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特開2022-10840故障診断方法、騒音測定装置、及び故障診断システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022010840
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】故障診断方法、騒音測定装置、及び故障診断システム
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20220107BHJP
   G01H 3/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G01H17/00 D
G01H3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111600
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390029023
【氏名又は名称】日本音響エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】河越 法正
(72)【発明者】
【氏名】藤田 鋭志
(72)【発明者】
【氏名】小橋 修
(72)【発明者】
【氏名】忠平 好生
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】出納 正三
(72)【発明者】
【氏名】大橋 心耳
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB15
2G064AB22
2G064BA08
2G064CC29
2G064CC43
2G064CC52
2G064DD18
2G064DD21
(57)【要約】
【課題】騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別する。
【解決手段】本発明は、騒音を測定可能な主マイクロフォン11を有する騒音計10と、主マイクロフォン11と同時に騒音を測定可能な副マイクロフォン21とを含む騒音測定装置20に関する。本発明はまた、この騒音測定装置20と、主マイクロフォン11の故障を診断可能な故障診断装置30とを有する故障診断システム1に関する。本発明はまた、主マイクロフォン11の故障を診断する故障診断方法に関する。故障診断システム1及び方法においては、複数の記録期間のそれぞれにて、主及び副マイクロフォン11,21それぞれにより得られた主及び副騒音データの対比に基づいて、騒音計10における主マイクロフォン11の故障の有無を診断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主マイクロフォンの故障を診断する故障診断方法であって、
前記主マイクロフォンにより測定された騒音に基づく主騒音データと、前記主マイクロフォンの騒音の測定と同時に副マイクロフォンにより測定された騒音に基づく副騒音データとを、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにて記録する記録工程と、
各記録期間にて、その記録期間に記録された前記主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、前記主マイクロフォンの故障の有無を診断する故障診断工程と
を含む故障診断方法。
【請求項2】
前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを時間軸上にてそれぞれ表した主及び副騒音波形を対比する時間騒音対比と、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを周波数軸上で対比する周波数騒音対比とを含み、
前記時間騒音対比にて、前記主騒音波形が、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含むとともに、前記副騒音波形が、前記主騒音波形のイベントパルス波形と同じタイミングで、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含み、かつ前記周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、前記主及び副騒音波形のイベントパルス波形に基づく騒音レベル間の差の絶対値が所定の騒音差閾値よりも大きい場合に、前記主マイクロフォンの故障有りと診断されるように構成されている、請求項1に記載の故障診断方法。
【請求項3】
前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを時間軸上にてそれぞれ表した主及び副騒音波形を対比する時間騒音対比を含み、
前記時間騒音対比にて、前記主騒音波形が、0.1秒~2.0秒のパルス幅にて騒音レベルを前記副騒音波形よりも増加させたインパクトパルス波形を含む場合に、前記主マイクロフォンの故障有りと診断されるように構成されている、請求項1又は2に記載の故障診断方法。
【請求項4】
前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを周波数軸上で対比する周波数騒音対比を含み、
前記周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された暗騒音に基づく騒音データから算出される振幅二乗コヒーレンス値が所定のコヒーレンス閾値よりも小さい場合に、前記主マイクロフォンの故障有りと診断されるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の故障診断方法。
【請求項5】
前記主及び副マイクロフォンがウインドスクリーンの内部に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の故障診断方法。
【請求項6】
騒音を測定可能に構成される主マイクロフォンを有する騒音計と、
前記主マイクロフォンにより測定された騒音に基づいて得られる主騒音データと対比するための副騒音データを得るべく、前記主マイクロフォンの騒音の測定と同時に騒音を測定可能に構成される副マイクロフォンと
を備える騒音測定装置。
【請求項7】
前記騒音計が、細長形状に形成されるマイクロフォン接続部材を有し、
前記主マイクロフォンが、前記マイクロフォン接続部材の長手方向の先端部に配置され、
前記副マイクロフォンが、前記マイクロフォン接続部材の外周面に配置されている、請求項6に記載の騒音測定装置。
【請求項8】
前記主及び副マイクロフォンをウインドスクリーンの内部に配置したウインドスクリーンを備える請求項6又は7に記載の騒音測定装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の騒音測定装置と、
前記騒音計の主マイクロフォンの故障を診断可能に構成される故障診断装置と
を備え、
前記故障診断装置が、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにて、その記録期間に記録された前記主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、前記主マイクロフォンの故障の有無を診断可能とするように構成されている、故障診断システム。
【請求項10】
前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを時間軸上にてそれぞれ表した主及び副騒音波形を対比する時間騒音対比と、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを周波数軸上で対比する周波数騒音対比とを含み、
前記時間騒音対比にて、前記主騒音波形が、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含むとともに、前記副騒音波形が、前記主騒音波形のイベントパルス波形と同じタイミングで、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含み、かつ前記周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、前記主及び副騒音波形のイベントパルス波形に基づく騒音レベル間の差の絶対値が所定の騒音差閾値よりも大きい場合に、前記主マイクロフォンの故障有りと診断される、請求項9に記載の故障診断システム。
【請求項11】
前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを時間軸上にてそれぞれ表した主及び副騒音波形を対比する時間騒音対比を含み、
前記時間騒音対比にて、前記主騒音波形が、0.1秒~2.0秒のパルス幅にて騒音レベルを前記副騒音波形よりも増加させたインパクトパルス波形を含む場合に、前記主マイクロフォンの故障有りと診断される、請求項9又は10に記載の故障診断システム。
【請求項12】
前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを周波数軸上で対比する周波数騒音対比を含み、
前記周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、前記主及び副マイクロフォンによりそれぞれ測定された暗騒音に基づく騒音データから算出される振幅二乗コヒーレンス値が所定のコヒーレンス閾値よりも小さい場合に、前記主マイクロフォンの故障有りと診断される、請求項9~11のいずれか一項に記載の故障診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフォンの故障を診断する故障診断方法に関する。さらに、本発明は、マイクロフォンを有する騒音計を含む騒音測定装置に関し、かつ騒音計のマイクロフォンの故障を診断可能とする故障診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
騒音公害の監視、騒音快適設計等の様々な目的のために、マイクロフォンを有する騒音計が利用されている。例えば、飛行場周辺における航空機の騒音を継続的に監視するために、地方自治体等において飛行場周辺に騒音計が設置され、この騒音計により継続的に測定された騒音データが記録かつ管理されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように騒音計が継続的に騒音を測定する場合、一般的に、半年周期、1年周期等の一定の周期で騒音計の定期点検が行われる。しかしながら、例えば、半年周期の定期点検において、ある定期点検で騒音計の故障が発生していなかったが、その半年後の定期点検で、騒音計の故障、特に、マイクロフォンの故障が発生していた場合、これらの定期点検の間半年のうちどのタイミングで故障が発生したかは不明となる。
【0004】
この場合、この半年間に騒音計により継続的に測定された騒音データのすべてが故障の影響を受けている可能性が存在するため、これらの騒音データのすべてが利用できなくなるおそれがある。これに対して、故障発生前後の定期点検間のどのタイミングで、騒音計の故障、特に、マイクロフォンの故障が発生したかを知ることができれば、故障発生前の定期点検から騒音計の故障発生時までの騒音データは、故障の影響を受けていないと判断できて、かつ利用し得るものとなる。
【0005】
このような実情を鑑みると、騒音計の故障を診断する故障診断方法において、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別できるようにすることが望まれる。特に、故障診断方法においては、騒音計の実物に直接触れるような点検をせずとも、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別できるようにすることが望まれる。
【0006】
また、騒音計を有する騒音測定装置及び騒音計の故障を診断する故障診断システムにおいて、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別することが望まれる。特に、騒音測定装置及び故障診断システムにおいて、騒音計の実物に直接触れるような点検をせずとも、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一態様に係る故障診断方法は、主マイクロフォンの故障を診断する故障診断方法であって、前記主マイクロフォンにより測定された騒音に基づく主騒音データと、前記主マイクロフォンの騒音の測定と同時に副マイクロフォンにより測定された騒音に基づく副騒音データとを、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにて記録する記録工程と、各記録期間にて、その記録期間に記録された前記主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、前記主マイクロフォンの故障の有無を診断する故障診断工程とを含む。
【0008】
一態様に係る騒音測定装置は、騒音を測定可能に構成される主マイクロフォンを有する騒音計と、前記主マイクロフォンにより測定された騒音に基づいて得られる主騒音データと対比するための副騒音データを得るべく、前記主マイクロフォンの騒音の測定と同時に騒音を測定可能に構成される副マイクロフォンとを備える。
【0009】
一態様に係る故障診断システムは、上記騒音測定装置と、前記騒音計の主マイクロフォンの故障を診断可能に構成される故障診断装置とを備え、前記故障診断装置が、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにて、その記録期間に記録された前記主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、前記主マイクロフォンの故障の有無を診断可能とするように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
一態様に係る故障診断方法においては、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別することができる。特に、一態様に係る故障診断方法においては、騒音計の実物に直接触れるような点検をせずとも、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別することができる。
【0011】
一態様に係る騒音測定装置及び故障診断システムにおいては、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別することができる。特に、一態様に係る騒音測定装置及び故障診断システムにおいては、騒音計の実物に直接触れるような点検をせずとも、騒音計の故障が発生したタイミングを正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る故障診断システムのブロック図である。
図2図2は、一実施形態に係る騒音測定装置の騒音計及び副マイクロフォンを分解した状態で概略的に示す分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係る騒音測定装置の騒音計及び副マイクロフォンを、ウインドスクリーンの一部及びカバーを省略した状態で概略的に示す斜視図である。
図4図4(a)~図4(c)のそれぞれは、一実施形態の第1例及び実施例1において、主マイクロフォンの感度を副マイクロフォンの感度に対して0.5dB低下させた状態で、イベント騒音を含む騒音に基づく主及び副騒音データを対比した結果を示すグラフであり、図4(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図4(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図4(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC(振幅二乗コヒーレンス)値を示すグラフである。
図5図5(a)~図5(c)のそれぞれは、一実施形態の第2例及び実施例2において、主マイクロフォンの感度を副マイクロフォンの感度に対して1.0dB低下させた状態で、イベント騒音を含む騒音に基づく主及び副騒音データを対比した結果を示すグラフであり、図5(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図5(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図5(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC値を示すグラフである。
図6図6(a)~図6(c)のそれぞれは、一実施形態の第3例及び実施例3において、主マイクロフォンの感度を副マイクロフォンの感度に対して1.5dB低下させた状態で、イベント騒音を含む騒音に基づく主及び副騒音データを対比した結果を示すグラフであり、図6(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図6(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図6(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC値を示すグラフである。
図7図7(a)~図7(c)のそれぞれは、一実施形態の第4例及び実施例4において、主マイクロフォンの感度を副マイクロフォンの感度に対して2.0dB低下させた状態で、イベント騒音を含む騒音に基づく主及び副騒音データを対比した結果を示すグラフであり、図7(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図7(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図7(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC値を示すグラフである。
図8図8(a)~図8(c)のそれぞれは、一実施形態の第5例及び実施例5において、主マイクロフォンの感度を副マイクロフォンの感度に対して2.5dB低下させた状態で、イベント騒音を含む騒音に基づく主及び副騒音データを対比した結果を示すグラフであり、図8(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図8(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図8(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC値を示すグラフである。
図9図9(a)~図9(c)のそれぞれは、一実施形態の第6例及び実施例6において、故障に起因するノイズを含む主騒音データと、故障に起因するノイズを含まない副騒音データとを対比した結果を示すグラフであり、図9(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図9(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図9(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC値を示すグラフである。
図10図10(a)~図10(c)のそれぞれは、一実施形態の第7例及び実施例7において、主及び副マイクロフォンにより測定される騒音にそれぞれ50dBの同じピンクノイズを付加した状態で、暗騒音に基づく主及び副騒音データを対比した結果を示すグラフであり、図10(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図10(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図10(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC値を示すグラフである。
図11図11(a)~図11(c)のそれぞれは、一実施形態の第8例及び実施例8において、主及び副マイクロフォンにより測定される騒音にそれぞれ60dBの異なるピンクノイズを付加した状態で、暗騒音に基づく主及び副騒音データを対比した結果を示すグラフであり、図11(a)は、主及び副騒音データの騒音レベルを時間軸上で表した主及び副騒音波形を示すグラフであり、図11(b)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を示すグラフであり、かつ図11(c)は、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルに基づくMSC値を示すグラフである。
図12図12は、一実施形態に係る故障診断方法の概略を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、一実施形態に係る故障診断方法の故障診断工程の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態に係る騒音測定装置及びそれを有する故障診断システム、並びに故障診断方法について以下に説明する。
【0014】
「騒音測定装置及び故障診断システムの概略」
図1図11を参照して、本実施形態に係る騒音測定装置20及び故障診断システム1の概略について説明する。本実施形態に係る騒音測定装置20及び故障診断システム1は、概略的には次のように構成される。
【0015】
図1に示すように、故障診断システム1は、騒音を測定可能に構成される主マイクロフォン11を有する騒音計10を含んでいる。さらに、故障診断システム1は、かかる騒音計10を有する騒音測定装置20を含んでいる。図1図3に示すように、騒音測定装置20は、主マイクロフォン11により測定された騒音に基づいて得られる主騒音データと対比するための副騒音データを得るべく、主マイクロフォン11の騒音の測定と同時に騒音を測定可能に構成される副マイクロフォン21を有している。
【0016】
また、本実施形態に係る騒音測定装置20及び故障診断システム1は、概略的には次のように構成することができる。図2及び図3に示すように、騒音計10は、細長形状に形成されるマイクロフォン接続部材12を有している。主マイクロフォン11は、マイクロフォン接続部材12の長手方向の先端部12aに配置される。副マイクロフォン21は、マイクロフォン接続部材12の外周面12bに配置されている。
【0017】
騒音計10は、ウインドスクリーン13を有している。主及び副マイクロフォン11,21は、ウインドスクリーン13の内部に配置されている。しかしながら、主マイクロフォンをウインドスクリーンの内部に配置する一方で、副マイクロフォンをウインドスクリーンの外部に配置することもできる。この場合、副マイクロフォンを別のウインドスクリーンの内部に配置することもできる。
【0018】
副マイクロフォン21は、それにより得られる副騒音データを主マイクロフォン11により得られる主騒音データと可能な限り等しくするように設置されると好ましい。このように可能な限り等しくすることを要求される主及び副騒音データの相関性は、主マイクロフォン11の故障を診断可能な程度に定められると好ましい。
【0019】
図1に示すように、故障診断システム1はまた、騒音計10の主マイクロフォン11の故障を診断可能に構成される故障診断装置30を含んでいる。図4図11に示すように、故障診断装置30は、時間経過に従って異なる複数の記録期間のそれぞれにて、その記録期間に記録された主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断可能とするように構成されている。
【0020】
図4図11の(a)を参照すると、故障診断装置30において、上記騒音対比は、主マイクロフォン11及び副マイクロフォン21によりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを時間軸上にてそれぞれ表した主騒音波形及び副騒音波形を対比する時間騒音対比を含む。図4図11の(b)及び(c)を参照すると、故障診断装置30において、上記騒音対比は、主マイクロフォン11及び副マイクロフォン21によりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを周波数軸上で対比する周波数騒音対比を含む。なお、図4図11の詳細については後述する。
【0021】
図4図11の(b)を参照すると、このような故障診断装置30は、時間騒音対比において、主騒音波形が、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含むとともに、副騒音波形が、主騒音波形のイベントパルス波形と同じタイミングで、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含み、かつ周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、主及び副騒音波形のイベントパルス波形に基づく騒音レベル間の差の絶対値dが所定の騒音差閾値d1よりも大きい場合に、主マイクロフォン11の故障有りと診断する。
【0022】
騒音差閾値d1は、主マイクロフォン11の故障と診断するための判断材料として決定される感度の変化量に合わせて設定することができる。例えば、騒音差閾値d1は、主マイクロフォン11の故障と診断するための判断材料として決定される感度の変化量が増加するに従って大きくなるように設定することができる。例えば、騒音差閾値d1は、上記感度の変化量が±0.5dB、±1.0dB、±1.5dB、±2.0dB、及び±2.5dBである場合に、それぞれ0.5dB、1.0dB、1.5dB、2.0dB、及び2.5dBとすることができる。しかしながら、騒音差閾値は、これらに限定されない。
【0023】
図9(a)を参照すると、故障診断装置30は、時間騒音対比にて、主騒音波形が、特定のパルス幅にて騒音レベルを副騒音波形よりも増加させたインパクトパルス波形を含む場合に、主マイクロフォン11の故障有りと診断する。インパクトパルス波形のパルス幅は、0.1秒~2.0秒の範囲であるとよい。
【0024】
インパクトパルス波形の例としては、主マイクロフォン11の故障発生時に生じるノイズ等によってもたらされるインパクトパルス波形等が挙げられる。特に、主マイクロフォン11の故障発生時に生じるノイズに起因するインパクトパルス波形は、上記パルス幅にて騒音レベルを増加させるパルス波形となる傾向にある。インパクトパルス波形のパルス幅の最小値は、等価騒音レベルの周期が最小で0.1秒に設定され得ることに基づいて定めることができる。インパクトパルス波形のパルス幅の最大値は、主マイクロフォン11の故障時に瞬間的に生じるノイズのパルス幅が2秒以下である傾向に基づいて定めることができる。
【0025】
さらに、主マイクロフォン11の故障発生時に生じるノイズに起因するインパクトパルス波形のパルス幅は、1.0秒前後となる傾向が顕著である。このような顕著な傾向に基づいて、主マイクロフォン11の故障発生時に生じるノイズを特定するためには、インパクトパルス波形のパルス幅の最小値は、0.5秒、好ましくは、0.7秒、より好ましくは、0.8秒、さらにより好ましくは、0.9秒とすることができる。さらに、このようなパルス幅の最大値は、1.5秒、好ましくは、1.3秒、より好ましくは、1.2秒、さらにより好ましくは、1.1秒とすることができる。
【0026】
図10(c)及び図11(c)を参照すると、故障診断装置30は、周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された暗騒音に基づく騒音データから算出されるMSC値mが所定のコヒーレンス閾値m1よりも小さい場合、主マイクロフォン11の故障有りと診断する。
【0027】
例えば、コヒーレンス閾値m1は、正常時の主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ確認された暗騒音に基づく騒音データから算出されるMSC値mのバラツキ等を考慮して、設定することができる。例えば、コヒーレンス閾値m1は、0.2とすることができる。しかしながら、コヒーレンス閾値は、これに限定されない。例えば、コヒーレンス閾値は、0.1~0.9の範囲内で適宜設定することもできる。
【0028】
本実施形態において、MSC値mは次のように算出される。
(1)主マイクロフォン11の主音声信号及び副マイクロフォン21の副音声信号を時間軸上で所定のフレーム長にて区切る。
(2)高速フーリエ変換等を用いて、区切られたフレームの全てにおける主及び副音声信号のパワースペクトル、並びに主及び副音声信号間のクロススペクトルの平均値を算出する。
(3)各周波数バンドにおいて、主音声信号のパワースペクトル平均値のエネルギー和Aと、副音声信号のパワースペクトル平均値のエネルギー和Bと、クロススペクトル平均値の絶対値のエネルギー和Cとを算出する。
(4)各周波数バンドにおいて、次の(式1)に基づいて、主音声信号のパワースペクトル平均値のエネルギー和Aと、副音声信号のパワースペクトル平均値のエネルギー和Bと、クロススペクトル平均値の絶対値のエネルギー和CとからMSC値を算出する。
【0029】
MSC値 = C/(A×B) ・・・ (式1)
【0030】
ここで、図4図11の(a)は、それぞれ本実施形態の第1例~第8例として示されるグラフである。図4図11の(a)それぞれにおいては、実線X1~X8が、主騒音波形を示し、破線Y1~Y8が、副騒音波形を示し、縦軸Lが、等価騒音レベル(dB)を示し、かつ横軸Tが、時間(s(秒))を示す。特に、図4図11の(a)それぞれは、1s毎に測定された主及び副騒音データの等価騒音レベル(LAeq,1s)をそれぞれ30秒間の時間軸上で表した主及び副騒音波形を示す。
【0031】
図4図11の(b)は、それぞれ本実施形態の第1例~第8例として示されるグラフである。図4図11の(b)それぞれにおいては、縦軸Dが、主及び副騒音データの等価騒音レベルに基づく差(dB)を示し、かつ横軸Fが、周波数(Hz)を示す。図4図11の(b)それぞれにおいては、1/1オクターブバンドにて250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、及び4kHzをそれぞれ中心周波数とする5つの周波数帯域における主及び副騒音データの等価騒音レベルに基づく差(dB)を示す。
【0032】
図4図11の(b)それぞれにおいて、横軸F上にて「OA」により表記された箇所は、主及び副騒音データの等価騒音レベルのオーバーオール値に基づく差(dB)を示す。特に、図4(b)~図11(b)のグラフそれぞれは、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、30秒間における主及び副騒音データの等価騒音レベル(LAeq,1s)のうち90パーセンタイル以上の領域の差を示す。
【0033】
図4図11の(c)もまた、それぞれ本実施形態の第1例~第8例として示されるグラフである。図4図11の(c)それぞれにおいては、縦軸Mが、主及び副騒音データの等価騒音レベルに基づくMSC値mを示し、かつ横軸Fが、周波数(Hz)を示す。図4図11の(c)それぞれにおいては、1/1オクターブバンドにて250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、及び4kHzをそれぞれ中心周波数とする5つの周波数帯域における主及び副騒音データの等価騒音レベルに基づくMSC値mを示す。
【0034】
また、図4図11の(c)それぞれにおいて、横軸F上にて「OA」により表記された箇所は、主及び副騒音データの等価騒音レベルのオーバーオール値に基づくMSC値mを示す。特に、図4図11の(c)それぞれは、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、30秒間における主及び副騒音データの等価騒音レベル(LAeq,1s)のうち10パーセンタイル以下の領域におけるクロススペクトル及びパワースペクトルの平均値に基づくMSC値mを示す。
【0035】
しかしながら、図4図11は、それぞれ本実施形態の第1例~第8例を示すに過ぎず、時間騒音対比及び/又は周波数騒音対比に用いられるグラフは、これらに限定されない。例えば、等価騒音レベルのサンプリング周期を、1s以外とすることもできる。騒音レベルを、等価騒音レベルの代わりに、単発暴露騒音レベル、時間率騒音レベル、加重等価平均感覚騒音レベル等とすることもできる。例えば、これらのグラフでは、記録期間は30秒となっているが、記録期間はこれらに限定されない。
【0036】
上述した本実施形態の第1例~第8例においては、各記録期間の主及び副騒音データのそれぞれには、1s毎に測定された等価騒音レベル(dB)が30秒間にわたって記録されている。本実施形態の第1例、第2例、及び第3例においては、主騒音データ及び副騒音データには、200Hz~4kHzのバンドパスフィルタが適用されている。
【0037】
本実施形態の第1例~第8例においては、複数の周波数帯域が1/1オクターブバンドによって規定されている。しかしながら、複数の周波数帯域は1/nオクターブバンド(nは、2以上の整数)によって規定することもできる。
【0038】
「故障診断システム1の詳細」
図1を参照すると、故障診断システム1は、詳細には次のように構成することができる。故障診断システム1において、騒音計10を有する騒音測定装置20は、騒音測定対象の周辺に配置される測定局を構成する。例えば、騒音測定装置20は、飛行場、幹線道路、高速道路、鉄道、工場、発電所等の周辺に配置することができる。
【0039】
故障診断装置30は、騒音測定装置20と離れて配置される。故障診断装置30は、無線又は有線通信手段によって、騒音測定装置20と通信可能に構成される。故障診断装置30は、騒音データを一極管理可能とする中央局の一部、又は騒音測定装置20を保守点検する担当者若しくは業者等によって用いられる保守点検装置の一部を構成することができる。しかしながら、故障診断装置は、騒音測定装置と一体に構成することもできる。故障診断装置はまた、騒音測定装置に隣接して配置することができ、この場合、故障診断装置は、測定局の一部を構成することもできる。
【0040】
「騒音測定装置及びその騒音計の詳細」
図1図3を参照すると、騒音測定装置20及びその騒音計10は、詳細には次のように構成することができる。図1図3に示すように、騒音計10の主マイクロフォン11は、ECM(Electret Condenser Microphone)11となっている。騒音測定装置20の副マイクロフォン21は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクロフォン21となっている。
【0041】
しかしながら、主マイクロフォン及び副マイクロフォンは、これに限定されない。例えば、主マイクロフォンは、MEMSマイクロフォン等とすることができる。例えば、副マイクロフォンは、ECM等とすることができる。この場合、騒音測定装置は、副マイクロフォン用のプリアンプを有するとよい。
【0042】
マイクロフォン接続部材12は、主マイクロフォン11からの信号を増幅可能に構成されるプリアンプ12となっている。図2及び図3に示すように、マイクロフォン接続部材12の先端部12aは、主マイクロフォン11に電気的かつ機械的に接続可能に構成されている。図3に示すように、マイクロフォン接続部材12の長手方向の基端部12cは、主接続ケーブル14に電気的かつ機械的に接続可能に構成されている。
【0043】
図2及び図3に示すように、副マイクロフォン21は、マイクロフォン接続部材12の長手方向の中間部12dに配置されている。副マイクロフォン21もまた、副接続ケーブル15に電気的かつ機械的に接続されている。騒音測定装置20は、1つの副マイクロフォン21を有している。しかしながら、騒音測定装置は、複数の副マイクロフォンを有することもできる。この場合、複数の副マイクロフォンは、マイクロフォン接続部材の周方向に間隔を空けて配置することができる。
【0044】
図1に示すように、騒音計10は、主接続ケーブル14及びマイクロフォン接続部材12を介して主マイクロフォン11に電気的に接続される騒音計本体16を有する。騒音計本体16は、騒音計10の各種機能をもたらすための電子部品、電気部品等を含む。
【0045】
図2に示すように、騒音計10は、主マイクロフォン11及びマイクロフォン接続部材12を、マイクロフォン接続部材12の先端部12a側から覆うように構成されるカバー17を有する。カバー17は、副マイクロフォン21もまた覆うことができる。かかるカバー17は、空気を通過可能とする一方で水及び/又は埃の通過を防ぐように構成される網目部分17aを有する。
【0046】
ウインドスクリーン13は、主マイクロフォン11、副マイクロフォン21、及びマイクロフォン接続部材12と一緒に、かかるカバー17をマイクロフォン接続部材12の先端部12a側から覆うように配置される。図2に示すように、ウインドスクリーン13は、主マイクロフォン11、副マイクロフォン21、マイクロフォン接続部材12、及びカバー17を収容可能とする内部空洞13aを有する。ウインドスクリーン13はまた、この内部空洞13aをウインドスクリーン13の外部に開放するように形成される開口13bを有する。
【0047】
図2に示すように、騒音計10は、マイクロフォン接続部材12をその基端部12c側から支持するように構成される中間カラー18を有する。中間カラー18は、マイクロフォン接続部材12の長手方向に沿って貫通する貫通孔18aを有する。中間カラー18は、その貫通孔18aにマイクロフォン接続部材12の基端部12c及び主接続ケーブル14を通過させた状態で、マイクロフォン接続部材12cをその基端部12c側から支持する。
【0048】
図2及び図3に示すように、騒音計10は、カバー17及び中間カラー18を、マイクロフォン接続部材12の基端部12c側から支持するように構成される取付カラー19を有する。取付カラー19は、マイクロフォン接続部材12の長手方向に沿って貫通する貫通孔19aを有する。取付カラー19は、その貫通孔19aに主及び副接続ケーブル14,15を通過させた状態で、カバー17及び中間カラー18を、マイクロフォン接続部材12の基端部12c側から支持する。取付カラー19はまた、主及び副接続ケーブル14,15を騒音計10の外部に引き出すことを可能とするように形成されるスリット19bを有する。
【0049】
図1に示すように、騒音測定装置20は、主接続ケーブル14、マイクロフォン接続部材12、及び騒音計本体16を介して主マイクロフォン11に電気的に接続され、かつ副接続ケーブル15を介して副マイクロフォン21に電気的に接続されるオーディオインターフェイス22を有する。オーディオインターフェイス22は、主及び副マイクロフォン11,21からの信号を受け取ることができる。なお、騒音計本体16、特に、騒音計本体16の音声信号出力部と、オーディオインターフェイス22とがケーブル(図示せず)によって電気的に接続される。
【0050】
騒音測定装置20は、それぞれ主及び副マイクロフォン11,21からの信号に基づく主及び副騒音データを管理するように構成される騒音データ管理部23を有する。騒音データ管理部23は、主及び副マイクロフォン11,21からの信号オーディオインターフェイス22を介して受け取るように構成されている。
【0051】
騒音データ管理部23は、複数の記録期間における主及び副騒音データを記録可能に構成されている。なお、主及び副騒音データは、騒音測定装置の騒音データ管理部の代わりに、故障診断装置に記録することもできる。また、主及び副騒音データは、騒音測定装置の騒音データ管理部に加えて、故障診断装置に記録することもできる。
【0052】
騒音データ管理部23はまた、無線又は有線通信手段によって、故障診断装置30と通信可能に構成される。かかる騒音データ管理部23は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、入力インターフェース、出力インターフェース等の電子部品と、かかる電子部品を配置した電気回路とを含むように構成することができる。さらに、図3に示すように、騒音測定装置20は、騒音計10を下方から支持可能に構成される支持部材24を有する。支持部材24は、騒音計10の取付カラー19に下方から取付られている。
【0053】
「故障診断装置の詳細」
図1を参照すると、故障診断装置30は、詳細には次のように構成することができる。上述のように、故障診断装置30は、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにおいて、主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断可能とする。
【0054】
かかる故障診断装置30においては、複数の記録期間のうち、主マイクロフォン11の故障有りと初めて判断された記録期間のタイミングにて、主マイクロフォン11の故障が発生したと診断することができる。この場合、主マイクロフォン11の故障有りと初めて判断された記録期間以降の記録期間における主騒音データは、故障の影響を受けていると判断でき、その一方で、主マイクロフォン11の故障有りと初めて判断された記録期間より前の記録期間における主騒音データは、故障の影響を受けていないと判断でき、その結果、有効活用できる。
【0055】
故障診断装置30は、時間騒音対比において、主及び副騒音波形が、同じタイミングで、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含むか否かを判定可能に構成される。故障診断装置30は、周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、主及び副騒音波形のイベントパルス波形に基づく騒音レベル間の差の絶対値dが騒音差閾値d1よりも大きいか否かを判定可能に構成される。
【0056】
故障診断装置30は、時間騒音対比にて、主騒音波形が、上記特定のパルス幅にて騒音レベルを副騒音波形よりも増加させたインパクトパルス波形を含むか否かを判定可能に構成される。故障診断装置30は、周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された暗騒音に基づく騒音データから算出されるMSC値mが所定のコヒーレンス閾値m1よりも小さいか否かを判定可能に構成される。
【0057】
かかる故障診断装置30は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ、入力インターフェース、出力インターフェース等の電子部品と、かかる電子部品を配置した電気回路とを含むように構成することができる。
【0058】
「故障診断方法の概略」
図12及び図13を参照して、本実施形態に係る故障診断方法の概略について説明する。このような故障診断方法は、概略的には次のようなものとなっている。
【0059】
図12に示すように、故障診断方法は、主マイクロフォン11の故障を診断する。かかる故障診断方法においては、主マイクロフォン11により測定された騒音に基づく主騒音データと、主マイクロフォン11の騒音の測定と同時に副マイクロフォン12により測定された騒音に基づく副騒音データとを、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにて記録する(記録工程S1)。各記録期間にて、その記録期間に記録された主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、主マイクロフォン11の故障が発生したか否かを診断する(故障診断工程S2)。
【0060】
このような故障診断方法の故障診断工程S2においては、上記故障診断装置30と同様の騒音対比を行うことができ、かつ上記故障診断装置30と同様に主マイクロフォン11の故障の有無を診断することができる。
【0061】
さらに図13を参照すると、各記録期間における故障診断工程S2は、一例として、次のように行うことができる。時間騒音対比において、主及び副騒音波形が、同じタイミングでイベントパルス波形を含むか否かを判定する(イベント騒音判定工程の第1段階S21)。
【0062】
主及び副騒音波形が、同じタイミングでイベントパルス波形を含む場合(YES)、周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、主及び副騒音波形のイベントパルス波形に基づく騒音レベル間の差の絶対値dが騒音差閾値d1よりも大きいか否かを判定する(イベント騒音判定工程の第2段階S22)。複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、騒音レベル間の差の絶対値dが騒音差閾値d1よりも大きい場合(YES)、主マイクロフォン11の故障有りと判断する(故障有り決定工程S23)。
【0063】
複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、騒音レベル間の差の絶対値dが騒音差閾値d1以下である場合(NO)、時間騒音対比にて、主騒音波形が、上記特定のパルス幅にて騒音レベルを副騒音波形よりも増加させたインパクトパルス波形を含むか否かを判定する(ノイズ判定工程S24)。上記イベント騒音判定工程の第1段階S21にて、主及び副騒音波形が、同じタイミングでイベントパルス波形を含まない場合(NO)においても、時間騒音対比にて、主騒音波形が、インパクトパルス波形を含むか否かを判定する(ノイズ判定工程S24)。主騒音波形が、インパクトパルス波形を含む場合(YES)、主マイクロフォン11の故障有りと判断する(故障有り決定工程S23)。
【0064】
主騒音波形が、インパクトパルス波形を含まない場合(NO)、周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された暗騒音に基づく騒音データから算出されるMSC値mがコヒーレンス閾値m1よりも小さいか否かを判定する(暗騒音判定工程S25)。MSC値mがコヒーレンス閾値m1よりも小さい場合、主マイクロフォン11の故障有りと判断する(故障有り決定工程S23)。MSC値mがコヒーレンス閾値m1以上である場合、主マイクロフォン11の故障無しと判断する(故障無し決定工程S26)。
【0065】
しかしながら、このような故障診断工程において、イベント騒音判定工程のみによって、ノイズ判定工程のみによって、又は暗騒音判定工程のみによって、主マイクロフォンの故障の有無を診断することもできる。イベント騒音判定工程と、ノイズ判定工程と、暗騒音判定工程とのうち2つの組み合わせによって、主マイクロフォンの故障の有無を診断することもできる。
【0066】
以上によれば、本実施形態に係る騒音測定装置20は、騒音を測定可能に構成される主マイクロフォン11を有する騒音計10と、前記主マイクロフォン11により測定された騒音に基づいて得られる主騒音データと対比するための副騒音データを得るべく、前記主マイクロフォン11の騒音の測定と同時に騒音を測定可能に構成される副マイクロフォン21とを備える。
【0067】
このような騒音測定装置20を用いて、主マイクロフォン11により測定された騒音に基づく主騒音データと、副マイクロフォン21により測定された騒音に基づく副騒音データとを、継続的な複数の記録期間のそれぞれにおいて記録し、さらに、各記録期間にて記録された主及び副騒音データの対比結果を参照すれば、複数の記録期間のいずれにおいて、主マイクロフォン11の故障が発生したかを正確に判別することができる。特に、騒音計10の実物に直接触れるような点検をせずとも、騒音計10の故障が発生したタイミングを正確に判別することができる。
【0068】
本実施形態に係る騒音測定装置20は、騒音計10が、細長形状に形成されるマイクロフォン接続部材12を備え、前記主マイクロフォン11が、前記マイクロフォン接続部材12の長手方向の先端部12aに配置され、前記副マイクロフォン21が、前記マイクロフォン接続部材12の外周面12bに配置されている。
【0069】
このような騒音測定装置20においては、副マイクロフォン21を主マイクロフォン11の近傍に配置することができ、その結果、主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された騒音に基づく主及び副騒音データの相関性を高めることができる。そのため、このような主及び副騒音データ間にてトラブルに起因して生じる相違を明確に検出でき、その結果、複数の記録期間のいずれにおいて、主マイクロフォン11の故障が発生したかを正確に判別することができる。
【0070】
本実施形態に係る騒音測定装置20及び故障診断方法においては、前記主及び副マイクロフォン11,21がウインドスクリーン13の内部に配置されている。そのため、主及び副マイクロフォン11,21を同じような環境下に配置することができ、その結果、主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された騒音に基づく主及び副騒音データの相関性を高めることができる。
【0071】
本実施形態に係る故障診断システム1は、上記騒音測定装置20と、前記騒音計10の主マイクロフォン11の故障を診断可能に構成される故障診断装置30とを備え、前記故障診断装置30が、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにて、その記録期間に記録された前記主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、前記主マイクロフォン11の故障の有無を診断可能とするように構成されている。
【0072】
本実施形態に係る故障診断方法は、主マイクロフォン11の故障を診断する故障診断方法であって、前記主マイクロフォン11により測定された騒音に基づく主騒音データと、前記主マイクロフォン11の騒音の測定と同時に副マイクロフォン21により測定された騒音に基づく副騒音データとを、時間経過に従って互いに異なる複数の記録期間のそれぞれにて記録する記録工程S1と、各記録期間にて、その記録期間に記録された前記主及び副騒音データを対比する騒音対比に基づいて、前記主マイクロフォン11の故障の有無を診断する故障診断工程S2とを含む。
【0073】
このような故障診断システム及び故障診断方法においては、主マイクロフォン11により測定された騒音に基づく主騒音データと、副マイクロフォン21により測定された騒音に基づく副騒音データとが、継続的な複数の記録期間のそれぞれにおいて記録されている。そのため、各記録期間にて記録された主及び副騒音データの対比結果を参照すれば、複数の記録期間のいずれにおいて、主マイクロフォン11の故障が発生したかを正確に判別することができる。特に、主マイクロフォン11の実物に直接触れるような点検をせずとも、主マイクロフォン11の故障が発生したタイミングを正確に判別することができる。
【0074】
本実施形態に係る故障診断システム1及び故障診断方法においては、前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを時間軸上にてそれぞれ表した主及び副騒音波形を対比する時間騒音対比と、前記主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを周波数軸上で対比する周波数騒音対比とを含み、前記時間騒音対比にて、前記主騒音波形が、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含むとともに、前記副騒音波形が、前記主騒音波形のイベントパルス波形と同じタイミングで、騒音レベルを暗騒音よりも大きくしたイベントパルス波形を含み、かつ前記周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、前記主及び副騒音波形のイベントパルス波形に基づく騒音レベル間の差の絶対値dが所定のイベント騒音差閾値d1よりも大きい場合に、前記主マイクロフォン11の故障有りと診断される。
【0075】
このような故障診断システム1及び故障診断方法においては、複数の記録期間中において主及び副騒音データに含まれ得るイベント騒音のデータの変化から主マイクロフォン11の感度の低下を敏感に検知することができて、その結果、複数の記録期間のいずれにおいて、主マイクロフォン11の故障が発生したかを正確に判別することができる。
【0076】
本実施形態に係る故障診断システム1及び故障診断方法においては、前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを時間軸上にてそれぞれ表した主及び副騒音波形を対比する時間騒音対比を含み、前記時間騒音対比にて、前記主騒音波形が、0.1秒~2.0秒のパルス幅にて騒音レベルを前記副騒音波形よりも増加させたインパクトパルス波形を含む場合に、前記主マイクロフォン11の故障有りと診断される。
【0077】
このような故障診断システム1及び故障診断方法においては、例えば、複数の記録期間中において主マイクロフォン11の故障に起因して主騒音データに含まれ得るパルスノイズを利用して、複数の記録期間のいずれにおいて、主マイクロフォン11の故障が発生したかを正確に判別することができる。
【0078】
本実施形態に係る故障診断システム1及び故障診断方法においては、前記騒音対比が、前記主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された騒音に基づく騒音レベルを周波数軸上で対比する周波数騒音対比を含み、前記周波数騒音対比にて、複数の周波数帯域のうち少なくとも1つ及び/又はオーバーオール値にて、前記主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ測定された暗騒音に基づく騒音データから算出されるMSC値mが所定のコヒーレンス閾値m1よりも小さい場合に、前記主マイクロフォン11の故障有りと診断される。
【0079】
このような故障診断システム1及び故障診断方法においては、複数の記録期間中にて主及び副騒音データに含まれ得る多くの暗騒音のデータを利用して、複数の記録期間のいずれにおいて、主マイクロフォン11の故障が発生したかを正確に判別することができる。
【0080】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【実施例0081】
実施例1~8について説明する。実施例1~5においては、上記イベント騒音判定工程S21,S22を用いて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断した。実施例6においては、上記ノイズ判定工程S24を用いて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断した。実施例7及び8においては、上記暗騒音判定工程S25を用いて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断した。
【0082】
「実施例1~5」
実施例1~5について説明する。実施例1~5それぞれの騒音測定装置20において、騒音計10の主マイクロフォン11はECM11であり、騒音測定装置20の副マイクロフォン21はMEMSマイクロフォン21であり、副マイクロフォン21は、マイクロフォン接続部材12の外周面12bに配置され、かつ主及び副マイクロフォン11,21はウインドスクリーン13の内部に配置された。実施例1~5においては、それぞれ主マイクロフォン11の感度を副マイクロフォン21の感度に対して0.5dB、1.0dB、1.5dB、2.0dB、及び2.5dB低下させた。
【0083】
実施例1~5のそれぞれにおいて、1つの記録期間にて、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データの騒音レベルの差を確認した。1つの記録期間は30秒とした。複数の周波数帯域は、1/1オクターブバンドにて250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、及び4kHzをそれぞれ中心周波数とする5つの周波数帯域とした。主及び副騒音データの騒音レベルの差は、主及び副騒音データの等価騒音レベル(LAeq,1s)のうち90パーセンタイル以上の領域の差とした。
【0084】
このような確認の結果、それぞれ実施例1~5に関する図4図8の(b)のグラフを得ることができた。図4図8の(b)を参照すると、副マイクロフォン21の感度に対する主マイクロフォン11の感度の低下量を、0.5dB~2.5dBの間で増加させるに従って、各周波数帯域及びオーバーオール値にて、上記差(dB)が増加していた。特に、オーバーオール値においては、この差が顕著に増加した。このような結果によれば、騒音差閾値d1を、主マイクロフォン11の故障と診断するための判断材料として決定される感度の変化量に合わせて設定すれば、上記イベント騒音判定工程S21,S22を用いて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断できることが確認できた。
【0085】
「実施例6」
実施例2について説明する。実施例6の騒音測定装置20は、主及び副マイクロフォン11,21の感度を同様とした点を除いて、実施例1~5それぞれの騒音測定装置20と同様とした。実施例6においては、主マイクロフォン11の故障時に発生し得るパルスノイズに相当するインパクトパルス波形を意図的に主マイクロフォン11に付加した。
【0086】
実施例6においては、1つの記録期間の時間軸上で、1s毎に測定された主及び副騒音データの等価騒音レベル(LAeq,1s)をそれぞれ表した主及び副騒音波形を対比した。1つの記録期間は30秒とした。
【0087】
このような確認の結果、実施例6に関する図10(a)のグラフを得ることができた。図10(a)においては、実線X6により示した主騒音データが、インパクトパルス波形を含む一方で、破線Y6により示した副騒音データが、インパクトパルス波形を含まないことが明確になっていた。このような結果によれば、上記ノイズ判定工程S24を用いて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断できることが確認できた。
【0088】
「実施例7及び8」
実施例7及び8について説明する。実施例7及び8それぞれの騒音測定装置20は、主及び副マイクロフォン11,21の感度を同様とした点を除いて、実施例1~5それぞれの騒音測定装置20と同様とした。実施例7においては、主及び副マイクロフォン11,21により測定される騒音にそれぞれ50dBの同じピンクノイズを付加した。実施例8においては、主及び副マイクロフォン11,21により測定される騒音にそれぞれ60dBの異なるピンクノイズを付加した。
【0089】
実施例7及び8のそれぞれにおいては、1つの記録期間にて、複数の周波数帯域及びオーバーオール値にて、主及び副騒音データに基づくMSC値mを確認した。1つの記録期間は30秒とした。複数の周波数帯域は、1/1オクターブバンドにて250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、及び4kHzをそれぞれ中心周波数とする5つの周波数帯域とした。主及び副騒音データに基づくMSC値mは、主及び副騒音データの等価騒音レベル(LAeq,1s)のうち10パーセンタイル以下の領域におけるクロススペクトル及びパワースペクトルの平均値に基づくMSC値mとした。
【0090】
このような確認の結果、それぞれ実施例7及び8に関する図10(c)及び図11(c)のグラフを得ることができた。図10(c)及び図11(c)を参照すると、各周波数帯域及びオーバーオール値にて、実施例8のMSC値mが実施例7のMSC値mよりも小さくなっていた。このような結果によれば、コヒーレンス閾値m1を、正常時の主及び副マイクロフォン11,21によりそれぞれ確認された暗騒音に基づく騒音データから算出されるMSC値mのバラツキ等を考慮して設定すれば、上記暗騒音判定工程S25を用いて、主マイクロフォン11の故障の有無を診断できることが確認できた。
【符号の説明】
【0091】
1…故障診断システム、10…騒音計、11…主マイクロフォン、12…マイクロフォン接続部材、12a…先端部、12b…外周面、13…ウインドスクリーン、20…騒音測定装置、21…副マイクロフォン、30…故障診断装置
d…主及び副騒音波形のイベントパルス波形に基づく騒音レベル間の差の絶対値、d1…騒音差閾値
m…振幅二乗コヒーレンス値(MSC値)、m1…コヒーレンス閾値
S1…記録工程、S2…故障診断工程
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