(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108365
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】輝度判定システム
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
G01J1/42 C
G01J1/42 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003305
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂川 敦義
(72)【発明者】
【氏名】丹 晴応
(72)【発明者】
【氏名】星山 亘剛
(72)【発明者】
【氏名】松浪 智広
(72)【発明者】
【氏名】小泉 健司
(72)【発明者】
【氏名】田原 禎之
(72)【発明者】
【氏名】岡村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】矢川 憲利
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA02
2G065BC14
2G065BC33
2G065BC35
2G065BC40
2G065BD06
2G065DA06
(57)【要約】
【課題】作業員の立会確認を必要とすることなく炎の輝度の適否を判定することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】輝度判定システムは、炉内の炎が発する光の強度を検出する検出手段と、検出された光の強度の時間的変化を示す信号が予め定められた基準を満たすかを判定する判定手段と、信号が予め定められた基準を満たすと判定された場合、炎が発する光の輝度が適正であることを報知する報知手段とを備える。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内の炎が発する光の強度を検出する検出手段と、
検出された前記光の強度の時間的変化を示す信号が予め定められた基準を満たすかを判定する判定手段と、
前記信号が前記予め定められた基準を満たすと判定された場合、前記炎が発する光の輝度が適正であることを報知する報知手段とを備える、輝度判定システム。
【請求項2】
前記信号に基づいて前記炎のちらつき周波数を算出する第1の算出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記光の強度が予め定められた第1の範囲内にあり、かつ、前記ちらつき周波数が予め定められた第2の範囲内にある場合、前記信号が予め定められた基準を満たすと判定する、請求項1に記載の輝度判定システム。
【請求項3】
前記信号に基づいて前記炎のゆらぎの大きさを算出する第2の算出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記ゆらぎの大きさが予め定められた第3の範囲内にある場合、前記信号が予め定められた基準を満たすと判定する、請求項2に記載の輝度判定システム。
【請求項4】
前記輝度判定システムは、火炎検出器と、前記火炎検出器に通信可能に接続された情報処理装置とを備え、
前記火炎検出器は、前記検出手段を含み、
前記情報処理装置は、前記判定手段と、前記報知手段とを含む、請求項3に記載の輝度判定システム。
【請求項5】
前記火炎検出器は、前記第1の算出手段と前記第2の算出手段とをさらに含む、請求項4に記載の輝度判定システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記第1の算出手段と前記第2の算出手段とをさらに含む、請求項4に記載の輝度判定システム。
【請求項7】
炉内の炎が発する光の強度の時間的変化を示す信号を取得する取得手段と、
前記信号が予め定められた基準を満たすかを判定する判定手段と、
前記信号が前記予め定められた基準を満たすと判定された場合、前記炎が発する光の輝度が適正であることを報知する報知手段とを備える、情報処理装置。
【請求項8】
炉内の炎が発する光の強度をセンサによって検出するステップと、
検出された前記光の強度の時間的変化を示す信号が予め定められた基準を満たすかを判定するステップと、
前記信号が前記予め定められた基準を満たすと判定された場合、前記炎が発する光の輝度が適正であることを報知するステップとを備える、輝度判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輝度判定システム、情報処理装置、および輝度判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス溶解炉等の特定の工業炉では、炉内温定のみならず、炎の輝度(明るさ)も重要となる。このため、炎の輝度が重要視される工業炉を実運用するにあたり、炎の輝度が適切になるように、バーナの選択および調整と、ガスおよび空気の供給量の調整とを事前に行う必要がある。
【0003】
従来、炎の輝度が適切か否かの判定は、熟練の作業員によって行われている。そのため、上記のような工業炉を実運用させるには、熟練の作業員の立会確認が必要となっている。
【0004】
特開2020-42468号公報(特許文献1)には、燃焼炉内の流動場を撮影することにより得られた画像の輝度分布に基づき、流動場の時間的かつ空間的な変化の画像特徴を数値化した特徴量を算出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
炎の輝度が重視される炉において、作業員の立会確認を必要とすることなく炎の輝度の適否を判定することが可能なシステムが求められている。さらに、炎の輝度の適否を画像以外の情報に基づき判定する手法の確立も求められている。
【0007】
本開示は、このような要求を満たす輝度判定システム、情報処理装置、および輝度判定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従うと、輝度判定システムは、炉内の炎が発する光の強度を検出する検出手段と、検出された光の強度の時間的変化を示す信号が予め定められた基準を満たすかを判定する判定手段と、信号が予め定められた基準を満たすと判定された場合、炎が発する光の輝度が適正であることを報知する報知手段とを備える。
【0009】
本開示の他の局面に従うと、情報処理装置は、炉内の炎が発する光の強度の時間的変化を示す信号を取得する取得手段と、信号が予め定められた基準を満たすかを判定する判定手段と、信号が予め定められた基準を満たすと判定された場合、炎が発する光の輝度が適正であることを報知する報知手段とを備える。
【0010】
本開示のさらに他の局面に従うと、輝度判定方法は、炉内の炎が発する光の強度をセンサによって検出するステップと、検出された光の強度の時間的変化を示す信号が予め定められた基準を満たすかを判定するステップと、信号が予め定められた基準を満たすと判定された場合、炎が発する光の輝度が適正であることを報知するステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
上記の開示によれば、炎が発する光の強度を検出することによって当該炎の輝度の適否が判定可能となるため、作業員の立会確認が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】輝度判定システムの概略構成を示した図である。
【
図2】火炎検出器の典型的なハードウェア構成を表した図である。
【
図4】輝度判定システムを用いて行われる処理の流れを示したフロー図である。
【
図5】実験炉でのデータ収集を説明するための図である。
【
図6】
図5の実験炉における光の強度の時間的変化を示したグラフである。
【
図8】
図4のステップS1の詳細な処理の流れを示したフロー図である。
【
図10】
図4のステップS2の詳細な処理の流れを示したフロー図である。
【
図11】各ポートにおける各基準範囲を記憶した基準データを表した図である。
【
図12】炎の輝度の判定を行う局面(実運用の局面)における機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図13】
図4のステップS3の詳細な処理の流れを示したフロー図である。
【
図14】情報処理装置のハードウェア構成の典型例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る輝度判定システムについて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
本実施の形態に係る輝度判定システムは、炎の輝度が重要視される工業炉(たとえば、ガラス溶解炉)に好適に用いられる。
【0015】
<A.システム構成の概略>
図1は、輝度判定システム1の概略構成を示した図である。
【0016】
図1を参照して、輝度判定システム1は、火炎検出器10と、情報処理装置20とを含む。情報処理装置20は、表示装置234を含む。火炎検出器10と、情報処理装置20とは、通信可能に接続されている。
【0017】
火炎検出器10は、バーナによる火炎の有無を検出する。火炎検出器10による検出結果は、バーナを制御するコントローラ(図示せず)に送られる。
【0018】
火炎検出器10は、火炎が発する光の強度を検出する。火炎検出器10は、検出された光の強度を情報処理装置20に出力する。また、火炎検出器10は、当該光の強度(詳しくは、光の強度の時間的変化を示す信号)に基づき、炎のちらつき周波数と、炎のゆらぎの大きさとを算出する。火炎検出器10は、炎のちらつき周波数と炎のゆらぎの大きさとを、情報処理装置20に出力する。
【0019】
情報処理装置20は、典型的には、パーソナルコンピュータである。情報処理装置20は、火炎検出器10からの上記出力に基づいて、炎が発する輝度が適切か否かを判定する。情報処理装置20は、炎の輝度が適正である場合には、炎の輝度が適正であることを報知する。情報処理装置20は、炎の輝度が適正でない場合には、炎の輝度が不適であることを報知する。これらの報知は、典型的には、表示装置234における表示によってなされる。
【0020】
詳細については後述するが、輝度判定システム1は、実運用に先立ち、実験炉30で利用される。その後、輝度判定システム1は、実運用する工業炉35A,35B,35C,…で利用される。なお、以下では、工業炉35A,35B,35C,…のうちの任意の工業炉を、「工業炉35」とも称する。実験炉30と、工業炉35とを区別しない場合には、単に、「炉」とも称する。
【0021】
本実施の形態では、炉の例として、ガラス溶解炉を挙げて説明する。ただし、炉は、ガラス溶解炉に限定されるものではない。輝度が重視される炉であれば、ガラス溶解炉に限定されない。
【0022】
以下、輝度判定システム1の構成を、より詳しく説明する。
図2は、火炎検出器10の典型的なハードウェア構成を表した図である。
【0023】
図2を参照して、火炎検出器10は、センサ11と、ちらつき周波数演算回路12と、ゆらぎ演算回路13と、選択回路14とを含む。
【0024】
センサ11は、炉内の炎80の光の強度を検出する。センサ11は、光の強度の検出結果を連続的に出力する。すなわち、センサ11は、光の強度の時間的変化を示す信号500を出力する。
【0025】
信号500は、選択回路14に入力される。また、信号500は、ちらつき周波数演算回路12と、ゆらぎ演算回路13とに入力される。
【0026】
ちらつき周波数演算回路12は、信号500に基づき、炎80のちらつき周波数を算出する。ちらつき周波数演算回路12は、所定の周期で炎80のちらつき周波数を算出する。算出されたちらつき周波数は、選択回路14に入力される。
【0027】
ゆらぎ演算回路13は、信号500に基づき、炎80のゆらぎの大きさを算出する。ゆらぎ演算回路13は、所定の周期で炎80のゆらぎの大きさを算出する。算出されたゆらぎは、選択回路14に入力される。
【0028】
なお、ちらつき周波数演算回路12の処理と、ゆらぎ演算回路13の処理とを、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0029】
選択回路14は、外部からの選択指示に基づき、光の強度と、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさとのうち、外部からの選択指示に基づき選択された1つを制御系統の信号線に出力する。
【0030】
火炎検出器10は、制御系統への出力とは別に、光の強度と、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさとを、情報処理装置20に出力する。これにより、情報処理装置20は、光の強度と、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさとを取得することができる。
【0031】
図3は、信号500を示した図である。
図3を参照して、信号500は、上述したように、光の強度の時間的変化を示している。ちらつき周波数は、光の強度の変動を周波数分析することにより得られる。ゆらぎの大きさは、光の強度の平均値(時間的な平均値)からの変動量である。
【0032】
このように、ちらつき周波数とゆらぎの大きさとは、光の強度の時間的変化に基づいて求めることができる。
【0033】
<B.処理>
(b1.概要)
図4は、輝度判定システム1を用いて行われる処理(概要)の流れを示したフロー図である。
【0034】
ステップS1において、輝度判定システム1を用いて、実験炉30でのデータ収集が行われる。輝度判定システム1を工業炉35に適用して工業炉35での炎の輝度の適否を判定する場合、実験炉30として、工業炉35と同様の工業炉(好適には、同種あるいは同型の工業炉)を用いることが好ましい。なお、データの収集方法の具体例については、後述する。
【0035】
ステップS2において、収集したデータの解析が行われる。データの解析には、コンピュータ(本例では、情報処理装置20)が利用される。データの解析には、インストールされたプログラム(所定のアルゴリズムを有するプログラム)が利用される。たとえば、データの解析に人工知能(学習済みモデル)を用いることができる。データの解析の具体例については、後述する。なお、図示しないサーバ装置にデータの解析を行わせてもよい。
【0036】
ステップS3において、輝度判定システム1は、データの解析により得られた成果物を用いて、実運用される工業炉35(炎の輝度の判定対象とされる炉)における炎の輝度の適否を判定する。輝度の適否の判定の詳細については、後述する。
【0037】
(b2.データ収集)
図5から
図9に基づき、
図4のステップS1の詳細を説明する。
【0038】
図5は、実験炉30でのデータ収集を説明するための図である。
図5を参照して、実験炉30にはバーナ40が設置されている。バーナ40は、実験炉30に着脱可能である。バーナ40は、実験炉30内において炎80を発生する。
【0039】
実験炉30は、第1ポート301と、第2ポート302と、第3ポート303と、第4ポート304と、第5ポート305と、第6ポート306とを備える。なお、以下では、第1ポート301~第6ポート306の任意の1つのポートを、「ポート300」とも称する。また、実運用される工業炉35のポート(図示せず)を、「ポート350」とも称する。
【0040】
各ポート300には、火炎検出器10が着脱可能である。本例では、1つの火炎検出器10を、各ポート300に順次付け替える。具体的には、火炎検出器10を第1ポート301に取り付けた状態で検出を行った後、火炎検出器10を第2ポート302に取り付けた状態で検出を行う。その後、火炎検出器10の取付け先のポートを変更していく。火炎検出器10は、領域900内における炎80が発する光の強度を検出する。火炎検出器10は、検出結果を情報処理装置20に送信する。
【0041】
なお、6台の火炎検出器10を各ポート300に同時に取り付けることにより、同時刻において複数の位置から炎80の検出を同時に行ってもよい。
【0042】
図6は、
図5の実験炉30における光の強度の時間的変化を示したグラフである。詳しくは、
図6は、
図5に基づき説明したように、1台の火炎検出器10をポート300に対して順に付け替えたときの光の強度の時間的変化を示したグラフである。
【0043】
図6を参照して、時刻t0~t1の波形は、第1ポート301に取り付けられた火炎検出器10による検出結果(炎80が発する光の強度の時間的変化)を示している。時刻t1~t2の波形は、第2ポート302に取り付けられた火炎検出器10による検出結果を示している。時刻t2~t3の波形は、第3ポート303に取り付けられた火炎検出器10による検出結果を示している。
【0044】
時刻t3~t4の波形は、第4ポート304に取り付けられた火炎検出器10による検出結果を示している。時刻t4~t5の波形は、第5ポート305に取り付けられた火炎検出器10による検出結果を示している。時刻t5~t6の波形は、第6ポート306に取り付けられた火炎検出器10による検出結果を示している。
【0045】
グラフの縦軸は、火炎検出器10から出力される電流値の範囲または電圧値の範囲を、0~100の数値範囲に割り当てたものである。たとえば、火炎検出器10が検出信号として4mA~10mAの範囲内の信号を出力する構成の場合、4mAがグラフの0に対応し、10mAがグラフの100に対応する。
【0046】
なお、上記6つの時刻に関する区間(すなわち、時刻t(n-1)~tn(nは1~6の自然数))における各波形は、信号500に対応する。また、
図6のグラフでは、視認性の観点から、各時刻t1,t2,t3,t4,t5,t6で波形が連続するように、火炎検出器10の各ポート300への取り付けおよび取り外しの作業時間帯のデータは省略している。
【0047】
図7は、バーナ40と炎80とを説明するための図である。
図7を参照して、バーナ40は、二重管構造を有する。詳しくは、バーナ40は、アウターノズル41と、インナーノズル42とを有する。
【0048】
インナーノズル42の内部には、ガスの供給路421が形成されている。インナーノズル42は、外部から供給されたガスを外部(図面の左方向)に吹き出す。アウターノズル41の内周面とインナーノズル42の外周面との間に形成された供給路411から、高温(たとえば1200度)の空気が外部に吹き出す。
【0049】
供給路421から吹き出したガスが、供給路411から吹き出した高温の空気によって燃焼する。これによって、炎80が発生する。
【0050】
炎80は、内炎81と外炎82とで構成される。内炎81においては、ガスは不完全燃焼の状態となる。内炎81のガスの中の炭素成分は、ススになる。その後、当該ススが燃えることにより炎が輝く。工業炉35では、このような炎の輝き(明るさ)が重要となる。なお、外炎82のガスは、直ぐに高温の空気よって加熱されるため、ススにはならない。
【0051】
バーナ40として、様々な内管径Bのインナーノズル42を用いることができる。また、バーナ40として、様々な外管径Aのアウターノズル41を用いることができる。アウターノズル41として、アウターノズル41における吹出口の内壁のテーパー角度θが異なるものを用いることもできる。さらに、インナーノズル42の吹出口とアウターノズル41の吹出口との距離Dも適宜調整できる。また、ガスおよび空気の少なくとも一方の供給方法を制御することにより、炎80の旋回状態Eを変化させることもできる。
【0052】
バーナ40へのガスの供給量および空気の供給量を変えることもできる。また、ガスの供給量が一定の条件下で、内管径Bが異なるインナーノズル42を用いることにより、ガスの速度(流速)も変えることができる。
【0053】
適切な輝度を得るために、実運用に備え、バーナ40についての各種パラメータ(A,B,D,θ)の設定(バーナ40自体の変更を含む)、ガスの供給量の調整、および/または、空気の供給量の調整がなされる。
【0054】
本実施の形態では、実運用する工業炉35において、適切な輝度か否かを機械で自動的に判定できるようにする。すなわち、実運用する工業炉35において、輝度の適否を人に頼ることなく情報処理装置20が判断できるようにする。
【0055】
このような自動判定を可能とするために、実験炉30における燃焼の際には、熟練した作業員によって炎の輝度の適否を判断させる。本実施の形態では、当該作業員の判断結果を利用して、輝度の適否を自動判定可能な構成(具体的には、プログラム)を得る。
【0056】
図8は、
図4のステップS1の詳細な処理の流れを示したフロー図である。
図8を参照して、ステップS101において、実験炉30においてバーナ40を燃焼させる。これにより実験炉30内において炎80(火炎)が発生する。ステップS102において、実験炉30のポート300に取り付けられた火炎検出器10によって、炎80が発する光の強度の時間的変化を示す信号500(
図3参照)を取得する。ステップS103において、火炎検出器10は、取得された信号500から、ちらつき周波数とゆらぎの大きさとを算出する。
【0057】
ステップS104において、本例では情報処理装置20が、取得されたデータ(すなわち、光の強度と、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさとのセット)をデータベースD10(
図9参照)に格納する。典型的には、光の強度については、光の強度の範囲(たとえば、強度の最小値および強度の最大値)が、データベースD10に格納される。
【0058】
なお、データベースD10は、本例では、情報処理装置20に格納されているものとする。ただし、これに限定されず、データベースD10は、上述したサーバ装置(図示せず)に格納されていてもよい。
【0059】
ステップS105において、炎80が発する光の輝度の適否を、作業員が目視で判断する。ステップS106において、本例では情報処理装置20が、取得されたデータに対して輝度の適否を示すフラグを付けて、データベースD10を更新する。
【0060】
ステップS107において、実験者は、実験炉30におけるバーナ40の燃焼条件を変更する。その後、燃焼条件の変更が行われなくなるまで、上述したステップS102~S107の処理が繰り返される。
【0061】
なお、実験炉30での上記のデータの取得および輝度の目視判定は、
図5に示したように、火炎検出器10を、順次、複数のポート300の各々に取り付けた状態で行われる。なお、上述したように、6つの火炎検出器10を各ポート300(301~306)に取り付け、同時に、上記のデータの取得と輝度の目視判定とを行ってもよい。
【0062】
図9は、データベースD10の一例を表した図である。
図9を参照して、データベースD10は、火炎検出器10を第1ポート301に取り付けたときのデータD11と、火炎検出器10を第2ポート302に取り付けたときのデータD12と、火炎検出器10を第3ポート303に取り付けたときのデータD13と、火炎検出器10を第4ポート304に取り付けたときのデータD14と、火炎検出器10を第5ポート305に取り付けたときのデータD15と、火炎検出器10を第6ポート306に取り付けたときのデータD16とを含む。
【0063】
データD11~D16の各々は、整理番号としての波形No.に対応付けて、光の強度の最小値と、光の強度の最大値と、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさと、作業員による輝度の判定結果とを記憶している。たとえばデータD11における波形No.の「1-1」~「1-6」のデータは、燃焼条件を互いに異ならせたときのデータである。
【0064】
各データD11~D16においては、作業員が目視で判定した輝度の適否を示す情報(本例では、OK、NG)が、「作業員による輝度の判定結果」の欄に格納されている(
図8のステップS106に対応)。
【0065】
なお、6つの火炎検出器10を各ポート300(301~306)に取り付ける場合には、1回の目視による判定結果を、各データD11~D16における「作業員による輝度の判定結果」の欄に同時に格納することもできる。
【0066】
(b3.データ解析)
図10および
図11に基づき、
図4のステップS2の詳細を説明する。
【0067】
図10は、
図4のステップS2の詳細な処理の流れを示したフロー図である。
図10を参照して、ステップS201において、情報処理装置20(詳しくは、プロセッサ261(
図14参照))は、情報処理装置20内に記憶されたプログラムの変数kの値を1に設定する。ステップS202において、プロセッサ261は、第k番目のポート300のデータをデータベースD10から読み出す。
【0068】
ステップS203において、プロセッサ261は、読み出した第k番目のポート300のデータ(たとえば、k=1の場合には、
図9のデータD11)から、輝度が適正と判断されたときの光の強度の最小値と最大値とを取得する。
【0069】
ステップS204において、プロセッサ261は、読み出した第k番目のポート300のデータから、輝度が適正と判断されたときのちらつき周波数を取得する。ステップS205において、プロセッサ261は、読み出した第k番目のポート300のデータから、輝度が適正と判断されたときのゆらぎの大きさを取得する。
【0070】
ステップS206において、プロセッサ261は、取得された光の強度に基づき、光の強度に関する基準範囲Ra(第k番目のポート300の基準範囲)を決定する。たとえば、プロセッサ261は、
図9の第1ポート301のデータD11に関し、作業員による輝度の判定結果が「OK」であったもののうち、光の強度の範囲が重複する範囲を、第1ポート301(1番目のポート300)についての基準範囲Raとする。
【0071】
具体的には、作業員による輝度の判定結果が「OK」であった波形が3つあり、それぞれの光の強度の最小値と最大値との組み合わせが、(最小値,最大値)=(55,65)、(57,67)、(53,63)であったとする。この場合、プロセッサ261は、57~63の範囲を基準範囲Raとする。
【0072】
なお、このような設定方法は、一例であり、これに限定されるものではない。たとえば、作業員による輝度の判定結果が「OK」であったもののうち、光の強度の範囲の全てを、第1ポート301についての基準範囲Raとしてもよい。上記の例場合、プロセッサ261は、53~67の範囲を基準範囲Raとしてもよい。
【0073】
ステップS207において、プロセッサ261は、取得されたちらつき周波数に基づき、ちらつき周波数に関する基準範囲Rb(第k番目のポート300の基準範囲)を決定する。たとえば、プロセッサ261は、
図9の第1ポート301のデータD11に関し、作業員による輝度の判定結果が「OK」であったもののうち、ちらつき周波数の最小値から最大値の範囲を、第1ポート301についての基準範囲Rbとする。
【0074】
具体的には、作業員による輝度の判定結果が「OK」であった波形が3つあり、それぞれのちらつき周波数が、f1,f2,f3であったとする(ただし、f1<f2<f3)。この場合、プロセッサ261は、f1~f3の範囲を基準範囲Rbとする。なお、このような設定方法は、一例であり、これに限定されるものではない。たとえば、作業員による輝度の判定結果が「OK」であった波形のちらつき周波数の平均値μと標準偏差σとをもとめ、μ-3σ~μ+3σの範囲を基準範囲Rbとしてもよい。
【0075】
ステップS208において、プロセッサ261は、取得されたゆらぎの大きさに基づき、ゆらぎの大きさに関する基準範囲Rc(第k番目のポート300の基準範囲)を決定する。たとえば、プロセッサ261は、
図9の第1ポート301のデータD11に関し、作業員による輝度の判定結果が「OK」であったもののうち、ゆらぎの大きさの最小値から最大値の範囲を、第1ポート301についての基準範囲Rcとする。また、プロセッサ261は、ちらつき周波数で説明した手法を用いて、基準範囲Rcを設定してもよい。
【0076】
ステップS209において、プロセッサ261は、変数kの値をインクリメントする。すなわち、プロセッサ261は、kの値を1だけ増加させる。ステップS210において、プロセッサ261は、kの値が7以上となったか否かを判断する。
【0077】
プロセッサ261は、kの値が7以上となった場合(ステップS210においてYES)、ステップS2における一連の処理を終了する。プロセッサ261は、kの値が6以下の場合(ステップS210においてNO)、処理をステップS202に進める。
【0078】
以上の処理により、各ポート300における各基準範囲Ra,Rb,Rcが設定される。具体的には、第1ポート301における基準範囲Ra,Rb,Rcと、第2ポート302における基準範囲Ra,Rb,Rcと、第3ポート303における基準範囲Ra,Rb,Rcと、第4ポート304における基準範囲Ra,Rb,Rcと、第5ポート305における基準範囲Ra,Rb,Rcと、第6ポート306における基準範囲Ra,Rb,Rcとが設定される。
【0079】
図11は、各ポート300における各基準範囲Ra,Rb,Rcを記憶した基準データD20を表した図である。
【0080】
図11を参照して、基準データD20には、ポート300別に、光の強度に関する基準範囲Raと、ちらつき周波数に関する基準範囲Rbと、ゆらぎの大きさに関する基準範囲Rcとが記憶されている。また、本例では、基準データD20には、各ポート300とバーナ40との間の距離が記憶されている。
【0081】
なお、各ポート300とバーナ40との間の距離については、必ずしも基準データD20に記憶されている必要はない。ただし、距離の情報を用いることにより、バーナとポート350との間の距離が実験炉30と異なる工業炉35であっても、データ補間を行うことにより、工業炉35毎に各ポート350の基準範囲Ra,Rb,Rcを設定することも可能となる。
【0082】
たとえば、第1ポート301とバーナ40との距離がL1であり、第2ポート302とバーナ40との距離がL2(L2>L1)とする。この場合、バーナとポート350との距離LがL1<L<L2を満たす距離にある炉については、たとえば、距離Lと、距離L1と、距離L2と、第1ポート301の基準範囲Ra,Rb,Rcと、第2ポート302の基準範囲Ra,Rb,Rcとを用いて、当該炉における、光の強度の基準範囲と、ちらつき周波数の基準範囲と、ゆらぎの大きさの基準範囲とを決定することができる。
【0083】
具体例を挙げて説明すると、以下のとおりである。説明の簡略化のために、距離LがL1とL2との合計の平均(L=(L1+L2)/2)であるとする。また、バーナ40との距離がL1である第1ポート301の基準範囲Raを、「40~45」とする。さらに、バーナ40との距離がL2である第2ポート302の基準範囲Raを、「50~55」とする。この場合、バーナ40との距離がLのポート350がある工業炉35における、光の強度の基準範囲Raを、上記の2つの範囲の中間をとって、「45~50」に設定することができる。
【0084】
(b4.輝度の判定)
図12および
図13に基づき、
図4のステップS3の詳細を説明する。
【0085】
図12は、炎80の輝度の判定を行う局面(実運用の局面)における機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【0086】
図12を参照して、火炎検出器10は、検出部101と、ちらつき周波数算出部102と、ゆらぎ算出部103とを備える。
【0087】
検出部101は、
図2のセンサ11に相当する。検出部101は、炉内の炎80の光の強度を検出する。検出部101は、光の強度の時間的変化を示す信号500(
図3参照)を、情報処理装置20と、ちらつき周波数算出部102と、ゆらぎ算出部103とに出力する。
【0088】
ちらつき周波数算出部102は、
図2のちらつき周波数演算回路12に相当する。ちらつき周波数算出部102は、信号500に基づき、炎80のちらつき周波数を算出する。ちらつき周波数算出部102は、ちらつき周波数を情報処理装置20に出力する。
【0089】
ゆらぎ算出部103は、
図2のゆらぎ演算回路13に相当する。ゆらぎ算出部103は、信号500に基づき、炎80のゆらぎの大きさを算出する。ゆらぎ算出部103は、ゆらぎの大きさを情報処理装置20に出力する。
【0090】
情報処理装置20は、取得部201と、判定部202と、報知部203とを備える。判定部202は、基準データD20(
図11参照)を有する。報知部203は、表示制御部231と、音声制御部232と、通信制御部233と、表示装置234と、スピーカ235と、通信装置236とを有する。
【0091】
取得部201は、火炎検出器10から、光の強度と、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさとを取得する。光の強度と、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさとは、判定部202に送られる。
【0092】
判定部202は、検出部101によって検出された、光の強度の時間的変化を示す信号500が、予め定められた基準(以下、「予め定められた基準R」とも称する)を満たすかを判定する。判定部202は、判定結果を報知部203に通知する。
【0093】
具体的には、「予め定められた基準R」は、取得部201によって取得された光の強度が基準範囲Ra内にあり、取得されたちらつき周波数が基準範囲Rb内にあり、かつ、取得されたゆらぎの大きさが基準範囲Rc内にあることである。判定部202は、基準データD20を参照し、取得された光の強度と、取得されたちらつき周波数と、取得されたゆらぎの大きさとが、それぞれ、基準データD20に規定された基準範囲Ra,Rb,Rc内にあるか否かを判定する。
【0094】
報知部203は、信号500が予め定められた基準Rを満たすと判定された場合、炎80が発する光の輝度が適正であることを報知する。報知部203は、信号500が予め定められた基準Rを満たさないと判定された場合、炎80が発する光の輝度が不適であることを報知する。
【0095】
具体的には、信号500が予め定められた基準Rを満たすと判定された場合、表示制御部231は、表示装置234に光の輝度が適正である旨を表示させる。たとえば、表示制御部231は、表示装置234に、所定の文章、所定の記号、あるいは所定のアイコン等を表示させる。
【0096】
また、上記の表示とともに、あるいは上記の表示の代わりに、信号500が予め定められた基準Rを満たすと判定された場合、音声制御部232が、スピーカ235に光の輝度が適正である旨を示す音声を出力させてもよい。あるいは、信号500が予め定められた基準Rを満たすと判定された場合、通信制御部233が、通信装置236を介して、情報処理装置20に登録された端末装置(図示せず)に対して、光の輝度が適正である旨を示す情報を出力させてもよい。
【0097】
信号500が予め定められた基準Rを満たさないと判定された場合にも、報知部203は、上記のような表示、音声、通信の態様で、光の輝度が不適であることを報知する。
【0098】
報知の態様は、特に限定されない。報知の態様は、炎が発する光の輝度が適正であることを人が認識できる態様であればよい。
【0099】
図13は、
図4のステップS3の詳細な処理の流れを示したフロー図である。
図13を参照して、ステップS301において、輝度判定システム1は、火炎検出器10によって光の強度の時間的変化を示す信号500を取得する。ステップS302において、火炎検出器10が、取得された信号500から、ちらつき周波数と、ゆらぎの大きさとを算出する。
【0100】
ステップS303において、情報処理装置20は、基準データD20を参照して、光の強度が基準範囲Ra内にあるか否かを判定する。光の強度が基準範囲Ra内にあると判定された場合(ステップS303においてYES)、情報処理装置20は、ステップS304において、基準データD20を参照して、ちらつき周波数が基準範囲Rb内にあるか否かを判定する。光の強度が基準範囲Ra内にないと判定された場合(ステップS303においてNO)、情報処理装置20は、処理をステップS308に進める。
【0101】
ちらつき周波数が基準範囲Rb内にあると判定された場合(ステップS304においてYES)、情報処理装置20は、ステップS305において、基準データD20を参照して、ゆらぎの大きさが基準範囲Rc内にあるか否かを判定する。ちらつき周波数が基準範囲Rb内にないと判定された場合(ステップS304においてNO)、情報処理装置20は、処理をステップS308に進める。
【0102】
ゆらぎの大きさが基準範囲Rc内にあると判定された場合(ステップS305においてYES)、情報処理装置20は、ステップS306において、炎80の輝度が適正と判定する。その後、ステップS307において、情報処理装置20は、炎80の輝度が適正であることを報知する。ゆらぎの大きさが基準範囲Rc内にないと判定された場合(ステップS305においてNO)、情報処理装置20は、処理をステップS308に進める。
【0103】
ステップS308において、情報処理装置20は、炎80の輝度が不適と判定する。ステップS309において、情報処理装置20は、炎80の輝度が不適であることを報知する。
【0104】
以上により、ステップS3における一連の処理が終了する。
図13に示した処理は、典型的には、工業炉35のポート350別に実行される。ただし、これに限定されず、工業炉35の任意の1つのポート350に対して実行してもよい。
【0105】
図13に示した処理を工業炉35のポート350別に実行する場合には、判定部202は、全てのポート350での判定結果に基づき、炎80の輝度が適正か否かを判定すればよい。たとえば、判定部202は、全てのポート350での判定結果が適正である場合に、炎80の輝度が適正であると判定してもよい。あるいは、判定部202は、複数のポート350のうち、所定個数以上のポート350での判定結果が適正である場合に、炎80の輝度が適正であると判定してもよい。
【0106】
<C.利点>
上記のように、輝度判定システム1では、火炎検出器10が、炉内の炎が発する光の強度を検出する。情報処理装置20は、光の強度の時間的変化を示す信号500が、予め定められた基準Rを満たすかを判定する。情報処理装置は、信号500が予め定められた基準Rを満たすと判定された場合、炎80が発する光の輝度が適正であることを報知する。
【0107】
このように、輝度判定システム1によれば、炎80が発する光の強度を検出することによって、当該炎の輝度の適否が判定可能となる。それゆえ、輝度判定システム1を用いることにより、輝度の適否の判定に際し、作業員の立会確認が不要となる。
【0108】
詳しくは、輝度判定システム1によれば、炉における最適な燃焼状態(換言すれば、よい炎)を定量化することができる。より詳しくは、輝度判定システム1によれば、炎の最適な輝度を定量化することができる。
【0109】
<D.情報処理装置20のハードウェア構成>
図14は、情報処理装置20のハードウェア構成の典型例を表した図である。
【0110】
図14を参照して、情報処理装置20は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ261と、データを不揮発的に格納するROM262と、プロセッサ261によるプログラムの実行により生成されたデータ、又は入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM263と、データを不揮発的に格納するHDD264と、通信IF(Interface)265と、操作キー266と、電源回路267と、表示装置234とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。なお、通信IF265は、他の機器と間における通信を行うためのインターフェイスである。
【0111】
情報処理装置20における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサ261により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD264に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IF265等を介してダウンロードされた後、HDD264に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ261によってHDD264から読み出され、RAM263に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ261は、そのプログラムを実行する。
【0112】
同図に示される情報処理装置20を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM263、HDD264、記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、情報処理装置20の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0113】
なお、
図12に示した、判定部202は、典型的には、プロセッサ261がHDD264等に格納されたプログラムを実行することにより、実現される。また、取得部201と、表示制御部231と、音声制御部232と、通信制御部233とについても、プロセッサ261がHDD264等に格納されたプログラムを実行することにより、実現される。
【0114】
なお、判定部202における処理をハードウェア(集積回路等)で実現してもよい。
<E.変形例>
(1)情報処理装置20が、ちらつき周波数、ゆらぎの大きさを算出してもよい。すなわち、情報処理装置20が、上述した、ちらつき周波数算出部102とゆらぎ算出部103とを備えていてもよい。
【0115】
(2)上述した「予め定められた基準R」を、取得部201によって取得された光の強度が基準範囲Ra内にあり、かつ、取得されたちらつき周波数が基準範囲Rb内にあることとしてもよい。すなわち、判定部202は、ゆらぎの大きさを考慮せずに、光の輝度が適正か否かを判定してもよい。
【0116】
(3)実験炉30で用いる輝度判定システム1と、工業炉35とで用いる輝度判定システム1とは、必ずしも同一のシステム(同一の火炎検出器10、同一の情報処理装置20)である必要はない。ただし、火炎検出器10は同種のものであることが好ましい。情報処理装置20は、アプリケーションおよびデータ(データベースD10,基準データD20等)が同一であれば、ハードウェア自体の異同は特に限定されない。実験炉30における燃焼に基づき基準データD20が生成され、工業炉35における輝度判定で基準データD20が利用できればよい。
【0117】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0118】
1 輝度判定システム、10 火炎検出器、11 センサ、12 周波数演算回路、13 ゆらぎ演算回路、14 選択回路、20 情報処理装置、30 実験炉、35,35A,35B,35C 工業炉、40 バーナ、41 アウターノズル、42 インナーノズル、80 炎、81 内炎、82 外炎、101 検出部、102 周波数算出部、103 ゆらぎ算出部、201 取得部、202 判定部、203 報知部、231 表示制御部、232 音声制御部、233 通信制御部、234 表示装置、235 スピーカ、236 通信装置、261 プロセッサ、301 第1ポート、302 第2ポート、303 第3ポート、304 第4ポート、305 第5ポート、306 第6ポート、411,421 供給路、500 信号、A 外管径、B 内管径、D 距離、D10 データベース、D11,D12,D13,D14,D15,D16 データ、D20 基準データ、E 旋回状態。