(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108057
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具
(51)【国際特許分類】
E04G 21/18 20060101AFI20220715BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20220715BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
E04G21/18 Z
E04B1/26 G
E04B1/58 505L
E04B1/58 508L
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021002866
(22)【出願日】2021-01-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】303047067
【氏名又は名称】亀山建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】亀山 直央
(72)【発明者】
【氏名】亀山 義比古
【テーマコード(参考)】
2E125
2E174
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG12
2E125CA78
2E174AA04
2E174DA07
2E174DA14
2E174DA21
2E174DA32
2E174DA57
2E174DA65
(57)【要約】
【課題】柱及び横架材を精度良く組み立てることができる。
【解決手段】ドック50は、互いに間隔をおいて設けられた複数本の柱と、複数本の柱を連結する横架材とを備えるフレームを寝かせた状態で組み立てる際に用いられるとともに柱の位置決めを行う。ドック50は、地面よりも上方において柱の側面を下方から支持する支持面51Aを有する支持部材51と、支持面51Aよりも上方において支持面51Aを挟んで設けられた2つの案内ブロック52Aを含む案内部52とを備えている。案内ブロック52Aは、柱を降下させる際に支持面51Aに向けて柱を案内するものであり、下側ほど水平方向において支持面51Aに近づくように傾斜する案内面52aを有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて設けられた複数本の柱と、前記複数本の柱にわたって設けられる横架材とを備えるフレームを寝かせた状態で組み立てる際に用いられるとともに前記柱の位置決めを行う治具であって、
地面よりも上方において前記柱の側面を下方から支持する支持面を有する支持部材と、
前記支持面よりも上方において前記支持面を挟んで設けられた2つの案内ブロックを含む案内部と、を備え、
前記案内ブロックは、前記柱を降下させる際に前記支持面に向けて前記柱を案内するものであり、下側ほど水平方向において前記支持面に近づくように傾斜する案内面を有している、
木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具。
【請求項2】
前記案内部は、前記柱の長さ方向に互いに間隔をおいて複数配置されている、
請求項1に記載の木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具。
【請求項3】
前記支持部材は、
前記地面において互いに平行に配置された複数本の第1盤木と、
前記複数本の第1盤木の上面において前記第1盤木の長さ方向に直交する方向に沿って延びるとともに互いに間隔をおいて固定された複数本の第2盤木と、
前記複数本の第2盤木の上面において前記第1盤木の長さ方向に沿って延びるとともに互いに間隔をおいて固定された複数本の第3盤木と、を備え、
前記支持面は、前記第3盤木の上面に設けられており、
前記案内ブロックは、前記第3盤木の上面に固定されている、
請求項1または請求項2に記載の木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具。
【請求項4】
前記第3盤木の上面には、前記フレームを仮固定する仮筋交いを逃がす凹部が設けられている、
請求項3に記載の木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具。
【請求項5】
前記柱の長さ方向の基端側を基端側とするとき、
前記複数本の第3盤木の並び方向において最も基端側に位置する第3盤木よりも基端側には、前記フレームを吊り上げる際に、前記複数本の柱の基端を載置する木材製の載置部が設けられている、
請求項3または請求項4に記載の木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具。
【請求項6】
前記載置部は、前記複数本の第2盤木と、互いに隣り合う前記第2盤木同士の間において前記第1盤木の上面に固定された第4盤木と、により構成されている、
請求項5に記載の木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木造建築物の建前工法として木造軸組工法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、木造建築物の建前工法においては、互いに間隔をおいて設けられた複数本の柱と、複数本の柱にわたって設けられる横架材とを精度良く組み立てることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具は、互いに間隔をおいて設けられた複数本の柱と、前記複数本の柱にわたって設けられる横架材とを備えるフレームを寝かせた状態で組み立てる際に用いられるとともに前記柱の位置決めを行う治具であって、地面よりも上方において前記柱の側面を下方から支持する支持面を有する支持部材と、前記支持面よりも上方において前記支持面を挟んで設けられた2つの案内ブロックを含む案内部と、を備え、前記案内ブロックは、前記柱を降下させる際に前記支持面に向けて前記柱を案内するものであり、下側ほど水平方向において前記支持面に近づくように傾斜する案内面を有している。
【0006】
同構成によれば、支持部材の支持面に向けて柱を降下させる際に2つの案内ブロックの案内面によって柱が支持面に向けて案内される。これにより、柱の位置決めを精度良く且つ容易に行うことができるとともに、位置決めされた状態の柱の移動を抑制することができる。このようにして複数本の柱を寝かせた状態で位置決めすることにより、フレームを構成する柱及び横架材の数が多い場合や、重量が大きい場合であっても、柱及び横架材を精度良く組み立てることができる。
【0007】
上記木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具において、前記案内部は、前記柱の長さ方向に互いに間隔をおいて複数配置されていることが好ましい。
同構成によれば、柱の位置決めを一層精度良く行うことができる。
【0008】
上記木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具において、前記支持部材は、前記地面において互いに平行に配置された複数本の第1盤木と、前記複数本の第1盤木の上面において前記第1盤木の長さ方向に直交する方向に沿って延びるとともに互いに間隔をおいて固定された複数本の第2盤木と、前記複数本の第2盤木の上面において前記第1盤木の長さ方向に沿って延びるとともに互いに間隔をおいて固定された複数本の第3盤木と、を備え、前記支持面は、前記第3盤木の上面に設けられており、前記案内ブロックは、前記第3盤木の上面に固定されている。
【0009】
同構成によれば、地面に配置された複数本の第1盤木によって地面の凹凸を吸収することができる。また、複数本の第2盤木及び第3盤木によって、支持部材の剛性を高めることができる。このように第1盤木、第2盤木、第3盤木を配置することによって、支持部材を容易に実現することができる。
【0010】
また、上記構成によれば、隣り合う第2盤木同士の間のスペース及び隣り合う第3盤木同士の間のスペースによって、フレームを吊り上げるために用いられるベルトをフレームに対して締め付ける作業を行うためのスペースが確保される。このため、ベルトを締め付ける作業を容易に行うことができる。
【0011】
上記木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具において、前記第3盤木の上面には、前記フレームを仮固定する仮筋交いを逃がす凹部が設けられていることが好ましい。
寝かせた状態で組み立てられたフレームを吊り上げる際や吊り上げられたフレームを移動させる際に、フレームを構成する柱同士の位置ずれや、柱と横架材との位置ずれが発生するおそれがある。
【0012】
上記構成によれば、第3盤木の上面に設けられた凹部によってフレームを仮固定する仮筋交いを逃がすことができる。これにより、支持面によって複数の柱を支持した状態において、フレームの各部位の下面同士を仮筋交いで連結することが可能となる。このため、フレームの各部位を上側と下側との両側から仮筋交いで連結することが可能となる。したがって、フレームを構成する柱同士の位置ずれや柱と横架材との位置ずれを容易に抑制することができる。
【0013】
また、上記構成によれば、隣り合う第2盤木同士の間のスペース及び隣り合う第3盤木同士の間のスペースによって、フレームの各部位の下面に対して仮筋交いを固定する作業を行うためのスペースが確保される。このため、仮筋交いを固定する作業を容易に行うことができる。
【0014】
上記木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具において、前記柱の長さ方向の基端側を基端側とするとき、前記複数本の第3盤木の並び方向において最も基端側に位置する第3盤木よりも基端側には、前記フレームを吊り上げる際に、前記複数本の柱の基端を載置する木材製の載置部が設けられていることが好ましい。
【0015】
同構成によれば、寝かせた状態で組み立てたフレームを吊り上げる際に、複数本の柱の基端を木材製の載置部上に載置することができる。またこのとき、フレームを吊り上げた際に、柱の底面が傷つくことを抑制できる。
【0016】
上記木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具において、前記載置部は、前記複数本の第2盤木と、互いに隣り合う前記第2盤木同士の間において前記第1盤木の上面に固定された第4盤木と、により構成されていることが好ましい。
【0017】
同構成によれば、支持部材の剛性確保のために設けられる第2盤木と、第2盤木同士の間において第1盤木の上面に固定された第4盤木とによって載置部を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、柱及び横架材を精度良く組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具の一実施形態を示す斜視図。
【
図4】位置決め治具上においてフレームが組み立てられた状態を示す斜視図。
【
図5】位置決め治具の載置部上にフレームが載置されている状態を示す斜視図。
【
図6】(a)~(c)は、木造建築物の建前工法の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~
図5を参照して、一実施形態について説明する。
図1~
図5に示すように、木造建築物のフレーム組み立て用位置決め治具(以下、ドック50)は、フレーム10を寝かせた状態で組み立てる際に用いられるとともに柱11,14,17の位置決めを行うためのものである。
【0021】
フレーム10は、互いに間隔をおいて設けられた複数本の柱11,14,17と、複数本の柱11,14,17を連結する横架材19とを備えている(
図4及び
図5参照)。本実施形態のフレーム10は、3本の柱11,14,17と3本の横架材19とを備えている。本実施形態の柱11,14,17の形状は、四角柱である。
【0022】
なお、以降において、鉛直方向の上方及び下方を単に上方及び下方として説明する。
図1~
図3に示すように、ドック50は、支持部材51と、案内部52と、載置部53とを備えている。
【0023】
まず、支持部材51について説明する。
図1~
図3に示すように、支持部材51は、複数本の第1盤木60、複数本の第2盤木70、及び複数本の第3盤木80を備えている。第1盤木60、第2盤木70、及び第3盤木80は、いずれも断面正方形の四角柱である。本実施形態では、第1盤木60、第2盤木70、及び第3盤木80の断面の一辺の長さが互いに同一である。
【0024】
<第1盤木60>
複数本の第1盤木60は、地面Gにおいて互いに平行に配置されている。本実施形態では、5本の第1盤木60(61~65)が用いられている。
【0025】
以降において、第1盤木60の長さ方向を第1方向Xとし、鉛直方向(上下方向)及び第1方向Xの双方に直交する方向を第2方向Yとして説明する。また、第2方向Yにおいて柱11,14,17の基端側(
図2の上側)を基端側とし、第2方向Yにおいて基端側とは反対側(
図2の下側)を先端側として説明する。
【0026】
5本の第1盤木60のうち最も先端側の第1盤木61と先端側から2番目の第1盤木62とは、互いに間隔をおいて配置されている。2番目及び3番目の第1盤木62,63は、互いに隣接して配置されている。3番目の第1盤木63と4番目の第1盤木64とは、互いに間隔をおいて配置されている。4番目の第1盤木64と5番目の第1盤木65とは、互いに間隔をおいて配置されている。
【0027】
<第2盤木70>
複数本の第2盤木70は、第1盤木60の上面において第2方向Yに沿って延びるとともに互いに間隔をおいて固定されている。本実施形態では、4本の第2盤木70(71~74)が用いられている。
【0028】
第2盤木70の先端は、最も先端側の第1盤木61よりも先端側に位置している。
第2盤木70の基端は、最も基端側の第1盤木65よりも基端側に位置している。
具体的には、第1盤木60の上面に設けられた切欠66に第2盤木70が嵌合されることで第1盤木60に対して第2盤木70が固定されている(
図3参照)。
【0029】
4本の第2盤木70のうち内側に位置する2本の第2盤木72,73同士の間隔は、外側に位置する第2盤木71(74)と同第2盤木71(74)と隣り合う第2盤木72(73)との間の間隔よりも小さい。
【0030】
<第3盤木80>
複数本の第3盤木80は、複数本の第2盤木70の上面において第1方向Xに沿って延びるとともに互いに間隔をおいて固定されている。本実施形態では、3本の第3盤木80(81~83)が用いられている。
【0031】
具体的には、第3盤木80の下面に設けられた切欠86に第2盤木70が嵌合されることで第3盤木80に対して第2盤木70が固定されている。
3本の第3盤木80のうち最も先端側の第3盤木81は、最も先端側の第1盤木61の直上に設けられている。
【0032】
先端側から2番目の第3盤木82は、先端側から2番目の第1盤木62と3番目の第1盤木63との間の直上に設けられている。
最も基端側の第3盤木83は、先端側から4番目の第1盤木64の直上に設けられている。
【0033】
第3盤木80の上面には、フレーム10を仮固定する仮筋交い91を逃がす凹部85が設けられている。凹部85は、第1方向Xに対して傾斜して延びている。
第3盤木80の上面には、地面Gよりも上方において柱11(14,17)の側面を下方から支持する支持面51Aが設けられている。
【0034】
次に、案内部52について説明する。
<案内ブロック52A>
図1~
図3に示すように、案内部52は、支持面51Aよりも上方において支持面51Aを挟んで設けられた2つの案内ブロック52Aを含んでいる。案内ブロック52Aは、第3盤木80の上面に固定されている。
【0035】
案内部52は、柱11(17)の長さ方向に互いに間隔をおいて複数配置されている。本実施形態では、1本の柱11(17)に対して3つの案内部52が設けられている。
なお、柱14を支持する支持面51Aについては、第1方向Xにおいて支持面51Aの内側にのみ案内ブロック52Aが設けられており、支持面51Aの外側には案内ブロック52Aが設けられていない。
【0036】
案内ブロック52Aは、柱11(14,17)を降下させる際に支持面51Aに向けて柱11(14,17)を案内するものであり、下側ほど水平方向(
図3の左右方向)において支持面51Aに近づくように傾斜する案内面52aを有している。
【0037】
次に、載置部53について説明する。
<載置部53>
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、載置部53は、フレーム10を吊り上げる際に、複数本の柱11,14,17の基端を載置する木材製の部位であり、第2方向Yにおいて最も基端側に位置する第3盤木83よりも基端側に設けられている。
【0038】
載置部53は、複数本の第2盤木70と、互いに隣り合う第2盤木70同士の間において第1盤木60の上面に固定された複数本の第4盤木90とにより構成されている。第4盤木90は、断面正方形の四角柱である。本実施形態では、第4盤木90の断面の一辺の長さは、第1盤木60、第2盤木70、及び第3盤木80の断面の一辺の長さと同一である。
【0039】
第4盤木90の先端は、最も基端側に位置する第3盤木83と、先端側から4番目の第1盤木64とによって上下方向において挟まれている。
なお、最も先端側に位置する第1盤木61と第3盤木81との間には、第2盤木70の他に、第3盤木81の撓み変形を抑制するための盤木93が設けられている。
【0040】
また、先端側から2番目及び3番目の第1盤木62,63と、先端側から2番目の第3盤木82との間には、第2盤木70の他に、第3盤木82の撓み変形を抑制するための盤木94が設けられている。
【0041】
次に、こうしたドック50を用いて行われるフレーム10の組み立て方法、及び木造建築物の建前工法について説明する。
図4に示すように、まず、ドック50の支持面51A上に、柱11及び中間柱17を寝かせた状態で載置する。
【0042】
本実施形態によれば、支持部材51の支持面51Aに向けて柱11,17を降下させる際に2つの案内ブロック52Aの案内面52aによって柱11,17が支持面51Aに向けて案内される。これにより、柱11,17の位置決めを精度良く且つ容易に行うことができるとともに、位置決めされた状態の柱11,17の移動を抑制することができる(以上、作用1)。
【0043】
この状態において、横架材19を第1方向Xに沿ってスライドさせることで、横架材19の一方の端19aを中間柱17の貫通孔及び柱11の貫通孔に順に貫通させる。
続いて、柱14を寝かせた状態で第1方向Xに沿ってスライドさせることで、柱14の貫通孔に横架材19の他方の端を貫通させる。
【0044】
また、柱11,14,17と、横架材19との仕口に、図示しない楔を打ち付ける。
このようにして、フレーム10を形成する。
寝かせた状態で組み立てられたフレーム10を吊り上げる際や吊り上げられたフレーム10を移動させる際に、フレーム10を構成する柱11,14,17同士の位置ずれや、柱11,14,17と横架材19との位置ずれが発生するおそれがある。
【0045】
そこで、支持面51Aによって複数の柱11,14,17を支持した状態において、柱11,17の下面同士を仮筋交い91で連結する。ここで、柱11,17の下面同士を仮筋交い91で連結するに先立ち、第3盤木80の凹部85に仮筋交い91を挿入する。このとき、仮筋交い91の上面は、第3盤木80の上面よりも僅かに下方に位置する。また、柱11,17の上面同士を仮筋交い92で連結する。
【0046】
以降において、フレーム10を第1フレーム10とする。
次に、
図5に示すように、クレーンにより、第1フレーム10を吊り上げることで第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を直立させた状態にし、柱11,14,17の基端を木材製の載置部53上に載置する。
【0047】
そして、クレーンにより、第1柱11、第1中間柱17、及び第2柱14を、図示しない礎石上に立てる。
次に、第1フレーム10と同様にして第2フレーム20(
図6(c)参照)を組み立てる。
【0048】
次に、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、第1柱11の貫通孔13に対して第3横架材30の第1端31を貫通させるとともに、第2柱14の貫通孔16に対して第4横架材40の第1端41を貫通させる。
【0049】
次に、
図6(c)に示すように、クレーンにより、第2フレーム20を吊り上げることで第3柱21及び第4柱24を直立させた状態にする。そして、クレーンにより、第2フレーム20をスライドさせることで、第3柱21の貫通孔23に対して、第3横架材30の第2端32を貫通させるとともに、第4柱24の貫通孔26に対して、第4横架材40の第2端42を貫通させる。
【0050】
このようにして建前構造が形成される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)案内ブロック52Aは、柱11(14,17)を降下させる際に支持面51Aに向けて柱11(14,17)を案内するものであり、下側ほど水平方向において支持面51Aに近づくように傾斜する案内面52aを有している。
【0051】
こうした構成によれば、上記作用1を奏することができる。複数本の柱11,14,17を寝かせた状態で位置決めすることにより、フレーム10を構成する柱11,14,17及び横架材19の数が多い場合や、重量が大きい場合であっても、柱11,14,17及び横架材19を精度良く組み立てることができる。
【0052】
(2)案内部52は、柱11(14,17)の長さ方向に互いに間隔をおいて複数配置されている。
こうした構成によれば、柱11(14,17)の位置決めを一層精度良く行うことができる。
【0053】
(3)支持部材51は、複数本の第1盤木60と、複数本の第2盤木70と、複数本の第3盤木80とを備えている。支持面51Aは、第3盤木80の上面に設けられている。案内ブロック52Aは、第3盤木80の上面に固定されている。
【0054】
こうした構成によれば、地面Gに配置された複数本の第1盤木60によって地面Gの凹凸を吸収することができる。また、複数本の第2盤木70及び複数本の第3盤木80によって、支持部材51の剛性を高めることができる。このように第1盤木60、第2盤木70、第3盤木80を配置することによって、支持部材51を容易に実現することができる。
【0055】
また、上記構成によれば、隣り合う第2盤木70同士の間のスペース及び隣り合う第3盤木80同士の間のスペースによって、フレーム10を吊り上げるために用いられるベルトをフレーム10に対して締め付ける作業を行うためのスペースが確保される。このため、ベルトを締め付ける作業を容易に行うことができる。
【0056】
(4)第3盤木80の上面には、フレーム10を仮固定する仮筋交い91を逃がす凹部85が設けられている。
寝かせた状態で組み立てられたフレーム10を吊り上げる際や吊り上げられたフレーム10を移動させる際に、フレーム10を構成する柱11,14,17同士の位置ずれや、柱11,14,17と横架材19との位置ずれが発生するおそれがある。
【0057】
上記構成によれば、第3盤木80の上面に設けられた凹部85によってフレーム10を仮固定する仮筋交い91を逃がすことができる。これにより、支持面51Aによって複数の柱11,14,17を支持した状態において、柱11,17の下面同士を仮筋交い91で連結することが可能となる。このため、柱11,17を上側と下側との両側から仮筋交い91,92で連結することが可能となる。したがって、フレーム10を構成する柱11,14,17同士の位置ずれや柱11,14,17と横架材19との位置ずれを容易に抑制することができる。
【0058】
また、上記構成によれば、隣り合う第2盤木70同士の間のスペース及び隣り合う第3盤木80同士の間のスペースによって、柱11,17の下面に対して仮筋交い91を固定する作業を行うためのスペースが確保される。このため、仮筋交い91を固定する作業を容易に行うことができる。
【0059】
(5)最も基端側に位置する第3盤木83よりも基端側には、フレーム10を吊り上げる際に、複数本の柱11,14,17の基端を載置する木材製の載置部53が設けられている。
【0060】
こうした構成によれば、寝かせた状態で組み立てたフレーム10を吊り上げる際に、複数本の柱11,14,17の基端を木材製の載置部53上に載置することができる。またこのとき、フレーム10を吊り上げた際に、柱11,14,17の底面が傷つくことを抑制できる。
【0061】
(6)載置部53は、複数本の第2盤木70と、互いに隣り合う第2盤木70同士の間において第1盤木60の上面に固定された第4盤木90とにより構成されている。
こうした構成によれば、支持部材51の剛性確保のために設けられる第2盤木70と、第2盤木70同士の間において第1盤木60の上面に固定された第4盤木90とによって載置部53を容易に実現することができる。
【0062】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・例えば、ドック50の水平方向における剛性を高めるために、第2方向Yにおいて隣り合う第1盤木60同士を、第2方向Yに対して傾斜して延びる筋交いによって連結するようにしてもよい。
【0064】
この場合、例えば外側に位置する第2盤木71と内側に位置する第2盤木72との間において、最も先端側に位置する第1盤木61と、先端側から2番目の第1盤木62とを筋交いによって連結するとともに、先端側から3番目の第1盤木63と4番目の第1盤木64とを筋交いによって連結することが好ましい。また、外側に位置する第2盤木74と内側に位置する第2盤木73との間においても同様である。
【0065】
・第4盤木90のみによって載置部53を構成することもできる。
・例えば寝かせた状態から吊り上げたフレーム10を、そのまま礎石上に移動させる場合には、載置部53を省略することもできる。
【0066】
・仮筋交い91を省略することもできる。この場合、第3盤木80の上面の凹部85を省略することができる。
・例えば第1盤木60及び第2盤木70のみによって支持部材51を構成することもできる。
【0067】
・柱11,14,17の長さ方向(第2方向Y)に配置される案内部52の数を4つ以上にすることもできるし、2つ以下にすることもできる。
・例えば第1フレーム10を構成する第1柱11または第2柱14が上下方向に対して傾斜しているものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…第1フレーム
11…第1柱
13…貫通孔
14…第2柱
16…貫通孔
17…第1中間柱
19…第1横架材
19a…端
20…第2フレーム
21…第3柱
23…貫通孔
24…第4柱
26…貫通孔
27…第2中間柱
29…第2横架材
30…第3横架材
31…第1端
32…第2端
40…第4横架材
41…第1端
42…第2端
50…ドック
51…支持部材
51A…支持面
52…案内部
52a…案内面
53…載置部
60,61,62,63,64,65…第1盤木
66…切欠
70,71,72,73,74…第2盤木
80,81,82,83…第3盤木
85…凹部
86…切欠
90…第4盤木
91,92…仮筋交い
93,94…盤木
G…地面