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  • 特開-口栓装着可能なパウチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108419
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】口栓装着可能なパウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20220719BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B65D33/38
B65D30/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003389
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信之
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA06
3E064EA09
(57)【要約】
【課題】口栓装着可能なパウチにおいて、パウチとしての利便性を損なうことなく、輸送効率の良い口栓装着可能なパウチを提供すること。
【解決手段】パウチは前側胴部、後ろ側胴部、及びそれらの間に配置された折り込みつき底フィルム及び折り込みつき天面フィルムからなり、胴部下部において、前側胴部及び後ろ側胴部と、折り込みつき底フィルムとは、底フィルムが拡張して自立可能にシールされて、パウチ下部は密封されており、胴部上部において、前側胴部及び後ろ側胴部とは、折り込みつき天面フィルムがいずれか一方の胴部にシールされて配置されており、シールされていない側の折り込みつき天面フィルム、及びこれに対向する胴部とは、上方に向かって解放されており、この開放された部分に、別部材の口栓をシールしてパウチを密封することが可能であることを特徴とする、口栓装着可能なパウチ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体及び別部材の口栓からなる、口栓装着可能なパウチであって、
パウチは前側胴部、後ろ側胴部、及びそれらの間に配置された、折り込みつき底フィルム、及び折り込みつき天面フィルムからなり、
該前側胴部と、該後ろ側胴部とは、四辺を有して、シーラント層同士が対向して配置され、
該四辺のうち、左右両端部はシーラント層でシールされて密封されており、
胴部下部において、前側胴部及び後ろ側胴部と、折り込みつき底フィルムとは、底フィルムが拡張して自立可能にシールされて、パウチ下部は密封されており、
胴部上部において、前側胴部及び後ろ側胴部とは、折り込みつき天面フィルムがいずれか一方の胴部にシールされて配置されており、
シールされていない側の折り込みつき天面フィルム、及びこれに対向する胴部とは、上方に向かって解放されており、
内容物の充填に際して、この開放された部分に、別部材の口栓をシールしてパウチを密封することが可能であることを特徴とする、口栓装着可能なパウチ。
【請求項2】
前記シールされていない側の折り込みつき天面フィルム、及び胴部とは、シールされた側の上端より10mm~20mm長くなっていることを特徴とする、請求項1に記載の口栓装着可能なパウチ。
【請求項3】
口栓装着可能なパウチを構成する前記積層体は、ガスバリア層を含んでいることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の口栓装着可能なパウチ。
【請求項4】
口栓装着可能なパウチを構成する前記積層体は、プラスチックフィルムからなる中間層を積層体に含んでいることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の口栓装着可能なパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチに関するものである。特に、プラスチックフィルムを基材とした積層体からなるスタンディングパウチと呼ばれる形式のもので、底フィルムを備えて自立性を有し、また口栓を備えて、内容物の取出しなどに利便性を有する口栓装着可能なパウチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装材料の一種であるパウチは、プラスチックフィルムを基材とする単体または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、現代生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0003】
例えば液体容器としても用いられ、飲料のほかレトルト食品などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。液体容器のほかにも、様々な用途展開がなされている。
【0004】
パウチの利点は、缶や瓶などの他の容器に比べて、価格が安いことや、要求品質によってきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前、及び流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。またパウチは、廃棄物を減らすという観点からは環境適応型であるといえる。
【0005】
また表面から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通やマーケティング情報の源泉ともなっている。
【0006】
パウチの中には、底フィルムを備えて自立性を持たせたものも商品化されており、一般にスタンディングパウチと呼ばれている。自立性を持たせることにより、取り扱いや保管、内容物の取り出しにおいて一層の利便性が図られてきた。
【0007】
また口栓を備えた口栓装着可能なパウチは、取り付けたキャップによって繰り返しの開閉が可能で、例えば飲料などの液体商品、また液体洗剤やシャンプーなどの化成品などにも用いられており、液体容器としての利便性において一層優れたものとなっている。
【0008】
特許文献1には、口栓を備えたパウチ容器の提案がなされているが、ここに示された構成の場合には、パウチの製袋においてあらかじめ口栓を取り付ける必要があり、そのためパウチが嵩張ってしまい、取り扱いのほか輸送効率が悪く、容器のコストにも影響を及ぼすことから、その改善が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-3055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、口栓装着可能なパウチにおいて、パウチとしての利便性を損なうことなく、輸送効率の良い口栓装着可能なパウチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体及び別部材の口栓からなる、口栓装着可能なパウチであって、
パウチは前側胴部、後ろ側胴部、及びそれらの間に配置された、折り込みつき底フィルム、及び折り込みつき天面フィルムからなり、
該前側胴部と、該後ろ側胴部とは、四辺を有して、シーラント層同士が対向して配置され、
該四辺のうち、左右両端部はシーラント層でシールされて密封されており、
胴部下部において、前側胴部及び後ろ側胴部と、折り込みつき底フィルムとは、底フィルムが拡張して自立可能にシールされて、パウチ下部は密封されており、
胴部上部において、前側胴部及び後ろ側胴部とは、折り込みつき天面フィルムがいずれか一方の胴部にシールされて配置されており、
シールされていない側の折り込みつき天面フィルム、及びこれに対向する胴部とは、上方に向かって解放されており、
内容物の充填に際して、この開放された部分に、別部材の口栓をシールしてパウチを密封することが可能であることを特徴とする、口栓装着可能なパウチである。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、
前記シールされていない側の折り込みつき天面フィルム、及び胴部とは、シールされた側の上端より10mm~20mm長くなっていることを特徴とする、請求項1に記載の口栓装着可能なパウチである。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、
口栓装着可能なパウチを構成する前記積層体は、ガスバリア層を含んでいることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の口栓装着可能なパウチである。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、
口栓装着可能なパウチを構成する前記積層体は、プラスチックフィルムからなる中間層を積層体に含んでいることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の口栓装着可能なパウチである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、口栓装着可能なパウチにおいて、パウチとしての利便性を損なうことなく、輸送効率の良い口栓装着可能なパウチを提供することが可能である。
【0016】
口栓装着可能なパウチは、プラスチックフィルムを基材として少なくともシーラント層を有する積層体からなることによって、例えばヒートシールなどの手段によってパウチを製袋することが可能であり、また口栓に例えば熱可塑性プラスチックの成型品を用いる場合には、パウチにヒートシールして取り付けることが可能である。
【0017】
パウチはその下部において、前側胴部、後ろ側胴部、及びそれらの間に配置された折り込みつき底フィルムを有しており、これによって底フィルムの折り込みが拡張して、底面を形成することができ、自立可能なパウチとすることができる。パウチが自立性を有することにより、取り扱いや保管、内容物の取り出しにおいて一層の利便性が得られる。
【0018】
胴部上部において、前側胴部及び後ろ側胴部とは、折り込みつき天面フィルムがいずれか一方の胴部にシールされて配置されており、シールされていない側の折り込みつき天面フィルム、及び胴部とは、上方に向かって解放されていることによって、内容物の充填に
際して、この解放された部分に別部材の口栓をシールして取り付け、口栓装着可能なパウチを密封することが可能である。
【0019】
すなわち、本発明による口栓装着可能なパウチは、例えば本体と口栓を別々に扱って取り扱いや輸送効率を向上させ、取り扱いや輸送に係る、利便性やコストメリットを創出することが可能である。
【0020】
また、口栓を前側胴部側もしくは後ろ側胴部側に配置することによって、内容物の注ぎ出しにおいて、口栓装着可能なパウチを完全に逆さまにすることなく、斜めにする動作で、内容物を出し切ることが可能になる。
【0021】
また、特に請求項2に記載の発明によれば、シールされていない側の折り込みつき天面フィルム、及び胴部とは、シールされた側の上端より10mm~20mm長くなっていることによって、口栓の取り付けに際して、パウチ本体の上部の開口をより安定して、確実に行うことができる。
【0022】
例えば、パウチ本体の開口を、10mm~20mm長くなっている部分を吸盤で吸い付けて開くなどの自動機対応を、より安定して行うことが可能である。
【0023】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、口栓装着可能なパウチを構成する積層体は、ガスバリア層を含んでいることによって、内容物の外部環境によっての劣化や変質を防止して、長期保存性を向上させることに効果的である。
【0024】
また、特に請求項4に記載の発明によれば、口栓装着可能なパウチを構成する積層体は、プラスチックフィルムからなる中間層を積層体に含んでいることによって、この口栓装着可能なパウチに要求される必要な機能を付与することが可能になり、例えば中間層としてポリアミドフィルム層を設ける場合には、パウチに耐衝撃性や、特に突き刺しに対する耐性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明に係る口栓装着可能なパウチの一実施態様を説明するための、断面模式図である。
図2図2は、本発明に係る口栓装着可能なパウチの一実施態様をより視覚化して説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図1及び図2を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0027】
図1は、本発明に係る口栓装着可能なパウチの一実施態様を説明するための、断面模式図である。
【0028】
本発明による口栓装着可能なパウチ(100)は、プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体からなるパウチ本体(2)、及び別部材の口栓(1)から構成される。
【0029】
パウチ本体(2)を構成する積層体は、前側胴部(3)、後ろ側胴部(4)、及びそれらの間に配置された、折り込みつき底フィルム(5)、及び折り込みつき天面フィルム(6)である。
【0030】
前側胴部(3)と、該後ろ側胴部(4)とは、四辺を有して、シーラント層同士が対向して配置されている。これら四辺のうち、胴部を正面から見た時の左右両端部は、シーラント層でシールされて密封されている。
【0031】
図1から見て取れるように、パウチ本体(2)はプラスチックフィルムを基材とする積層体からなり、折りたたみが可能であって、平坦な状態で積み重ねることができる。すなわち梱包したり、輸送する際の効率が優れている。
【0032】
口栓(1)も、パウチ本体(2)とは別の扱いで梱包したり輸送したりすることができる。口栓(1)とパウチ本体(2)との接合は、内容物の充填に際して行えばよいので、効率が良く、この点において、取り扱いの利便性向上や、コストメリットの創出が可能である。
【0033】
ちなみに、この時の充填工程は、一般に次のようなフローで行われる。
パウチ取り出し→開口部作成→口栓シール→口栓から内容物充填→キャッピング→充填密封完成。
あるいは、
パウチ取り出し→開口部作成→開口部から充填→キャップ付き口栓シール→充填密封完成。
【0034】
したがって、内容物の充填に合わせて、直前までに口栓(1)のパウチ本体(2)へのシールを完了させておけばよいので、嵩張った状態での保管や輸送が必要でなくなるために、利点が大きい。
【0035】
シーラント層を有する積層体は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、例えば加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、パウチ本体(2)に製袋することが可能である。
【0036】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用することができる。
【0037】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0038】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0039】
また、胴部下部において、前側胴部(3)及び後ろ側胴部(4)と、折り込みつき底フィルム(5)とは、シール部(7)及びシール部(8)で、積層体のシーラント層同士が対向するよう配置され、シールされて密封されており、折り込みつき底フィルム(5)が内容物の充填によって折り込み部分が開いて拡張して、底面を形成してパウチは自立可能になる。
【0040】
一方、胴部上部において、前側胴部(3)及び後ろ側胴部(4)とは、折り込みつき天面フィルム(6)が、いずれか一方の胴部にシールされて配置されている。図1に示す例においては、前側胴部(3)の上部と、折り込みつき天面フィルム(6)がシール部(7)でシールされている例である。また、口栓(1)は後ろ側胴部(4)の上部と、折り込みつき天面フィルム(6)の間に取り付けることができる。
【0041】
このように、口栓(1)を前側胴部(3)側、もしくは後ろ側胴部(4)側に配置することによって、内容物の注ぎ出しにおいて、口栓装着可能なパウチ(100)を口栓を真下に向けて逆さまにすることなく、斜めにする動作で、内容物を完全に出し切ることが容易に可能になる利点を有する。
【0042】
また、本発明においてはシールされていない側の折り込みつき天面フィルム(6)、及びこれに対向する前後いずれかの胴部とは、上方に向かって解放されている。図1に示す例においては、後ろ側胴部(4)の上部と、折り込みつき天面フィルム(6)とがシールされていない状態で、解放されている例である。
【0043】
本発明においては、この開放された部分に、別部材の口栓(1)をシールして、口栓装着可能なパウチ(100)を密封することが可能である。口栓(1)には、例えばキャップ(10)を、口栓(1)の先端に螺合して密封することが可能であり、この場合には繰り返しの開閉を行うことが可能である。
【0044】
この口栓(1)のシールは、パウチ本体(2)の製袋時にあらかじめシールしておくのではなく、前述のように、内容物の充填に際して行うことができるため、本発明による口栓装着可能なパウチ(100)は、例えばパウチ本体(2)と口栓(11)を別々に扱って、保管や取り扱い、輸送効率を向上させ、保管や織扱い、輸送に係るコストメリットを創出することが可能である。
【0045】
また、胴部上部のシールされていない側の折り込みつき天面フィルム(6)、及び胴部は、シールされた側の上端より10mm~20mm長くしておくことができる。
【0046】
この部分は図1に示す例において、折り込みつき天面フィルム(6)及び後ろ側胴部(4)であって、高さ(H)で示される部分である。
【0047】
図1で示す例において、高さ(H)があることによって、口栓(1)をパウチ本体(2)に挿入して、シールしようとする際に、例えば、折り込みつき天面フィルム(6)、及び後ろ側胴部(4)をそれぞれ吸盤で吸着して引張り、開口部を形成する作業を自動機を使うなどして、より安定して確実に行うことが可能にする。
【0048】
すなわち、高さ(H)があることによって、胴部上部のシールされている側の折り込みつき天面フィルム(6)及び胴部に阻害されることなく、吸盤がより容易にこの部分に接近、密着することが可能になるのである。
【0049】
また、本発明による口栓装着可能なパウチ(100)において、内容物の、環境条件による変質や劣化を防止し、長期保存性を向上させることを目的として、パウチ本体(2)を構成する積層体に、酸素や水蒸気の透過率を大幅に抑制する、ガスバリア層を設けることができる。
【0050】
たとえば、アルミニウムなどの金属箔はガスバリア層として極めて有効である。しかしながら、電子レンジでの加熱が想定される用途には、高周波によるスパークなどが発生するために不適当である。或いは、パウチ本体(2)に光学的透明性が求められる用途には
不向きである。
【0051】
そのような場合には、プラスチックフィルムの表面に無機化合物からなるガスバリア層を設けて構成されるガスバリアフィルムを用いることができる。
【0052】
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0053】
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、コーティング層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、コーティング層を順次設ける。
【0054】
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いるほか、一般に知られているコーティング方法を用いて塗膜を形成することができる。
【0055】
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
【0056】
コーティング層を形成する方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0057】
無機化合物層は真空蒸着法による塗膜のみでもガスバリア性を有するが、コーティング法による無機化合物層であるコーティング層を真空蒸着法による無機化合物層である蒸着層に重ねて形成し、ガスバリア層とすることができる。
【0058】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
【0059】
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、包装材料としての適性も具備することができる。
【0060】
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は光学的に透明であるために、内容物をパウチの外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。
【0061】
また、口栓装着可能なパウチ(100)のパウチ本体(2)を構成する積層体は、プラスチックフィルムからなる中間層を積層体中に設けることができる。
【0062】
積層体を構成するプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
【0063】
積層体中に中間層を設けることによって、この口栓装着可能なパウチ(100)に要求される必要な機能を付与することが可能になり、例えば中間層としてポリアミドフィルム層を設ける場合には、パウチに耐衝撃性や、特に突き刺しに対する耐性を付与することができる。
【0064】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料、厚さなどは、口栓装着可能なパウチ(100)に要求される要求品質によって、適宜設計することができる。
【0065】
例えば、下記のような層構成とすることができる。
積層体外側から、
4層構成の例として、
基材フィルム/ガスバリア層/中間層/シーラント層
3層構成の例として
基材フィルム/ガスバリア層/シーラント層
2層構成の例として、
基材フィルム/シーラント層
とすることができる。
【0066】
図2は、本発明に係る口栓装着可能なパウチの一実施態様を、より視覚化して説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【0067】
前述のように、本発明による口栓装着可能なパウチ(100)は、プラスチックフィルムを基材として、少なくともシーラント層を有する積層体、及び別部材の口栓(1)からなる口栓装着可能なパウチ(100)であって、図2に示す例において、パウチ本体(2)に口栓(1)を取り付ける前の状態を、斜視(一部透視)模式図で示したものである。
【0068】
パウチ本体(2)は、前側胴部(3)、後ろ側胴部(4)、及びそれらの間に配置された、折り込みつき底フィルム(5)、及び折り込みつき天面フィルム(6)からなり、前側胴部(3)と、後ろ側胴部(4)とは、四辺を有して、シーラント層同士が対向して配置されシールされている。
【0069】
すなわち、パウチ本体(2)の内側で内容物の液体に接する側に向けて、積層体のシーラント層が配置されており、前側胴部(3)、後ろ側胴部(4)、及び折り込みつき底フィルム(5)、及び折り込みつき天面フィルム(6)の各パーツ同士が、シールされ製袋されている。
【0070】
パウチ本体(2)の左右両側部は、シール部(11)でシールされている。また、胴部の下部において、前側胴部(3)及び後ろ側胴部(4)と、折り込みつき底フィルム(5)とは、シーラント層同士が対向するように配置されている。
【0071】
したがって、前側胴部(3)と折り込みつき底フィルム(5)とはシール部(12)でシールされ、後ろ側胴部(4)と折り込みつき底フィルム(5)とはシール部(13)でシールされ、底フィルム(5)が拡張して底面を形成して、自立可能となった状態を示している。
【0072】
また、パウチ本体(2)の胴部上部において、前側胴部(3)及び後ろ側胴部(4)とは、折り込みつき天面フィルム(6)がいずれか一方の胴部にシールされて配置されている。図2に示す例において、折り込みつき天面フィルム(6)は、前側胴部にシール部(14)でシールされている。
【0073】
一方、シールされていない側の折り込みつき天面フィルム(6)、及びこれに対向する後ろ側胴部(4)とは、まだ口栓(1)が取り付けられていない状態で、シールがされておらず、上方に向かって解放されており、紡錘形の開口部(15)を形成している。
【0074】
口栓(1)の取り付けは、この開口部(15)に口栓(1)を挿入して行われる。たとえば、口栓(1)が熱可塑性樹脂の成型品である場合には、パウチ本体(2)への口栓(1)の取り付けは、積層体のシーラント層とのヒートシールによって行うことが可能である。
【0075】
シールされていない側の折り込みつき天面フィルム(6)、及び胴部とは、シールされた側の上端より10mm~20mm長くすることができ、図2で示す例においては、天面フィルム(6)、及び後ろ側胴部(4)が、シールされた前側胴部(3)より長くなっており、高さ(H)で示されている。
【0076】
図2で示す例において、高さ(H)を設けることによって、口栓(1)をパウチ本体(2)に挿入して、シールしようとする際に、例えば折り込みつき天面フィルム(6)、及び後ろ側胴部(4)をそれぞれ吸盤で吸着して引張り、開口部(15)を形成する作業をより安定して確実に行うことが可能になる。
【0077】
したがって、内容物の充填に合わせて、直前までに口栓(1)のパウチ本体(2)へのシールを完了させておけばよいので、嵩張った状態での保管や輸送が必要でなくなるために、利点が大きい。
【0078】
このようにして、本発明によれば、口栓装着可能なパウチにおいて、パウチとしての利便性を損なうことなく、輸送効率の良い口栓装着可能なパウチを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1・・・口栓
2・・・パウチ本体
3・・・前側胴部
4・・・後ろ側胴部
5・・・折り込みつき底フィルム
6・・・折り込みつき天面フィルム
7・・・シール部
8・・・シール部
9・・・シール部
10・・・キャップ
11・・・シール部
12・・・シール部
13・・・シール部
14・・・シール部
15・・・開口部
100・・・口栓装着可能なパウチ
H・・・高さ
図1
図2