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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108510
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】運転補助装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20220719BHJP
   G05G 1/02 20060101ALI20220719BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20220719BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20220719BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/02 D
G05G5/03 Z
B60W10/00 134
B60W10/04
B60W10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003544
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 友也
(72)【発明者】
【氏名】中元 健一
(72)【発明者】
【氏名】殿原 恭幸
(72)【発明者】
【氏名】諸熊 優
(72)【発明者】
【氏名】前堂 勝久
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EA07
3D037EB03
3D037EB16
3D037EB25
3D037EC05
3D241AA13
3D241AA71
3D241AC04
3D241AC30
3D241AD10
3D241AE12
3J070AA02
3J070BA19
3J070CB40
3J070CC71
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】手動でアクセル操作およびステアリング操作を行なうドライバが、アクセル操作状態を容易に一定状態に保持できる運転補助装置の提供を目的とする。
【解決手段】車室内の運転席1前方に設けられたステアリングホイール2の近傍に手動操作可能なアクセル操作部21を備えた運転補助装置20であって、前記アクセル操作部21はステアリングホイール2を把持した状態で操作可能であり、前記アクセル操作部21の操作反力は、該アクセル操作部21の操作量の増加に伴い不連続的に大きくなる変曲点POIを有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の運転席前方に設けられたステアリングホイールの近傍に手動操作可能なアクセル操作部を備えた運転補助装置であって、
前記アクセル操作部はステアリングホイールを把持した状態で操作可能であり、
前記アクセル操作部の操作反力は、該アクセル操作部の操作量の増加に伴い不連続的に大きくなる変曲点を有することを特徴とする
運転補助装置。
【請求項2】
前記操作反力の変曲点において、アクセル操作による車両の目標要求加速度が略ゼロに設定されている
請求項1に記載の運転補助装置。
【請求項3】
前記アクセル操作部には、前記操作反力の変曲点における操作量より小さい領域における操作反力を発生させる第1操作反力生成部と、
前記操作反力の変曲点における操作量より大きい領域における操作反力を発生させる第2操作反力生成部と、を備えた
請求項1または2に記載の運転補助装置。
【請求項4】
前記アクセル操作部は、ステアリングホイール内周側に沿って円弧状に設けられ、
該ステアリングホイールに対してスライド操作可能な少なくとも4つ以上の支持部が左右対称に配置され、
該支持部のうち少なくとも1つの支持部が前記第2操作反力生成部となるように構成された
請求項3に記載の運転補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車室内の運転席前方に設けられたステアリングホイールの近傍に手動操作可能なアクセル操作部を備えた運転補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキペダルやアクセルペダルの足による踏み込み操作が困難な下肢が不自由な身体障害者(下肢不自由者)であっても、運転席に着席した状態で操舵用把持部の操舵を行いながらでも、手動操作によって車両のアクセル操作を可能とするため、特許文献1に開示されるように、車両のアクセル操作をするための操作部を操舵用把持部近傍に設けた運転補助装置が提案されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示されたものは、ステアリングホイールに手動でアクセル操作が可能なアクセル操作部を備え、車速やステアリング舵角に応じてアクセル操作部の操作反力を調節するものである。
【0004】
上記の従来技術のように、アクセル操作部の操作反力を調節することで、ドライバのアクセル操作に伴う手の疲労を軽減できるものの、操作反力が連続的に変化することに伴いドライバがアクセル操作量を一定の状態に保持することが難しくなる懸念点もあった。
【0005】
また、手動でアクセル操作を行うドライバにおいては、ステアリングホイールの操作と、アクセル操作を同時に行う必要があり、例えば、曲り角や交差点等で右左折をする状況において、ドライバは迅速にステアリングホイールを大きく操舵する必要があるため、ステアリング操作時に指先で操作するアクセル操作部への操作力が変化し、車両が僅かに加減速をすることで、乗り心地が悪化する等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-277850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、手動でアクセル操作およびステアリング操作を行なうドライバが、アクセル操作状態を容易に一定状態に保持できる運転補助装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による運転補助装置は、車室内の運転席前方に設けられたステアリングホイールの近傍に手動操作可能なアクセル操作部を備えた運転補助装置であって、前記アクセル操作部はステアリングホイールを把持した状態で操作可能であり、前記アクセル操作部の操作反力は、該アクセル操作部の操作量の増加に伴い不連続的に大きくなる変曲点を有するものである。
【0009】
上記構成によれば、前記変曲点を有するので、アクセル操作部の操作力(ドライバの指の力)が僅かに増加しても、当該アクセル操作部の操作量が変曲点を超えない限り、該操作量は然程変化しない。このため、アクセル操作の保持を容易に行なうことができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、前記操作反力の変曲点において、アクセル操作による車両の目標要求加速度が略ゼロに設定されているものである。
上述の目標要求加速度が略ゼロとは、ゼロGに対して±0.05Gの範囲を意味する。また、Gは重力加速度(gravity)である。
【0011】
上記構成によれば、操作反力の変曲点において、アクセル操作による車両の目標要求加速度を略ゼロ(つまり略ゼロG)に設定したので、アクセル操作を保持した状態で加減速が発生しない。よって、安全にステアリング操作を行なうことができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、前記アクセル操作部には、前記操作反力の変曲点における操作量より小さい領域における操作反力を発生させる第1操作反力生成部と、前記操作反力の変曲点における操作量より大きい領域における操作反力を発生させる第2操作反力生成部と、を備えたものである。
【0013】
上記構成によれば、第1操作反力生成部と第2操作反力生成部とを備えたことで、変曲点における操作量よりも小さい領域(第1操作領域)と、操作量よりも大きい領域(第2操作領域)とで、異なる操作反力を設定することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、前記アクセル操作部は、ステアリングホイール内周側に沿って円弧状に設けられ、該ステアリングホイールに対してスライド操作可能な少なくとも4つ以上の支持部が左右対称に配置され、該支持部のうち少なくとも1つの支持部が前記第2操作反力生成部となるように構成されたものである。
【0015】
上記構成によれば、ステアリングホイールに対してスライド操作可能な少なくとも4つ以上の支持部が左右対称に配置されているので、ステアリングホイールに対するアクセル操作部の操作感を均一化することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、手動でアクセル操作およびステアリング操作を行なうドライバが、アクセル操作状態を容易に一定状態に保持できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の運転補助装置を備えた車両内部の斜視図。
図2】ステアリングホイールに設けられたアクセル操作部を示す斜視図。
図3】ステアリングホイールの正面視における斜視図。
図4】ステアリングホイールの裏面視における斜視図。
図5図2のA-A線矢視断面図。
図6図2のB-B線矢視断面図。
図7】アクセル操作部のストローク量に対する反力の変化を示す特性図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
手動でアクセル操作およびステアリング操作を行なうドライバが、アクセル操作状態を容易に一定状態に保持するという目的を、車室内の運転席前方に設けられたステアリングホイールの近傍に手動操作可能なアクセル操作部を備えた運転補助装置であって、前記アクセル操作部はステアリングホイールを把持した状態で操作可能であり、前記アクセル操作部の操作反力は、該アクセル操作部の操作量の増加に伴い不連続的に大きくなる変曲点を有するという構成にて実現した。
【実施例0019】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図1は運転補助装置を備えた車両内部の斜視図、図2はステアリングホイールに設けられたアクセル操作部を示す斜視図、図3はステアリングホイールの正面視における斜視図、図4はステアリングホイールの裏面視における斜視図である。
【0020】
また、図5図2のA-A線矢視断面図、図6図2のB-B線矢視断面図、図7はアクセル操作部のストローク量に対する反力の変化を示す特性図である。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印LEは車両左方を示し、矢印RIは車両右方を示す。
【0021】
図1に示すように、車両における車室のフロアの前部の左右各側には、運転席1と助手席(図示省略)とが搭載されており、運転席1の前方には、運転席1に着席したドライバにより把持した状態で操作されるステアリングホイール2が設けられている。
【0022】
車室の前端には、該車室の車幅方向全体にわたってインストルメントパネル3が設けられている。車室のフロア前部の運転席1と助手席との間には、センタコンソール4が取付けられており、センタコンソール4の前部はインストルメントパネル3の車幅方向中央部に一体に接続されている。センタコンソール4は、車室の内装部材の一部を成し、運転席1に着席したドライバの左手で操作可能な箇所に、シフトノブ5やスタートスイッチ6等が配設されている。
【0023】
インストルメントパネル3における運転席1の前方には、タコメータやスピードメータ等の各種計器類の表示部7がステアリングホイール2越しに視認されるように配設されており、表示部7の左側のセンタコンソール4の前部との接続部上方には、空調風の吹出し口8や、オーディオ装置や空調装置の設定ダイヤル等の各種操作ボタン9が配設されており、さらに、これらの上方には、ナビゲーション装置のディスプレイ10が設けられている。
【0024】
なお、車室内の運転席1前方のフロア上の、運転席1に着席したドライバの右足が置かれる位置には、アクセルペダル(図示省略)が設けられ、アクセルペダルよりも車幅方向の左側(車幅方向の中央側)寄りにはブレーキペダル(図示省略)が設けられている。
アクセルペダルとブレーキペダルは共にベース車両に備えた一般的なペダルである。
【0025】
また図2図3に示すように、上述のステアリングホイール2は、ステアリングシャフト(図示せず)に連結されるベース部11と、ドライバが把持すると共に、ステアリングシャフトの軸方向(以下、ステアリング軸方向と略記する)におけるドライバ側から視て(以下、ドライバ側視と略記する)ベース部11の外周側に該ベース部11を中心として、リング状に配されるリム部12と、ベース部11からリム部12に放射状に延びる複数のスポーク部13とを備えている。
【0026】
この実施例ではスポーク部13は、ステアリング軸方向のドライバ側視(すなわち、正面視)でベース部11から右側へ延びる右側スポーク部13RIと、左側へ延びる左側スポーク部13LEと、下側へ延びる下側スポーク部13Dとの3つを有している。
図2図3に示すように、ベース部11のステアリング軸方向のドライバ側には、ホーン(警告音)を鳴らすために押圧されるホーン部14が設けられている。
【0027】
左右の各スポーク部13LE,13RIのステアリング軸方向のドライバ側には、オーディオ装置やナビゲーション装置等の車載機器を操作するための複数の操作スイッチ(図示せず)が配設されている。
また、図4に示すように、ステアリングホイール2は、アップシフトとダウンシフトとのそれぞれに対応したパドルシフト装置15を備えている。
【0028】
この実施例では、アップシフト用のパドルシフト装置15Uが右側スポーク部13RIに備え、ダウンシフト用のパドルシフト装置15Dが左側スポーク部13LEに備えている。
図5図6に示すように、ステアリングホイール2は、骨格部材としての芯金16を有しており、該芯金16はウレタン等の外被部材17で覆われている。
【0029】
次に、ベース車両に組み込まれた本実施例の運転補助装置20(加減速手動操作補助装置)について説明する。
図1図6に示すように、運転補助装置20は、ステアリング軸方向に沿ってスライド変位させることで車両の加減速操作を行うアクセル操作部21と、アクセル操作部21をステアリング軸方向に沿ってスライド可能に支持する第1支持部31および第2支持部32と、アクセル操作部21のスライド変位量(ストローク量)を検出し、検出したスライド変位量(ストローク量)を、エンジンのスロットル弁の開度を制御するECUへ信号として伝達する伝達手段とを備えている。
【0030】
アクセル操作部21は、ステアリングホイール2近傍に配設されており、ドライバがステアリングホイール2を把持した手の親指等でステアリング軸方向の下方へ押込む等により操作する複数の操作部22と、第1、第2の支持部材31,32にステアリング軸方向に沿ってスライド可能に支持されるスライド被支持部としての対向部41,42と、複数の操作部22同士および操作部22と対向部41,42同士を連結する連結部23とで一体に形成している。
【0031】
図2に示すように、操作部22は、ステアリング軸方向のドライバ側視でステアリングホイール2のリム部12に対して内側近傍、換言すると、ステアリングホイール2の内周側に沿って円弧状に配設されている。操作部22は、ステアリング軸方向の上面が、ドライバがステアリングホイール2を把持した手の親指の腹によって押圧し易いように平坦状に形成されている。
【0032】
さらに、図2図3に示すように、操作部22は、ステアリング軸方向のドライバ側視でスポーク部13に対応する部位において分断されるように配設され、それぞれリム部12に沿って円弧状に形成されている。
【0033】
詳しくは、操作部22は、ステアリング軸方向のドライバ側視で左右両スポーク部13LE,13RIよりも上方に配された上側操作部22Uと、右側スポーク部13RIと下側スポーク部13Dとの間に配された右下操作部22RIと、左側スポーク部13LEと下側スポーク部13Dとの間に配された左下操作部22LEとの3つを備えている。
【0034】
図2に示すように、上述の対向部41,42は、ステアリング軸方向のドライバ側視で右側スポーク部13RIの上下両側に対向部41,41が配設され、左側スポーク部13LEの上側に対向部41が配設され、左側スポーク部13LEの下側に対向部42が配設されている。
【0035】
図2に示すように、連結部23は、上側操作部22Uと右下操作部22RIとを連結する右側連結部23RIと、上側操作部22Uと左下操作部22LEとを連結する左側連結部23LEと、右下操作部22RIと左下操作部22LEとを連結する下側連結部23Dとを備えている。右側連結部23RIは右側スポーク部13RIに対応する部位に、左側連結部23LEは左側スポーク部13LEに対応する部位に、下側連結部23Dは下側スポーク部13Dに対応する部位に、それぞれ配設されている。
【0036】
ここで、右側連結部23RIと左側連結部23LEとは、左右対称形状のため、これら連結部23の構造を、右側連結部23RIの構成に基づいて説明する。
図2に示すように、右側連結部23RIは、右側スポーク部13RIの上下両側近傍においてステアリングホイール2(リム部12)の径方向に延びる上下両側の径方向連結辺24と、これら上下両側の径方向連結辺24からステアリング軸方向の上方へ延びる軸方向連結辺25と、上下両側の径方向連結辺24をステアリングホイール2の周方向に連結する周方向連結辺26とで一体形成されている。
【0037】
上述の軸方向連結辺25の上部において径方向内端部には対向部41が連結されており、径方向外端部は上側操作部22Uの右下側に連結されている。なお、左側連結部23LEは上述した右側連結部23RIと対称構造であるから、右側のそれと同一符号を付している。
【0038】
次に、下側連結部23Dの構成に基づいて説明する。
図2に示すように、下側連結部23Dは、下側スポーク部13Dの左側近傍において、左下操作部22LEの延在方向端部からステアリング軸方向の略下方へ延びる左側の軸方向連結辺27と、下側スポーク部13Dの右側近傍において右下操作部22RIの延在方向端部からステアリング軸方向の略下方へ延びる右側の軸方向連結辺28と、これら左右両側の軸方向連結辺27,28同士をステアリングホイール2の周方向に連結する周方向連結辺29とで一体形成されている。
【0039】
図2に示すように、上述のアクセル操作部21をステアリングホイール2に対してスライド操作可能とする少なくとも4つ以上の支持部、この実施例では4つの支持部31,32が左右対称に配置されている。
【0040】
図2に示すように、ステアリング軸方向のドライバ側視で右側スポーク部13RIの上下両側には、第1支持部31,31が配置されており、左側スポーク部13LEの上側には、第1支持部31が、また下側には、第2支持部32がそれぞれ配置されており、合計4つの支持部31,32が左右対称となるように構成されている。
【0041】
つまり、図2に示すように、左右のスポーク部13LE,13RIを隔てた左上位置、右上位置、右下位置には、第1支持部31がそれぞれ配置されており、左右のスポーク部13LE,13RIを隔てた左下位置には、第2支持部32が配置されている。
【0042】
図7は横軸にアクセル操作部21の操作量としてのストローク量をとり、左側縦軸に操作反力をとり、右側縦軸に目標要求加速度をとった特性図である。
図7において特性(a)はアクセル操作部21の押し下げ側の特性を示し、特性(b)はアクセル操作部21の戻し側(つまり押し下げ力を弱める方向)の特性を示し、特性(c)はアクセル操作部21のストローク量に対する目標要求加速度の特性を示している。
【0043】
図7に示すように、アクセル操作部21の操作反力は、該アクセル操作部21の操作量としてのストローク量の増加に伴い不連続的に大きくなる変曲点POI(point of inflectionの略)を有している。
【0044】
すなわち、図7の特性(a)で示すように、アクセル操作部21のストローク量がゼロのゼロストローク量st0からストローク量が所定量増加した所定ストローク量st1までの範囲においては、操作反力が略一定であり、ストローク量が変曲点POIを超えると操作反力は急激に大きくなった後に、最大ストローク量stmaxまでの範囲において、操作反力はストローク量の増加に対応して大きくなる。
【0045】
これにより、ゼロストローク量st0から所定ストローク量st1までの範囲において、アクセル操作部21の操作力が僅かに増加しても、当該アクセル操作部21の操作量(つまり押し下げストローク量)が変曲点POIを超えない限り、該操作量は然程変化しない。このため、アクセル操作の保持を容易に行なうように構成している。
【0046】
また、図7に示すように、操作反力の変曲点POIにおいて、アクセル操作による車両の目標要求加速度(特性c参照)が略ゼロに設定されている。略ゼロとはゼロG(Gは重力加速度gravityの略)に対して±0.05Gの範囲であり、この実施例では、図7に示すように、操作反力の変曲点POIにおいて、アクセル操作による車両の目標要求加速度がゼロGに設定されている。
【0047】
詳しくは、アクセル操作部21のストローク量が所定ストローク量st1の時、操作反力の変曲点POIとなり、この操作反力の変曲点POIにおいて、アクセル操作による車両の目標要求加速度がゼロGになるように設定している。これにより、アクセル操作部21によるアクセル操作を所定ストローク量st1に保持した状態で、加速減が発生しないので、安全にステアリング操作を行なうように構成している。
【0048】
図2図7に示すように、アクセル操作部21には、図7の操作反力の変曲点POIにおける操作量(所定ストローク量st1)よりも小さい領域における操作反力を発生させる第1操作反力生成部51と、操作反力の変曲点POIにおける操作量(所定ストローク量st1)よりも大きい領域における操作反力を発生させる第2操作反力生成部52と、を備えている。
上述の第1操作反力生成部51は第1支持部31にて構成されており、上述の第2操作反力生成部52は第2支持部32にて構成されている。
【0049】
このように、第1操作反力生成部51と第2操作反力生成部52とを備えることで、図7の変曲点POIにおける操作量(所定ストローク量st1)よりも小さい領域(つまり第1操作領域α)と、操作量(所定ストローク量st1)よりも大きい領域(つまり第2操作領域β)とで、異なる操作反力を設定すべく構成している。
【0050】
図2に示すように、合計4つの支持部31,32が左右対称に配置されており、これら各支持部31,32のうち左下に位置する1つの支持部つまり第2支持部32が前記第2操作反力生成部52となり、残りの3つの支持部つまり第1支持部31が前記第1操作反力生成部51となるように構成されている。
【0051】
このように、ステアリングホイール2に対してスライド操作可能な4つの支持部31,32を左右対称に配置することで、ステアリングホイール2に対するアクセル操作部21の操作感を均一化するように構成したものである。
【0052】
次に、図5を参照して第1支持部31を構成する第1操作反力生成部51の具体的構造について説明する。合計3つの第1操作反力生成部51はそれぞれ同一に構成されているので、ここでは図2の右下に位置する第1操作反力生成部51について説明する。
【0053】
図5に示すように、第1操作反力生成部51は、ベース部11と一体回転するステアリングホイール2側の剛性部材に取付けられた支持筒61と、支持筒61の貫通孔61aに対して上下動可能に貫設配置されたロッド62と、ロッド62上端のネジ部62aを対向部41に固定する上側のナット63および下側のスプリングリテーナ64と、を備えている。
【0054】
また、上述の支持筒61の上端凹部61bにおける凹底部とスプリングリテーナ64との間には、操作部22の右下操作部22RIを上方に付勢する付勢手段としての第1コイルスプリング65を張架している。
【0055】
さらに、上述の支持筒61の下端凹部61cにおいて、ロッド62の下端には、スペーサ66を介して抜止め防止部材67を設けている。この抜止め防止部材67はボルトにより構成されており、当該抜止め防止部材67をロッド62の下端に螺合している。
上述の第1コイルスプリング65のばね力は後述する第2コイルスプリング76のばね力に対して小さく設定されている。
【0056】
図5に示す右下操作部22RIを第1コイルスプリング65のばね力に抗して押し下げると、図7で示した第1操作領域αの特性を得ることができる。
図2に示す左上、右上の第1操作反力生成部51を図5で示した第1操作反力生成部51と同一に構成されているので、上側操作部22Uを第1コイルスプリング65のばね力に抗して押し下げても、図7で示した第1操作領域αの特性を得ることができる。
【0057】
次に、図6を参照して第2支持部32を構成する第2操作反力生成部52の具体的構造について説明する。
図6に示すように、第2操作反力生成部52は、ベース部11と一体回転するステアリングホイール2側の剛性部材に取付けられた支持筒71と、支持筒71の貫通孔71aに対して上下動可能に貫設配置されたロッド72と、を備えている。
上述の支持筒71の上端には上端凹部71bが形成されており、支持筒71の下端には下端凹部71cが形成されている。
【0058】
また、上述のロッド72の上端には、スプリングリテーナ73がねじ止め固定される一方、支持筒71の下端凹部71cにおいて、ロッド72の下端には、スペーサ74を介して抜止め防止部材75を固定している。
この抜止め防止部材75はボルトにより構成されており、当該抜止め防止部材75をロッド72の下端に螺合している。
【0059】
さらに、ロッド72上端のスプリングリテーナ73と、支持筒71の上端凹部71bにおける凹底部との間には、ロッド72を上方に付勢する付勢手段としての第2コイルスプリング76を張架している。
【0060】
上述のロッド72と対向する左下操作部22LEの対向部42下面にはスペーサ77が設けられており、左下操作部22LEの非押し下げ時においてスペーサ77下面とスプリングリテーナ73上面との間には、クリアランスgが形成されている。
上述の第2コイルスプリング76のばね力は上述の第1コイルスプリング65(図5参照)のばね力に対して大きく設定されている。
【0061】
図6で示すクリアランスgの上下間隔は、図7の第1操作領域αに相当し、図6に示す左下操作部22LEを押し下げ、スペーサ77下面をスプリングリテーナ73上面に当接して、クリアランスgをゼロとした後に、左下操作部22LEを第2コイルスプリング76のばね力に抗してさらに押し下げると、図7で示した第2操作領域βの特性を得ることができる。
【0062】
図3図5図6に示すように、上述の対向部41,42および軸方向連結辺25の上側はカバー80により覆われており、このカバー80を直接押し下げても図7の第1操作領域αおよび第2操作領域βの特性を得ることができ、また、操作性の向上を図る目的でカバー80の上面はフラットに形成されている。
なお、図1図2においては、図示の便宜上、上述のカバー80の図示を省略している。
【0063】
このように、図1図7で示した実施例の運転補助装置20は、車室内の運転席1前方に設けられたステアリングホイール2の近傍に手動操作可能なアクセル操作部21を備えた運転補助装置20であって、前記アクセル操作部21はステアリングホイール2を把持した状態で操作可能であり、前記アクセル操作部21の操作反力は、該アクセル操作部21の操作量(図7のストローク量参照)の増加に伴い不連続的に大きくなる変曲点POIを有するものである(図1図2図7参照)。
【0064】
この構成によれば、前記変曲点POIを有するので、アクセル操作部21の操作力が僅かに増加しても、当該アクセル操作部21の操作量が変曲点POIを超えない限り、該操作量は然程変化しない。このため、アクセル操作の保持を容易に行なうことができる。
【0065】
また、この発明の一実施形態においては、前記操作反力の変曲点POIにおいて、アクセル操作による車両の目標要求加速度(図7の特性c参照)が略ゼロに設定されているものである(図7参照)。
【0066】
この構成によれば、操作反力の変曲点POIにおいて、アクセル操作による車両の目標要求加速度を略ゼロ(つまり略ゼロG)に設定したので、アクセル操作を保持した状態で加減速が発生しない。よって、安全にステアリング操作を行なうことができる。
【0067】
さらにこの発明の一実施形態においては、前記アクセル操作部21には、前記操作反力の変曲点POIにおける操作量(ストローク量)より小さい領域(第1操作領域α)における操作反力を発生させる第1操作反力生成部51と、前記操作反力の変曲点POIにおける操作量(所定ストローク量st1)より大きい領域(第2操作領域β)における操作反力を発生させる第2操作反力生成部52と、を備えたものである。
【0068】
この構成によれば、第1操作反力生成部51と第2操作反力生成部52とを備えたことで、変曲点POIにおける操作量(所定ストローク量st1)よりも小さい領域(第1操作領域α)と、操作量(所定ストローク量st1)よりも大きい領域(第2操作領域β)とで、異なる操作反力を設定することができる。
【0069】
さらにまた、この発明の一実施形態においては、前記アクセル操作部21は、ステアリングホイール2内周側に沿って円弧状に設けられ、該ステアリングホイール2に対してスライド操作可能な少なくとも4つ以上の支持部31,32が左右対称に配置され、該支持部31,32のうち少なくとも1つの支持部32が前記第2操作反力生成部52となるように構成されたものである(図2図6参照)。
【0070】
この構成によれば、ステアリングホイール2に対してスライド操作可能な少なくとも4つ以上の支持部31,32が左右対称に配置されているので、ステアリングホイール2に対するアクセル操作部21の操作感を均一化することができる。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のアクセル操作部21の操作量は、実施例のアクセル操作部21のストローク量に対応し、
以下同様に、
変曲点における操作量は、所定ストローク量st1に対応し、
変曲点における操作量より小さい領域は、第1操作領域αに対応し、
変曲点における操作量より大きい領域は、第2操作領域βに対応し、
支持部は、第1支持部31、第2支持部32に対応し、
第2操作反力生成部となる支持部は、第2支持部32に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0072】
例えば、上記実施例においては左下に位置する第2支持部32を第2操作反力生成部52と成したが、この第2支持部32の位置は、図2の左上、右上、右下の何れの位置であってもよい。
また、上記実施例においては合計4つの支持部31,32を設けたが、合計6つの支持部31,32を左右対称に配置する構造を採用してもよい。
【0073】
さらに、上記実施例においては、ゼロストローク量st0から所定ストローク量st1までの第1段階と、所定ストローク量st1から最大ストローク量stmaxまでの第2段階と、の合計2段階にアクセル操作する構成を例示したが、これは第3段階またはそれ以上にアクセル操作する構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明は、車室内の運転席前方に設けられたステアリングホイールの近傍に手動操作可能なアクセル操作部を備えた運転補助装置について有用である。
【符号の説明】
【0075】
1…運転席
2…ステアリングホイール
20…運転補助装置
21…アクセル操作部
31…第1支持部(支持部)
32…第2支持部(支持部)
51…第1操作反力生成部
52…第2操作反力生成部
α…第1操作領域(変曲点における操作量より小さい領域)
β…第2操作領域(変曲点における操作量より大きい領域)
POI…変曲点
st1…所定ストローク量(変曲点における操作量)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7