(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108324
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】内燃機関用燃料の添加剤
(51)【国際特許分類】
C10L 1/222 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
C10L1/222
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003227
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】516300298
【氏名又は名称】株式会社GEHJAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(74)【代理人】
【識別番号】100076576
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 公博
(71)【出願人】
【識別番号】521362807
【氏名又は名称】株式会社三重パーツ販売
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】川口 誠
(57)【要約】
【課題】 低燃費効果を得ることができる内燃機関用の燃料の添加剤を提供する。本添加剤により燃料成分中の炭化水素が分解されると推定され、その結果、より燃料が燃えやすくなり完全燃焼に近くなると推定されることで、燃料の使用効率が良くなると推定され、その結果、燃費が向上する。上記の作用により燃費が向上する結果、即ち、より完全燃焼に近くなることにより、副次的効果として、パワーがアップし、内燃機関へのカーボンの付着も少なくできるものと推定される。
【解決手段】 非イオン界面活性剤、ポリエーテルアミン、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールとを含み、質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.01~0.2、ポリエーテルアミンが0.7~1.5、n-ブチルアルコールが0.2~0.8、イソブチルアルコールが0.2~0.8である内燃機関用の燃料の添加剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン界面活性剤、ポリエーテルアミン、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールとを含み、質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.01~0.2、ポリエーテルアミンが0.7~1.5、n-ブチルアルコールが0.2~0.8、イソブチルアルコールが0.2~0.8であることを特徴とする内燃機関用の燃料の添加剤。
【請求項2】
質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.05~0.1、ポリエーテルアミンが0.8~1.2、n-ブチルアルコールが0.3~0.6、イソブチルアルコールが0.3~0.6である請求項1に記載の内燃機関用の燃料の添加剤。
【請求項3】
ポリエーテルアミンが下記化学式
【化4】
(ここで、Arはアリール基を示す。)
で表されるポリエーテルアミンである請求項1又は2のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤。
【請求項4】
非イオン界面活性剤が、ラウリン酸グリセリン 、モノステアリン酸グリセリン、 ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル
、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール 、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド 、オレイン酸ジエタノールアミド 、ステアリン酸ジエタノールアミド 、オクチルグルコシド 、デシルグルコシド 、ラウリルグルコシド
から選ばれた少なくとも1種の非イオン界面活性剤である請求項1~3のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤の当該燃料への使用割合が、
内燃機関用の燃料がレギュラーガソリンの場合には、レギュラーガソリン30~55リットルに対し70~130mlの割合であり、
内燃機関用の燃料がハイオクタン価ガソリンの場合には、ハイオクタン価ガソリン50~90リットルに対し170~250mlの割合であり、
内燃機関用の燃料が軽油の場合には、軽油60~80リットルに対し120~180mlの割合である
請求項1~4のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤の当該燃料への使用割合が、
内燃機関用の燃料がレギュラーガソリンの場合には、レギュラーガソリン30~55リットルに対し80~120mlの割合であり、
内燃機関用の燃料がハイオクタン価ガソリンの場合には、ハイオクタン価ガソリン50~90リットルに対し180~230mlの割合であり、
内燃機関用の燃料が軽油の場合には、軽油60~80リットルに対し130~170mlの割合である請求項1~4のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料に添加して用いて内燃機関の燃費などを改良するための内燃機関用燃料の添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの内燃機関を稼働させる燃料として、ガソリン、ハイオクガソリン、軽油などが用いられているが、これらの燃料は、通常、内燃機関に供給された燃料のすべてが完全に燃焼されるものではなく40%程度は不完全燃焼で内燃機関の稼働エネルギーとして有効に作用せず大気中に廃棄されている。
【0003】
環境に優しい内燃機関用燃料としてアルコールを含むものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このアルコール系燃料は、アルコール成分を50~75質量%と、炭化水素成分25~49.9質量%とを含んでいる。そして、アルコール成分としてイソプロピルアルコール、イソブチルアルコール及びn-ブチルアルコールを含み、イソプロピルアルコールが15~30質量%、イソブチルアルコールが15~25質量%、またn-ブチルアルコールが7~20質量%含まれている。
【0004】
このようなアルコール系燃料は、メチルアルコール、エチルアルコールなどのような炭素(C)の数が少ないアルコール成分を含んでいないために、軽量化に使用されているアルミニウムないしアルミニウム合金に対する腐食性が少なく、内燃機関の腐食を抑えることができるというメリットがある。
【0005】
一方、内燃機関を稼働させる燃料として、ガソリン、ハイオクガソリン、軽油などを用いる場合の内燃機関のスラッジの発生を抑制する添加剤として、全塩基価が30~400mgKOH/gであるカルシウムサリシレートとを含有する燃料油組成物が提案されており(下記特許文献2参照)、更に添加剤として、例えば、表面着火剤、オクタン価向上剤、セタン価向上剤、抗菌・殺菌剤、防錆剤、堆積物改良剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、耐摩耗剤、清浄剤・分散剤、流動性向上剤、氷結防止剤、アンチノック剤、腐食防止剤、帯電防止剤、助燃剤、染料等から選ばれる1種または2種以上が、合計量で燃料油組成物全量に対して0.0001~50質量%含有され得るとされ、オクタン価向上剤としてメタノール、エタノール、ブタノール、酢酸ブチル、メチル-tert-ブチルエーテル、エチル-tert-ブチルエーテル、メチル-tert-アミルエーテル、N-メチルアニリン、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、テトラエチル鉛等などが挙げられており、清浄剤・分散剤としてリン酸アミド、アミノアルカン、アルキルアミンリン酸エステル、ポリエーテルアミン、ポリブテニルアミン、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステル、サリチル酸金属塩(カルシウムサリシレートを除く)、スルホン酸金属塩、カルボン酸金属塩、ホスホン酸金属塩等が挙げられポリエーテルアミンも示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3918172号公報
【特許文献2】特開2020-164826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の上述した特許文献1に示されたアルコール系燃料は、ガソリン燃料の代替え燃料として提案されたものであり、内燃機関の燃料に添加して用いる添加剤として用いるものではない。また、従来の上記特許文献2に記載のスラッジの発生を抑制する添加剤は、内燃機関を起動さえた場合、内燃機関内へのカーボンの付着や硫酸塩の付着などを防止するのに有効ではあるが、内燃機関での燃料の訳40%近くは完全には燃焼されず、内燃機関を稼働するエネルギーとして十分寄与せず、効率が悪く、近年は地球温暖化防止の観点からさらなる燃費の向上が求められている。また、アルコール類としてエタノール、メタノールなどを用いると近年内燃機関の軽量化に用いられているアルミニウムに対する腐食が問題となり、内燃機関の腐食につながるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、ガソリンや軽油などの内燃機関の燃料に添加して用いることにより、定かではないが燃料成分中の炭化水素が分解されると推定され、その結果、内燃機関稼働時により完全燃焼に近くなると推定され、より完全燃焼に近くなった結果、燃費が向上し、その結果としてパワーがアップし、より完全燃焼に近くなったことにより内燃機関へのカーボンの付着も少なくなり、より完全燃焼に近くなったことにより有害排気ガスの排出を抑えることができると推定され、副次的な効果として、内燃機関の低温(低速)稼働においても内燃機関内部へのカーボンの付着や硫酸塩の付着などを防止し内燃機関内部のクリーン化を図って結果的に低燃費効果を得ることができる添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明の内燃機関用の燃料の添加剤は、次のものである。
【0010】
(1)非イオン界面活性剤、ポリエーテルアミン、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールとを含み、質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.01~0.2、ポリエーテルアミンが0.7~1.5、n-ブチルアルコールが0.2~0.8、イソブチルアルコールが0.2~0.8であることを特徴とする内燃機関用の燃料の添加剤。
【0011】
(2)前記(1)項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤においては、質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.05~0.1、ポリエーテルアミンが0.8~1.2、n-ブチルアルコールが0.3~0.6、イソブチルアルコールが0.3~0.6であることが好ましい。
【0012】
(3)前記(1)項又は(2)項のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤においては、ポリエーテルアミンが次の化学式
【0013】
【化1】
(ここで、Arはアリール基を示す。)で表されるポリエーテルアミンであることが好ましい。
【0014】
(4)前記(1)~(3)項のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤においては、非イオン界面活性剤が、ラウリン酸グリセリン 、モノステアリン酸グリセリン、 ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール 、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド 、オレイン酸ジエタノールアミド 、ステアリン酸ジエタノールアミド 、オクチルグルコシド 、デシルグルコシド 、ラウリルグルコシドから選ばれた少なくとも1種の非イオン界面活性剤であることが好ましい。
【0015】
(5)前記(1)~(4)項のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤においては、前記(1)~(4)項のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤の当該燃料への使用割合が、
内燃機関用の燃料がレギュラーガソリンの場合には、レギュラーガソリン30~55リットルに対し70~130mlの割合であり、
内燃機関用の燃料がハイオクガソリンの場合には、ハイオクガソリン50~90リットルに対し170~250mlの割合であり、
内燃機関用の燃料が軽油の場合には、軽油60~80リットルに対し120~180mlの割合であることが好ましい。
【0016】
(6)前記(1)~(4)項のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤においては、前記(1)~(4)項のいずれか1項に記載の内燃機関用の燃料の添加剤の当該燃料への使用割合が、
内燃機関用の燃料がレギュラーガソリンの場合には、レギュラーガソリン30~55リットルに対し80~120mlの割合であり、
内燃機関用の燃料がハイオクガソリンの場合には、ハイオクガソリン50~90リットルに対し180~230mlの割合であり、
内燃機関用の燃料が軽油の場合には、軽油60~80リットルに対し130~170mlの割合であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の内燃機関用の燃料の添加剤は、非イオン界面活性剤、ポリエーテルアミン、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールとを含み、質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.01~0.2、ポリエーテルアミンが0.7~1.5、n-ブチルアルコールが0.2~0.8、イソブチルアルコールが0.2~0.8であることにより、ガソリンや軽油などの内燃機関の燃料に添加して用い、燃費を改良することができる。すなわち定かではないが燃料成分中の炭化水素が分解されると推定され、その結果、より燃料が燃えやすくなると推定され、内燃機関稼働時により完全燃焼に近くなると推定され、より完全燃焼に近くなったことにより燃料の完全に燃えずに廃棄されてしまう割合が少なくなると推定され、その結果、燃費が向上する。上記の作用により燃費が向上する結果、即ち、より完全燃焼に近くなることにより、副次的効果として、パワーがアップし、より完全燃焼に近くなったことにより内燃機関へのカーボンの付着も少なくでき、より完全燃焼に近くなったことにより有害排気ガスの排出を抑えることもできると推定される。
更には、内燃機関の低温(低速)稼働においても内燃機関内部へのカーボンの付着や硫酸塩の付着などを防止し内燃機関内部のクリーン化を図って有害排気ガスの排出を抑える作用が発揮されると推定され、その結果として低燃費効果を達成することができるものと推定される。
【0018】
(2)本発明の内燃機関用の燃料の添加剤において、各成分の配合割合を前記課題を解決するための手段の(2)項に記載の範囲とすることにより、上記(1)に記載した効果をより好適に達成することができ好ましい。
【0019】
(3)本発明の内燃機関用の燃料の添加剤において、ポリエーテルアミンを前記課題を解決するための手段の(3)項に記載のポリエーテルアミンとすることにより、上記(1)に記載した効果をより好適に達成することができ好ましい。
【0020】
(4)本発明の内燃機関用の燃料の添加剤において、用いる非イオン界面活性剤を前記課題を解決するための手段の(4)項に記載の非イオン界面活性剤とすることにより、上記(1)に記載した効果をより好適に達成することができ好ましい。
【0021】
(5)本発明の内燃機関用の燃料の添加剤において、当該添加剤の内燃機関用燃料への使用割合を前記課題を解決するための手段の(5)項に記載の使用割合とすることにより、上記(1)に記載した効果をより好適に達成することができ好ましい。
【0022】
(6)本発明の内燃機関用の燃料の添加剤において、当該添加剤の内燃機関用燃料への使用割合を前記課題を解決するための手段の(6)項に記載の使用割合とすることにより、前記本発明の添加剤の使用割合が少なすぎて所望の効果の発揮が少なめになる傾向になったり添加量が多すぎて無駄になることもなく上記(1)に記載した効果をより好適に達成することができる最適な使用割合とすることができ好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の内燃機関用の燃料の添加剤において用いるポリエーテルアミンは、すでに市販されており、これらを適宜用いることができる。また、ポリエーテルアミンとして、特に限定されるものではないが、好ましいポリエーテルアミンの一例として下記化学式
【0024】
【化2】
(ここで、Arはアリール基を示す。)で表されるポリエーテルアミンが挙げられる。
【0025】
本発明の内燃機関用の燃料の添加剤において用いる非イオン界面活性剤は、特に限定されるものではないが、ラウリン酸グリセリン;モノステアリン酸グリセリン;ソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;
例えばペンタエチレングリコールモノドデシルエーテルやオクタエチレングリコールモノドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;
例えばオクチルフェノールエトキシレートやノニルフェノールエトキシレートなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンひまし油;ポリオキシエチレン硬化ひまし油;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール;ラウリン酸ジエタノールアミド;オレイン酸ジエタノールアミド;ステアリン酸ジエタノールアミド;オクチルグルコシド;デシルグルコシド;ラウリルグルコシド
などが挙げられる。
【0026】
このうち特に好ましいものは、特に限定するものではないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(RO(CH2CH2O)nH)が好ましい。非イオン界面活性剤を添加することにより、内燃機関の洗浄性、潤滑特性が向上し、パッキンその他の劣化防止作用に貢献する。
【0027】
本発明の内燃機関用の燃料の添加剤には、上述したポリエーテルアミンと非イオン界面活性剤のほかに、更にイソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールを含むことが必要である。
【0028】
これらの成分の含有比率は、質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.01~0.2、ポリエーテルアミンが0.7~1.5、n-ブチルアルコールが0.2~0.8、イソブチルアルコールが0.2~0.8であり、好ましくは質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.05~0.1、ポリエーテルアミンが0.8~1.2、n-ブチルアルコールが0.3~0.6、イソブチルアルコールが0.3~0.6である。
【0029】
かかる配合割合の内燃機関用の燃料の添加剤は、内燃機関用の燃料であるレギュラーガソリンやハイオクタン価ガソリンあるいは、軽油に添加して使用することにより、内燃機関の低温(低速)稼働においても内燃機関内部へのカーボンの付着などを防止し内燃機関内部のクリーン化を図って有害排気ガスの排出を抑える作用が発揮されると推定され、その結果低燃費効果を達成することができる。しかもメチルアルコール及びエチルアルコールのような炭素数が低いアルコールが含まれていないので、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)に対する腐食性が少なく、近年内燃機関の軽量化で使用されるアルミニウム製の内燃機関の添加剤として用いたとしてもその腐食を抑えることができる。
【0030】
上記本発明の内燃機関用の燃料の添加剤においては、内燃機関用の燃料の添加剤の当該燃料への使用割合は、
内燃機関用の燃料がレギュラーガソリンの場合には、レギュラーガソリン30~55リットルに対し70~130mlの割合が好ましく、より好ましくは、80~120mlであり、
内燃機関用の燃料がハイオクガソリンの場合には、ハイオクガソリン50~90リットルに対し170~250mlの割合が好ましく、より好ましくは、180~230mlであり、
内燃機関用の燃料が軽油の場合には、軽油60~80リットルに対し120~180mlの割合であることが好ましく、より好ましくは、130~170mである。
【0031】
添加剤の当該燃料への使用割合を、レギュラーガソリンの場合には、レギュラーガソリン30~55リットルに対する割合としたのは、通常、これらの添加剤は燃料を燃料タンクに満タンに入れたときに添加して使用するのが一般的に行われているので、レギュラーガソリン車の燃料タンクの容量はおよそ30~55リットルであるので、この燃料タンクの容量を基準にしたものである。ハイオクガソリン車の場合には、燃料タンクの容量はおよそ50~90リットルであるものが多いので、この燃料タンクの容量を基準にし、軽油使用車(ディーゼルエンジン車)の場合には、燃料タンクの容量はおよそ60~80リットルのものが多いのでそれらを基準としたものである。
もちろん燃料タンクの容量が大きいもの(例えばトラックなど)や小さいもの(例えば軽自動車など)は、上記割合を考慮して適宜の量を使用すればよい。
【0032】
通常、これらの添加剤は燃料を燃料タンクに満タンに入れたときに添加して使用するのが、一般的に行われているのは、燃料を燃料タンクに満タンに入れない場合、仮に10リットル入れたとしても、燃料タンクに残っていた燃料の量が通常不明であるので、合計何リットルの燃料が燃料タンクに入っているか不明であることが多く、したがって、燃料がほぼ少なくなり燃料を燃料タンクに満タンに入れたときにこれらの添加剤を添加して使用するのが使用割合の一応の目安になるからである。
【0033】
もちろん、まだ燃料がかなり残っている場合において、燃料を追加した場合には、本発明の添加剤の割合は、追加した燃料の量に応じて、上記添加剤の上述した使用割合の範囲内で添加すればよい。
【実施例0034】
(実施例1)
内燃機関用の燃料の添加剤として、質量割合がイソプロピルアルコールを1とした場合に、非イオン界面活性剤が0.08、ポリエーテルアミンが1、n-ブチルアルコールが0.5、イソブチルアルコールが0.5の添加剤で、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(RO(CH2CH2O)nH){ここでRは炭素数9~17のアルキル基を示し、nは5~15の整数である。}に属するペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル (C12H25O(CH2CH2O)5Hを用い、ポリエーテルアミンとして
下記化学式
【0035】
【化3】
(ここで、Arはアリール基を示す。)で表されるポリエーテルアミンを用いた。
【0036】
この添加剤を排気量1000ccのレギュラーガソリン乗用車にレギュラーガソリン50リットルに対し上記添加剤100mlを添加した車A、排気量2000ccのハイオクタン価ガソリン用乗用車にハイオクガソリン70リットルに対し上記添加剤200mlを添加した車B、 排気量2000ccの軽油使用の乗用車に軽油70リットルに対し上記添加剤150mlを添加した車Cをそれぞれ信号のある通常の道路で平均40Km/hrに近い速度(低温稼働に相当)でおよそ20Km走行した場合、比較例1として、添加剤を入れずに同様にテストした場合について、燃費を表1に示した。
【0037】
【0038】
以上の結果から明らかなように本発明の内燃機関用の燃料の添加剤は、ガソリンや軽油などの内燃機関の燃料に添加して用いることにより、低燃費効果を達成できることがわかる。低燃費効果は、本発明の添加剤の添加により燃料成分中の炭化水素が分解されると推定され、その結果、より燃料が燃えやすくなると推定され、内燃機関稼働時により完全燃焼に近くなると推定され、より完全燃焼に近くなったことにより燃料の完全に燃えずに廃棄されてしまう割合が少なくなると推定され、その結果、燃費が向上するものと思われる。上記の作用により燃費が向上する結果、即ち、より完全燃焼に近くなることにより、副次的効果として、パワーがアップし、より完全燃焼に近くなったことにより内燃機関へのカーボンの付着も少なくでき、より完全燃焼に近くなったことにより有害排気ガスの排出を抑えることができたものと思われる。