(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108056
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】木造建築物の建前工法及び木造建築物の建前構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/26 20060101AFI20220715BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
E04B1/26 A
E04B1/26 G
E04B1/58 505L
E04B1/58 508L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002865
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】303047067
【氏名又は名称】亀山建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】亀山 直央
(72)【発明者】
【氏名】亀山 義比古
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AC23
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG12
(57)【要約】
【課題】木造建築物の強度を高めることができる。
【解決手段】建前工法は、第1柱11及び第2柱14、並びに第1横架材19を備える第1フレーム10を形成する第1工程と、第3柱21及び第4柱24、並びに第2横架材29を備える第2フレーム20を形成する第2工程と、第1柱11及び第2柱14を直立させた状態で、第1柱11の貫通孔13に対して第3横架材30の第1端31を貫通させるとともに、第2柱14の貫通孔16に対して第4横架材40の第1端41を貫通させる第3工程と、第3柱21及び第4柱24を直立させた状態で第2フレーム20をスライドさせることで、第3柱21の貫通孔23に対して、第3横架材30の第2端32を貫通させるとともに、第4柱24の貫通孔26に対して、第4横架材40の第2端42を貫通させる第4工程とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、並びに前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を備える第1フレームを形成する第1工程と、
互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、並びに前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を備える第2フレームを形成する第2工程と、
前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態で、前記第1柱の貫通孔に対して第3横架材の第1端を貫通させるとともに、前記第2柱の貫通孔に対して第4横架材の第1端を貫通させる第3工程と、
前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態で前記第2フレームをスライドさせることで、前記第3柱の貫通孔に対して、前記第3横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させるとともに、前記第4柱の貫通孔に対して、前記第4横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させる第4工程と、を備える、
木造建築物の建前工法。
【請求項2】
前記第1工程では、前記第1柱及び前記第2柱を寝かせた状態で、前記第1フレームを形成し、
前記第2工程では、前記第3柱及び前記第4柱を寝かせた状態で、前記第2フレームを形成し、
前記第3工程に先立ち、前記第1フレームを吊り上げることで前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態にし、
前記第4工程に先立ち、前記第2フレームを吊り上げることで前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態にする、
請求項1に記載の木造建築物の建前工法。
【請求項3】
前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とを、上下方向において同一の位置に設ける、
請求項1または請求項2に記載の木造建築物の建前工法。
【請求項4】
互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、並びに前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を有する第1フレームと、
互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、並びに前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を有する第2フレームと、
前記第1柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第3柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第3横架材と、
前記第2柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第4柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第4横架材と、を備える、
木造建築物の建前構造。
【請求項5】
前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とは、上下方向において同一の位置に設けられている、
請求項4に記載の木造建築物の建前構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の建前工法及び木造建築物の建前構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木造建築物の建前工法として木造軸組工法が知られている(例えば特許文献1参照)。
図6に示すように、こうした従来の工法においては、まず、例えば土台や礎石の上に第1柱51を立てるとともに、第1柱51の貫通孔51aに第1横架材61の一端を貫通させる。この場合、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第1横架材61が設けられている。
【0003】
続いて、中間柱55を水平方向にスライドさせることで、中間柱55の貫通孔55aに第1横架材61を貫通させる。続いて、第2柱52を水平方向にスライドさせることで、第2柱52の貫通孔52aに第1横架材61の他端61aを貫通させる。
【0004】
続いて、第1柱51の貫通孔51bに対して第3横架材63の一端を貫通させる。この場合、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第3横架材63が設けられている。
続いて、第3柱53を水平方向にスライドさせることで、第3柱53の貫通孔53bに第3横架材63の他端63aを貫通させる。
【0005】
続いて、第3柱53の貫通孔53aに対して第2横架材62の一端を貫通させる。この場合、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第2横架材62が設けられている。
続いて、中間柱55を水平方向にスライドさせることで、中間柱55の貫通孔55aに第2横架材62を貫通させる。
【0006】
続いて、第2柱52の貫通孔52bに対して第4横架材64の一端を貫通させる。この場合、上下方向に互いに間隔をおいて4本の第4横架材64が設けられている。
このようにして柱と横架材とを1本ずつ順に組み立てていくと、同図に二点鎖線で示す第4柱54が、最後に組み立てられる柱となる。このとき、第4柱54を水平方向にスライドさせることで、第4柱54の貫通孔54aに第2横架材62の他端62aを貫通させると、第4横架材64の他端64aを第4柱54の貫通孔(図示略)に貫通させることができない。すなわち、最後に組み立てられる柱に対しては、互いに直交する2つの方向から横架材を貫通させることができない。
【0007】
そこで、従来の建前工法及び建前構造においては、第4横架材64の他端64aを短くするとともに、第4柱54を上下方向に対して少し傾けることで、同他端64aが第4柱54の貫通孔に少しだけ挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来の工法においては、第4横架材64の他端64aが第4柱54を貫通していない。このため、建前構造の強度を高める上では改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための木造建築物の建前工法は、互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、及び前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を備える第1フレームを形成する第1工程と、互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、及び前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を備える第2フレームを形成する第2工程と、前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態で、前記第1柱の貫通孔に対して第3横架材の第1端を貫通させるとともに、前記第2柱の貫通孔に対して第4横架材の第1端を貫通させる第3工程と、前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態で前記第2フレームをスライドさせることで、前記第3柱の貫通孔に対して、前記第3横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させるとともに、前記第4柱の貫通孔に対して、前記第4横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させる第4工程と、を備える。
【0011】
同方法によれば、第1柱に対して第1横架材及び第3横架材を互いに直交する2つの方向から貫通させることができるとともに、第2柱に対して第1横架材及び第4横架材を互いに直交する2つの方向から貫通させることができる。また、第3柱に対して第2横架材及び第3横架材を互いに直交する2つの方向から貫通させることができるとともに、第4柱に対して第2横架材及び第4横架材を互いに直交する2つの方向から貫通させることができる。これにより、柱と横架材との仕口の全てを固定端とすることができる。したがって、木造建築物の強度を高めることができる。
【0012】
上記木造建築物の建前工法において、前記第1工程では、前記第1柱及び前記第2柱を寝かせた状態で、前記第1フレームを形成し、前記第2工程では、前記第3柱及び前記第4柱を寝かせた状態で、前記第2フレームを形成し、前記第3工程に先立ち、前記第1フレームを吊り上げることで前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態にし、前記第4工程に先立ち、前記第2フレームを吊り上げることで前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態にすることが好ましい。
【0013】
同方法によれば、フレームを構成する柱及び横架材の数が多い場合や、重量が大きい場合であっても、第1フレーム及び第2フレームを容易に形成することができる。
上記木造建築物の建前工法において、前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とを、上下方向において同一の位置に設けることが好ましい。
【0014】
同方法によれば、木造建築物の意匠性を高めることができる。
また、上記課題を解決するための木造建築物の建前構造は、互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、及び前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を有する第1フレームと、互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、及び前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を有する第2フレームと、前記第1柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第3柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第3横架材と、前記第2柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第4柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第4横架材と、を備える、同構成によれば、第1柱に対して第1横架材及び第3横架材を貫通させることができるとともに、第2柱に対して第1横架材及び第4横架材を貫通させることができる。また、第3柱に対して第2横架材及び第3横架材を貫通させることができるとともに、第4柱に対して第2横架材及び第4横架材を貫通させることができる。これにより、柱と横架材との仕口の全てを固定端とすることができる。したがって、木造建築物の強度を高めることができる。
【0015】
上記木造建築物の建前構造において、前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とは、上下方向において同一の位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、木造建築物の意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、木造建築物の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】木造建築物の建前構造の一実施形態を示す斜視図。
【
図4】(a)~(c)は、同実施形態の建前工法を示す斜視図。
【
図5】(a)~(c)は、同実施形態の建前工法を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1~
図5を参照して、一実施形態について説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態の木造建築物の建前構造(以下、建前構造)は、互いに間隔をおいて設けられた第1柱11及び第2柱14、並びに第1柱11の貫通孔12及び第2柱14の貫通孔15を貫通する第1横架材19を有する第1フレーム10を備えている。本実施形態の第1フレーム10では、第1柱11と第2柱14との間に第1中間柱17が設けられている。第1横架材19は、第1中間柱17の貫通孔18を貫通している。本実施形態では、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第1横架材19が設けられている。
【0020】
また、建前構造は、互いに間隔をおいて設けられた第3柱21及び第4柱24、並びに第3柱21の貫通孔22及び第4柱24の貫通孔25を貫通する第2横架材29を有する第2フレーム20を備えている。本実施形態の第2フレーム20では、第3柱21と第4柱24との間に第2中間柱27が設けられている。第2横架材29は、第2中間柱27の貫通孔28を貫通している。本実施形態では、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第2横架材29が設けられている。
【0021】
また、建前構造は、第1柱11の貫通孔13を貫通する第1端31と第3柱21の貫通孔23を貫通する第2端32とを有する第3横架材30を備えている。本実施形態では、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第3横架材30が設けられている。第1柱11の貫通孔12の貫通方向と貫通孔13の貫通方向とは互いに直交している。第3柱21の貫通孔22の貫通方向と貫通孔23の貫通方向とは互いに直交している。
【0022】
また、建前構造は、第2柱14の貫通孔16を貫通する第1端41と第4柱24の貫通孔26を貫通する第2端42とを有する第4横架材40とを備えている。本実施形態では、上下方向に互いに間隔をおいて3本の第4横架材40が設けられている。第2柱14の貫通孔15の貫通方向と貫通孔16の貫通方向とは互いに直交している。第4柱24の貫通孔25の貫通方向と貫通孔26の貫通方向とは互いに直交している。
【0023】
第1柱11、第2柱14、第3柱21、及び第4柱24は、平面視長方形の4つの角の位置に配置されている。
本実施形態の柱11,14,17,21,24,27の形状は、四角柱である。
【0024】
第1横架材19と、第2横架材29と、第3横架材30と、第4横架材40とは、上下方向において同一の位置に配置されている。より詳しくは、それぞれ一番上に位置する第1横架材19と、第2横架材29と、第3横架材30と、第4横架材40とは、上下方向において同一の位置に配置されている。それぞれ一番下に位置する第1横架材19と、第2横架材29と、第3横架材30と、第4横架材40とは、上下方向において同一の位置に配置されている。それぞれ上下方向の中央に位置する第1横架材19と、第2横架材29と、第3横架材30と、第4横架材40とは、上下方向において同一の位置に配置されている。
【0025】
図4に示すように、第1横架材19の両端19aは、下部を切り欠くことで長さ方向の中央部分に比べて上下方向の長さ(以下、高さ寸法)が小さくされている。本実施形態における両端19aの高さ寸法は、上記中央部分の半分である。
【0026】
図1に示すように、第2横架材29の両端29aは、下部を切り欠くことで長さ方向の中央部分に比べて高さ寸法が小さくされている。本実施形態における両端29aの高さ寸法は、上記中央部分の半分である。なお、同図では一方の端29aのみを示している。
【0027】
図3及び
図5に示すように、第3横架材30の第1端31及び第2端32は、上部を切り欠くことで長さ方向の中央部分に比べて高さ寸法が小さくされている。本実施形態における第1端31及び第2端32の高さ寸法は、上記中央部分の半分である。
【0028】
第4横架材40の第1端41及び第2端42は、上部を切り欠くことで長さ方向の中央部分に比べて高さ寸法が小さくされている。本実施形態における第1端41及び第2端42の高さ寸法は、上記中央部分の半分である。
【0029】
なお、柱11,14,17,21,24,27と、横架材19,29,30,40との仕口には、図示しない楔が設けられている。
次に、本実施形態の木造建築物の建前工法(以下、建前工法)について説明する。
【0030】
まず、図示しないドック上に、
図4(a)に示すように、第1柱11及び第1中間柱17を寝かせた状態で載置する。
この状態において、
図4(b)に示すように、第1横架材19をスライドさせることで、第1横架材19の一方の端19aを第1中間柱17の貫通孔18及び第1柱11の貫通孔12に順に貫通させる。
【0031】
続いて、
図4(c)に示すように、第2柱14を寝かせた状態でスライドさせることで、第2柱14の貫通孔15に第1横架材19の他方の端19aを貫通させる。
このようにして、第1フレーム10を形成する(以上、第1工程)。
【0032】
なお、第2フレーム20を形成する第2工程は、第1工程と同様である。このため、第2工程についての説明を省略する。
次に、
図5(a)に示すように、クレーンにより、第1フレーム10を吊り上げることで第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を直立させた状態にする。そして、クレーンにより、第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を、図示しない礎石上に立てる。
【0033】
次に、
図5(b)に示すように、第1柱11の貫通孔13に対して第3横架材30の第1端31を貫通させるとともに、第2柱14の貫通孔16に対して第4横架材40の第1端41を貫通させる(以上、第3工程)。
【0034】
次に、
図5(c)に示すように、クレーンにより、第2フレーム20を吊り上げることで第3柱21及び第4柱24を直立させた状態にする。そして、クレーンにより、第2フレーム20をスライドさせることで、第3柱21の貫通孔23に対して、第3横架材30の第2端32を貫通させるとともに、第4柱24の貫通孔26に対して、第4横架材40の第2端42を貫通させる(以上、第4工程)。
【0035】
このようにして建前構造が形成される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)建前工法は、第1フレーム10を形成する第1工程と、第2フレーム20を形成する第2工程とを備える。また、建前工法は、第1柱11及び第2柱14を直立させた状態で、第1柱11の貫通孔13に対して第3横架材30の第1端31を貫通させるとともに、第2柱14の貫通孔16に対して第4横架材40の第1端41を貫通させる第3工程を備える。また、建前工法は、第3柱21及び第4柱24を直立させた状態で第2フレーム20をスライドさせることで、第3柱21の貫通孔23に対して、第3横架材30の第1端31とは反対側の第2端32を貫通させるとともに、第4柱24の貫通孔26に対して、第4横架材40の第1端41とは反対側の第2端42を貫通させる第4工程を備える。
【0036】
こうした方法によれば、第1柱11に対して第1横架材19及び第3横架材30を互いに直交する2つの方向から貫通させることができるとともに、第2柱14に対して第1横架材19及び第4横架材40を互いに直交する2つの方向から貫通させることができる。また、第3柱21に対して第2横架材29及び第3横架材30を互いに直交する2つの方向から貫通させることができるとともに、第4柱24に対して第2横架材29及び第4横架材40を互いに直交する2つの方向から貫通させることができる。これにより、柱11,14,21,24と横架材19,29,30,40との仕口の全てを固定端とすることができる。したがって、木造建築物の強度を高めることができる。
【0037】
(2)第1工程では、第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を寝かせた状態で、第1フレーム10を形成する。第2工程では、第3柱21、第2中間柱27、及び第4柱24を寝かせた状態で、第2フレーム20を形成する。第3工程に先立ち、第1フレーム10を吊り上げることで第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を直立させた状態にする。第4工程に先立ち、第2フレーム20を吊り上げることで第3柱21、第2中間柱27、及び第4柱24を直立させた状態にする。
【0038】
こうした方法によれば、フレーム10(20)を構成する柱11,14,17(21,24,27)及び横架材19,29,30,40の数が多い場合や、重量が大きい場合であっても、第1フレーム10及び第2フレーム20を容易に形成することができる。
【0039】
(3)第1横架材19と、第2横架材29と、第3横架材30と、第4横架材40とを上下方向において同一の位置に設ける。
こうした方法によれば、木造建築物の意匠性を高めることができる。
【0040】
(4)建前構造は、第1フレーム10と、第2フレーム20と、第1柱11の貫通孔13を貫通する第1端31と第3柱21の貫通孔23を貫通する第2端32とを有する第3横架材30と、第2柱14の貫通孔16を貫通する第1端41と第4柱24の貫通孔26を貫通する第2端42とを有する第4横架材40とを備える。
【0041】
こうした構成によれば、上記(1)と同様な作用効果を奏することができる。
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・柱11,14,17,21,24,27の形状は四角柱に限定されない。例えば、六角柱や八角柱などの多角柱にすることもできるし、円柱にすることもできる。
・例えば第1横架材19及び第2横架材29は、それぞれ1つの木材によって構成されていてもよいし、長さ方向において複数に分割して構成されていてもよい。また、第3横架材30及び第4横架材40についても同様である。
【0043】
・第1横架材19、第2横架材29、第3横架材30、及び第4横架材40の数を任意に変更することができる。
・第1横架材19、第2横架材29、第3横架材30、及び第4横架材40は、上下方向において同一の位置に設けられるものに限定されない。例えば、第1横架材19及び第2横架材29の上下方向における位置と、第3横架材30及び第4横架材40の上下方向における位置とを互いに異ならせてもよい。この場合、横架材19,29,30,40の高さ寸法を長さ方向の全体にわたって同一にすることもできる。
【0044】
・第1中間柱17及び第2中間柱27の数を2本以上にすることもできる。
・第1中間柱17及び第2中間柱27を省略することもできる。
・第1柱11と第3柱21との間に1本または複数本の中間柱を設けることもできる。また、第1柱11と第3柱21との間に1本または複数本の中間柱を設けることもできる。
【0045】
・第1工程において、第1柱11及び第2柱14を直立させた状態で第1フレーム10を形成するようにしてもよい。第2工程についても同様である。
・例えば第1柱11及び第3柱21が上下方向に対して傾斜しているものであってもよい。
【0046】
・上記実施形態では、横架材を、柱の貫通孔を貫通する貫として具体化した。この場合、上述したように、柱と貫との仕口には、柱と貫とを固定する楔が設けられる。
これに代えて、例えば横架材の端部に、横架材の長さ方向に突出する直方体状の凸部、所謂長ホゾを設けるとともに、この長ホゾが、柱に設けられた貫通孔、所謂ホゾ孔を貫通する構成としてもよい。すなわち、横架材を、長ホゾなどを有する差し物として具体化することもできる。この場合、柱と長ホゾとの仕口には、柱と長ホゾとを固定する車知栓や込み栓などが設けられる。
【符号の説明】
【0047】
10…第1フレーム
11…第1柱
12,13…貫通孔
14…第2柱
15,16…貫通孔
17…第1中間柱
18…貫通孔
19…第1横架材
19a…端
20…第2フレーム
21…第3柱
22,23…貫通孔
24…第4柱
25,26…貫通孔
27…第2中間柱
28…貫通孔
29…第2横架材
29a…端
30…第3横架材
31…第1端
32…第2端
40…第4横架材
41…第1端
42…第2端
【手続補正書】
【提出日】2022-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、並びに前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を備える第1フレームを形成する第1工程と、
互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、並びに前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を備える第2フレームを形成する第2工程と、
前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態で、前記第1柱の貫通孔に対して第3横架材の第1端を貫通させるとともに、前記第2柱の貫通孔に対して第4横架材の第1端を貫通させる第3工程と、
前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態で前記第2フレームをスライドさせることで、前記第3柱の貫通孔に対して、前記第3横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させるとともに、前記第4柱の貫通孔に対して、前記第4横架材の前記第1端とは反対側の第2端を貫通させる第4工程と、を備え、
前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とを、上下方向において同一の位置に設け、
前記第1横架材、前記第2横架材、前記第3横架材、及び前記第4横架材の各々の端については、上部または下部を切り欠くことで当該端を有する横架材の長さ方向の中央部に比べて上下方向の寸法を小さくする、
木造建築物の建前工法。
【請求項2】
前記第1工程では、前記第1柱及び前記第2柱を寝かせた状態で、前記第1フレームを形成し、
前記第2工程では、前記第3柱及び前記第4柱を寝かせた状態で、前記第2フレームを形成し、
前記第3工程に先立ち、前記第1フレームを吊り上げることで前記第1柱及び前記第2柱を直立させた状態にし、
前記第4工程に先立ち、前記第2フレームを吊り上げることで前記第3柱及び前記第4柱を直立させた状態にする、
請求項1に記載の木造建築物の建前工法。
【請求項3】
互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、並びに前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を有する第1フレームと、
互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、並びに前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を有する第2フレームと、
前記第1柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第3柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第3横架材と、
前記第2柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第4柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第4横架材と、を備え、
前記第1横架材と、前記第2横架材と、前記第3横架材と、前記第4横架材とは、上下方向において同一の位置に設けられており、
前記第1横架材、前記第2横架材、前記第3横架材、及び前記第4横架材の各々の端については、上部または下部を切り欠くことで当該端を有する横架材の長さ方向の中央部に比べて上下方向の寸法が小さくされている、
木造建築物の建前構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
同方法によれば、木造建築物の意匠性を高めることができる。
また、上記課題を解決するための木造建築物の建前構造は、互いに間隔をおいて設けられた第1柱及び第2柱、及び前記第1柱の貫通孔及び前記第2柱の貫通孔を貫通する第1横架材を有する第1フレームと、互いに間隔をおいて設けられた第3柱及び第4柱、及び前記第3柱の貫通孔及び前記第4柱の貫通孔を貫通する第2横架材を有する第2フレームと、前記第1柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第3柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第3横架材と、前記第2柱の貫通孔を貫通する第1端と前記第4柱の貫通孔を貫通する第2端とを有する第4横架材と、を備える。
同構成によれば、第1柱に対して第1横架材及び第3横架材を貫通させることができるとともに、第2柱に対して第1横架材及び第4横架材を貫通させることができる。また、第3柱に対して第2横架材及び第3横架材を貫通させることができるとともに、第4柱に対して第2横架材及び第4横架材を貫通させることができる。これにより、柱と横架材との仕口の全てを固定端とすることができる。したがって、木造建築物の強度を高めることができる。