(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108388
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】回転体ユニット、現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20220719BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
G03G21/18 103
G03G15/08 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003343
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 淳一
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AA12
2H077AA35
2H077AB03
2H077AB04
2H077AB14
2H077AC04
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD23
2H077EA15
2H171FA02
2H171FA09
2H171FA13
2H171FA26
2H171GA09
2H171GA31
2H171GA38
2H171JA23
2H171JA29
2H171KA05
2H171KA10
2H171PA06
2H171QA03
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA10
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171UA02
2H171UA03
2H171UA08
2H171UA12
2H171VA02
2H171VA06
2H171WA23
(57)【要約】
【課題】回転体間に配設された隔離部材を容易に引き抜くことができるようにする。
【解決手段】回転自在に配設された第1、第2の回転体と、第1、第2の回転体間に配設される隔離部材とを有する。第1、第2の回転体は、軸方向における所定の位置で、第1の押圧力で互いに接触させられ、他の所定の位置で、第2の押圧力で互いに接触させられる。第1、第2の回転体間に配設される隔離部材の引抜位置が、隔離部材の上縁teにおける、第1、第2の回転体が第2の押圧力で接触させられる位置に設定される。隔離部材を引抜位置で引き抜くと、隔離部材が第1、第2の回転体に対して軸方向に移動しながら引っ張られるので、引抜力が小さくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)回転自在に配設された第1の回転体と、
(b)該第1の回転体と対向させて回転自在に配設された第2の回転体と、
(c)第1の回転体と第2の回転体との間に配設される隔離部材とを有するとともに、
(d)前記第1、第2の回転体は、軸方向における所定の位置で、第1の押圧力で互いに接触させられ、他の所定の位置で、前記第1の押圧力より高い第2の押圧力で互いに接触させられ、
(e)前記第1、第2の回転体間に配設される前記隔離部材の引抜位置が、隔離部材の上縁における、第1、第2の回転体が第2の押圧力で接触させられる位置に設定されることを特徴とする回転体ユニット。
【請求項2】
前記第1、第2の回転体は、軸方向における両端部において第2の押圧力で互いに接触させられ、軸方向における中央部において第1の押圧力で互いに接触させられる請求項1に記載の回転体ユニット。
【請求項3】
前記隔離部材は、前記第1、第2の回転体の軸方向に対して前記上縁の方向に引き抜かれる請求項1又は2に記載の回転体ユニット。
【請求項4】
前記隔離部材は、第1、第2の回転体が、媒体に画像が形成される際の回転方向に回転させられるのに伴って挿入され、挿入される方向と逆の方向に引き抜かれる請求項1~3のいずれか1項に記載の回転体ユニット。
【請求項5】
前記隔離部材の上縁における前記引抜位置から、前記第1、第2の回転体の軸方向における中央部を挟んだ反対側の側縁までの距離である上縁・側縁間距離が、隔離部材の上縁からニップ部までの距離である上縁・ニップ部間距離より長くされる請求項1~4のいずれか1項に記載の回転体ユニット。
【請求項6】
前記上縁・ニップ部間距離に対する上縁・側縁間距離の距離比γが1.38以上にされる請求項5に記載の回転体ユニット。
【請求項7】
(a)前記第1の回転体は、現像剤によって現像剤像が形成される像担持体であり、
(b)前記第2の回転体は像担持体に押圧されるローラである請求項1~6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記ローラは現像剤を担持する現像剤担持体である請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記ローラは像担持体の表面を帯電させる帯電ローラである請求項7に記載の現像装置。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の現像装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体ユニット、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタは画像形成部を備え、該画像形成部に、現像装置としての画像形成ユニット、LEDヘッド、転写ローラ等が配設される。
【0003】
そして、プリンタにおいては、前記画像形成ユニットで帯電ローラによって帯電させられた感光体ドラムの表面が前記LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像が現像器によって現像されて感光体ドラム上にトナー像が形成される。該トナー像は、前記転写ローラによって用紙に転写され、定着器において用紙に定着させられる。
【0004】
前記現像器には現像ローラ及び供給ローラが配設され、供給ローラから現像ローラに供給されたトナーが静電潜像に付着させられることによって前記トナー像が形成される。
【0005】
また、前記定着器には加熱ローラ及び加圧ローラが配設され、用紙に転写されたトナー像が、加熱ローラによって加熱され、溶融させられ、加圧ローラによって加圧されて定着させられる。
【0006】
ところで、前記画像形成部においては、二つの回転体、例えば、感光体ドラムと現像ローラとが、それぞれ所定の力で互いに押し付けられて、回転体ユニットが構成されるようになっている。
【0007】
したがって、プリンタが長期間使用されることなく放置されると、互いに押し付けられることによって各回転体間のニップ部に発生する押圧力(ニップ圧)により、各回転体の表面にニップ痕が形成されることがある。
【0008】
その場合、プリンタを使用して印刷を行ったときに、回転体の回転が変動して回転体の機能が損なわれ、例えば、現像ローラによって感光体ドラムを適正に現像することができなくなると、画像品位が低下してしまう。
【0009】
また、感光体ドラムと現像ローラとの間において、現像ローラの成分が感光体ドラムに付着したり、浸透したりすることがあり、その場合、感光体ドラムの感光特性が変化し、画像品位が一層低下してしまう。
【0010】
そこで、感光体ドラムと現像ローラとの間に隔離部材としてのシート部材が挿入(配設)されるようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、回転体としての感光体ドラムと回転体としての現像ローラとの間に挿入された隔離部材としてのシート部材を前記押圧力に抗して引き抜くのに必要な力、すなわち、引抜力が大きい場合、シート部材を引き抜くのが困難である。
【0013】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、回転体間に配設された隔離部材を容易に引き抜くことができる回転体ユニット、現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明の回転体ユニットにおいては、回転自在に配設された第1の回転体と、該第1の回転体と対向させて回転自在に配設された第2の回転体と、第1の回転体と第2の回転体との間に配設される隔離部材とを有する。
【0015】
そして、前記第1、第2の回転体は、軸方向における所定の位置で、第1の押圧力で互いに接触させられ、他の所定の位置で、前記第1の押圧力より高い第2の押圧力で互いに接触させられる。
【0016】
また、前記第1、第2の回転体間に配設される前記隔離部材の引抜位置が、隔離部材の上縁における、第1、第2の回転体が第2の押圧力で接触させられる位置に設定される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回転体ユニットにおいては、回転自在に配設された第1の回転体と、該第1の回転体と対向させて回転自在に配設された第2の回転体と、第1の回転体と第2の回転体との間に配設される隔離部材とを有する。
【0018】
そして、前記第1、第2の回転体は、軸方向における所定の位置で、第1の押圧力で 互いに接触させられ、他の所定の位置で、前記第1の押圧力より高い第2の押圧力で互いに接触させられる。
【0019】
また、前記第1、第2の回転体間に配設される前記隔離部材の引抜位置が、隔離部材の上縁における、第1、第2の回転体が第2の押圧力で接触させられる位置に設定される。
【0020】
この場合、前記隔離部材の引抜位置が、隔離部材の上縁における、第1、第2の回転体が第2の押圧力で接触させられる位置に設定されるので、隔離部材を引抜位置で引き抜く際に、隔離部材が第1、第2の回転体に対して軸方向に移動しながら引っ張られる。
【0021】
したがって、引抜力が小さくなるので、隔離部材を容易に引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態におけるシート部材の第1の例を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【
図3】本発明の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。
【
図4】本発明の実施の形態における回転体ユニットの例を示す図である。
【
図6】引抜力を測定する方法を説明するための図である。
【
図8】実験用シート部材の引抜位置・側縁間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第1の図である。
【
図9】実験用シート部材の引抜位置・側縁間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第2の図である。
【
図10】実験用シート部材の上縁・ニップ部間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第1の図である。
【
図11】実験用シート部材の上縁・ニップ部間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第2の図である。
【
図12】実験用シート部材の上縁・ニップ部間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第3の図である。
【
図13】挿入位置ごとの実験用シート部材の狭域引抜力を示す図である。
【
図14】狭域引抜力を測定する方法を説明するための図である。
【
図15】本発明の実施の形態における左端部に設定された引抜位置で引き抜くときのシート部材の状態を説明するための図である。
【
図16】本発明の実施の形態におけるシート部材を引き抜く方向を説明するための図である。
【
図17】シート部材を引き抜く際にニップ部においてシート部材に形成されるトナーの擦れ跡の第1の例を示す図である。
【
図18】シート部材を引き抜く際にニップ部においてシート部材に形成されるトナーの擦れ跡の第2の例を示す図である。
【
図19】シート部材を引き抜く際にニップ部においてシート部材に形成されるトナーの擦れ跡の第3の例を示す図である。
【
図20】本発明の実施の形態におけるシート部材の第2の例を示す図である。
【
図21】本発明の実施の形態におけるシート部材の第3の例を示す図である。
【
図22】本発明の実施の形態におけるシート部材の第4の例を示す図である。
【
図23】本発明の実施の形態におけるシート部材の第5の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、現像装置としての画像形成ユニット及び画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0024】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【0025】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の外装を構成する筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体である。
【0026】
該装置本体Bdの下部に媒体収容部としての給紙カセット11が配設され、該給紙カセット11内に媒体としての図示されない用紙が収容される。そして、前記給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙を繰り出すホップアップローラ12、用紙を1枚ずつ分離させて給紙するためのフィードローラ13等から成る給紙機構が配設される。該給紙機構によって給紙された用紙は、媒体搬送路としての図示されない用紙搬送路を搬送されて第1の搬送部材としての搬送ローラ対m1に送られ、該搬送ローラ対m1によって第2の搬送部材としてのレジストローラ対m2に送られて斜行が矯正された後、画像形成部Q1に供給される。
【0027】
該画像形成部Q1は、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像を形成する4個の画像形成ユニット16i(i=Bk、Y、M、C)、該各画像形成ユニット16iの像担持体としての感光体ドラム31と対向させて配設され、感光体ドラム31の表面を露光して潜像としての静電潜像を形成する露光装置としてのLEDヘッド22、各画像形成ユニット16iの下方に配設された転写ユニットu1等を備える。
【0028】
該転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、駆動ローラr1と従動ローラr2とによって走行自在に張設された搬送部材としての搬送ベルト17、及び該搬送ベルト17を挟んで前記感光体ドラム31と対向させて配設された転写部材としての転写ローラ21を備える。
【0029】
前記用紙は、前記搬送ベルト17が走行させられるのに伴って搬送され、画像形成ユニット16iの各感光体ドラム31と転写ローラ21との間を通過する。その間に、転写ローラ21は、画像形成ユニット16iにおいて静電潜像が現像されて感光体ドラム31上に形成された各色の現像剤像としてのトナー像を用紙に順次重ねて転写し、カラーのトナー像を形成する。
【0030】
カラーのトナー像が形成された用紙は定着装置としての定着器18に送られ、該定着器18において、カラーのトナー像が、第1の定着部材としての加熱ローラ14によって加熱され、溶融させられ、第2の定着部材としての加圧ローラ15によって加圧され、定着させられて、用紙にカラーの画像が形成される。カラーの画像が形成されて定着器18から排出された用紙は、第3の搬送部材としての搬送ローラ対m3によって搬送された後、第4の搬送部材としての排出ローラ対m4によって装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂壁Wtに形成されたスタッカskに積載される。
【0031】
次に、前記画像形成ユニット16iについて説明する。
【0032】
図3は本発明の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。
【0033】
図において、16iは画像形成ユニット、19は画像形成ユニット16iの本体、すなわち、現像装置本体、20は、該現像装置本体19に対して着脱自在に配設され、現像剤としてのトナーTを収容する現像剤収容器としてのトナーカートリッジであり、該トナーカートリッジ20から、前記現像装置本体19に形成された現像剤貯蔵部としてのトナー貯蔵部TtにトナーTが供給される。
【0034】
画像形成ユニット16iは、矢印A方向に回転自在に配設された感光体ドラム31、矢印B方向に回転自在に配設され、高電圧が印加され、前記感光体ドラム31の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ32、矢印C方向に回転自在に配設され、前記トナーTを保持し、感光体ドラム31に供給し、感光体ドラム31上の静電潜像をトナーTによって現像してトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ33、矢印D方向に回転自在に配設され、現像後の前記現像ローラ33上のトナーTを掻き取り、新しいトナーTを供給する供給部材としての供給ローラ34、弾性体から成り、前記現像ローラ33上に供給されたトナーTを薄層化する層規制部材としての現像ブレード35、トナー像の用紙への転写後に感光体ドラム31上に残留したトナーTを掻き取るクリーニング部材としてのクリーニングブレード36、クランク状の棒材から成り、各矢印E~G方向に回転自在に配設され、図において破線で示される軌跡を描き、トナー貯蔵部Tt内のトナーTを攪拌する攪拌バー37~39等を備える。なお、前記現像ローラ33、供給ローラ34、現像ブレード35等によって現像器が構成される。
【0035】
前記感光体ドラム31は、中空ローラ(導電性基層)に、有機感光体から成る表層を被覆することによって形成される。また、前記帯電ローラ32、現像ローラ33及び供給ローラ34は、シャフトに弾性層を被覆することによって形成される。
【0036】
前記構成のプリンタ10(
図2)において、印刷時に、トナー貯蔵部Tt内のトナーTが供給ローラ34によって現像ローラ33に供給され、現像ローラ33に供給されたトナーTは、現像ブレード35によって余剰のトナーTが掻き落とされて薄層化され、薄層化されたトナーTは、現像ローラ33の回転に伴って感光体ドラム31に送られる。
【0037】
該感光体ドラム31は、回転に伴って、表面が帯電ローラ32によって一様に帯電させられ、LEDヘッド22によって露光されて表面に静電潜像が形成され、該静電潜像に、前記現像ローラ33から送られたトナーTが静電的に付着させられてトナー像が形成される。
【0038】
トナー像が用紙に転写された後に感光体ドラム31の表面に残留したトナーTはクリーニングブレード36によって掻き取られる。
【0039】
次に、前記プリンタ10の構成要素について詳細に説明する。
【0040】
まず、前記トナーTについて説明する。
【0041】
本実施の形態で使用されるトナーTは、非磁性一成分の負帯電性トナーであり、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母粒子に無機微粉体、有機微粉体等の外部添加剤、すなわち、外添剤を添加することによって形成される。前記結着樹脂としては、ポリエステル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、又はスチレン-ブタジエン系樹脂が使用される。前記外添剤としては、離型剤、着色剤等が使用されるほかに、帯電制御剤、導電性調整剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等が適宜使用される。また、複数の種類の樹脂を混合した決着樹脂を使用することもでき、その場合、複数の非晶性ポリエステル系樹脂のほかに、結晶構造を持った結晶性ポリエステル樹脂が使用される。
【0042】
トナーTの、平均粒径は7.0〔μm〕、円形度は0.93にされる。なお、平均粒径の測定には、コールター社製「コールターマルチサイザーIII」を、円形度の測定には、シスメックス社製「フロー式粒子像分析装置FPIA-3000」が使用される。
【0043】
次に、前記感光体ドラム31について説明する。
【0044】
感光体ドラム31は、ドラムギア、ドラムフランジ、円筒型に加工された導電性支持体等から成り、該導電性支持体に、表面から順に、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層から成る積層構造が被覆され、電荷発生層及び電荷輸送層によって感光層が形成される。
【0045】
感光体ドラム31としては、公知の電子写真感光体に適用することができる構成を有し、例えば、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解又は分散させた単層の感光層(即ち、単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体を使用したり、電荷発生物質を含有する電荷発生層、及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層することによって形成された、複数の層から成る感光層(即ち、積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体を使用したりすることができる。一般に、光導電性材料は、単層型でも積層型でも、機能としては同等の性能を示すことが知られている。
【0046】
なお、感光体ドラム31は、前述されたように、公知の単層型又は積層型感光体のいずれの形態でもよいが、電子写真感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性等を総合的に勘案すると、感光体ドラム31として積層型の電子写真感光体を使用するのが好ましい。特に、導電性支持体に電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した順積層型感光体を使用するのが一層好ましい。
【0047】
電荷発生層及び電荷輸送層を有する機能分離型感光体(即ち、積層型感光体)の電荷輸送層、並びに単層型感光体の感光層を形成する場合、膜強度を確保するために、通常、導電性支持体に、化合物を分散させるためのバインダー樹脂が使用される。機能分離型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質及び各種のバインダー樹脂を溶剤に溶解させるか又は分散させて得られる塗布液を導電性支持体に塗布し、乾燥させることによって形成される。一方、単層型感光体の感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質及び各種のバインダー樹脂を溶剤に溶解させるか又は分散させて得られる塗布液を導電性支持体に塗布し、乾燥させることによって形成される。
【0048】
機能分離型感光体の電荷発生層に使用されるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマール、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼイン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アルキッド樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等のいずれかを使用することができる。また、これらのバインダー樹脂のうちの1種類を単独で使用したり、2種類以上を任意の比率及び組み合わせで使用したりすることもできる。
【0049】
機能分離型感光体の電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼイン、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アルキッド樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、有機光導電性樹脂等を使用することができる。塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及び塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体等である。有機光導電性樹脂は、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン及びポリビニルペリレン等である。
【0050】
機能分離型感光体の電荷輸送剤としては、例えば、電荷輸送物質のうちのいずれか1種類又は2種類以上が使用される。電荷輸送物質は、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、アニリン誘導体及びエナミン誘導体等である。このほかに、電荷輸送物質として、例えば、前述された芳香族アミン誘導体のうちの1種類、又は2種類以上が結合された化合物を使用したり、前述された芳香族アミン誘導体等からなる基を主鎖又は側鎖として有する重合体(電子供与性材料)等を使用したりすることができる。電荷輸送物質は、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、エナミン誘導体等、及びそれらのうちの1種類、又は2種類以上が結合された化合物であることが好ましく、芳香族アミン誘導体とエナミン誘導体とが結合された化合物であることが一層好ましい。
【0051】
本実施の形態における感光体ドラム31を構成する各層は、各層を構成する材料を含有する塗布液を、公知の塗布方法で導電性支持体に塗布し、乾燥させる工程を各層ごとに繰り返すことによって形成される。バインダー樹脂を溶解させた前記塗布液に使用される溶媒及び分散媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン等の鎖状、分岐及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n-ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が使用されるが、前記下引き層を溶解しないものが好ましい。なお、これらのうちの1種類を単独で使用したり、2種類以上を任意の比率及び組合せて使用したりすることができる。
【0052】
塗布液の塗布方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等にされるが、他の公知のコーティング法にすることもできる。
【0053】
なお、前記各塗布方法のうちの1つの方法で塗布液を塗布したり、2つ以上の方法を任意に組み合わせて塗布液を塗布したりすることができる。塗布液を乾燥させるには、室温(通常25〔℃〕)における指触乾燥後、30〔℃〕以上、かつ、190〔℃〕以下の温度範囲で、通常1〔分〕以上、かつ、2〔時間〕以下の間、無風、又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定にしたり、乾燥時に変更したりすることができる。
【0054】
次に、前記現像ローラ33について説明する。
【0055】
現像ローラ33は、軸としての導電性の芯金に弾性層を被覆し、該弾性層に表面層を被覆することによって形成される。
【0056】
一般的に弾性層に使用される、ロール形状を有するゴム材料のゴム硬度は、アスカーC硬度で60~85〔度〕であることが好ましい。弾性層のアスカーC硬度が60〔度〕より低いと、プリンタ10が長期間使用されず放置された場合に、現像ローラ33と感光体ドラム31及び現像ブレード35との当接部に凹みが発生し、その後プリンタ10を使用して印刷した画像上に横スジが発生してしまう。また、弾性層のアスカーC硬度が85〔度〕より高いと、現像ローラ33に加わる機械的な負荷が大きくなり、現像ローラ33の表面にトナーフィルミングが発生しやすくなる。
【0057】
現像ローラ33の表面粗さは、現像ブレード35によって現像ローラ33上に形成されるトナーの層の厚さ、トナーTの帯電量等が所望の値になるように設定され、周方向における十点平均粗さRz(JIS B0601-1994)が2~10〔μm〕であることが好ましい。十点平均粗さRzが2〔μm〕より小さいと、現像ローラ33上に形成されるトナーTの層が薄くなり、トナーTの粒子1個当たりに加わるストレスが大きくなる。その結果、トナーTから離脱する外添剤の量が多くなり、離脱した外添剤が現像ローラ33と現像ブレード35との当接部に詰まって現像ブレード35の表面にトナーフィルミングが発生しやすくなってしまう。また、十点平均粗さRzが10〔μm〕より大きいと、現像ローラ33上に形成されるトナーTの層が厚くなるので、供給ローラ34によってトナーTが十分に掻き取られず、現像ローラ33の表面にトナーフィルミングが発生したり、必要量以上のトナーが感光ドラム31に付着させられたりして、画像品位が低くなってしまう。
【0058】
なお、現像ブレード35は、板厚が0.08〔mm〕のステンレス鋼材から成り、現像ローラ33との当接部に、曲げ加工によって曲げ部が形成される。該曲げ部の曲率半径は0.18〔mm〕にされ、現像ローラ33に対する圧力(線圧)は40〔gf/cm〕にされる。
【0059】
本実施の形態において、現像ローラ33の前記弾性層には、シリコーンゴム、ウレタン等の一般的なゴム材料が使用されるが、弾性層にポリウレタンを使用する場合には、ポリエーテル系ポリオールを主体とするポリウレタンを使用するのが好ましい。ポリエーテル系ポリオールを主体とするポリウレタンは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによって形成される、いわゆる注型タイプのエーテル系ポリウレタンであり、圧縮永久ひずみを小さくするために使用される。一方、エステル系ポリウレタンは、加水分解特性が悪く、長期に亘って安定して使用することができない。
【0060】
ポリオールと反応させるイソシアネートとしては、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の3官能イソシアネート単体と、ヘキサメチレンジイソシアネートのネレート変性ポリイソシアネート、ポリメリックMDI等との混合物を使用することもできる。また、1官能以上のポリイソシアネートと、一般的な2官能イソシアネート化合物との混合物を使用することもできる。2官能イソシアネート化合物としては、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3-ジメチルジフェニルー4,4-ジイソシアネート(TODI)、これらのイソシアネートを両末端に有するプレポリマー等の変性体、多量体等を使用することができる。
【0061】
また、本実施の形態において、前記表面層は、弾性層の表層部に表面処理液を含浸させることによって形成される。表面処理液としては、有機溶媒に、少なくともイソシアネート成分を溶解させたものが使用され、有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル等が使用され、イソシアネート成分としては、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のイソシアネート化合物、多量体、変性体等が使用される。
【0062】
表面処理液にはポリエーテル系ポリマーを含有させてもよい。その場合、ポリエーテル系ポリマーとしては、有機溶剤に可溶であるものが好ましく、また、活性水素を有し、イソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものが好ましい。活性水素を有する好適なポリエーテル系ポリマーとは、水酸基又はアリル基を有するポリマーであり、例えば、末端イソシアネートプレポリマーに使用されるポリオール、グリコール等である。
【0063】
また、表面処理液には、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択されるポリマーを含有させてもよい。アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーとしては、所定の溶剤に可溶で、イソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものが好ましい。アクリルフッ素系ポリマーとは、例えば、水酸基、アルキル基、又はカルボキシル基を有する溶剤可溶性のフッ素系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステル、アクリル酸フッ化アルキルのブロックコポリマー、その誘導体等である。一方、アクリルシリコーン系ポリマーとは、溶剤可溶性のシリコーン系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステル、アクリル酸シロキサンエステルのブロックコポリマー、その誘導体等である。
【0064】
前述された表面処理液に弾性層を浸漬させ、乾燥硬化させると、表面処理液が弾性層の表層部に含浸されて表面層になる。
【0065】
次に、前記供給ローラ34について説明する。
【0066】
供給ローラ34は、導電性を有する軸としての芯金に、シリコーンゴムから成る発泡体の弾性層、すなわち、発泡体弾性層を被覆することによって形成される。
【0067】
前記芯金としては、良好な導電特性をする、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等が使用される。
【0068】
前記発泡弾性層には、ゴム、発泡剤、及び導電性付与剤を含有させたゴム組成物が使用される。該ゴム組成物に各種の添加剤を添加してもよい。前記ゴムとしては、耐熱性及び帯電特性の高いシリコーンゴム又はシリコーン変性ゴムが使用され、発泡剤としては、発泡ゴムに使用される発泡剤であればよく、例えば、無機系発泡剤である、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等を使用したり、有機系発泡剤である、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物を使用したりすることができる。発泡弾性層に連通セルを形成する場合には無機系発泡剤が使用され、独立セルを形成する場合には有機性発泡剤が使用される。ゴム組成物には、発泡剤に加えて、又は、発泡剤に代えて中空充填剤を含有させてもよい。中空充填剤として、例えば、ポリオルガノシロキサン系球状粉末が使用される。前記導電性付与剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラック、導電性ポリマー等が使用される。前記各種の添加剤としては、充填剤、着色剤、離型剤等が、所定の配合量で添加される。
【0069】
ところで、前記画像形成部Q1においては、感光体ドラム31と、帯電ローラ32、現像ローラ33及び転写ローラ21のうちの一つとから成る二つの回転体が、また、現像ローラ33と供給ローラ34とから成る二つの回転体が所定の力で互いに押し付けられ、前記定着器18においては、加熱ローラ14と加圧ローラ15とから成る二つの回転体が所定の力で互いに押し付けられるようになっている。すなわち、本実施の形態においては、プリンタ10の各部位で二つの回転体が互いに所定の力で押し付けられて、後述される回転体ユニットE1(
図4)が構成される。
【0070】
したがって、プリンタ10が長期間使用することなく放置されると、互いに押し付けられることによって各回転体間のニップ部に発生する押圧力によって、前記各回転体の表面にニップ痕が形成されることがある。
【0071】
その場合、プリンタ10を使用して印刷を行ったときに、回転体の回転が変動して各回転体が有する機能が損なわれると、画像品位が低下してしまう。
【0072】
特に、感光体ドラム31と、帯電ローラ32、現像ローラ33及び転写ローラ21との間において、帯電ローラ32、現像ローラ33及び転写ローラ21の成分が感光体ドラム31に付着したり、浸透したりすることがあり、その場合、感光体ドラム31の感光特性が変化し、画像品位が一層低下してしまう。
【0073】
そこで、本実施の形態においては、互いに押し付けられた第1の回転体としての感光体ドラム31と第2の回転体としての現像ローラ33との間に、隔離部材としての後述されるシート部材45が挿入され、配設されるようになっている。
【0074】
図4は本発明の実施の形態における回転体ユニットの例を示す図である。
【0075】
図において、E1は回転体ユニット、31は矢印A方向に回転自在に配設された感光体ドラム、33は矢印C方向に回転自在に配設された現像ローラ、45はシート部材である。該シート部材45は、厚さが40〔μm〕の、耐熱性を有するポリプロピレン樹脂によって形成され、感光体ドラム31と現像ローラ33との間に挿入され、感光体ドラム31と現像ローラ33とを隔離する。
【0076】
ところで、感光体ドラム31と現像ローラ33とを押し付ける力が大きく、ニップ部に発生する押圧力が高いと、プリンタ10(
図2)を使用する際に押圧力に抗してシート部材45を引き抜くのが困難である。
【0077】
すなわち、本実施の形態において、現像ローラ33は、中央部から両端部にかけて外径が徐々に大きくされて、いわゆる逆クラウン状の形状を有しているので、感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向における所定の位置、本実施の形態においては、中央部において、第1の押圧力で感光体ドラム31と現像ローラ33とが互いに接触、すなわち、圧接させられ、他の所定の位置、本実施の形態においては、両端部において、前記第1の押圧力より大きい第2の押圧力で感光体ドラム31と現像ローラ33とが互いに接触、すなわち、圧接させられるので、シート部材45を引き抜く際に第1、第2の押圧力に応じた摩擦力が発生し、シート部材45を引き抜くのが困難になる。
【0078】
なお、本実施の形態において、感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向の長さは300〔mm〕にされ、軸方向における前記中央部は、感光体ドラム31及び現像ローラ33の両端から120~180〔mm〕の範囲であり、軸方向における前記両端部は、両端から0~60〔mm〕の範囲である。
【0079】
ここで、感光体ドラム31と現像ローラ33との間からシート部材45を引き抜く際のときの引抜特性について説明する。
【0080】
そのために、実験用のシート部材、すなわち、実験用シート部材を作成して実験を行い、実験用シート部材を感光体ドラム31と現像ローラ33との間から引き抜くときの引抜力を測定した。なお、実験用シート部材は、引き抜く際に感光体ドラム31及び現像ローラ33の表面に傷が付くことがないような材料、例えば、ポリプロピレン樹脂によって形成される。
【0081】
図5は実験用シート部材の正面図、
図6は引抜力を測定する方法を説明するための図、
図7は実験結果を示す図、
図8は実験用シート部材の引抜位置・側縁間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第1の図、
図9は実験用シート部材の引抜位置・側縁間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第2の図、
図10は実験用シート部材の上縁・ニップ部間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第1の図、
図11は実験用シート部材の上縁・ニップ部間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第2の図、
図12は実験用シート部材の上縁・ニップ部間距離を変更したときの引抜力の変化を示す第3の図である。なお、
図8において、横軸に引抜位置・側縁間距離Laを、縦軸に引抜力Fnを、
図9において、横軸に距離比γを、縦軸に引抜力Fnを、
図10おいて、横軸に上縁・ニップ部間距離Lbを、縦軸に引抜力Fnを、
図11及び12において、横軸に距離比γを、縦軸に引抜力Fnを採ってある。
【0082】
図において、51は実験用シート部材、Pdは、該実験用シート部材51の後述される上縁Te上に設定された、感光体ドラム31(
図3)と現像ローラ33との間から実験用シート部材51を引き抜く位置である引抜位置、Npは感光体ドラム31と現像ローラ33との間に形成されたニップ部、53は、実験用シート部材51を引き抜くときの引抜力Fnを測定する引抜力測定器である。前記実験においては、引抜力測定器53として、最大測定値が100〔N〕のイマダ社製「デジタルフォースゲージ(152128)」を使用した。
【0083】
前記実験用シート部材51は、矩形の形状を有し、上縁Te、下縁Be、前記画像形成部Q1(
図2)における用紙の搬送方向における上流側から見たときの左側の側縁Se1、及び右側の側縁Se2を備える。
【0084】
実験において、感光体ドラム31及び現像ローラ33を、用紙に画像を形成する際の回転方向である前記矢印A、C方向に回転させ、実験用シート部材51をニップ部Npに、実験用シート部材51の下縁Beまでの距離、すなわち、挿入深さが8〔mm〕になるように挿入した。なお、この実験において挿入深さは8〔mm〕にされるが、挿入深さを他の値にすることができる。
【0085】
そして、引抜力測定器53を上縁Teの前記引抜位置Pdに取り付け、実験用シート部材51を引き抜く際に実験用シート部材51が破れるのを防止するために、幅が50〔mm〕の薄い金属板から成る補強部材54を、引抜位置Pdを中心にして上縁Teに貼付した。また、引抜位置Pdにおける補強部材54より下縁Be側の、補強部材54に近接する2箇所に穴h1、h2を形成し、引抜力測定器53に装着したフック56を穴h1、h2に引っ掛けて、引抜力測定器53を片手で持ち上げ、実験用シート部材51を引き抜き、引抜力測定器53による実測値の最大値を実験用シート部材51の引抜力Fnとした。
【0086】
実験用シート部材51の引抜位置Pdを上縁Teの中央部とし、前記取付位置Pdから側縁Se2までの距離を引抜位置・側縁間距離Laとし、上縁Teからニップ部Npまでの距離を前記上縁・ニップ部間距離Lbとし、引抜位置・側縁間距離La及び上縁・ニップ部間距離Lbを変更して計10回、実験用シート部材51を感光体ドラム31と現像ローラ33との間から引き抜いたときの引抜位置・側縁間距離La、上縁・ニップ部間距離Lb、上縁 ・ニップ部間距離Lbに対する引抜位置・側縁間距離Laの比(La/Lb)を表す距離比γ、引抜力Fn、及び実験用シート部材51の引き抜きやすさの評価を
図7に示す。
【0087】
1回目、2回目及び5回目のように、引抜力Fnが35〔N〕より大きい場合、片手で引き抜くのが困難であったので、引き抜きやすさの評価を×とし、3回目及び6回目のように、引抜力Fnが30~35〔N〕の範囲である場合、片手で引き抜くのがやや困難であったので、引き抜きやすさの評価を△とし、4回目及び7~10回目のように、引抜力Fnが30〔N〕より小さい場合、容易に引き抜くことができたので、引き抜きやすさの評価を○とした。
【0088】
例えば、1回目においては、引抜位置・側縁間距離Laを150〔mm〕とし、上縁・ニップ部間距離Lbを200〔mm〕とし、距離比γを0.75にした。このときの引抜力Fnは38.9〔N〕であり、引き抜きやすさの評価は×である。
【0089】
1回目~4回目においては、上縁・ニップ部間距離Lbを200〔mm〕に固定し、引抜位置・側縁間距離Laを150〔mm〕~275〔mm〕の間で異ならせ、5回目~10回目においては、引抜位置・側縁間距離Laを275〔mm〕に固定し、上縁・ニップ部間距離Lbを300〔mm〕~75〔mm〕の間で異ならせて実験用シート部材51を引き抜いた。
【0090】
図8に示されるように、1回目~4回目において、上縁・ニップ部間距離Lbを200〔mm〕に固定し、引抜位置・側縁間距離Laを150〔mm〕、200〔mm〕、211.5〔mm〕及び275〔mm〕にしたときの引抜位置・側縁間距離La及び引抜力Fnをプロットした。引抜位置・側縁間距離Laが長いほど引抜力Fnが小さくなることが分かる。
【0091】
引抜位置・側縁間距離Laと引抜力Fnとの関係を一次関数で表すと、
y=-0.0839x+52.045
になり、引抜力Fnを引抜位置・側縁間距離Laの変数で表すと、
Fn(La)=-0.0839×La+52.045
になる。
【0092】
また、前記引抜位置・側縁間距離La及び引抜力Fnの各値に基づいて、引抜位置・側縁間距離La及び引抜力Fnの相関性を表す決定係数をR2とすると、
R2=0.9768
になる。これにより、引抜位置・側縁間距離Laと引抜力Fnとの相関性が高いことが分かる。
【0093】
また、
図9に示されるように、1回目~4回目において、上縁・ニップ部間距離Lbを200〔mm〕に固定し、引抜位置・側縁間距離Laを150〔mm〕、200〔mm〕、211.5〔mm〕及び275〔mm〕にしたときの距離比γ及び引抜力Fnをプロットした。距離比γが大きいほど引抜力Fnが小さくなることが分かる。
【0094】
距離比γと引抜力Fnとの関係を一次関数で表すと、
y=-16.779x+52.045
になり、引抜力Fnを距離比γの変数で表すと、
Fn(γ)=-16.779×γ+52.045
になる。
【0095】
また、前記距離比γ及び引抜力Fnの各値に基づいて、距離比γ及び引抜力Fnの相関性を表す決定係数をR2とすると、
R2=0.9768
になる。これにより、距離比γと引抜力Fnとの相関性が高いことが分かる。
【0096】
また、
図10に示されるように、4回目~9回目において、引抜位置・側縁間距離Laを275〔mm〕に固定し、上縁・ニップ部間距離Lbを200〔mm〕、300〔mm〕、250〔mm〕、200〔mm〕、150〔mm〕及び112.5〔mm〕にしたときの上縁・ニップ部間距離Lb及び引抜力Fnをプロットした。上縁・ニップ部間距離Lbが短いほど引抜力Fnが小さくなり、200〔mm〕以下でほぼ飽和することが分かる。なお、10回目において上縁・ニップ部間距離Lbを75〔mm〕以下にしたときの上縁・ニップ部間距離Lbと引抜力Fnとの関係については、実験用シート部材51に引抜力測定器53を取り付けて実験を行う際の操作性が困難なことから省略する。
【0097】
また、
図11に示されるように、4回目~9回目について、引抜位置・側縁間距離Laを275〔mm〕に固定し、上縁・ニップ部間距離Lbを200〔mm〕、300〔mm〕、250〔mm〕、200〔mm〕、150〔mm〕及び112.5〔mm〕にしたときの距離比γ及び引抜力Fnをプロットした。これにより、1回目~4回目と同様に、距離比γが大きいほど引抜力Fnが小さくなることが分かる。
【0098】
このことから、引抜力Fnを小さくするために、引抜位置・側縁間距離Laを上縁・ニップ部間距離Lbより長くするのが好ましい。
【0099】
なお、
図12に示されるように、引抜位置・側縁間距離Laを275〔mm〕に固定し、上縁・ニップ部間距離Lbを変更して実験用シート部材51を更に複数回引き抜き、そのときの上縁・ニップ部間距離Lb及び引抜力Fnをプロットした。距離比γが1.38以上になると、引抜力Fnが、ほぼ飽和して28.6〔N〕になり、実験用シート部材51を容易に引き抜くことができる範囲まで小さくなることが分かる。
【0100】
次に、引抜位置・側縁間距離Laを長くするほど、また、上縁・ニップ部間距離Lb距離比γを短くするほど引抜力Fnが小さくなる理由について説明する。
【0101】
そのために、実験用シート部材51より幅(感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向における寸法)の狭い、後述される実験用シート部材61(
図14)を作成して実験を行い、実験用シート部材61を感光体ドラム31と現像ローラ33との間から引き抜くときの狭域用の引抜力、すなわち、狭域引抜力Fmを測定した。
【0102】
図13は挿入位置ごとの実験用シート部材の狭域引抜力を示す図、
図14は狭域引抜力を測定する方法を説明するための図である。なお、
図13において、縦軸に感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向における実験用シート部材の挿入位置を、縦軸に狭域引抜力Fmを採ってある。
【0103】
図において、61は実験用シート部材、53は引抜力測定器である。
【0104】
前記実験用シート部材61は、矩形の形状を有し、上縁Te、下縁Be、画像形成部Q1(
図2)における用紙の搬送方向における上流側から見たときの左側の側縁Se1及び右側の側縁se2を備える。
【0105】
実験において、感光体ドラム31及び現像ローラ33(
図3)を回転させ、幅が60〔mm〕の実験用シート部材61を、感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向における複数箇所、本実施の形態においては、5箇所に設定された挿入位置(左側の端部である左端部、右側の端部である右端部、中央部、左端部と中央部との間の中央である左中央部、及び右端部と中央部との間の中央である右中央部)で感光体ドラム31と現像ローラ33との間に、挿入深さが8〔mm〕になるように挿入した。
【0106】
なお、前記実験においては、実験用シート部材61を挿入深さが8〔mm〕になるように挿入しているが、感光体ドラム31と現像ローラ33とを隔離することができれば、挿入深さを任意の値にすることができる。また、感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向における左端部と右端部とで挿入深さを、例えば、8±4〔mm〕程度の範囲で異ならせるようにすることもできる。
【0107】
そして、実験用シート部材61の上縁Teより下縁Be側の、上縁Teに近接する1箇所に穴h3を形成し、引抜力測定器53に装着したフック56を穴h3に引っ掛けて、引抜力測定器53を片手で持ち上げ、実験用シート部材61を引き抜き、引抜力測定器53による実測値の最大値を実験用シート部材61の狭域引抜力Fmとした。
【0108】
図13に示されるように、狭域引抜力Fmは、左端部及び右端部において最も大きく、中央部に近づくほど小さくなり、中央部において最も小さくなった。
【0109】
すなわち、前述されたように、感光体ドラム31及び現像ローラ33は、軸方向における所定の位置、本実施の形態においては中央部において、第1の押圧力で互いに圧接させられ、他の所定の位置、本実施の形態においては左端部及び右端部において、前記第1の押圧力より大きい第2の押圧力で互いに圧接させられるので、狭域引抜力Fmは、左端部及び右端部において最も大きく、中央部に近づくほど小さくなり、中央部において最も小さくなる。
【0110】
このことから、感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向における左端部から右端部にかけての全域に挿入したシート部材45(
図4)を、後述される上縁te(
図15)の中央部に設定された引抜位置Pbで引き抜く場合、第2の押圧力が、距離比γが小さくされた状態で引抜位置Pbに重なって加わるので、引抜力Fnが大きくなることが分かる。
【0111】
これに対して、シート部材45を、前記上縁teの左端部及び右端部の一方、例えば、左端部に設定された引抜位置Pbで引き抜く場合、第2の押圧力が、距離比γが大きくされた状態で引抜位置Pbに加わるので、引抜力Fnが小さくなることが分かる。
【0112】
そこで、本実施の形態においては、シート部材45の上縁teにおける、ニップ部Npの軸方向において感光体ドラム31及び現像ローラ33が第2の押圧力で互いに圧接させられる位置に引抜位置Pbが設定される。
【0113】
次に、左端部に設定された引抜位置Pbで引き抜くときのシート部材45の状態について説明する。
【0114】
図15は本発明の実施の形態における左端部に設定された引抜位置で引き抜くときのシート部材の状態を説明するための図、
図16は本発明の実施の形態におけるシート部材を引き抜く方向を説明するための図、
図17はシート部材を引き抜く際にニップ部においてシート部材に形成されるトナーの擦れ跡の第1の例を示す図、
図18はシート部材を引き抜く際にニップ部においてシート部材に形成されるトナーの擦れ跡の第2の例を示す図、
図19はシート部材を引き抜く際にニップ部においてシート部材に形成されるトナーの擦れ跡の第3の例を示す図である。
【0115】
図において、31は感光体ドラム、33は現像ローラ、45はシート部材であり、シート部材45は上縁te、下縁be、用紙の搬送方向における上流側から見たときの左側及び右側の側縁se1、se2を備える。また、Pdは引抜位置、Npはニップ部である。
シート部材45を、左端部、すなわち、上縁teにおける側縁se1の近傍に設定された引抜位置Pdで、ニップ部Npの軸方向に対して直交する矢印K方向、すなわち、引抜方向である上縁方向に引き抜くと、シート部材45はニップ部Npにおいて感光体ドラム31及び現像ローラ33によって挟持され(圧接させられ)ているので、シート部材45において、ニップ部Npにおける側縁se2の近傍の部位RBから引抜位置Pbにかけて矢印M方向に応力が発生する。
【0116】
なお、本実施の形態において、直交するとは、ニップ部Npの軸方向と矢印K方向とが90〔°〕の角度を成すことだけでなく、90±5〔°〕程度の角度を成すことをいう。
また、シート部材45の引抜方向は、ニップ部Npに挿入される方向と逆方向にされる。
このとき、前述されたように、ニップ部Npの中央部において、第1の押圧力が小さく、感光体ドラム31及び現像ローラ33の表面とシート部材45との間に発生する摩擦力が小さいので、シート部材45のニップ部Npの右端部において挟持される前記部位PBは、感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向に移動しながら上方に引っ張られる。
【0117】
その結果、感光体ドラム31の表面がシート部材45の前記部位PBによって擦られ、感光体ドラム31の表面に付着したり、残留したりしているトナーTに、
図17~18に示されるような擦れ跡g1~g3が形成される。
【0118】
例えば、
図7に示される実験結果における1回目、2回目及び5回目のように引抜力Fnが35〔N〕より大きい場合、シート部材45の部位PBは、軸方向にほぼ移動することなく上方に引っ張られるので、
図17に示されるような、ほぼ引抜方向に延びる複数の筋から成る擦れ跡g1が形成される。
【0119】
また、3回目及び6回目のように引抜力Fnが30~35〔N〕である場合、シート部材45の部位PBは、軸方向にわずかに移動しながら上方に引っ張られるので、
図18に示されるような、引抜方向に対してわずかに傾斜して延びる複数の筋から成る擦れ跡g2が形成される。
【0120】
そして、4回目及び7~10回目のように、引抜力Fnが30〔N〕より小さい場合、シート部材45におけるニップ部Npと当接する部分は軸方向に大きく移動しながら上方に引っ張られるので、
図19に示されるような、引抜方向に対して直角の方向から大きく傾斜して延びる複数の筋から成る擦れ跡g3が形成される。
【0121】
このことから、引抜力Fnと擦れ跡g1~g3の複数の筋の傾斜角度とに強い相関性があることが分かる。
【0122】
次に、引抜力Fnが小さくなる形状を有するシート部材45について説明する。
【0123】
図1は本発明の実施の形態におけるシート部材の第1の例を示す図、
図20は本発明の実施の形態におけるシート部材の第2の例を示す図、
図21は本発明の実施の形態におけるシート部材の第3の例を示す図、
図22は本発明の実施の形態におけるシート部材の第4の例を示す図、
図23は本発明の実施の形態におけるシート部材の第5の例を示す図である。
【0124】
図において、45はシート部材であり、該シート部材45は、上縁te、下縁be、用紙の搬送方向における上流側から見たときの左側及び右側の側縁se1、se2を備え、矢印K方向、すなわち引抜方向に引き抜かれる。
【0125】
図1に示される第1の例のシート部材45は矩形の形状を有し、シート部材45の上縁teの左端部に設定された引抜位置Pbから中央部を挟んだ右端部の側縁se2までの距離を引抜位置・側縁間距離をLcとし、上縁teからニップ部までの距離を上縁・ニップ部間距離Ldとしたときの、上縁・ニップ部間距離Ldに対する引抜位置・側縁間距離Lcの距離比ηが、
η=Lc/Ld
≧1.38
にされる。
【0126】
また、シート部材45における引抜位置Pbの近傍に、引抜位置Pb及び引抜方向を表す案内指標としてのマークmk1が形成される。
【0127】
図20に示される第2の例のシート部材45においては、引抜位置Pbを目立たせるために、上縁teにおける引抜位置Pbの近傍の所定の領域teaが他の領域tebより上方に突出させられて段差が形成され、側縁se1が側縁se2より長くされる。
【0128】
この場合、引抜位置Pbから側縁se2までの引抜位置・側縁間距離をLcとし、上縁teの領域teaからニップ部までの上縁・ニップ部間距離をLdとしたときの、上縁・ニップ部間距離Ldに対する引抜位置・側縁間距離Lcの距離比ηが、
η=Lc/Ld
≧1.38
にされる。
【0129】
図21に示される第3の例のシート部材45においては、引抜位置Pbを目立たせるために、上縁teにおける引抜位置Pbの近傍の所定の領域tecが下縁beと平行に延在させられ、他の領域tedが領域tecの端部から斜め下方に向けて傾斜させられる。
【0130】
この場合も、引抜位置Pbから側縁se2までの引抜位置・側縁間距離をLcとし、上縁teの領域tecからニップ部までの上縁・ニップ部間距離をLdとしたときの前記距離比ηが、
η=Lc/Ld
≧1.38
にされる。
【0131】
図22に示される第4の例のシート部材45においては、下縁beと側縁se2とが直交する、引抜位置Pbに対して対角線上の位置に湾曲部d1が形成される。
【0132】
この場合、引抜位置Pbに対して対角線上の位置に、
図1に示される第1の例のシート部材45にあるような、下縁beと側縁se2との交点に角部が形成されないので、引抜位置Pdにおいてシート部材45を引抜方向に引き抜くときに、シート部材45が感光体ドラム31及び現像ローラ33を傷付けるのを防止することができる。
【0133】
図23に示される第5の例のシート部材45においては、シート部材45の上縁teの中央部より右側、すなわち、右端部に引抜位置Pbが設定される。この場合、例えば、
図1に示される第1の例のシート部材45のように、引抜位置Pbの近傍に、引抜位置Pb及び引抜方向を表す案内指標としてのマークmk1が形成される。
【0134】
図23において、引抜位置Pbから側縁se1までの引抜位置・側縁間距離をLfとしたときの、該引抜位置・側縁間距離Lfと、
図1における引抜位置Pbから側縁se2までの引抜位置・側縁間距離Laとが等しい場合、第1の例のシート部材45における引抜力Fnと第5の例のシート部材45における引抜力Fnとは等しい。
【0135】
このように、本実施の形態においては、感光体ドラム31と現像ローラ33との間に挿入されたシート部材45の引抜位置Pdが、シート部材45の上縁teにおける、感光体ドラム31及び現像ローラ33が第2の押圧力で圧接させられる位置に設定されるので、シート部材45を引抜位置Pdで引き抜くと、シート部材45は、ニップ部Npにおいてが感光体ドラム31及び現像ローラ33に対して軸方向に移動しながら引っ張られる。
【0136】
したがって、引抜力Fnが小さくなるので、シート部材45を容易に引き抜くことができる。
【0137】
また、現像ローラ33が、中央部から両端部にかけて外径が変化しない、ストレートの形状を有する場合において、感光体ドラム31及び現像ローラ33の軸方向における左端部又は右端部の押圧力が中央部の押圧力より高い場合であっても、シート部材45を容易に引き抜くことができる。
【0138】
なお、本実施の形態においては、現像ローラ33が逆クラウン状の形状を有するので、引抜力Fnを小さくするために、引抜位置Pdを左端部又は右端部に設定するようにしているが、現像ローラ33が中央部から両端部にかけて外径が徐々に小さくされて、いわゆる正クラウン状の形状を有する場合には、引抜位置Pdを中央部に設定することによって引抜力Fnを小さくすることができる。
【0139】
本実施の形態においては、プリンタ10について説明したが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0140】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0141】
31 感光体ドラム
33 現像ローラ
45 シート部材
E1 回転体ユニット
Pb 引抜位置
te 上縁