(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108461
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】トッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20220719BHJP
B29D 30/38 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B29D30/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003468
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(72)【発明者】
【氏名】福田 和幸
【テーマコード(参考)】
2G051
4F215
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AB02
2G051BA06
2G051BB01
2G051CA03
2G051CB05
2G051DA06
2G051EB01
2G051ED08
2G051ED09
4F215AH20
4F215AP06
4F215AP11
4F215AQ01
4F215VA11
4F215VD16
4F215VL25
4F215VQ01
4F215VQ07
4F215VQ08
(57)【要約】
【課題】同じ黒色をしたテキスタイルシートとトッピングゴムとを精度高く区別して、テキスタイルシートへのトッピングゴムの被覆状態を知ることにより、ゴム付き不良の発生を安定して検出する。
【解決手段】トッピングゴムシートの表面を撮影して画像データを取得する画像データ取得手段と、画像データ取得手段により取得された画像データを画像処理して、トッピングゴムシートにおけるゴム付き不良の発生を検出する検出手段とを備えており、画像データ取得手段は、トッピングゴムシートの表面を連続的に照射する照射装置と、照射装置から照射され、トッピングゴムシートの表面で反射した反射光を受光して、画像データを取得するラインセンサカメラとを備えており、反射光の内、拡散反射光がラインセンサカメラに入光するように、照射装置とラインセンサカメラとが配置されているトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色のテキスタイルシートに黒色のトッピングゴムが被覆されたトッピングゴムシートにおけるゴム付き不良の発生を検出するトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置であって、
前記トッピングゴムシートの表面を撮影して画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段により取得された画像データを画像処理して、前記トッピングゴムシートにおけるゴム付き不良の発生を検出する検出手段とを備えており、
前記画像データ取得手段は、
前記トッピングゴムシートの表面を連続的に照射する照射装置と、
前記照射装置から照射され、前記トッピングゴムシートの表面で反射した反射光を受光して、画像データを取得するラインセンサカメラとを備えており、
前記反射光の内、拡散反射光が前記ラインセンサカメラに入光するように、前記照射装置と前記ラインセンサカメラとが配置されていることを特徴とするトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【請求項2】
前記照射装置における照射源が、赤外光LEDであることを特徴とする請求項1に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【請求項3】
前記赤外光LEDから照射される光が、波長850~940nmの赤外光であることを特徴とする請求項2に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【請求項4】
前記照射装置が、前記トッピングゴムシートの表面に対して、5~45°の入射角で、赤外光が照射されるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【請求項5】
前記画像データ取得手段が、トッピングゴムシートの搬送位置を計測するエンコーダを備えており、
前記ラインセンサカメラによる撮影データを、前記エンコーダによる位置情報と同期させて取得するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【請求項6】
前記画像処理が、濃淡プロブモードによる画像処理であり、
前記検出手段が、得られた画像処理データから、濃黒色部分をテキスタイルシート部分として検出することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【請求項7】
さらに、前記検出手段により検出された前記テキスタイルシートの部分の面積が、予め定めた閾値以上の場合に、ゴム付き不良の発生が検出されたと判断して、警告信号を出す警告出力手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色のテキスタイルシートに黒色のトッピングゴムが被覆(トッピング)されたトッピングゴムシートにおけるトッピングゴムの被覆状態を検査して、トッピングゴムシートのゴム付き不良の発生を検出するトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤ(以下、単に、「タイヤ」ともいう)の製造に際しては、コード材料を織って構成されたテキスタイルシートの両面にゴム(トッピングゴム)が被覆されたトッピングゴムシートが、カーカスやベルト、ブレーカ等のタイヤ部材として使用されている。
【0003】
このとき、トッピングゴムのテキスタイルシートへのゴム付きが不十分な状態(ゴム付き不良)が発生すると、タイヤの品質不良を招く恐れがあるため、トッピングゴムの被覆状態について十分な検査を行い、ゴム付き不良の発生を検出する必要があり、作業者の目視観察により検査が行われていた。
【0004】
具体的には、ゴム付きが不十分な場合、テキスタイルシートの一部が、トッピングゴムシートから露出するため、トッピングゴムシートの上方からテキスタイルシートが見えるか否か、目視観察により検査を行っていた。
【0005】
しかし、作業者の目視観察では、十分とは言えなかったため、ラインセンサカメラを備えたトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置(以下、単に「検出装置」ともいう)を用いて、トッピングゴムシートの表面に光を照射し、その反射光による画像を撮影した後、撮影された画像データをデータ処理することにより、色の違いからトッピングゴムの被覆状態を検査して、ゴム付き不良の発生を検出する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-3352号公報
【特許文献2】特開2017-3308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、タイヤに求められる特性(転がり抵抗、耐久性、路面状況、走行状況、乗り心地など)との関係から、テキスタイルシートとして黒色のテキスタイルシートの採用が求められるようになり、上記した従来の技術では、テキスタイルシートとトッピングゴムが同じ黒色であるため、テキスタイルシートとトッピングゴムを区別することが困難となっていた。
【0008】
ラインセンサカメラに替えて、厚み計を使用してトッピングゴムシートの厚みを計測し、その変化を知ることにより、テキスタイルシートとトッピングゴムを区別して、ゴム付き不良の発生を検出することも試みられているが、測定できる範囲は限定的であり、トッピングゴムシートのように厚みのある材料については、高い精度で、安定して検出することが難しく、さらなる改善が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、トッピングゴムシートのように厚みのある材料であっても、同じ黒色をしたテキスタイルシートとトッピングゴムとを精度高く区別して、テキスタイルシートへのトッピングゴムの被覆状態を知ることにより、ゴム付き不良の発生を安定して検出することができるトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
請求項1に記載の発明は、
黒色のテキスタイルシートに黒色のトッピングゴムが被覆されたトッピングゴムシートにおけるゴム付き不良の発生を検出するトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置であって、
前記トッピングゴムシートの表面を撮影して画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段により取得された画像データを画像処理して、前記トッピングゴムシートにおけるゴム付き不良の発生を検出する検出手段とを備えており、
前記画像データ取得手段は、
前記トッピングゴムシートの表面を連続的に照射する照射装置と、
前記照射装置から照射され、前記トッピングゴムシートの表面で反射した反射光を受光して、画像データを取得するラインセンサカメラとを備えており、
前記反射光の内、拡散反射光が前記ラインセンサカメラに入光するように、前記照射装置と前記ラインセンサカメラとが配置されていることを特徴とするトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、
前記照射装置における照射源が、赤外光LEDであることを特徴とする請求項1に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、
前記赤外光LEDから照射される光が、波長850~940nmの赤外光であることを特徴とする請求項2に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、
前記照射装置が、前記トッピングゴムシートの表面に対して、5~45°の入射角で、赤外光が照射されるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、
前記画像データ取得手段が、トッピングゴムシートの搬送位置を計測するエンコーダを備えており、
前記ラインセンサカメラによる撮影データを、前記エンコーダによる位置情報と同期させて取得するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、
前記画像処理が、濃淡プロブモードによる画像処理であり、
前記検出手段が、得られた画像処理データから、濃黒色部分をテキスタイルシート部分として検出することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、
さらに、前記検出手段により検出された前記テキスタイルシートの部分の面積が、予め定めた閾値以上の場合に、ゴム付き不良の発生が検出されたと判断して、警告信号を出す警告出力手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、トッピングゴムシートのように厚みのある材料であっても、同じ黒色をしたテキスタイルシートとトッピングゴムとを精度高く区別して、テキスタイルシートへのトッピングゴムの被覆状態を知ることにより、ゴム付き不良の発生を安定して検出することができるトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置の構成の概要を示す模式図である。
【
図2】本発明の他の実施の形態に係るトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置の構成の概要を示す模式図である。
【
図3】比較例および実施例において得られた処理画像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.本発明に係るトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置の特徴
最初に、本発明に係るトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置の特徴について説明する。
【0021】
前記したように、テキスタイルシートとして黒色のテキスタイルシートを用いた場合、トッピングゴムシートのように厚みのある材料については、同じ黒色のテキスタイルシートとトッピングゴムを精度高く区別して、テキスタイルシートへのトッピングゴムの被覆状態を確認することは難しかった。
【0022】
本発明者は、トッピングゴムシートに光を照射した場合、テキスタイルシートとトッピングゴムとでは、反射光の輝度に差があるため、テキスタイルシートとトッピングゴムとを区別できると考え、トッピングゴムシートの表面からの反射光を、種々の角度から撮影し、画像処理を行った。
【0023】
その結果、最も反射光の光量が多く、輝度の差も大きく出ると思われた正反射光では、受光量が多すぎて、却って、テキスタイルシートとトッピングゴムとを区別できず、一方、拡散反射光の場合、適度な受光量の下、大きな輝度の差が生じて、テキスタイルシートとトッピングゴムとが十分に区別できるという驚くべき知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0024】
即ち、本発明に係るトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置は、黒色のテキスタイルシートに黒色のトッピングゴムが被覆されたトッピングゴムシートにおけるゴム付き不良の発生を検出するトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置であり、トッピングゴムシートの表面を撮影して画像データを取得する画像データ取得手段と、画像データ取得手段により取得された画像データを画像処理して、トッピングゴムシートに発生したゴム付き不良の発生を検出する検出手段とを備えている。
【0025】
そして、この画像データ取得手段は、トッピングゴムシートの表面を連続的に照射する照射装置と、照射装置から照射され、トッピングゴムシートの表面で反射した反射光を受光して、画像データを取得するラインセンサカメラとを備えており、反射光の内、拡散反射光がラインセンサカメラに入光するように、照射装置とラインセンサカメラとが配置されている。
【0026】
このようなトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置とすることにより、前記したように、テキスタイルシートとトッピングゴムとの間に大きな輝度の差を生じさせることができるため、同じ黒色であっても、画像認識において、テキスタイルシートとトッピングゴムとを精度高く区別することが可能となり、ゴム付き不良の発生を安定して検出することができる。
【0027】
2.具体的な実施の形態
次に、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0028】
(1)装置の全体構成
図1は、本実施の形態に係るトッピングゴムシートのゴム付き不良検出装置1(以下、単に「検出装置」ともいう)の構成の概要を示す模式図である。検出装置1は、ラインセンサカメラ11および照射装置12を有する画像データ取得手段と、検出手段(図示せず)とを備えている。そして、Sは、左向き矢印に示すように、紙面上を右から左へと搬送されていくトッピングゴムシートである。なお、13は、トッピングゴムシートSの搬送位置を計測するエンコーダであり、ラインセンサカメラ11と接続されている。また、R1は照射光、R2aは正反射光、R2bは拡散反射光である。
【0029】
本実施の形態に係る検出装置1は、搬送されてくるトッピングゴムシートSの画像データを取得する画像データ取得手段、および、取得された画像データを画像処理してトッピングゴムの被覆状態を測定し、ゴム付き不良の発生を検出する検出手段を備えている点においては、従来の装置と基本的には同じであるが、前記したように、画像データ取得手段を構成している照射装置12とラインセンサカメラ11との配置関係が異なっている。
【0030】
(2)画像データ取得手段
画像データ取得手段は、前記したように、照射装置12とラインセンサカメラ11とを備えている。
【0031】
ラインセンサカメラ11は、連続撮影が可能であるため、ライン速度に影響されることなく、画像データを連続して取得することができる。
【0032】
そして、本実施の形態においては、
図1に示すように、画像データ取得手段に、画像データを取得する測定領域Aの位置を計測するエンコーダ13が設けられている。
【0033】
エンコーダ13による位置情報と同期させて、ラインセンサカメラ11による撮影データを取得することにより、画像データの取りこぼしをなくして、ゴム付き不良の発生を安定して検出することができる。
【0034】
そして、照射装置12からトッピングゴムシートSの表面に対して、斜め上方から測定領域Aに向けて所定の角度(入射角)で赤外光を照射すると、照射された照射光R1は、測定領域Aにて反射されて、正反射光R2aや拡散反射光R2bとなる。
【0035】
そして、本実施の形態において最も重要なことは、従来の正反射光R2aの延長上ではなく、拡散反射光R2bの延長上にラインセンサカメラ11が配置されており、この拡散反射光R2bをラインセンサカメラ11で受光することにより、画像データが取得されるように、画像データ取得手段を構成させていることである。
【0036】
これにより、前記したように、テキスタイルシートとトッピングゴムとの間に大きな輝度の差を生じさせた受光ができるため、受光した画像データを画像処理した場合、同じ黒色のテキスタイルシートとトッピングゴムを精度高く区別して、ゴム付き不良の発生を安定して検出することができる。
【0037】
なお、トッピングゴムシートの表面へ照射される照射光の入射角が大き過ぎる場合には、照射装置を遠方に配置しないと、トッピングゴムシートと接触してしまう恐れがあるため、小さい入射角に設定されることが好ましいが、小さ過ぎる場合には、照射装置とラインセンサカメラとの間隔が十分に確保できず、互いに接触してしまう恐れがある。
【0038】
そして、正反射光R2aに対する拡散反射光R2bの角度が小さ過ぎる場合には、拡散反射光R2bと共に正反射光R2aもラインセンサカメラ11に受光されて、安定した検出ができない恐れがある。一方、角度が大き過ぎる場合には、十分な量の反射光を受光できず、やはり、安定した検出ができない恐れがある。
【0039】
これらの点を考慮すると、本実施の形態において、照射光の具体的に好ましい入射角としては、5~45°が好ましい。
【0040】
また、本実施の形態において、照射光R1の照射源としては、赤外光LEDを用いることが好ましく、その波長としては、850~940nmであることが好ましい。エネルギー効率が高く、高輝度である赤外光LEDを用いて、波長850~940nmの赤外光を照射することにより、トッピングゴムシートの表面における反射の影響を十分に抑制して、安定した検出に適した量の拡散反射光R2bを得ることができる。なお、波長は、870~900nmであるとより好ましい。
【0041】
なお、赤外光は、照射装置やラインセンサカメラの表面の汚れの影響を受けにくいという特徴も有している。
【0042】
また、画像データ取得手段(ラインセンサカメラおよび照射装置)は、トッピングゴムシートの表面から離れた位置に配置されていると、測定領域に対する視野幅が確保できず、また、十分な反射光を得ることが難しくなるため、トッピングゴムシートの表面から近い位置に配置されていることが好ましい。しかし、近過ぎると、搬送されているトッピングゴムシートが接触する恐れがある。具体的には、例えば、ラインセンサカメラについては、トッピングゴムシートの表面から8mm以上で、できるだけ近い位置に配置する一方、照射装置については、対象となるトッピングゴムシートよりも100mm程度幅広の照射装置を、トッピングゴムシートに干渉しない範囲で、できるだけ近い位置に配置することが好ましい。
【0043】
(3)検出手段
検出手段は、上記の画像データ取得手段で取得した画像データを画像処理装置で画像処理することによりゴム付き不良の発生を検出する。
【0044】
具体的には、例えば、濃淡プロブモードによる画像処理を行うことにより得られた画像処理データから、濃黒色部分をテキスタイルシート部分として検出し、その面積を求める。そして、得られたテキスタイルシート部分の面積について、予め、制御装置に組み入れらえている判定基準(閾値)と比較する。
【0045】
比較の結果、閾値以上である場合、ゴム付き不良が発生していると判断して、音や光などの警告出力手段を用いて、作業者に向けて警告信号を発する。このように、本実施の形態においては、ゴム付き不良の発生を自動的に精度高く安定して検出することができるため、作業者の負担も軽減される。
【0046】
なお、上記では、搬送ラインの上方に検出装置が配置されている場合を例に挙げて説明したが、
図2に示すように、トッピングゴムシートを2本の搬送ラインを跨ぐように搬送して、その搬送ラインの間で、トッピングゴムシートの上方、および下方に検出装置を配置して、トッピングゴムシートの両面からゴム付き不良の発生を検出してもよく、これにより、より効率的にゴム付き不良の発生を検出することができる。
【0047】
以上、本実施の形態によれば、トッピングゴムシートのように厚みのある材料であっても、黒色のテキスタイルシートとトッピングゴムとを精度高く区別して、テキスタイルシートへのトッピングゴムの被覆状態を知ることにより、ゴム付き不良の発生を安定して検出することができる。
【0048】
そして、従来は、次工程まで発見が困難であったゴム付き不良の発生を、トッピングゴムシート製造の段階で発見して適切に対処することができるため、不良ロスの発生の低減や、品質向上へ大きく寄与することができる。
【実施例0049】
次に、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。
【0050】
1.実験方法
(1)装置
ラインセンサカメラ:キーエンス社製のXG-HL04M
(16倍速4000画素ラインセンサカメラ)
レンズ:キーエンス社製のCA-LHW12(ラインセンサカメラ用12mmレンズ)
画像処理装置:キーエンス社製のXG-X2800
照射光源:シーシーエス社製のHLND-1800SW2-RRBC
【0051】
(2)撮影および画像処理条件
ラインセンサカメラおよび照射装置を搬送ラインの上方(鉛直方向)に配置し、トッピングゴムシート表面からの拡散反射光が入光するようにラインセンサカメラを据え付けた。そして、照射装置からトッピングゴムシート表面に波長860nmの赤外光を照射し、拡散反射光をラインセンサカメラで受光して、その撮影画像を画像処理装置に送り込んだ。その後、画像処理装置内において、濃淡プロブモードで画像処理を行った(実施例)。
【0052】
一方、比較のために、ラインセンサカメラを、トッピングゴムシート表面にて正反射した正反射光を受光する位置に据え付け、白色LEDを用いて、照射し、実施例と同様に、ラインセンサカメラで受光した撮影画像を画像処理装置に送り込み、画像処理を行った(比較例)。
【0053】
2.実験結果
実施例と比較例で取得された画像データを
図3に示す。なお、
図3において、右側の画像が実施例、左側の画像が比較例である。
【0054】
比較例では、白枠で囲んだ部分がテキスタイルシートの領域であるが、ゴムの領域とテキスタイルシートの領域のいずれもが、同じ濃度の黒色で示されており、区別ができない。
【0055】
これに対して、実施例では、テキスタイルシートの領域がゴムの領域に比べて、濃い黒色を示しており、明確に両者を区別できることが分かる。
【0056】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。