(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108314
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】床矯正装置、及び床間隔調整器
(51)【国際特許分類】
A61C 7/10 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
A61C7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003212
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】521018708
【氏名又は名称】医療法人はなだ歯科クリニック
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】花田 真也
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052JJ07
(57)【要約】
【課題】歯列に対して歯科矯正のために要する力をより一層効果的に作用させることが可能な床間隔調整装置、及びこれを備えた床矯正装置の提供を目的とした。
【解決手段】床間隔調整装置50は、第一固定部材60と、第二固定部材70と、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔を調整可能とする間隔調整機構80とを有する。間隔調整機構80は、第一固定部材60及び第二固定部材70の離反方向に付勢する付勢部材82をなすスプリング88と、可動域を規制する可動域規制部材86とを有する。間隔調整機構80は、第一固定部材60が第一付勢部材挿通部64を有し、第二固定部材70が第二付勢部材挿通部74を有し、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔の拡張に応じ、スプリング88を自然長の長いものに変更可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材のうち一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するための床間隔調整装置であって、
前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、
前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、
前記間隔調整機構が、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、
前記間隔調整機構が、
前記付勢部材をなすスプリングを有し、
前記第一固定部材が、
前記スプリングの第一の端部が挿通される第一付勢部材挿通部を有し、
前記第二固定部材が、
前記スプリングの第二の端部が挿通される第二付勢部材挿通部を有し、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材の間隔の拡張に応じ、前記スプリングを自然長の長いものに変更可能であることを特徴とする床間隔調整装置。
【請求項2】
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において歯茎側に向く底面の端部、歯先側に向く天面の端部、側方に向く側面と前記底面との境界部、及び、前記側面と前記天面との境界部のうち、少なくともいずれかが、面取り形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の床間隔調整装置。
【請求項3】
前記スプリングを支持する支持部材を有し、
前記支持部材が、
前記スプリングを内挿あるいは外挿可能な筒体、あるいは軸体を備え、前記スプリングと共に前記第一付勢部材挿通部及び前記第二付勢部材挿通部に挿通可能なものであり、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材の間隔の拡張に応じ、前記支持部材の長さを段階的あるいは連続的に延長可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の床間隔調整装置。
【請求項4】
前記面取り形状が、前記第一付勢部材挿通部、及び前記第二付勢部材挿通部の開口形状に沿う形状とされていることを特徴とする請求項2に記載の床間隔調整装置。
【請求項5】
歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材のうち一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するための床間隔調整装置であって、
前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、
前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、
前記間隔調整機構が、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において歯茎側に向く底面の端部が面取り形状とされていることを特徴とする床間隔調整装置。
【請求項6】
歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材のうち一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するための床間隔調整装置であって、
前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、
前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、
前記間隔調整機構が、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において歯先側に向く天面の端部が面取り形状とされていることを特徴とする床間隔調整装置。
【請求項7】
歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材のうち一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するための床間隔調整装置であって、
前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、
前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、
前記間隔調整機構が、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、
前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において側方に向く側面と歯茎側に向く底面との境界部、及び、前記側面と歯先側に向く天面との境界部のいずれか一方又は双方が面取り形状とされていることを特徴とする床間隔調整装置。
【請求項8】
前記可動域規制部材が、
前記第一固定部材、及び前記第二固定部材に亘って設けられた連結体と、
位置決部材とを有し、
前記第一固定部材が、
前記連結体の第一の端部が軸線方向に向けてスライド可能に挿通される第一連結体挿通部を有し、
前記第二固定部材が、
前記連結体の第二の端部が軸線方向に向けてスライド可能に挿通される第二連結体挿通部を有し、
前記位置決部材が、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材に対し、第一連結体挿通部及び第二連結体挿通部に挿通された前記連結体を、軸線方向に段階的あるいは無段階に位置決めするものであることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の床間隔調整装置。
【請求項9】
歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置であって、
口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材と、
前記複数の床部材をなす第一床部材、及び第二床部材の間隔を調整する床間隔調整装置とを有し、
前記床間隔調整装置が、請求項1~8のいずれかに記載のものであることを特徴とする床矯正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科矯正に用いられる床矯正装置、及び当該床矯正装置に用いられる床間隔調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科矯正においては、下記特許文献1に開示されているような歯間拡張器等が用いられている。特許文献1の歯間拡張器は、2個の圧力伝達ナットを備えると共に、これらのナットが作動スクリューに螺合した構成とされている。また、この歯間拡張器は、スクリューを介して一対の案内ロッドを平行に配置したものとされている。一対の案内ロッドの各端部には、カラー状のストッパが一体に設けてある。また、ナットには、外側面に開口する凹部が設けられており、凹部の肩部にストッパが係合し、案内ロッドの両端から凹部の深さ分だけ余計に軸方向外方へ突き出るように構成されている。凹部の内側面には、プラスチックライニングが施されている。
【0003】
従来技術においては、例えば、歯科用レジン等によって構成された一対の床部材に対し、上述した歯間拡張器のようなものを埋設させたものが、歯科矯正において口腔内に装着するためのものとして提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術の歯間拡張器等を歯科矯正において用いる場合には、歯科矯正のために歯列に対して与える力を適切な状態に調整するのが困難であるという問題がある。具体的には、従来技術の歯間拡張器は、スクリューを回転操作することにより、一対の床部材の間隔を調整することができるものの、間隔調整は口腔内に装着する前に行う必要がある。そのため、従来技術の歯間拡張装置では、口腔内に設置可能な程度までしか一対の床部材の間隔を広げることができず、歯列に対して与える力の最適化が図りにくいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、床部材の一をなす第一床部材に対して固定される第一固定部材と、床部材の他の一をなす第二床部材との間隔を調整可能とするための間隔調整機構として、第一固定部材及び第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、第一固定部材及び第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを備えたものについて検討を重ねた。その結果、本発明者らは、上述した従来技術の歯間拡張器等に見られたような問題は解消できるとの知見を得た。しかしながら、歯科矯正能力のさらなる向上を図るためには、歯列に対してより一層効果的に力を作用させることができるよう、さらなる改善が必要であるとの知見に至った。
【0007】
そこで本発明は、歯列に対して歯科矯正のために要する力をより一層効果的に作用させることが可能な床間隔調整装置、及びこれを備えた床矯正装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが上述したような付勢部材により発現する付勢力を利用する構成の床間隔調整装置を検討したところ、付勢部材としてスプリングを用いた場合には、第一固定部材及び第二固定部材の間隔が広げることにより、両者の間隔が狭いときよりも付勢力が小さくなってしまうとの知見に至った。そのため、第一固定部材及び第二固定部材の間隔が広がった状態においても、両者の間隔が狭いときと同様に歯科矯正のために十分な大きさの付勢力を発揮できるようにしたいとの知見に至った。
【0009】
(1)かかる知見に基づいて提供される本発明の床間隔調整装置は、歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材の一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するためのものであって、前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、前記間隔調整機構が、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、前記間隔調整機構が、前記付勢部材をなすスプリングを有し、前記第一固定部材が、前記スプリングの第一の端部が挿通される第一付勢部材挿通部を有し、前記第二固定部材が、前記スプリングの第二の端部が挿通される第二付勢部材挿通部を有し、前記第一固定部材及び前記第二固定部材の間隔の拡張に応じ、前記スプリングを自然長の長いものに変更可能であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の床間隔調整装置は、第一固定部材及び第二固定部材の間隔の拡張に応じ、スプリングを自然長の長いものに変更可能なものとされている。そのため、本発明の床間隔調整装置では、第一固定部材及び第二固定部材の間隔が広がった状態においても、両者の間隔が狭いときと同様に大きな付勢力を第一床部材及び第二床部材を介し、歯列に対して作用させることができる。従って、本発明によれば、歯列に対して歯科矯正のために要する力をより一層効果的に作用させ、歯科矯正の効果をより一層向上させることができる。
【0011】
ここで、床矯正装置が歯科矯正機能を十分発揮できるようにするためには、上述した床間隔調整装置の形状をより一層最適化することが望ましい。本発明者らが鋭意検討したところ、歯科矯正機能を十分発揮させるためには、歯の先端側(歯先側)に力を作用させるよりも、歯茎側(歯槽骨側)に力を作用させられる形状とすることが望ましいとの知見を得た。また、床部材を可能な限り薄肉化できるよう、床間隔調整装置の形状を最適化することが好ましいとの知見を得た。さらに、口腔内における舌の位置等を考慮すると、口腔内の奥側ではなく手前側に床間隔調整装置を配置できるよう、床間隔調整装置の形状を最適化することが望ましいとの知見を得た。
【0012】
(2)かかる知見に基づけば、上述した本発明の床間隔調整装置は、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において歯茎側に向く底面の端部、歯先側に向く天面の端部、側方に向く側面と前記底面との境界部、及び、前記側面と前記天面との境界部のうち、少なくともいずれかが、面取り形状とされているものであると良い。
【0013】
かかる構成によれば、床矯正装置が歯科矯正機能を十分発揮できるよう、床間隔調整装置の形状を最適化できる。具体的には、床間隔調整装置において、床矯正装置の装着状態において歯茎側に向く底面の端部を面取形状とすることにより、口腔内において床矯正装置を可能な限り歯茎側(歯槽骨側)に配置し、歯茎側(歯槽骨側)において力を作用させることが期待できる。また、床間隔調整装置において、歯先側に向く天面の端部を面取り形状とすることにより、床部材を可能な限り薄肉化できるよう、形状の最適化を図ることができる。また、床間隔調整装置において、側方に向く側面と底面との境界部や、側面と天面との境界部を面取り形状とすることにより、口腔内において床間隔調整装置の配置に要する幅(左右方向の長さ)を抑制し、口腔内の奥側ではなく手前側に床間隔調整装置を配置できるよう、形状の最適化が図れる。
【0014】
(3)上述した本発明の床間隔調整装置は、前記スプリングを支持する支持部材を有し、前記支持部材が、前記スプリングを内挿あるいは外挿可能な筒体、あるいは軸体を備え、前記スプリングと共に前記第一付勢部材挿通部及び前記第二付勢部材挿通部に挿通可能なものであり、前記第一固定部材及び前記第二固定部材の間隔の拡張に応じ、前記支持部材の長さを段階的あるいは連続的に延長可能なものであると良い。
【0015】
かかる構成によれば、第一固定部材及び第二固定部材の間隔が拡張したとしても、スプリングをしっかりと支持できる。これにより、例えば、がたつき等の不具合を生じることなく安定して使用可能な床間隔調整装置を提供できる。
【0016】
(4)上述した本発明の床間隔調整装置は、前記面取り形状が、前記第一付勢部材挿通部、及び前記第二付勢部材挿通部の開口形状に沿う形状とされているものであると良い。
【0017】
かかる構成によれば、面取り形状が形成された部分において、第一固定部材及び第二固定部材の肉厚を最小限に抑制し、床間隔調整装置のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
ここで、上述したように、本発明者らが鋭意検討した結果、床矯正装置が歯科矯正機能を十分発揮できるようにするためには、床間隔調整装置の形状を、歯の先端側(歯先側)に力を作用させるよりも、歯茎側(歯槽骨側)に力を作用させられる形状とすることが望ましいとの知見を得た。具体的には、床間隔調整装置により発現する付勢力が歯先側に作用すると、歯の傾斜が変化してしまう懸念がある。これに対し、床間隔調整装置により発現する付勢力を歯茎側(歯槽骨側)に作用させることができれば、歯の傾斜を変化させることなく、歯間を広げられる可能性が高くなる。
【0019】
(5)かかる知見に基づいて提供される本発明の床間隔調整装置は、歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材のうち一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するためのものであって、前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、前記間隔調整機構が、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において歯茎側に向く底面の端部が面取り形状とされていることを特徴とするものである。
【0020】
かかる構成の床間隔調整装置によれば、口腔内において床矯正装置を可能な限り歯茎側(歯槽骨側)に配置し、歯茎側(歯槽骨側)において力を作用させることが期待できる。これにより、床間隔調整装置により発現する付勢力を歯茎側(歯槽骨側)に作用させることができれば、歯の傾斜を変化させることなく、歯間を広げられる可能性が高まる。従って、本発明の床間隔調整装置を床矯正装置に用いれば、歯の傾斜が変化するのを最小限に抑制しつつ、歯間が歯科矯正に適した状態になるように歯列に対して外力を作用させることができる。
【0021】
ここで、上述したように、本発明者らが鋭意検討した結果、床矯正装置において床部材を可能な限り薄肉化するためには、床間隔調整装置の形状を最適化することが好ましいとの知見を得た。具体的には、床矯正装置の厚みが厚いと、装着感が良くなく、口腔内における舌の位置等に悪影響を及ぼし、ひいては歯科矯正の効果が半減してしまう懸念がある。かかる懸念を払拭すべく本発明者らが鋭意検討したところ、床間隔調整装置の形状を最適化することにより、床矯正装置の厚みを抑制することが好ましいとの知見に至った。
【0022】
(6)かかる知見に基づいて提供される本発明の床間隔調整装置は、歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材のうち一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するためのものであって、前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、前記間隔調整機構が、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において歯先側に向く天面の端部が面取り形状とされていることを特徴とするものである。
【0023】
かかる構成の床間隔調整装置によれば、床矯正装置の厚みを最小限に抑制できる。すなわち、本発明の床間隔調整装置は、第一固定部材及び第二固定部材の外面のうち、床矯正装置の装着状態において歯先側に向く天面の端部が面取り形状とされている。このような構成とされているため、例えば、第一床部材や第二床部材に対して第一固定部材や第二固定部材を埋設する等して固定する際に、面取り形状とすることにより削減された容積分だけ、口腔の内側を向く面(歯先側に向く面)部分をコンパクト化できる。これにより、床矯正装置の厚みを最小限に抑制し、装着感が良く、口腔内における舌の位置等に悪影響を及ぼすことなく使用できるようにするために最適な床間隔調整装置を提供できる。
【0024】
ここで、上述したように、本発明者らが鋭意検討した結果、床矯正装置の装着時における口腔内での舌の位置等を考慮すると、口腔内の奥側ではなく手前側に床間隔調整装置を配置できるよう、床間隔調整装置の形状を最適化することが望ましいとの知見を得た。
【0025】
(7)かかる知見に基づいて提供される本発明の床間隔調整装置は、歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられる床矯正装置において、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材のうち一をなす第一床部材、及び他の一をなす第二床部材の間隔を調整するためのものであって、前記第一床部材に対して固定される第一固定部材と、前記第二床部材に対して固定される第二固定部材と、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の間隔を調整可能とする間隔調整機構とを有し、前記間隔調整機構が、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への付勢力を発現する付勢部材と、前記第一固定部材及び前記第二固定部材が離反する方向への可動域を規制する可動域規制部材とを有し、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材の外面のうち、前記床矯正装置の装着状態において側方に向く側面と歯茎側に向く底面との境界部、及び、前記側面と歯先側に向く天面との境界部のいずれか一方又は双方が面取り形状とされていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の床間隔調整装置のように、第一固定部材及び第二固定部材において、側方に向く側面と底面との境界部や、側面と天面との境界部を面取り形状とすることにより、口腔内において床間隔調整装置の配置に要する幅(左右方向の長さ)を抑制できる。これにより、口腔内の奥側ではなく手前側に床間隔調整装置を配置できるよう、形状の最適化が図られた床間隔調整装置を提供できる。
【0027】
(8)上述した本発明の床間隔調整装置は、前記可動域規制部材が、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材に亘って設けられた連結体と、位置決部材とを有し、前記第一固定部材が、前記連結体の第一の端部が軸線方向に向けてスライド可能に挿通される第一連結体挿通部を有し、前記第二固定部材が、前記連結体の第二の端部が軸線方向に向けてスライド可能に挿通される第二連結体挿通部を有し、前記位置決部材が、前記第一固定部材、及び前記第二固定部材に対し、第一連結体挿通部及び第二連結体挿通部に挿通された連結体を、軸線方向に段階的あるいは無段階に位置決めするものであると良い。
【0028】
本発明の床間隔調整装置では、第一固定部材及び第二固定部材に対し、位置決部材によって連結体を位置決めすることにより、第一固定部材及び第二固定部材の間隔を軸線方向に段階的あるいは無段階に調整できる。そのため、本発明の床間隔調整装置によれば、第一床部材及び第二床部材の間隔を歯科矯正に最適な状態にして使用可能な床矯正装置の提供に貢献できる。
【0029】
(9)本発明の床矯正装置は、歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられるものであって、口腔内において歯列に対して内側に配置される複数の床部材と、前記複数の床部材をなす第一床部材、及び第二床部材の間隔を調整する床間隔調整装置とを有し、前記床間隔調整装置が、上述した本発明に係るものであることを特徴とする。
【0030】
かかる構成によれば、歯列に対して歯科矯正のために要する力をより一層効果的に作用させることが可能な床矯正装置を提供できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、歯列に対して歯科矯正のために要する力をより一層効果的に作用させることが可能な床間隔調整装置、及びこれを備えた床矯正装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る床矯正装置を歯列に対して装着した状態を示す写真であり、(a)は上顎に装着した状態、(b)は下顎に装着した状態を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る床間隔調整装置を示す平面図である。
【
図3】
図2の床矯正装置を分解した状態を示す平面図である。
【
図5】第一固定部材及び第二固定部材を内側面側から見た状態を示す側面図である。
【
図6】
図2の床矯正装置における第一固定部材及び第二固定部材と、支持部材及び付勢部材とを分解した状態を示す断面図である。
【
図7】
図2の床矯正装置における第一固定部材及び第二固定部材と、連結体及び位置決部材とを分解した状態を示す断面図である。
【
図8】床間隔調整装置の使用態様における第一の状態を示す平面図である。
【
図9】床間隔調整装置の使用態様における第二の状態を示す平面図である。
【
図10】床間隔調整装置の使用態様における第三の状態を示す平面図である。
【
図11】床間隔調整装置の使用態様における第四の状態を示す平面図である。
【
図12】床間隔調整装置の使用態様における第五の状態を示す平面図である。
【
図13】床間隔調整装置の使用態様における第六の状態を示す平面図である。
【
図14】床間隔調整装置の使用態様における第七の状態を示す平面図である。
【
図15】床間隔調整装置の使用態様における第八の状態を示す平面図である。
【
図16】床間隔調整装置の使用態様における第九の状態を示す平面図である。
【
図17】比較例に係る床間隔調整装置を上顎に設置した状態を示す平面図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る床間隔調整装置を上顎に設置した状態を示す平面図である。
【
図19】比較例に係る床間隔調整装置を上顎に設置した状態を示す背面図である。
【
図20】本発明の実施形態に係る床間隔調整装置を上顎に設置した状態を示す背面図である。
【
図21】比較例に係る床矯正装置を下顎に装着した状態を天面側から見た状態を示す写真である。
【
図22】本発明の実施形態に係る床矯正装置を下顎に装着した状態を天面側から見た状態を示す写真である。
【
図23】比較例に係る床矯正装置を下顎に装着した状態を正面側から見た状態を示す写真である。
【
図24】本発明の実施形態に係る床矯正装置を下顎に装着した状態を正面側から見た状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係る床矯正装置10、及びこれに用いられる床間隔調整装置50について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、先ず床矯正装置10及び床間隔調整装置50の構成について説明し、その後これらの使用態様について説明する。
【0034】
<床矯正装置10及び床間隔調整装置50の構成について>
床矯正装置10は、歯科矯正のために口腔内に着脱自在に取り付けられるものである。床矯正装置10は、
図1(a)に示すように上顎に用いられるもの、
図1(b)に示すように下顎に用いられるものがある。床矯正装置10は、上顎、下顎のいずれに用いられるものについても、床部材20や、クラスプ30、床間隔調整装置50等を有する。
【0035】
床部材20は、口腔内において歯列に対して内側に配置される部材である。床部材20は、例えば歯科用レジン等の樹脂や金属等により形成されている。床部材20は、複数のパーツから構成されている。具体的には、
図1に示す例において、床部材20は、第一床部材22、及び第二床部材24の2つのパーツによって構成されている。
【0036】
クラスプ30は、床矯正装置10を歯列に対して装着した状態で維持するために設けられている。クラスプ30は、床部材20に埋設する等して固定されると共に、歯列をなす臼歯や犬歯、中切歯、側切歯等に係合するように形成されている。
【0037】
床間隔調整装置50は、上述した床部材20を構成する第一床部材22、及び第二床部材24の間隔を調整するための装置である。
図2~
図7等に示すように、床間隔調整装置50は、第一固定部材60、第二固定部材70、間隔調整機構80等の部材によって構成されている。床間隔調整装置50は、略同一の構成とされた一対のパーツである第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔を、間隔調整機構80によって調整可能とされたものである。床間隔調整装置50をなす略全部のパーツが金属製とされている。
【0038】
図1に示すように、第一固定部材60は、第一床部材22に対して埋設して固定される部材である。第一固定部材60は、扁平な形状とされた金属製の部材である。
図1~
図7に示すように、第一固定部材60は、天面60a、底面60b、外側面60c、内側面60d、正面60e、及び背面60fを有する。第一固定部材60は、天面60aと底面60bと間隔に相当する厚み、外側面60cと内側面60dとの間隔に相当する幅、正面60eと背面60fとの間隔に相当する奥行きを有する。第一固定部材60の大きさは、床矯正装置10の大きさに応じて適宜設定可能であるが、
【0039】
第一固定部材60は、天面60aが床矯正装置10を患者が装着した状態において歯先側に向き、底面60bが歯茎側に向く姿勢とされ、第一床部材22に固定される。また、第一固定部材60は、外側面60cが床矯正装置10の装着状態において左右方向(幅方向)の外側を向き、内側面60dが左右方向の内側を向く姿勢とされ、第一床部材22に固定される。また、第一固定部材60は、床矯正装置10の装着状態において、正面60eが奥行き方向手前側、背面60fが奥側に向く姿勢とされ、第一床部材22に固定される。
【0040】
第一固定部材60は、第一連結体挿通部62、及び第一付勢部材挿通部64,64を有する。第一連結体挿通部62は、後に詳述する可動域規制部材86を構成する連結体90の一端側(第一端部)が軸線方向へスライド可能なように挿通される部分である。また、第一付勢部材挿通部64は、後に詳述する間隔調整機構80において付勢部材として機能するスプリング88及び支持部材84の一端側(第一の端部)が挿通される部分である。
【0041】
第一連結体挿通部62、及び第一付勢部材挿通部64,64は、それぞれ第一固定部材60の内側面60dに向けて開口し、内側面60d側から外側面60c側に向けて延びるように形成された穴である。第一連結体挿通部62、及び第一付勢部材挿通部64,64は、それぞれ外側面60c側に貫通したものであっても良いが、いずれも外側面60c側には非貫通とされている。第一連結体挿通部62は、奥行き方向の略中央部(正面60eと背面60fとの間の略中央部)、かつ厚み方向の略中央部(天面60aと底面60bとの間の略中央部)を中心とし、略円形に開口している。第一付勢部材挿通部64,64は、それぞれ第一連結体挿通部62に対して奥行き方向一方側及び他方側(正面60e側、及び背面60f)に隣接する位置であって、厚み方向の略中央に相当する位置を中心とし、略円形に開口している。
【0042】
第一固定部材60は、天面60a、底面60b、及び外側面60cの端部に面取り形状とされた部分を有する。具体的には、第一固定部材60は、天面60aと正面60eとの境界をなす部分、及び天面60aと背面60fとの境界をなす部分に面取部60g,60hを有する。また、第一固定部材60は、底面60bと正面60eとの境界をなす部分、及び底面60bと背面60fとの境界をなす部分に面取部60i,60jを有する。また、第一固定部材60は、外側面60cと天面60aとの境界をなす部分、及び外側面60cと底面60bとの境界をなす部分に面取部60k,60lを有する。面取部60g,60h,60i,60jは、第一連結体挿通部62、及び第一付勢部材挿通部64,64の開口形状に沿うように湾曲している。これにより、第一固定部材60の肉厚が最小限に抑制されている。
【0043】
また、第一固定部材60の天面60aには、連通孔60mが設けられている。連通孔60mは、第一連結体挿通部62に沿って幅方向に延びた長円状の開口形状とされている。また、連通孔60mは、第一連結体挿通部62に連通している。
【0044】
第二固定部材70は、第二床部材24に対して埋設して固定される部材である。第二固定部材70は、上述した第一固定部材60と面対称の形状とされており、各部の構成が第一固定部材60と略同一である。以下、第一固定部材60と同様の構成を有する部分については説明を簡略化しつつ、第二固定部材70の構成について説明する。
【0045】
第二固定部材70は、第一固定部材60と同様に、扁平な形状とされた金属製の部材である。第二固定部材70は、天面70a、底面70b、外側面70c、内側面70d、正面70e、及び背面70fを有する。天面70a、底面70b、外側面70c、内側面70d、正面70e、及び背面70fは、それぞれ第一固定部材60は、天面60a、底面60b、外側面60c、内側面60d、正面60e、及び背面60fと同様の構成とされている。また、第二固定部材70の大きさ(厚み、幅、奥行き)が、第一固定部材60と略同一とされている。
【0046】
第二固定部材70は、第一固定部材60と同様に、天面70aが床矯正装置10を患者が装着した状態において歯先側、底面70bが歯茎側、外側面70cが左右方向(幅方向)の外側、内側面70dが左右方向の内側、正面70eが奥行き方向手前側、背面70fが奥側に向く姿勢とされ、第二床部材24に固定される。第二固定部材70は、内側面70dと、第一固定部材60の内側面60dとが略正対するように配置される。
【0047】
第二固定部材70は、第二連結体挿通部72、及び第二付勢部材挿通部74,74を有する。第二連結体挿通部72、及び第二付勢部材挿通部74,74は、上述した第一固定部材60の第一連結体挿通部62、及び第一付勢部材挿通部64,64に対応するものである。第二連結体挿通部72は、後に詳述する可動域規制部材86を構成する連結体90の他端側(第二端部)が軸線方向へスライド可能なように挿通される部分である。また、第二付勢部材挿通部74は、後に詳述する間隔調整機構80において付勢部材として機能するスプリング88及び支持部材84の一端側(第二の端部)が挿通される部分である。
【0048】
第二連結体挿通部72、及び第二付勢部材挿通部74,74は、上述した第一固定部材60における第一連結体挿通部62、及び第一付勢部材挿通部64,64と同様の位置及び構成とされている。すなわち、第二連結体挿通部72、及び第二付勢部材挿通部74,74は、それぞれ第二固定部材70の内側面70dに向けて開口し、内側面70d側から外側面70c側に向けて延びるように形成された穴とされている。
【0049】
第二固定部材70は、第一固定部材60と同様に、天面70a、底面70b、及び外側面70cの端部に面取り形状とされた部分を有する。具体的には、第二固定部材70は、天面70aと正面70eとの境界をなす部分、天面70aと背面70fとの境界をなす部分、底面70bと正面70eとの境界をなす部分、底面70bと背面70fとの境界をなす部分、外側面70cと天面70aとの境界をなす部分、及び外側面70cと底面70bとの境界をなす部分に、面取部70g,70h,70i,70j,70k,70lを有する。面取部70g,70h,70i,70jは、第二連結体挿通部72、及び第二付勢部材挿通部74,74の開口形状に沿うように湾曲している。これにより、第二固定部材70の肉厚が最小限に抑制されている。
【0050】
また、第二固定部材70の天面70aには、連通孔70mが設けられている。連通孔70mは、第一連結体挿通部62に沿って幅方向に延びた長円状の開口形状とされている。ている。また、連通孔70mは、第二連結体挿通部72に連通している。
【0051】
間隔調整機構80は、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔を調整可能とするための機構である。間隔調整機構80は、付勢部材82、支持部材84、可動域規制部材86等を有する。
【0052】
付勢部材82は、第一固定部材60及び第二固定部材70が離反する方向への付勢力を発現させるためのものである。付勢部材82は、付勢力を発揮できるものであればいかなるものであっても良いが、例えば本実施形態のように、スプリング88(コイルバネ)を用いると良い。本実施形態では、付勢部材82が2つ用いられる。すなわち、付勢部材82は、第一固定部材60の第一付勢部材挿通部64,64に一端(第一の端部)が挿通されると共に、第二固定部材70の第二付勢部材挿通部74,74に他端(第二の端部)が挿通されている。そのため、付勢部材82により、第一固定部材60及び第二固定部材70が離反する方向への付勢力を発揮させることができる。また、付勢部材82は、適宜交換可能とされている。そのため、例えば、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔の拡張等に応じ、付勢部材82を適宜自然長の長いものに取り替えることができる。
【0053】
支持部材84は、付勢部材82(スプリング88)を第一付勢部材挿通部64,64及び第二付勢部材挿通部74,74に挿通された状態で支持するための部材である。支持部材84は、例えば、スプリング88を内挿あるいは外挿可能な筒体、あるいは軸体等とすることができる。本実施形態では、支持部材84として、スプリング88を内挿可能な筒体が採用されている。支持部材84は、スプリング88を内挿した状態で、スプリング88と共に第一付勢部材挿通部64,64及び第二付勢部材挿通部74,74に挿通されている。支持部材84についても、付勢部材82と同様に、適宜交換可能とされている。そのため、例えば、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔の拡張等に応じ、付勢部材82の長さに併せて長いものに取り替えることができる。
【0054】
可動域規制部材86は、第一固定部材60及び第二固定部材70が離反する方向への可動域を規制するためのものである。可動域規制部材86は、連結体90、位置決部材92等を有する。
【0055】
連結体90は、第一固定部材60及び第二固定部材70に亘って設けられた長尺の部材である。連結体90は、例えば角棒状のものや、プレート状のもの等、いかなる形状のものであっても良いが、本実施形態では丸棒状のものが用いられている。連結体90の一端側は、第一固定部材60に設けられた第一連結体挿通部62に挿通され、他端側は第二固定部材70の第二連結体挿通部72に挿通されている。そのため、第一固定部材60及び第二固定部材70を連結体90に沿ってスライドさせることにより、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔を適宜調整できる。
【0056】
連結体90には、位置決部材装着部94が複数設けられている。位置決部材装着部94は、位置決部材92が装着される部分である。本実施形態では、位置決部材装着部94は、孔によって構成されている。位置決部材装着部94は、連結体90の軸線方向の略中央部を境として左右それぞれに所定の間隔で複数設けられている。本実施形態では、連結体90の軸線方向の略中央部を境として左右それぞれに3つずつ、隣接する孔の中心同士の間隔が略2mmの間隔で並ぶように設けられている。連結体90は、第一固定部材60及び第二固定部材70の天面60a,70aに設けられた長円状の連通孔60m,70mから位置決部材装着部94が見える姿勢とされ、第一連結体挿通部62及び第二連結体挿通部72に挿通されている。
【0057】
位置決部材92は、第一固定部材60及び第二固定部材70に対し、第一連結体挿通部62及び第二連結体挿通部72に挿通された連結体90を、軸線方向に位置決めするためのものである。位置決部材92は、第一固定部材60及び第二固定部材70に対して連結体90を段階的あるいは無段階に固定可能なものとすることができるが、本実施形態では段階的に固定可能なものとされている。具体的には、位置決部材92は、連結体90に設けられた位置決部材装着部94をなす孔に係合可能なピンやネジ、ボルト等とすることができる。本実施形態では、位置決部材92は、ネジによって構成されている。
【0058】
可動域規制部材86は、第一固定部材60及び第二固定部材70の連通孔60m,70mを介して位置決部材92を差し込み、連結体90の位置決部材装着部94に位置決部材92を係合させることにより、第一固定部材60及び第二固定部材70が離反する方向への可動域を規制できる。可動域の大きさについては、連結体90に複数設けられた位置決部材装着部94のうち、いずれに対して位置決部材92を装着するかによって、多段階に調整できる。
【0059】
ここで、床間隔調整装置50においては、上述したように付勢部材82(スプリング88)によって第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が増大する方向に付勢されている。そのため、床間隔調整装置50は、可動域規制部材86によって可動域を制限することにより、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔を規定することができる。
【0060】
<床矯正装置10及び床間隔調整装置50の使用態様について>
続いて、床矯正装置10及び床間隔調整装置50の使用態様について説明する。床矯正装置10は、床間隔調整装置50により第一床部材22及び第二床部材24の間隔を調整しつつ、第一床部材22及び第二床部材24が歯列に対して内側から当接するように口腔内に嵌め込んで使用される。
【0061】
ここで、上述したように、床間隔調整装置50における第一床部材22及び第二床部材24の間隔調整は、可動域規制部材86を用いて行うことができる。具体的には、床間隔調整装置50は、連結体90に設けられた複数の位置決部材装着部94のうち、いずれの位置に設けられた位置決部材装着部94に位置決部材92を係合させるかによって、第一床部材22及び第二床部材24の間隔を調整できる。そのため、床矯正装置10及び床間隔調整装置50の使用に際しては、歯科矯正の進捗状況に応じて位置決部材92を係合させる位置決部材装着部94の位置を変更し、第一床部材22及び第二床部材24の間隔を徐々に拡張していく。
【0062】
また、第一床部材22及び第二床部材24の間隔を所定値以上に変更する場合には、間隔調整機構80をなす付勢部材82(スプリング88)及び支持部材84を長いものに交換する。本実施形態では、付勢部材82として自然長の短いスプリング88(以下、「短スプリング88a」とも称す)、自然長が短スプリング88aよりも長いスプリング88(以下、「長スプリング88b」とも称す)が使い分けられる。また、短スプリング88a及び長スプリング88bと同様に、支持部材84についても長さの短いもの(以下、「短支持部材84a」とも称す)と、長いもの(以下、「長支持部材84b」とも称す)が使い分けられる。このようにすることにより、第一床部材22及び第二床部材24の間隔が拡張した状態においても、第一床部材22及び第二床部材24の間隔が小さい状態のときと同様に大きな外力を歯列に対して作用させることができる。
【0063】
以下、床矯正装置10及び床間隔調整装置50の使用態様について、第一床部材22及び第二床部材24の間隔拡張の段階毎に説明する。なお、以下の説明においては、連結体90に形成された6つの位置決部材装着部94のうち、最も第一固定部材60側にあるものから順に位置決部材装着部94a,94b,94c,94d,94e,94fと区別して説明する場合がある。また、以下の説明において用いる
図8~
図16においては、床間隔調整装置50のみを図示し、床矯正装置10をなす他の部材(床部材20やクラスプ30等)については図示せず省略する。
【0064】
先ず、
図8に示すように、床矯正装置10の作成段階においては、支持部材84及びスプリング88として、短支持部材84a及び短スプリング88aを床間隔調整装置50の構成部材として組み込んだ状態とされる。また、この段階では、第一固定部材60の天面60aに設けられた連通孔60mから位置決部材92が差し込まれ、連結体90の位置決部材装着部94cに装着される。また、第二固定部材70の天面70aに設けられた連通孔70mからも位置決部材92が差し込まれ、連結体90の位置決部材装着部94d,94eに装着される。これにより、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔(第一床部材22と第二床部材24との間隔)が最小値(例えば略1mm)の状態とされる。
【0065】
床矯正装置10による歯科矯正を開始する際には、
図8の状態から位置決部材装着部94dに装着されていた位置決部材92が取り除かれ、
図9の状態とされる。これにより、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が最小値位置から、位置決部材装着部94d,94eの中心間距離の分だけ、短スプリング88aの付勢力により第一固定部材60及び第二固定部材70の拡張できる範囲(可動域)が広がる。
図9に示す例においては、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略3mmまで拡張できる状態になる。そのため、この状態において歯科矯正のために口腔内に床矯正装置10を装着すると、短スプリング88aにより発現する付勢力の影響により、第一床部材22及び第二床部材24に当接している歯列に対し、歯間を広げる方向に外力を作用させることができる。
【0066】
図9の状態で床矯正装置10の装着を継続的に行うと、やがて
図10に示すように、床矯正装置10を口腔内に装着した状態においても、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略3mmまで拡張した状態になる。このような状態になると、第一床部材22及び第二床部材24に当接している歯列に対して作用する外力が弱まり、歯科矯正機能が低下する。そこで、このような状態になると、位置決部材装着部94cに装着されていた位置決部材92を位置決部材装着部94bに付け替える。これにより、
図11の状態とされる。
図11の状態にすることにより、
図10の状態に比べ、位置決部材装着部94b,94cの中心間距離の分だけ、短スプリング88aの付勢力により第一固定部材60及び第二固定部材70の拡張できる範囲(可動域)が広がる。
図11に示す例においては、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略5mmまで拡張できる状態になる。そのため、この状態において歯科矯正のために口腔内に床矯正装置10を装着することにより、第一床部材22及び第二床部材24に当接している歯列に対し、さらに歯間を広げる方向に外力を作用させることができる。
【0067】
図11の状態で床矯正装置10の装着を継続的に行うと、やがて
図12に示すように、床矯正装置10を口腔内に装着した状態においても、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略5mmまで拡張した状態になる。このような状態になると、第一床部材22及び第二床部材24に当接している歯列に対して作用する外力が弱まり、歯科矯正機能が低下する。また、
図12の状態においては、短スプリング88aが自然長に近い状態まで伸びた状態になっている。そのため、例えば、位置決部材装着部94eに装着されていた位置決部材92を位置決部材装着部94fに付け替える等しても、短スプリング88aによる付勢力が小さく、歯列に対して十分大きな外力を作用させることができない。また、短スプリング88aが短支持部材84aよりも軸線方向外側にはみ出した量が大きくなり、がたつき等の原因になりかねない。
【0068】
そこで、床間隔調整装置50が
図12のような状態になった場合には、
図13に示すように、短スプリング88a及び短支持部材84aを、長スプリング88b及び長支持部材84bに取り替える。また、位置決部材装着部94eに装着されていた位置決部材92を位置決部材装着部94fに付け替える。これにより、
図12の状態に比べ、位置決部材装着部94e,94fの中心間距離の分だけ、長スプリング88bの付勢力により第一固定部材60及び第二固定部材70の拡張できる範囲(可動域)が広がる。
図13に示す例においては、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略7mmまで拡張できる状態になる。そのため、この状態において歯科矯正のために口腔内に床矯正装置10を装着することにより、第一床部材22及び第二床部材24に当接している歯列に対し、さらに歯間を広げる方向に外力を作用させることができる。
【0069】
図13の状態で床矯正装置10の装着を継続的に行うと、やがて
図14に示すように、床矯正装置10を口腔内に装着した状態においても、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略7mmまで拡張した状態になる。このような状態になると、第一床部材22及び第二床部材24に当接している歯列に対して作用する外力が弱まり、歯科矯正機能が低下する。そこで、このような状態になると、位置決部材装着部94bに装着されていた位置決部材92を位置決部材装着部94aに付け替える。これにより、
図15の状態とされる。
図15の状態にすることにより、
図14の状態に比べ、位置決部材装着部94a,94bの中心間距離の分だけ、長スプリング88bの付勢力により第一固定部材60及び第二固定部材70の拡張できる範囲(可動域)が広がる。
図15に示す例においては、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略9mmまで拡張できる状態になる。そのため、この状態において歯科矯正のために口腔内に床矯正装置10を装着することにより、第一床部材22及び第二床部材24に当接している歯列に対し、さらに歯間を広げる方向に外力を作用させることができる。
【0070】
図15の状態で床矯正装置10の装着を継続的に行うと、やがて
図16に示すように、床矯正装置10を口腔内に装着した状態においても、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が略9mmまで拡張した状態になる。このような状態になると、歯並びが矯正された状態になり、歯科矯正を完了して良い状態になる。
【0071】
上述したように、本実施形態の床間隔調整装置50は、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔の拡張に応じ、スプリング88を自然長の長いものに変更可能なものとされている。そのため、本実施形態の床間隔調整装置50では、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が広がった状態においても、両者の間隔が狭いときと同様に大きな付勢力を第一床部材22及び第二床部材24を介し、歯列に対して作用させることができる。従って、本実施形態の床間隔調整装置50及びこれを用いた床矯正装置10によれば、歯列に対して歯科矯正のために要する力をより一層効果的に作用させ、歯科矯正の効果をより一層向上させることができる。
【0072】
上述したように、本実施形態の床間隔調整装置50においては、第一固定部材60、及び第二固定部材70の外面のうち、床矯正装置10の装着状態において歯茎側に向く底面60b,70bの端部、歯先側に向く天面60a,70aの端部、側方に向く外側面60c,70cと底面60b,70bとの境界部、及び、外側面60c,70cと天面60a,70aとの境界部が、いずれも面取り形状とされている。かかる構成とされているため、床矯正装置10は歯科矯正機能を十分発揮できる。
【0073】
具体的には、床間隔調整装置50において、床矯正装置10の底面60b,70bの端部を面取形状とすることにより、口腔内において床矯正装置10を可能な限り歯茎側(歯槽骨側)に配置できる。これにより、歯茎側(歯槽骨側)において力を作用させることが可能となり、高い歯科矯正能力が期待できる。また、床間隔調整装置50は、天面60a,70aの端部を面取り形状としているため、床部材20を可能な限り薄肉化できる。また、床間隔調整装置50は、外側面60c,70cと底面60b,70bとの境界部や、外側面60c,70cと天面60a,70aとの境界部を面取り形状としている。これにより、口腔内において床間隔調整装置50の配置に要する幅(左右方向の長さ)を抑制し、口腔内の奥側ではなく手前側に床間隔調整装置50を配置できる。
【0074】
なお、本実施形態では、底面60b,70bの端部、天面60a,70aの端部、外側面60c,70cと底面60b,70bとの境界部、及び、外側面60c,70cと天面60a,70aとの境界部の全てにおいて面取り形状とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、床間隔調整装置50は、本実施形態において面取り形状とされた部分の一部又は全部を面取り形状としないものとしても良い。また、本実施形態で示した面取り形状は、いわゆるR加工を施したものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆるC面取りのような加工を施したものであっても良い。
【0075】
また、本実施形態では、上述した面取り形状が施された部分が、第一付勢部材挿通部64、及び第二付勢部材挿通部74の開口形状に沿うように湾曲した形状とされている。このような構成とすることにより、面取り形状が形成された部分において、第一固定部材60及び第二固定部材70の肉厚を最小限に抑制し、床間隔調整装置50のコンパクト化を図ることができる。なお、本発明はこれに限定される訳ではなく、例えば、面取り形状が施された部分の形状が、第一付勢部材挿通部64及び第二付勢部材挿通部74の開口形状とは全く相違するもの等であっても良い。
【0076】
また、上述した本実施形態の床間隔調整装置50は、スプリング88を支持する支持部材84を備え、支持部材84がスプリング88を内挿可能な筒体によって構成されたものである。また、支持部材84は、スプリング88と共に第一付勢部材挿通部64及び第二付勢部材挿通部74に挿通可能とされている。さらに、支持部材84は、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔の拡張に応じ、短支持部材84aから長支持部材84bに変更することにより、支持部材84の長さを変更可能なものとされている。このように、支持部材84の長さを変更可能とすることにより、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔が拡張した状態においても、スプリング88等ががたつくことのない床間隔調整装置50及び床矯正装置10を提供できる。
【0077】
なお、本実施形態では、スプリング88を内挿可能な筒体によって支持部材84を形成した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、支持部材84は、例えば、スプリング88を外挿可能な筒体や軸体等としても良い。また、本実施形態では、支持部材84として、短支持部材84a及び長支持部材84bの2種類の長さのものを準備し、適宜入れ替え可能とすることにより、支持部材84の長さを段階的に変更可能とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、支持部材84として、さらに長さの異なるものを複数設け、支持部材84の長さをさらに多段階に変更可能としたり、支持部材84を無段階に長さを変更可能なものとしたりしても良い。
【0078】
また、上述した本実施形態の床間隔調整装置50は、可動域規制部材86を備えており、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔を段階的に調整可能とされている。そのため、本実施形態の床間隔調整装置50によれば、第一床部材22及び第二床部材24の間隔を歯科矯正に最適な状態にして使用可能な床矯正装置10の提供に貢献できる。なお、本実施形態では、第一固定部材60及び第二固定部材70の間隔を、可動域規制部材86によって段階的に調整可能とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一固定部材60及び第二固定部材70を無段階に調整可能なものであっても良い。
【実施例0079】
以下、上述した床間隔調整装置50の実施例、及び比較例に係る床間隔調整装置100ついて説明する。比較例に係る床間隔調整装置100は、上述した床間隔調整装置50と大部分が同一の構成であるが、第一固定部材60の面取部60g,60h,60i,60j,60k,60l,60mや、第二固定部材70の面取部70g,70h,70i,70j,70k,70l,70mを有しておらず、角張った形状である点において相違している。なお、以下の説明において床間隔矯正装置100において、床間隔矯正装置50の第一固定部材60に相当するものを第一固定部材160、第二固定部材70に相当するものを第二固定部材170と称する。
【0080】
図17,
図19はそれぞれ、比較例に係る床矯正装置100を上顎に装着した状態を天面側及び背面側から見た状態、
図21,
図23はそれぞれ比較例に係る床矯正装置100を下顎に装着した状態を天面側及び正面側から見た状態を示す写真である。一方、
図18,
図20はそれぞれ、上記実施形態の床矯正装置50を上顎に装着した状態を天面側及び背面側から見た状態、
図22,
図24はそれぞれ上記実施形態の床矯正装置50を下顎に装着した状態を天面側及び正面側から見た状態を示す写真である。
【0081】
先ず、
図17及び
図19に示すように、上顎に床矯正装置50,100を配置した場合について検討する。
図19と
図20を比較して分かるように、比較例に係る床矯正装置100は、第一固定部材160及び第二固定部材170が角張った形状とされているため、口腔内に配置しようとした場合、口腔内壁に対して近接した位置に配置することができない。すなわち、
図19に示すように床矯正装置100を水平に配置しようとすると、口腔内壁の表面(粘膜)と床矯正装置100との間に大きな隙間が形成される。そのため、床矯正装置100を用いた場合は、床矯正装置の厚みが厚くならざるを得ない。
【0082】
一方、
図20に示すように、上記実施形態に係る床矯正装置50を用いた場合は、第一固定部材60や第二固定部材70の各部に面取加工が施されている。そのため、床矯正装置50は、口腔内壁に対して近接した位置に配置できる。すなわち、
図20に示すように床矯正装置100を水平に配置しても、口腔内壁の表面(粘膜)と床矯正装置50との間に形成される隙間を最小限に抑制できる。そのため、床矯正装置50を用いた場合は、床矯正装置100を用いた場合に比べて床矯正装置を薄型化できる。
【0083】
続いて、
図21及び
図22に示すように、下顎に床矯正装置50,100を配置した場合について検討する。上述した床矯正装置50,100の違いは、下顎に配置する場合についても、上顎に配置する場合と同様の結果であった。具体的には、
図23に示すように、下顎に比較例に係る床矯正装置100を用いた場合には、第一固定部材160及び第二固定部材170が角張った形状とされていることに起因して、口腔内壁に対して近接した位置に配置することができない。これにより、口腔内壁の表面(粘膜)と床矯正装置100との間に大きな隙間が形成されることになり、その分だけ床矯正装置の厚みが厚くならざるを得ない。
【0084】
一方、
図24に示すように、床矯正装置50は、第一固定部材60や第二固定部材70の各部に面取加工が施されているため、口腔内壁に対して近接した位置に配置でき、口腔内壁の表面(粘膜)と床矯正装置50との間に形成される隙間を最小限に抑制できる。従って、床矯正装置50を用いた場合は、下顎に用いる場合においても、床矯正装置100を用いた場合に比べて床矯正装置を薄型化できる。