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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108467
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】組立式居住ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003480
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】510274430
【氏名又は名称】コトブキシーティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相田 憲昭
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組立容易で居住性に優れる組立式居住ユニットの提供。
【解決手段】組立式居住ユニット100は、長尺状の中間取付溝部及び中間取付溝部の両端部から連続し、中間取付溝部の延在方向に対し直交方向に延びる一対の第1の端部取付溝部を有する第1の下フレーム11Aと、第1の下フレーム11Aから直交方向において離間して配置され、長尺状の平板部及び平板部の両端部に設けられた一対の第2の端部取付溝部を有する第2の下フレーム12Aと、第1の下フレーム11Aの中間取付溝部に取り付けられ、延在方向に平行な主面をもつ略矩形状の第1の側面パネル21Aと、第1の下フレーム11Aの第1の端部取付溝部及び第2の下フレーム12Aの第2の端部取付溝部に取り付けられ、直交方向に平行な主面をもつ略矩形状の2つの第2の側面パネル22Aと、第1の側面パネル21A及び2つの第2の側面パネル22Aが囲む空間に配される床パネル30を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の中間取付溝部及び前記中間取付溝部の両端部から連続し、前記中間取付溝部の延在方向に対して直交方向に延びる一対の第1の端部取付溝部を有する第1の下フレームと、
前記第1の下フレームから前記直交方向において離間されて配置され、長尺状の平板部及び前記平板部の両端部に設けられた一対の第2の端部取付溝部を有する第2の下フレームと、
前記第1の下フレームの中間取付溝部に取り外し可能に取り付けられ、前記延在方向に平行な主面をもって起立する略矩形状の第1の側面パネルと、
前記第1の下フレームの第1の端部取付溝部及び前記第2の下フレームの第2の端部取付溝部に取り外し可能にそれぞれ取り付けられ、前記直交方向に平行な主面をもって起立する略矩形状の2つの第2の側面パネルと、
前記第1の側面パネル及び2つの前記第2の側面パネルに囲まれた空間に配置される床パネルと、
を備える組立式居住ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の組立式居住ユニットであって、
前記中間取付溝部と、前記第1の端部取付溝部と、前記第2の端部取付溝部の各々の内側面には、係合突起と、該係合突起と係合する係合溝のいずれか一方が形成され、
前記第1の側面パネル及び前記第2の側面パネルの主面には、前記係合突起と前記係合溝のいずれか他方が形成される、
組立式居住ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組立式居住ユニットであって、
前記第1の側面パネルの側縁部には、起立時に高さ方向に延びる階段形状の段差部が形成され、
前記第2の側面パネルの側縁部には、起立時に高さ方向に延びる凹溝が形成され、
前記第1の側面パネルと前記第2の側面パネルとは、前記段差部の突出部が前記凹溝に嵌め込まれた状態で、前記中間取付溝部、前記第1の端部取付溝部、及び前記第2の端部取付溝部に挿入される、
組立式居住ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の組立式居住ユニットであって、
長尺状の中間取付溝部及び前記中間取付溝部の両端部から連続し、前記中間取付溝部の延在方向に対して直交方向に延びる第1の端部取付溝部を有し、前記第1の下フレームと同一構成の第1の上フレームと、
前記第1の上フレームから前記直交方向において離間されて配置され、長尺状の平板部及び前記平板部の両端部に設けられた第2の端部取付溝部を有し、前記第2の下フレームと同一構成の第2の上フレームと、
を更に備え、
前記第1の側面パネルは、前記第1の上フレームの中間取付溝部に取り外し可能に取り付けられ、
前記第2の側面パネルは、前記第1の上フレームの第1の端部取付溝部及び前記第2の上フレームの第2の端部取付溝部に取り外し可能に取り付けられる、
組立式居住ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の組立式居住ユニットであって、
前記第2の下フレームから前記直交方向において離間されて配置され、長尺状の他の平板部及び前記他の平板部の両端部に設けられた第3の端部取付溝部を有する第3の下フレームと、
前記第2の下フレームの第2の端部取付溝部及び前記第3の下フレームの第3の端部取付溝部に取り外し可能に取り付けられ、前記第2の側面パネルの側縁部に接するように起立する略矩形状の第3の側面パネルと、
を更に備え、
前記第2の側面パネル及び前記第3の側面パネルの側縁部において、起立時に高さ方向に延びる階段形状の段差部が形成され、
前記第2の側面パネル及び前記第3の側面パネルが、それぞれの段差部が互いに噛み合った状態で前記第2の下フレームの第2の端部取付溝部に挿入される、
組立式居住ユニット。
【請求項6】
請求項4を引用する請求項5に記載の組立式居住ユニットであって、
前記第2の上フレームから前記直交方向において離間されて配置され、長尺状の他の平板部及び前記他の平板部の両端部に設けられた第3の端部取付溝部を有し、前記第3の下フレームと同一構成の第3の上フレームを更に備え、
前記第3の側面パネルは、前記第2の上フレームの第2の端部取付溝部及び前記第3の上フレームの第3の端部取付溝部に取り外し可能に取り付けられる、
組立式居住ユニット。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の組立式居住ユニットであって、
前記第3の側面パネルは、前記第1の側面パネルと同一構成を有する、
組立式居住ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易に組立可能な組立式居住ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然災害等の不測の事態に備え、避難所の充実化が求められている。既存の避難所には種々の問題が存在するが、生活空間の確保、プライバシーの確保等、居住性の一層の充実が求められている。
【0003】
特許文献1は、複数枚の樹脂製の分割パネルを、それらの縁部同士で突き合わせて、締結具で相互に結合することにより、横断面略矩形状に形成される筒形で、その筒軸方向の両端に全面的に形成される開口を有するシェル構造と、両端に形成される開口の少なくとも一方を閉鎖するように、開口の内周縁に形成される溝部に倹飩式に嵌め込まれると共に、溝部内で移動しないように固定具で固定される壁面パネルと、を備え、建物内の床面上に設置され、シェル構造及び壁面パネルにより室内と周囲を仕切る側壁を形成する組立個室を開示している。
【0004】
特許文献1の組立個室は、一人用の宿泊、休憩室として使用される組立式の個室で、建物内の床面上への設置を前提としており、建物内で組立し、設置可能である。このような組立個室を避難所において利用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-203151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の組立個室に代表される従来の組立式の個室は、部品点数が多く、部材の固定具を必要とするため、組立が困難であり、時間も要する。
【0007】
本発明は、組立が容易であり、居住性に優れた組立式居住ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組立式居住ユニットは、
長尺状の中間取付溝部及び前記中間取付溝部の両端部から連続し、前記中間取付溝部の延在方向に対して直交方向に延びる一対の第1の端部取付溝部を有する第1の下フレームと、
前記第1の下フレームから前記直交方向において離間されて配置され、長尺状の平板部及び前記平板部の両端部に設けられた一対の第2の端部取付溝部を有する第2の下フレームと、
前記第1の下フレームの中間取付溝部に取り外し可能に取り付けられ、前記延在方向に平行な主面をもって起立する略矩形状の第1の側面パネルと、
前記第1の下フレームの第1の端部取付溝部及び前記第2の下フレームの第2の端部取付溝部に取り外し可能にそれぞれ取り付けられ、前記直交方向に平行な主面をもって起立する略矩形状の2つの第2の側面パネルと、
前記第1の側面パネル及び2つの前記第2の側面パネルに囲まれた空間に配置される床パネルと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組立式居住ユニットは、第1及び第2の側面パネルを第1及び第2の下フレームに取り付けて起立させることができ、組立が容易であり、居住性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る組立式居住ユニットの斜視図である。
図2図2は、対称パネルの斜視図である。
図3図3は、非対称パネルの斜視図である。
図4図4は、第1のフレームを示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は(b)のC-C線に沿った断面図である。
図5図5は、第2のフレームを示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図である。
図6図6は、第3のフレームを示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は(b)のC-C線に沿った断面図である。
図7図7は、床パネルの斜視図である。
図8図8は、組立式居住ユニットの分解斜視図である。
図9図9は、側面パネルと下フレームの接合部分の拡大図であり、(a)は図8のIX領域の拡大上面図、(b)は図8のIX’領域の拡大上面図を示す。
図10図10は、分解された組立式居住ユニットの各部材を積層した台車の斜視図を示す。
図11図11は、本発明の変形例に係る組立式居住ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した組立式居住ユニットの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る組立式居住ユニット100の斜視図を示す。組立式居住ユニット100は、第1の下フレーム11Aと、第2の下フレーム12Aと、第3の下フレーム13Aと、第1の側面パネル21Aと、第2の側面パネル22Aと、第3の側面パネル21Bと、床パネル30と、第1の上フレーム11Bと、第2の上フレーム12Bと、第3の上フレーム13Bと、を備える。
【0012】
組立式居住ユニット100は、上述した各部材を組み合わせることにより容易に組立が可能であり、人の居住空間を提供することが可能である。組立式居住ユニット100は、特別な道具なしで人の手により容易に組み立てることが可能であり、自然災害等の不測の事態の発生時に、避難所等において好適に用いられる。
【0013】
組立式居住ユニット100は全体として直方体形状を呈し、その内部空間Sが人の居住空間となる。内部空間Sは、床パネル30の上面と、第1の側面パネル21A、2つの第2の側面パネル22A及び2つの第3の側面パネル21B各々の内側面によって画定される。組立式居住ユニット100の外形である直方体形状において、ユニット長さが最も長い長手方向をX方向、X方向に直交する幅方向をY方向、X方向及びY方向に直交する高さ方向をZ方向とする。
【0014】
第1の下フレーム11A、第2の下フレーム12A、第3の下フレーム13Aは、床面に接触した状態でX方向に並べられ、これら3つの下フレーム11A,12A,13Aの上に床パネル30が設置される。3つの下フレーム11A,12A,13Aには、後述する様に第1の側面パネル21A、第2の側面パネル22A、第3の側面パネル21Bの下端部を受け入れる取付溝11c,12c,13cが設けられており、取付溝11c,12c,13cに3つの側面パネル21A,22A,21Bが挿入され、固定されている。第1の上フレーム11B、第2の上フレーム12B、第3の上フレーム13Bは、第1の側面パネル21A、第2の側面パネル22A、第3の側面パネル21Bの上端部に取り付けられている。
【0015】
第1の側面パネル21Aは、入口である内部空間Sの開口から見て最も奥に起立した状態で位置し、2つの第2の側面パネル22Aは、第1の側面パネル21の横手方向であるY方向の両側縁部に接するように起立した状態で設けられる。更に、2つの第3の側面パネル21Bが、2つの第2の側面パネル22Aの側縁部に接するように起立した状態で設けられる。
【0016】
ここで、本実施形態では、第1の側面パネル21Aと第3の側面パネル21Bは、共用の対称パネル21によって構成され、第2の側面パネル22Aは、非対称パネル22によって構成される。また、第1の下フレーム11Aと第1の上フレーム11Bとは、共用の第1のフレーム11によって構成され、第2の下フレーム12Aと第2の上フレーム12Bとは、共用の第2のフレーム12によって構成され、第3の下フレーム13Aと第2の上フレーム13Bとは、共用の第3のフレーム13によって構成される。さらに、床パネル30は、2枚の床パネル片31によって構成される。
即ち、本実施形態の組立式居住ユニット100は、少なくとも6種類の上記部材を組み合わせることによって組み立てられている。
【0017】
図2は、第1の側面パネル21A、第3の側面パネル21Bを構成する対称パネル21の斜視図である。対称パネル21は平面視で略矩形状を呈する平板状の部材であり、また、高さ方向(Z方向)及び横手方向(Y方向)において線対称な形状を有する。
対称パネル21は、対向する一対の主面を貫通する2つの貫通孔21aと、対向する一対の主面上において、横手方向における両側、且つ、起立時の高さ方向における両側の合計4箇所に一対ずつそれぞれ形成される複数(本実施形態では、1つの主面につき8つ)の係合溝21bと、横手方向における両側縁部に形成され、起立時に高さ方向に延びる階段形状の段差部21cと、を有する。
【0018】
一対の係合溝21bは、起立時における下端部から上方へ、又は上端部から下方へ延びて主面上に形成され、横手方向に所定の間隔を空けて形成されている。複数の係合溝21bは、後述する第1のフレーム11、第2のフレーム12、第3のフレーム13の係合突起11e,12e,13eと係合し、この係合作用により対称パネル21である第1の側面パネル21A及び第3の側面パネル21B自身が安定的に直立する。
【0019】
また、横手方向両側縁部における階段形状の段差部21cは、いずれも一方の主面側において横手方向に突出する突出部を有する。
【0020】
図3は、第2の側面パネル22Aを構成する非対称パネル22の斜視図である。非対称パネル22も平面視で略矩形状を呈する平板状の部材であり、高さ方向に線対称であるが、横手方向に非対称な形状を有する。
非対称パネル22は、対向する一対の主面を貫通する4つの貫通孔22aを備えると共に、対称パネル21と同じく、対向する一対の主面上において、横手方向における両側、且つ、起立時の高さ方向における両側の合計4箇所に一対ずつそれぞれ形成される複数の係合溝22bと、を有する。また、非対称パネル22は、横手方向における一方の側縁部に形成され、起立時に高さ方向に延びる階段形状の段差部22cと、横手方向における他方の側縁部に形成され、起立時に高さ方向に延びる凹溝22dと、を有する。
【0021】
一対の係合溝22bは、起立時における下端部から上方へ、又は上端部から下方へ延びて主面上に形成され、横手方向に所定の間隔を空けて形成されている。複数の係合溝22bは、後述する第1のフレーム11、第2のフレーム12の係合突起11e,12eと係合し、この係合作用により非対称パネル22である第2の側面パネル22A自身が安定的に直立する。
【0022】
また、階段形状の段差部22cは、凹溝22dが形成される主面と反対側の主面側において横手方向に突出する突出部を有する。
【0023】
対称パネル21及び非対称パネル22は、プラダンの様なブロー等により成形可能であるが、必要な強度等を確保できればその材料は特に限定されない。
また、本実施形態では、対称パネル21と非対称パネル22とは、略等しいサイズ、即ち、横手方向長さ、高さ、厚さにおいて同じ寸法に形成されており、したがって、後述する各フレーム11,12,13の取付溝11c、12c、13cの内幅も各パネル21,22の厚さと略等しく設計されている。
【0024】
図4は、第1の下フレーム11A及び第1の上フレーム11Bを構成する第1のフレーム11を示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は(b)のC-C線に沿った断面図をそれぞれ示している。第1のフレーム11は、長尺状の中間取付溝部11a及び中間取付溝部11aの両端部から、中間取付溝部11aの延在方向(Y方向)に対して直交方向(X方向)に延びる第1の端部取付溝部11bを有する。中間取付溝部11aと第1の端部取付溝部11bの各々は、底面部11fと、底面部11fからZ方向に延びる2枚の起立部11dの間で、第1の側面パネル21A及び第2の側面パネル22Aが挿入可能な取付溝11cを画定しており、中間取付溝部11aと第1の端部取付溝部11bの両方に渡って形成されている。
【0025】
第1のフレーム11は更に、起立部11dの内側面に形成された係合突起11eを備えている。係合突起11eは、対称パネル21(第1の側面パネル21A)または非対称パネル22(第2の側面パネル22A)の取付溝11cへの挿入時に、対称パネル21の係合溝21bまたは非対称パネル22の係合溝22bと係合する。
なお、2枚の起立部11dに形成される係合突起11eは、取付溝11cの延在方向における位置をずらして合計8箇所に形成されている。
【0026】
図5は、第2の下フレーム12A及び第2の上フレーム12Bを構成する第2のフレーム12を示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は正面図をそれぞれ示している。第2のフレーム12は、床パネル30のY方向における幅と略等しい長尺状の平板部12a及び平板部12aの両端部から、平板部12aの延在方向(Y方向)に対して垂直方向(Z方向)に延びる第2の端部取付溝部12bを有する。第2の端部取付溝部12bは、底面部12fと、該底面部12fからZ方向に延びる二枚の起立部12dの間で、第2の側面パネル22A及び第3の側面パネル21Bが挿入可能な取付溝12cを画定している。
第2のフレーム12は更に、起立部12dの内側面に形成された係合突起12eを備えている。係合突起12eは、対称パネル21(第3の側面パネル21B)または非対称パネル22(第2の側面パネル22A)の取付溝11cへの挿入時に、対称パネル21の係合溝21bまたは非対称パネル22の係合溝22bと係合する。
各第2の端部取付溝部12bにおいて、2枚の起立部12dに形成される係合突起12eは、取付溝12cの延在方向における位置をずらして合計4箇所に形成されている。
【0027】
図6は、第3の下フレーム13A及び第3の上フレーム13Bを構成する第3のフレーム13を示し、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は(b)のC-C線に沿った断面図をそれぞれ示している。第3のフレーム13は、床パネル30のY方向における幅と略等しい長尺状の他の平板部13a及び他の平板部13aの両端部から、他の平板部13aの延在方向(Y方向)に対して垂直方向(Z方向)に延びる第3の端部取付溝部13bを有する。第3の端部取付溝部13bは、底面部13fと該底面部13fからZ方向に延びる2枚の起立部13dの間で、第3の側面パネル21Bが挿入可能な取付溝13cを画定しており、X方向一端部は、2枚の起立部13dを繋ぐ連結部13gによって閉じられている。
【0028】
第3のフレーム13は更に、起立部13dの内側面に形成された係合突起13eを備えている。係合突起13eは、対称パネル21(第3の側面パネル21B)の取付溝13cへの挿入時に、対称パネル21の係合溝21bと係合する。
各第3の端部取付溝部13bにおいて、2枚の起立部13dに形成される係合突起13eは、取付溝13cの延在方向における位置をずらして合計2箇所に形成されている。
【0029】
なお、第1~第3のフレーム11,12,13はいずれもU字形状に形成されているので、第1~第3側面パネル21A,22A,21Bが取り付けられる第1~第3の下フレーム11A,12A,13Aの中間取付溝部11a、及び第1~第3の端部取付溝部11b、12b、13bは、安定して自立することができる。
また、第2及び第3の下フレーム12A,13Aの平板部12a及び他の平板部13aは、接地面と後述する床パネル30との間に挟持されるので、第2及び第3の端部取付溝部12b、13bはさらに安定して自立することができる。
【0030】
図7は、床パネル30の斜視図である。床パネル30は、略矩形状を呈する平板状の2枚の床パネル片31を含み、両者は互いの側縁部において接触した状態で、第1の側面パネル21Aと、2つの第2の側面パネル22Aと、2つの第3の側面パネル21Bに囲まれた内部空間S内において、第2の下フレーム12A、第3の下フレーム13Aの上に配置される。床パネル片130はポリオレフィンフォーム等により成形可能であるが、その材料は特に限定されない。
【0031】
図8は、組立式居住ユニット100の分解斜視図である。第1の側面パネル21Aは、第1の下フレーム11Aの中間取付溝部11aに取り外し可能に取り付けられ、中間取付溝部11aの延在方向(Y方向)に平行な主面をもって起立する。第2の側面パネル22Aは、第1の下フレーム11Aの第1の端部取付溝部11b及び第2の下フレーム12Aの第2の端部取付部12bに取り外し可能に取り付けられ、直交方向(X方向)に平行な主面をもって起立する。第3の側面パネル21Bは、第2の下フレーム12Aの第2の端部取付部12b及び第3の下フレーム13Aの第3の端部取付部13bに取り外し可能に取り付けられ、直交方向(X方向)に平行な主面をもって起立する。手前側の第2の側面パネル22A、第3の側面パネル21Bの図示は省略されている。
【0032】
床パネル30は、2枚の床パネル片31が個別にまたは同時に、第1の下フレーム11A、第2の下フレーム12A、第3の下フレーム13Aの内部空間Sに面した内面に接触しつつ、第2の下フレーム12A、第3の下フレーム13Aの上に配置される。
【0033】
第1の上フレーム11B、第2の上フレーム12B、第3の上フレーム13Bは、第1の側面パネル21A、第2の側面パネル22A、第3の側面パネル21Bの上端部に取り付けられる。即ち、第1の側面パネル21Aの上端部には、第1の上フレーム11Bの中間取付溝部11aが取り外し可能に取り付けられ、第2の側面パネル22Aの上端部は、第1の上フレーム11Bの第1の端部取付溝部11b及び第2の上フレーム12Bの第2の端部取付溝部12bが取り外し可能に取り付けられる。また、第3の側面パネル21Bの上端部には、第2の上フレーム12Bの第2の端部取付溝部12b及び第3の上フレーム13Bの第3の端部取付溝部13bが取り外し可能に取り付けられる。これにより、組立式居住ユニット100の剛性をより高めることができる。
【0034】
図9は、側面パネルと下フレームの接合部分の拡大図であり、(a)は図8のIX領域の拡大上面図、(b)は図8のIX’領域の拡大上面図を示す。図9(a)に示す様に、第1の側面パネル21Aまたは第2の側面パネル22Aを、上から第1の下フレーム11Aの取付溝11cに挿入することにより、取付溝11cに設けられた係合突起11eと、第1の側面パネル21Aに設けられた係合溝21bまたは第2の側面パネル22Aに設けられた係合溝22bが係合する。
また、第1の側面パネル21Aと第2の側面パネル22Aを取付溝11cへ挿入した時には、第1の側面パネル21Aの段差部21cの突出部が、凹溝22dに嵌め込まれた状態をとっている。即ち、第1の側面パネル21Aは、突出部を有する主面側が内側を向くようにして第1の下フレーム11Aに取り付けられ、2つの第2の側面パネル22Aは、凹溝22dが向かい合うようにして第1及び第2の下フレーム11A,12Aに取り付けられる。
【0035】
図9(b)に示す様に、第2の側面パネル22Aまたは第3の側面パネル21Bを、上から第2の下フレーム12Aの取付溝12cに挿入することにより、取付溝12cに設けられた係合突起12eと、第2の側面パネル22Aに設けられた係合溝22bまたは第3の側面パネル21Bに設けられた係合溝21bが係合する。また、第3の側面パネル21Bを、上から第3の下フレーム13Aの取付溝13cに挿入することにより、取付溝13cに設けられた係合突起13e(図6参照)と、第3の側面パネル21Bに設けられた係合溝21bが係合する。
【0036】
また、第2の側面パネル22Aと第3の側面パネル21Bを第2の下フレーム12の取付溝12cへ挿入した時には、第2の側面パネル22Aの段差部22cと第3の側面パネル21Bの段差部21cとが、互いに噛み合った状態(突出部がX方向にオーバーラップした状態)をとっている。
【0037】
なお、組立式居住ユニット100の内部空間Sは、少なくとも内部空間Sの上方や入口を覆う、メッシュシートなどの図示しないシーリングカバーによって、外部から遮蔽することができる。
【0038】
図10は、分解された組立式居住ユニット100の各部材を積層した台車200の斜視図を示す。本例では、5床分の組立式居住ユニット100の部材が台車200に積み込まれている。組立式居住ユニット100は組み立てと同時に分解も容易であり、各部材のサイズも類似しているため、図示の様に積層した際のサイズをコンパクトに収めることもでき、結果的に容易に運搬することが可能となる。
【0039】
本実施形態の組立式居住ユニット100は、少ない点数の部品を特別な道具を使うことなく、人の手のみで組立可能である。例えば、3つの側面パネルは、3つの下フレームの取付溝に挿入するだけで起立させることができ、誰もが容易にかつ短時間で組立式居住ユニット100を組み立てることができる。また、内部空間は側面パネルと床パネルにより囲まれた直方体形状であり、効率的に広い空間を確保するとともに、プライバシーの確保も可能となり、優れた居住性を確保することができる。更に、高強度かつ軽量の材料により、側面パネル、床パネル、上下フレームを構成することにより、組立式居住ユニット100は高い強度を確保することができる。各部材に抗菌作用を施すことや、再生材を利用することも容易である。
【0040】
また、図9に示した様に、各側面パネル21A,22A,21Bと各下フレーム11A,12A,13Aの取付溝11c,12c,13cが係合溝21b,22bと係合突起11e,12e,13eにより係合するため、各側面パネル21A,22A,21Bを各下フレーム11A,12A,13Aに確実に固定することができる。さらに側面パネル21A,22A,21B同士が段差部21c、22c、凹溝22dによって嵌合しており、側面パネル21A,22A,21Bを下フレーム11A,12A,13Aにより確実に固定することができる。
【0041】
本実施形態では、X方向に沿って第2の側面パネル22Aと第3の側面パネル21Bが連結されている。しかしながら、このように2つの側面パネルをX方向に沿って設けることは必ずしも必要はなく、第2の側面パネル22Aのみを第1の側面パネルの両端に配置してもよい。
この場合、図11に示すように、組立式居住ユニット100Aは、X方向により長い第2の側面パネル22Bを採用することができる。また、第1の側面パネル21Aと第2の側面パネル22Bとは、第1の下フレーム11A及び第2の下フレーム12Aを用いて組み立てられればよい。ただし、この場合に用いる第2の下フレーム12Aは、第3のフレーム13を用いることが好ましい。
【0042】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
例えば、上記実施形態では、第3の側面パネル21Bは第1の側面パネル21Aと同一構成を有しており、第1の側面パネル21Aを流用することができるが、第3の側面パネル21Bと第1の側面パネル21Aは必ずしも同一である必要はない。例えば、第1の側面パネル21Aと第3の側面パネル21Bは、貫通孔の位置、数、形状などのみ異ならせるものであってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、第1の上フレーム11B、第2の上フレーム12B、第3の上フレーム13Bは、それぞれ、第1の下フレーム11A、第2の下フレーム12A、第3の下フレーム13Aと同一構成としているが、必ずしも同一である必要はない。
【0045】
さらに、上記実施形態では、取付溝11c、12c、13cに係合突起11e,12e,13eを設け、第1~第3の側面パネル21A,22A,21Bに係合溝21b、22bを設けているが、これに限らず、取付溝11c、12c、13cに係合溝を設け、第1~第3の側面パネル21A,22A,21Bに係合突起を設けてもよい。
また、組立式居住ユニット100は、3つ以上の側面パネルをX方向に沿って設け、連結してもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 第1のフレーム
11A 第1の下フレーム
11B 第1の上フレーム
12 第2のフレーム
12A 第2の下フレーム
12B 第2の上フレーム
13 第3のフレーム
13A 第3の下フレーム
13B 第3の上フレーム
21 対称パネル
21A 第1の側面パネル
21B 第3の側面パネル
22 非対称パネル
22A 第2の側面パネル
30 床パネル
31 床パネル片
100 組立式居住ユニット
200 台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11