、フランジ部は、角張り、なだらかな曲面を有さない。
【0091】
実施例1~4のチューブ状容器のキャップは、ポリエチレン(PE)樹脂の射出成型によって作製されており、キャップの横断面形状は胴部に合うように略四角形であり、キャップ、角張り、なだらかな曲面を有さない。
【0092】
実施例1~4のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が異なるため、次にそれぞれの構造を説明する。
【0093】
(実施例1)
実施例1のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が、上記の第1実施形態に係るチューブ状容器100と同じである。
【0094】
(実施例2)
実施例2のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が、上記の第2実施形態に係るチューブ状容器101と同じである。
【0095】
(実施例3)
実施例3のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が、上記の第3実施形態に係るチューブ状容器と同じである。また、実施例3に使用されるシールテープは、最外層側から、ポリエチレン(PE)(30μm)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ポリエチレン(PE)(30μm)の順で積層される積層体より成る。
【0096】
(実施例4)
実施例4のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が、上記の第4実施形態に係るチューブ状容器103と同じである。
【0097】
次に、比較例1~4のチューブ状容器について説明する。
【0098】
(比較例1)
比較例1のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が、上記の第1実施形態に係るチューブ状容器100と同じく合掌貼りによる背貼りシール部によるが、第1実施形態に係るチューブ状容器100と異なり、胴部の横断面形状が円形に形成されている。
【0099】
比較例1のチューブ状容器の胴部の総厚は300μm以下であり、胴部を構成する積層シートは、紙を含むものと含まないものを用いた。紙を含む積層シートの層構成は、上記の実施例1~4のチューブ状容器の胴部の積層シートの層構成と同じである。紙を含まない積層シートの層構成は、以下に示す通りである。下記の層構成は、それぞれ最外層側から記載している。
【0100】
透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(100μm)
透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
ポリエチレン(PE)(12μm)/アルミニウム(AL)(9μm)/ナイロン(NY)(15μm)/ポリエチレン(PE)(50μm)
【0101】
比較例1のチューブ状容器のフランジ部を含む注出口部は、ポリエチレン(PE)樹脂の射出成型によって作製されており、フランジ部の外形は胴部に合うように円形である。比較例1のチューブ状容器のキャップは、ポリエチレン(PE)樹脂の射出成型によって作製されており、キャップの横断面形状は胴部に合うように円形である。
【0102】
(比較例2)
比較例2のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が、実施例1と同じである。また、比較例2のチューブ状容器のフランジ部を含む注出口部やキャップも、実施例1と同じである。
【0103】
比較例2のチューブ状容器の胴部の総厚は300μm以下であり、胴部を構成する積層シートの層構成は、上記の比較例1のチューブ状容器の胴部の紙を含まない積層シートの層構成と同じである。
【0104】
(比較例3)
比較例3のチューブ状容器の胴部は、横断面形状が円形に形成されており、インフレーション法またはマンドレル法により成形されることで、筒状とするための接合部を有しない。
【0105】
比較例3のチューブ状容器の胴部の総厚は300μm以上であり、胴部を構成する積層シートは、紙を含むものと含まないものを用いた。紙を含む積層シートの層構成は、以下に示す通りである。下記の層構成は、最外層側から記載している。
【0106】
ポリエチレン(PE)(100μm)/紙(120g)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ポリエチレン(PE)(100μm)
【0107】
比較例3のチューブ状容器の胴部を構成する紙を含まない積層シートの層構成は、以下に示す通りである。下記の層構成は、最外層側から記載している。
【0108】
ポリエチレン(PE)(130μm)/ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/アルミニウム蒸着PETフィルム(VMPET)(12μm)/ポリエチレン(PE)(150μm)
ポリエチレン(PE)(80μm)/白ポリエチレン(PE)(160μm)/ポリエチレン(PE)(40μm)/透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/ポリエチレン(PE)(100μm)
【0109】
比較例3のチューブ状容器のフランジ部を含む注出口部は、ポリエチレン(PE)樹脂のコンプレッション成型によって作製されており、フランジ部の外形は胴部に合うように円形である。比較例3のチューブ状容器のキャップは、ポリエチレン(PE)樹脂の射出成型によって作製されており、キャップの横断面形状は胴部に合うように円形である。
【0110】
(比較例4)
比較例4のチューブ状容器は、胴部を筒状に形成するための構造が、実施例2と同じである。また、比較例4のチューブ状容器のフランジ部を含む注出口部やキャップも、実施例2と同じである。
【0111】
比較例4のチューブ状容器の胴部の総厚は300μm以上であり、胴部を構成する積層シートの層構成は、上記の比較例3のチューブ状容器の胴部の積層シートの層構成と同じである。
【0112】
(試験方法)
実施例1~4、および比較例1~4のチューブ状容器について、成形性、輸送効率、輸送適性を確認した。「成形性」は、胴部の断面最長の長さが35mm、胴部の高さ方向の長さが180mmピッチのチューブ状容器に成形できるか否かを示す。「輸送効率」は、上記各チューブ状容器を100本(10本×10本整列)梱包するのに必要な面積を算出し、それぞれ、胴部の横断面形状が円形で、積層シートの層構成および総厚が同じチュー
ブ状容器と比較して50%以上効率が改善されたか否か(50%以上面積を減らすことができたか否か)を示す。「輸送適性」は、段ボールに上記各チューブ状容器を100本入れ、JIS ZO200レベル1相当の振動と共に、1mの高さから、1角3稜6面について集積落下させた後、段ボールの中身を確認し、チューブ状容器が綺麗に整列しているか否かを示す。
【0113】
(試験結果・考察)
上記試験方法による試験結果を表1に示す。
【0114】
表1において、「成形性」は、胴部の断面最長の長さが35mm、胴部の高さ方向の長さが180mmピッチのチューブ状容器に成形できたものを「〇」とし、それ以外を「×」とする。「輸送効率」は、チューブ状容器を100本(10本×10本整列)梱包するのに必要な面積を算出し、胴部の横断面形状が円形で、積層シートの層構成および総厚が同じチューブ状容器と比較して50%以上効率が改善されたものを「〇」とし、それ以外を「×」とする。「輸送適性」は、段ボールに上記各チューブ状容器を100本入れ、JIS ZO200レベル1相当の振動と共に、1mの高さから、1角3稜6面について集積落下させた後、段ボールの中身を確認し、チューブ状容器が綺麗に整列しているものを「〇」とし、それ以外を「×」とする。
【0115】
実施例1~4は、成形性、輸送効率、および輸送適性の全てにおいて〇評価だった。
一方、比較例1~3は、成形性はいずれも〇評価だが、輸送効率と輸送適性のどちらか一方または両方が×評価だった。また、比較例4は、層が厚いため断面が四角形状に成形できなかったため成形性において×評価であり、輸送効率と輸送適性については、そもそも成形できないため評価できなかった。
【0116】
以上の試験結果より、胴部の断面横形状が略四角形で、胴部がある程度薄く、かつ紙が用いられたチューブ状容器を用いることで、成形性、輸送効率および輸送適性の全てにおいて良好となる、ということが分かる。
【0117】
【表1】
【0118】
以上の通り、本発明のチューブ状容器は、注出口のフランジ部の外形、およびそのフランジ部にシールされる胴部の横断面形状が略四角形である。よって、例えばそのチューブ状容器が梱包された段ボール箱とチューブ状容器の間に無駄な隙間が生ぜず、フランジ部の外形や胴部の横断面形状が円形である従来のチューブ状容器と比較して、同じ本数の容器の梱包に要する面積を減らせるなど、輸送効率が良い。
また、胴部の総厚は30μm以上300μm以下で、一般的なチューブ状容器の胴部よりも薄い。よって、胴部を横断面形状が略四角形状の筒状に容易に成形することができる。
さらに、胴部は、坪量が50g/m以上200g/m以下の紙を有しているため、薄いにもかかわらず、リジッド性があり、綺麗に整列したままチューブ状容器を輸送することができるため、集積落下や振動などによるダメージを受けにくく、輸送適性が良い。
【符号の説明】
【0119】
10・・・注出口部
11・・・注出筒部
12・・・閉塞部
13・・・フランジ部
14・・・重なり部
15・・・ハーフカット
16・・・プルリング
20・・・胴部
21・・・背貼りシール部
30・・・底部
40・・・ヒンジキャップ
50・・・積層シート
51・・・紙層
52・・・基材フィルム層
53・・・バリア層
54・・・シーラント層
55・・・紙保護層
56・・・インキ層
57・・・オーバーコートニス層
58・・・熱溶着性コート層
61~64・・・胴部
70・・・シールテープ
81~84・・・角部
90・・・注出口部
91・・・フランジ部
92・・・ヒンジキャップ
100・・・第1実施形態に係るチューブ状容器
101・・・第2実施形態に係るチューブ状容器
102・・・第3実施形態に係るチューブ状容器
103・・・第4実施形態に係るチューブ状容器
200・・・従来のチューブ状容器
211・・・従来のチューブ状容器の胴部
212・・・従来のチューブ状容器の注出口部のフランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9