(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108361
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003296
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】米野 中央人
(72)【発明者】
【氏名】立松 和高
(72)【発明者】
【氏名】川島 佳一郎
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ13
5H609RR27
5H609RR36
5H609RR48
(57)【要約】
【課題】ステータの中心軸線を重力方向に対して交差させるように回転電機を配置した場合にも、コイルエンド部の上方の部分とコイルエンド部の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを極力防止することが可能な回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機100は、ステータ2および冷却部7を備える。冷却部7は、端面冷却部71の上方の部分に設けられた複数の端面上方孔71aの開口面積S11aの合計S11が、端面冷却部71の下方の部分に設けられた複数の端面下方孔71bの開口面積S12aの合計S12よりも大きく構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、前記ステータコアから軸方向外側に突出するコイルエンド部を有するコイルとを含み、中心軸線が重力方向と交差するように配置されたステータと、
前記コイルエンド部の軸方向端面または前記コイルエンド部の外周面の少なくとも一方に向かって冷却用液体を噴射させる複数の噴射孔が設けられた冷却部と、を備え、
前記冷却部は、前記複数の噴射孔のうちの前記ステータの中心軸線よりも前記重力方向とは逆方向である上方に設けられた複数の上方噴射孔の開口面積の合計が、前記ステータの中心軸線よりも前記複数の噴射孔のうちの前記重力方向である下方に設けられた複数の下方噴射孔の開口面積の合計よりも大きく構成されている、回転電機。
【請求項2】
前記冷却部は、前記複数の上方噴射孔の1つ当たりの開口面積が前記複数の下方噴射孔の1つ当たりの開口面積よりも大きく構成されている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記冷却部は、円環状に形成されたオイルジャケットを含み、
前記オイルジャケットには、前記複数の上方噴射孔と前記複数の下方噴射孔との両方が形成されているとともに、前記複数の上方噴射孔および前記複数の下方噴射孔に前記冷却用液体を供給するための共通の冷却流路が内部に形成されており、
前記冷却部は、前記オイルジャケットの中心軸線よりも上方に設けられた前記複数の上方噴射孔の開口面積の合計が、前記オイルジャケットの中心軸線よりも下方に設けられた複数の下方噴射孔の開口面積の合計よりも大きく構成されている、請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記オイルジャケットは、前記コイルエンド部の軸方向端面に沿って設けられ、前記コイルエンド部の軸方向端面に前記冷却用液体を噴射させる端面冷却部を含み、
前記冷却部は、前記端面冷却部に設けられた前記複数の上方噴射孔の開口面積の合計が、前記端面冷却部に設けられた前記複数の下方噴射孔の開口面積の合計よりも大きく構成されている、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記オイルジャケットは、前記端面冷却部と一体的に形成されているとともに、前記コイルエンド部の外周面に沿って設けられ、前記コイルエンド部の外周面に前記冷却用液体を噴射させる外周面冷却部を含み、
前記冷却部は、前記外周面冷却部に設けられた前記複数の上方噴射孔の開口面積の合計が、前記外周面冷却部に設けられた前記複数の下方噴射孔の開口面積の合計よりも大きく構成されている、請求項4に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルエンド部を有するコイルを備える回転電機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、コイルを有するステータと冷却手段とを備える回転電機が開示されている。コイルは、ステータの軸方向に突出する部分であるコイルエンド部を含む。そして、冷却手段は、コイルエンド部の外周面に冷媒を噴射する複数の噴射孔を有する外周冷却部と、コイルエンド部の軸方向端面に冷媒を噴射する複数の噴射孔を有する端面冷却部とを含む。そして、コイルエンド部は、複数の噴射孔から噴射される冷媒によって冷却されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、ステータの軸方向を重力方向に対して直交させるように、上記特許文献1に記載された回転電機を配置することが考えられる。この場合、冷媒には、重力方向(ステータの軸方向に直交する方向)に重力が作用する。このため、冷媒に重力が作用することに起因して、冷却手段に設けられた複数の噴射孔のうちの下方に設けられた噴射孔から噴出される冷媒の圧力が大きくなり、上方に設けられた噴射孔から噴出される冷媒の圧力が小さくなる。これにより、冷却手段に設けられた複数の噴射孔のうちの下方に設けられた噴射孔から噴出される冷媒の流量が増大する一方、上方に設けられた噴射孔から噴出される冷媒の流量は減少すると考えられる。この結果、コイルエンド部の上方の部分とコイルエンド部の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になると考えられる。したがって、従来から、ステータの中心軸線を重力方向に対して直交させるように回転電機を配置した場合にも、コイルエンド部の上方の部分とコイルエンド部の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを防止することが可能な回転電機が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ステータの中心軸線を重力方向に対して交差させるように回転電機を配置した場合にも、コイルエンド部の上方の部分とコイルエンド部の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを極力防止することが可能な回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における回転電機は、ステータコアと、ステータコアから軸方向外側に突出するコイルエンド部を有するコイルとを含み、中心軸線が重力方向と交差するように配置されたステータと、コイルエンド部の軸方向端面またはコイルエンド部の外周面の少なくとも一方に向かって冷却用液体を噴射させる複数の噴射孔が設けられた冷却部と、を備え、冷却部は、複数の噴射孔のうちのステータの中心軸線よりも重力方向とは逆方向である上方に設けられた複数の上方噴射孔の開口面積の合計が、ステータの中心軸線よりも複数の噴射孔のうちの重力方向である下方に設けられた複数の下方噴射孔の開口面積の合計よりも大きく構成されている。
【0008】
この発明の一の局面における回転電機では、上記のように、複数の噴射孔のうちのステータの中心軸線よりも重力方向とは逆方向である上方に設けられた複数の上方噴射孔の開口面積の合計が、ステータの中心軸線よりも複数の噴射孔のうちの重力方向である下方に設けられた複数の下方噴射孔の開口面積の合計よりも大きく冷却部を構成する。これにより、冷却用液体に重力が作用することに起因して、冷却部内における冷却用液体の圧力が、冷却部内の上方の部分よりも冷却部内の下方の部分の方が大きくなる場合でも、複数の上方噴射孔の開口面積の合計が複数の下方噴射孔の開口面積の合計よりも大きい分、複数の上方噴射孔から噴射される冷却用液体の流量の低下を防止することができる。このため、コイルエンド部の上方の部分とコイルエンド部の下方の部分とで温度が不均一になるのを防止することができる。この結果、ステータの中心軸線を重力方向に対して交差させるように回転電機を配置した場合にも、コイルエンド部の上方の部分とコイルエンド部の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを極力防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ステータの中心軸線を重力方向に対して交差させるように回転電機を配置した場合にも、コイルエンド部の上方の部分とコイルエンド部の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態による回転電機の構成を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態によるオイルジャケットを軸方向に見た図である。
【
図3】第1実施形態によるオイルジャケットの構成を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態による端面上方孔、端面下方孔、外周面上方孔および外周面下方孔の構成を説明するための模式図である。
【
図5】第2実施形態による回転電機(オイルジャケット)の構成を示す図である。
【
図6】第1および2実施形態の変形例による冷却部(オイルジャケット)の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
(回転電機の構成)
図1~
図4を参照して、第1実施形態による回転電機100の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、回転電機100は、ロータ1と、ステータ2と、ケース部3と、シャフト4と、軸受部材5aおよび5bと、締結部材6と、冷却部7とを備える。たとえば、回転電機100は、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成されており、車両に搭載されるように構成されている。また、回転電機100は、図示しない電力変換装置と組み合わされる(ケース部同士が接続される)ことにより、駆動モジュールを構成する。駆動モジュールは、電力変換装置からの電力がステータ2に供給されることにより、ロータ1およびロータ1に固定されたシャフト4を回転させて、シャフト4の回転力を負荷(車輪側)に伝達させるように構成されている。そして、本実施形態では、ステータ2は、中心軸線C1が重力方向と略直交する(直交するかまたは交差する)ように配置されている。すなわち、回転電機100は、中心軸線C1が水平方向に沿うように、車両に搭載される。
【0014】
ここで、本願明細書では、「軸方向」とは、ステータ2の中心軸線C1に沿った方向を意味し、図中のA1方向およびA2方向を意味する。また、「径方向」とは、ステータ2の径方向を意味し、「径方向内側」は、図中のR1方向、「径方向外側」は図中のR2方向を意味する。また、「周方向」は、ステータ2の周方向(E1方向またはE2方向)を意味する。また、「重力方向」および「下方」とは、図中のZ2方向を意味する。また、「重力方向とは逆方向」および「上方」とは、図中のZ1方向を意味する。
【0015】
(ロータの構成)
ロータ1は、円環状に形成されている。また、ロータ1は、ステータ2の径方向内側に対向して配置されている。すなわち、第1実施形態では、回転電機100は、インナーロータ型の回転電機として構成されている。そして、
図1に示すように、ロータ1は、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて形成されたロータコア11と、ロータコア11の軸方向の両端面の各々に配置されたエンドプレート12とを含む。また、ロータコア11には、図示しない永久磁石が配置されている。
【0016】
(ステータの構成)
ステータ2は、円環状に形成されている。そして、ステータ2は、ステータコア21と、ステータコア21に配置されたコイル22とを含む。ステータコア21は、たとえば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて形成されている。また、ステータコア21は、軸方向に貫通する孔部として構成されているスロット部(図示せず)を含む。そして、コイル22は、スロット部に配置された部分と、ステータコアから軸方向外側に突出するコイルエンド部23とを含む。そして、コイルエンド部23は、複数の導体線により束状に形成されている。そして、
図3に示すように、束状に形成されたコイルエンド部23には、軸方向外側の端面23aと、外周面23bと、内周面23cとが形成されている。すなわち、軸方向に見て、コイルエンド部23は、中心軸線C1を中心とする円環状に形成されている。
【0017】
(ケース部の構成)
図1に示すように、ケース部3は、車両等に固定されており、ステータ2およびシャフト4を保持する機能を有する。具体的には、ケース部3は、第1部分31と第2部分32とを含む。また、図示していないが、第1部分31と第2部分32とは互いに固定されている。また、第1部分31は、筒状に形成されている。そして、第1部分31の内周面31aにステータ2が固定されている。また、第1部分31の内部には、冷却用油Lを流通させるケース部流路31bが設けられている。そして、第1部分31のうちの中心軸線C1よりも上方の部分には、ケース部流路31bに連続したケース部供給口31cおよび31dが設けられている。そして、第1部分31では、ケース部供給口31cを介して、オイルジャケット7aに冷却用油Lが供給される(流れる)とともに、ケース部供給口31dを介して、オイルジャケット7aに冷却用油Lが供給される(流れる)。また、冷却用油Lは、たとえば、ATF(Automatic Transmission Fluid)である。なお、冷却用油は、特許請求の範囲の「冷却用液体」の一例である。
【0018】
また、第1部分31には、オイルジャケット7aが固定されている。たとえば、オイルジャケット7aは、第1部分31に対して締結部材6により締結固定されている。また、第1部分31には、軸受部材5aが固定されている。また、第2部分32は、オイルジャケット7bよりもA2方向側に配置されている。たとえば、第2部分32は、板状に形成されている。そして、第2部分32には、オイルジャケット7bが締結部材6により固定されている。また、第2部分32は、軸受部材5bが固定されている。これにより、ケース部3は、軸受部材5aおよび5bを介して、シャフト4を中心軸線C1回りに回転可能に支持するように構成されている。
【0019】
(シャフトの構成)
シャフト4は、回転軸が中心軸線C1と一致するように配置されている。そして、シャフト4は、互いに一体的に形成された中実部分41と中空部分42とを含む。中実部分41は、ロータコア11よりもA1方向側に配置されているとともに、軸受部材5aに当接している。また、中空部分42の内周面42a(内部空間)は、冷却用油Lを流通させる流路として構成されている。そして、中空部分42のうちのロータコア11よりも軸方向両外側の各々に、内周面42aから外周面42bまで径方向に貫通された貫通孔42cが設けられている。
【0020】
そして、中空部分42に供給された冷却用油Lは、貫通孔42cからコイルエンド部23の内周面23cに向かって噴射される。すなわち、シャフト4が回転することにより、中空部分42に供給された冷却用油Lに遠心力が作用して、冷却用油Lが貫通孔42cを介して径方向外側に飛びだす。そして、噴出された冷却用油Lは、比較的温度が高いコイルエンド部23の内周面23cに接触することにより、コイルエンド部23の熱を奪ってコイル22を冷却する。
【0021】
(冷却部の構成)
冷却部7は、冷却用油Lをコイルエンド部23に噴射することにより、コイルエンド部23を冷却する機能を有する。冷却部7には、オイルジャケット7aおよび7bが設けられている。オイルジャケット7aおよび7bは、それぞれ、中心軸線C1を中心とする円環状に形成されている。オイルジャケット7aは、ステータ2(コイルエンド部23)の軸方向外側(A1方向側)に配置されている。また、オイルジャケット7bは、ステータ2の軸方向外側(A2方向側)に配置されている。すなわち、オイルジャケット7aにより、ステータコア21からA1方向側に突出するコイルエンド部23が冷却されるとともに、オイルジャケット7bにより、ステータコア21からA2方向側に突出するコイルエンド部23が冷却される。
【0022】
図1に示すように、オイルジャケット7aは、端面冷却部71および外周面冷却部72を含む。また、オイルジャケット7bは、端面冷却部81および外周面冷却部82を含む。そして、
図3に示すように、端面冷却部71の軸方向外側(A1方向側)の側面71cに、オイルジャケット7a内の冷却流路73に冷却用油Lを供給するための供給口74が設けられている。ここで、
図2に示すように、本実施形態では、供給口74は、側面71cのうちの中心軸線C1(オイルジャケット7aの中心軸線)よりも上方の部分に設けられている。
【0023】
図1に示すように、外周面冷却部82の径方向外側(R2方向側)の側面82cに、オイルジャケット7b内の冷却流路83に冷却用油Lを供給するための供給口84が設けられている。また、本実施形態では、供給口84は、側面82cのうちの中心軸線C1(オイルジャケット7bの中心軸線)よりも上方の部分に設けられている。なお、オイルジャケット7bは、供給口84が設けられている位置以外の構成(形状)は、オイルジャケット7aの構成と同様であるため、以下の記載では、オイルジャケット7aの構成を説明し、オイルジャケット7bの説明を省略する。
【0024】
図3に示すように、オイルジャケット7aには、コイルエンド部23の軸方向外側の端面23aに向かって冷却用油Lを噴射させる端面上方孔71aおよび端面下方孔71b(
図2参照)の両方と、コイルエンド部23の外周面23bに向かって冷却用油Lを噴射させる外周上方孔72aおよび外周下方孔72b(
図2参照)の両方とが設けられている。なお、端面上方孔71aおよび外周上方孔72aは、特許請求の範囲の「上方噴射孔」の一例である。また、端面下方孔71bおよび外周下方孔72bは、特許請求の範囲の「下方噴射孔」の一例である。
【0025】
図2および
図3に示すように、オイルジャケット7aの内部には、端面上方孔71aと端面下方孔71bと外周上方孔72aと外周下方孔72bとに冷却用油Lを供給するための共通の冷却流路73が形成されている。言い換えると、冷却流路73は、オイルジャケット7aの内部空間により形成されている。
【0026】
端面冷却部71は、コイルエンド部23の軸方向外側の端面23aに沿って設けられている。すなわち、端面冷却部71は、略円板状に形成されている。そして、端面冷却部71には、コイルエンド部23の軸方向外側の端面23aに冷却用油Lを噴射させる端面上方孔71aおよび端面下方孔71bが設けられている。
【0027】
外周面冷却部72は、端面冷却部71と一体的に形成されているとともに、コイルエンド部23の外周面23bに沿って設けられている。すなわち、外周面冷却部72は、略円筒状に形成されている。そして、外周面冷却部72には、コイルエンド部23の外周面23bに冷却用油Lを噴射させる外周上方孔72aおよび外周下方孔72bが設けられている。
【0028】
(冷却用油の噴射に関する構成)
図2に示すように、端面上方孔71aと外周上方孔72aとは、ステータ2の中心軸線C1(オイルジャケット7aの中心軸線)よりも、重力方向とは逆方向である上方に設けられている。また、端面下方孔71bと外周下方孔72bとは、ステータ2の中心軸線C1(オイルジャケット7aの中心軸線)よりも、重力方向である下方に設けられている。また、端面上方孔71aおよび端面下方孔71bは、軸方向に貫通された貫通孔であり、外周上方孔72aおよび外周下方孔72bは、径方向に貫通された貫通孔である。
【0029】
そして、本実施形態では、端面冷却部71には、軸方向に見て、ステータ2の中心軸線C1回りに、端面上方孔71aが等角度間隔で設けられ、軸方向に見て、ステータ2の中心軸線C1回りに、端面上方孔71aが設けられている角度と同一の角度間隔で、端面下方孔71bで設けられている。たとえば、コイル22の数が48の場合、複数の端面上方孔71aは、15度間隔で設けられており、複数の端面下方孔71bは、15度間隔で設けられている。なお、角度間隔は、この例に限られず、15度間隔以外の大きさでもよい。
【0030】
また、複数の端面上方孔71aは、同一の角度位置において、径方向に並んで設けられている。また、複数の端面下方孔71bは、同一の角度位置において、径方向に並んで設けられている。たとえば、複数の端面上方孔71aおよび複数の端面下方孔71bは、それぞれ、同一の角度位置において、2つずつ径方向に並んで配置されている。なお、複数の端面上方孔71aおよび複数の端面下方孔71bのうちの少なくとも一方は、径方向に並んで配置されていなくてもよいし、径方向に並んで配置される数が3以上の数でもよい。
【0031】
本実施形態では、端面上方孔71aの数と、端面下方孔71bの数とは、同数である。たとえば、
図2に示す例の場合、端面上方孔71aの数および端面下方孔71bの数は、共に24である。
【0032】
複数の外周上方孔72aおよび複数の外周下方孔72bは、それぞれ、所定の間隔を隔てて配置されている。たとえば、外周上方孔72aは、2つずつ周方向に隣り合って配置されているとともに、隣り合って配置される一対の外周上方孔72aが30度間隔で周方向に並んで配置されている。
【0033】
ここで、本実施形態では、外周下方孔72bは、外周面冷却部72の底部72cには設けられずに、底部72cよりも上方の外周面冷却部72の部分72dに設けられている。底部72cとは、外周面冷却部72のうちの中心軸線C1から下方に向かう垂線F1に対してなす角度が45度以内の部分を意味するものとする。そして、部分72dとは、外周面冷却部72のうちの中心軸線C1から下方に向かう垂線F1に対してなす角度が45度よりも大きく90度以下の部分を意味するものとする。
【0034】
そして、外周上方孔72aの数は、外周下方孔72bの数よりも大きい。これにより、本実施形態では、端面上方孔71aの数および外周上方孔72aの数の合計数は、端面下方孔71bの数および外周下方孔72bの数の合計数よりも大きい。
【0035】
(開口面積に関する構成)
本実施形態では、オイルジャケット7aは、複数の端面上方孔71aの開口面積S11aの合計S11が、複数の端面下方孔71bの開口面積S12aの合計S12よりも大きく構成されている。そして、オイルジャケット7aは、複数の外周上方孔72aの開口面積S13aの合計S13が、複数の外周下方孔72bの開口面積S14aの合計S14よりも大きく構成されている。開口面積S11a、S12a、S13aおよびS14aは、それぞれ、端面上方孔71a、端面下方孔71b、外周上方孔72aおよび外周下方孔72bの一つ当たりの面積である。
【0036】
図4に示すように、複数の端面上方孔71aの1つ当たりの開口面積S11aが、複数の端面下方孔71bの1つ当たりの開口面積S12aよりも大きい。これにより、端面上方孔71aの数は、端面下方孔71bの数と同数であるので、合計S11が合計S12よりも大きくなる。複数の外周上方孔72aの1つ当たりの開口面積S13aが、複数の外周下方孔72bの1つ当たりの開口面積S14aよりも大きい。また、外周上方孔72aの数は、外周下方孔72bの数よりも大きいので、合計S13が合計S14よりも大きくなる。たとえば、
図4に示すように、端面上方孔71a、端面下方孔71b、外周上方孔72aおよび外周下方孔72bは、それぞれ、直径d11、d12、d21およびd22の円形状を有する。そして、直径d11は、直径d12よりも大きく、直径d21は、直径d22よりも大きい。
【0037】
(冷却部の動作)
次に、
図1および
図3を参照して、冷却部7の動作について説明する。
【0038】
まず、
図1に示すように、ケース部流路31bに供給された冷却用油Lは、供給口74を介して、オイルジャケット7aに流入し、供給口84を介して、オイルジャケット7bに流入する。そして、オイルジャケット7aに流入した冷却用油Lは、
図3に示すように、複数の端面上方孔71aの各々からコイルエンド部23の軸方向外側の端面23aに向かって噴射されるとともに、複数の外周上方孔72aの各々からコイルエンド部23の外周面23bに向かって噴射される。また、オイルジャケット7aに流入した冷却用油Lは、複数の端面下方孔71bの各々からコイルエンド部23の軸方向外側の端面23aに向かって噴射されるとともに、複数の外周下方孔72bの各々からコイルエンド部23の外周面23bに向かって噴射される。
【0039】
また、
図1に示すように、中空部分42に供給された冷却用油Lは、中空部分42に設けられた貫通孔42cからコイルエンド部23の内周面23cに向かって噴射される。すなわち、シャフト4が回転することにより、中空部分42に供給された冷却用油Lに遠心力が作用して、冷却用油Lが貫通孔42cを介して径方向外側に飛びだす。
【0040】
そして、コイルエンド部23に噴射された冷却用油Lは、コイルエンド部23内を流れ伝うとともに、コイルエンド部23の熱を奪いコイルエンド部23を冷却する。そして、冷却用油Lは、図示しない貯留部に流れ、貯留部にたまった冷却用油Lは、図示しないオイルクーラーにより温度が低下した状態で、再度ケース部流路31bおよび中空部分42に供給される。
【0041】
[第2実施形態]
次に、
図5を参照して、第2実施形態による回転電機200の構成について説明する。第2実施形態では、複数の端面上方孔71a同士が同一の開口面積S11aにより構成されているとともに、複数の端面下方孔71b同士が同一の開口面積S12aにより構成されていた第1実施形態による冷却部7と異なり、上方に設けられた端面上方孔271a程、1つ当たりの開口面積S211aが大きく構成されており、下方に設けられた端面下方孔271b程、1つ当たりの開口面積S212aが小さく構成されている。なお、上記第1実施形態と同一の構造および工程については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図5に示すように、第2実施形態による回転電機200は、冷却部207を備える。冷却部207は、オイルジャケット207aを含む。オイルジャケット207aは、端面冷却部271および外周面冷却部272を含む。そして、端面冷却部271は、複数の端面上方孔271aのうちの上方に設けられた端面上方孔271a程、1つ当たりの開口面積S211aが大きく構成されており、複数の端面下方孔271bのうちの下方に設けられた端面下方孔271b程、1つ当たりの開口面積S212aが小さく構成されている。また、外周面冷却部272は、複数の外周上方孔272aのうちの上方に設けられた外周上方孔272a程、1つ当たりの開口面積S213aが大きく構成されており、複数の外周下方孔272bのうちの下方に設けられた外周下方孔272b程、1つ当たりの開口面積S212aが小さく構成されている。なお、端面上方孔271aおよび外周上方孔272aは、特許請求の範囲の「上方噴射孔」の一例である。また、端面下方孔271bおよび外周下方孔272bは、特許請求の範囲の「下方噴射孔」の一例である。
【0043】
これにより、複数の端面上方孔271aの開口面積S211aの合計S211が複数の端面下方孔271bの開口面積S212aの合計S212よりも大きい。また、複数の外周上方孔272aの開口面積S213aの合計S213が複数の外周下方孔272bの開口面積S214aの合計S214よりも大きい。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0044】
[第1および第2実施形態の製造方法の効果]
上記第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0045】
第1および第2実施形態では、上記のように、複数の噴射孔(71a、71b、72a、72b、271a、271b、272a、272b)のうちのステータ(2)の中心軸線(C1)よりも重力方向(Z2)とは逆方向である上方(Z1)に設けられた複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)の開口面積の合計(S11、S13、S211、S213)が、ステータ(2)の中心軸線(C1)よりも複数の噴射孔(71a、71b、72a、72b、271a、271b、272a、272b)のうちの重力方向(Z2)である下方(Z2)に設けられた複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)の開口面積の合計(S12、S14、S212、S214)よりも大きく冷却部(7、207)を構成する。これにより、冷却用液体(L)に重力が作用することに起因して、冷却部(7、207)内における冷却用液体(L)の圧力が、冷却部(7)内の上方の部分よりも冷却部(7)内の下方の部分の方が大きくなる場合でも、複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)の開口面積の合計(S11、S13、S211、S213)が複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)の開口面積の合計(S12、S14、S212、S214)よりも大きい分、複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)から噴射される冷却用液体(L)の流量の低下を防止することができる。このため、複数の上方噴射孔の開口面積の合計が、複数の下方噴射孔の開口面積の合計以下の場合に比べて、コイルエンド部(23)の上方の部分とコイルエンド部(23)の下方の部分とで温度が不均一になるのを防止することができる。この結果、ステータ(2)の中心軸線(C1)を重力方向(Z2)に対して交差させるように回転電機(100、200)を配置した場合にも、コイルエンド部(23)の上方の部分とコイルエンド部(23)の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを極力防止することができる。
【0046】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、冷却部(7、207)は、複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)の1つ当たりの開口面積(S11a、S13a)が複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)の1つ当たりの開口面積(S12a、S14a)よりも大きく構成されている。このように構成すれば、上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)の寸法(d11、d21)を下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)の寸法(d12、d22)よりも大きくすることにより、容易に複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)の開口面積の合計(S11、S13、S211、S213)を複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)の開口面積の合計(S12、S14、S212、S214)よりも大きくすることができる。
【0047】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、冷却部(7、207)は、円環状に形成されたオイルジャケット(7a、7b、207a、207b)を含む。そして、オイルジャケット(7a、7b、207a、207b)には、複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)と複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)との両方が形成されているとともに、複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)および複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)に冷却用液体(L)を供給するための共通の冷却流路(73、83)が内部に形成されている。そして、冷却部(7、207)は、オイルジャケット(7a、7b、207a、207b)の中心軸線(C1)よりも上方に設けられた複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)の開口面積の合計(S11、S13、S211、S213)が、オイルジャケット(7a、7b、207a、207b)の中心軸線(C1)よりも下方に設けられた複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)の開口面積の合計(S12、S14、S212、S214)よりも大きく構成されている。このように構成すれば、オイルジャケットに上方噴射孔および下方噴射孔を設け、かつ、共通の冷却流路を設けることによって、複数の上方噴射孔の各々を別部材に設けるとともに、複数の下方噴射孔の各々を別部材に設ける場合と異なり、部品点数が増大するのを防止することができるとともに、回転電機(100、200)の構成が複雑化するのを防止することができる。
【0048】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、オイルジャケット(7a、7b、207a、207b)は、コイルエンド部(23)の軸方向端面(23a)に沿って設けられ、コイルエンド部(23)の軸方向端面(23a)に冷却用液体(L)を噴射させる端面冷却部(71、271)を含む。そして、冷却部(7、207)は、端面冷却部(71、271)に設けられた複数の上方噴射孔(71a、271a)の開口面積の合計(S11)が、端面冷却部(71、271)に設けられた複数の下方噴射孔(71b、271b)の開口面積の合計(S12)よりも大きく構成されている。このように構成すれば、複数の上方噴射孔(71a、271a)の開口面積の合計(S11)が複数の下方噴射孔(71b、271b)の開口面積の合計(S12)よりも大きい端面冷却部(71、271)によって、上下方向に沿って広がるコイルエンド部(23)の軸方向端面(23a)を均一に冷却することができる。この結果、コイルエンド部(23)の上方の部分とコイルエンド部(23)の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを、より一層防止することができる。
【0049】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、オイルジャケット(7a、7b、207a、207b)は、端面冷却部(71、271)と一体的に形成されているとともに、コイルエンド部(23)の外周面(23b)に沿って設けられ、コイルエンド部(23)の外周面(23b)に冷却用液体(L)を噴射させる外周面冷却部(72、272)を含み、冷却部(7、207)は、外周面冷却部(72、272)に設けられた複数の上方噴射孔(71a、72a、271a、272a)の開口面積の合計(S12)が、外周面冷却部(72、272)に設けられた複数の下方噴射孔(71b、72b、271b、272b)の開口面積の合計(S14)よりも大きく構成されている。このように構成すれば、コイルエンド部(23)の軸方向端面(23a)のみならずコイルエンド部(23)の外周面(23b)に対しても、外周面冷却部(72、272)によって、より均一に冷却することができる。この結果、コイルエンド部(23)の上方の部分とコイルエンド部(23)の下方の部分とで冷却後の温度が不均一になるのを、さらに防止することができる。
【0050】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0051】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、複数の端面上方孔の1つ当たりの開口面積を、複数の端面下方孔の1つ当たりの開口面積よりも大きく構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図6に示す第1変形例の冷却部307のように、複数の端面上方孔371aの1つ当たりの開口面積を、複数の端面下方孔371bの1つ当たりの開口面積を同一に構成してもよい。この場合、端面上方孔371aの数を、端面下方孔371bの数よりも大きくすることにより、複数の端面上方孔371aの開口面積の合計が、複数の端面下方孔371bの開口面積の合計よりも大きくなる。たとえば、冷却部307は、同一の角度位置において、径方向に並ぶ端面上方孔371aの数が、端面下方孔371bの数である1または2よりも大きい3または4に設定されている。たとえば、冷却部307のうちの上方程、端面上方孔371aの数が大きく、冷却部307のうちの下方程、端面下方孔371bの数が小さく冷却部307が構成されていてもよい。なお、複数の端面上方孔の周方向に並ぶ角度間隔を、複数の端面下方孔の角度間隔よりも小さくすることにより、端面上方孔の数を、端面下方孔の数よりも大きくしてもよい。
【0052】
また、上記第1および第2実施形態では、ステータの中心軸線が重力方向に直交するように、回転電機を配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ステータの中心軸線が重力方向に直交せずに交差するように、回転電機を配置してもよい。
【0053】
また、上記第1および第2実施形態では、端面冷却部および外周面冷却部を設けて、コイルエンド部の軸方向外側の端面および外周面の両方に向かって冷却用油を噴射させるように冷却部を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、冷却部に、端面冷却部および外周面冷却部のいずれか一方のみを設けて、コイルエンド部の軸方向外側の端面および外周面のうちのいずれか一方のみを冷却するように、冷却部を構成してもよい。
【0054】
また、上記第1および第2実施形態では、冷却用油をATFにより構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、冷却用油をATF以外の油(たとえば、回転電機冷却専用の油)により構成してもよい。また、冷却用油ではなく、冷却水を用いてもよい。
【0055】
また、上記第1および第2実施形態では、冷却部を軸方向に見て円環状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、冷却部を軸方向に見て円環状以外の形状に形成してもよい。たとえば、冷却部を軸方向に円形状(中実状)に形成してもよいし、矩形状に形成してもよい。
【0056】
また、上記第1および第2実施形態では、オイルジャケットに端面上方孔および端面下方孔の両方を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、一のオイルジャケットに端面上方孔および端面下方孔の少なくとも一方を設けて、他方を他のオイルジャケットに設けてもよい。また、オイルジャケットを用いずに、複数の端面上方孔および複数の端面下方孔の各々に対応する冷却用油を流通させる複数のホースを、冷却部に設けてもよい。
【0057】
また、上記第1および第2実施形態では、オイルジャケットの内部に流通経路を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、オイルジャケットとケース部との間に冷却用油を流通させる流通経路を設けてもよいし、ケース部の内部に冷却用油を流通させる流通経路を設けてもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施形態では、端面上方孔等の孔形状を円形状とする例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、端面上方孔等の孔形状を円形状以外の形状としてもよい。たとえば、端面上方孔等の孔形状を矩形状としてもよいし、多角形形状としてもよい。
【0059】
また、上記第1および第2実施形態では、外周面冷却部の底部に外周面下方孔を設けない例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、外周面冷却部の底部に外周面下方孔を設けてもよい。
【0060】
また、上記第1および第2実施形態では、オイルジャケットの中心軸線とステータの中心軸線とを一致させる例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、オイルジャケットの中心軸線とステータの中心軸線とが径方向にずれていてもよい。
【0061】
また、上記第1および第2実施形態では、端面冷却部の軸方向外側の端面のうちのオイルジャケットの中心軸線よりも上方の部分に、供給口を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、端面冷却部の軸方向外側の端面のうちのオイルジャケットの中心軸線以下の部分に、供給口を設けてもよい。また、端面冷却部の軸方向内側の端面に供給口を設けてもよい。
【0062】
また、上記第1および第2実施形態では、端面上方孔および端面下方孔の各々を軸方向に見て中心軸線回りに等角度間隔で配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、端面上方孔および端面下方孔の各々を軸方向に見て中心軸線回りに等角度間隔以外の間隔で配置してもよい。
【0063】
また、上記第1実施形態では、端面上方孔の数を端面下方孔の数と同一にする例を示し、上記第2実施形態では、端面上方孔の数を端面下方孔の数よりも大きくする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の端面上方孔の開口面積の合計が複数の端面下方孔の開口面積の合計よりも大きければ、端面上方孔の数を端面下方孔の数よりも小さくしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
2…ステータ、7、207、307…冷却部、7a、7b、207a、207b…オイルジャケット、21…ステータコア、22…コイル、23…コイルエンド部、23a…端面(コイルエンド部の軸方向端面)、23b…外周面(コイルエンド部の外周面)、71、81、271、281…端面冷却部、71a、271a、371a…端面上方孔(上方噴射孔)、71b、271b、371b…端面下方孔(下方噴射孔)、72、82、272、282…外周面冷却部、72a、272a…外周上方孔(上方噴射孔)、72b、272b…外周下方孔(下方噴射孔)、73、83…冷却流路、100、200…回転電機、C1…中心軸線(ステータの中心軸線、オイルジャケットの中心軸線)、L…冷却用油