(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108463
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】狭帯域無線環境を利用した動画配信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/238 20110101AFI20220719BHJP
H04N 21/61 20110101ALI20220719BHJP
H04N 21/242 20110101ALI20220719BHJP
【FI】
H04N21/238
H04N21/61
H04N21/242
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003474
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】518407272
【氏名又は名称】株式会社Free-D
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横内 直人
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA07
5C164MB44S
5C164MC06S
5C164SA25S
5C164SB01S
5C164SB10P
5C164SB21P
5C164TA06S
5C164TA14P
(57)【要約】 (修正有)
【課題】帯域が制約されるLPWAのような狭帯域無線環境において、動画配信を行う際に、複数無線回線を組み合わせて動画を伝送する高画質な映像配信を行う動画配信方法を提供する。
【解決手段】十分な帯域が確保出来ないLPWAのような狭帯域無線環境において、動画圧縮装置110、動画分割圧縮装置210により動画データを狭帯域無線環境で通信可能な帯域に合わせて圧縮して分割し、分割した分割動画データ群230を複数の狭帯域無線回線(LPWA等無線送信機群300)を使用して分割伝送を行う。分割された動画データは、受信側で動画統合・同期装置500により1つの映像ストリームに再構成して視聴可能な映像を復元する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の狭帯域無線回線を介して動画データを配信する動画配信方法であって、
前記動画データを、前記複数の狭帯域無線回線の帯域に応じて圧縮して、圧縮データを生成し、
前記圧縮データを、前記複数の狭帯域無線回線の帯域に応じて分割して、複数の分割動画データを生成し、
前記複数の分割動画データを、前記複数の狭帯域無線回線を介して送信する
狭帯域無線環境を利用した動画配信方法。
【請求項2】
前記動画データに基づいて、前記複数の分割動画データと、少なくとも一つの音データと、を生成し、
前記複数の分割動画データと共に、前記音データを、前記狭帯域無線回線を介して送信する
請求項1記載の動画配信方法。
【請求項3】
前記複数の分割動画データを同期させるKey情報を生成し、
前記複数の分割動画データを送信する前に、前記複数の分割動画データに前記Key情報を付与する
請求項1又は2記載の動画配信方法。
【請求項4】
前記Key情報は、世界標準時間に基づいて生成される
請求項3記載の動画配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭帯域無線環境を利用した動画配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoTは産業・社会などの様々な分野へ急速に広がっている。そして、IoTを利用したサービスにより新しい価値の創造や仕事効率向上などを実現し、ビジネスモデルや人々の生活・行動様式をより便利に変化している。現在、IoTの通信は携帯電話網が多く導入されているが、高い運用コストが障壁となり、システムの維持が困難になる例も少なくない。この課題を解決するために、低価格での通信が可能なLPWA[低消費電力・広範囲・狭帯域(通信速度が比較的低速な通信回線)を特徴とする無線通信]を利用した新しいセンサーネットワークが注目されている。IoTデバイスは2025年に向けて年平均約28.7%のペースで増加すると予想されている。その様な中、IoTデバイスが生成するデータの大部分を占めるのが、ビデオ監視カメラ等からの動画データとされている。
【0003】
今後、動画における高画質化等に伴うデータ量の増大や、流通するデータ量が増大する中、帯域が小容量で制約されるLPWAを活用するためには、情報量の更なる圧縮が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動画の配信を行う際、これまでは1回線当たり利用可能な回線帯域が、動画品質を決める際の制約となってきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る動画配信方法においては、動画データを複数の狭帯域無線回線の帯域に応じて圧縮して圧縮データを生成し、この圧縮データを複数の狭帯域無線回線の帯域に応じて分割して複数の分割動画データを生成し、複数の分割動画データを、複数の狭帯域無線回線を介して送信する。
【0006】
上記動画配信方法では、動画データに基づいて、複数の分割動画データと、少なくとも一つの音データと、を生成しても良い。また、上記複数の分割動画データと共に、上記音データを、狭帯域無線回線を介して送信しても良い。
【0007】
また、上記動画配信方法では、上記複数の分割動画データを同期させるKey情報を生成しても良い。また、複数の分割動画データを送信する前に、複数の分割動画データ又は複数の圧縮データにKey情報を付与しても良い。
【0008】
また、上記Key情報は、世界標準時間に基づいて生成されても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、帯域が制約されるLPWAのような狭帯域無線環境においても、より高画質な動画配信を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る動画配信方法について説明するための機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る動画配信方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態では、複数回線を組み合わさなければ十分な帯域が確保出来ないLPWAのような狭帯域無線環境において、動画データをLPWAで通信可能な帯域に合わせて圧縮・分割し、複数のLPWA回線を使用して分割伝送を行い、分割された動画データを受信側で復元・同期再生する方法を例示する。この方法により帯域が制約されるLPWAのような狭帯域無線環境においても、より高画質な動画配信を実現することを目的とする。
【0012】
例えば、LPWA1回線の最大帯域が100Kbpsだとすると、400Kbpsの動画データではオーバーするので、1回線での配信は不可能である。しかし、複数の回線を合わせて利用すれば、400Kbpsの動画データを4分割して100Kbpsにすれば、LPWA4回線(100Kbps×LPWA4回線)で伝送を可能にすることができる。
【0013】
この際、動画データに同期している音データも切り分けて圧縮した上で、動画データとは別のLPWA回線で伝送する。
例えば、LPWA1回線の最大帯域が100Kbpsだとすると、200Kbpsの音データではオーバーするので、圧縮をして100Kbpsのサイズにした後、LPWA1回線で配信を行う。
【0014】
また、分割されて伝送される動画データ並びに音データは、使用するLPWA回線によって伝送距離や遅延時間が異なる。このため、受信した各動画データと音データは、同期させて1つの動画ストリームに再構成する必要がある。同期のタイミングを世界標準時間で計り、同期のタイミングを合わせる同期Keyを作成し、同期Keyを元に、分割された各動画データと分割された音データを合わせて、1つの動画ストリームに再構成して視聴可能な動画に復元する。同期Keyは、動画データと音データとは別のLPWA回線で伝送する。
【0015】
上記の分割配信を行う際に必要な送信用の物理的なLPWA装置とその回線数は、分割された動画データ数をn回線、音データを1回線、同期して統合するための同期Keyデータを1回線とする。
【0016】
LPWA回線の通信速度=100KbpsでLPWAの回線数を6回線とした場合は、動画データの全容量を約400Kbpsに圧縮し、動画データを4分割(4分割された各動画データの容量=100Kbps)にする。
この際の送信用の物理的なLPWA回線数の内訳は、動画データ=4回線、音データ=1回線、同期Key=1回線となる。
【0017】
この時、動画データ並びに音データの分割・同期技術が必須であり、また動画を分割送信する前に複数の回線数の帯域に合わせるため(動画データを400Kbpsに圧縮する)の事前圧縮処理が必要になる。
【0018】
次に、
図1を参照し、本発明の実施形態について機能ブロック図を用いて説明する。尚、以下の説明は例示的なものであり、詳細については適宜変更可能である。
【0019】
本実施形態に係る動画圧縮装置110について説明する。動画圧縮装置110は、被圧縮動画100の情報量を圧縮して圧縮動画200を生成するものである。圧縮動画200の総ビットレートは、(無線送信機の数-1)×無線送信機1回線のビットレート+音データのビットレートに圧縮する。
【0020】
本実施形態に係る動画分割圧縮装置210について説明する。動画分割圧縮装置210は、圧縮動画200を分割圧縮して、分割動画データ群230と音データ240、同期Key情報250を生成する。
【0021】
同期Key情報250は、同期のタイミングを世界標準時間で計り、同期のタイミングを合わせる同期Key情報を数フレームから数秒間隔で各分割動画データと音データに同タイミングで付与し、その付与情報を同期Key情報250として生成する。
【0022】
音データ240は、映像データに同期している音データを分離して生成する。この際、音データの総ビットレートは、無線送信機1回線のビットレート以下に圧縮する。
【0023】
分割動画データ群230の分割動画データは、無線送信機数に合わせて、動画の縦横を分割圧縮したものである。
【0024】
LPWA等無線送信機群300のLPWA等無線送信機数は、圧縮動画200の総ビットレート/無線送信機1回線のビットレート+音データ1回線+同期Key情報1回線とする。
【0025】
分割動画データ群230並びに音データ240、同期Key情報250は、LPWA等無線送信機群300から無線回線群350を通してLPWA等無線受信機群400に伝送する。
【0026】
LPWA等無線受信機群400の無線受信機数は、LPWA等無線送信機群300の総数と同数である。無線回線群350の各無線回線は、各無線送信機と各無線受信機で相対につながる。
【0027】
LPWA等無線受信機群400で受信した分割動画データ群230と音データ240、同期Key情報250は、動画統合・同期装置500で、同期Key情報250の同期Key情報を元に、分割動画データ群230と音データ240を同期・統合され、1つの映像ストリーム圧縮動画600を生成する。
【0028】
この時、映像ストリーム圧縮動画600は圧縮動画200を復元し、より高画質な視聴可能な圧縮動画データになる。
【0029】
動画圧縮装置110中の構成は、装置や電子回路等によって実現されても良いし、CPUやGPU及びソフトウェア等によって実現されても良い。
動画分割圧縮装置210中の構成は、装置や電子回路等によって実現されても良いし、CPUやGPU及びソフトウェア等によって実現されても良い。
動画統合・同期装置500中の構成は、装置や電子回路等によって実現されても良いし、CPUやGPU及びソフトウェア等によって実現されても良い。
【0030】
次に、
図1と
図2を参照して、本発明の実施形態についてフローチャートを用いて説明する。
【0031】
動画圧縮装置110は、被圧縮動画100を読み込む(ステップS101)。
【0032】
動画圧縮装置110は、被圧縮動画100を圧縮する(ステップS102)。
【0033】
動画分割圧縮装置210は、動画圧縮装置110で圧縮された圧縮動画200を読み込む(ステップS103)。
【0034】
動画分割圧縮装置210は、同期Key情報250を生成する。この際、同期のタイミングを世界標準時間で計り、同期のタイミングを合わせる同期Key情報を数フレームから数秒間隔で各分割動画データと音データに同タイミングで付与し、その付与情報を同期Key情報250として生成する(ステップS104)。
【0035】
動画分割圧縮装置210は、圧縮動画200の圧縮動画データと音データを分離し、音データ240を生成する。この際、音データの総ビットレートは、無線送信機1回線のビットレート以下に圧縮する(ステップS105)。
【0036】
圧縮動画200の圧縮動画データを無線送信機の数に合わせて、動画の縦横を分割圧縮する(ステップS106)。
【0037】
分割動画データ群230並びに音データ240、同期Key情報250は、LPWA等無線送信機群300から無線回線群350を通してLPWA等無線受信機群400に伝送する(ステップS107~S115)。
【0038】
動画統合・同期装置500は、LPWA等無線受信機群400で受信した同期Keyを参照してLPWA等無線受信機群400で受信した分割動画データ群230と音データ240を同期・統合する(ステップS116)。
【0039】
動画統合・同期装置500は、1つの映像ストリーム圧縮動画600を生成する(ステップS117)。
【0040】
映像ストリーム圧縮動画600は圧縮動画200を復元した同動画データで、帯域が制約されるLPWAのような狭帯域無線環境においても、より高画質な動画の再生・視聴を提供することが可能になる(ステップS118)。
【符号の説明】
【0041】
100…被圧縮動画、110…動画圧縮装置、200…圧縮動画、210…動画分割圧縮装置、230…分割動画データ群、240…音データ、250…同期Key情報、300…LPWA等無線送信機群、350…無線回線群、400…LPWA等無線受信機群、500…動画統合・同期装置、600…映像ストリーム圧縮動画。