IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウエストレイク・ファーマシューティカル・(ハンヂョウ)・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特開2022-108241プロテアーゼ阻害剤、その調製、および使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108241
(43)【公開日】2022-07-25
(54)【発明の名称】プロテアーゼ阻害剤、その調製、および使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 217/26 20060101AFI20220715BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 11/16 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220715BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220715BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220715BHJP
   A61K 31/472 20060101ALI20220715BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20220715BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20220715BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20220715BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20220715BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20220715BHJP
   C12N 9/99 20060101ALN20220715BHJP
   C12N 7/06 20060101ALN20220715BHJP
【FI】
C07D217/26 CSP
A61P31/12 ZNA
A61P11/00
A61P11/16
A61P29/00
A61P11/14
A61P21/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P1/12
A61P25/00
A61P43/00 111
A61K31/496
A61K31/472
C07D401/06
A61K31/4725
C07D401/12
C07D487/04 137
C07D491/107
C12N9/99
C12N7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】44
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021055886
(22)【出願日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/071256
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522207198
【氏名又は名称】ウエストレイク・ファーマシューティカル・(ハンヂョウ)・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WESTLAKE PHARMACEUTICAL (HANGZHOU) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】于 洪 涛
(72)【発明者】
【氏名】胡 奇
(72)【発明者】
【氏名】黄 晶
(72)【発明者】
【氏名】王 廷 亮
(72)【発明者】
【氏名】侯 寧 可
(72)【発明者】
【氏名】張 莉 ▲ジン▼
(72)【発明者】
【氏名】張 文 芸
(72)【発明者】
【氏名】譚 巧 珠
【テーマコード(参考)】
4B065
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065BD13
4B065BD34
4B065CA44
4C050AA04
4C050BB04
4C050CC04
4C050CC16
4C050EE01
4C050EE02
4C050FF01
4C050FF05
4C050GG01
4C050GG04
4C050HH04
4C063AA01
4C063BB04
4C063BB09
4C063CC15
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD08
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC30
4C086BC50
4C086CB03
4C086CB22
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZA59
4C086ZA60
4C086ZA62
4C086ZA73
4C086ZA94
4C086ZB11
4C086ZB33
4C086ZC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】SARS-CoV-2 3CLproなどのプロテアーゼの非共有結合性阻害剤、ならびにこれらの阻害剤の調製および使用を提供すること。
【解決手段】本開示は、式Iの化合物、それを含む組成物、ならびにコロナウイルスにより引き起こされる疾患および/または疾患の症状の処置における使用を含めて、それを使用する方法を提供する。

【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式I:
【化1】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Arは、フェニルまたは6員のヘテロアリールであり、
環Aは、9員または10員のヘテロアリールであり、ここで、
、V、V、およびVは、各々、不在であるか、-CH-、またはNであり、ここで、
、V、V、およびVの1つ以下が不在であり得、
、W、W、およびWの1つが不在である場合、V、V、V、およびVはいずれも、不在であり得ず、
、W、W、およびWは、各々、不在であるか、-CH-、またはNであり、ここで、
、W、W、およびWの1つ以下が不在であり得、
、W、W、およびWの少なくとも1つは、Nでなければならず、
Xは、不在であるか、-NR-、または-NR(CR-であり、
Yは、不在であるか、C~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、または5員から10員のヘテロアリールであり、ここで、Yの前記C~C12カルボシクリル、Yの前記3員から12員のヘテロシクリル、およびYの前記5員から10員のヘテロアリールは、各々、o個のR基で置換されており、
Zは、不在であるか、-NR-、-(CRNR-、または-C(=O)NR(CR-であり、ここで、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
、R、R、およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、およびC~Cアルコキシから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、C~Cアルコキシ、および-C(=O)NRから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、ここで、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
a、b、およびcは、各々独立して、1、2、3、および4から選択される整数であり、
、R、およびRは、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NR、-NRS(=O)、-NO、-NO 、-NH(=O)OH、-OR、-OC(=O)R、-OC(=O)OR、-OC(=O)NR、-S(=O)、-S(=O)NR、-SO 、C~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、フェニル、および5員から10員のヘテロアリールから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つの前記C~Cアルキル、前記C~Cアルケニル、および前記C~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)の前記C~Cアルキルは、各々、ハロゲン、シアノ、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NR、-NRS(=O)、-OR、-OC(=O)R、-OC(=O)OR、-OC(=O)NR、-S(=O)、-S(=O)NR、C~Cシクロアルキル、および1から3個のハロゲン原子で任意選択で置換されているフェニルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
、R、およびRのいずれか1つの前記C~C12カルボシクリル、前記3員から12員のヘテロシクリル、前記フェニル、前記5員から10員のヘテロアリールは、各々、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、-NR、および-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
、R、およびRは、各出現について、水素、C~Cアルキル、およびC~Cシクロアルキルから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つの前記C~Cアルキルは、ハロゲン、シアノ、および-OHから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
は、各出現について、水素、C~Cアルキル、およびC~Cシクロアルキルから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つの前記C~Cアルキルは、ハロゲン、シアノ、および-OHから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
wは、1および2から選択される整数であり、
は、各出現について、原子価が許す限り、一緒に縮合して式I中の環Aを形成する2つの単環式芳香族環のいずれかにおける環原子のいずれかに付着していてもよく、
mは、0、1、2、3、4、5、および6から選択される整数であり、
nは、1、2、3、4、および5から選択される整数であり、
oは、0、1、2、および3から選択される整数である)。
【請求項2】
以下の構造式II:
【化2】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の構造式IIIa:
【化3】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
以下の構造式IVa:
【化4】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、およびC~Cアルコキシから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、
aは、1および2から選択される整数である)
である、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
以下の構造式Va:
【化5】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、nは、1、2、3、および4から選択される整数である)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Yが、C~C12シクロアルキルまたは3員から12員のヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項7】
、R、R、R、R、およびRが、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
およびRが、各出現について、各々独立して、水素、または-C(=O)NRで任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、ここで、
およびRが、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
a、b、およびcが、各々独立して、1および2から選択される整数である、
請求項1または6に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項8】
以下の構造式IIIb-1:
【化6】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、C~C10シクロアルキルであり、
oは、0および1から選択される整数である)
である、請求項1、6、および7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
以下の構造式IVb-1:
【化7】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、C~Cシクロアルキルであり、
nは、1、2、3、および4から選択される整数である)
である、請求項1および6から8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Yが、シクロヘキシルである、請求項1および6から9のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項11】
以下の構造式IIIb-2:
【化8】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、少なくとも1個のN原子と、任意選択でOおよびSから選択される少なくとも1個の他のヘテロ原子とを含有する3員から10員のヘテロシクリルであり、
TおよびUの少なくとも1つは、Nであり、
oは、0、1、および2から選択される整数である)
である、請求項1、6、および7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Xが、不在であるか、-NH-、または-NHCH-であり、
Zが、不在であるか、-NH-、-[CH(CH(CH]NH-、または-C(=O)NHCH[(CONHCH)]CH-である、
請求項1、6、7、および11のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項13】
以下の構造式IVb-2:
【化9】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、少なくとも1個のN原子と、任意選択で少なくとも1個のO原子とを含有する4員から9員のヘテロシクリルであり、
TおよびUの少なくとも1つは、Nであり、
2’は、ハロゲン、シアノ、-NO 、-NH(=O)OH、または-SO であり、
nは、1、2、3、および4から選択される整数であり、
oは、0および1から選択される整数である)
である、請求項1、6、7、11、および12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
以下の構造式Vb-2:
【化10】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩である、請求項1、6、7、および11から13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
Yが、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニル、またはオクタヒドロ-1H-イソインドリルである、請求項1、6、7、および11から14のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項16】
以下の構造式IIIc:
【化11】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
2’は、ハロゲン、シアノ、-NO 、-NH(=O)OH、または-SO であり、
nは、1、2、3、および4から選択される整数である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
以下の構造式IVc:
【化12】

の化合物、その互変異性体、前記化合物もしくは前記互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
2’’は、ハロゲンまたはC~Cアルキルであり、
2’’’は、-C(=O)NRであり、ここで、
およびRは、各々独立して、水素またはC~Cアルキルである)
である、請求項1または16に記載の化合物。
【請求項18】
2’’が、F、Cl、BrまたはC~Cアルキルであり、
2’’’が、-C(=O)NRであり、ここで、
およびRが、各々独立して、水素またはC~Cアルキルである、
請求項17に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項19】
2’’が、Brまたは-CHであり、
2’’’が、-C(=O)NHCHである、
請求項17または18に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項20】
が、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、および-ORから独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルおよび前記C~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)の前記C~Cアルキルが、各々、ハロゲン、シアノ、および-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRが、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項1から19のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項21】
が、各出現について、F、Cl、Br、C~Cアルキル、および-ORから独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルが、1から3個のハロゲン基で任意選択で置換されており、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項1から20のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項22】
が、各出現について、Fおよび-OHから独立して選択される、請求項1から20のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項23】
が、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、-OR、およびフェニルから独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルおよび前記C~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)の前記C~Cアルキルが、各々、ハロゲン、シアノ、-OR、および1から3個のハロゲン原子で任意選択で置換されているフェニルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
の前記フェニルが、ハロゲン、シアノ、およびC~Cアルキルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRが、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項1、6から8、および10から22のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項24】
が、各出現について、F、Cl、Br、C~Cアルキル、-OR、およびフェニルから独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルが、ハロゲン、シアノ、および1から3個のハロゲン原子で任意選択で置換されているフェニルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項1、6から8、および10から23のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項25】
が、各出現について、-OH、フェニルおよび2,4-ジクロロ-1-メチルベンゼンから独立して選択される、請求項1、6から8、および10から24のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項26】
が、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、-NO、-NO 、-NH(=O)OH、-OR、および-SO から独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルおよび前記C~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)の前記C~Cアルキルが、各々、ハロゲン、シアノ、および-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRが、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項1から4、6から8、10から12、15、および20から25のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項27】
が、各出現について、F、Cl、Br、シアノ、C~Cアルキル、-C(=O)NR、-NO、-NO 、-NH(=O)OH、-OR、および-SO から独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルが、1から3個のハロゲン基で任意選択で置換されており、
およびRが、各出現について、水素および-CHから各々独立して選択され、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項1から4、6から8、10から12、15、および20から26のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項28】
が、各出現について、Br、-CH、-C(=O)NHCH、-NO 、-NH(=O)OH、および-SO から独立して選択される、請求項1から4、6から8、10から12、15、および20から27のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項29】
が、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、および-ORから独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルおよび前記C~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)の前記C~Cアルキルが、各々、ハロゲン、シアノ、および-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRが、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項5、9、13から16、および21から25のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項30】
が、各出現について、F、Cl、Br、シアノ、C~Cアルキル、-C(=O)NR、および-ORから独立して選択され、ここで、
の前記C~Cアルキルが、1から3個のハロゲン基で任意選択で置換されており、
およびRが、各出現について、水素および-CHから各々独立して選択され、
が、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される、
請求項5、9、13から16、20から25、および29のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項31】
が、各出現について、Br、-CH、および-C(=O)NHCHから独立して選択される、請求項5、9、13から16、20から25、29、および30のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項32】
mが、0および1から選択される整数である、請求項1から31のいずれか1項に記載の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩。
【請求項33】
前記化合物が、
【化13】

【化14】

【化15】

、その互変異性体、前記化合物もしくは互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
請求項1から33のいずれか1項に記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項35】
コロナウイルスにより引き起こされる疾患または疾患の症状を処置する方法であって、治療有効量の請求項1から33のいずれか1項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項36】
前記疾患が、気道感染性疾患である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記気道感染性疾患が、重症急性呼吸器症候群である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記症状が、発熱または悪寒、咳、息切れまたは呼吸困難、疲労、筋肉または全身痛、頭痛、新たな味覚または嗅覚消失、咽喉痛、鼻閉または鼻汁、悪心または嘔吐、下痢、胸部の持続性疼痛または圧迫感、新たな錯乱、覚醒または覚醒維持不能、青みがかった唇または顔、およびそれらの組合せから選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記コロナウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である、請求項35から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
コロナウイルスのプロテアーゼの活性を低減または阻害する方法であって、前記プロテアーゼを、請求項1から33のいずれか1項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物と接触させることを含む方法。
【請求項41】
前記プロテアーゼが、3C様プロテアーゼである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記コロナウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
コロナウイルスの複製を低減または阻害する方法であって、前記コロナウイルスを、請求項1から33のいずれか1項に記載の化合物または請求項34に記載の医薬組成物と接触させることを含む方法。
【請求項44】
前記コロナウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、3C様プロテアーゼ(3CLpro)などのプロテアーゼを阻害する化合物、該化合物を含む組成物、該化合物を調製する方法、および該化合物を使用して、コロナウイルス、例えば、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)により引き起こされる疾患または疾患の症状を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
COVID-19パンデミックは、新規コロナウイルス、SARS-CoV-2により引き起こされる。SARS-CoV-2または他のコロナウイルスにより引き起こされる疾患を特異的に処置する薬物が大いに必要とされている。プラスセンスRNAウイルスSARS-CoV-2は、そのゲノムの70%超に、nsp1からnsp16と名付けられた16種の非構造タンパク質(nsp)をコードさせる(Ref.1、2)。16種のnspは、2種のポリプロテインpp1aおよびpp1abとして翻訳され、これらから、タンパク質分解切断により個々のnspが生成される。具体的には、pp1aは、nsp1からnsp11へ切断される一方、pp1abは、nsp1からnsp10およびnsp12からnsp16へ切断される(Ref.1)。切断は、16種のnspに含まれる2種のプロテアーゼ-nsp3およびnsp5により行われる。nsp3は、いくつかのドメインを含有する大型タンパク質であり、その中で、パパイン様プロテアーゼ(PLpro)ドメインは、nsp1と2、nsp2と3、およびnsp3と4との間のペプチド結合の切断に関与する(Ref.1、3)。nsp5は、ペプチド結合を切断してnsp4からnsp16を放出するシステインプロテアーゼである、3CLproである(Ref.1)。3CLproは、他のコロナウイルスにおいてほぼ同じ機能を有する。
【0003】
pp1aおよびpp1abからの切断後、3CLproは、著しく増加したプロテアーゼ活性を有するホモ二量体を形成し、他のnspの間のペプチド結合の切断を容易にする。3CLproの触媒中心には、His41およびCys145により構成される触媒ダイアドが存在する。3CLproの触媒ドメインの作用機構およびタンパク質配列は、異なるコロナウイルス間で保存されている。SARS-CoV-2の3CLproとSARS-CoVの3CLproとの間の配列同一性は、96%に達する。
【0004】
3CLproのプロテアーゼ活性の阻害は、コロナウイルス複製に必要であるnsp4からnsp16の放出を遮断する。例えば、nsp12およびnsp13は、それぞれRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)およびヘリカーゼとしても知られ、ウイルスRNAゲノムの複製を触媒する酵素である。したがって、3CLproは、抗コロナウイルス薬の開発のための有望な標的である。いくつかの研究チームが、SARS-CoV 3CLproおよびSARS-CoV-2 3CLproの阻害剤の開発に多大な努力を費やしている。これらの阻害剤の大部分は、ペプチド足場から最適化された共有結合性阻害剤である(Ref.4)。多数の非共有結合性阻害剤もまた報告されたが、それらのほとんどは、無細胞または細胞ベースのアッセイにおいて不十分な活性しか示さなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、SARS-CoV-2 3CLproなどのプロテアーゼの非共有結合性阻害剤、ならびにこれらの阻害剤の調製および使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示の一態様は、コロナウイルスにより引き起こされる疾患および/またはその症状の処置において用いることができる、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物を提供する。例えば、以下の構造式I:
【化1】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Arは、フェニルまたは6員のヘテロアリールであり、
環Aは、9員または10員のヘテロアリールであり、ここで、
、V、V、およびVは、各々、不在であるか、-CH-、またはNであり、ここで、
、V、V、およびVの1つ以下が不在であり得、
、W、W、およびWの1つが不在である場合、V、V、V、およびVはいずれも、不在であり得ず、
、W、W、およびWは、各々、不在であるか、-CH-、またはNであり、ここで、
、W、W、およびWの1つ以下が不在であり得、
、W、W、およびWの少なくとも1つは、Nでなければならず、
Xは、不在であるか、-NR-、または-NR(CR-であり、
Yは、不在であるか、C~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、または5員から10員のヘテロアリールであり、ここで、YのC~C12カルボシクリル、Yの3員から12員のヘテロシクリル、およびYの5員から10員のヘテロアリールは、各々、o個のR基で置換されており、
Zは、不在であるか、-NR-、-(CRNR-、または-C(=O)NR(CR-であり、ここで、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
、R、R、およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、およびC~Cアルコキシから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、C~Cアルコキシ、および-C(=O)NRから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、ここで、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
a、b、およびcは、各々独立して、1、2、3、および4から選択される整数であり、
、R、およびRは、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NR、-NRS(=O)、-NO、-NO 、-NH(=O)OH、-OR、-OC(=O)R、-OC(=O)OR、-OC(=O)NR、-S(=O)、-S(=O)NR、-SO 、C~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、フェニル、および5員から10員のヘテロアリールから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つのC~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)のC~Cアルキルは、各々、ハロゲン、シアノ、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NR、-NRS(=O)、-OR、-OC(=O)R、-OC(=O)OR、-OC(=O)NR、-S(=O)、-S(=O)NR、C~Cシクロアルキル、および1から3個のハロゲン原子で任意選択で置換されているフェニルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
、R、およびRのいずれか1つのC~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、フェニル、5員から10員のヘテロアリールは、各々、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、-NR、および-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
、R、およびRは、各出現について、水素、C~Cアルキル、およびC~Cシクロアルキルから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つのC~Cアルキルは、ハロゲン、シアノ、および-OHから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
は、各出現について、水素、C~Cアルキル、およびC~Cシクロアルキルから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つのC~Cアルキルは、ハロゲン、シアノ、および-OHから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
wは、1および2から選択される整数であり、
は、各出現について、原子価が許す限り、一緒に縮合して式I中の環Aを形成する2つの単環式環のいずれかにおける環原子のいずれかに付着していてもよく、
mは、0、1、2、3、4、5、および6から選択される整数であり、
nは、1、2、3、4、および5から選択される整数であり、
oは、0、1、2、および3から選択される整数である)
が本明細書に開示される。
【0007】
本開示の一態様では、式Iの化合物は、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される。
【0008】
一部の実施形態では、本開示は、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物を含み得る。これらの組成物は、追加の活性医薬剤(pharmaceutical agent)をさらに含み得る。
【0009】
本開示の別の態様は、コロナウイルスにより引き起こされる疾患および/または疾患の症状(例えば、気道感染性疾患)を処置する方法であって、治療有効量の式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、処置方法は、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0010】
一部の実施形態では、処置方法は、追加の活性医薬剤を、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩と同じ医薬組成物中、あるいは別個の組成物中のいずれかで、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、処置方法は、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物を、同じ医薬組成物中または別個の組成物中のいずれかで、追加の活性医薬剤とともに投与することを含む。
【0011】
コロナウイルスのプロテアーゼの活性を低減または阻害する方法であって、治療有効量の式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法もまた本明細書に開示される。一部の実施形態では、コロナウイルスプロテアーゼの活性を低減または阻害する方法は、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、コロナウイルスのプロテアーゼの活性を低減または阻害する方法は、前記コロナウイルスまたは前記プロテアーゼを、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物と接触させることを含む。一部の実施形態では、コロナウイルスのプロテアーゼの活性を低減または阻害する方法は、前記コロナウイルスまたは前記プロテアーゼを、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物と接触させることを含む。
【0012】
さらに、コロナウイルスの複製を低減または阻害する方法であって、治療有効量の式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法が本明細書に開示される。一部の実施形態では、コロナウイルスの複製を低減または阻害する方法は、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、コロナウイルスの複製を低減または阻害する方法は、前記コロナウイルスまたはコロナウイルスのプロテアーゼを、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物と接触させることを含む。一部の実施形態では、コロナウイルスの複製を低減または阻害する方法は、前記コロナウイルスまたはコロナウイルスのプロテアーゼを、下に示す化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物、あるいは前述のもののいずれかを含む医薬組成物と接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】3種の阻害剤(図1A)および化合物2の2種の類似体(図1B)の化学構造を示す図である。
図1B】3種の阻害剤(図1A)および化合物2の2種の類似体(図1B)の化学構造を示す図である。
図2A】化合物I-1のNMR(図2A)および質量分析(図2B)特徴付けデータを示す図である。
図2B】化合物I-1のNMR(図2A)および質量分析(図2B)特徴付けデータを示す図である。
図3A】化合物I-2(1)のNMR(図3A)および質量分析(図3B)特徴付けデータを示す図である。
図3B】化合物I-2(1)のNMR(図3A)および質量分析(図3B)特徴付けデータを示す図である。
図4】化合物2のNMR特徴付けデータを示す図である。
図5A】化合物10のNMR(図5A)および質量分析(図5B)特徴付けデータを示す図である。
図5B】化合物10のNMR(図5A)および質量分析(図5B)特徴付けデータを示す図である。
図6A】化合物23のNMR(図6A)および質量分析(図6B)特徴付けデータを示す図である。
図6B】化合物23のNMR(図6A)および質量分析(図6B)特徴付けデータを示す図である。
図7A】SARS-CoV-2 3CLproに対する図1中の化合物の阻害活性を示す図である。in vitro酵素アッセイを使用して、化合物1、2、および8(図7A)ならびに化合物2の2種の類似体、すなわち、化合物10および23(図7B)の半数阻害濃度(IC50)を測定した。
図7B】SARS-CoV-2 3CLproに対する図1中の化合物の阻害活性を示す図である。in vitro酵素アッセイを使用して、化合物1、2、および8(図7A)ならびに化合物2の2種の類似体、すなわち、化合物10および23(図7B)の半数阻害濃度(IC50)を測定した。
図8A】化合物2と複合したSARS-CoV-2 3CLproの結晶構造を示す図である。図8Aは、化合物2(棒)が3CLproの触媒ポケットへ結合することを示す。3CLproの表面静電ポテンシャルは、PyMolにより計算した。図8Bは、化合物2と3CLproとの間の相互作用を示す。水素結合を破線により表示する。
図8B】化合物2と複合したSARS-CoV-2 3CLproの結晶構造を示す図である。図8Aは、化合物2(棒)が3CLproの触媒ポケットへ結合することを示す。3CLproの表面静電ポテンシャルは、PyMolにより計算した。図8Bは、化合物2と3CLproとの間の相互作用を示す。水素結合を破線により表示する。
図9A】化合物8と複合したSARS-CoV-2 3CLproの結晶構造を示す図である。図9Aは、化合物8(棒)が3CLproの触媒ポケットへ結合することを示す。3CLproの表面静電ポテンシャルは、PyMolにより計算した。図9Bは、化合物8と3CLproとの間の相互作用を示す。水素結合を破線により表示する。
図9B】化合物8と複合したSARS-CoV-2 3CLproの結晶構造を示す図である。図9Aは、化合物8(棒)が3CLproの触媒ポケットへ結合することを示す。3CLproの表面静電ポテンシャルは、PyMolにより計算した。図9Bは、化合物8と3CLproとの間の相互作用を示す。水素結合を破線により表示する。
図10A】化合物1と複合したSARS-CoV-2 3CLproの結晶構造を示す図である。図10Aは、化合物1(棒)が3CLproの触媒ポケットへ結合することを示す。3CLproの表面静電ポテンシャルは、PyMolにより計算した。図10Bは、化合物1と3CLproとの間の相互作用を示す。水素結合を破線により表示する。
図10B】化合物1と複合したSARS-CoV-2 3CLproの結晶構造を示す図である。図10Aは、化合物1(棒)が3CLproの触媒ポケットへ結合することを示す。3CLproの表面静電ポテンシャルは、PyMolにより計算した。図10Bは、化合物1と3CLproとの間の相互作用を示す。水素結合を破線により表示する。
図11A】A549細胞における3種の阻害剤の抗SARS-CoV-2活性(図11A)および細胞毒性効果(図11B)を示す図である。
図11B】A549細胞における3種の阻害剤の抗SARS-CoV-2活性(図11A)および細胞毒性効果(図11B)を示す図である。
図12A】VeroE6細胞(図12A)およびCalu3細胞(図12B)における3種の阻害剤の抗SARS-CoV-2活性を示す図である。
図12B】VeroE6細胞(図12A)およびCalu3細胞(図12B)における3種の阻害剤の抗SARS-CoV-2活性を示す図である。
図13】SARS-CoV-2(配列番号1)、SARS-CoV(配列番号2)、およびMERS-CoV(配列番号3)の3CLプロテアーゼのアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。SARS-CoV-2 3CLpro中の化合物2の5Å以内の残基を三角形により表示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
I.定義
「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、本明細書で使用される名詞に言及する場合、「少なくとも1つの」という表現を包含し、したがって、名詞の単数および複数単位の両方を包含する。例えば、「追加の医薬剤」は、単一のまたは2種以上の追加の医薬剤を意味する。
【0015】
本明細書で使用される「コロナウイルス」という用語は、哺乳動物および鳥類における疾患、例えば典型的には、ヒトおよび鳥類における軽度から致死性までの範囲であり得る気道感染性疾患、ウシおよびブタにおける下痢、ならびにマウスにおける肝炎および脳脊髄炎などを引き起こす関連するRNAウイルスの群を指す。コロナウイルスは、プラスセンス一本鎖RNAゲノムおよびらせん対称のヌクレオカプシドを有するエンベロープウイルスである。それらは、その表面から突き出た特徴的なクラブ状のスパイクを有し、これは、電子顕微鏡写真において、太陽コロナのイメージを想起させ、その名称はこれに由来する。コロナウイルスの致死性変種は、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、およびCOVID-19(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2またはSARS-CoV-2により引き起こされる伝染性疾患)を引き起こすことができるものを含む。
【0016】
本明細書で使用される「阻害剤」という用語は、コロナウイルスの主要プロテアーゼである3C様プロテアーゼ(3CLproまたは3CLpro)または正式にはC30エンドペプチダーゼとして知られるものを含むがこれに限定されない、上で定義されたコロナウイルスのいずれか1種または複数のプロテアーゼの発現を低減もしくは阻害し、かつ/または活性を低減もしくは阻害する(例えば、プロテアーゼの活性部位を遮断することにより)能力を有する、有機化学小分子化合物(≦10kDa)を指す。3C様プロテアーゼは、グルタミン-セリン/グルタミン-アラニン/グルタミン-グリシンペプチド結合を有する複数の保存部位でコロナウイルスポリプロテインを切断し、コロナウイルスレプリカーゼポリプロテインP0C6U8のプロセシングにおいて重要である。コロナウイルスプロテアーゼの他の例は、ウイルスポリプロテインをプロセシングして機能性レプリカーゼ複合体を生成し、ウイルスの拡散を可能にするのに必要であるパパイン様プロテアーゼPLproを含む。
【0017】
「化合物」という用語は、本開示の化合物に言及する場合、立体異性体の集合(例えば、ラセミ体の集合、シス/トランス立体異性体の集合、または(E)および(Z)立体異性体の集合)であるとの別段の指示がない限り、分子の構成原子間で同位体変化が存在し得ることを除き、同一の化学構造を有する分子の集合を指す。したがって、表示された重水素原子を含有する特定の化学構造により表される化合物はまた、その構造中の指定された重水素位置の1つまたは複数に水素原子を有するより少量のアイソトポログを含有することが当業者には明らかである。本開示の化合物中のそのようなアイソトポログの相対量は、例えば、化合物を作製するために使用される試薬の同位体純度、および化合物を調製するために使用される様々な合成ステップにおける同位体の組み込み効率を含む、いくつかの因子に依存する。しかしながら、上に記載されたとおり、そのようなアイソトポログの全体としての相対量は、化合物の49.9%未満である。他の実施形態では、そのようなアイソトポログの全体としての相対量は、化合物の47.5%未満、40%未満、32.5%未満、25%未満、17.5%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満、または0.5%未満である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「任意選択で置換された」は、「置換または無置換の」という句と入れ替え可能である。一般に、「置換された」という用語は、所与の構造中の水素基が、特定された置換基の基で置き換えられていることを指す。別段の指示がない限り、「任意選択で置換された」基は、基の各置換可能な位置に置換基を有してもよく、任意の所与の構造中の2つ以上の位置が、特定された群から選択される2個以上の置換基で置換され得る場合、該置換基は、すべての位置で同じであっても異なっていてもよい。本開示により想定される置換基の組合せは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。
【0019】
「アイソトポログ」という用語は、化学構造がその同位体組成においてのみ異なる種を指す。加えて、別段の記述がない限り、本明細書に図示された構造はまた、1個または複数の同位体的に富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことが意図される。例えば、本発明の構造を有する化合物は、水素の重水素もしくはトリチウムによる置き換え、または炭素の13Cもしくは14Cによる置き換えを除き、本開示の範囲内にある。
【0020】
別段の指示がない限り、本明細書に図示された構造はまた、その構造のすべての異性体形態、例えば、ラセミ混合物、シス/トランス異性体、幾何(または立体配座)異性体、例えば(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体配座異性体などを含むことが意図される。したがって、本発明の化合物の幾何および立体配座混合物は、本開示の範囲内にある。別段の記述がない限り、本開示の化合物のすべての互変異性体形態は、本開示の範囲内にある。
【0021】
本明細書で使用される「互変異性体」という用語は、平衡状態で一緒に存在し、分子内の原子、例えば、水素原子、または基の移動により容易に入れ替わる化合物の2つ以上の異性体の1つを指す。
【0022】
本明細書で使用される「立体異性体」は、エナンチオマーおよびジアステレオマーを指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「重水素化誘導体」は、参照化合物と同じ化学構造を有するが、1個または複数の水素原子が重水素原子(「D」または「H」)により置き換えられている化合物を指す。合成において使用される化学材料の起源に応じて、合成された化合物において、天然の同位体存在度のいくらかの変化が生じることが認識されよう。天然に豊富な安定な水素同位体の濃度は、この変化にもかかわらず、本明細書に記載された重水素化誘導体の安定な同位体置換の程度と比較して小さく、軽微である。したがって、別段の記述がない限り、本開示の化合物の「重水素化誘導体」に言及される場合、少なくとも1個の水素が、重水素で、典型的には約0.015%であるその天然の同位体存在度を十分に上回るレベルで置き換えられている。一部の実施形態では、本明細書に開示された重水素化誘導体は、各重水素原子について、少なくとも3500(各指定された重水素において52.5%の重水素組み込み)、少なくとも4500(各指定された重水素において67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(各指定された重水素において75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(各指定された重水素において82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(各指定された重水素において90%の重水素組み込み)、少なくとも6333.3(各指定された重水素において95%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(各指定された重水素において97%の重水素組み込み)、または少なくとも6600(各指定された重水素において99%の重水素組み込み)の同位体富化係数を有する。
【0024】
本明細書で使用される「同位体富化係数」という用語は、同位体存在度と特定された同位体の天然存在度との間の比を意味する。
【0025】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、完全に飽和している直鎖状または分枝状の、置換または無置換の炭化水素鎖を意味する。別段の定めがない限り、アルキル基は、1から20個のアルキル炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルキル基は、1から10個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルキル基は、1から8個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルキル基は、1から6個のアルキル炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルキル基は、1から4個のアルキル炭素原子を含有する。他の実施形態では、アルキル基は、1から3個のアルキル炭素原子を含有する。またさらに他の実施形態では、アルキル基は、1から2個のアルキル炭素原子を含有する。一部の実施形態では、アルキル基は、置換されている。一部の実施形態では、アルキル基は、無置換である。一部の実施形態では、アルキル基は、直鎖状または直鎖または非分枝状である。一部の実施形態では、アルキル基は、分枝状である。
【0026】
「シクロアルキル」という用語は、完全に飽和している単環式C3~8炭化水素またはスピロ環式、縮合、もしくは架橋二環式もしくは三環式C8~14炭化水素を指し、前記二環式環系中の任意の個々の環は、3員から7員を有する。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、置換されている。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、無置換である。一部の実施形態では、シクロアルキルは、CからC12シクロアルキルである。一部の実施形態では、シクロアルキルは、CからCシクロアルキルである。一部の実施形態では、シクロアルキルは、CからCシクロアルキルである。単環式シクロアルキルの非限定的例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンタニル、およびシクロヘキシルを含む。
【0027】
「カルボシクリル」という用語は、「シクロアルキル」という用語を包含し、完全に飽和しているか、または1もしくは複数の不飽和単位を含有するが、芳香族でないように部分的に飽和している単環式C3~8炭化水素またはスピロ環式、縮合、もしくは架橋二環式もしくは三環式C8~14炭化水素を指し、前記二環式環系中の任意の個々の環は、3員から7員を有する。二環式カルボシクリルは、例えば、フェニルに縮合した単環式炭素環式環の組合せを含む。一部の実施形態では、カルボシクリル基は、置換されている。一部の実施形態では、カルボシクリル基は、無置換である。一部の実施形態では、カルボシクリルは、CからC12カルボシクリルである。一部の実施形態では、カルボシクリルは、CからC10カルボシクリルである。一部の実施形態では、カルボシクリルは、CからCカルボシクリルである。
【0028】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の二重結合を含有する直鎖状または分枝状の、置換または無置換の炭化水素鎖を意味する。一部の実施形態では、アルケニル基は、置換されている。一部の実施形態では、アルケニル基は、無置換である。一部の実施形態では、アルケニル基は、直鎖状、直鎖、または非分枝状である。一部の実施形態では、アルケニル基は、分枝状である。
【0029】
本明細書で使用される「ヘテロシクリル」という用語は、非芳香族の(すなわち、完全に飽和しているか、または1もしくは複数の不飽和単位を含有するが、芳香族でない場合のように部分的に飽和している)、単環式、またはスピロ環式、縮合、もしくは架橋二環式もしくは三環式環系であって、1個または複数の環員が、独立して選択されるヘテロ原子であるものを意味する。二環式ヘテロシクリルは、例えば、単環式環の以下の組合せ:単環式ヘテロシクリルに縮合した単環式ヘテロアリール;別の単環式ヘテロシクリルに縮合した単環式ヘテロシクリル;フェニルに縮合した単環式ヘテロシクリル;単環式カルボシクリル/シクロアルキルに縮合した単環式ヘテロシクリル;および単環式カルボシクリル/シクロアルキルに縮合した単環式ヘテロアリールを含む。一部の実施形態では、「ヘテロシクリル」基は、3から14個の環員を含有し、ここで、1個または複数の環員は、例えば、酸素、硫黄、窒素、およびリンから独立して選択されるヘテロ原子である。一部の実施形態では、二環式または三環式環系における各環は、3から7個の環員を含有する。一部の実施形態では、複素環は、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を有する。一部の実施形態では、複素環は、少なくとも1つの不飽和炭素-窒素結合を有する。一部の実施形態では、複素環は、酸素、硫黄、窒素、およびリンから独立して選択される1個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、複素環は、窒素原子である1個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、複素環は、酸素原子である1個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、複素環は、窒素および酸素から各々独立して選択される2個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、複素環は、窒素および酸素から各々独立して選択される3個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、複素環は、置換されている。一部の実施形態では、複素環は、無置換である。一部の実施形態では、ヘテロシクリルは、3員から12員のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、ヘテロシクリルは、3員から10員のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、ヘテロシクリルは、4員から9員のヘテロシクリル、例えば、少なくとも1個のN原子と、任意選択で少なくとも1個のO原子とを含有する4員から9員のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、ヘテロシクリルは、5員から10員のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、ヘテロシクリルは、5員から8員のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、ヘテロシクリルは、5員または6員のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、ヘテロシクリルは、6員のヘテロシクリルである。単環式ヘテロシクリルの非限定的例は、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、テトラヒドロチオフェニル1,1-ジオキシド等を含む。
【0030】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、および窒素の1つまたは複数を意味し、窒素または硫黄の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態または複素環式環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルの場合のように)、NH(ピロリジニルの場合のように)もしくはNR(N-置換ピロリジニルの場合のように)を含む。
【0031】
本明細書で使用される「不飽和」という用語は、ある部分が1または複数の不飽和単位または不飽和度を有することを意味する。不飽和は、化合物中の利用可能な原子価結合のすべてが置換基により満たされているわけではなく、したがって、化合物が1つまたは複数の二重または三重結合を含有する状態である。
【0032】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、上で定義されたアルキル基であって、アルキル基の1個の炭素が酸素(「アルコキシ」)原子により置き換えられているものを指すが、ただし、該酸素原子が2個の炭素原子の間に連結されることを条件とする。
【0033】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、およびI、すなわち、それぞれフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「シアノ」または「ニトリル」基は、-C≡Nを指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「芳香族環」は、[4n+2]個のp軌道電子(ここで、nは、0から6の整数である)から構成される非局在化π電子軌道を有する共役した平面環系を含有する炭素環式または複素環式環を指す。「非芳香族」環は、芳香族環について上に記載された要件を満たさない炭素環式または複素環式環を指し、完全飽和または部分飽和のいずれかとすることができる。芳香族環の非限定的例は、以下のとおりさらに定義されるアリールおよびヘテロアリール環を含む。
【0036】
単独でまたは「アリールアルキル」、「アリールアルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」の場合のようにより大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、合計5から14個の環員を有する単環式またはスピロ環式、縮合、もしくは架橋二環式もしくは三環式環系を指し、該系中のすべての環は、炭素原子のみを含有する芳香族環であり、二環式または三環式環系中の各環は、3から7個の環員を含有する。アリール基の非限定的例は、フェニル(C)およびナフチル(C10)環を含む。一部の実施形態では、アリール基は、置換されている。一部の実施形態では、アリール基は、無置換である。
【0037】
「ヘテロアリール」という用語は、合計5から14個の環員を有する単環式またはスピロ環式、縮合、もしくは架橋二環式もしくは三環式環系を指し、該系中の少なくとも1つの環は、芳香族であり、該系中の少なくとも1つの環は、1個または複数のヘテロ原子を含有し、二環式または三環式環系中の各環は、3から7個の環員を含有する。二環式ヘテロアリールは、例えば、単環式環の以下の組合せ:別の単環式ヘテロアリールに縮合した単環式ヘテロアリール;およびフェニルに縮合した単環式ヘテロアリールを含む。二環式ヘテロアリールの非限定的例は、イソキノリニル、キノリニル、キナゾリニル、フタラジニル、プリニル、および1H-ピロロ[2,3-c]ピリジニルである。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、置換されている。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、例えば、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個または複数のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、1個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、2個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、5個の環員を有する単環式環系である。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、6個の環員を有する単環式環系である。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、無置換である。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、3員から12員のヘテロアリールである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、3員から10員のヘテロアリールである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、3員から8員のヘテロアリールである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、5員から10員のヘテロアリールである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、5員から8員のヘテロアリールである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、5員または6員のヘテロアリールである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、6員のヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールの非限定的例は、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、チアゾリル、イソオキサゾリル等である。
【0038】
本開示において使用され得る好適な溶媒の非限定的例は、水、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、ジクロロメタンまたは「塩化メチレン」(CHCl)、トルエン、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸メチル(MeOAc)、酢酸エチル(EtOAc)、ヘプタン、酢酸イソプロピル(IPAc)、酢酸tert-ブチル(t-BuOAc)、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-Me THF)、メチルエチルケトン(MEK)、tert-ブタノール、ジエチルエーテル(EtO)、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)、1,4-ジオキサン、およびN-メチルピロリドン(NMP)を含む。
【0039】
本開示において使用され得る好適な塩基の非限定的例は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)、炭酸カリウム(KCO)、N-メチルモルホリン(NMM)、トリエチルアミン(EtN;TEA)、ジイソプロピル-エチルアミン(i-PrEtN;DIPEA)、ピリジン、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)およびナトリウムメトキシド(NaOMe;NaOCH)を含む。
【0040】
開示された化合物の薬学的に許容される塩が本明細書に開示される。化合物の塩は、酸と化合物の塩基性基、例えばアミノ官能基などとの間、または塩基と化合物の酸性基、例えばカルボキシル官能基などとの間で形成される。
【0041】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしにヒトおよび他の哺乳動物の組織と接触して使用するのに好適であり、かつ、妥当な利益/リスク比で釣り合いのとれた成分を指す。「薬学的に許容される塩」は、レシピエントへの投与時に、本開示の化合物を直接的または間接的に与えることが可能である、任意の非毒性塩を意味する。好適な薬学的に許容される塩は、例えば、S.M.Bergeら、J.Pharmaceutical Sciences、1977、66巻、1から19ページに開示されたものである。
【0042】
薬学的に許容される塩を形成するために一般的に用いられる酸は、無機酸、例えば二硫化水素、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸など、ならびに有機酸、例えばパラ-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、二酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸など、ならびに関連する無機および有機酸を含む。したがって、そのような薬学的に許容される塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩および他の塩を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸および臭化水素酸などの無機酸を用いて形成されるもの、ならびにマレイン酸などの有機酸を用いて形成されるものを含む。
【0043】
適切な塩基に由来する薬学的に許容される塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN(C1~4アルキル)塩を含む。本開示はまた、本明細書に開示された化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。アルカリおよびアルカリ土類金属塩の好適な非限定的例は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムを含む。薬学的に許容される塩のさらなる非限定的例は、対イオン、例えばハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどを使用して形成されるアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンを含む。薬学的に許容される塩の他の好適な非限定的例は、ベシル酸塩およびグルコサミン塩を含む。
【0044】
「対象」という用語は、ヒトを含む動物を指す。
【0045】
「治療有効量」という用語は、化合物が投与される目的である所望の効果(例えば、コロナウイルスにより引き起こされる疾患および/もしくは疾患の症状の改善、コロナウイルスにより引き起こされる疾患および/もしくは疾患の症状の重症度の軽減、ならびに/またはコロナウイルスにより引き起こされる疾患および/もしくは症状の進行の低減)を生じる化合物の量を指す。治療有効量の正確な量は、処置の目的に依存し、公知の技法を使用して当業者により確定される(例えば、Lloyd(1999)、The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照されたい)。
【0046】
本明細書で使用される場合、「処置」という用語およびその同族語は、疾患進行を遅らせるまたは停止させることを指す。本明細書で使用される「処置」およびその同族語は、以下を含むがこれらに限定されない:完全または部分寛解、コロナウイルスにより引き起こされる疾患の治癒、コロナウイルスにより引き起こされる疾患および/または疾患の症状のリスクの低下。これらの症状のいずれかの改善または重症度の軽減は、当技術分野で公知の方法および技法に従って判定することができる。
【0047】
「約」および「およそ」という用語は、百分率などの数に関連して使用される場合、特定された数、および当業者により認識される数の範囲(例えば、百分率の範囲)を含む。
【0048】
II.化合物および組成物
第1の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式I:
【化2】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Arは、フェニルまたは6員のヘテロアリールであり、
環Aは、9員または10員のヘテロアリールであり、ここで、
、V、V、およびVは、各々、不在であるか、-CH-、またはNであり、ここで、
、V、V、およびVの1つ以下が不在であり得、
、W、W、およびWの1つが不在である場合、V、V、V、およびVはいずれも、不在であり得ず、
、W、W、およびWは、各々、不在であるか、-CH-、またはNであり、ここで、
、W、W、およびWの1つ以下が不在であり得、
、W、W、およびWの少なくとも1つは、Nでなければならず、
Xは、不在であるか、-NR-、または-NR(CR-であり、
Yは、不在であるか、C~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、または5員から10員のヘテロアリールであり、ここで、YのC~C12カルボシクリル、Yの3員から12員のヘテロシクリル、およびYの5員から10員のヘテロアリールは、各々、o個のR基で置換されており、
Zは、不在であるか、-NR-、-(CRNR-、または-C(=O)NR(CR-であり、ここで、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
、R、R、およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、およびC~Cアルコキシから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、C~Cアルコキシ、および-C(=O)NRから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、ここで、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
a、b、およびcは、各々独立して、1、2、3、および4から選択される整数であり、
、R、およびRは、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NR、-NRS(=O)、-NO、-NO 、-NH(=O)OH、-OR、-OC(=O)R、-OC(=O)OR、-OC(=O)NR、-S(=O)、-S(=O)NR、-SO 、C~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、フェニル、および5員から10員のヘテロアリールから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つのC~Cアルキル、C~Cアルケニル、およびC~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)のC~Cアルキルは、各々、ハロゲン、シアノ、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NR、-NRS(=O)、-OR、-OC(=O)R、-OC(=O)OR、-OC(=O)NR、-S(=O)、-S(=O)NR、C~Cシクロアルキル、および1から3個のハロゲン原子で任意選択で置換されているフェニルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
、R、およびRのいずれか1つのC~C12カルボシクリル、3員から12員のヘテロシクリル、フェニル、5員から10員のヘテロアリールは、各々、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、-NR、および-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
、R、およびRは、各出現について、水素、C~Cアルキル、およびC~Cシクロアルキルから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つのC~Cアルキルは、ハロゲン、シアノ、および-OHから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
は、各出現について、水素、C~Cアルキル、およびC~Cシクロアルキルから各々独立して選択され、ここで、
、R、およびRのいずれか1つのC~Cアルキルは、ハロゲン、シアノ、および-OHから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
wは、1および2から選択される整数であり、
は、各出現について、原子価が許す限り、一緒に縮合して式I中の環Aを形成する2つの単環式芳香族環のいずれかにおける環原子のいずれかに付着していてもよく、
mは、0、1、2、3、4、5、および6から選択される整数であり、
nは、1、2、3、4、および5から選択される整数であり、
oは、0、1、2、および3から選択される整数である)
である。
【0049】
一実施形態では、式I中、Arは、フェニル、ピリジニル、またはピリミジニルであり、これらは各々、m個のR基で任意選択で置換されており、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。一実施形態では、式I中、Arは、m個のR基で任意選択で置換されたフェニルであり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0050】
一実施形態では、式I中、環Aは、イソキノリニル、キノリニル、キナゾリニル、フタラジニル、プリニル、または1H-ピロロ[2,3-c]ピリジニルであり、これらは各々、m個のR基で任意選択で置換されており、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0051】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換されたイソキノリニルであり、ここで、
、V、V、およびVは、すべて-CH-であり、
は、Nであり、
、W、およびWは、-CH-であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、上で定義されたとおりである。
【0052】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換されたキノリニルであり、ここで、
、V、V、およびVは、すべて-CH-であり、
は、Nであり、
、W、およびWは、-CH-であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0053】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換されたキナゾリニルであり、ここで、
、V、V、およびVは、すべて-CH-であり、
は、-CH-であり、
、W、およびWは、Nであり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0054】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換されたフタラジニルであり、ここで、
、V、V、およびVは、すべて-CH-であり、
は、-CH-であり、
、W、およびWは、Nであり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0055】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換されたプリニルであり、ここで、
およびVは、すべてNであり、VおよびVは、-CH-であり;あるいは、VおよびVは、すべて-CH-であり、VおよびVは、Nであり、
は、不在であり、
は、-CH-であり、
およびWは、Nであり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0056】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換されたプリニルであり、ここで、
は、不在であり、
は、-CH-であり、
およびVは、Nであり、
およびWは、-CH-であり、WおよびWは、Nであり;あるいは、WおよびWは、Nであり、WおよびWは、-CH-であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0057】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換された1H-ピロロ[2,3-c]ピリジニルであり、ここで、
は、不在であり、
は、Nであり、
およびVは、-CH-であり、
は、Nであり、
、W、およびWは、-CH-であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0058】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換された1H-ピロロ[2,3-c]ピリジニルであり、ここで、
は、不在であり、
は、Nであり、
およびVは、-CH-であり、
は、Nであり、
、W、およびWは、-CH-であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0059】
一実施形態では、式I中、環Aは、m個のR基で任意選択で置換された1H-ピロロ[2,3-c]ピリジニルであり、ここで、
は、Nであり、
、V、およびVは、-CH-であり、
は、不在であり、
は、Nであり、
およびWは、-CH-であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1の実施形態で定義されたとおりである。
【0060】
第2の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式II:
【化3】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩であり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態で定義されたとおりである。
【0061】
第3の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IIIa:
【化4】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩であり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0062】
第4の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IVa:
【化5】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素、またはハロゲン、シアノ、およびC~Cアルコキシから選択される1から3個の基で任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、
aは、1および2から選択される整数であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)
である。
【0063】
第5の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式Va:
【化6】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、nは、1、2、3、および4から選択される整数であり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)である。
【0064】
第6の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Yは、C~C12シクロアルキルまたは3員から12員のヘテロシクリルであり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0065】
第7の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、
、R、R、R、R、およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素、または-C(=O)NRで任意選択で置換されているC~Cアルキルであり、ここで、
およびRは、各出現について、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
a、b、およびcは、各々独立して、1および2から選択される整数であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0066】
第8の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IIIb-1:
【化7】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、C~C10シクロアルキルであり、
oは、0および1から選択される整数であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)
である。
【0067】
第9の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IVb-1:
【化8】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、C~Cシクロアルキルであり、
nは、1、2、3、および4から選択される整数であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第1、第6、第7、および第8の実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)
である。
【0068】
第10の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Yは、シクロヘキシルであり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0069】
第11の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IIIb-2:
【化9】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、少なくとも1個のN原子と、任意選択でOおよびSから選択される少なくとも1個の他のヘテロ原子とを含有する3員から10員のヘテロシクリルであり、
TおよびUの少なくとも1つは、Nであり、
oは、0、1、および2から選択される整数であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)
である。
【0070】
第12の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、
Xは、不在であるか、-NH-、または-NHCH-であり、
Zは、不在であるか、-NH-、-[CH(CH(CH]NH-、または-C(=O)NHCH[(CONHCH)CH]-であり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0071】
第13の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IVb-2:
【化10】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
Yは、少なくとも1個のN原子と、任意選択で少なくとも1個のO原子とを含有する4員から9員のヘテロシクリルであり、
TおよびUの少なくとも1つは、Nであり、
2’は、ハロゲン、シアノ、-NO 、-NH(=O)OH、または-SO であり、
nは、1、2、3、および4から選択される整数であり、
oは、0および1から選択される整数であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)
である。
【0072】
第14の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式Vb-2:
【化11】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩であり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0073】
第15の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Yは、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニル、またはオクタヒドロ-1H-イソインドリルであり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0074】
第16の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IIIc:
【化12】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
2’は、ハロゲン、シアノ、-NO 、-NH(=O)OH、または-SO であり、
nは、1、2、3、および4から選択される整数であり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)
である。
【0075】
第17の実施形態では、本開示の化合物は、以下の構造式IVc:
【化13】

の化合物、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩(式中、
2’’は、ハロゲンまたはC~Cアルキルであり、
2’’’は、-C(=O)NRであり、ここで、
およびRは、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである)
である。
【0076】
第18の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、式中、
2’’は、F、Cl、BrまたはC~Cアルキルであり、
2’’’は、-C(=O)NRであり、ここで、
およびRは、各々独立して、水素またはC~Cアルキルであり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0077】
第19の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、式中、
2’’は、Brまたは-CHであり、
2’’’は、-C(=O)NHCHであり、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、第17および第18の実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0078】
第20の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、および-ORから独立して選択され、ここで、
のC~CアルキルおよびC~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)のC~Cアルキルは、各々、ハロゲン、シアノ、および-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRは、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0079】
第21の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、F、Cl、Br、C~Cアルキル、および-ORから独立して選択され、ここで、
のC~Cアルキルは、1から3個のハロゲン基で任意選択で置換されており、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0080】
第22の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、Fおよび-OHから独立して選択され、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0081】
第23の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、-OR、およびフェニルから独立して選択され、ここで、
のC~CアルキルおよびC~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)のC~Cアルキルは、各々、ハロゲン、シアノ、-OR、および1から3個のハロゲン原子で任意選択で置換されているフェニルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
のフェニルは、ハロゲン、シアノ、およびC~Cアルキルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRは、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0082】
第24の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、F、Cl、Br、C~Cアルキル、-OR、およびフェニルから独立して選択され、ここで、
のC~Cアルキルは、ハロゲン、シアノ、および1から3個のハロゲン原子で任意選択で置換されているフェニルから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0083】
第25の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、-OH、フェニルおよび2,4-ジクロロ-1-メチルベンゼンから独立して選択され、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0084】
第26の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、-NO、-NO 、-NH(=O)OH、-OR、および-SO から独立して選択され、ここで、
のC~CアルキルおよびC~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)のC~Cアルキルは、各々、ハロゲン、シアノ、-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRは、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0085】
第27の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、F、Cl、Br、シアノ、C~Cアルキル、-C(=O)NR、-NO、-NO 、-NH(=O)OH、-OR、および-SO から独立して選択され、ここで、
のC~Cアルキルは、1から3個のハロゲン基で任意選択で置換されており、
およびRは、各出現について、水素および-CHから各々独立して選択され、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0086】
第28の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、Br、-CH、-C(=O)NHCH、-NO 、-NH(=O)OH、および-SO から独立して選択され、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0087】
第29の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、-C(=O)(C~Cアルキル)、-C(=O)NR、-NR、および-ORから独立して選択され、ここで、
のC~CアルキルおよびC~Cアルコキシならびに-C(=O)(C~Cアルキル)のC~Cアルキルは、各々、ハロゲン、シアノ、-ORから選択される1から3個の基で任意選択で置換されており、
およびRは、各出現について、水素およびC~Cアルキルから各々独立して選択され、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0088】
第30の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、F、Cl、Br、シアノ、C~Cアルキル、-C(=O)NR、および-ORから独立して選択され、ここで、
のC~Cアルキルは、1から3個のハロゲン基で任意選択で置換されており、
およびRは、各出現について、水素および-CHから各々独立して選択され、
は、各出現について、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、
ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0089】
第31の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、Rは、各出現について、Br、-CH、および-C(=O)NHCHから独立して選択され、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0090】
第32の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、mは、0および1から選択される整数であり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0091】
第33の実施形態では、本開示の化合物、互変異性体、重水素化誘導体、または薬学的に許容される塩において、mは、1および2から選択される整数であり、ここで具体的に定義されていない他の可変要素はすべて、先行する実施形態のいずれか1つで定義されたとおりである。
【0092】
ある特定の実施形態では、本開示の少なくとも1種の化合物は、表1に図示された化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される。
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】
【0093】
本開示の別の態様は、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0094】
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、薬学的に許容されるビヒクルおよび薬学的に許容されるアジュバントから選択される。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、薬学的に許容されるフィラー、崩壊剤、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤から選択される。
【0095】
本開示の医薬組成物は、組合せ療法において用いることができ;すなわち、本明細書に記載された医薬組成物は、追加の活性医薬剤をさらに含むことができることも理解されよう。あるいは、医薬組成物は、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物を含む。前述のもののいずれかを含む医薬組成物は、追加の活性医薬剤を含む組成物と同時に、その前に、またはその後に、別個の組成物として投与することができる。
【0096】
上に記載されたとおり、本明細書に開示された医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体は、アジュバントおよびビヒクルから選択され得る。本明細書で使用される薬学的に許容される担体は、例えば、所望の特定の剤形に適した、あらゆる溶媒、希釈剤、他の液体ビヒクル、分散助剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤から選択することができる。Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005、D.B.Troy編、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、ならびにEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J.SwarbrickおよびJ.C.Boylan編、1988から1999、Marcel Dekker、New Yorkは、医薬組成物の製剤化において使用される様々な担体およびその調製のための公知の技法を開示している。任意の従来の担体が、例えば何らかの望ましくない生物学的効果を生じること、またはそうでなければ医薬組成物の他のいずれかの成分と有害な様式で相互作用することなどにより、本開示の化合物と適合しない場合を除き、その使用は、本開示の範囲内にあると企図される。好適な薬学的に許容される担体の非限定的例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えばヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、およびソルビン酸カリウムなど)、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、および電解質(例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、および亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、羊毛脂、糖(例えばラクトース、グルコースおよびスクロースなど)、デンプン(例えばトウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンなど)、セルロースおよびその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど)、トラガント末、バクガ、ゼラチン、タルク、賦形剤(例えばカカオバターおよび坐剤ワックスなど)、油(例えばラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油など)、グリコール(例えばプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなど)、エステル(例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど)、寒天、緩衝剤(例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど)、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンガー溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝溶液、非毒性適合性滑沢剤(例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤、ならびに抗酸化剤を含む。
【0097】
III.処置方法および使用
本開示の別の態様では、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体(deuterative derivative)、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物は、コロナウイルスにより引き起こされる疾患および/または疾患の症状の処置において使用するためのものである。別の態様では、コロナウイルスにより引き起こされる疾患および/または疾患の症状を処置するための医薬を製造するための、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物の使用が本明細書に開示される。さらに別の態様では、対象において疾患および/または疾患の症状を処置する方法であって、治療有効量の本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物を投与することを含む方法が本明細書に開示される。
【0098】
一部の実施形態では、コロナウイルスにより引き起こされる疾患は、気道感染である。一部の実施形態では、コロナウイルスにより引き起こされる疾患は、重症急性呼吸器症候群である。一実施形態では、コロナウイルスにより引き起こされる疾患は、COVID-19である。一実施形態では、疾患は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)であるコロナウイルスにより引き起こされる。一部の実施形態では、コロナウイルスにより引き起こされる疾患の症状は、発熱または悪寒、咳、息切れまたは呼吸困難、疲労、筋肉または全身痛、頭痛、新たな味覚または嗅覚消失、咽喉痛、鼻閉または鼻汁、悪心または嘔吐、下痢、胸部の持続性疼痛または圧迫感、新たな錯乱、覚醒または覚醒維持不能、青みがかった唇または顔、およびそれらの組合せから選択される。
【0099】
本開示の別の態様では、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物は、コロナウイルスのプロテアーゼの活性の低減または阻害において使用するためのものである。別の態様では、コロナウイルスのプロテアーゼの活性を低減または阻害するための医薬を製造するための、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物の使用が本明細書に開示される。さらに別の態様では、コロナウイルスのプロテアーゼの活性を低減または阻害する方法であって、治療有効量の本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物を対象に投与することを含む方法が本明細書に開示される。さらに別の態様では、コロナウイルスのプロテアーゼの活性を低減または阻害する方法であって、前記コロナウイルスまたは前記プロテアーゼを、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物と接触させることを含む方法が本明細書に開示される。一実施形態では、コロナウイルスのプロテアーゼは、3C様プロテアーゼである。一実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0100】
本開示の別の態様では、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物は、コロナウイルスの複製の低減または阻害において使用するためのものである。別の態様では、コロナウイルスの複製を低減または阻害するための医薬を製造するための、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物の使用が本明細書に開示される。さらに別の態様では、コロナウイルスの複製を低減または阻害する方法であって、治療有効量の本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物を対象に投与することを含む方法が本明細書に開示される。さらに別の態様では、コロナウイルスの複製を低減または阻害する方法であって、前記コロナウイルスまたはコロナウイルスのプロテアーゼを、本明細書に記載された化合物、互変異性体、重水素誘導体、または薬学的に許容される塩、例えば、式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物と接触させることを含む方法が本明細書に開示される。一実施形態では、コロナウイルスのプロテアーゼは、3C様プロテアーゼである。一実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0101】
式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物は、例えば、コロナウイルス、例えば、SARS-CoV-2により引き起こされる疾患および/または疾患の症状の処置のために、1日1回、1日2回、または1日3回投与され得る。
【0102】
一部の実施形態では、2mgから1500mgまたは5mgから1000mgの式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物が、1日1回、1日2回、または1日3回投与される。
【0103】
式I、II、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、IVb-1、IVb-2、IVc、Va、もしくはVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩、あるいはその医薬組成物は、例えば、経口、非経口、舌下、局所、直腸、鼻腔、頬側、膣内、経皮、パッチ、ポンプ投与によりまたは埋め込み式リザーバーを介して投与されてもよく、医薬組成物はそれに応じて製剤化される。非経口投与は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、鼻腔、肺内、髄腔内、直腸および局所投与方式を含む。非経口投与は、選択された期間にわたる連続注入によることができる。本開示において企図される他の投与形態は、国際特許出願第WO2013/075083号、第WO2013/075084号、第WO2013/078320号、第WO2013/120104号、第WO2014/124418号、第WO2014/151142号、および第WO2015/023915号に記載されたとおりである。
【実施例0104】
本明細書に記載された開示をより完全に理解することができるように、以下の実施例を本明細書に開示する。これらの実施例は、単に説明目的のものであり、いかなる形でも本開示を限定するものと解釈されるべきではないと理解すべきである。
【0105】
実施例1
3CLpro阻害剤のスクリーニング
SARS-CoV-2 3CLproの一連の非共有結合性バインダーを親和性スクリーニングによって同定し、次いで、それらを3CLproの基質結合ポケットへドッキングすることによってスコア付けした;分子ドッキング研究において高ランクであったこれらのうち3種の分子を合成した(図1A)。
【0106】
実施例2
例示的化合物の合成
本開示の化合物は、標準的な化学的慣習に従って、あるいは以下の合成スキームおよび式I、IIa、IIb-1、IIb-2、IIc、IIIa、IIIb-1、IIIb-2、IIIc、IVa、またはIVb-2の化合物、化合物1から23、その互変異性体、該化合物もしくは該互変異性体の重水素化誘導体、または前述のものの薬学的に許容される塩から選択される化合物の調製についての説明を含めて、本明細書に記載されたとおり作製され得る。
【0107】
一般的スキーム
式Iの化合物は、下記の一般的スキームAからDまでに図示された例示合成手順を使用して調製され得る。一般的スキームAからDまでで具体的に定義されていない可変要素、例えばR、R、R、V、V、V、V、W、W、W、W、m、n、およびoなどは、本開示における式Iで定義されたとおりである。
【0108】
一般的スキームA
【化14】
【0109】
一般的スキームB
【化15】
【0110】
一般的スキームC
【化16】
【0111】
一般的スキームD
【化17】
【0112】
一般的スキームAからDに図示されたステップaからdの試薬および条件は、以下である:(a)DIPEA、ジメチルホルムアミド(DMF)、80℃、16時間;(b)3M塩化水素-酢酸エチル(HCl・EA)、CHCl、1時間;(c)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0113】
化合物2および類似体化合物10、18、19、20、21、22、23
化合物2およびその類似体(例えば、化合物10、18、19、23)を代表例として使用して、式Iの化合物を調製するためのプロセスは、スキーム1に記載された一般的反応ステップを含む。化合物I-2およびI-3などのスキーム1中の分子に示す波線の結合
【化18】

は、結合の立体化学が、化合物18および19の場合のように未定義(例えば、
【化19】

であり、これは、
【化20】

のラセミ混合物であり得る)であってもよく、または化合物2、10、および23の場合のように
【化21】

であってもよいことを示す。追加の化合物2類似体、例えば化合物20、21、および22などは、下にさらに記載されるスキーム1に図示された合成手順を改変することにより調製され得る。
【0114】
スキーム1:化合物2、10、18、19、23の調製
【化22】
【0115】
スキーム1に図示され、下にさらに記載されるステップaからdの試薬および条件は、以下である:(a)1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、CHClまたはジクロロメタン(DCM)、0℃、2時間;(b)DIPEA、ジメチルホルムアミド(DMF)、80℃、16時間;(c)3M塩化水素-酢酸エチル(HCl・EA)、CHCl、1時間;(d)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0116】
ステップa:N-メチル-5-ブロモ-2-フルオロ-3-ニトロベンズアミド(I-1)の合成
ジクロロメタン(20mL)中の5-ブロモ-2-フルオロ-3-ニトロ安息香酸(0.8g、3.80mmol)の溶液を0℃で撹拌した。次いで、HATU(2.0g、5.25mmol)、DIPEA(1.88ml、11.4mmol)およびメチルアミン塩酸塩(0.31g、4.5mmol)を反応物に添加した。混合物を0℃で2時間撹拌し、混合物が透明になった。混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機層を飽和ブライン溶液で洗浄した。次いで、有機相を無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。最後に、混合物をクロマトグラフィーにより精製して、化合物I-1を黄色固体(0.8g、収率76%)として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.48 (dd, J = 5.5, 2.5 Hz, 1H), 8.26 (dd, J = 6.5, 2.5 Hz, 1H), 6.62 (s, 1H), 3.07 (d, J = 4.8 Hz, 3H). ESI-MS: m/z 276.87 [M+H]+.化合物I-1のNMRおよび質量分析特徴付けデータを図2Aおよび2Bに提示する。
【0117】
ステップb:tert-ブチル-2-((4-ブロモ-2-(メチルカルバモイル)-6-ニトロフェニル)アミノ)シクロヘキシル)カルバメート(I-2)の合成
DMF(15mL)中の化合物I-1(0.8g、2.9mmol)の溶液を室温で撹拌した。次いで、tert-ブチル((1S,2R)-2-アミノシクロヘキシル)カルバメート(0.75g、3.5mmol)(この試薬の対応する立体異性体を使用して、化合物I-2(1)の立体異性体を合成することができる)およびDIPEA(1.44ml、8.7mmol)を反応物に添加した。混合物を80℃に加温し、16時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を飽和ブライン溶液で洗浄した。次いで、有機相を無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮して、化合物I-2(1)をさらに精製することなく黄色固体として得た。黄色固体。
【化23】
【0118】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 8.64 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 3.72 (s, 1H), 3.51 (m, 1H), 2.76 (d, J = 4.5 Hz, 3H), 1.54 (m, 4H), 1.41-1.15 (m, 13H). ESI-MS: m/z 371.00 [M-Boc+H]+.
化合物I-2(1)のNMRおよび質量分析特徴付けデータを図3Aおよび3Bに提示する。
【0119】
ステップc:2-(2-アミノシクロヘキシル)アミノ)-5-ブロモ-N-メチル-3-ニトロベンズアミド塩酸塩(I-3)の合成
無水ジクロロメタン(6mL)中の化合物I-2(1)(90mg、0.19mmol)(または対応する立体異性体)の溶液を室温で撹拌した。次いで、HCl(4mL、酢酸エチル中3M)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮して、化合物I-3をさらに精製することなく黄色固体として得た。
【0120】
ステップd:N-((1S,2R)-2-((4-ブロモ-2-(メチルカルバモイル)-6-ニトロフェニル)アミノ)シクロヘキシル)イソ-キノリン-4-カルボキサミド(化合物2)、N-((1S,2R)-2-((4-ブロモ-2-(メチルカルバモイル)-6-ニトロフェニル)アミノ)シクロヘキシル)-7-ヒドロキシイソキノリン-4-カルボキサミド(化合物10)、またはN-((1S,2R)-2-((4-ブロモ-2-(メチルカルバモイル)-6-ニトロフェニル)アミノ)シクロヘキシル)-5-ヒドロキシイソキノリン-4-カルボキサミド(化合物23)の合成
無水DMF(6mL)中の対応するイソキノリン-4-カルボン酸(1当量)およびHATU(1.5当量)の溶液を室温で撹拌した。次いで、化合物I-3およびDIPEA(5.0当量)を添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を飽和ブライン溶液で洗浄した。次いで、有機相を無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。最後に、混合物をクロマトグラフィーにより精製して、化合物2、化合物10、または化合物23を黄色固体(収率30%~80%)として得た:
【0121】
化合物2:1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 9.37 (s, 1H), 8.69 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 8.64 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.19-8.15 (m, 2H), 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.80 (m, 1H), 7.75-7.69 (m, 2H), 4.34 (s, 1H), 3.76 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 2.76 (d, J = 4.6 Hz, 3H), 1.81-1.72 (m, 2H), 1.69-1.49 (m, 4H), 1.46-1.30 (m, 2H).化合物2のNMRスペクトルデータを図4に提示する。
【0122】
化合物10:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 10.62 (s, 1H), 9.10 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.02 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 7.56 (m, 2H), 7.49 (m, 1H), 7.33-7.27 (m, 2H), 6.90 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 3.99 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 2.98 (d, J = 4.8 Hz, 3H), 2.03-1.48 (m, 8H). ESI-MS: m/z 542.00 [M+H]+.化合物10のNMRおよび質量分析特徴付けデータを図5Aおよび5Bに提示する。
【0123】
化合物23:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 10.66 (s, 1H), 9.13 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.88 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.56 (m, 3H), 7.35 (m, 2H), 6.91 (s, 1H), 4.32 (s, 1H), 3.98 (s, 1H), 2.98 (d, J = 4.3 Hz, 3H), 2.03-1.46 (m, 8H). ESI-MS: m/z 542.00 [M+H]+.化合物23のNMRおよび質量分析特徴付けデータを図6Aおよび6Bに提示する。
【0124】
化合物20
化合物20は、スキーム1に図示され、上に記載された合成を改変することにより、すなわち、ステップbにおいて、tert-ブチル-2-アミノシクロヘキシル)カルバメート(0.75g、3.5mmol)またはその対応する立体異性体の代わりに、市販されているtert-ブチル(2-アミノ-3-ヒドロキシシクロヘキシル)カルバメートまたはその立体異性体を使用して、DIPEAおよびジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で、80℃で、16時間、化合物I-1と反応させることにより調製され得る。他の試薬および条件はすべて、上に記載された化合物2、10、18、19、および23の調製と同じである。
【0125】
化合物21および22
化合物21および22は、スキーム1に図示された合成を改変することにより、すなわち、ステップaにおいて、出発材料として異なる化合物(すなわち、5-ブロモ-2-フルオロ-3-ニトロ安息香酸の代わりに5-ブロモ-2-フルオロ-3-スルホ安息香酸(化合物21の場合)または5-ブロモ-3-シアノ-2-フルオロ安息香酸(化合物22の場合)、これらはいずれも市販されている)を使用することにより調製され得る。他の試薬および条件はすべて、上に記載された化合物2、10、18、19、および23の調製と同じである。
【0126】
化合物1
化合物1またはその類似体は、一般的スキーム2に図示された手順を使用して調製され得る。化合物の調製を下記のスキーム3に示す。
【0127】
スキーム2:化合物1およびその類似体の調製のための一般的ステップaおよびb
【化24】
【0128】
スキーム3:化合物1の調製
【化25】
【0129】
スキーム3に図示されたステップaからdの試薬および条件は、以下である:(a)3M HCl・EA、DCM、1時間;(b)HATU、DIPEA、DCM、0℃、2時間;(c)DIPEA、DMF、80℃、16時間;(d)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0130】
化合物7、8、および11
化合物7、8、および11は、下記のスキーム4に図示された手順を使用して調製され得る。
【0131】
スキーム4:化合物7、8、および11の調製
【化26】
【0132】
スキーム4に図示されたステップaからcの試薬および条件は、以下である:(a)HATU、DIPEA、またはDCM、0℃、2時間;(b)DIPEA、DMF、80℃、16時間;(c)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0133】
化合物3および4
化合物3および4は、下記のスキーム5に図示された手順を使用して調製され得る。
【0134】
スキーム5:化合物3および4の調製
【化27】
【0135】
スキーム5に図示されたステップaからcの試薬および条件は、以下である:(a)HATU、DIPEA、またはDCM、0℃、2時間;(b)DIPEA、DMF、80℃、16時間;(c)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0136】
化合物5および6
化合物5および6は、下記のスキーム6に図示された手順を使用して調製され得る。
【0137】
スキーム6:化合物5および6の調製
【化28】
【0138】
スキーム6に図示されたステップaからdの試薬および条件は、以下である:(a)HATU、DIPEA、またはDCM、0℃、2時間;(b)DIPEA、DMF、80℃、16時間;(c)3M HCl・EA、DCM、1時間;(d)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0139】
化合物9、12、15、および16
化合物9、12、15、および16は、下記のスキーム7に図示された手順を使用して調製され得る。
【0140】
スキーム7:化合物9、12、15、および16の調製
【化29】
【0141】
スキーム7に図示されたステップaおよびbの試薬および条件は、以下である:(a)HATU、DIPEA、またはDCM、0℃、2時間;(b)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0142】
化合物13および17
化合物13および17は、下記のスキーム8に図示された手順を使用して調製され得る。
【0143】
スキーム8:化合物13および17の調製
【化30】
【0144】
スキーム8に図示されたステップaからcの試薬および条件は、以下である:(a)HATU、DIPEA、またはDCM、0℃、2時間;(b)DIPEA、DMF、80℃、16時間;(c)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0145】
化合物14
化合物14は、下記のスキーム9に図示された手順を使用して調製され得る。
【0146】
スキーム9:化合物14の調製
【化31】
【0147】
スキーム9に図示されたステップaからdの試薬および条件は、以下である:(a)HATU、DIPEA、またはDCM、0℃、2時間;(b)DIPEA、DMF、80℃、16時間;(c)3M HCl・EA、DCM、1時間;(d)HATU、DIPEA、DMF、室温、12時間。
【0148】
実施例3
in vitro酵素アッセイ結果
図1A中の3種の化合物の3CLproを阻害する能力を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ベースの連続動態アッセイを使用して試験した。蛍光性ペプチドDabcyl-KTSAVLQ↓SGFRKM-E(Edans)(配列番号4)を精製3CLproの基質として使用した。3CLproによる切断後、断片SGFRKM-E(Edans)(配列番号5)が放出され、その蛍光を、それぞれ355nmおよび538nmの励起および発光波長でモニタリングすることができた。
【0149】
3CLproおよび蛍光発生基質(Dabcyl-KTSAVLQ↓SGFRKM-E(Edans)(配列番号4)の最終濃度は、それぞれ100nMおよび100μMであった。簡潔には、アッセイ緩衝液(20mM HEPES 7.4、150mM NaCl、0.01%Triton X-100、1mM DTT)中の組み換え3CLpro(0.4μM)15μLを、各化合物の段階希釈物1.5μLとともに、室温で1時間インキュベートした。384ウェルプレート(Corning、CLS3575)を30℃で5分間予備加温した。次いで、3CLpro/阻害剤混合物11μLを384ウェルプレートに移した。蛍光発生基質29μL(アッセイ緩衝液中138μM)を添加することにより、反応を開始させた。その後、Thermo Varioskan LUXプレートリーダーを使用して、355nmの励起および538nmの発光で、蛍光シグナルを30℃で1分ごとに直ちに測定した。
【0150】
化合物1、2、および8のIC50は、それぞれ165.1nM、64.6nMおよび49.5nMであった(図7A)。
【0151】
化合物2の2種の類似体、化合物10および23(図1B)を合成し、試験した。2種の類似体の1種、化合物23は、化合物2と同様のIC50を示した(図7B)。
【0152】
実施例4
構造生物学研究
本明細書に開示された化合物が3CLproに結合し、その酵素活性を阻害する様式を理解するために、ある特定の阻害剤をSARS-CoV-2 3CLproと共結晶化した。3CLproを大腸菌において過剰発現させ、SARS-CoV 3CLproの生成において使用されたプロトコル(Ref.5)に従って均質になるまで精製した。結晶化の前に、20mM HEPES pH7.4および150mM NaClを含有する緩衝液中の精製SARS-CoV-2 3CLproの10mg/mL保存液を、阻害剤1.5mMとともに、室温で2時間インキュベートし、次いで、沈殿物を遠心分離により除去した。結晶化のために、3CLpro/阻害剤複合体0.2μLを、市販の結晶化キットからのウェル緩衝液0.2μLと混合した。シッティングドロップ蒸気拡散法を使用して、96ウェルプレート中で20℃で結晶を成長させた。回折データをRigaku XtaLAB Synergy Custom回折計で100Kで収集し、Phenixソフトウェアスイート(Ref.7)においてPhaser-MR(Ref.6)を使用して分子置き換えにより解明した。SARS-CoV-2 3CLpro(PDBコード:6Y2E)の結晶構造を初期モデルとして使用した。3CLpro/阻害剤複合体の構造をCoot(Ref.8)およびPhenix(Ref.7)を用いて手動で精密化した。
【0153】
3CLpro/化合物2複合体の結晶構造を分子置き換えにより決定し、1.83Åまで精密化した。化合物2は、3CLproと1:1複合体を形成した。結晶構造において、化合物2の1分子が3CLproの触媒ポケットへ結合し、これにより、3CLpro基質の結合を競合的に阻害した(図8A)。化合物2と3CLproとの間で3つの水素結合が形成した:第1の水素結合は、化合物2のイソキノリン環中の窒素原子とHis163の側鎖との間であり;第2の水素結合は、イソキノリン環に付着したカルボニル基とAsn142の側鎖との間であり;第3の水素結合は、化合物2のメチルカルバモイル基中のカルボニル酸素とGlu166の主鎖アミドとの間であった(図8B)。水素結合に加えて、フェニル環とGln189の側鎖との間のアミノ-π相互作用もまた、化合物2の効力に寄与し;ニトロ基の強い電子求引能により、芳香族環が正電荷を帯び、したがって、この相互作用を著しく増強した可能性がある(Ref.9)。
【0154】
3CLpro/化合物8複合体の結晶構造を1.9Åまで精密化した(図9A)。化合物8は、化合物2の結合と同様に3CLproに結合することが見出され(図9B)、イソキノリン環およびニトロフェニル環が3CLproとの相互作用に重要である一方、それらの間のリンカー領域がそれらを適切な位置に保つことを示唆している。
【0155】
3CLpro/化合物1複合体の結晶構造を1.69Åまで精密化した(図10A)。化合物1のイソキノリン環は、化合物2のイソキノリン環の結合と同様に、残基Asn142、His163およびGlu166により取り囲まれた3CLpro中のポケットへ結合する。イソキノリン環におけるヒドロキシル基は、Asn142の側鎖と追加の水素結合を形成し、化合物1と3CLproとの間の結合に寄与する。ジクロロベンジル基は、His41の側鎖とπ-πスタッキングによって相互作用する。
【0156】
実施例5
細胞アッセイにおける3Clpro阻害剤の抗SARS-CoV-2活性
化合物1、2、および8の抗SARS-CoV-2活性を、A549、VeroE6およびCalu3細胞株を含む、3種の異なる細胞株において測定した。ナノルシフェラーゼ遺伝子をSARS-CoV-2ゲノムに組み込むことにより生成されたナノルシフェラーゼ重症呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2-Nluc)を使用して、宿主細胞を感染させ、次いで、抗ウイルスアッセイを(Ref.10)における方法に従って行った。細胞毒性アッセイもまた、(Ref.10)における方法に従って行った。
【0157】
A549は、癌性ヒト肺胞上皮細胞株である。A549細胞における最も強力な化合物は、化合物2であり、続いて化合物8および化合物1であり、それらのIC50値は、それぞれ12.43nM、38.77nMおよび848.0nMであった(図11A)。A549細胞におけるこれらの化合物の細胞毒性効果もまた評価した。細胞をこれらの化合物の段階希釈保存溶液で3日間処理した。これらすべての化合物の50%細胞毒性濃度(CC50)は、20μM超であった(図11B)。
【0158】
3CLpro阻害剤、特に化合物2はまた、VeroE6細胞(図12A)およびCalu3細胞(図12B)においてSARS-CoV-2複製を阻害する高い効力を示した。
【0159】
上記の試験結果は、SARS-CoV-2 3CLproのいくつかの非共有結合性小分子阻害剤、例えば、化合物1、2、および8が、宿主細胞におけるコロナウイルス複製を有効に遮断したことを示した。例として、化合物2は、無細胞酵素アッセイおよび細胞ベースの抗SARS-CoV-2アッセイの両方において高い効力を示した。化合物2、ならびに化合物10、18、および23などであるがこれらに限定されないその類似体は、コロナウイルス、例えばCOVID-19などにより引き起こされる疾患または疾患の症状の処置に使用することができる。
【0160】
配列分析は、SARS-CoV 3CLproおよびMERS-CoV 3CLproにおいて化合物2を取り囲む残基が高度に保存されていることを示し(図13および表2)、化合物2およびその類似体がコロナウイルス3CLプロテアーゼの汎阻害剤となり得ることを示唆している。
【0161】
【表2】
【0162】
参考文献
1. A. R. Fehr, S. Perlman, Coronaviruses: an overview of their replication and pathogenesis. Methods Mol. Biol. 1282, 1-23 (2015).
2. P. Zhou et al., A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin. Nature. 579, 270-273 (2020).
3. J. Lei, Y. Kusov, R. Hilgenfeld, Nsp3 of coronaviruses: Structures and functions of a large multi-domain protein. Antiviral Res. 149, 58-74 (2018).
4. T. Pillaiyar, M. Manickam, V. Namasivayam, Y. Hayashi, S.-H. Jung, An Overview of Severe Acute Respiratory Syndrome-Coronavirus (SARS-CoV) 3CL Protease Inhibitors: Peptidomimetics and Small Molecule Chemotherapy. J. Med. Chem. 59, 6595-6628 (2016).
5. X. Xue et al., Production of authentic SARS-CoV M(pro) with enhanced activity: application as a novel tag-cleavage endopeptidase for protein overproduction. J. Mol. Biol.366, 965-975 (2007).
6. A. J. McCoy et al., Phaser crystallographic software. J Appl Crystallogr. 40, 658-674 (2007).
7. D. Liebschner et al., Macromolecular structure determination using X-rays, neutrons and electrons: recent developments in Phenix. Acta Crystallogr D Struct Biol. 75, 861-877 (2019).
8. P. Emsley, B. Lohkamp, W. G. Scott, K. Cowtan, Features and development of Coot. Acta Crystallogr. D Biol. Crystallogr. 66, 486-501 (2010).
9. H. Wang, W. Wang, W. J. Jin, σ-Hole Bond vs π-Hole Bond: A Comparison Based on Halogen Bond. Chem. Rev. 116, 5072-5104 (2016).
10. X. Xie et al., A nanoluciferase SARS-CoV-2 for rapid neutralization testing and screening of anti-infective drugs for COVID-19. Nat Commun. 11, 5214-11 (2020).
【0163】
本開示および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更、改変、および変化をそこに加えることができることが当業者には容易に認識されよう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
【配列表】
2022108241000001.app
【外国語明細書】