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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108029
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】判断システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/24 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
B60H1/24 661A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002812
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中西 穣作
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211EA17
3L211EA18
3L211EA55
3L211EA59
3L211EA60
3L211GA04
(57)【要約】
【課題】車室内の空気の汚染度が悪化してしまう可能性を低減することを目的とする。
【解決手段】車両の車室外の空気の汚染度を検出する外気センサの検出値の既定の期間における傾向である外気傾向と、前記車室内の空気の汚染度を検出する内気センサの検出値の既定の期間における傾向である内気傾向と、を取得する取得部と、前記外気センサの検出値と前記内気センサの検出値との差が既定の閾値以内である場合と、前記外気センサの検出値と前記内気センサの検出値とが同じ既定の範囲内の値である場合と、のうちの少なくとも1つの場合、前記外気傾向と前記内気傾向とに基づいて、前記車室内の換気の要否を判断する判断部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室外の空気の汚染度を検出する外気センサの検出値の既定の期間における傾向である外気傾向と、前記車室内の空気の汚染度を検出する内気センサの検出値の既定の期間における傾向である内気傾向と、を取得する取得部と、
前記外気センサの検出値と前記内気センサの検出値との差が既定の閾値以内である場合と、前記外気センサの検出値と前記内気センサの検出値とが同じ既定の範囲内の値である場合と、のうちの少なくとも1つの場合、前記外気傾向と前記内気傾向とに基づいて、前記車室内の換気の要否を判断する判断部と、
を備える判断システム。
【請求項2】
前記判断部は、前記内気傾向が前記車室内の空気の汚染度の減少傾向であり、且つ、前記外気傾向が前記車室外の空気の汚染度の減少傾向である場合、前記車室内の換気を促す請求項1に記載の判断システム。
【請求項3】
前記判断部は、前記内気傾向が前記車室内の空気の汚染度の増加傾向であり、且つ、前記外気傾向が前記車室外の空気の汚染度の増加傾向である場合、前記車室内の換気しないよう案内する請求項1又は2に記載の判断システム。
【請求項4】
前記外気傾向は、前記車両の周辺の交通量に応じた期間における前記外気センサの検出値の傾向である請求項1乃至3の何れか1項に記載の判断システム。
【請求項5】
前記外気傾向は、前記車両の前の車両である前方車両との車間距離と、前記前方車両の車種と、の少なくとも1つに応じた期間における前記外気センサの検出値の傾向である請求項1乃至3の何れか1項に記載の判断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車室内の換気を支援する技術がある。特許文献1には、車両の室外の空気である外気の汚染度と、車両の室内の空気である内気の汚染度とをそれぞれ検知する空気汚染度検知器と、車両の空調モードを内気循環モードと外気導入モードとに切り替えて空調を制御する空調制御装置とを備える空調システムが開示されている。特許文献1では、空調制御装置は、空気汚染度検知器から取得した外気の汚染度に基づいて、空調モードを外気導入モードから内気循環モードに切り替え、空気汚染度検知器から取得した内気の汚染度に基づいて、空調モードを内気循環モードから外気導入モードに切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/082395号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、車室内の空気の汚染度と、車室外の空気の汚染度と、が同程度である場合が想定されておらず、このような場合に対応できず、車室内の空気の汚染度が悪化してしまう可能性があるという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、車室内の空気の汚染度が悪化してしまう可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、判断システムは、車両の車室外の空気の汚染度を検出する外気センサの検出値の既定の期間における傾向である外気傾向と、前記車室内の空気の汚染度を検出する内気センサの検出値の既定の期間における傾向である内気傾向と、を取得する取得部と、前記外気センサの検出値と前記内気センサの検出値との差が既定の閾値以内である場合と、前記外気センサの検出値と前記内気センサの検出値とが同じ既定の範囲内の値である場合と、のうちの少なくとも1つの場合、前記外気傾向と前記内気傾向とに基づいて、前記車室内の換気の要否を判断する判断部と、を備える。
【0006】
すなわち、判断システムにおいては、外気の汚染度と内気の汚染度との差が既定の閾値以内である場合と、外気の汚染度と内気の汚染度とが同じ既定の範囲内の値である場合、とのうちの少なくとも1つの場合、外気傾向と内気傾向とに基づいて、車室内の換気の要否を判断する。これにより、外気の汚染度と内気の汚染度と同程度である場合でも、車室内の空気の汚染度が悪化してしまう可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】判断システムの構成を示すブロック図である。
図2】汚染度の評価に用いられるテーブルを示す図である。
図3】換気の判断に用いられるテーブルを示す図である。
図4】通知画面を示す図である。
図5】換気判断処理を示すフローチャートである。
図6】換気判断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)判断システムの構成:
(2)換気判断処理:
(3)その他の実施形態:
【0009】
(1)判断システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる判断システム10の構成を示すブロック図である。判断システム10は、車両Cに備えられており、制御部20、記録媒体30を備えている。制御部20は、CPU、RAM、ROM等を備えるコンピュータである。判断システム10は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。
【0010】
本実施形態における車両Cは、車両Cの車室内に配置された内気センサユニット41と、車両Cの車室外に配置された外気センサユニット42と、UI部43と、を備える。
【0011】
内気センサユニット41は、車両Cの車室内の空気(以下では、内気とする)中の既定の汚染物質の濃度の測定に用いられる1つ以上のセンサを含むユニットである。本実施形態では、この既定の汚染物質は、CO2、PM2.5、PM10、窒素酸化物(NOx)である。以下では、気体中に存在する汚染物質の度合いを示す指標(例えば、汚染物質の濃度、汚染物質の総重量等)を汚染度とする。本実施形態では、判断システム10は、汚染度として、汚染物質の濃度を用いる。内気センサユニット41は、CO2センサ、PM(Particulate Matter)センサ、NOxセンサを含む。内気センサユニット41のCO2センサは、周囲の空気中のCO2を検知するセンサであり、例えば、半導体センサ、NDIR(Non Dispersive Infrared、非分散型赤外線吸収法)方式のセンサ等である。また、内気センサユニット41のPMセンサは、周囲の空気中のPM2.5、PM10を検知するセンサであり、例えば、レーザー散乱方式のセンサ等である。内気センサユニット41のNO2センサは、周囲の空気中のNO2を検知するセンサであり、例えば、半導体センサ、NDIR方式のセンサ等である。
【0012】
外気センサユニット42は、車両Cの車室外の空気(以下では、外気とする)中の既定の汚染物質(内気センサユニット41と同様に、CO2、PM2.5、PM10、NOx)の濃度の測定に用いられる1つ以上のセンサを含むユニットである。外気センサユニット42は、内気センサユニット41と同様に、CO2センサ、PMセンサ、NOxセンサを含む。UI部43は、ユーザとのやり取りに用いられるインタフェースであり、本実施形態では、液晶等の表示部、スピーカ等の音声出力部を含む。
【0013】
制御部20は、換気判断プログラム21を実行することができる。換気判断プログラム21は、車両Cの車室内の換気を促すか、換気を禁止するかの判断を行う機能を有する。この機能を実現するため、換気判断プログラム21が実行されると、制御部20は、検出値取得部21aと、汚染評価部21bと、傾向取得部21cと、判断部21dと、制御実行部21eとして機能する。
【0014】
検出値取得部21aは、内気センサユニット41、外気センサユニット42を用いて検出される車両Cの車室内、車室外の空気におけるCO2、PM2.5、PM10、NOxそれぞれの濃度の検出値を取得する機能である。制御部20は、検出値取得部21aの機能により、既定の時間間隔(例えば、1秒、5秒、10秒、30秒、1分等)で周期的に、内気センサユニット41、外気センサユニット42それぞれを用いて、内気における既定の汚染物質の濃度と、外気における既定の汚染物質の濃度と、を検出し、検出値を取得する。
そして、制御部20は、取得した検出値を、記録媒体30に記録された検出値DB30aに追加する。検出値DB30aは、内気センサユニット41、外気センサユニット42それぞれの検出値を蓄積するデータベースである。
【0015】
汚染評価部21bは、検出値取得部21aの機能により取得された内気センサユニット41の検出値、外気センサユニット42の検出値に基づいて、内気の汚染度、外気の汚染度を評価する機能である。制御部20は、汚染評価部21bの機能により、検出値取得部21aの機能により取得された内気センサユニット41の検出値、外気センサユニット42の検出値を取得する。そして、制御部20は、取得した内気センサユニット41、外気センサユニット42それぞれの検出値に基づいて、内気の汚染度、外気の汚染度を評価する。本実施形態では、空気中の汚染物質の濃度の範囲と、汚染度の程度を示すカテゴリ(以下では、汚染度カテゴリとする)と、が予め対応づけられており、この対応関係を示す対応テーブル200が記録媒体30に予め記録されている。すなわち、汚染度カテゴリは、空気中の汚染物質の濃度の既定の範囲を示す。制御部20は、対応テーブル200を用いて、内気、外気の汚染度を評価する。本実施形態では、汚染度カテゴリは、「低」、「中」、「高」の3つである。「低」は、汚染度が既定の第1の閾値未満であることを示す。「中」は、汚染度が第1の閾値以上であり、且つ、第1の閾値よりも大きい既定の第2の閾値未満であることを示す。「高」は、汚染度が第2の閾値以上であることを示す。
【0016】
図2に対応テーブル200を示す。対応テーブル200は、既定の汚染物質それぞれと、汚染度カテゴリと、に対応する汚染物質の濃度の範囲を示す。対応テーブル200の各行は、既定の汚染物質それぞれに対応する。また、対応テーブル200の列の項目である「汚染度:低」、「汚染度:中」、「汚染度:高」は、それぞれ汚染度カテゴリ「低」、「中」、「高」に対応する。対応テーブル200の各要素は、対応する行が示す汚染物質の濃度の範囲であって、対応する列が示す汚染度カテゴリとなる濃度の範囲を示す。対応テーブル200における各汚染物質と、「汚染度:低」と、に対応する要素は、「-」を挟む2つの数字が示されている。これらの要素は、それぞれ、「-」の左側の数字以上、且つ、「-」の右側の数字未満の範囲を示す。この「-」の右側の数字は、上述の第1の閾値である。また、対応テーブル200における各汚染物質と、「汚染度:中」と、に対応する要素は、「-」を挟む2つの数字が示されている。これらの要素は、それぞれ、「-」の左側の数字以上、且つ、「-」の右側の数字未満の範囲を示す。この「-」の右側の数字は、上述の第2の閾値である。対応テーブル200における各汚染物質と、「汚染度:高」と、に対応する要素は、「-」の左側に記載された1つの数字が示されている。これらの要素は、「-」の左側の数字以上の範囲を示す。
【0017】
制御部20は、検出値取得部21aの機能により取得された内気センサユニット41の検出値(CO2、PM2.5、PM10、NOxの濃度の検出値)それぞれについて、以下の処理を行う。すなわち、制御部20は、検出値に対応する汚染物質について各汚染度カテゴリそれぞれに対応する濃度の範囲を、対応テーブル200から取得する。そして、制御部20は、検出値が取得した濃度の範囲の何れに属するかを特定し、対応テーブル200において特定した濃度の範囲に対応する汚染度カテゴリを特定する。制御部20は、以上の処理を、内気センサユニット41の検出値それぞれについて行うことで、各汚染物質についての検出値の汚染度カテゴリを評価する。
【0018】
また、制御部20は、検出値取得部21aの機能により取得された外気センサユニット42の検出値(CO2、PM2.5、PM10、NOxの濃度の検出値)それぞれについて、外気センサユニット42の検出値それぞれについてと同様の処理を行うことで、各汚染物質についての検出値の汚染度カテゴリを評価する。
【0019】
傾向取得部21cは、既定の期間における内気センサユニット41、外気センサユニット42の検出値それぞれの傾向を取得する機能である。本実施形態では、この既定の期間は、検出値取得部21aの機能による内気、外気の各汚染物質の濃度の検出値の直近の取得時刻以前の5分間である。ただし、この規定の期間は、検出値取得部21aの機能による内気、外気の各汚染物質の濃度の検出値の直近の取得時刻以前の1分間、10分間等の他の期間であってもよい。制御部20は、傾向取得部21cの機能により、既定の汚染物質それぞれについて、検出値DB30aから、既定の期間において取得された内気センサユニット41の検出値を取得する。そして、制御部20は、取得した検出値に基づいて、検出値の検出時刻と、検出値と、の関係を、検出値の傾向として取得する。本実施形態では、制御部20は、最小二乗法、最尤法等の手法を用いて、取得した検出値と対応する検出時刻との対応データについての回帰直線を求める。本実施形態では、制御部20は、この回帰直線として、(検出値=傾き×検出時刻+定数)という形式の式を求める。そして、制御部20は、求めた式における傾き(検出時刻の係数)の情報を、内気についての検出値の既定の期間における傾向として取得する。これにより、制御部20は、内気センサユニット41の検出値それぞれについて、検出値の既定の期間における傾向を取得する。
また、制御部20は、既定の汚染物質それぞれについて、検出値DB30aから、既定の期間において取得された外気センサユニット42の検出値を取得する。そして、制御部20は、最小二乗法、最尤法等の手法を用いて、取得した検出値と対応する検出時刻との対応データについての回帰直線の式として、(検出値=傾き×検出時刻+定数)という形式の式を求める。そして、制御部20は、求めた式における傾き(検出時刻の係数)の情報を、外気についての検出値の既定の期間における傾向として取得する。
【0020】
判断部21dは、内気センサユニット41、外気センサユニット42の検出値に基づいて、車両Cの車室内の換気の要否を判断する機能である。本実施形態では、判断部21dは、外気センサユニット42の検出値の汚染度カテゴリと、内気センサユニットの検出値の汚染度カテゴリと、が同じである場合、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値とが共にその汚染度カテゴリに対応する同じ範囲内の値であるとして、傾向取得部21cの機能により取得された外気の傾向と内気の傾向とに基づいて、車両Cの車室内の換気を行うべきか否かを判断する機能を含む。
制御部20は、判断部21dの機能により、既定の汚染物質それぞれについて、汚染評価部21bの機能により評価された内気の汚染度カテゴリと、外気の汚染度カテゴリと、に基づいて、車両Cの車室内の換気を行うべきか否かを判断する。この判断の処理について説明する。
【0021】
本実施形態では、制御部20は、図3に示す判断テーブル300に従って、内気の汚染度カテゴリと外気の汚染度カテゴリとの組み合わせに応じた判断を行う。判断テーブル300は、内気の汚染度カテゴリと外気の汚染度カテゴリとの組み合わせと、換気すべきか否か、又は、さらなる詳細な判断を要するかを示す「換気判断」情報と、の対応を示す。より具体的には、制御部20は、内気の汚染度カテゴリが「低」であり、且つ、外気の汚染度カテゴリが「低」である場合、車両Cの車室内の換気を要しないとして、換気が不要であると判断する。また、制御部20は、内気の汚染度カテゴリが「低」であり、且つ、外気の汚染度カテゴリが「中」又は「高」である場合、換気すると車室内の空気の汚染度が増加するとして、換気を禁止すべきと判断する。
【0022】
また、制御部20は、内気の汚染度カテゴリが「中」以上であり、且つ、外気の汚染度カテゴリが内気の汚染度カテゴリよりも小さい場合、換気すると車室内の空気の汚染度が低下するとして、換気すべきと判断する。すなわち、制御部20は、内気の汚染度カテゴリが「中」、且つ、内気の汚染度カテゴリが「低」の場合と、内気の汚染度カテゴリが「高」、且つ、内気の汚染度カテゴリが「低」又は「中」の場合と、において、換気すべきと判断する。また、制御部20は、内気の汚染度カテゴリが「中」であり、且つ、外気の汚染度カテゴリが「高」である場合、換気すると車室内の空気の汚染度が増加するとして、換気を禁止すべきと判断する。また、制御部20は、内気の汚染度カテゴリと外気の汚染度カテゴリとが同じである場合、より詳細な判断を要するとして、より詳細な判断を行うと判断する。すなわち、制御部20は、内気の汚染度カテゴリが「中」、且つ、外気の汚染度カテゴリが「中」である場合と、内気の汚染度カテゴリが「高」、且つ、外気の汚染度カテゴリが「高」である場合と、において、より詳細な判断を行うと判断する。
【0023】
制御部20は、内気の汚染度カテゴリと、外気の汚染度カテゴリと、に基づいて、より詳細な判断を行うと判断した場合、以下の処理を行う。すなわち、制御部20は、傾向取得部21cにより取得される内気の傾向と、外気の傾向と、に基づいて、車両Cの車室内の換気をすべきか否かを判断する。より具体的には、制御部20は、傾向取得部21cにより取得される内気の傾向が、汚染度の減少傾向であるか否かを判定する。以下では、汚染度の減少傾向を、単に減少傾向と記す。本実施形態では、制御部20は、傾向取得部21cにより取得される内気の傾向が示す汚染度の近似式の傾きが0未満である場合、内気の傾向を減少傾向と判定し、傾向取得部21cにより取得される内気の傾向が示す汚染度の近似式の傾きが0以上である場合、内気の傾向を、汚染度の増加傾向と判定する。以下では、汚染度の増加傾向を、単に増加傾向と記す。
また、制御部20は、傾向取得部21cにより取得される外気の傾向が示す汚染度の近似式の傾きが0未満である場合、外気の傾向を減少傾向と判定し、傾向取得部21cにより取得される外気の傾向が示す汚染度の近似式の傾きが0以上である場合、外気の傾向を増加傾向と判定する。
【0024】
制御部20は、内気の傾向が減少傾向であり、且つ、外気の傾向が増加傾向である場合、換気すると車室内の空気の汚染度がより増加するとして、換気を禁止すべきと判断する。制御部20は、内気の傾向が増加傾向であり、且つ、外気の傾向が減少傾向である場合、換気した方が車室内の空気の汚染度を減少できるとして、換気をすべきと判断する。
【0025】
また、車室内という閉じられた空間においては、車室外の開けた空間に比べて、新しい空気が入ってきにくい。そのため、車室内における空気よりも、車室外の空気の方が、改善しやすい傾向がある。そこで、本実施形態では、制御部20は、内気の傾向が減少傾向であり、且つ、外気の傾向が減少傾向である場合、換気をすべきと判断する。
また、車室内には車室外の空気が徐々に入ってくる傾向にある。そのため、車室外における空気の汚染度が増加すると、車室内の空気の汚染度も増加する傾向がある。すなわち、車室外における空気の汚染度の増加が、車室内に伝搬する傾向がある。そこで、本実施形態では、制御部20は、内気の傾向が増加傾向であり、且つ、外気の傾向が増加傾向である場合、換気を行うと外気の汚染度の増加に併せて車室内の空気の汚染度が増加するとして、換気を禁止すべきと判断する。
【0026】
制御実行部21eは、判断部21dの判断結果に応じて、車両Cの車室内の換気を促す処理(以下では、換気促進処理とする)、車両Cの車室内の換気の禁止を案内する処理(以下では、換気禁止案内処理とする)、を行う。制御部20は、制御実行部21eの機能により、判断部21dの機能により車両Cの車室内を換気すべきと判断された場合、換気促進処理を実行する。また、制御部20は、制御実行部21eの機能により、判断部21dの機能により車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断された場合、換気禁止案内処理を実行する。
【0027】
本実施形態では、制御部20は、換気促進処理として、UI部43の表示部に換気を促す情報を表示する。図4を用いて、UI部43に表示される画面を説明する。本実施形態では、制御部20は、換気が不要であると判断する場合(内気の汚染度カテゴリ、外気の汚染度カテゴリがともに「低」の場合)、車室内の空気の汚染度が問題ないとして、UI部43に、汚染度が問題ないことを示す色として予め定められた色(例えば、緑、青等)を背景色とする図4Aに示す通知画面400を表示する。ユーザは、通知画面400の背景色を確認して、車室内の空気が問題ないと把握できる。
【0028】
また、制御部20は、判断部21dの機能により車両Cの車室内を換気すべきと判断した場合、図4Bに示すように、内気の汚染度カテゴリが「中」以上であることを示す色として予め定められた色(例えば、黄色、赤等)を背景色として、換気を促すオブジェクトである促進オブジェクト401を含む通知画面400をUI部43に表示する。本実施形態では、促進オブジェクト401は、図4Bに示すように風車のアイコンであるが、テキスト情報等の他のオブジェクトであってもよい。これにより、ユーザは、促進オブジェクト401を確認することで、換気が促されていることを把握できる。また、ユーザは、通知画面400の背景色から、車室内の空気の状態を把握できる。
【0029】
また、制御部20は、判断部21dの機能により車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断した場合、図4Cに示すように、内気の汚染度カテゴリが「中」以上であることを示す色として予め定められた色を背景色として、換気を禁止することを案内するオブジェクトである禁止オブジェクト402を含む通知画面400をUI部43に表示する。本実施形態では、禁止オブジェクト402は、図4Cに示すように風車にバツ点が重畳したアイコンであるが、テキスト情報等の他のオブジェクトであってもよい。これにより、ユーザは、禁止オブジェクト402を確認することで、換気が禁止されていることを把握できる。また、ユーザは、通知画面400の背景色から、車室内の空気の状態を把握できる。
【0030】
以上のように、本実施形態の構成によれば、判断システム10は、内気の汚染度と外気の汚染度とを評価し、内気の汚染度カテゴリと外気の汚染度カテゴリとに基づいて、換気をすべきか否かを判断する。判断システム10は、特に、内気の汚染度カテゴリと外気の汚染度カテゴリとが同じである場合、すなわち、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値とが共に同じカテゴリに対応付けられた同じ既定の範囲内の値である場合、外気の傾向と内気の傾向とに基づいて、車両Cの車室内の換気の要否を判断し、判断結果に応じて、換気促進処理、換気禁止処理を行う。これにより、判断システム10は、車室内の空気の汚染度と、車室外の空気の汚染度と、が同程度である場合であっても、車室内の空気の汚染度が悪化してしまう可能性を低減できる。
【0031】
(2)換気判断処理
図5、6を用いて、判断システム10が実行する換気判断処理を説明する。本実施形態では、制御部20は、車両Cが走行を開始すると、図5、6の処理を開始する。ただし、制御部20は、処理の開始を指示された時刻等の他のタイミングで、図5、6の処理を開始してもよい。
【0032】
S100において、制御部20は、検出値取得部21aの機能により、内気センサユニット41、外気センサユニット42それぞれを用いて、内気における既定の汚染物質の濃度と、外気における既定の汚染物質の濃度と、を検出して検出値を取得する。そして、制御部20は、取得した検出値を、検出時刻と対応付けて、記録媒体30の検出値DB30aに記録する。なお、制御部20は、前回の検出値の取得時刻から既定の時間間隔経っていない場合、前回の検出値の取得時刻から既定の時間間隔経過するまで待機して、内気における既定の汚染物質の濃度と外気における既定の汚染物質の濃度との検出値の取得を行う。これにより、制御部20は、既定の時間間隔で周期的に、内気における既定の汚染物質の濃度と外気における既定の汚染物質の濃度との検出値を取得できる。
【0033】
S105において、制御部20は、汚染評価部21bの機能により、既定の汚染物質(CO2、PM2.5、PM10、NOx)のうちの1つを選択する。以下では、直前のS105の処理で選択された汚染物質を選択物質とする。なお、制御部20は、RAMに選択物質として選択済みの汚染物質の情報を記録する。
S110において、制御部20は、汚染評価部21bの機能により、直前のS100で取得された、内気における選択物質についての検出値(選択物質についての内気センサユニット41の検出値)と、外気における選択物質についての検出値(選択物質についての外気センサユニット42の検出値)と、を評価する。より具体的には、制御部20は、記録媒体30に記録された対応テーブル200を用いて、内気における選択物質についての検出値と、外気における選択物質についての検出値と、の汚染度カテゴリを特定する。
【0034】
S115において、制御部20は、判断部21dの機能により、S110で特定された内気における選択物質の汚染度カテゴリが「中」以上(「中」又は「高」)か否かを判定する。制御部20は、内気における選択物質の汚染度カテゴリが「中」以上であると判定した場合、処理をS120に進め、内気における選択物質の汚染度カテゴリが「中」未満(「低」)であると判定した場合、処理をS125に進める。
S120において、制御部20は、判断部21dの機能により、S110で特定した外気における選択物質についての汚染度カテゴリが、S110で特定した内気における選択物質についての汚染度カテゴリよりも小さいか否かを判定する。制御部20は、外気における選択物質についての汚染度カテゴリが、内気における選択物質についての汚染度カテゴリよりも小さいと判定した場合、処理をS155に進める。また、制御部20は、外気における選択物質についての汚染度カテゴリが、内気における選択物質についての汚染度カテゴリ以上であると判定した場合、処理をS130に進める。
【0035】
S125において、制御部20は、判断部21dの機能により、S110で特定した外気における選択物質についての汚染度カテゴリが「中」以上であるか否かを判定する。制御部20は、判断部21dの機能により、外気における選択物質についての汚染度カテゴリが「中」以上であると判定した場合、処理をS160に進める。また、制御部20は、判断部21dの機能により、外気における選択物質についての汚染度カテゴリが「中」未満(「低」)であると判定した場合、車室内の換気を不要と判断し、S165に進める。なお、制御部20は、車室内の換気を不要と判断すると、RAMに車室内の換気を不要と判断したことを示す情報を記録する。
【0036】
S130において、制御部20は、判断部21dの機能により、S110で特定した外気における選択物質についての汚染度カテゴリが、S110で特定した内気における選択物質についての汚染度カテゴリよりも大きいか否かを判定する。制御部20は、外気における選択物質についての汚染度カテゴリが、内気における選択物質についての汚染度カテゴリよりも大きいと判定した場合、処理をS160に進める。また、制御部20は、外気における選択物質についての汚染度カテゴリが、内気における選択物質についての汚染度カテゴリ以下であると判定した場合、外気における選択物質についての汚染度カテゴリと、内気における選択物質についての汚染度カテゴリと、が同じであり、外気における選択物質についての汚染度と、内気における選択物質についての汚染度と、が同じ汚染度カテゴリに対応する範囲内の値であるとして、処理をS135に進める。
【0037】
S135において、制御部20は、傾向取得部21cの機能により、選択物質について、検出値DB30aから、既定の期間において取得された内気センサユニット41の検出値を取得する。そして、制御部20は、取得した検出値と対応する検出時刻との対応データについての回帰直線の式を求め、求めた式の傾きの情報を、内気についての検出値の既定の期間における傾向として取得する。
また、制御部20は、選択物質について、検出値DB30aから、既定の期間において取得された外気センサユニット42の検出値を取得する。そして、制御部20は、取得した検出値と対応する検出時刻との対応データの回帰直線の式を求め,求めた式の傾きの情報を、外気についての検出値の既定の期間における傾向として取得する。
【0038】
S140において、制御部20は、判断部21dの機能により、直前のS1435で取得した内気についての検出値の傾向(以下では、内気傾向とする)が減少傾向であるか否かを判定する。制御部20は、内気傾向が示す傾きが0未満である場合、内気傾向を減少傾向と判定し、傾向取得部21cにより取得される内気傾向が示す汚染度の近似式の傾きが0以上である場合、内気の傾向を増加傾向と判定する。
制御部20は、直前のS135で取得した内気傾向が減少傾向であると判定した場合、処理をS145に進め、直前のS135で取得した内気傾向が増加傾向であると判定した場合、処理をS150に進める。
【0039】
S145において、制御部20は、判断部21dの機能により、直前のS135で取得した外気についての検出値の傾向(以下では、外気傾向とする)が減少傾向であるか否かを判定する。制御部20は、直前のS135で取得した外気傾向が示す傾きが0未満である場合、外気傾向を減少傾向と判定し、傾向取得部21cにより取得される外気傾向が示す汚染度の近似式の傾きが0以上である場合、内気の傾向を増加傾向と判定する。
制御部20は、直前のS135で取得した外気傾向が減少傾向であると判定した場合、処理をS155に進め、直前のS135で取得した内気傾向が増加傾向であると判定した場合、処理をS160に進める。
【0040】
S150において、制御部20は、判断部21dの機能により、直前のS135で取得した外気傾向が減少傾向であるか否かを判定する。制御部20は、直前のS135で取得した外気傾向が示す傾きが0未満である場合、外気についての検出値の傾向を減少傾向と判定し、傾向取得部21cにより取得される外気傾向が示す汚染度の近似式の傾きが0以上である場合、内気の傾向を増加傾向と判定する。
制御部20は、直前のS135で取得した外気傾向が減少傾向であると判定した場合、処理をS155に進め、直前のS135で取得した内気傾向が増加傾向であると判定した場合、処理をS160に進める。
【0041】
S155において、制御部20は、判断部21dの機能により、選択物質についての汚染度の改善のために、車両Cの車室内を換気すべきと判断する。制御部20は、車両Cの車室内を換気すべきと判断した場合、RAMに車両Cの車室内を換気すべきと判断したことを示す情報を記録する。
S160において、制御部20は、判断部21dの機能により、選択物質についての汚染度の悪化の防止のために、車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断する。制御部20は、車両Cの車室内を換気すべきと判断した場合、RAMに車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断したことを示す情報を記録する。
【0042】
S165において、制御部20は、判断部21dの機能により、既定の汚染物質のすべてについて、S105で選択物質として選択済みか否かを判定する。制御部20は、既定の汚染物質のすべてについてS105で選択物質として選択済みと判定した場合、S105での選択物質の選択履歴をリセットして、処理をS170に進める。S105での選択物質の選択履歴のリセットとは、RAMに記録された選択物質として選択された汚染物質の履歴情報を削除することで、既定の汚染物質のすべてをS105で選択されていないようにすることである。また、制御部20は、既定の汚染物質のうちS105で選択物質として選択していないものが存在すると判定した場合、処理をS105に進める。
【0043】
S170において、制御部20は、制御実行部21eの機能により、RAMに車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断したことを示す情報が記録されているか否かを判定する。制御部20は、RAMに車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断したことを示す情報が記録されていると判定した場合、処理をS175に進め、車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断したことを示す情報が記録されていないと判定した場合、処理をS180に進める。
S175において、制御部20は、制御実行部21eの機能により、換気禁止案内処理を実行する。
S180において、制御部20は、制御実行部21eの機能により、RAMに車両Cの車室内を換気すべきと判断したことを示す情報が記録されているか否かを判定する。制御部20は、RAMに車両Cの車室内を換気すべきと判断したことを示す情報が記録されていると判定した場合、処理をS185に進める。また、制御部20は、RAMに車両Cの車室内を換気すべきと判断したことを示す情報が記録されていないと判定した場合、処理をS100に進める。
S185において、制御部20は、制御実行部21eの機能により、換気促進処理を実行する。
【0044】
(3)その他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、判断システム10は、車両Cに組み込まれたコンピュータとして実装されてもよいし、可搬型の端末によって実現される装置であっても良いし、複数の装置(例えば、クライアントとサーバーや、情報処理装置内の制御部とユーザI/F部内の制御部等)によって実現されるシステムであっても良い。
【0045】
判断システム10を構成する検出値取得部21a、汚染評価部21b、傾向取得部21c、判断部21d、制御実行部21eの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在しても良い。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、図5、6に示す換気判断処理において、S135の処理の順序がS100の直後、S105の直後等に変動してもよい。また、例えば、判断システム10が検出値取得部21a、汚染評価部21bを含まずに、これらの機能が判断システム10の外部の装置、又はシステムに実装されるとしてもよい。その場合、判断システムは、内気センサユニット41、外気センサユニット42の検出値、及び、対応する汚染度カテゴリを外部から取得する。また、例えば、判断システム10が、内気センサユニット41と外気センサユニット42との検出値の汚染度カテゴリを比較する機能(S115~S130に対応する機能)を含まずに、これらの機能が判断システム10の外部の装置、又はシステムに実装されるとしてもよい。その場合、判断システム10は、外部から汚染度カテゴリの比較結果を取得する。
【0046】
上述の実施形態では、判断システム10は、既定の期間における外気センサユニット42の検出値から、既定の期間における外気傾向を取得した。車両Cの周囲の外気の汚染度は、車両Cの周囲の交通量が多いほど、より不安定になる。車両Cの周囲の車両から排ガスが排出される影響である。そのため、外気センサユニット42の検出値も短期的な変動が増加し、不安定になる。すなわち、既定の期間における外気センサユニット42の検出値からでは、十分な精度で検出値の傾向を取得できない場合がある。
そこで、判断システム10は、車両Cの周囲の交通量を特定し、特定した交通量に応じた長さの期間における外気センサユニット42の検出値から、外気傾向を取得してもよい。判断システム10は、車両Cに備えられた撮影部により撮影された車両Cの周囲の画像から、車両を認識し、認識した車両の数を交通量として特定してもよい。また、判断システム10は、車両Cが走行している道路の混雑の度合いを交通量として、VICS(登録商標)から交通量を示すFM信号、ビーコン信号等を取得することで、交通量を特定してもよい。また、判断システム10は、インターネットを経由して、外部から交通量を取得することで、交通量を特定してもよい。
【0047】
そして、判断システム10は、特定した交通量に基づいて、外気センサユニット42の検出値の傾向を求めるために、どの期間における外気センサユニット42の検出値を用いるかを決定してもよい。例えば、判断システム10は、外気センサユニット42による最新の検出時刻以前の、特定した交通量に既定の値をかけた長さの期間における検出値を用いることを決定してもよい。その場合、判断システム10は、S135において、決定した期間における外気センサユニット42の検出値を、検出値DB30aから取得し、取得した検出値から、外気センサユニット42の検出値の傾向を求める。このように、判断システム10は、車両Cの交通量が多いほど、より長い期間における外気センサユニット42の検出値を用いて、外気センサユニット42の検出値の傾向を求めてもよい。
これにより、判断システム10は、交通量の増加による外気センサユニット42の検出値の揺れの影響を低減することができる。
【0048】
また、車両Cの周囲の外気の汚染度は、車両Cと車両Cの前方の車両(以下では、前方車両とする)との車間距離が近いほど、前方車両の排出する排ガスの影響により、より不安定になる。また、車両Cの周囲の外気の汚染度は、前方車両の車種により排気量が異なるため、より不安定になる。そのため、外気センサユニット42の検出値も短期的な変動が増加し、不安定になる。すなわち、既定の期間における外気センサユニット42の検出値からでは、十分な精度で検出値の傾向を取得できない場合がある。
そこで、判断システム10は、車両Cと前方車両との車間距離と、前方車両の車種と、のうちの少なくとも1つに応じた長さの期間における外気センサユニット42の検出値から、外気傾向を取得してもよい。判断システム10は、車両Cに備えられた撮影部により撮影された車両Cの前方の画像から、前方車両を認識し、認識した車両の車種を特定してもよい。また、判断システム10は、この画像における認識した前方車両のバウンディングボックスのサイズから、この車両と車両Cとの車間距離を導出してもよい。また、判断システム10は、距離センサを用いて、前方車両と車両Cとの車間距離を取得してもよい。
【0049】
そして、判断システム10は、取得した車種と車間距離との少なくとも1つに基づいて、外気センサユニット42の検出値の傾向を求めるために、どの期間における外気センサユニット42の検出値を用いるかを決定してもよい。例えば、判断システム10は、外気センサユニット42による最新の検出時刻以前の、既定の値を取得した車間距離で除した長さの期間における検出値を用いることを決定してもよい。また、判断システム10は、外気センサユニット42による最新の検出時刻以前の、取得した車種に応じて予め定められた長さの期間(例えば、ディーゼル車について20分、ガソリン車について15分、ハイブリッド車について10分等)における検出値を用いることを決定してもよい。また、判断システム10は、外気センサユニット42による最新の検出時刻以前の、既定の値を取得した車間距離で除した値に、取得した車種に応じて予め定められた倍率(例えば、ディーゼル車について2、ガソリン車について1.5、ハイブリッド車について1.2等)をかけた長さの期間における検出値を用いることを決定してもよい。このように、判断システム10は、車両Cと前方車両との車間距離が短いほど、単位排気量あたりの汚染物質の量が多い車種であるほど、より長い期間における外気センサユニット42の検出値を用いて、外気センサユニット42の検出値の傾向を求めてもよい。
これにより、判断システム10は、交通量の増加による外気センサユニット42の検出値の揺れの影響を低減することができる。
【0050】
また、上述の実施形態では、判断システム10は、内気傾向が減少傾向であり、且つ、外気傾向が減少傾向である場合(S140で外気傾向が減少傾向と判定された場合)、車両Cの車室内を換気すべきと判断する。ただし、判断システム10は、内気傾向、外気傾向が減少傾向である場合、内気傾向の示す傾きの値と、外気傾向の示す傾きの値と、に基づいて、車両Cの車室内を換気すべきか否かを判定してもよい。例えば、判断システム10は、内気傾向、外気傾向がともに減少傾向であり、内気傾向の示す傾きの絶対値が、外気傾向の示す傾きの絶対値よりも大きい場合、車室内の方が車室外よりも空気が改善しているため、換気すると空気が悪化する可能性があるとして、換気を禁止すべきと判断してもよい。また、判断システム10は、内気傾向、外気傾向がともに減少傾向であり、内気傾向の示す傾きの絶対値が、外気傾向の示す傾きの絶対値よりも小さい場合、車室外の方が車室内よりも空気が改善しているため、換気すると空気が改善する可能性があるとして、換気すべきと判断してもよい。
【0051】
また、上述の実施形態では、判断システム10は、内気傾向が増加傾向であり、且つ、外気傾向が増加傾向である場合(S145で外気傾向が増加傾向と判定された場合)、車両Cの車室内の換気を禁止すべきと判断する。ただし、判断システム10は、内気傾向、外気傾向がともに増加傾向である場合、内気傾向の示す傾きの値と、外気傾向の示す傾きの値と、に基づいて、車両Cの車室内を換気すべきか否かを判定してもよい。例えば、判断システム10は、内気傾向、外気傾向がともに増加傾向であり、内気傾向の示す傾きの絶対値が、外気傾向の示す傾きの絶対値よりも大きい場合、車室内の方が車室外よりも空気が悪化しているため、換気すると空気が改善する可能性があるとして、換気をすべきと判断してもよい。また、判断システム10は、内気傾向、外気傾向がともに増加傾向であり、内気傾向の示す傾きの絶対値が、外気傾向の示す傾きの絶対値よりも小さい場合、車室外の方が車室内よりも空気が悪化しているため、換気すると空気が悪化する可能性があるとして、換気を禁止すべきと判断してもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、制御実行部21eは、換気促進処理、換気禁止案内処理を行う機能である。ただし、制御実行部21eは、換気促進処理、換気禁止案内処理に代えて、又は、これらの処理と併せて、他の処理を実行する機能であってもよい。例えば、制御部20は、制御実行部21eの機能により、S175で、車両Cの車室内に車室外の空気を入れるように、車両Cの空調を制御する処理を行ってもよい。また、制御部20は、制御実行部21eの機能により、S180で、車両Cの車室内に車室外の空気を入れないように、車両Cの空調を制御する処理を行ってもよい。
【0053】
また、上述の実施形態では、判断システム10は、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値とが同じ既定の範囲内の値である場合、外気センサユニット42の検出値の傾向と内気センサユニット41の検出値の傾向とに基づいて、車両Cの車室内の換気の要否を判断する。ただし、判断システム10は、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との差が既定の閾値以下である場合に、外気センサユニット42の検出値の傾向と内気センサユニット41の検出値の傾向とに基づいて、車両Cの車室内の換気の要否を判断するとしてもよい。ここで、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との差とは、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との乖離を示す値であり、外気センサユニット42の検出値から内気センサユニット41の検出値を引いた値の絶対値である。ここでの閾値としては、例えば、同程度の汚染度とみなすことができる汚染度の範囲を規定し、規定した範囲の幅を用いればよい。この場合でも、判断システム10は、車室内の空気の汚染度と、車室外の空気の汚染度と、が同程度である場合であっても、車室内の空気の汚染度が悪化してしまう可能性を低減できる。また、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との差が閾値以下であるか否かを判定する機能は、判断システム10に実装されてもよいし、判断システム10の外部の装置、又はシステムに実装されてもよい。この機能が外部の装置、又はシステムに実装される場合、判断システム10は、外部から、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との差が閾値以下であるか否かの判定結果を取得する。
【0054】
例えば、判断システム10は、図5、6の処理において、S130で外気についての検出値の汚染度カテゴリが内気についての検出値の汚染度カテゴリ以下と判定した場合、以下の処理を行うこととしてもよい。すなわち、判断システム10は、直前のS100で取得された選択物質についての外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との差が既定の閾値以下か否かを判定し、閾値以下と判定した場合、処理をS135に進め、閾値よりも大きいと判定した場合、処理をS160に進める処理を行ってもよい。
【0055】
また、例えば、判断システム10は、S110の処理の後で、S115~S130の処理を行わずに、以下のようにしてもよい。すなわち、判断システム10は、直前のS100で取得された選択物質についての外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との差が既定の閾値以下か否かを判定し、閾値以下と判定した場合、処理をS135に進め、閾値よりも大きいと判定した場合、以下のようにしてもよい。判断システム10は、外気センサユニット42の検出値が、内気センサユニット41の検出値よりも大きい場合、処理をS160に進めて、換気を禁止すべきと判断し、外気センサユニット42の検出値が、内気センサユニット41の検出値よりも小さい場合、換気を不要と判断し、S165に進めてもよい。
【0056】
また、判断システム10は、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値との差が既定の閾値以内である場合と、外気センサユニット42の検出値と内気センサユニット41の検出値とが同じ既定の範囲内の値である場合と、の双方において、外気センサユニット42の検出値の傾向と内気センサユニット41の検出値の傾向とに基づいて、車両Cの車室内の換気の要否を判断してもよい。なお、既定の範囲としてのカテゴリは複数個設定されていても良いし、1個であっても良い。
【0057】
また、上述の実施形態では、判断システム10は、S170~S185の処理で、汚染物質毎の判断結果のうち換気を禁止すべきとの判断が1つでもあった場合、換気禁止案内処理を行い、換気を禁止すべきとの判断がなく、換気すべきとの判断があった場合、換気促進処理を行う。ただし、判断システム10は、S170~S185の処理で、汚染物質毎の判断結果のうち換気すべきとの判断が1つでもあった場合、換気促進処理を行い、換気すべきとの判断がなく、換気を禁止すべきとの判断があった場合、換気禁止案内処理を行ってもよい。
また、判断システム10は、汚染物質毎の判断結果が異なる場合、汚染物質毎の判断結果に基づいて、換気促進処理を行うか、換気禁止案内処理を行うか、換気促進処理と換気禁止案内処理との何れも行わないか、を判断してもよい。例えば、各汚染物質についての換気をすべきとの判断、及び、換気を禁止すべきとの判断それぞれについて、優先度が予め定められているとする。その場合、例えば、判断システム10は、ある汚染物質について換気をすべきとの判断を行い、他の汚染物質について換気を禁止すべきとの判断を行ったとする。判断システム10は、ある汚染物質について換気をすべきとの判断と、他の汚染物質について換気を禁止すべきとの判断と、のうち優先度が高い方を特定し、特定した判断に応じて、換気促進処理、又は,換気禁止案内処理を行うこととしてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では、検出対象の汚染物質は、CO2、PM2.5、PM10、NOxの4つである。ただし、検出対象の汚染物質は、CO2、PM2.5、PM10、NOxのうちの少なくとも一部を含まなくてもよいし、他の物質(例えば、CO、)を含んでいてもよい。
【0059】
取得部は、外気傾向、内気傾向として、車両の車室外、車室内の空気の汚染度の増減を示す情報を取得すればよい。
判断部は、車両の車室内について、換気をすべきか、換気を禁止すべきか、換気が不要か、を判断すればよい。
【0060】
さらに、本発明は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムで実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 判断システム、20…制御部、21…換気判断プログラム、21a…検出値取得部、21b…汚染評価部、21c…傾向取得部、21d…判断部、21e…制御実行部、30…記録媒体、30a…検出値DB、41…内気センサユニット、42…外気センサユニット、43…UI部
図1
図2
図3
図4
図5
図6