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特開2022-108198X線撮影用補助具及びX線撮影システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108198
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】X線撮影用補助具及びX線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20220715BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20220715BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61B6/14 300
A61B6/00 300X
A61B6/04 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003092
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 庸隆
(72)【発明者】
【氏名】新井 健大
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA15
4C093DA05
4C093EC15
4C093EC52
4C093ED11
(57)【要約】
【課題】イメージングプレートを使用してX線撮影した場合に、どこの部位を撮影したX線画像か容易に判断することができると共に、X線撮影用補助具を使用してX線撮影した部位を容易に把握することができるX線撮影用補助具及びX線撮影システムを提供すること。
【解決手段】X線撮影用補助具3は、X線を発生するX線源のX線照射部22を位置合わせするための位置合わせ部31と、位置合わせ部31からX線照射方向に延設された支持アーム32と、支持アーム32の先端に設けられて、X線照射部22により照射されて被写体Sを通過したX線によるX線画像情報を口腔C内で取得するX線撮像素子4を着脱自在に支持するX線撮像素子支持部33と、を備えている。X線撮像素子支持部33は、X線撮像素子4の裏表を逆に取り付けることを防止するための誤取付防止手段30を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線源のX線照射部を位置合わせするための位置合わせ部と、
前記位置合わせ部からX線照射方向に延設された支持アームと、
前記支持アームの先端に設けられて、前記X線照射部により照射されて被写体を通過したX線によるX線画像情報を口腔内で取得するX線撮像素子を着脱自在に支持するX線撮像素子支持部と、を備えたX線撮影用補助具において、
前記X線撮像素子支持部は、前記X線撮像素子の裏表を逆に取り付けることを防止するための誤取付防止手段を備えること
を特徴とするX線撮影用補助具。
【請求項2】
前記誤取付防止手段は、前記X線撮像素子が裏向きに取り付けられる場合に、前記X線撮像素子に設けられた磁石と反発する磁石であること
を特徴とする請求項1に記載のX線撮影用補助具。
【請求項3】
前記X線撮像素子支持部は、前記X線撮像素子の無線タグと通信を行う無線タグ通信部を有すること
を特徴する請求項1または請求項2に記載のX線撮影用補助具。
【請求項4】
前記誤取付防止手段による誤取付防止に関する結果を報知する報知手段と、
前記X線撮像素子の無線タグと通信を行う無線タグ通信部と、をさらに有し、
前記誤取付防止手段は、前記X線撮像素子が裏向きに取り付けられる場合に、前記無線タグ通信部と、前記X線撮像素子に設けられた無線タグと、が通信を行うことをできなくすること
を特徴とする請求項1に記載のX線撮影用補助具。
【請求項5】
前記X線撮影用補助具の姿勢を検出する姿勢検出手段をさらに有し、
前記無線タグ通信部は、前記X線撮像素子に備えた無線タグに少なくとも前記姿勢検出手段からの姿勢情報を書き込むための書込手段を備えること
を特徴とする請求項3または請求項4に記載のX線撮影用補助具。
【請求項6】
前記書込手段は、使用されたX線撮影用補助具に関する使用器具情報を前記無線タグに書き込むこと
を特徴とする請求項5に記載のX線撮影用補助具。
【請求項7】
前記支持アームは、X線撮影用補助具の口腔内での位置を決める位置決め手段と、前記位置決め手段を取り付ける位置決め手段取付穴と、前記位置決め手段取付穴を有する位置決め手段取付板と、を備え、
前記X線撮影用補助具は、前記位置決め手段の位置を検出する位置決め手段位置検出手段を備え、
前記書込手段は、前記位置決め手段位置検出手段で検出した位置決め手段位置情報を無線タグ45に書き込むこと
を特徴とする請求項5または請求項6に記載のX線撮影用補助具。
【請求項8】
前記X線照射部からX線が照射されたことを検出するX線照射検出手段をさらに備え、
前記X線照射検出手段が、X線が照射されたことを検出したときに、前記書込手段は、前記無線タグに前記姿勢情報を書き込むこと
を特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のX線撮影用補助具。
【請求項9】
前記請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載された前記X線撮影用補助具と、前記X線撮像素子と、情報読取装置と、情報端末と、を備えたX線撮影システムにおいて、
前記X線撮像素子は、
前記X線撮影用補助具の姿勢を検出する姿勢検出手段からの姿勢情報を記憶するための無線タグと、
前記X線画像情報を取得するX線画像情報取得部と、を有し、
前記情報読取装置は、
前記無線タグに記録された少なくとも姿勢情報を読み取るための情報読取部と、
前記X線撮像素子に記録されたX線画像情報を読み取るX線画像情報読取部と、
前記情報読取部及び前記X線画像情報読取部で読み取った姿勢情報及びX線画像情報を前記情報端末へ送信する情報通信部と、を有し、
前記情報端末は、
前記姿勢情報及び前記X線画像情報を受信する通信部を有し、
前記情報読取装置及び前記情報端末の少なくとも何れか一方は、前記姿勢情報と前記X線画像情報を関連付ける画像情報処理部を有する
ことを特徴とするX線撮影システム。
【請求項10】
前記情報端末は、
X線撮影の対象の患者に関する患者情報を記憶した内部記憶部または外部データベースから前記患者情報を呼び出す患者情報呼出部と、
受信した姿勢情報及びX線画像情報と前記患者情報呼出部によって呼び出された患者情報とを関連付けて前記内部記憶部または前記外部データベースに記録する情報処理部と、を有すること
を特徴とする請求項9に記載のX線撮影システム。
【請求項11】
前記無線タグは、RFIDであること
を特徴とする請求項9または請求項10に記載のX線撮影システム。
【請求項12】
前記情報端末は、
使用された前記X線撮影用補助具に関する使用器具情報及び前記姿勢情報を用いて、X線撮影された歯列の箇所を類推する歯列類推部と、
前記歯列類推部の類推に基づいてX線画像を整列させるX線画像整列処理部と、を有すること
を特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【請求項13】
前記歯列類推部は、さらに前記X線画像情報の特徴点を用いて前記類推を行い、X線画像を整列させること
を特徴とする請求項12に記載のX線撮影システム。
【請求項14】
前記歯列類推部は、さらに位置決め手段の位置を検出する位置決め手段位置検出手段で検出した位置決め手段位置情報を用いて前記類推を行い、X線画像を整列させること
を特徴とする請求項12または請求項13に記載のX線撮影システム。
【請求項15】
前記X線撮像素子は、イメージングプレートであり、
前記イメージングプレートは、X線を画像情報に変換する輝尽性発光体層と、
前記輝尽性発光体層と反対の面に設けられた無線タグと、
前記輝尽性発光体層と前記無線タグとの間に金属層と、を備え、
前記金属層は、X線撮影される撮影面からの前記無線タグへの電波を遮断すること
を特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【請求項16】
前記金属層と前記無線タグの間には、RFID電波と金属の干渉を防ぐ磁性体層を有すること
を特徴とする請求項15に記載のX線撮影システム。
【請求項17】
前記金属層と前記無線タグの間には、磁石層を備え、
前記磁石層は、前記X線撮影用補助具に設けた磁石と前記輝尽性発光体層側からは反発し、前記無線タグ側からは引き合うこと
を特徴とする請求項15に記載のX線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影用補助具及びX線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科等の医療分野では、X線撮影した患部のX線画像を記録するために、X線撮影システムが使用されている。X線撮影システムは、メモリ箔上にX線画像を記録するためのX線記録装置と、メモリ箔のX線画像を読み出すための読み出し装置と、を備えている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
前記特許文献1,2に記載のシステム(1)や、歯科におけるデンタル撮影では、X線画像を記録するために、メモリ箔(13)(X線受光媒体)が使用されている。メモリ箔(13)は、通常、患者の口腔内の適切な箇所に保持装置によって保持されて、口腔外からX線照射機でX線を照射して、1歯から3歯を一度に撮って、メモリ箔(13)の画像を見て診断が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-533490号公報
【特許文献2】特開2019-537457公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2に記載のシステム(1)等のメモリ箔(13)や、X線受光媒体(以下「イメージングプレート」という)を使用したX線撮影システムでは、X線撮影時のイメージングプレートの向き、イメージングプレートの画像読み取り時の向きによって、どこの撮影部位であるか把握し難いという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、そのような問題を解消すべく発明されたものであって、イメージングプレートを使用してX線撮影した場合に、どこの部位を撮影したX線画像か容易に判断することができると共に、X線撮影用補助具を使用してX線撮影した部位を容易に把握することができるX線撮影用補助具及びX線撮影システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るX線撮影用補助具は、X線を発生するX線源のX線照射部を位置合わせするための位置合わせ部と、前記位置合わせ部からX線照射方向に延設された支持アームと、前記支持アームの先端に設けられて、前記X線照射部により照射されて被写体を通過したX線によるX線画像情報を口腔内で取得するX線撮像素子を着脱自在に支持するX線撮像素子支持部と、を備えたX線撮影用補助具において、前記X線撮像素子支持部は、前記X線撮像素子の裏表を逆に取り付けることを防止するための誤取付防止手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るX線撮影システムは、前記X線撮影用補助具と、前記X線撮像素子と、情報読取装置と、情報端末と、を備えたX線撮影システムにおいて、前記X線撮像素子は、前記X線撮影用補助具の姿勢を検出する姿勢検出手段からの姿勢情報を記憶するための無線タグと、前記X線画像情報を取得するX線画像情報取得部と、を有し、前記情報読取装置は、前記無線タグに記憶された少なくとも姿勢情報を読み取るための情報読取部と、前記X線撮像素子に記録されたX線画像情報を読み取るX線画像情報読取部と、前記情報読取部及び前記X線画像情報読取部で読み取った姿勢情報及びX線画像情報を前記情報端末へ送信する情報通信部と、を有し、前記情報端末は、前記姿勢情報及び前記X線画像情報を受信する通信部を有し、前記情報読取装置及び前記情報端末の少なくとも何れか一方は、前記姿勢情報と前記X線画像情報を関連付ける画像情報処理部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、イメージングプレートを使用してX線撮影した場合に、どこの部位を撮影したX線画像か容易に判断することができると共に、X線撮影用補助具を使用してX線撮影した部位を容易に把握することができるX線撮影用補助具及びX線撮影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムの一例を示すブロック図である。
図2】X線撮影用補助具を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具の一例を示す図で、三種類のX線撮影用補助具を使用して歯列類推する場合の説明図である。
図4】X線撮像素子を示す概略拡大断面図である。
図5】上顎右側臼歯部及び下顎左側臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。
図6】上顎左側臼歯部及び下顎右側臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。
図7】誤取付防止手段の設置状態を示す要部拡大概略断面図である。
図8】RFIDアンテナの概略拡大正面図である。
図9】X線撮影用補助具を示す斜視図である。
図10A】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムの第1変形例を示す図で、使用器具情報、姿勢情報及び位置決め手段位置情報を使用して歯列類推する場合に使用されるX線撮影用補助具の斜視図である。
図10B】上顎左側臼歯部及び下顎右側臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。
図10C】上顎前歯を撮影するときのX線撮影用補助具の状態を示す説明図である。
図10D】上顎左側小臼歯を撮影するときのX線撮影用補助具の状態を示す説明図である。
図10E】上顎左側大臼歯を撮影するときのX線撮影用補助具の状態を示す説明図である。
図10F】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具の第1変形例を示す図で、二種類のX線撮影用補助具を使用して歯列類推する場合の説明図である。
図10G】使用器具及び位置情報と、X線画像の整列箇所との関係を示す説明図である。
図11A】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムの第2変形例を示す図であり、X線撮像素子を示す要部拡大概略断面図である。
図11B】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムの第2変形例を示すブロック図である。
図12A】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムのその他の変形例を示す図であり、上顎左側小臼歯部及び下顎右側小臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。
図12B】本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムのその他の変形例を示す図であり、上顎右側小臼歯部及び下顎左側小臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図9を参照して本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具3及びX線撮影システム1について詳細に説明する。
なお、本実施形態では、図2に示すX線撮影用補助具3において、位置合わせ部31側を前方向、X線撮像素子支持部33を後側、位置合わせ部31及びX線撮像素子支持部33が突出している側を上方向として説明する。
【0012】
≪X線撮影システム≫
図1に示すように、X線撮影システム1は、イメージングプレートIP(図4参照)を装着したX線撮影用補助具3を使用して患者の患部をX線撮影する撮影装置である。以下、X線撮影システム1の一例として、歯科に使用されるシステムを例に挙げて説明する。X線撮影システム1は、デンタルレントゲン2と、X線撮影用補助具3と、X線撮像素子4と、表示装置(図示省略)と、情報読取装置6と、情報端末7と、外部データベース8と、を備えて成る。
【0013】
≪デンタルレントゲン≫
図1に示すように、デンタルレントゲン2は、患者の口腔C内の歯牙TをX線撮影する口内法X線撮影装置である(図2または図3参照)。デンタルレントゲン2は、X線を発生するX線管21と、X線の照射野を調整して被写体SにX線を照射するX線照射部22と、を備えて構成されている。なお、X線照射部22は、X線源となるX線管21を含む。
【0014】
≪X線撮影用補助具≫
X線撮影用補助具3は、被写体Sとしての患者の歯牙TをX線撮影する際に、イメージングプレートIPを保持して、患者の口腔C内に着脱自在に装着させるため装着具である(図2及び図3参照)。X線撮影用補助具3は、誤取付防止手段30と、位置合わせ部31と、支持アーム32と、X線撮像素子支持部33と、姿勢検出手段34と、無線タグ通信部36と、書込手段36aと、報知手段37と、X線撮像素子検知部38と、X線照射検出手段39と、を備えている。
【0015】
図2に示すように、X線撮影用補助具3は、X線照射部22が挿入される円環状の位置合わせ部31と、位置合わせ部31の下端部から後方向に延設された支持アーム32と、支持アーム32の後端に設けられたX線撮像素子支持部33と、を主に有して成る。図2に示すX線撮影用補助具3は、前歯用X線撮影用補助具3A(図3参照)である。図3に示すように、X線撮影用補助具3は、デンタルレントゲン2でX線撮影する患部の位置に応じて、口腔内に容易に挿入できるようにするために、前歯用X線撮影用補助具3A(図2参照)と、上顎左側及び下顎右側臼歯用X線撮影用補助具3B(図5参照)と、上顎右側臼歯用X線撮影用補助具3C(図6参照)との三種類のX線撮影用補助具3で構成されている。
【0016】
なお、位置合わせ部31は、X線照射部22が挿入(あるいは内嵌)されなくてもよく、少なくとも位置合わせ部31の円環状の中心とX線照射部22の中心が合うように位置付けされていればよい。以下、X線照射部22が位置合わせ部31に挿入される場合を説明する。
【0017】
図3に示すように、上顎前歯Ta及び下顎前歯Tbには、前歯用X線撮影用補助具3Aが使用される。上顎前歯Ta及び下顎前歯Tbを撮影する場合は、前歯用X線撮影用補助具3Aで上顎前歯を撮影した後に、前歯用X線撮影用補助具3Aを反転させて下顎前歯を撮影する。上顎左側臼歯Tc及び下顎右側臼歯Tfには、上顎左側及び下顎右側臼歯用X線撮影用補助具3Bが使用される。上顎右側臼歯Td及び下顎左側臼歯Teには、上顎左側及び下顎右側臼歯用X線撮影用補助具3Bを左右対称な形状にした上顎右側臼歯用X線撮影用補助具3Cが使用される。
かかる構成によれば、使用器具情報は3種類、姿勢情報は2種類(上下)になので、6箇所のいずれかの画像情報であるかが分かるため、どの歯牙Tの画像であるかの判断が容易になる。
【0018】
<位置合わせ部>
図2に示すように、位置合わせ部31は、X線を発生するX線源のX線照射部22を位置合わせするための位置合わせ部分である。位置合わせ部31は、例えば、円柱形状のX線照射部22が内嵌されるリング形状に形成されている。位置合わせ部31は、この円環の位置合わせ部31に、円筒状のX線照射部22を位置合わせすることで、X線撮像素子4に確実にX線を当てることができるようにしている。
【0019】
<支持アーム>
支持アーム32は、位置合わせ部31からX線照射方向のX線撮像素子支持部33まで延設された部分である。支持アーム32には、X線撮影する患部の位置に応じて支持アーム32A~32Cを有するX線撮影用補助具3が使用される。
【0020】
図2図3図5あるいは図6に示すように、支持アーム32は、前歯用X線撮影用補助具3A、上顎左側及び下顎右側臼歯用X線撮影用補助具3B及び上顎右側及び下顎左側臼歯用X線撮影用補助具3Cの場合、正面視して横方向に折れ曲がるようにして前後方向に延びる支持アーム32B,32Cが使用される。
【0021】
<X線撮像素子支持部>
X線撮像素子支持部33は、X線照射部22によって照射されて被写体Sを通過したX線によるX線画像情報を口腔C内で取得するX線撮像素子4を着脱自在に挟持する保持部である。図2に示すように、X線撮像素子支持部33は、支持アーム32の後端部に設けられている。X線撮像素子支持部33は、基板部33aと、前側凸部33bと、弾性支持片33cと、後側突出片33dと、を有している。
ここで、X線画像情報とは、後述の輝尽性発光体層42に蓄積(記録)されたX線に関する情報、及び後述のX線画像情報読取部62により読み取られたX線画像情報であるX線画像である。
【0022】
基板部33aは、支持アーム32の後端部上に配置された矩形の平板状部分である。
前側凸部33bは、基板部33aの前端から上方向に突出した板状の突起である。
弾性支持片33cは、X線撮像素子4を支持するための支持片である。弾性支持片33cは、基板部33aの後側寄りの位置から上方向に突出し、弾性支持片33cの前面を押し付ける弾性力を有している。
【0023】
後側突出片33dは、基板部33aの後端から上方向に突出した矩形の突出片である。後側突出片33dには、図1に示す誤取付防止手段30と、姿勢検出手段34と、無線タグ通信部36と、書込手段36aと、X線撮像素子検知部38と、X線照射検出手段39と、が埋め込まれている。
【0024】
<誤取付防止手段>
誤取付防止手段30は、X線撮像素子4の裏表を逆にして取り付けられるのを防止するための装置である。誤取付防止手段30は、後記する無線タグ通信部36から成る。誤取付防止手段30は、イメージングプレートIPを使用してX線画像を撮影した場合に、X線撮像素子4の輝尽性発光体層42側がX線照射側に向いている(表向きに取り付けられる)のを確認することが可能になっている。つまり、誤取付防止手段30は、X線撮像素子4の輝尽性発光体層42側がX線照射側に向いていない(裏向きに取り付けられる)場合に、無線タグ通信部36と、X線撮像素子4に設けられた無線タグ45と、で通信を行うことができないため、X線撮像素子4が裏向きと判断可能になっている。
【0025】
図7図9に示すように、誤取付防止手段30は、X線撮影用補助具3のX線撮像素子支持部33の前側に配置したRFIDアンテナ301と、X線撮像素子支持部33の後側に配置されて加速度センサ303とX線検出センサ304とが実装された電気制御回路基板302と、を備えている。
なお、図7図9では、RFIDアンテナ301をX線撮影用補助具3(X線撮像素子支持部33)の前側に取り付けた場合を例に挙げて図示しているが、RFIDアンテナ301は、X線撮影用補助具3の裏側に取り付けてもよい。
【0026】
RFIDアンテナ301は、RFIDタグ等の情報を読み取るための電波を受信、送信するための送受信装置であり、略基板状に形成されている。RFIDアンテナ301は、X線撮像素子支持部33の表側(前面側)に取り付けられるか、または、X線撮像素子支持部33の表側(前面側)に埋め込まれている。
【0027】
加速度センサ303は、姿勢検出手段34(図1参照)と同様に、X線撮影用補助具3の角度を検出するセンサである。
X線検出センサ304は、X線照射検出手段39と同様に、X線照射部22からX線が照射されたことを検出するセンサである(図1参照)。
【0028】
電気制御回路基板302は、RFIDアンテナ301、加速度センサ303及びX線検出センサ304等によって、加速度センサ制御と、RFIDライタ/リーダ制御と、X線検出回路制御とを行うための回路基板である。電気制御回路基板302は、X線撮像素子支持部33の裏側(後面側)に取り付けられるか、または、X線撮像素子支持部33の後側(後面側)に埋め込まれている。
なお、その他の制御関連部品及び電池は、電気制御回路基板302に設けてもよいし、X線撮像素子支持部33以外の場所に配置してもよい。
【0029】
かかる構成によれば、X線撮影用補助具3は、RFIDアンテナ301、電気制御回路基板302等を有する誤取付防止手段30を備えている。このため、RFIDアンテナ301と電気制御回路基板302とでRFID通信することで、イメージングプレートIP(図示省略)の表裏の間違いを検知することができる。
【0030】
<姿勢検出手段>
図1に示す姿勢検出手段34は、X線撮影用補助具3の姿勢を検出する検出装置である。姿勢検出手段34は、X線撮影用補助具3の角度を検出する加速度センサから成る。
【0031】
<無線タグ通信部>
無線タグ通信部36(誤取付防止手段30)は、X線撮像素子4の無線タグ45と通信を行う通信装置である。無線タグ通信部36は、例えば、RFIDアンテナから成る。無線タグ通信部36は、X線撮像素子4に備えた無線タグ45に少なくとも姿勢検出手段34からの姿勢情報を書き込むための書込手段36aを備えている。無線タグ通信部36は、書込手段36aを備えていることで、無線タグ45に姿勢検出手段34で検出した姿勢情報を書き込んで記憶させることが可能である。
【0032】
ここで、「姿勢情報」とは、姿勢検出手段34(加速度センサ)で検出したX線撮影用補助具3の角度(撮影時のX線撮影用補助具3が上向き角度、及び、下向き角度)に関する情報である。
【0033】
<書込手段>
書込手段36aは、無線タグ45(RFID)に情報を書き込むためのRFIDライタから成る。書込手段36aには、使用されたX線撮影用補助具3に関する使用器具情報を無線タグ45に書き込む。また、書込手段36aは、X線照射検出手段39が、X線が照射されたことを検出したとき、無線タグ45に姿勢情報を書き込む。書込手段36aは、撮影したい箇所に応じて使用器具の種類が変わるので、X線撮影用補助具3に関する使用器具情報を書き込むことで、歯列のどこの部位をX線撮影したかを把握することができるようにする。
【0034】
ここで、「使用器具情報」とは、使用しているX線撮影用補助具3の種類に関する情報である。
【0035】
<報知手段>
報知手段37は、誤取付防止手段30による誤取付防止に関する結果を報知する報知装置である。報知手段37は、音や光によって術者にX線撮像素子4の表裏を報せる装置から成る。報知手段37は、例えば、X線撮像素子4に設けられた無線タグ45と通信できない場合に、音が鳴って報知したり、LED等が点滅して報知したり、あるいは、LED等が緑色や赤色に点灯したりして、X線撮像素子4の表裏が間違えていることを報せる。
【0036】
<X線撮像素子検知部>
X線撮像素子検知部38は、X線撮像素子4がX線撮像素子支持部33に取り付けられたことを検知するためのセンサである。X線撮像素子検知部38は、無線タグ45と通信を行うトリガとして用いる。X線撮像素子検知部38は、例えば、フォトセンサ(例えば、蛍光体とフォトダイオードとを備えて成る)等から成る。なお、X線撮像素子検知部38は、無線タグ通信部36が常に無線タグ45と通信を行える状態になっている場合は無くてもよい。
【0037】
<X線照射検出手段>
X線照射検出手段39は、X線照射部22からX線が照射されたことを検出するX線検出センサである。
【0038】
≪X線撮像素子4≫
図2に示すように、X線撮像素子4は、X線照射部22によって照射されて被写体S(図3参照)を通過したX線を検出することで、X線画像情報を取得する素子である。X線撮像素子4は、イメージングプレートIPや、フィルム等から成る。X線撮像素子4は、台紙41と、輝尽性発光体層42(X線画像情報取得部)と、磁性体44(磁性体層)と、無線タグ45と、金属層43(金属箔)と、を備えている。
【0039】
<イメージングプレート>
図4に示すように、イメージングプレートIPは、前記した台紙41と、X線画像情報取得部42と、から成る。イメージングプレートIPの背面(後面)側には、金属層43と、磁性体44と、無線タグ45と、が順に積層状態に設けられている。
【0040】
<台紙>
台紙41は、表面側(前面側)に輝尽性発光体層42を装着し、裏面(後面)側に金属層43を装着した板部材である。
【0041】
<輝尽性発光体層>
輝尽性発光体層42(X線画像情報取得部)は、X線を画像情報に変換する部材である。輝尽性発光体層42は、X線画像情報を取得するX線画像情報取得部としての機能を有している。
【0042】
<金属層>
金属層43は、X線撮影される撮影面(輝尽性発光体層42)から無線タグ45へのRFID電波を遮断して通信できなくするための部材である。金属層43は、例えば、金属箔から成る。金属層43は、台紙41及び磁性体44を介在して、輝尽性発光体層42と無線タグ45との間に配置されている。
【0043】
<磁性体>
磁性体44(磁性体層)は、RFID電波と金属との干渉を防ぐ機能を有している。つまり、磁性体44は、背面(後面)からのRFID電波をシート状の磁性体44で金属干渉を行われないようにして通信可能にする。磁性体44は、金属層43と無線タグ45の間に介在されている。
【0044】
<無線タグ>
図1及び図4に示す無線タグ45は、X線撮影用補助具3の姿勢を検出する姿勢検出手段34からの姿勢情報を記憶するためのICタグである。無線タグ45は、例えば、RFIDから成る。無線タグ45は、X線撮像素子4において、金属層43を挟んで輝尽性発光体層42と反対の面に設けられている。
【0045】
≪情報読取装置≫
図1に示す情報読取装置6は、X線撮像素子4のX線画像情報を読み取るためのX線画像読取装置である。情報読取装置6は、例えば、イメージングプレートIPの背面にあるRFID情報を読み込むRFIDリーダを備えたIPスキャナから成る。情報読取装置6は、画像スキャンと同時にX線撮影時に、X線撮像素子4の無線タグ45に記録した情報を読み込む。情報読取装置6は、出力情報読取部61(情報読取部)と、X線画像情報読取部62と、情報通信部63と、を備えて構成されている。
【0046】
<出力情報読取部>
出力情報読取部61(情報読取部)は、無線タグ45に記憶された少なくともX線撮影用補助具3の姿勢情報を読み取るための読取装置である。出力情報読取部61は、例えば、RFIDリーダから成る。
ここで、出力情報とは、X線画像に付随する情報であり、姿勢情報、使用器具情報の他、撮影条件に関する情報が含まれる。
【0047】
<X線画像情報読取部>
X線画像情報読取部62は、X線撮像素子4に記録されたX線画像情報を読み取る読取装置である。X線画像情報読取部62は、例えば、IPスキャナから成る。
【0048】
<情報通信部>
情報通信部63は、情報読取装置6に配置された通信手段である。情報通信部63は、出力情報読取部61及びX線画像情報読取部62で読み取ったX線撮影用補助具3の姿勢情報、及び、X線画像情報(X線画像)を情報端末7へ送信する送信装置から成る。情報通信部63は、有線式のものでも、無線式のものでもどちらでもよい。
【0049】
≪情報端末≫
情報端末7は、例えば。パソコン等の端末装置である。情報端末7は、通信部71と、X線画像整列処理部72と、患者情報記憶部73(内部記憶部)と、歯列類推部74と、患者情報呼出部75と、出力情報処理部76(情報処理部)と、画像情報処理部77と、表示装置(図示せず)等を備えた制御装置から成る。
【0050】
<通信部>
通信部71は、X線撮影用補助具3の姿勢情報、及び、X線画像情報(X線画像)を受信する受信装置である。通信部71は、情報端末7に備えられた通信手段から成る。通信部71は、例えば、情報読取装置6で読み取った情報を情報端末7で受信する装置、及び、外部のデータベースと通信を行う装置である。通信部71は、有線式のものでも、無線式のものでもどちらでもよい。
【0051】
<X線画像整列処理部>
X線画像整列処理部72は、歯列類推部74での類推に基づいて、X線撮影したX線画像を取得して整列させるように構成されている。
【0052】
<患者情報記憶部>
患者情報記憶部73(内部記憶部)は、それぞれの患者の各種情報を記録する装置である。患者情報記憶部73は、例えば、RAMやROMから成る。患者情報記憶部73には、患者情報を取得するための動作プログラムがインストールされている。
【0053】
<歯列類推部>
図1に示すように、歯列類推部74は、使用されたX線撮影用補助具3に関する使用器具情報、及び、X線撮影用補助具3の姿勢情報を用いて、X線撮影された歯列の箇所を類推する装置である。
なお、歯列類推部74は、使用器具情報及び姿勢情報を用いる代わりに、X線画像の特徴点を用いて歯列類推を行い、X線画像を整列させてもよい。
X線画像の特徴点を用いて歯列類推を行う方法として、各歯列の箇所のX線画像を学習データとする教師あり学習による分類や深層学習を用いる方法がある。
【0054】
<患者情報呼出部>
患者情報呼出部75は、情報端末7は、X線撮影の対象の患者に関する患者情報を記憶した内部記憶部73または外部データベース8から患者情報を呼び出すように構成されている。
【0055】
<出力情報処理>
出力情報処理部76(情報処理部)は、受信したX線撮影用補助具3の姿勢情報及びX線画像情報(X線画像)と、患者情報呼出部75によって呼び出された患者情報と、を関連付けて内部記憶部73または外部データベース8に記録する。
【0056】
<画像情報処理部>
画像情報処理部77は、X線撮影用補助具3の姿勢情報と、X線画像情報と、を関連付けるための処理を行うように構成されている。
なお、画像情報処理部77は、図1及び後記する図11Bでは情報端末7に設置した場合を例に挙げて図示してあるが、情報端末7または情報読取装置6にいずれかにあればよく、情報読取装置6にあってもよい。
【0057】
<表示装置>
表示装置(図示省略)は、X線画像情報(X線画像)を表示したり、種々のデータ等を表示したりする液晶ディスプレイ等のモニタである。
【0058】
≪外部データベース≫
外部データベース8は、サーバ(図示省略)に記録された患者のリストや、それぞれの患者の各種情報等が記憶されている装置である。外部データベース8は、情報端末7からアクセスしてデータを取得可能になっている。
【0059】
≪作用≫
次に、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具3及びX線撮影システム1の作用を説明する。
まず、図2に示すように、X線撮像素子4をX線撮影用補助具3のX線撮像素子支持部33にセットする。X線撮影用補助具3に取り付けられるX線撮像素子4は、図4に示すように、イメージングプレートIPの背面(後面)に金属層43(金属箔)と、磁性体44(磁性体層)と、無線タグ45と、を設けている。このため、X線撮像素子4がX線撮像素子支持部33に裏向きに取り付けられている場合、X線撮像素子4は、表面(前面)側の輝尽性発光体層42(X線画像情報取得部)からのRFID電波が金属層43との干渉によって遮断されて、無線タグ通信部36と通信できなくなる。しかし、X線撮像素子4がX線撮像素子支持部33に表向きに取り付けられている場合、X線撮像素子4は、背面(後面)側からのRFID電波は、磁性体44によって金属干渉が行われないから、無線タグ通信部36と通信可能である。
【0060】
X線撮像素子4は、このように背面(後面)側からの通信を可能にし、表面(前面)側のからの通信をできなくすることで、X線撮像素子4の表裏の間違いを検知することができるため、X線撮像素子4を裏表反対に取り付けるのを防止することができる。
このようにして、図2に示すように、X線撮像素子4をX線撮影用補助具3に正しく取り付けて、デンタルレントゲン2でX線撮影をする。このとき、X線撮像素子4でX線を検出する。その際、無線タグ45に、使用されたX線撮影用補助具3の種類と、姿勢検出手段34によって検出したX線撮影用補助具3の傾き角度と、を記録する。
【0061】
次に、情報読取装置6によって、X線画像とRFID情報とを読み取る。これにより、X線撮影に使用されたX線撮影用補助具3の種類と、撮影時のX線撮影用補助具3の角度とによって、デンタルレントゲン2でX線撮影した部位を特定することができる。このため、X線撮影後、どの歯牙TをX線撮影したのか分かり難いという問題点を解消することができる。
【0062】
このように、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具3は、図2図3あるいは図1に示すように、X線を発生するX線源のX線照射部22を位置合わせするための位置合わせ部31と、位置合わせ部31からX線照射方向に延設された支持アーム32と、支持アーム32の先端に設けられて、X線照射部22により照射されて被写体Sを通過したX線によるX線画像情報を口腔C内で取得するX線撮像素子4を着脱自在に支持するX線撮像素子支持部33と、を備えたX線撮影用補助具3において、X線撮像素子支持部33は、X線撮像素子4の裏表を逆に取り付けることを防止するための誤取付防止手段30を備えている。
【0063】
かかる構成によれば、X線撮影用補助具3は、X線撮像素子4の裏表を逆に取り付けることを防止するための誤取付防止手段30をX線撮像素子支持部33に備えている。このため、X線撮影用補助具3は、イメージングプレートIPを使用してX線撮影した場合に、X線撮像素子4の輝尽性発光体層42側がX線照射側に向いているのを確認することができるので、どこの部位を撮影したX線画像か容易に判断することができる。したがって、X線撮影用補助具3は、X線画像を裏表逆に撮ってしまうこと(X線撮影した画像が左右反転すること)を防止することができる。
【0064】
また、X線撮像素子支持部33は、X線撮像素子4の無線タグ45と通信を行う無線タグ通信部36を有している。
【0065】
X線撮像素子支持部33は、無線タグ通信部36を有することで、X線撮像素子4の無線タグ45と通信を行って情報のやり取りをすることができる。
【0066】
また、X線撮影用補助具3は、誤取付防止手段30による誤取付防止に関する結果を報知する報知手段37と、X線撮像素子4の無線タグ45と通信を行う無線タグ通信部36と、をさらに有し、誤取付防止手段30は、X線撮像素子4が裏向きに取り付けられる場合に、無線タグ通信部36と、X線撮像素子4に設けられた無線タグ45と、が通信を行うことをできなくする。
【0067】
かかる構成によれば、誤取付防止手段30は、X線撮像素子4が裏向きに取り付けられる場合に、無線タグ通信部36と、無線タグ45と、が通信を行うことをできなくすることで、X線画像を裏表逆に撮ってしまうのを防止することができる。
【0068】
また、X線撮影用補助具3は、X線撮影用補助具3の姿勢を検出する姿勢検出手段34をさらに有し、無線タグ通信部36は、X線撮像素子4に備えた無線タグ45に少なくとも姿勢検出手段34からの姿勢情報を書き込むための書込手段36aを備えている。
【0069】
かかる構成によれば、無線タグ通信部36は、書込手段36aを備えていることで、無線タグ45に姿勢検出手段34で検出した姿勢情報を書き込んで記憶させることができる。
【0070】
また、図1に示す書込手段36aは、使用されたX線撮影用補助具3に関する使用器具情報を無線タグ45に書き込む。
【0071】
かかる構成によれば、書込手段36aは、X線撮影用補助具3に関する使用器具情報を無線タグ45に書き込むことで、X線撮影したい箇所に応じて使用器具の種類が変わるので、歯列のどこの部位を撮影したかを把握することができる。これにより、書込手段36aは、X線撮影したX線画像を自動整列するのに用いる情報として書き込むことが可能である。
【0072】
また、図1に示すように、X線撮影用補助具3は、X線照射部22からX線が照射されたことを検出するX線照射検出手段39をさらに備え、X線照射検出手段39が、X線が照射されたことを検出したときに、書込手段36aは、無線タグ45に前記姿勢情報を書き込む。
【0073】
かかる構成によれば、書込手段36aは、X線照射部22から照射されたX線をX線照射検出手段39で検出したときに、無線タグ45に姿勢情報を書き込むことができる。
【0074】
また、本発明の実施形態に係るX線撮影システム1は、図1に示すように、X線撮影用補助具3と、X線撮像素子4と、情報読取装置6と、情報端末7と、を備えたX線撮影システム1において、X線撮像素子4は、X線撮影用補助具3の姿勢を検出する姿勢検出手段34からの姿勢情報を記憶するための無線タグ45と、X線画像情報を取得するX線画像情報取得部42と、を有し、情報読取装置6は、無線タグ45に記録された少なくとも姿勢情報を読み取るための出力情報読取部61(情報読取部)と、X線撮像素子4に記録されたX線画像情報を読み取るX線画像情報読取部62と、出力情報読取部61及びX線画像情報読取部62で読み取った姿勢情報及びX線画像情報(X線画像)を情報端末7へ送信する情報通信部63と、を有し、情報端末7は、姿勢情報及びX線画像情報(X線画像)を受信する通信部71を有し、情報読取装置6及び情報端末7の少なくとも何れか一方は、姿勢情報とX線画像情報(X線画像)を関連付ける画像情報処理部77を有する。
【0075】
かかる構成によれば、X線撮影システム1は、情報読取装置6及び情報端末7の一方が、姿勢情報とX線画像情報(X線画像)を関連付ける画像情報処理部77を有することで、姿勢情報をX線画像情報と関連付けて情報端末7に送ることで、術者が容易に上顎または下顎をX線撮影したかを判断することができる。これにより、本発明は、イメージングプレートIPを使用してX線撮影した場合に、どこの部位を撮影したX線画像か容易に判断することができると共に、X線撮影用補助具3を使用してX線撮影した部位を容易に把握することができるX線撮影用補助具3及びX線撮影システム1を提供することができる。
【0076】
また、図1に示すように、情報端末7は、X線撮影の対象の患者に関する患者情報を記憶した内部記憶部73または外部データベース8から患者情報を呼び出す患者情報呼出部75と、受信した姿勢情報及びX線画像情報(X線画像)と患者情報呼出部75によって呼び出された患者情報とを関連付けて内部記憶部73または外部データベース8に記録する情報処理部76と、を有する。
【0077】
かかる構成によれば、情報端末7は、情報処理部76を有することで、受信した姿勢情報及びX線画像情報と、患者情報呼出部75によって呼び出された患者情報と、を関連付けて整理して、内部記憶部73または外部データベース8に記録することができる。このため、情報端末7は、記録した多くの患者のX線画像情報(X線画像)、及び、X線撮影用補助具3の姿勢情報を、患者ごとに整理した状態で記録して呼び出すことができるので、後でデータを再度確認するときに確認し易くすることができる。
【0078】
また、無線タグ45(図3参照)は、RFIDである。
【0079】
かかる構成によれば、無線タグ45は、電池を内蔵し電波を発し、長距離で通信できるRFIDタグから成ることで、無線通信によって情報をやり取りすることが可能となる。
【0080】
また、図1に示すように、情報端末7は、使用されたX線撮影用補助具3に関する使用器具情報及び姿勢情報を用いて、X線撮影された歯列の箇所を類推する歯列類推部74と、歯列類推部74の類推に基づいてX線画像を整列させるX線画像整列処理部72と、を有する。
【0081】
かかる構成によれば、情報端末7の歯列類推部74は、X線画像整列処理部72を有することで、X線撮影された歯列の箇所を類推したデータに基づいてX線画像を整列させて整理することができるため、X線画像データを見易くすることができる。
【0082】
また、歯列類推部74は、さらにX線画像情報(X線画像)の特徴点を用いて類推を行い、X線画像を整列させる。
【0083】
かかる構成によれば、歯列類推部74は、X線画像情報(X線画像)の特徴点を用いて歯列類推を行ってX線画像を整列させることができるため、X線撮影されたX線画像データを見易くして、X線画像がどの歯牙Tか分かり易くすることができる。このため、使用器具情報及び姿勢情報がなくても、10枚(または14枚)の全てについて画像処理を行い、特徴点から10枚(または14枚)を自動整列することも可能となる。
【0084】
また、X線撮像素子4は、イメージングプレートIPであり、イメージングプレートIPは、X線を画像情報に変換する輝尽性発光体層42と、輝尽性発光体層42と反対の面に設けられた無線タグ45と、輝尽性発光体層42と無線タグ45との間に金属層43と、を備え、金属層43は、X線撮影される撮影面からの無線タグ45への電波を遮断する。
【0085】
かかる構成によれば、X線撮像素子4は、輝尽性発光体層42と無線タグ45との間に、金属層43を備えていることで、X線撮影される撮影面から無線タグ45への電波を遮断することができる。このため、X線撮像素子4は、遮断の有無でX線撮像素子4の表側にして配置したか、裏側にして配置したかを判定することができる。その結果、X線撮像素子4がX線撮影用補助具3に正しく取り付けられているか、表裏反対に取り付けられているが容易に分かるようにすることが可能である。
【0086】
また、金属層43と無線タグ45の間には、RFID電波と金属の干渉を防ぐ磁性体層(磁性体44)を有している。
【0087】
かかる構成によれば、X線撮像素子4は、金属層43と無線タグ45の間に、磁性体層(磁性体44)を有していることで、RFID電波と金属の干渉を防ぐことができる。
【0088】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図10Aは、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムの第1変形例を示す図で、使用器具情報、姿勢情報及び位置決め手段位置情報を使用して歯列類推する場合に使用されるX線撮影用補助具の斜視図である。図10Bは、上顎左側臼歯部及び下顎右側臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。図10Cは、上顎前歯を撮影するときのX線撮影用補助具の状態を示す説明図である。図10Dは、上顎左側小臼歯を撮影するときのX線撮影用補助具の状態を示す説明図である。図10Eは、上顎左側大臼歯を撮影するときのX線撮影用補助具の状態を示す説明図である。図10Fは、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具の第1変形例を示す図で、二種類のX線撮影用補助具を使用して歯列類推する場合の説明図である。図10Gは、使用器具及び位置情報と、X線画像の整列箇所との関係を示す説明図である。
【0090】
前記実施形態で説明したX線撮影用補助具3(図2参照)の支持アーム32は、図1図10A図10Bあるいは図10Fに示すX線撮影用補助具F,Gのように、支持アーム32F,32Gは、X線撮影用補助具F,Gの口腔C内での位置を決める位置決め手段32F1,32G1と、位置決め手段32F1,32G1を取り付ける位置決め手段取付穴32F3,32G3と、前記位置決め手段取付穴32F3a,32F3b,32F3c,32G3a,32G3b,32G3cを有する位置決め手段取付板32F2,32G2と、を備え、X線撮影用補助具F,Gは、位置決め手段32F1,32G1の位置を検出する位置決め手段位置検出手段(X線撮像素子検知部38)を備え、書込手段36aは、位置決め手段位置検出手段で検出した位置決め手段位置情報を無線タグ45に書き込むようにしてもよい。
【0091】
かかる構成によれば、図1図10Aあるいは図10Bに示すように、書込手段36aは、位置決め手段32F1,32G1の位置を検出する位置決め手段位置検出手段(X線撮像素子検知部38)で検出した位置決め手段位置情報を無線タグ45に書き込むので、X線画像を自動整列するのに用いる情報を記録させておくことが可能である。
【0092】
この場合、X線撮影用補助具Fと、X線撮影用補助具Gは、後記するように、二種類のX線撮影用補助具F,Gを使用して歯列類推する場合に使用される補助具である。X線撮影用補助具Fと、X線撮影用補助具Gは、図10A及び図10Bに示すように、左右線対称形状に形成されている。
【0093】
支持アーム32F,32Gは、平面視して略レ(L)字形状に形成されている。支持アーム32F,32Gの後端部には、左右方向に延びる載設部32Fa,32Gaを有している。載設部32Fa,32Gaには、X線撮像素子支持部33の基板部33aが載設されている。基板部33aには、位置決め手段取付板32F2,32G2が載設されている。基板部33aと後側突出片33dとは、一体でも別体でもよい。
【0094】
位置決め手段取付板32F2,32G2には、適宜な間隔で三つの位置決め手段取付穴32F3a,32F3b,32F3c,32G3a,32G3b,32G3cが形成されている。位置決め手段取付穴32F3a,32F3b,32F3c,32G3a,32G3b,32G3cには、位置決め手段32F1,32G1の下面に突設された挿着部(図示省略)が挿着される。
【0095】
図10Cに示すように、位置決め手段取付穴32F3a,32G3a(図10B参照)は、X線撮影用補助具F,Gを使用して前歯を測定する際に、位置決め手段32F1,32G1が取り付けられる前歯測定位置の上顎位置情報は「0」(図10F及び図10G参照)である。
図10Dに示すように、位置決め手段取付穴32F3b,32G3b(図10B参照)は、X線撮影用補助具F,Gを使用して小臼歯を測定する際に、位置決め手段32F1,32G1が取り付けられる小臼歯測定位置の上顎位置情報は「1」(図10F及び図10G参照)である。
図10Eに示すように、位置決め手段取付穴32F3c,32G3c(図10B参照)は、X線撮影用補助具F,Gを使用して大臼歯を測定する際に、位置決め手段32F1,32G1が取り付けられる大臼歯測定位置の上顎位置情報は「2」(図10F及び図10G参照)である。
なお、位置決め手段取付板32F2,32G2と弾性支持片33cは、一体でも別体でもよい。
【0096】
位置決め手段32F1,32G1は、ゴム、発泡スチロール等の弾性体によって直方体に形成されている。図10C図10Eに示すように、位置決め手段32F1,32G1は、前歯等で噛むことによって、口腔C内の所定の撮影位置に位置決めすることができるようになっている。
【0097】
なお、X線撮影用補助具F及びX線撮影用補助具Gには、位置決め手段32F1,32G1の取付位置を検出する不図示の位置決め手段位置検出手段(X線撮像素子検知部38(図1参照))が設けられており、位置決め手段位置検出手段によって位置決め手段位置検出手段の位置情報が検出可能になっている。
【0098】
次に、無線タグ45(図1参照)に書き込まれたX線撮影用補助具F及びX線撮影用補助具Gの使用器具情報と、姿勢検出手段34(図1参照)からの姿勢情報と、位置決め手位置検出手段(X線撮像素子検知部38(図1参照))による位置決め手段位置情報と、を使用して歯列類推する場合を説明する。
【0099】
X線撮影用補助具Fを使用して上顎前歯を撮影する場合は、図10Cに示すように、位置決め手段32F1を上顎の前歯で噛んだ状態で、デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影する。
X線撮影用補助具Fを使用して上顎左側小臼歯を撮影する場合は、図10Dに示すように、位置決め手段32F1を位置決め手段取付板32F2の中央部に取り付け後、位置決め手段32F1を上顎の前歯で噛んだ状態で、デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影する。
X線撮影用補助具Fを使用して上顎左側大臼歯を撮影する場合は、図10Eに示すように、位置決め手段32F1を位置決め手段取付板32F2の左側に取り付け後、位置決め手段32F1を上顎の前歯で噛んだ状態で、デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影する。
【0100】
このようにX線撮影用補助具Fを使用して上顎側を撮影する場合、上顎前歯と、上顎左側小臼歯と、上顎左側大臼歯とに対して、X線撮影用補助具Fの位置をずらして位置決め手段32F1の位置を変えて、デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影する。
【0101】
さらに、X線撮影用補助具Fを使用して下顎側を撮影する場合、図10F及び図10Gに示すように、X線撮影用補助具Fを上下反転させて、下顎前歯と、下顎右側小臼歯と、下顎右側大臼歯とに対して、X線撮影用補助具Fの位置をずらして位置決め手段32F1の位置を変えて、デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影する。
【0102】
そして、図10F及び図10Gに示すように、X線撮影用補助具G(図10B参照)を使用して上顎側を撮影する場合、上顎右側小臼歯と、上顎右側大臼歯とに対して、X線撮影用補助具Gの位置をずらして位置決め手段32F1の位置を変えて、デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影する。さらに、X線撮影用補助具Gを使用して下顎側を撮影する場合、X線撮影用補助具Gを上下反転させて、下顎肥左側小臼歯と、下顎左側大臼歯とに対して、X線撮影用補助具Gの位置をずらして位置決め手段32F1の位置を変えて、デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影する。
【0103】
このように使用器具情報、姿勢情報及び位置決め手段位置情報を使用して歯列類推する場合、前記実施形態と同様、使用器具情報は、3種類になるが、X線撮影用補助具F及びX線撮影用補助具Gの咬合用のバイトブロックの位置を位置情報として活用することで、10枚法の画像の自動整列が可能となる。また、14枚法の場合は、バイトブロック位置決め用の孔を増やすことで対応ができる。なお、前歯の撮影には、X線撮影用補助具Fを使用した場合を説明したが、X線撮影用補助具Fと、X線撮影用補助具Gとのどちらの器具を使用してもよい。
【0104】
なお、デンタル撮影では、図10Gに示すように、口腔C内の全ての歯牙Tを10回で撮影する10枚法と、14回で撮影する14枚法がある。10枚法及び14枚法の撮影では、10枚(または14枚)のIPを用意して、10枚(または14枚)連続で撮影を行い、撮影したIPの画像情報を読み取り、各画像情報を情報端末7に取り込んだ後、テンプレートに合わせて画像を(主に手動で)整列させる。
この整列に際し、画像情報がどの部位の画像情報であるかを判断する必要がある。しかし、上顎右側臼歯、上顎左側臼歯、下顎右側臼歯、下顎左側臼歯などの判断は難しいため、歯列類推を行うことで、自動整列を行ったり、または、自動整列を助けたりすることが可能となる。
【0105】
また、図1に示す歯列類推部74は、位置決め手段32F1,32G1の位置を検出する位置決め手段位置検出手段(X線撮像素子検知部38)で検出した位置決め手段位置情報を用いて類推を行い、X線画像を整列させるようにしてもよい。
【0106】
かかる構成によれば、歯列類推部74は、X線画像を整列させることで、X線画像がどの歯牙Tであるか分り易くすることができる。
【0107】
[第2変形例]
図11Aは、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムの第2変形例を示す図であり、X線撮像素子を示す要部拡大概略断面図である。図11Bは、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムの第2変形例を示すブロック図である。
【0108】
前記実施形態で説明したX線撮像素子4(図4参照)は、図11A及び図11Bに示すX線撮像素子4Bのように、金属層43及び磁性体44の代わりに、磁石46(磁石層)設けたものであってもよい。つまり、誤取付防止手段30Bは、X線撮像素子4Bが裏向きに取り付けられる場合に、X線撮像素子4Bに設けられた磁石46と反発する磁石35である。
【0109】
この場合、磁石35(誤取付防止手段30)は、X線撮像素子4が裏向きに取り付けられる場合に、X線撮像素子4Bに設けられた磁石46と反発するように配置されて、磁石35が反発するか否かによって誤取付を防止している。
【0110】
磁石46(磁石層)は、X線撮影用補助具3のX線撮像素子支持部33に設けた磁石35(図11B参照)と輝尽性発光体層42側からは反発し、無線タグ45側からは引き合う部材である。磁石46は、金属層43と無線タグ45の間に介在されている。
X線撮像素子4Bは、台紙41と輝尽性発光体層42とから成るイメージングプレートIPと、無線タグ45との間に、磁石46(磁石層)を設けて、X線撮像素子4Bを裏向きに配置した場合に、X線撮像素子4Bの磁石46を、X線撮影用補助具3の磁石35の磁力に反発するように設置している。
【0111】
かかる構成によれば、X線撮影用補助具3に磁石35を組み込むと共に、イメージングプレート(IP)に磁石46を組み込むことで、イメージングプレートIPが裏向きに取り付けられるときに、磁石46と反発してセットできないので、イメージングプレートIPが裏向きであることが分る。また、イメージングプレートIPが表向きに取り付けられるときには、磁石35と磁石46とが吸引し合うので、イメージングプレートIPが表向きであることが分る。また、その結果、イメージングプレートIPを反対向きにセットされるのを解消することができるので、X線画像を裏表逆に撮ってしまうことを防止することができる。
【0112】
また、金属層43と無線タグ45の間には、磁石層(磁石46)を備え、磁石層は、X線撮影用補助具3に設けた磁石35と輝尽性発光体層42側からは反発し、無線タグ45側からは引き合うようにしてもよい。
【0113】
かかる構成によれば、X線撮像素子4Bは、金属層43と無線タグ45の間に、磁石層(磁石46)を備えていることで、磁石層が磁石35と輝尽性発光体層42側からは反発し、無線タグ45側からは引き合う。このため、X線撮像素子4Bは、磁石層を、磁石35及び輝尽性発光体層42側を表側にして配置したか、無線タグ45側を表側にして配置したか判別することができる。
【0114】
[その他の変形例]
前記実施形態では、三種類のX線撮影用補助具3A,3B,3C(図3参照)を説明し、第1変形例では二種類のX線撮影用補助具F,G(図10A及び図10B参照)を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、三種類のX線撮影用補助具3A,3B,3C(図3参照)と、二種類のX線撮影用補助具F,G(図10A及び図10B参照)との合計五種類のX線撮影用補助具を使用して歯列類推してもよい。
【0115】
この場合、X線撮影用補助具3A,3B,3C,F,Gの使用器具情報が5種類、姿勢検出手段34による姿勢情報が二種類(上下)なので、合計10箇所の判別ができるようになる。デンタルレントゲン2(図1及び図2参照)で撮影した歯牙Tの画像が10箇所のいずれかの画像情報であるかが分かるため、使用器具情報と姿勢情報から10枚を自動整列させることが可能となる。
【0116】
図12Aは、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムのその他の変形例を示す図であり、上顎左側小臼歯部及び下顎右側小臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。図12Bは、本発明の実施形態に係るX線撮影用補助具及びX線撮影システムのその他の変形例を示す図であり、上顎右側小臼歯部及び下顎左側小臼歯部に使用されるX線撮影用補助具を示す斜視図である。
【0117】
また、X線撮影用補助具3は、さらに口腔内に容易に挿入できるようにするために、上顎左側小臼歯部及び下顎右側小臼歯部用X線撮影用補助具D(図12A参照)と、上顎右側小臼歯部及び下顎左側小臼歯部用X線撮影用補助具E(図12B参照)と、の二種類のX線撮影用補助具3を追加して使用してもよい。
つまり、前記した二種類のX線撮影用補助具F,Gは、図12A及び図12Bに示す二種類のX線撮影用補助具D,Eであってもよい。
【0118】
図12Aに示すX線撮影用補助具Dは、上顎左側小臼歯部及び下顎右側小臼歯部に使用され補助具である。図12Bに示すX線撮影用補助具Eは、上顎右側小臼歯部及び下顎左側小臼歯部に使用される補助具である。図12A及び図12Bに示すX線撮影用補助具D,Eは、図5及び図6に示す顎左側及び下顎右側臼歯用X線撮影用補助具3B及び上顎右側臼歯用X線撮影用補助具3Cと比較して、略V字状に折れ曲がって横方向に突出した支持アーム32D,32Eの形状が、小臼歯がある顎の形状に合わせて、支持アーム32B,32Cよりも、小さく形成されている。
【符号の説明】
【0119】
1 X線撮影システム
2 デンタルレントゲン
3,F,G X線撮影用補助具
3A 前歯用X線撮影用補助具
3B 上顎左側及び下顎右側臼歯用X線撮影用補助具
3C 上顎右側臼歯用X線撮影用補助具
4,4B X線撮像素子
6 情報読取装置
7 情報端末
8 外部データベース
22 線照射部
30,30B 誤取付防止手段
31 位置合わせ部
32,32A,32B,32C,32F,32G 支持アーム
32F1,32G1 位置決め手段
32F2,32G2 位置決め手段取付板
32F3,32G3 位置決め手段取付穴
33 X線撮像素子支持部
34 姿勢検出手段(誤取付防止手段)
35 磁石
36 無線タグ通信部
36a 書込手段
37 報知手段
38 X線撮像素子検知部(位置決め手段位置検出手段)
39 X線照射検出手段
42 X線画像情報取得部(輝尽性発光体層)
43 金属層
44 磁性体(磁性体層)
45 無線タグ
46 磁石(磁石層)
61 出力情報読取部(情報読取部)
62 X線画像情報読取部
63 情報通信部
71 通信部
72 X線画像整列処理部
73 内部記憶部
74 歯列類推部
75 患者情報呼出部
76 情報処理部
77 画像情報処理部
C 口腔
IP イメージングプレート
S 被写体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図11A
図11B
図12A
図12B