(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108051
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】自動クレーンによる掴み位置の修正方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/06 20060101AFI20220715BHJP
B66C 13/48 20060101ALI20220715BHJP
B66C 13/22 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
B66C13/06 M
B66C13/48 B
B66C13/22 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002850
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】岸本 至康
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA06
3F204CA01
3F204CA05
3F204DA03
3F204DA05
3F204DB02
3F204DB05
3F204DC03
3F204FA09
3F204FB01
3F204FC01
3F204FD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】掴み装置に光学式センサー等の取付け、あるいは使用できない等の要因で確実な自動制御装置の実現が困難であった状況を解消できる自動クレーンによる掴み位置の修正方法を提供する。
【解決手段】荷役対象物SBの上方から掴み装置STで掴むために降ろす際に、荷役対象物SBと掴み装置STの位置ずれにより、掴み装置STのアームAMの開き幅の中に掴み装置STが入らずに掴み装置STの片側のアームAMが荷役対象物SBの上に乗り上げた状態を、傾斜検出器INAにより掴み装置STの傾斜を検出することによって判断し、掴み装置STの片側のアームAMが荷役対象物SBの上に乗り上げて掴み装置STが傾斜した状態を保持したまま、クレーンCRを乗り上げたアームAMの方向に移動させることにより、爪TAが荷役対象物SBの縁を超えてアームAMの開き幅の中に荷役対象物SBが嵌まり込んだことを、傾斜検出器INAにより判断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掴み装置を装備した自動クレーンによる掴み位置の修正方法において、前記掴み装置に、掴み装置の傾斜を検出する傾斜検出器を設け、荷役対象物の上方から掴み装置で掴むために降ろす際に、荷役対象物と掴み装置の位置ずれにより、掴み装置のアームの開き幅の中に掴み装置が入らずに掴み装置の片側のアームが荷役対象物の上に乗り上げた状態を、前記傾斜検出器により掴み装置の傾斜を検出することによって判断し、掴み装置の片側のアームが荷役対象物の上に乗り上げて掴み装置が傾斜した状態を保持したまま、クレーンを乗り上げたアームの方向に移動させることにより、荷役対象物の上を掴み装置のアームの先端の爪でなぞりながら横滑りさせ、該爪が荷役対象物の縁を超えてアームの開き幅の中に荷役対象物が嵌まり込んだことを、前記傾斜検出器により掴み装置が水平になったことで判断することを特徴とする自動クレーンによる掴み位置の修正方法。
【請求項2】
前記自動クレーンのワイヤーロープに、ワイヤーロープの傾斜を検出する傾斜検出器を取り付け、前記傾斜検出器でワイヤーロープの傾きを検出することで、クレーンを乗り上げたアームの方向に移動させたときに、ワイヤーロープが鉛直になるようにした状態で、荷役対象物を掴んだ後、巻き上げるようにすることを特徴とする請求項1に記載の自動クレーンによる掴み位置の修正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スラブやコイルや金型等の荷役対象物の側面を挟み込む構造の掴み装置を装備して自動運搬を行う自動クレーンにおいて、掴み位置の位置ずれが生じたときに、その位置ずれを検出し、さらにその位置ずれを解消し、自動運転を継続させるための、自動クレーンによる掴み位置の修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
労働者人口の減少に伴う産業界の人手不足により、クレーンの自動化ニーズが高まる中、従来自動化が行われていなかった、例えば、荷役対象物が高温である等の特殊環境のクレーンに付いても自動化が求められている。
さらに、人手不足により安定的に継続して自動運転をするために、確実で信頼性の高い技術が求められている。
【0003】
ところで、掴み装置を自動クレーンで吊って荷役対象物を掴みにいくときに、クレーンの停止位置の位置ずれ、荷役対象物の位置ずれ、荷振れ、強風等の原因により、掴み装置のアームの開き幅の中に荷役対象物が入らなかった場合、掴み装置の片側のアームが荷役対象物の上に乗り上げてしまうという問題があった。
【0004】
この問題に対処するために、従来から、種々の自動クレーンによる掴み位置の修正方法が提案されている(例えば、特許文献1~4参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-052019公報
【特許文献2】特開2000-177986公報
【特許文献3】特開平7-330286公報
【特許文献4】実開平4-107782公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動クレーンによる掴み位置の修正方法を適用するためには、各種センサー、例えば、特許文献4においては、光電スイッチを用いて、掴み装置の片側のアームが荷役対象物の上に乗り上げてしまう前に位置ずれを検出し、位置を修正するようにしている。
【0007】
しかしながら、光電スイッチ等のセンサーは、高温鉄鋼製品から発せられる強い輻射熱に曝されて溶損してしまう不具合が発生したり、雨天時には、雨が蒸気となりセンサーの作動を妨げたり、急冷水没槽内の熱延コイルの検出ができない等の問題点があり、高温鉄鋼製品等の自動運搬のために、新たな位置ずれ検出及び修正方法が要請されていた。
【0008】
本発明は、製鉄所で取り扱う高温スラブや高温の熱延コイル等の高温鉄鋼製品や水没した鉄鋼製品等の水没荷役対象物の掴みや、大量の水蒸気が存在する環境において、掴み装置に光学式センサー等のセンシング用検出器を取り付けることができなかったり、使用できない等の要因で確実な自動制御装置の実現が困難であった状況を解消できる自動クレーンによる掴み位置の修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の自動クレーンによる掴み位置の修正方法は、掴み装置を装備した自動クレーンによる掴み位置の修正方法において、前記掴み装置に、掴み装置の傾斜を検出する傾斜検出器を設け、荷役対象物の上方から掴み装置で掴むために降ろす際に、荷役対象物と掴み装置の位置ずれにより、掴み装置のアームの開き幅の中に掴み装置が入らずに掴み装置の片側のアームが荷役対象物の上に乗り上げた状態を、前記傾斜検出器により掴み装置の傾斜を検出することによって判断し、掴み装置の片側のアームが荷役対象物の上に乗り上げて掴み装置が傾斜した状態を保持したまま、クレーンを乗り上げたアームの方向に移動させることにより、荷役対象物の上を掴み装置のアームの先端の爪でなぞりながら横滑りさせ、該爪が荷役対象物の縁を超えてアームの開き幅の中に荷役対象物が嵌まり込んだことを、前記傾斜検出器により掴み装置が水平になったことで判断することを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記自動クレーンのワイヤーロープに、ワイヤーロープの傾斜を検出する傾斜検出器を取り付け、前記傾斜検出器でワイヤーロープの傾きを検出することで、クレーンを乗り上げたアームの方向に移動させたときに、ワイヤーロープが鉛直になるようにした状態で、荷役対象物を掴んだ後、巻き上げるようにすることができる。
【0011】
本発明の自動クレーンによる掴み位置の修正方法は、例えば、高温鉄鋼製品からの輻射熱等の影響が少ない掴み装置の上方部分に、輻射熱を遮蔽する遮蔽板を下面に覆い、傾斜を検出する傾斜検出器を設けるようにする。
掴み装置で荷役対象物を掴みにいくときに、掴み装置のアームの開き幅の中に荷役対象物が入らなかった場合、掴み装置のアームの片側が荷役対象物の上に乗り上げ、掴み装置が傾くため、この傾きを傾斜検出器が検出すると、掴み装置が若干傾斜した状態を維持しつつ、アームが乗り上げた側にクレーンを移動する。
すると、掴み装置の乗り上げたアームの先端の爪が荷役対象物の上をなぞりながら横滑り移動し、荷役対象物の縁を引きずったアームの先端の爪が超えたところで、掴み装置のアームが荷役対象物に嵌まり込み、掴み装置の傾斜が解消される。
掴み装置の傾斜がなくなったことを傾斜検出器が検出するとアームの開きの内側に荷役対象物が入ったと判断し、掴み高さに高さを合わせた後に掴みを行う。
横滑り移動のときに生じたクレーンワイヤーの傾き状態は、別途取り付けられたクレーンワイヤーの傾斜検出器により検出し、クレーンワイヤーが鉛直になるようにした状態で、掴み工程を実施し、完了後、次の自動運転工程に移行し自動運転を継続する。
【発明の効果】
【0012】
本発明自動クレーンによる掴み位置の修正方法によれば、例えば、製鉄所で取り扱う高温スラブや高温の熱延コイル等の高温鉄鋼製品や水没した鉄鋼製品等の水没荷役対象物の掴みや、大量の水蒸気が存在する環境において、掴み装置先端部分にセンサーが取り付けできなかったり、光学式センサーが使用できない等の原因で確実な自動制御装置の実現が困難であった状況を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】スラブの上に位置ずれした掴み装置が乗り上げた状態を示す説明図である。
【
図2】水没した熱延コイルに位置ずれした掴み装置が乗り上げた状態を示す説明図である。
【
図4】傾斜検出器の一例の作動原理の説明図である。
【
図5】リミットスイッチで傾斜角を検出する説明図である。
【
図6】位置ずれで乗り上げた掴み装置の位置を修正する工程を示す説明図である。
【
図7】位置ずれで乗り上げた掴み装置の位置を修正する工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の自動クレーンによる掴み位置の修正方法について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1にスラブの場合に、
図2に水没した熱延コイルの場合に、掴み装置が荷役対象物の上に乗り上げた状態を示す。
掴み装置の位置と荷役対象物の位置がずれた状態で、荷役対象物を掴む際に、荷役対象物の上に掴み装置が乗り上げてしまい、本発明の自動クレーンによる掴み位置の修正方法を適用することが必要となる状況を示すが、これ以外でも、例えば、水没していない高温の熱延コイル等も、本発明の自動クレーンによる掴み位置の修正方法が有効に作用する。
【0016】
掴み装置ST、CLには、荷役対象物からの熱の影響を受け難い掴み装置の上方に掴み装置の傾斜を検出するための傾斜検出器INAが取り付けられている。
水没する掴み装置(コイルリフター)CLにおける傾斜検出器INAの取付位置は、水没しない冷却液面LLより上方の位置である。
使用する傾斜検出器INAは、光電スイッチのように輻射熱を発する荷役対象物に直接検出部を暴露する必要がなく、かつ、雨粒や水蒸気の影響を受けることのない傾斜検出器を使用するので、熱や水蒸気の影響を受けず良好に作用する。
【0017】
掴み装置ST、CLの上部のワイヤーロープWLの取付部にはシーソー式ハンガーHPがある。
図3に、このシーソー式ハンガーHPの詳細を示す。
このシーソー式ハンガーHPは、ワイヤーロープWLを取り付けるシーブSHが配置され、掴み装置ST、CLとピンPNで連結され、ワイヤーロープWLが傾いたときに、ピンPNを支点としてシーソー式ハンガーHPがワイヤーロープWLに連動して傾斜する構造になっており、シーソー式ハンガーHPには傾斜検出器INBが取り付けられ、傾斜検出器INBによってワイヤーロープWLの傾斜が検出できる構造になっている。
このとき、シーソー式ハンガーHPの連結部が、ピンPNによる連結構造の場合の外、フックHKによる連結構造の場合も同様である。
【0018】
図4に、本実施例で用いた汎用の液封入容量式傾斜検出器を示す。
この液封入容量式傾斜検出器は、半月板形状の2対の電極EPで構成され、中に電解液ELが納められており、傾斜することで電極EPと電解液ELの接触面積が変化し、静電容量信号のCM1とCM2に静電容量差が生じて傾きを検出する構造になっており、金属ケースMCで密閉されているので、熱や水蒸気に強いシステムが構成できる。
図5は、簡易的で安価に傾斜を検出する方法で、リミットスイッチLSのレバーに錘WPを取り付けた構造で、傾斜するとリミットスイッチのレバーが傾きスイッチがON/OFFする構造である。
これらの検出方法は一例であり、特に傾斜検出器の検出方式は限定されない。
【0019】
自動クレーンCRに装着された掴み装置STの位置ずれにより、荷役対象物SBの上にアームAMの片側が乗り上げたときの検出方法と、乗り上げの解消方法についての実施例を、
図6の説明図と
図7のフロー図に沿って、以下に説明する。
【0020】
マイクロコンピューターからの指示値により、荷役対象物SBを掴める幅にアームAMを広げた掴み装置STを荷役対象物SBが存在する位置に自動クレーンCRにより荷役対象物SBの上方に位置決め停止したとき(
図7の[0001])、荷役対象物SBの位置ずれ、クレーンCRの位置決め停止ずれ、ワイヤーロープWLの荷振れ、強風による掴み装置STの振れ等の要因により、掴み装置のアームAMの開き幅の中に、荷役対象物SB
が入っていない状態で自動クレーンCRを巻き下げていくと、掴み装置STのアームAMの片側が荷役対象物SBの上に乗り上げてしまう(
図6の(2))。
【0021】
このとき、掴み装置STから下方に向けて光電スイッチ等で衝突を監視していると、荷役対象物SBへの乗り上げは回避できるが、荷役対象物が高温であったり、水蒸気が存在したり、冷却槽CP内に水没している場合は、光電スイッチが使える環境ではないため、本実施例では、光電スイッチによる回避を装備せず、位置ずれを生じていた場合に、荷役対象物SBの上に掴み装置STのアームAMの片側を載せてしまうようにしている。
【0022】
位置ずれなく、掴み装置STのアームAMの開き幅の中に荷役対象物SBが入った場合、掴み装置STの傾斜がなく、掴み高さに到着するので
図7の[0003]及び[0004]のチェックで、[0010]の工程に飛び、掴みを行い自動が進行する(正常な場合の動作)。
何らかの不具合で、荷役対象物SBがない場所に大きくずれて掴み装置STを巻き下げた場合も掴み装置STの傾斜がなく巻き下げられるが、この場合は、両側のアームの中央付近に掴み装置との相対高さ位置を測定する重錘センサー(図示省略)が吊り下げられており、掴み高さに到達しても、この重錘センサーを荷役対象物が押し上げなかった場合、誤った位置に降ろされていると判別され異常を発報する。
【0023】
位置ずれにより、掴み装置STのアームAMの片側が荷役対象物SBの上に乗り上げた場合は、掴み高さに到達する前に、掴み装置STに取り付けた傾斜検出器INAが、予め設定された乗り上げ検出角θ1を超え、乗り上げと判別し、巻き下げを停止し(
図7の[005])乗り上げの解消操作に移行する。
このとき、乗り上げ検出角θ1は、誤検出を防ぐために。大きめの角度に設定している。
また、アームAMの乗り上げが発生すると、荷重計LDの値も僅かに軽く変化するので傾斜検出器INAの値に合わせて荷重計LDの値を監視することにより、システムの信頼性をより向上させることができる。
【0024】
乗り上げを検出すると乗り上げ検出角θ1の傾けすぎた姿勢を直すため一旦巻き上げ動作UPし、傾斜検出器INAがθ2の値になるまで姿勢を直す。
このとき、完全に角度を戻さずにθ2だけ傾斜を残し、掴み装置STのアームAMの先端の爪TAと荷役対象物SBを接触した状態で残しておくようにする(
図6の(3)、
図7の[0006])。
ここで、傾斜角をθ1からθ2に戻すのは、爪TAと荷役対象物SBとの接触圧を下げて、次に記載の横滑りを円滑に行うためである。
【0025】
次に、乗り上げたアームAMの方向に低速で走行動作或いは横行動作TLを行う。
このとき、走行動作なのか、横行動作なのかは、掴み装置のアームAMの向きによる(
図6の(4)、
図7の[0007])。
走行動作或いは横行動作TLを行うと、乗り上げた側のアームAMの爪TAが荷役対象物SBの上面をなぞりながら横に滑り、爪TAが荷役対象物SBの縁を超えて乗り上げが解消すると掴み装置STに取り付けた傾斜検出器INAの値が水平レベルを検出する。
水平レベルを検出すると、直ちに巻き下げ動作DWを行いアームAMの内側に荷役対象物SBを入れ込む。
【0026】
このとき、今まで乗り上げていたアームAMが落ちた勢いで反対側のアームAMが荷役対象物SBの上に乗り上げてしまうことがあるので、傾斜角θ2の値を小さくしすぎないようにする必要がある。
このような反対側のアームが再び乗り上げてしまうこともあるので、
図6の(5)の巻
き下げ動作DWを行うときも、
図7の[0003]と[0004]のチェックを行いながら巻き下げを行い、もし傾斜角θ2を検出し、再度乗り上げていることを検出した場合も、再度
図7の[0005]以降のステップを行い、乗り上げの解消を行う。
なお、2回目以降の乗り上げ解消動作の場合は、傾斜角θ2の角度を大きくし、アームAMが荷役対象物SBに嵌まり込んだときに引っ掛かり易くし、再度乗り上げないように学習させる。
この傾斜角θ2の値は、失敗回数を繰り返す度に角度を大きくする。
【0027】
掴み装置STのアームAMの開き幅の中に荷役対象物SBが収まり、掴み装置STの傾斜検出器INAが水平を保ったまま掴み高さに到達すると、巻き下げを停止し、掴み装置の掴み動作GRを行う(
図7の[0011])。
【0028】
このとき、
図7の[0007]のステップで走行動作或いは横行動作TLを行ったことによりワイヤーロープWLの傾きが残っている場合がある。
このワイヤーロープWLの傾きを解消するために、先ず、荷重計LDの値を見ながら巻き上げインチング動作を行い、地切りをしないように、ワイヤーロープWLを張る。
このことでワイヤーロープWLの傾斜角にシーソー式ハンガーHPの傾斜角を連動させる。
そして、シーソー式ハンガーHPに取り付けた傾斜検出器INBで、ワイヤーロープWLの傾きを確認する。
傾斜検出器INBの値で、ワイヤーロープWLの傾きが検出されると、傾斜検出器INBが水平になるまで横行動作或いは走行動作TLを行い、ワイヤーロープWLが鉛直になるようにすることで、自動クレーンによる掴み位置の修正方法が完了し、次の巻き上げ搬送の自動ステップに進む。
【0029】
図6及び
図7に記載した内容の説明は、
図1に示すスラブの搬送時の内容に基づいて記載したものであるが、
図2の水没した熱延コイルの場合も、掴み装置がSTからCLに、荷役対象物がSBからCOに代わるのみで同様の動作になる。
また、その他の荷役対象物の側面を挟み込む構造の掴み装置を装備して自動運搬を行う自動クレーンにおいても同様に適用できる。
【0030】
以上、本発明の自動クレーンによる掴み位置の修正方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の自動クレーンによる掴み位置の修正方法は、製鉄所で取り扱う高温スラブや高温の熱延コイル等の高温鉄鋼製品や水没した鉄鋼製品等の水没荷役対象物の掴みや、大量の水蒸気が存在する環境において、掴み装置先端部分にセンサーが取り付けできなかったり、光学式センサーが使用できない等の原因で確実な自動制御装置の実現が困難であった状況を解消できるもので、特に高温の鉄鋼製品等、製品の上を掴み装置の爪を引きずっても影響のない中間製品等の自動搬送において好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
AM アーム
CR クレーン
DR 巻ドラム
LD 荷重計
WL ワイヤーロープ
ST 掴み装置(スラブトング・スラブリフター)
CL 掴み装置(コイルリフター)
SB 荷役対象物(スラブ)
CO 荷役対象物(熱延コイル)
CP 冷却槽
LL 冷却液面
HK フック
HP シーソー式ハンガー
INA 傾斜検出器(掴み装置の傾斜検出用)
INB 傾斜検出器(ワイヤーロープの傾斜検出用)
TA 爪
SH シーブ
PN ピン
MC 金属ケース
EP 電極
EL 電解液
CM1 静電容量信号1
CM2 静電容量信号2
LS リミットスイッチ
WP 錘
DW 巻き下げ動作
UP 巻き上げ動作
TL 走行動作或いは横行動作
GR 掴み動作
θ1 乗り上げ検出角
θ2 横引き傾斜角