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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108291
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】炭化装置
(51)【国際特許分類】
   C10B 49/02 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
C10B49/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003151
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】520246294
【氏名又は名称】株式会社SAI
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】横山 喜代志
(57)【要約】
【課題】ロケットストーブの原理を用いて、ドラム缶などの収容部に収容された被炭化物を均一に炭化させるようにした炭化装置を提供する。
【解決手段】被炭化物9を収容する収容部5に隣接して、木材などの固体燃料20を投入する焚口2と、当該焚口2から水平方向に沿って設けられる第一ヒートライザー4を設け、その第一ヒートライザー4の熱流を、底板52の下方に設けられた下方空間53に通す。そして、そこから一部の熱流を、底板52を介して被炭化物9の間を通し、被炭化物9を炭化させる。そして、その炭化する際に生じた可燃性ガスを第二ヒートライザー6の排出口61に戻し、第二ヒートライザー6からの炎によって燃焼させて、可燃性ガスの排出を防止できるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料を投入する焚口と、
当該焚口から水平方向に沿って設けられ、固体燃料の炎を通す第一ヒートライザーと、
当該第一ヒートライザーに外部から空気を取り入れる空気取入口と、
前記第一ヒートライザーから排出された熱流を上昇させる第二ヒートライザーと、
前記第一ヒートライザーもしくは前記第二ヒートライザーを通る熱流によって炭化される被炭化物を収容する収容部と、を備え、
当該収容部内で被炭化物を炭化させる際に生ずる可燃性ガスを、前記第一ヒートライザーもしくは第二ヒートライザーから排出される炎によって燃焼させるようにしたことを特徴とする炭化装置。
【請求項2】
前記第一ヒートライザーもしくは第二ヒートライザーから排出された熱流を、前記収容部の下方に設けられたメッシュ状の底板の下方空間に通し、当該下方空間から被炭化物を介して通された熱流を、前記第一ヒートライザーもしくは第二ヒートライザーから排出された熱流に戻して燃焼させるようにした請求項1に記載の炭化装置。
【請求項3】
前記収容部を傾斜させて設けるようにした請求項1に記載の炭化装置。
【請求項4】
前記収容部の下方に、被炭化物から排出された液体を回収する回収部を設けた請求項1に記載の炭化装置。
【請求項5】
前記炭化させる際に生ずる可燃性ガスを、第一ヒートライザーの排出口側に戻して燃焼させる場合、前記収容部の上方から収容部内を通して前記下方空間に向かう循環路を通して第一ヒートライザーの排出口側に戻して燃焼させるようにした請求項1に記載の炭化装置。
【請求項6】
さらに、外部から注水された水を蒸発させて前記収容部内に噴霧させる注水管を設けるようにした請求項1に記載の炭化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材や籾殻など(以下、「被炭化物」と称する)を炭化させるようにした炭化装置に関するものであり、より詳しくは、ロケットストーブの原理を用いて被炭化物を炭化させるようにした炭化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、農地などでは、炭を土壌に散布することによって、その炭に微生物を増殖させて土地を豊かにする方法などが提案されている。
【0003】
ところで、このように炭を土壌に散布する場合、木材や籾殻などの被炭化物を炭化させて散布させる必要があるが、零細農家が多い現状のもとでは、コストの掛かる炭化装置を導入することが難しい。
【0004】
そこで、簡易なドラム缶などを用いて被炭化物を炭化させるようにした方法も提案されている(非特許文献参照)。
【0005】
このドラム缶を用いた炭化装置は、図6に示すように、ドラム缶101の外側に木材などの固体燃料20を投入する焚口102と、その焚口102に投入された固体燃料20を燃焼させる際に、外部から空気を取り入れる空気取入口102aと、その空気取入口102aや焚口102から水平方向に設けられた第一ヒートライザー103と、その第一ヒートライザー103からドラム缶101の中央を通って上方に向かうように設けられた第二ヒートライザー104とを備え、第二ヒートライザー104を通る上昇気流によってロケット噴射のように炎を発生させるようにしたものである。そして、このドラム缶101の中央に設けられた第二ヒートライザー104からの熱をドラム缶101の内部に伝達させ、ドラム缶101の外周部と第二ヒートライザー104との間に投入された被炭化物9を炭化させるようにしたものである。このような装置を用いれば、ドラム缶101や金属製パイプなどの材料を用いるだけで、比較的低コストに被炭化物9を炭化させることができるようになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://www.youtube.com/watch?v=wbrfuDTXHR4(2020/12/14確認)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなロケットストーブの原理を用いて被炭化物9を炭化させる場合、次のような問題を生ずる。
【0008】
すなわち、被炭化物9を炭化させる場合、炭を生成する途中でそこから可燃性ガスが発生してしまい、これに引火してしまうと、ドラム缶101の周囲が炎に包まれてしまうことになる。また、このようにドラム缶101が炎に包まれてしまうと、順次焚口102から木材などの固体燃料20を投入させることもできなくなり、被炭化物9を炭化させることができなくなるといった問題もある。
【0009】
また、従来の炭化装置では、中央に設けられた第二ヒートライザー104から伝わる熱によって被炭化物9を炭化させるようにしているが、ドラム缶101の外周近傍や上下部分などでは、温度が低いため、炭化にむらを生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、ロケットストーブの原理を用いて被炭化物を炭化させる際に、可燃性ガスの漏れを防止できるようにするとともに、被炭化物を均一に炭化させることができるようにした炭化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、固体燃料を投入する焚口と、当該焚口から略水平方向に沿って設けられ、固体燃料の炎を通す第一ヒートライザーと、当該第一ヒートライザーに外部から空気を取り入れる空気取入口と、前記第一ヒートライザーから排出された熱流を上昇させる第二ヒートライザーと、前記第一ヒートライザーもしくは前記第二ヒートライザーを通る熱流によって炭化される被炭化物を収容する収容部と、を備え、当該収容部内で被炭化物を炭化させる際に生ずる可燃性ガスを、前記第一ヒートライザーもしくは第二ヒートライザーから排出される炎によって燃焼させるようにしたものである。
【0012】
このように構成すれば、被炭化物を炭化させる際に生じる可燃性ガスを燃焼させることで、可燃性ガスが漏れて引火してしまうことがなくなる。また、可燃性ガスを燃焼させることで、被炭化物を均一に加熱することができるようになるとともに、焚口に投入する固体燃料の量を少なくした状態で、炭化させることもできるようになる。
【0013】
また、このような発明において、前記第一ヒートライザーもしくは第二ヒートライザーから排出された炎などの熱流を、前記収容部の下方に設けられたメッシュ状の底板の下方空間に通し、当該下方空間から被炭化物の隙間を通った熱流によって炭化された被炭化物からの可燃性ガスを、前記第一ヒートライザーもしくは第二ヒートライザーの排出口側に戻して燃焼させるようにする。
【0014】
このように構成すれば、底板から上昇する熱流によって、底板の上に収容された被炭化物を広く炭化させることができるようになる。
【0015】
さらに、前記収容部を傾斜させて設けるようにする。
【0016】
このように構成すれば、炭化の際に生ずる木酢液を下方に集めることができるようになる。
【0017】
また、前記収容部の下方に、被炭化物から排出された木酢液を回収する回収部を設けるようにする。
【0018】
このように構成すれば、木酢液を回収することができ、その回収した木酢液を用いて農作物の害虫忌避などに使用することができるようになる。
【0019】
また、前記炭化させる際に生ずる可燃性ガスを、第一ヒートライザーから排出された炎によって燃焼させる場合、前記収容部の上方から収容部内を通して前記下方空間に向かう循環路を通して可燃性ガスを戻して燃焼させるようにする。
【0020】
このように構成すれば、循環路によって可燃性ガスと熱流を戻すことができるため、その循環路に近い被炭化物にも熱を伝えて炭化させることもできるようになる。
【0021】
また、外部から注水された水を蒸発させて前記収容部内に噴霧させる注水管を設けるようにする。
【0022】
このように構成すれば、炭化後の被炭化物に水蒸気を噴霧させることで、活性炭を生成することができるようになるとともに、被炭化物を冷却させて、いち早く被炭化物を取り出すことができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、固体燃料を投入する焚口と、当該焚口から略水平方向に沿って設けられ、固体燃料の炎を通す第一ヒートライザーと、当該第一ヒートライザーに外部から空気を取り入れる空気取入口と、前記第一ヒートライザーから排出された熱流を上昇させる第二ヒートライザーと、前記第一ヒートライザーもしくは前記第二ヒートライザーを通る熱流によって炭化される被炭化物を収容する収容部と、を備え、当該収容部内で被炭化物を炭化させる際に生ずる可燃性ガスを、前記第一ヒートライザーもしくは第二ヒートライザーから排出される炎によって燃焼させるようにしたので、炭化処理の際に発生する可燃性ガスが漏れて引火してしまうことがなくなる。また、可燃性ガスを燃焼させることで、被炭化物を均一に加熱することができるようになるとともに、焚口に投入する固体燃料の量を少なくした状態で、炭化させることもできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一の実施の形態における炭化装置を示す図
図2】他の実施の形態における炭化装置を示す図
図3】他の実施の形態における炭化装置を示す図
図4】他の実施の形態における炭化装置を示す図
図5】他の実施の形態における炭化装置を示す図
図6】従来例におけるロケットストーブの原理を用いた炭化装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第一の実施の形態における炭化装置1について、図1を用いて説明する。
【0026】
この実施の形態における炭化装置1は、ロケットストーブの原理を用いて木材や籾殻などの被炭化物9を炭化させるようにしたものであって、木材などの固体燃料20が投入される焚口2と、その焚口2から略水平方向に向かって伸びる管状の第一ヒートライザー4と、その第一ヒートライザー4に外部の空気を吸い込むための空気取入口3と、前記第一ヒートライザー4から排出された熱流を上昇させる第二ヒートライザー6と、被炭化物9を収容する収容部5と、を設けて構成される。そして、特徴的に、この実施の形態では、収容部5の下方にメッシュ状の底板52を設け、その底板52の下方に設けられた下方空間53に第二ヒートライザー6から排出された炎などの熱流を通し、そこから、熱流の一部をメッシュ状の底板52から被炭化物9を介して上昇させて、被炭化物9に直接熱流を当てて炭化させるとともに、その際に生じた可燃性ガスを第二ヒートライザー6の排出口61側に戻して燃焼させるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
まず、固体燃料20が投入される焚口2は、木材などを上から順次投入できるようにしたものであり、上方部分に設けられた開口部分から固体燃料20を順次投入できるように構成される。
【0028】
一方、この焚口2の下方に接続される第一ヒートライザー4は、略水平方向に沿って伸びるように設けられる管状のものであって、焚口2に投入された固体燃料20の炎を通し、その熱流を第二ヒートライザー6に流入させるように構成されている。この第一ヒートライザー4や焚口2は、蓋51の内側に設けられた第二ヒートライザー6に対して挿入可能に設けられており、これによって、第一ヒートライザー4などを取り外して、コンパクトに収容できるようにするとともに、焚口2で燃焼した灰などを逆向けにして回収できるようにしている。
【0029】
空気取入口3は、焚口2で燃焼する固体燃料20に空気を供給し、その空気を第一ヒートライザー4に通せるようにしたもので、ここでは、焚口2の下方側面に開口部などを設けて構成される。この空気取入口3を設ける場合、焚口2の下方から更に下方に第二空気取入口31を設けておき、そこから直接外気を第二ヒートライザー6に取り入れられるようにして、第二ヒートライザー6での火力を強めるようにしてもよい。
【0030】
一方、第一ヒートライザー4が連結される第二ヒートライザー6は、収容部5の蓋51の内側に取り付けられており、第一ヒートライザー4の熱流を上昇させ、その上昇気流によって、火力を強められるように構成されている。この第二ヒートライザー6の上端側の排出口61は、収容部5の内側から少し離れた位置に設けられており、そこから炎などの熱流を収容部5内に排出できるようにしている。
【0031】
収容部5は、内部に被炭化物9を収容できるようにしたものであって、ここでは、ドラム缶などの廃材を傾斜させて用いられる。この収容部5の下方には、下方空間53を有するように底板52が設けられており、その上に被炭化物9を収容できるようになっている。この底板52は、被炭化物9が下方空間53に落ちないようにするとともに、下方空間53の熱流を被炭化物9に通すことができるようにしたメッシュ状(微小孔を複数有するものも含む)のものが用いられる。このとき、角材などのように比較的大きい被炭化物9を炭化させる場合は、目の粗い底板52が用いられ、また、籾殻などのように小さい被炭化物9を炭化させる場合は、目の細かい底板52が用いられる。なお、ここでは、底板52の上に被炭化物9を載せただけの状態にしているが、図2に示すように、第二ヒートライザー6から排出された炎を、直接被炭化物9に当てないようにするための内蓋55を設け、その内蓋55に設けられた穴56から可燃性ガスを排出させるようにしてもよい。なお、このような穴56を設ける場合、その穴56から可燃性ガスが勢いよく噴出してしまい、第二ヒートライザー6からの熱流を遮断して、炎の勢いが弱くなる可能性がある。このため、図3に示すように、穴56を下方側に向けて開口させておき、これによって、可燃性ガスを下方に向けて噴出させて、第二ヒートライザー6からの熱流を加速させるようにしてもよい。
【0032】
また、この傾斜した収容部5の下端側には、被炭化物9から排出された木酢液を回収する回収部54が設けられる。そして、この回収部54によって回収された木酢液は、害虫忌避や害虫駆除などに用いられる。
【0033】
この回収部54の近傍における収容部5には、燃焼させた排ガスを上方に排出させるための排出管8が設けられる。
【0034】
この排出管8には、外部の注水口82から水を注入することができるとともに、その水を排出管8の熱によって気化させた水蒸気を被炭化物9側に噴出させることができるようにした注水管81が設けられる。この注水管81を用いる場合、炭化処理が終了した時点で、外部の注水口82から水を注水し、排出管8内の熱によって水を気化させて、被炭化物9に水蒸気を噴出させるようにする。
【0035】
次に、このように構成された炭化装置1を用いて炭を生成する際の作用について説明する。
【0036】
まず、被炭化物9を炭化させる場合、収容部5の蓋51(内蓋55が設けられている場合は、その蓋51と内蓋55)を外し、メッシュ状の底板52の上に被炭化物9を投入する。このとき、被炭化物9は、それぞれの間に若干の隙間を有するように収容しておき、その間に熱流を通しやすくしておく。そして、蓋51(および内蓋55)を閉じて密閉する。
【0037】
そして、焚口2に火の付いた木材などの固体燃料20を投入する。すると、焚口2の炎は、焚口2の隙間や、空気取入口3から空気を取り込み、略水平方向に沿った第一ヒートライザー4に流れ込んでいく。このように第一ヒートライザー4から流れ込んだ熱流は、収容部5の下方空間53に流れ込んでいき、また、第二空気取入口31から取り入れられた空気は、直接、第二ヒートライザー6に送り込まれるようになる。
【0038】
このように第一ヒートライザー4の炎などの熱流は、第二ヒートライザー6に送り込まれ、そこから上昇していく。すると、その上昇気流によって、さらに、空気取入口3や第二空気取入口31から空気が勢いよく取り込まれ、火力が強くなった状態で燃焼する。このように勢いよく燃焼した炎などの熱流は、第二ヒートライザー6の排出口61から収容部5に排出される。
【0039】
すると、その熱流は、被炭化物9に接しながら(あるいは、図2のように、内蓋55が設けられている場合は、内蓋55に接しながら)隙間空間を通して、下方空間53に導かれ、そこから、メッシュ状の底板52を介して、被炭化物9の間を通って上昇していく。このとき、被炭化物9に沿って流れる熱流や、底板52を介して流入した熱流によって、被炭化物9を加熱して炭化させていく。
【0040】
このように被炭化物9を炭化させると、その被炭化物9から可燃性ガスが発生するが、この可燃性ガスは、第二ヒートライザー6の排出口61側に排出され、そこで、第二ヒートライザー6からの炎によって燃焼し、以下、同様に、被炭化物9に接しながら下方空間53に導かれる。
【0041】
なお、このとき、炭化処理によって木酢液が排出されることになるが、このような木酢液は、メッシュ状の底板52から滴下され、回収部54で回収される。
【0042】
一方、収容部5内で燃焼した排ガスは、排出管8から排出されるようになる。
【0043】
このように炭化処理が終了すると、今度は、U字状の注水管81の注水口82に水を入れる。すると、その水は、排出管8の中の同じ高さ位置まで注水され、排出管8の熱によって蒸発する。すると、その水蒸気が、注水管81から収容部5内に噴霧され、その被炭化物9を活性炭にすることができるとともに、被炭化物9を冷却させることができるようになる。
【0044】
そして、一定時間冷却させた後、蓋51(もしくは内蓋55)を取り外し、収容部5内の炭化された被炭化物9を取り出す。
【0045】
このように、上記実施の形態によれば、木材などの固体燃料20を投入する焚口2と、当該焚口2から水平方向に沿って設けられ、固体燃料20の炎を通す第一ヒートライザー4と、当該第一ヒートライザー4に外部から空気を取り入れる空気取入口3と、前記第一ヒートライザー4を通る炎を上昇させる第二ヒートライザー6と、被炭化物9を収容する収容部5の下方に設けられたメッシュ状の底板52と、当該底板52を介して、第二ヒートライザー4から排出された熱流を被炭化物9の隙間に通し、その際に発生する被炭化物9の可燃性ガスを、前記第二ヒートライザー6の排出口61側に戻して燃焼させるようにしたので、可燃性ガスが漏れて引火してしまうことがなくなる。また、可燃性ガスを燃焼させることで、被炭化物9を均一に加熱することができるようになるとともに、焚口2に投入する固体燃料20の量を少なくした状態で、炭化させることもできるようになる。
【0046】
<第二の実施の形態>
【0047】
次に、第二の実施の形態における炭化装置1について、図4図5を用いて説明する。
【0048】
この実施の形態における炭化装置1は、第一の実施の形態と同様に、木材などの固体燃料20が投入される焚口2と、その焚口2から水平方向に向かって伸びる管状の第一ヒートライザー4と、その第一ヒートライザー4に外部の空気を吸い込むための空気取入口3と、被炭化物9を収容する収容部5と、前記第一ヒートライザー4から排出された熱流を上昇させる第二ヒートライザー6とを設けて構成される。そして、特徴的に、この実施の形態では、収容部5の下方にメッシュ状の底板52を設け、その底板52の下方に設けられた下方空間53に第一ヒートライザー4からの熱流を通し、そこから、熱流の一部をメッシュ状の底板52から被炭化物9を介して上昇させて、被炭化物9に直接熱流を当てて炭化させるとともに、その際に生じた可燃性ガスを循環路7を介して、再び、第一ヒートライザー4側の下方空間53に戻して燃焼させるようにしたものである。また、残りの一部の熱流については、中央に設けられた第二ヒートライザー6を通して上昇気流を生じさせ、焚口2からの炎を勢いよく流入させるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。なお、固体燃料20が投入される焚口2や、第一ヒートライザー4、空気取入口3などの構成は、第一の実施の形態と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0049】
一方、第一ヒートライザー4が連結される収容部5は、上部に設けられた蓋51を取り外すことによって、内部に被炭化物9を収容できるようにしたものであって、ここでは、縦型のドラム缶などが用いられる。この収容部5の下方には、下方空間53を有するように底板52が設けられ、その上に被炭化物9を収容できるようにしている。この底板52は、被炭化物9が下方空間53に落ちないようにするとともに、下方空間53の熱流を被炭化物9に通せるようなメッシュ状(微小孔を複数有するものも含む)のものが用いられる。また、この収容部5の蓋51は、図4に示すように、収容部5の上部のみを覆うように設けて第二ヒートライザー6を突出させるようにしてもよく、あるいは、図5に示すように、収容部5の外周部を全体的に覆うようにするとともに、第二ヒートライザー6の上部に連結させる排出管8を設け、これによって第二ヒートライザー6の熱流を排出させるようにしてもよい。
【0050】
第二ヒートライザー6は、収容部5の下方空間53の中央部分から蓋51の上方まで通るように設けられるもので、第一ヒートライザー4から下方空間53を経て排出された熱流を上昇させ、その上昇気流によって空気取入口3から勢いよく空気を取り込めるように構成されている。この第二ヒートライザー6には、側面に穴62を設けておき、そこから、被炭化物9の可燃性ガスを吸い込んで燃焼させるようにしてもよい。
【0051】
一方、この収容部5の内側に沿った外周部分には、底板52を介して被炭化物9の隙間を通る熱流や、被炭化物9を炭化させる際に発生する可燃性ガスを、再び下方空間53に戻すための循環路7が設けられる。この循環路7は、被炭化物9の収容に邪魔にならないように、収容部5の内壁に沿って複数のパイプを設ける方法や、あるいは、円筒状の収容部5の内側に、径の小さい筒状の部材を収容することで、その隙間に熱流を通せるようにする方法も採用することができる。
【0052】
次に、このように構成された炭化装置1を用いて炭を生成する際の作用について説明する。
【0053】
まず、被炭化物9を炭化させる場合、収容部5の蓋51を外し、メッシュ状の底板52の上に被炭化物9を投入する。このとき、被炭化物9は、それぞれの間に若干の隙間を有するように収容しておき、その間に熱流を通しやすくしておく。
【0054】
そして、蓋51を閉じて密閉するとともに、焚口2に火の付いた木材などの固体燃料20を投入する。すると、焚口2の炎は、焚口2の隙間や、空気取入口3から空気を取り込み、水平方向に沿った第一ヒートライザー4に流れ込んでいく。このように第一ヒートライザー4から流れ込んだ熱流は、収容部5の下方空間53に流れ込んでいく。
【0055】
次に、この下方空間53に流れ込んだ熱流の一部は、上向に向けて設けられた第二ヒートライザー6の内部を通って上昇し、その上昇気流によって気流を加速させるようになる。そして、その気流の加速により、焚口2から空気を勢い良く吸い込んで、炎を強くして熱流を高温にさせる。
【0056】
一方、下方空間53に流れ込んだ熱流のうち、他の一部の熱流は、メッシュ状の底板52から被炭化物9の隙間を通って上昇し、そこで、被炭化物9を炭化させる。すると、その熱流によって被炭化物9から可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスが、循環路7を介して下方空間53に戻るようになる。
【0057】
このように、循環路7によって戻された可燃性ガスは、第一ヒートライザー4から排出された炎によって下方空間53で燃焼され、第二ヒートライザー6から排出されるか、あるいは、再び、メッシュ状の底板52や被炭化物9の隙間を通って上昇していく。これにより、被炭化物9の隙間を通る熱流によって、再び被炭化物9を炭化させることができるとともに、炭化時に発生する可燃性ガスを燃焼させることができるようになる。また、この可燃性ガスを燃焼させることにより、固体燃料20を多く投入しなくても、収容部5の可燃性ガスを燃料として使用することができるため、燃焼効率を良くすることができる。
【0058】
このように、上記実施の形態によれば、木材などの固体燃料20を投入する焚口2と、当該焚口2から水平方向に沿って設けられ、固体燃料20の炎を通す第一ヒートライザー4と、当該第一ヒートライザー4に外部から空気を取り入れる空気取入口3と、前記第一ヒートライザー4を通り、被炭化物9を収容する収容部5の下方空間53を通る炎を上昇させる第二ヒートライザー6と、前記収容部5の下方に設けられたメッシュ状の底板52を介して、第一ヒートライザー4から排出された熱流を被炭化物9の隙間に通し、その際に発生する被炭化物9の可燃性ガスを、前記第一ヒートライザー4の排出口41側である下方空間53に戻す循環路7などを設けて、第一ヒートライザー4からの炎で燃焼させるようにしたので、被炭化物9からの可燃性ガスを燃焼させて、煙の発生や火柱の発生を防止することができるようになる。また、可燃性ガスを燃焼させることで、被炭化物9を均一に加熱することができるようになるとともに、可燃性ガスを利用して燃焼させることで、焚口2に投入する固体燃料20の量を少なくした状態で、炭化させることもできるようになる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0060】
例えば、上記実施の形態として、収容部5にドラム缶を例に挙げて説明したが、矩形形状のものであってもよい。また、ブロックや土などによって収容部5を形成するようなものであってもよい。また、ドラム缶を複数連結させて収容部5を構成するようにしてもよい。この場合、収容部5が長くなった場合は、被炭化物9を収容しにくくなるため、ドラム缶の側面などに開閉可能な蓋を設けて、側面から被炭化物9を投入できるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、底板52の上に被炭化物9を載せて炭化させるようにしたが、底板52を設けることなく被炭化物9を収容し、その被炭化物9に第二ヒートライザー6からの熱流を当てて炭化させるようにしてもよい。
【0062】
また、上記第一の実施の形態では、蓋51の内側に第二ヒートライザー6を設けるようにしたが、蓋51の外側に第二ヒートライザー6を設けるようにしてもよい。
【0063】
また、上記第一の実施の形態では、注水管81をU字状に蛇行させるようにしたが、W状に二回蛇行させ、最後の直線部分の管を排出管8内に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1・・・炭化装置
2・・・焚口
20・・・固体燃料
3・・・空気取入口
4・・・第一ヒートライザー
5・・・収容部
52・・・底板
53・・・下方空間
55・・・内蓋
56・・・穴
6・・・第二ヒートライザー
61・・・排出口
7・・・循環路
8・・・排出管
81・・・注水管
9・・・被炭化物
図1
図2
図3
図4
図5
図6