(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108230
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20220715BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20220715BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20220715BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652K
H01L29/78 653C
H01L29/78 652S
H01L29/78 652P
H01L29/78 652M
H01L29/06 301G
H01L29/78 655A
H01L29/44 Y
H01L29/44 S
H01L29/44 L
H01L29/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024493
(22)【出願日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】17/146,511
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108866
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】近藤 太郎
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104CC01
4M104CC05
4M104EE06
4M104EE12
4M104FF06
4M104FF10
4M104FF11
4M104GG09
4M104GG18
(57)【要約】
【課題】半導体装置の外周部及びその近辺の耐圧を上昇させる。
【解決手段】複数のトレンチ群101は、活性領域のトレンチ内部に設けられた絶縁層133と、絶縁層133内の上部に配設されたゲート電極137と、絶縁層133内の下部に設けられた第1のフィールドプレート135と、を有する。第1のトレンチ102は、活性領域の外側の外周領域に設けられる。第2のトレンチ153は、第1のトレンチ102の外側に設けられる。メサ部103は、第1と第2のトレンチ(102,153)の間に設けられる。第2及び第3のフィールドプレート(136,147)は、各々第1のトレンチ102、第2のトレンチ153の絶縁層内部に設けられる。メサ部103は第1の主電極と最も外側で電気的に接続される第2導電型の半導体領域を有する。第1のトレンチ102内の上部にゲート電極を有さない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上部に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上部に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域と電気的に接続する第1の主電極と、
前記第1半導体領域内の活性領域に設けられた複数のトレンチ群と、
前記活性領域の外側の外周領域に設けられた第1のトレンチと、
前記活性領域の外側の外周領域であって、前記第1のトレンチの外側に設けられた第2のトレンチと、
前記第1と第2のトレンチの間に設けられたメサ部と、
前記第1のトレンチの内部に設けられた第1の絶縁層と、
前記第2のトレンチの内部に設けられた第2の絶縁層と、
前記第1のトレンチの前記第1の絶縁層内部に設けられた第2のフィールドプレートと、
前記第2のトレンチの前記第2の絶縁層内部に設けられた第3のフィールドプレートと、を含み、
前記複数のトレンチ群の各々のトレンチは、
前記トレンチ内部に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層内の上部に設けられたゲート電極と、
前記絶縁層内の下部に設けられた第1のフィールドプレートと、を有し、
前記メサ部は前記第1の主電極と最も外側で電気的に接続される第2導電型の半導体領域を有し、
前記第1のトレンチは前記第1のトレンチ内の上部にゲート電極を有さないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1のトレンチ内の上部は絶縁層で充填されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3のフィールドプレートの上面の高さは、前記第2のフィールドプレートの上面の高さよりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3のフィールドプレートは、長手方向の複数の箇所で前記第1の主電極と接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置は、
前記第2のトレンチの外側に設けられた外周トレンチと、
前記外周トレンチの内部に設けられた第3の絶縁層と、
前記絶縁層内部に設けられた第4のフィールドプレートと、
前記外周トレンチと前記第2のトレンチの長手方向の複数個所で接続する第1の接続トレンチと、
前記第1の接続トレンチ内に絶縁層を介して設けられ、前記第3のフィールドプレートと前記第4のフィールドプレートとを接続する第5のフィールドプレートと、を更に含み、
前記第4のフィールドプレートは前記第1の主電極と接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、外周部及びその近辺の耐圧を上昇させることができる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大電流のスイッチング動作を行うパワー半導体装置として、トレンチゲート型のパワーMOSFETが広く用いられている。特許文献1には、MOSFETのゲートトレンチ内にゲート電極の下にフィールドプレート電極を設けた半導体装置が開示される。この装置によれば、ドリフト領域の不純物濃度を高めることができるため、オン抵抗を低減することができる。また、ゲート電極の下にフィールド電極を設けているので、ゲート入力電荷量Qgを高めることができる。さらに、MOSFETの周りの外周領域にはトレンチ内にフィールド電極を設けたトレンチ外周構造を設ける構造が開示される。
特許文献1に開示された装置においては、特許文献1の
図1に示す如く、外周領域300に複数のトレンチ110を有する。複数のトレンチ110の内部には、フィールドプレート電極130が設けられる。活性領域200に設けられたトレンチ100内部には、補助電極50及びゲート電極60が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された装置においては、ソース電極80と接続する最も外側の領域(すなわち、外周領域300のトレンチ110と、活性領域200の最も外側のトレンチ100との間の領域)下の空乏層は、トレンチ100とトレンチ110との間に入り込む場合がある。この場合、活性領域200の最も外側のトレンチ100の内部のゲート電極60と空乏層との距離が短くなるため、耐圧を十分に確保出来ない場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体装置の外周部及びその近辺の耐圧を上昇させることができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、1または複数の実施形態に係る半導体装置は、
第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上部に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上部に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域と電気的に接続する第1の主電極と、
前記第1半導体領域内の活性領域に設けられた複数のトレンチ群と、
前記活性領域の外側の外周領域に設けられた第1のトレンチと、
前記活性領域の外側の外周領域であって、前記第1のトレンチの外側に設けられた第2のトレンチと、
前記第1と第2のトレンチの間に設けられたメサ部と、
前記第1のトレンチの内部に設けられた第1の絶縁層と、
前記第2のトレンチの内部に設けられた第2の絶縁層と、
前記第1のトレンチの前記第1の絶縁層内部に設けられた第2のフィールドプレートと、
前記第2のトレンチの前記第2の絶縁層内部に設けられた第3のフィールドプレートと、を含み、
前記複数のトレンチ群の各々のトレンチは、
前記トレンチ内部に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層内の上部に設けられたゲート電極と、
前記絶縁層内の下部に設けられた第1のフィールドプレートと、を有し、
前記メサ部は前記第1の主電極と最も外側で電気的に接続される第2導電型の半導体領域を有し、
前記第1のトレンチは前記第1のトレンチ内の上部にゲート電極を有さないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、半導体装置の外周部及びその近辺の耐圧を上昇させることができる半導体装置を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、1または複数の実施形態に係る半導体装置の一部を示す上面図である。
【
図4】
図4は、
図1のB-B断面を示す図の他の実施形態である。
【
図8】
図8(a)及び(b)は、電位分布を模式的に示した断面図である。
【
図9】
図9(a)及び(b)は、電界分布を模式的に示した断面図である。
【
図10】
図10(a)及び(b)は、衝突電離を模式的に示した断面図であり、ブレークダウンポイントを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照しながら、1または複数の実施形態について詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付す場合がある。図面の記載は模式的なものであり、厚みと寸法の関係、各層の厚みの比率等は一例であり、発明の技術思想を限定するものではない。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる場合がある。以下の実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明するが、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合としてもよい場合がある。以下の説明で、部材の位置関係を説明する際に、「上部」、「下部」、「右側」、「左側」等は参照する図面の向きに基づいて必要に応じて使用されるが、発明の技術思想を限定するものではない。また、「上部」、「下部」、「右側」、「左側」等の説明は部材が接していなくて用いられる場合がある。また、方向について説明する際には、X軸、Y軸を図示する場合がある。ここで、主として断面図にて、「横方向」や「長さ方向」とは、図示のX方向またはX方向と反対方向を意味する場合がある。また、「高さ方向」とは、図示のY方向を意味する場合がある。また、「深さ方向」は図示のY方向と反対方向を意味する場合がある。
【0010】
図1は、1または複数の実施形態に係る半導体装置の一部を示す上面図である。この半導体装置は、半導体装置の外周部近傍には、活性領域を囲うように外周トレンチ154が設けられる。ここで、活性領域のトレンチ101の長手方向と垂直な方向(X方向)において、更に外側のトレンチとメサ部を形成する外側のトレンチ153と接続する第1の接続トレンチ105は、間隔をあけて複数設けられている。対象のメサ部103の外周部側には、トレンチ153が設けられる。トレンチ153は、対象のメサ部103を形成し、第1の接続トレンチ105と接続している。外周トレンチ154は、複数の第1の接続トレンチ105と接続している。複数の第1の接続トレンチ105は、トレンチ153に接続される。これら外周トレンチ154、第1の接続トレンチ105、トレンチ153は、同一の材質でもよく、一体形成されていてもよい。実施形態の半導体装置は、複数のトレンチ101の一部または全部を含む活性領域と、活性領域の周囲を囲む外周トレンチ154を含む外周領域と、を含む。活性領域は、トレンチ101の全部または一部を複数含むトレンチ群を有する。第2の接続トレンチ151は活性領域のトレンチ101の長手方向(Y方向)から続くトレンチの端を互いに接続するように設けられる。平面的に見て、複数の第3の接続トレンチ152は、トレンチ101の延長線上ではない場所に互いに間隔をあけて設けられ、接続トレンチ151と外周トレンチ154とを接続するように設けられる。また、第2の接続トレンチ151の端部はトレンチ153の端部と接続しており、全体として活性領域を取り囲んでいる。
【0011】
図2は、
図1のA-A断面図である。この半導体装置は、ドレイン領域116の上にドリフト領域113が設けられる。ドリフト領域113には、トレンチ102と、外周領域のトレンチ102より内側に設けられた1又は複数のトレンチ100と、ベース領域114が設けられる。これらトレンチ100,102、及び139の内部には、絶縁層133が充填される。トレンチ100に設けられた絶縁層133の内側には、フィールドプレート135及びフィールドプレート135と離間したゲート電極137が設けられる。トレンチ102に設けられた絶縁層133の内側には、フィールドプレート136が設けられるが、ゲート電極137が設けられていない。トレンチ139は、
図1に示す外周トレンチ154と、第1の接続トレンチ105と、対象のメサ部103を形成する外側のトレンチ153を含み、互いに連結している。トレンチ139に充填された絶縁層133の内部には、フィールドプレート141が設けられる。ここで、フィールドプレート142は、外周トレンチ154と、第1の接続トレンチ105と、外側のトレンチ153の各々の絶縁層133の内側に設けられたフィールドプレート(141、142、140)が互いに接続している。ここで、ドリフト領域113は、第1導電型半導体でもよく、ベース領域114は第2導電型半導体でもよく、ソース領域115は第1導電型半導体でもよく、ドレイン領域116は第1導電型半導体でもよい。なお、トレンチ102とトレンチ139間、トレンチ102とトレンチ100間、トレンチ100とトレンチ100との間には、ソース領域115は設けられていない。
【0012】
また、ベース領域114が設けられていないドリフト領域113の一部の領域、トレンチ139内のフィールドプレート142、トレンチ102内のフィールドプレート136、ゲート電極137及びベース領域114の上部には、層間絶縁膜117が設けられる。層間絶縁膜117上部には、ソース電極111が設けられる。ここで、ソース電極111は、層間絶縁膜117に設けられたコンタクト孔143を介してソース領域115、ベース領域114、及びフィールドプレート142と電気的に接続される。ソース電極111の上部には、第1保護膜119が設けられ、その上部には、第2保護膜121が設けられる。
【0013】
ここで、ソース電極111がベース領域114と接続している最も外側のメサ部103を形成する内側のトレンチ(メサトレンチ)102の内部はフィールドプレート136のみが設けられている。換言すれば、他の外周領域のトレンチ100の内部は、絶縁層133が設けられ、絶縁層133の内側には、フィールドプレート135及びゲート電極137が設けられる。一方、ソース電極111がベース領域114と接続している最も外側のメサ部103を形成する内側のトレンチ102の内側はゲート電極137が設けられていない。
図2で示すように、ソース電極111がベース領域114等の第2導電型の半導体領域と接続している最も外側のメサ部103では、それよりも内側のメサ部103に比べて、空乏層161がメサ部内の上方へと入り込むような状態となるが、ゲート電極137が設けられていないことで、空乏層161とゲート電極との距離を確保することができる。よって、トレンチ102付近における電界集中を抑制し、耐圧悪化を抑制することができる。
【0014】
図3は、
図1のB-B断面図である。
図3の断面図は、層間絶縁膜117等の上面のソース電極111や第1保護膜119等は省略してある。この半導体装置は、ドリフト領域113には、外周領域のトレンチ100と、活性領域のトレンチ101と、ソース領域115と、外周トレンチ154とトレンチ102と外側のトレンチ153で挟まれた対象のメサ部103とを有する。活性領域のソース領域115はトレンチ101間に設けられ、トレンチ101間に設けられた層間絶縁膜117の孔又は溝を通じてソース電極111及びベース領域114と電気的に接続されている。なお、外側のトレンチ153の外側に設けられた第2導電型半導体領域145は、ベース領域114と分離しており、フローティング電位となっている。
【0015】
ここで、トレンチ102の内部はフィールドプレート136のみが設けられており、ゲート電極が設けられていない。ゲート電極が設けられていないトレンチ102内のフィールドプレート136の上面の高さは、活性領域のトレンチ101内のフィールドプレート135の上面の高さとほぼ同じになっている。また、対象のメサ部103の外側のトレンチ153内のフィールドプレート147の上面の高さは、活性領域のトレンチ101内のフィールドプレート135の上面の高さとほぼ同じになっている。換言すれば、ゲート電極が設けられていないトレンチ102内並びに外側のトレンチ153内のフィールドプレート136、147の上面の高さをゲート電極の上面の高さ位までは設けられておらず、それらのトレンチ内の上部は絶縁層で埋められている。これにより、トレンチ102の側壁近傍で電界分布が密となることが緩和され、トレンチ102下部にあるブレークダウンポイントの電界も緩和される。これにより、半導体装置の耐圧を高めることができる。
【0016】
また、第1の接続トレンチ105内にはゲート電極137は設けられていない。さらに、レンチ153の長手方向(Y方向)に延伸する外周トレンチ154内のフィールドプレート141は層間絶縁膜117に設けられたコンタクト孔を介してソース電極111と接続している。外側のトレンチ153内のフィールドプレート147は変位電流が生じやすいが、変位電流はフィールドプレート147から第1の接続トレンチ内のフィールドプレート142を通りトレンチ154内のフィールドプレート141を通じてソース電極111へと流れる。これにより、トレンチ153の長手方向(Y方向)の端部からのみフィールドプレート135を引き上げる場合に比べてソース電極111に至るまでの変位電流が流れる道のりが短くなり、半導体装置の変位電流を小さくすることができる。
【0017】
図4は、
図1のB-B断面図の他の実施形態である。
図4の断面図は、層間絶縁膜117等の上面のソース電極111等は省略してある。この半導体装置は、ドリフト領域113には、外周領域のトレンチ100と、活性領域のトレンチ101と、ソース領域115と、外周トレンチ154とトレンチ102と外側のトレンチ153で挟まれた対象のメサ部103とを有する。トレンチ102の内部はフィールドプレート136のみが設けられており、ゲート電極が設けられていない。ここで、対象のメサ部103の外側のトレンチ153内のフィールドプレート147の上面の高さはトレンチ102内のフィールドプレート136の上面の高さよりも高くなっており、活性領域のトレンチ101内のゲート電極137の上面の高さとほぼ同じになっていてもよい。この構成によっても、トレンチ102の上部の電界が緩和され、トレンチ下部にあるブレークダウンポイントの電界も緩和され、外側のトレンチ153側の外周トレンチ154の側壁付近の電界も緩和される。これにより、耐圧を高めることができる。
【0018】
図5は、
図1のC-C断面図である。この半導体装置は、ドリフト領域113には、外周トレンチ154と、フィールドレート135、141、及びゲート電極137を含むトレンチ100と、トレンチ100端から外周側に延びる第2導電型半導体領域145と、を含む。ここで、第2導電型半導体領域145はベース領域114と分離しており、フローティング電位となっている。また、トレンチ100内部の点線の領域は、第2の接続トレンチ151に該当する。ここで、ゲート電極137がフィールドレート135よりも、外周側、すなわち、外周トレンチ154側まで延びていない。これにより、空乏層161とゲート電極137との距離を確保することができる。また、実施形態の半導体装置は、第2導電型半導体領域145を設けなくてもよい。ここで、活性領域のトレンチ101の断面も外周トレンチ154の断面と同じとなってもよい。
【0019】
図6は、
図1のD-D断面図である。この半導体装置は、ドリフト領域113には、フィールドプレート141を含むトレンチ152と、ベース領域114とを含む。トレンチ152内の点線は外周トレンチ154と第2の接続トレンチ151であり、各々のトレンチはトレンチ152と接続している。そして、外周トレンチ154と第2の接続トレンチ151内には絶縁層を介してフィールド電極141が設けられる。また、第2の接続トレンチ151内のフィールドプレートはトレンチ153内のフィールドプレート147と接続している。ここで、ベース領域114はトレンチ152の側面まで延伸している。そして、トレンチ152内のフィールドプレート142はベース領域114と対向する部分で削られており、L字型の断面となっている。なお、点線で囲まれた第2の接続トレンチ151内のフィールドプレートは、
図4で示した外側のトレンチ153内のフィールドプレート147の上面の高さと同じように、トレンチ102内のフィールドプレート136の上面の高さよりも高くしてもよく、活性領域のトレンチ101内のゲート電極137の上面の高さとほぼ同じになっていてもよい。
【0020】
図7は、
図1のE-E断面図である。この半導体装置は、ドリフト領域113には、外周トレンチ154と、第2の接続トレンチ151と、第2導電型半導体領域145と、ベース領域114とを含む。
【0021】
図8(a)及び
図8(b)は、電位分布を示す図であり、
図8(a)は、
図4に示すトレンチ153、155、および100付近の電位分布をシミュレーションした図である。
図8(a)中央のトレンチが、
図2のトレンチ102に該当する。すなわち、
図8(a)中央のトレンチ内部のフィールドプレートの上面の高さは、図面右側のトレンチ内のフィールドプレートの上面の高さとほぼ同じになっている。さらに、図面中央のトレンチ内には図面右側のトレンチ内と同じようなゲート電極が存在せず、絶縁膜で埋められている。一方、比較例の
図8(b)中央のトレンチ内部のフィールドプレートの上面の高さは、図面右側のトレンチ内のフィールドプレートの上面の高さよりも高く、ゲート電極の上面の高さとほぼ同じになっている。
図8(a)の中央のトレンチ側壁の絶縁層133付近の電位線の集中が
図8(b)の中央のトレンチ側壁の絶縁層133付近の電位線の集中と比較して疎になっているのがわかる。以上から、1または複数の実施形態に係る半導体装置によれば、外周部及びその近辺の耐圧を上昇させることができる。
【0022】
図9(a)及び
図9(b)は、
図8(a)及び
図8(b)と同じ構造において電界分布を示す図である。
図9(a)の中央のトレンチのゲート電極及びフィールドプレートを設けておらず絶縁層で埋まった領域内(
図9(a)のPで示す領域付近)の電界強度が、
図9(b)の中央のトレンチの側壁の絶縁層内(
図9(b)のQで示す絶縁層付近)の電界強度と比較して低くなっていることがわかる。
【0023】
図10(a)及び
図10(b)は、
図8(a)及び
図8(b)と同じ構造においてブレークダウンポイントを示す図である。
図10(b)は、左側のトレンチ底部でブレークダウンが生じており、そのインパクトも大きい値を示すが、
図10(a)は、右側のトレンチ底部でブレークダウンが生じており、そのインパクトは
図10(b)に比べて小さい値を示している。
【0024】
以上説明した通り、上記の1または複数の実施形態においては、トレンチ102内の上部に電極を設けないことにより、耐圧を向上させることができる。
【0025】
上述の1または複数の実施形態はMOSFET (Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulate Gate Bipolar Transistor)を含む半導体装置に適用可能である。
【0026】
上記のように実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものではなく、当業者は様々な代替実施形態、実施形態及び運用技術が明らかとなろう。このように、本発明はここでは記載されていない様々な実施形態等を含む。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によって定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、特にパワー半導体装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
100,101,102,139 トレンチ
103 対象のメサ部
105 第1の接続トレンチ
111,115 ソース領域
113 ドリフト領域
114 ベース領域
116 ドレイン領域
117 層間絶縁膜
121 第2保護膜
133 絶縁層
135,136,140,141,142,147 フィールドプレート
137 ゲート電極
143 コンタクト孔
145 第2導電型半導体領域
151 第2の接続トレンチ
153,154 外周トレンチ
161 空乏層