(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108538
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11575 20170101AFI20220719BHJP
H01L 27/11582 20170101ALI20220719BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
H01L27/11575
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003583
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】中山 沢陽
(72)【発明者】
【氏名】市川 尚志
(72)【発明者】
【氏名】小川 湧太郎
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA19
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR40
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD32
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の歩留まりを向上させる。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、基板20と、複数の第1導電体層23と、絶縁体層34とを含む。複数の第1導電体層は、上層の第1導電体層と重ならないように設けられた複数のテラス部分を有する。絶縁体層は、複数のテラス部分の上に設けられる。複数の第1導電体層は、3つ以上の層群を含む。3つ以上の層群は、第1層群LG1、第2層群LG2、及び第3層群LG3を含む。第1層群は、3つ以上の層群で最も上層側に位置しておいる。絶縁体層は、第1部分INS1、第2部INS2分、及び第3部分INS3を含む。第1部分は、第1層群によって挟まれている。第2部分は、第2層群によって挟まれている。第3部分は、第3層群によって挟まれている。第1部分を基準として、第2部分が一方方向にずれており、第3部分が他方方向にずれている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並んで配置された第1領域及び第2領域を含む基板と、
前記第1方向と交差する第2方向に並び且つ互いに離れて設けられ、前記第2領域でそれぞれ上層の第1導電体層と重ならないように設けられた複数のテラス部分を有する複数の第1導電体層と、
各々が前記第1領域内で前記複数の第1導電体層を貫通して設けられ、前記第1導電体層の少なくとも一部と交差した部分がそれぞれメモリセルとして機能する複数の第1ピラーと、
前記複数のテラス部分の上に設けられた絶縁体層と、
各々が前記絶縁体層を貫通し、前記複数のテラス部分にそれぞれ接触した複数のコンタクトと、を備え、
前記複数の第1導電体層は、前記第2方向に並んだ3つ以上の層群を含み、
前記3つ以上の層群は、第1層群、第2層群、及び第3層群を含み、前記第1層群は、前記3つ以上の層群で最も上層側に位置しており、
前記絶縁体層は、前記第1層群によって前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向に挟まれた第1部分と、前記第2層群によって前記第3方向に挟まれた第2部分と、前記第3層群によって前記第3方向に挟まれた第3部分とを含み、
前記第1層群に含まれた複数の第1導電体層の前記第3方向における側面は、前記第1部分と前記第1層群とが接触する部分で揃っており、
前記第2層群に含まれた複数の第1導電体層の前記第3方向における側面は、前記第2部分と前記第2層群とが接触する部分で揃っており、
前記第3層群に含まれた複数の第1導電体層の前記第3方向における側面は、前記第3部分と前記第3層群とが接触する部分で揃っており、
前記第1部分における前記第3方向の中心位置を基準として、前記第2部分における前記第3方向の中心位置が前記第3方向の一方側にずれており、前記第3部分における前記第3方向の中心位置が前記第3方向の他方側にずれている、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2層群と前記第3層群とは、隣り合っている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2層群と前記第3層群との組は、前記3つ以上の層群のうち、最も下層側に位置する、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1部分における前記第3方向の中心位置を基準とした、前記第2部分における前記第3方向の中心位置の前記第3方向の一方側へのずれ量は、50nm以上であり、
前記第1部分における前記第3方向の中心位置を基準とした、前記第3部分における前記第3方向の中心位置の前記第3方向の他方側へのずれ量は、50nm以上である、
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1方向に延伸して設けられ、前記絶縁体層の前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分と、前記複数の第1導電体層とを前記第3方向に分断する第1部材をさらに備える、
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0378855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体記憶装置の歩留まりを向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、複数の第1導電体層と、複数の第1ピラーと、絶縁体層と、複数のコンタクトと、を含む。基板は、第1方向に並んで配置された第1領域及び第2領域を含む。複数の第1導電体層は、第1方向と交差する第2方向に並び且つ互いに離れて設けられる。複数の第1導電体層は、第2領域でそれぞれ上層の第1導電体層と重ならないように設けられた複数のテラス部分を有する。複数の第1ピラーの各々は、第1領域内で複数の第1導電体層を貫通して設けられる。第1ピラーと第1導電体層の少なくとも一部と交差した部分がそれぞれメモリセルとして機能する。絶縁体層は、複数のテラス部分の上に設けられる。複数のコンタクトは、各々が絶縁体層を貫通し、複数のテラス部分にそれぞれ接触している。複数の第1導電体層は、第2方向に並んだ3つ以上の層群を含む。3つ以上の層群は、第1層群、第2層群、及び第3層群を含む。第1層群は、3つ以上の層群で最も上層側に位置している。絶縁体層は、第1部分、第2部分、及び第3部分を含む。第1部分は、第1層群によって第1方向及び第2方向のそれぞれと交差する第3方向に挟まれている。第2部分は、第2層群によって第3方向に挟まれている。第3部分は、第3層群によって第3方向に挟まれている。第1層群に含まれた複数の第1導電体層の第3方向における側面は、第1部分と第1層群とが接触する部分で揃っている。第2層群に含まれた複数の第1導電体層の第3方向における側面は、第2部分と第2層群とが接触する部分で揃っている。第3層群に含まれた複数の第1導電体層の第3方向における側面は、第3部分と第3層群とが接触する部分で揃っている。第1部分における第3方向の中心位置を基準として、第2部分における第3方向の中心位置が第3方向の一方側にずれており、第3部分における第3方向の中心位置が第3方向の他方側にずれている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体記憶装置の全体構成の一例を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
【
図3】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図4】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイのメモリ領域における詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図5】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイのメモリ領域における断面構造の一例を示す、
図4のV-V線に沿った断面図。
【
図6】実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリピラーの断面構造の一例を示す、
図5のVI-VI線に沿った断面図。
【
図7】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの引出領域の一部分における詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図8】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの引出領域の一部分における断面構造の一例を示す、
図7のVIII-VIII線に沿った断面図。
【
図9】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの引出領域の一部分における断面構造の一例を示す、
図7のIX-IX線に沿った断面図。
【
図10】実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示すフローチャート。
【
図11】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す平面図。
【
図12】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図11のXII-XII線に沿った断面図。
【
図13】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す平面図。
【
図14】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図13のXIV-XIV線に沿った断面図。
【
図15】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図13のXV-XV線に沿った断面図。
【
図16】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す平面図。
【
図17】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図16のXVII-XVII線に沿った断面図。
【
図18】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図16のXVIII-XVIII線に沿った断面図。
【
図19】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す平面図。
【
図20】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図19のXX-XX線に沿った断面図。
【
図21】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図19のXXI-XXI線に沿った断面図。
【
図22】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す平面図。
【
図23】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図22のXXIII-XXIII線に沿った断面図。
【
図24】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図22のXXIV-XXIV線に沿った断面図。
【
図25】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す断面図。
【
図26】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す断面図。
【
図27】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す平面図。
【
図28】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図27のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図。
【
図29】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す平面図。
【
図30】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造途中の構造の一例を示す、
図29のXXX-XXX線に沿った断面図。
【
図31】実施形態と比較例とのそれぞれにおける絶縁膜の埋め込み処理の結果の一例を示す模式図。
【
図32】絶縁膜の埋め込み処理によるボイド高さのシミュレーション結果の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面は、模式的又は概念的なものである。各図面の寸法及び比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。参照符号を構成する文字の後の数字は、同じ文字を含んだ参照符号によって参照され、且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために使用される。同じ文字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素はそれぞれ文字のみを含んだ参照符号により参照される。
【0008】
[1]構成
[1-1]半導体記憶装置1の全体構成
図1は、実施形態に係る半導体記憶装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリであり、外部のメモリコントローラ2によって制御可能である。
【0009】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、例えばメモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、並びにセンスアンプモジュール16を備えている。
【0010】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0011】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行させる命令を含んでいる。
【0012】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAを含んでいる。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0013】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に保持されたコマンドCMDに基づいてドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行する。
【0014】
ドライバモジュール14は、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えばアドレスレジスタ12に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0015】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダモジュール15は、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0016】
センスアンプモジュール16は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール16は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0017】
以上で説明された半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成しても良い。このような半導体装置としては、例えばSDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)等が挙げられる。
【0018】
[1-2]メモリセルアレイ10の回路構成
図2は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の回路構成の一例を示す回路図である。
図2は、メモリセルアレイ10に含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKを表示している。
図2に示すように、ブロックBLKは、例えば5つのストリングユニットSU0~SU4を含んでいる。
【0019】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT15、並びに選択トランジスタSTD及びSTSを含んでいる。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に保持する。選択トランジスタSTD及びSTSのそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0020】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT15は、直列に接続される。選択トランジスタSTDのドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。選択トランジスタSTDのソースは、直列に接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT15の一端に接続される。選択トランジスタSTSのドレインは、直列に接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT15の他端に接続される。選択トランジスタSTSのソースは、ソース線SLに接続される。
【0021】
メモリセルトランジスタMT0~MT15の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL15に接続される。ストリングユニットSU0内の複数の選択トランジスタSTDのゲートは、選択ゲート線SGD0に接続される。ストリングユニットSU1内の複数の選択トランジスタSTDのゲートは、選択ゲート線SGD1に接続される。ストリングユニットSU2内の複数の選択トランジスタSTDのゲートは、選択ゲート線SGD2に接続される。ストリングユニットSU3内の複数の選択トランジスタSTDのゲートは、選択ゲート線SGD3に接続される。ストリングユニットSU4内の複数の選択トランジスタSTDのゲートは、選択ゲート線SGD4に接続される。複数の選択トランジスタSTSのゲートは、選択ゲート線SGSに接続される。
【0022】
ビット線BL0~BLmには、それぞれ異なるカラムアドレスが割り当てられる。各ビット線BLは、複数のブロックBLKの間で同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。選択ゲート線SGD0~SGD4及びSGS並びにワード線WL0~WL15のそれぞれは、ブロックBLK毎に設けられる。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0023】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと呼ばれる。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0024】
尚、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明された構成に限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数や、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタSTD及びSTSの個数は、それぞれ任意の個数でも良い。
【0025】
[1-3]メモリセルアレイ10の構造
以下に、実施形態に係る半導体記憶装置1の備えるメモリセルアレイ10の構造の一例について説明する。尚、以下で参照される図面において、X方向はワード線WLの延伸方向に対応し、Y方向はビット線BLの延伸方向に対応し、Z方向は半導体記憶装置1の形成に使用される半導体基板20の表面に対する鉛直方向に対応している。平面図には、図を見易くするためにハッチングが適宜付加されている。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。断面図には、図を見易くするために、構成の図示が適宜省略されている。各図面に示された構成は、適宜簡略化されて示されている。以下では、偶数番号のブロックBLKのことを“BLKe”と呼び、奇数番号のブロックBLKのことを“BLKo”と呼ぶ。
【0026】
[1-3-1]メモリセルアレイ10の平面レイアウト
図3は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図3は、8つのブロックBLK0~BLK7に対応する領域を表示している。
図3に示すように、メモリセルアレイ10の平面レイアウトは、例えば、X方向において、メモリ領域MA1及びMA2、並びに引出領域HAに分割される。メモリ領域MA1及びMA2のそれぞれは、データの記憶に使用される領域である。メモリ領域MA1及びMA2のそれぞれは、複数のNANDストリングNSを含む。引出領域HAは、メモリ領域MA1及びMA2の間に配置される。引出領域HAは、メモリセルアレイ10の積層配線に対するコンタクト等が設けられる領域である。また、メモリセルアレイ10は、複数のスリットSLT及び複数のスリットSHEを含む。
【0027】
複数のスリットSLTは、それぞれがX方向に沿って延伸して設けられた部分を有し、Y方向に並んでいる。複数のスリットSLTのそれぞれは、メモリ領域MA1及びMA2並びに引出領域HAをX方向に横切っている。各スリットSLTは、例えば、内部に絶縁体や板状のコンタクトが埋め込まれた構造を有する。各スリットSLTは、当該スリットSLTを介して隣り合う配線(例えば、ワード線WL0~WL15、並びに選択ゲート線SGD及びSGS)を分断している。本例では、複数のスリットSLTによって区切られた領域のそれぞれが、1つのブロックBLKに対応している。以下では、Y方向に並んだ複数のスリットSLTのうち、奇数番目に配置されたスリットSLTのことを“SLTo”と呼び、偶数番目に配置されたスリットSLTのことを“SLTe”と呼ぶ。
【0028】
複数のスリットSHEは、メモリ領域MA1及びMA2のそれぞれに配置される。メモリ領域MA1に対応する複数のスリットSHEは、それぞれがメモリ領域MA1を横切って設けられ、Y方向に並んでいる。メモリ領域MA2に対応する複数のスリットSHEは、それぞれがメモリ領域MA2を横切って設けられ、Y方向に並んでいる。本例では、4つのスリットSHEが、隣り合うスリットSLTの間のそれぞれに配置されている。スリットSHEは、内部に絶縁体が埋め込まれた構造を有する。スリットSHEは、当該スリットSHEを介して隣り合う配線を分断している。スリットSHEは、少なくとも選択ゲート線SGDを分断していれば良い。本例では、スリットSLT及びSHEによって区切られた領域のそれぞれが、1つのストリングユニットSUに対応している。
【0029】
引出領域HAは、複数の引出部HPと、複数のコンタクト領域C4Tとを含む。引出部HPは、複数のワード線WL等を含む積層配線に対する複数のコンタクトを含む。コンタクト領域C4Tは、メモリセルアレイ10の上方の配線と下方の配線との間を接続する複数のコンタクトを含む。
【0030】
引出部HPは、2つのブロックBLK毎に配置される。言い換えると、引出部HPは、隣り合うスリットSLToの間に配置される。そして、各引出部HPは、1つのスリットSLTeによって分断されている。以下では、Y方向に並んだ複数の引出部HPのうち、奇数番目に配置された引出部HPのことを“HPo”と呼び、偶数番目に配置された引出部HPのことを“HPe”と呼ぶ。例えば、複数の引出部HPoは、メモリ領域MA1と隣り合っている。複数の引出部HPeは、メモリ領域MA2と隣り合っている。
【0031】
複数のコンタクト領域C4Tは、例えばブロックBLK毎に配置される。そして、引出部HPoが配置されたブロックBLKに設けられたコンタクト領域C4Tは、引出部HPoとメモリ領域MA2との間に配置される。引出部HPeが配置されたブロックBLKに設けられたコンタクト領域C4Tは、引出部HPeとメモリ領域MA1との間に配置される。引出部HPに設けられたコンタクトは、例えば、Y方向に隣り合うコンタクト領域C4Tを介して、メモリセルアレイ10の下方に設けられた配線に電気的に接続される。
【0032】
メモリセルアレイ10には、
図3に示されたレイアウトが、Y方向に繰り返し配置される。尚、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10は、その他の平面レイアウトであっても良い。例えば、引出領域HAにおける引出部HP及びコンタクト領域C4Tの配置は、その他の配置であっても良い。引出部HPは、
図3に示されたようにY方向に沿ってジグザグに配置されても良いし、一列に配置されても良い。隣り合うスリットSLTの間に配置されるスリットSHEの本数は、任意の本数に設計され得る。隣り合うスリットSLTの間に形成されるストリングユニットSUの個数は、隣り合うスリットSLTの間に配置されたスリットSHEの本数に基づいて変更され得る。
【0033】
[1-3-2]メモリセルアレイ10のメモリ領域MAにおける構造
(メモリセルアレイ10のメモリ領域MAにおける平面レイアウト)
図4は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10のメモリ領域MAにおける詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図4は、1つのブロックBLK、すなわちストリングユニットSU0~SU4を含む領域を表示している。
図4に示すように、メモリ領域MAにおいてメモリセルアレイ10は、複数のメモリピラーMP、複数のコンタクトCV、及び複数のビット線BLを含んでいる。また、各スリットSLTは、コンタクトLI及びスペーサSPを含んでいる。
【0034】
メモリピラーMPの各々は、例えば1つのNANDストリングNSとして機能する。複数のメモリピラーMPは、隣り合う2つのスリットSLTの間の領域において、例えば24列の千鳥状に配置される。そして、例えば、紙面の上側から数えて、5列目のメモリピラーMPと、10列目のメモリピラーMPと、15列目のメモリピラーMPと、20列目のメモリピラーMPとのそれぞれに、1つのスリットSHEが重なっている。
【0035】
複数のビット線BLは、それぞれがY方向に延伸して設けられた部分を有し、X方向に並んでいる。各ビット線BLは、ストリングユニットSU毎に、少なくとも1つのメモリピラーMPと重なるように配置される。本例では、2つのビット線BLが、1つのメモリピラーMPと重なるように配置される。メモリピラーMPと重なっている複数のビット線BLのうち1つのビット線BLと、当該メモリピラーMPとの間は、コンタクトCVを介して電気的に接続される。
【0036】
例えば、スリットSHEと接触しているメモリピラーMPと、ビット線BLとの間のコンタクトCVは、省略される。言い換えると、異なる2つの選択ゲート線SGDに接したメモリピラーMPとビット線BLとの間のコンタクトCVは、省略される。隣り合うスリットSLT間におけるメモリピラーMPやスリットSHE等の個数及び配置は、
図4を用いて説明された構成に限定されず、適宜変更され得る。各メモリピラーMPと重なるビット線BLの数は、任意の数に設計され得る。
【0037】
コンタクトLIは、X方向に延伸して設けられた部分を有する導電体である。スペーサSPは、コンタクトLIの側面に設けられた絶縁体である。コンタクトLIは、スペーサSPによって挟まれている。コンタクトLIと、当該コンタクトLIとY方向に隣り合う導電体(例えば、ワード線WL0~WL15、並びに選択ゲート線SGD及びSGS)との間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁される。
【0038】
(メモリセルアレイ10のメモリ領域MAにおける断面構造)
図5は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10のメモリ領域MAにおける断面構造の一例を示す、
図4のV-V線に沿った断面図である。
図5に示すように、メモリセルアレイ10は、半導体基板20、導電体層21~25、及び絶縁体層30~34をさらに含んでいる。
【0039】
具体的には、半導体基板20の上に、絶縁体層30が設けられる。図示が省略されているが、絶縁体層30は、例えばロウデコーダモジュール15やセンスアンプモジュール16等に対応する回路を含んでいる。
【0040】
絶縁体層30の上に、導電体層21が設けられる。導電体層21は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、ソース線SLとして使用される。導電体層21は、例えばリンがドープされたシリコンを含んでいる。
【0041】
導電体層21の上に、絶縁体層31が設けられる。絶縁体層31の上に、導電体層22が設けられる。導電体層22は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、選択ゲート線SGSとして使用される。導電体層22は、例えばタングステンを含んでいる。
【0042】
導電体層22の上に、絶縁体層32及び導電体層23が交互に積層される。導電体層23は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された複数の導電体層23は、半導体基板20側から順に、それぞれワード線WL0~WL15として使用される。導電体層23は、例えばタングステンを含んでいる。
【0043】
最上層の導電体層23の上に、絶縁体層33が設けられる。絶縁体層33の上に、導電体層24が設けられる。導電体層24は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層24は、例えばタングステンを含んでいる。
【0044】
導電体層24の上に、絶縁体層34が設けられる。絶縁体層34は、複数の絶縁体層により構成されていても良い。絶縁体層34の上に、導電体層25が設けられる。導電体層25は、例えばY方向に延伸したライン状に形成され、ビット線BLとして使用される。つまり、図示せぬ領域において、複数の導電体層25が、X方向に沿って配列している。導電体層25は、例えば銅を含んでいる。
【0045】
メモリピラーMPの各々は、Z方向に沿って延伸して設けられ、絶縁体層31~33、及び導電体層22~24を貫通している。メモリピラーMPの底部は、導電体層21に接している。メモリピラーMPと導電体層22とが交差した部分が、選択トランジスタSTSとして機能する。メモリピラーMPと1つの導電体層23とが交差した部分が、1つのメモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリピラーMPと導電体層24とが交差した部分が、選択トランジスタSTDとして機能する。
【0046】
また、メモリピラーMPの各々は、例えばコア部材40、半導体層41、積層膜42を含んでいる。コア部材40は、Z方向に沿って延伸して設けられる。例えば、コア部材40の上端は、導電体層24よりも上層に含まれ、コア部材40の下端は、導電体層21に達している。半導体層41は、コア部材40の周囲を覆っている。メモリピラーMPの下部において、半導体層41の一部が、導電体層21に接触している。積層膜42は、半導体層41と導電体層21とが接触した部分を除いて、半導体層41の側面及び底面を覆っている。コア部材40は、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含んでいる。半導体層41は、例えばシリコンを含んでいる。
【0047】
メモリピラーMP内の半導体層41の上に、柱状のコンタクトCVが設けられる。図示された領域には、6つのメモリピラーMPのうち、2つのメモリピラーMPにそれぞれ対応する2つのコンタクトCVが表示されている。メモリ領域MAにおいて、スリットSHEと重ならない且つコンタクトCVが接続されていないメモリピラーMPには、図示されない領域においてコンタクトCVが接続される。
【0048】
コンタクトCVの上には、1つの導電体層25、すなわち1つのビット線BLが接触している。1つの導電体層25には、スリットSLT及びSHEによって区切られた空間のそれぞれにおいて、1つのコンタクトCVが接続される。つまり、導電体層25の各々には、隣り合うスリットSLT及びSHEの間に設けられたメモリピラーMPと、隣り合う2つのスリットSHEの間に設けられたメモリピラーMPとが電気的に接続される。
【0049】
スリットSLTは、例えばXZ平面に沿って設けられた部分を有し、導電体層22~24を分断している。スリットSLT内のコンタクトLIは、スリットSLTに沿って設けられている。コンタクトLIの上端の一部は、絶縁体層34と接触している。コンタクトLIの下端は、導電体層21と接触している。コンタクトLIは、例えばソース線SLの一部として使用される。スペーサSPは、コンタクトLIと導電体層22~24との間に少なくとも設けられる。コンタクトLIと、導電体層22~24との間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁されている。
【0050】
スリットSHEは、例えばXZ平面に沿って設けられた部分を有し、少なくとも導電体層24を分断している。スリットSHEの上端は、絶縁体層34と接触している。スリットSHEの下端は、絶縁体層33と接触している。スリットSHEは、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含んでいる。スリットSHEの上端とスリットSLTの上端とは、揃っていても良いし、揃っていなくても良い。また、スリットSHEの上端とメモリピラーMPの上端とは、揃っていても良いし、揃っていなくても良い。
【0051】
図6は、実施形態に係る半導体記憶装置1におけるメモリピラーMPの断面構造の一例を示す、
図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図6は、半導体基板20の表面に平行且つ導電体層23を含む層におけるメモリピラーMPの断面構造を表示している。
図6に示すように、積層膜42は、例えばトンネル絶縁膜43、絶縁膜44、及びブロック絶縁膜45を含んでいる。
【0052】
導電体層23を含む断面において、コア部材40は、メモリピラーMPの中央部に設けられる。半導体層41は、コア部材40の側面を囲っている。トンネル絶縁膜43は、半導体層41の側面を囲っている。絶縁膜44は、トンネル絶縁膜43の側面を囲っている。ブロック絶縁膜45は、絶縁膜44の側面を囲っている。導電体層23は、ブロック絶縁膜45の側面を囲っている。トンネル絶縁膜43及びブロック絶縁膜45の各々は、例えば酸化シリコンを含んでいる。絶縁膜44は、例えば窒化シリコンを含んでいる。
【0053】
以上で説明された各メモリピラーMPにおいて、半導体層41が、メモリセルトランジスタMT0~MT15並びに選択トランジスタSTD及びSTSのチャネル(電流経路)として使用される。絶縁膜44が、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として使用される。半導体記憶装置1は、メモリセルトランジスタMT0~MT15並びに選択トランジスタSTD及びSTSをオンさせることによって、ビット線BLとコンタクトLIとの間でメモリピラーMPを介した電流を流すことが出来る。
【0054】
[1-3-3]メモリセルアレイ10の引出領域HAにおける構造
(メモリセルアレイ10の引出領域HAにおける平面レイアウト)
図7は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の引出領域HAの一部分(引出部HPo)における詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図7は、隣り合うブロックBLK0(BLKe)及びBLK1(BLKo)の領域における、引出部HPoとメモリ領域MA1の一部とを表示している。
図7に示すように、引出部HPoにおいて、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL15、及び選択ゲート線SGDのそれぞれは、上層の配線層(導電体層)と重ならない部分(以下、テラス部分と呼ぶ)を有している。引出部HPoは、X方向に沿って並んだ階段領域SA1、SA2、SA3及びSA4を含む。
【0055】
引出部HPoにおいて上層の配線層と重ならない部分の形状は、階段(step)、段丘(terrace)、畦石(rimstone)等と類似している。具体的には、選択ゲート線SGSとワード線WL0との間、ワード線WL0とワード線WL1との間、・・・、ワード線WL14とワード線WL15との間、ワード線WL15と選択ゲート線SGDとの間に、それぞれ段差が設けられる。そして、引出部HPoが、選択ゲート線SGSのテラス部分と、ワード線WL0~WL15のそれぞれのテラス部分とを含んでいる。
【0056】
階段領域SA1は、ワード線WL11~WL15のそれぞれのテラス部分を含んでいる。階段領域SA2は、ワード線WL7~WL10のそれぞれのテラス部分を含んでいる。階段領域SA3は、ワード線WL3~WL6のそれぞれのテラス部分を含んでいる。階段領域SA4は、ワード線WL0~WL2及び選択ゲート線SGSのそれぞれのテラス部分を含んでいる。そして、これらのテラス部分は、X方向に沿って、WL15、WL14、WL13、WL12、WL11、WL7、WL8、WL9、WL10、WL6、WL5、WL4、WL3、SGS、WL0、WL1及びWL2の順番に並んでいる。
【0057】
つまり、階段領域SA1において、積層配線のうちワード線WL11~WL15のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA1に向かう方向に昇段した構造を有する。言い換えると、階段領域SA1において、積層配線のうちワード線WL11~WL15のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA2に向かう方向に降段した構造を有する。
【0058】
階段領域SA2において、積層配線のうちワード線WL7~WL10のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA1に向かう方向に降段した構造を有する。言い換えると、階段領域SA2において、積層配線のうちワード線WL7~WL10のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA2に向かう方向に昇段した構造を有する。
【0059】
階段領域SA3において、積層配線のうちワード線WL3~WL6のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA1に向かう方向に昇段した構造を有する。言い換えると、階段領域SA3において、積層配線のうちワード線WL3~WL6のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA2に向かう方向に降段した構造を有する。
【0060】
階段領域SA4において、積層配線のうち選択ゲート線SGS及びワード線WL0~WL2のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA1に向かう方向に降段した構造を有する。言い換えると、階段領域SA4において、積層配線のうち選択ゲート線SGS及びワード線WL0~WL2のテラス部分によって形成される階段構造は、X方向に沿って且つメモリ領域MA2に向かう方向に昇段した構造を有する。
【0061】
階段領域SA1に設けられた階段構造と、階段領域SA2に設けられた階段構造との間には、傾斜部IP1が形成される。階段領域SA2に設けられた階段構造と、階段領域SA3に設けられた階段構造との間には、傾斜部IP2が形成される。階段領域SA3に設けられた階段構造と、階段領域SA4に設けられた階段構造との間には、傾斜部IP3が形成される。傾斜部IP1、IP2及びIP3のそれぞれは、導電体層23及び絶縁体層32の複数組の側面によって形成される。また、傾斜部IP1、IP2及びIP3のそれぞれは、同じ製造工程によって一括で加工されたことを示している。
【0062】
例えば、傾斜部IP1によって囲まれた領域は、階段領域SA2、SA3及びSA4を含んでいる。傾斜部IP2によって囲まれた領域は、階段領域SA3及びSA4を含んでいる。傾斜部IP3によって囲まれた領域は、階段領域SA4を含んでいる。傾斜部IP2によって囲まれた領域は、ブロックBLK0側にシフトして配置されている。傾斜部IP3によって囲まれた領域は、ブロックBLK1側にシフトして配置されている。例えば、傾斜部IP2によって囲まれた領域におけるY方向の中心線がブロックBLKeに含まれ、傾斜部IP3によって囲まれた領域におけるY方向の中心線がブロックBLKoに含まれている。傾斜部IP2によって囲まれた領域におけるY方向の中心線と、傾斜部IP3によって囲まれた領域におけるY方向の中心線とは、Y方向に少なくともずれている。
【0063】
階段領域SA1及びSA2との組は、スタジアム状階段部SS1を基に形成される。階段領域SA3及びSA4との組は、スタジアム状階段部SS2を基に形成される。スタジアム状階段部SSは、後述されるスリミング及びエッチング処理の繰り返しによって形成され、X方向に向かい合う階段構造の組である。同じスタジアム状階段部SSを基に形成された2つの階段領域SAの間には、少なくとも1つの傾斜部IPが設けられる。
【0064】
また、引出領域HAにおいて、メモリセルアレイ10は、複数のコンタクトCCを含んでいる。複数のコンタクトCCは、各ブロックBLK内で、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL15、及び選択ゲート線SGD0~SGD4のそれぞれのテラス部分の上に、それぞれ設けられる。引出部HP内且つ一方のブロックBLKの領域に設けられた複数のコンタクトCCは、例えばX方向に沿って直線上に配置される。これらのコンタクトは、必ずしも直線上に配置されている必要はなく、上下にずれて配置されても良い。
【0065】
NANDストリングNSに接続された積層配線は、関連付けられたコンタクトCCを介して、ロウデコーダモジュール15と電気的に接続される。コンタクトCCとロウデコーダモジュール15との間は、例えば、コンタクト領域C4Tを介して接続される。尚、コンタクトCCは、メモリセルアレイ10の外側の領域に設けられたコンタクトを介してロウデコーダモジュール15と接続されても良いし、積層配線を貫通するコンタクトが配置される領域が、メモリ領域MAに設けられても良い。引出部HP内のコンタクトCCと、引出部HP外のコンタクトCCとは、互いに異なる経路を介してロウデコーダモジュール15と接続されても良い。
【0066】
積層配線は、メモリ領域MA1及びMA2の間で、引出部HPを迂回して、組となる2つのブロック領域の境界とはY方向の反対側の領域で電気的に接続されている。具体的には、ブロックBLK0では、メモリ領域MA1内の積層配線とメモリ領域MA2内の積層配線とが、ブロックBLK0に隣接するスリットSLToと引出部HPとの間を介して連続的に設けられている。一方で、ブロックBLK1では、メモリ領域MA1内の積層配線とメモリ領域MA2内の積層配線とが、ブロックBLK1に隣接するスリットSLToと引出部HPとの間を介して連続的に設けられている。
【0067】
尚、引出部HPoに設けられた積層配線は、Y方向にも段差を有している。このような部分には、例えばコンタクトCCが配置されず、当該部分は“ダミー階段構造”とも呼ばれる。ダミー階段構造は、半導体記憶装置1の製造過程において、副次的に形成される構造である。本例において、Y方向の階段構造におけるテラス部分のY方向の幅は、X方向の階段構造におけるテラス部分のX方向の幅と略等しい。例えば、ワード線WL14でY方向に引き出されたテラス部分のY方向の幅は、ワード線WL14でX方向に引き出されたテラス部分のX方向の幅と略等しい。
【0068】
例えば、引出部HPoでブロックBLK0(BLKe)に対応する部分とブロックBLK1(BLKo)に対応する部分とは、スリットSLTeを基準としてY方向に対称的な構造を有している。また、引出部HPeにおける構造は、例えば引出部HPoにおける構造と同様である。引出部HPeにおける構造は、引出部HPoに対してX方向に対称的な構造を有していても良いし、その他の構造であっても良い。
【0069】
(メモリセルアレイ10の引出領域HAにおける断面構造)
図8は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の引出領域HAの一部分における断面構造の一例を示す、
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図8は、引出部HPo内の階段領域SA1~SA4を表示している。
図8に示すように、引出部HPoでは、ワード線WLに対応する導電体層23の端部が、
図7を参照して説明されたように階段状に設けられ、その上方には絶縁体層34が形成されている。
【0070】
階段領域SA1に設けられた階段構造と、階段領域SA2に設けられた階段構造とは、例えば、高さが異なることを除いて、X方向に対称的な構造を有している。階段領域SA1内の階段構造の高さは、階段領域SA2内の階段構造の高さよりも高い。本例では、階段領域SA1内の階段構造が、階段領域SA2内の階段構造に対して、絶縁体層32及び導電体層23の4組分の高さだけ高い構造を有している。この4組分の高さの差は、傾斜部IP1が形成されるエッチング処理によって設けられる。
【0071】
階段領域SA3に設けられた階段構造と、階段領域SA4に設けられた階段構造とは、例えば、高さが異なることを除いて、X方向に対称的な構造を有している。階段領域SA3内の階段構造の高さは、階段領域SA4内の階段構造の高さよりも高い。本例では、階段領域SA3内の階段構造が、階段領域SA4内の階段構造に対して、絶縁体層32及び導電体層23の4組分の高さだけ高い構造を有している。この4組分の高さの差は、傾斜部IP3が形成されるエッチング処理によって設けられる。
【0072】
階段領域SA1及びSA2に設けられた階段構造と、階段領域SA3及びSA4に設けられた階段構造とは、例えば、高さが異なることを除いて、同様の構造を有している。階段領域SA1及びSA2内の階段構造の高さは、階段領域SA3及びSA4内の階段構造の高さよりも高い。本例では、階段領域SA1及びSA2内の階段構造が、階段領域SA3及びSA4内の階段構造に対して、絶縁体層32及び導電体層23の8組分の高さだけ高い構造を有している。この8組分の高さの差は、傾斜部IP2が形成されるエッチング処理と傾斜部IP3が形成されるエッチング処理とによって設けられる。
【0073】
また、引出領域HAにおいてメモリセルアレイ10は、複数の導電体層26を含んでいる。複数のコンタクトCCは、ワード線WL0~WL15及び選択ゲート線SGSのそれぞれのテラス部分の上に、それぞれ設けられる。各コンタクトCCの上には、1個の導電体層26が設けられる。これにより、導電体層22及び23のそれぞれと、関連付けられた導電体層26との間が、コンタクトCCを介して電気的に接続される。導電体層26は、例えば導電体層25と同じ高さの層に含まれている。
【0074】
尚、傾斜部IP1、IP2及びIP3のそれぞれの高さは、位置に応じて異なり得る。例えば、階段領域SA1及びSA2の間に配置された傾斜部IP1の高さは、引出部HPoの端部に配置された傾斜部IP1の高さよりも低い。階段領域SA3及びSA4の間に配置された傾斜部IP3の高さは、引出部HPoの端部に配置された傾斜部IP3の高さよりも低い。このような傾斜部IPの位置に応じた高さの変化は、後述される製造工程におけるエッチング領域の重なりに応じて生じ得る。
【0075】
図9は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の引出領域HAの一部分における断面構造の一例を示す、
図7のIX-IX線に沿った断面図である。
図9は、階段領域SA4を含む領域を表示している。
図9に示すように、メモリセルアレイ10は、階段領域SA4において、積層配線の一部が除去されることによって、凹状に加工された積層構造を有し、積層配線の一部が除去された凹状の部分には絶縁体層34が埋め込まれている。ブロックBLK0及びBLK1の間のスリットSLTeは、引出部HPoにおいて、例えば導電体層22及び絶縁体層34を分断している。
【0076】
また、ブロックBLK0は、Y方向の正方向(一方側)に昇段する傾斜部IP1~IP3を含み、ブロックBLK1は、Y方向の負方向(他方側)に昇段する傾斜部IP1~IP3を含んでいる。言い換えると、ブロックBLK0(BLKe)に対応する領域において、積層された複数の導電体層23は、ブロックBLK0が隣接するスリットSLToに向かって高くなる複数の傾斜部IPを有している。同様に、ブロックBLK1(BLKo)に対応する領域において、積層された複数の導電体層23は、ブロックBLK1が隣接するスリットSLToに向かって高くなる複数の傾斜部IPを有している。
【0077】
そして、ブロックBLK0に対応する領域における複数の傾斜部IPの配置と、ブロックBLK1に対応する領域における複数の傾斜部IPの配置とは、非対称に設けられている。以下に、このレイアウトについて、各傾斜部IPの上端部分を基準として説明する。以下では、階段領域SA4において傾斜部IP1、IP2及びIP3を含む導電体層23の層群のことを、それぞれ“LG1”、“LG2”及び“LG3”とも呼ぶ。
【0078】
絶縁体層34は、層群LG1の高さに設けられた第1部分INS1と、層群LG2の高さに設けられた第2部分INS2と、層群LG3の高さに設けられた第3部分INS3とを含んでいる。絶縁体層34の第1部分INS1は、層群LG1に含まれた複数の導電体層23によってY方向に挟まれている。絶縁体層34の第2部分INS2は、層群LG2に含まれた複数の導電体層23によってY方向に挟まれている。絶縁体層34の第3部分INS3は、層群LG3に含まれた複数の導電体層23によってY方向に挟まれている。絶縁体層34の第1部分INS1、第2部分INS2、及び第3部分INS3は、スリットSLTeによって分断されている。また、層群LG1に含まれた複数の導電体層23の側面は、絶縁体層34の第1部分INS1と接触する部分において揃っている。層群LG2に含まれた複数の導電体層23の側面は、絶縁体層34の第2部分INS2と接触する部分において揃っている。層群LG3に含まれた複数の導電体層23の側面は、絶縁体層34の第3部分INS3と接触する部分において揃っている。
【0079】
ブロックBLK0に設けられた傾斜部IP2とブロックBLK1に設けられた傾斜部IP2との中心線は、ブロックBLK0に設けられた傾斜部IP1とブロックBLK1に設けられた傾斜部IP1との中心線を基準とした場合に、Y方向の正方向にシフトしている。ブロックBLK0に設けられた傾斜部IP3とブロックBLK1に設けられた傾斜部IP3との中心線は、ブロックBLK0に設けられた傾斜部IP1とブロックBLK1に設けられた傾斜部IP1との中心線を基準とした場合に、Y方向の負方向にシフトしている。
図9には、引出部HPo内でY方向に隣り合う傾斜部IP2の中心線のシフト量が“L1”として示され、引出部HPo内でY方向に隣り合う傾斜部IP3の中心線のシフト量が“L2”として示されている。
【0080】
尚、実施形態に係る半導体記憶装置1において、引出部HPに形成される階段構造は、その他の構造であっても良い。引出部HPの階段構造は、X方向に配置された3つ以上のスタジアム状階段部を基に形成されても良い。また、X方向の長さが異なる複数のスタジアム状階段が、重ねて形成されても良い。各傾斜部IPの底部から上部までの高さは、同じであっても良いし、異なっていても良い。同様に、層群LG1~LG3のそれぞれの底部から上部までの高さは、同じであっても良いし、異なっていても良い。4種類以上の傾斜部IPが、同じ引出部HPに形成されてもよい。実施形態に係る半導体記憶装置1は、少なくとも、最上層の層群LG1に対応する傾斜部IPを除いて、中心線がY方向の正方向にシフトした傾斜部IPの組と、中心線がY方向の負方向にシフトした傾斜部IPの組とを備えていれば良い。複数種類の傾斜部IPが、重なって設けられても良い。各傾斜部IPの位置は、層群LGの高さに応じて特定されても良い。
【0081】
[2]製造方法
図10は、実施形態に係る半導体記憶装置1の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図11~
図30は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の製造途中の構造の一例を示す平面図又は断面図である。製造方法の説明に使用される平面図は、
図7と同様の領域を示している。製造方法の説明に使用される断面図は、
図8又は
図9と同様の領域を示している。以下に、
図10を適宜参照して、実施形態に係る半導体記憶装置1における、メモリセルアレイ10の積層配線の形成に関する製造工程の一例について説明する。
図10に示すように、実施形態に係る半導体記憶装置1の製造工程では、ステップS10~S23の処理が順に実行される。
【0082】
ステップS10の処理では、犠牲部材と絶縁体層とが交互に積層される。簡潔に述べると、半導体基板20の上には、ロウデコーダモジュール15等に対応する回路(図示せず)を含む絶縁体層30が形成されている。そして、絶縁体層30上に、導電体層21及び絶縁体層31が順に形成される。絶縁体層31の上に、犠牲部材及び絶縁体層が交互に形成される。それから、引出領域HA内で絶縁体層及び犠牲部材のそれぞれの一部が除去される。
図11に示すように、引出領域HAのメモリ領域MA1との境界近傍には、少なくとも1層の犠牲部材による段差が形成される。
図12に示された複数の犠牲部材50は、選択ゲート線SGS又はワード線WLに関連付けられている。
【0083】
ステップS11の処理では、
図13に示すように、マスクM1が形成される。マスクM1は、例えばリソグラフィ処理によって形成され、開口部OP1及びOP2を含む。開口部OP1は、スタジアム状階段部SS1が形成される領域の中心部分を含み、本例ではワード線WL11及びWL7のそれぞれのテラス部分が形成される領域に対応している。開口部OP2は、スタジアム状階段部SS2が形成される領域の中心部分を含み、本例ではワード線WL3及び選択ゲート線SGSのそれぞれのテラス部分が形成される領域に対応している。
【0084】
ステップS12の処理では、エッチング処理とスリミング処理との繰り返しにより階段構造が形成される。具体的には、マスクM1を用いた異方性のエッチング処理が実行され、1層の犠牲部材50が除去される。等方性のエッチング処理によってマスクM1がシュリンクされ、
図13(1)に示すように、開口部OP1及びOP2が等方的に広がる(スリミング処理)。続けて、マスクM1を用いた異方性のエッチング処理が実行され、開口部OP1及びOP2において1層の犠牲部材50が除去される。等方性のエッチング処理によってマスクM1がシュリンクされ、
図13(2)に示すように、開口部OP1及びOP2が等方的に広がる。続けて、マスクM1を用いた異方性のエッチング処理が実行され、開口部OP1及びOP2において1層の犠牲部材50が除去される。等方性のエッチング処理によってマスクM1がシュリンクされ、
図13(3)に示すように、開口部OP1及びOP2が等方的に広がる。続けて、マスクM1を用いて異方性のエッチング処理が実行され、開口部OP1及びOP2において1層の犠牲部材50が除去される。
【0085】
これにより、
図14及び
図15に示すように、X方向及びY方向のそれぞれに3段の段差を有するスタジアム状階段部SS1及びSS2が形成される。1段目の段差に形成されたテラス部分の幅W1は、X方向及びY方向のそれぞれで略等しい。2段目の段差に形成されたテラス部分の幅W2は、X方向及びY方向のそれぞれで略等しい。3段目の段差に形成されたテラス部分の幅W3は、X方向及びY方向のそれぞれで略等しい。幅W1~W3は、等しいことが好ましいが、異なっていても良い。ステップS12の処理が完了した後に、マスクM1は除去される。
【0086】
ステップS13の処理では、
図16に示すように、マスクM2が形成される。マスクM2は、例えばリソグラフィ処理によって形成され、開口部OP3を含む。開口部OP3は、階段領域SA2、SA3及びSA4が形成される領域を含む。
【0087】
ステップS14の処理では、階段領域SA2、SA3及びSA4の犠牲部材50及び絶縁体層32の複数組が一括でエッチングされる。具体的には、マスクM2を用いた異方性のエッチング処理が実行され、
図17に示すように、開口部OP3において4組分の犠牲部材50及び絶縁体層32が除去され、傾斜部IP1が形成される。本工程では、少なくとも第1層群LG1に含まれた複数の犠牲部材50を含む高さがエッチングされる。これにより、階段領域SA2において、ワード線WL7~WL10のそれぞれの高さにテラス部分が形成される。また、
図18に示すように、スタジアム状階段部SS2を含むY方向に沿った断面において、Y方向に対向する傾斜部IP1が形成される。ステップS14の処理が完了した後に、マスクM2は除去される。
【0088】
ステップS15の処理では、
図19に示すように、マスクM3が形成される。マスクM3は、例えばリソグラフィ処理によって形成され、開口部OP4を含む。開口部OP4は、階段領域SA3及びSA4が形成される領域を含む。また、開口部OP4は、Y方向における中心線が、スタジアム状階段部SS2のY方向の中心線を基準とした場合に、Y方向の正方向にシフトしているように設けられる。言い換えると、マスクM3の形成時のリソグラフィで、開口部OP4の中心線が、スタジアム状階段部SS2の中心線に対してY方向の正方向にずれて配置されるようにオーバーレイ処理される。
【0089】
ステップS16の処理では、階段領域SA3及びSA4の犠牲部材50及び絶縁体層32の複数組が一括でエッチングされる。具体的には、マスクM3を用いた異方性のエッチング処理が実行され、
図20に示すように、開口部OP4において4組分の犠牲部材50及び絶縁体層32が除去され、傾斜部IP2が形成される。本工程では、第1層群LG1よりも下層の第2層群LG2に含まれた複数の犠牲部材50の一部が一括でエッチングされる。これにより、階段領域SA3において、ワード線WL3~WL6のそれぞれの高さにテラス部分が形成される。また、
図21に示すように、スタジアム状階段部SS2を含むY方向に沿った断面において、Y方向に対向する傾斜部IP2が形成される。Y方向に対向する傾斜部IP1のY方向の中心線を基準とした場合に、引出部HPo内でY方向に隣り合う傾斜部IP2の中心線のシフト量L1は、正の値である。ステップS16の処理が完了した後に、マスクM3は除去される。
【0090】
ステップS17の処理では、
図22に示すように、マスクM4が形成される。マスクM4は、例えばリソグラフィ処理によって形成され、開口部OP5を含む。開口部OP5は、階段領域SA4が形成される領域を含む。また、開口部OP5は、Y方向における中心線が、スタジアム状階段部SS2のY方向の中心線を基準とした場合に、Y方向の負方向にシフトしているように設けられる。言い換えると、マスクM4の形成時のリソグラフィで、開口部OP5の中心線が、スタジアム状階段部SS2の中心線に対してY方向の負方向にずれて配置されるようにオーバーレイ処理される。
【0091】
ステップS18の処理では、階段領域SA4の犠牲部材50及び絶縁体層32の複数組が一括でエッチングされる。具体的には、マスクM4を用いた異方性のエッチング処理が実行され、
図23に示すように、開口部OP5において4組分の犠牲部材50及び絶縁体層32が除去され、傾斜部IP3が形成される。本工程では、第2層群LG2よりも下層の第3層群LG3に含まれた複数の犠牲部材50の一部が一括でエッチングされる。これにより、階段領域SA4において、ワード線WL0~WL2及び選択ゲート線SGSのそれぞれの高さにテラス部分が形成される。また、
図24に示すように、スタジアム状階段部SS2内の階段領域SA4を含むY方向に沿った断面において、Y方向に対向する傾斜部IP3が形成される。Y方向に対向する傾斜部IP1のY方向の中心線を基準とした場合に、引出部HPo内でY方向に隣り合う傾斜部IP3の中心線のシフト量L2は、負の値である。ステップS18の処理が完了した後に、マスクM4は除去される。
【0092】
ステップS19の処理では、
図25に示すように、引出部HPに設けられた複数の犠牲部材50の複数のテラス部分の上に、絶縁膜51が形成される。言い換えると、引出領域HAの引出部HPに形成された段差が、絶縁膜51によって、埋め込まれる。そして、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって、絶縁膜51の上面が平坦化される。本工程において、絶縁膜51は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。形成された絶縁膜51では、引出部HPで積層配線が凹状に加工された部分において、シームやボイドが形成され得る。例えば、
図26に示すように、階段領域SA4において、Y方向に対向する傾斜部IPの間の領域VRに、ボイドが形成され得る。
【0093】
ステップS20の処理では、メモリピラーMPが形成される。簡潔に述べると、まず、複数のメモリピラーMPに対応する領域が開口したマスクが形成される。そして、当該マスクを用いた異方性のエッチング処理によって、複数のメモリホールが形成される。それから、複数のメモリホールの側面及び底面に、ブロック絶縁膜45、絶縁膜44及びトンネル絶縁膜43が順に形成される。そして、当該メモリホールの底部に設けられたブロック絶縁膜45、絶縁膜44及びトンネル絶縁膜43の一部が除去され、当該メモリホール内に、半導体層41及びコア部材40が形成される。その後、メモリホールの上部に設けられたコア部材40の一部が除去され、当該部分に半導体層41が形成される。これにより、複数のメモリピラーMPが形成される。その後、絶縁膜51の上に、絶縁体層52が形成される。絶縁体層52は、メモリピラーMPの上部を保護する。絶縁膜51及び絶縁体層52は、
図8に示された絶縁体層34に含まれている。
【0094】
ステップS21の処理では、
図27に示すように、複数のスリットSLTが形成される。具体的には、フォトリソグラフィ等によって、スリットSLTに対応する領域が開口したマスクが形成される。それから、当該マスクを用いた異方性のエッチングによって、例えば複数の犠牲部材50を分断するスリットSLTが形成される。尚、引出部HPo外の領域において、スリットSLTは、選択ゲート線SGDに対応する犠牲部材も分断する。
【0095】
ステップS22の処理では、積層配線のリプレース処理が実行され、
図28に示すように、積層配線構造が形成される。具体的には、まず熱リン酸等によるウェットエッチングによって、スリットSLTを介して複数の犠牲部材50が選択的に除去される。複数の犠牲部材50が除去された構造体は、複数のメモリピラーMPや、図示が省略された支持柱等によって維持される。それから、導電体が、スリットSLTを介して、犠牲部材50が除去された空間に埋め込まれる。本工程における導電体の形成には、例えばCVDが使用される。
【0096】
その後、スリットSLT内部に形成された導電体がエッチバック処理によって除去され、隣り合う配線層に形成された導電体が分離される。これにより、選択ゲート線SGSとして機能する導電体層22と、ワード線WL0~WL15としてそれぞれ機能する複数の導電体層23と、選択ゲート線SGDとして機能する導電体層24とがそれぞれ形成される。尚、本工程において形成される導電体層22~24は、バリアメタルを含んでいても良い。この場合、犠牲部材50の除去後の導電体の形成では、例えばバリアメタルとして窒化チタンが成膜された後に、タングステンが形成される。
【0097】
ステップS23の処理では、
図29及び
図30に示すように、スリットSLTの埋め込み処理が実行される。具体的には、まずスリットSLTの側面及び底面を覆うように絶縁膜(スペーサSP)が形成される。そして、スリットSLTの底部に設けられたスペーサSPの一部が除去され、スリットSLTの底部において導電体層21の一部が露出する。それから、スリットSLT内に導電体(コンタクトLI)が形成され、スリットSLTの外に形成された導電体が例えばCMPによって除去される。この後に、Y方向に隣接するスリットSLT間にスリットSLTと平行するように複数の溝が形成され、各溝内に絶縁膜が埋め込まれることによって導電体層24をY方向に分断するスリットSHEが形成される。
【0098】
以上で説明された実施形態に係る半導体記憶装置1の製造工程によって、メモリセルアレイ10内の積層配線にコンタクトを接続するための階段構造が形成される。尚、以上で説明した製造工程はあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されても良いし、一部の工程が省略又は統合されても良い。また、各製造工程は、可能な範囲で入れ替えられても良い。例えば、メモリピラーMPが形成される工程と、積層配線の階段構造が形成される工程とは、入れ替えられても良い。ステップS14、S16及びS18のような、絶縁体層32及び犠牲部材50の複数組を一括でエッチングすることは、“多段加工”と呼ばれても良い。
【0099】
[3]効果
以上で説明された実施形態に係る半導体記憶装置1に依れば、半導体記憶装置1の歩留まりを向上させることが出来る。以下に、実施形態に係る半導体記憶装置1における効果の詳細について、比較例を用いて説明する。
【0100】
3次元に積層されたメモリセルを備える半導体記憶装置は、例えば、ワード線WLを含む積層配線と、積層配線を貫通し、ワード線WLとの交差部分がメモリセルとして機能するメモリピラーMPとを備えている。積層配線は、例えば、階段状に設けられた部分(以下、階段部と呼ぶ)を有する。ロウデコーダモジュール15は、積層配線の階段部に接続されたコンタクトを介して、ワード線WL等に電圧を印加する。そして、半導体記憶装置のチップ面積を抑制するための構造として、メモリセルアレイ10とロウデコーダモジュール15等の回路とが基板の表面に鉛直な方向に重ねて配置された構造が知られている。
【0101】
ロウデコーダモジュール15がメモリセルアレイ10の下に形成される場合、積層配線の階段部が、例えばメモリセルアレイ10のX方向における中間の領域に配置される。このような配置で積層配線の階段部が形成される場合、多段加工を利用することによって製造工程数を削減し、製造コストを抑制することが好ましい。また、ワード線WLの積層数が増えることに伴い、多段加工の回数が増加する傾向がある。
【0102】
しかしながら、多段加工の回数が増加すると、複数回の多段加工が実行された領域に埋め込まれた絶縁膜に形成されたボイドが、積層配線が形成される高さに含まれるおそれがある。このようなボイドは、スリットSLTの形成時まで残存し得る。そして、絶縁膜に形成されたボイドの位置がスリットSLTの形成位置と重なると、形成されたスリットSLTの形状のばらつきや、スリットSLTの底部の位置のばらつきが発生し得る。そして、スリットSLTが意図された形状に形成されないことによって、スリットSLTに関連する不良の発生の原因となり得る。また、ボイドが形成された部分にコンタクトが形成される場合にも同様に、コンタクトに関連する不良の発生の原因となり得る。
【0103】
そこで、実施形態に係る半導体記憶装置1は、少なくとも3回以上の多段加工が実行される場合に、最上層の層群LGを除いた部分に、オーバーレイを正方向にシフトさせた層群LGと、オーバーレイを負方向にシフトさせた層群LGとを備えている。
【0104】
図31は、実施形態と比較例とのそれぞれにおける絶縁膜51の埋め込み処理の結果の一例を示す模式図である。本例では、層の位置が高い方から、層群LG1~LG4が定義されている。層群LG1~LG4のそれぞれは、多段加工が実行されたレイヤに対応している。
図31(1)は、比較例に対応し、層群LG1~LG4のそれぞれに対応して実行される多段加工のオーバーレイの中心位置が揃っている場合を示している。
図31(2)は、実施形態に対応し、層群LG1及びLG2のそれぞれに対応して実行される多段加工のオーバーレイの中心位置が揃っており、層群LG3に対応して実行される多段加工のオーバーレイの中心位置が正方向にシフト(+Δ)され、層群LG4に対応して実行される多段加工のオーバーレイの中心位置が負方向にシフト(-Δ)される場合を示している。
【0105】
図31に示すように、層群LG1~LG4に対して多段加工が実行された部分に絶縁膜51が埋め込まれる工程によって、実施形態と比較例とのそれぞれにおいてボイドとシームとが形成され得る。層群LG3及びLG4のオーバーレイの中心位置がずらされた場合のボイド高さVH2(
図31(2))は、層群LG1~LG4のオーバーレイの中心位置が揃っている場合のボイド高さVH1(
図31(1))よりも高い。この理由は、層群LG3及びLG4のオーバーレイの中心位置がずらされることによって、凹部に埋め込まれた絶縁膜51が、層群LG3及びLG4の部分で非対称になるからである。その結果、対向する傾斜部に沿って成膜が進行する絶縁膜の表面部分が、引出部HP内でY方向に接触する位置が高くなる。従って、実施形態に係る半導体記憶装置1では、比較例よりもボイドの位置が高くなり、ボイドの大きさが小さくなり得る。
【0106】
図32は、絶縁膜51の埋め込み処理によるボイド高さのシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図32は、
図31に示された構造と同様に層群LG1~LG4が設けられ、層群LG3及びLG4のそれぞれのシフト量が変化した場合のVH/BHのシミュレーション結果を示している。“VH”は、ボイド高さを示している。“BH”は、層群LG1~LG4の高さ、すなわち層群LG4の底面を基準とした場合の層群LG1の高さを示している。
図32において、横軸は層群LG3のシフト量[nm]を示し、縦軸は層群LG4のシフト量[nm]を示し、グラフ内の等高線がVH/BHを示している。
【0107】
図32に示すように、VH/BHは、概ね0.80~0.87の範囲で変化している。VH/BHは、ボイド高さを表す数値であることから、VH/BHは大きい数値であることが好ましい。層群LG4のシフト量が“0”である場合に、層群LG3のシフト量を正方向及び負方向にシフトさせても、VH/BHの大きさの変化は微少である。また、層群LG3が正方向にシフトされ、且つ層群LG4が正方向にシフトされた場合にも、VH/BHの大きさの変化は微小である。
【0108】
一方で、層群LG3が負方向にシフトされ、且つ層群LG4が正方向にシフトされた場合のVH/BHは、層群LG3及びLG4のそれぞれのシフト量が“0”である場合よりも大きくなる傾向を有している。特に、層群LG3が50nm以上負方向にシフトされ、且つ層群LG4が50nm以上正方向にシフトされる場合に、VH/BHの顕著な改善が見られる。具体的には、本シミュレーションは、層群LG3のシフト量が-120nmから-50nmまでの範囲であり、且つ層群LG4のシフト量が+50nmから+120nmまでの範囲である場合の結果が良好であることを示している。
【0109】
以上のように、実施形態に係る半導体記憶装置1は、複数回の多段加工が実行された領域における絶縁膜51の埋め込み状態を改善させることが出来、絶縁膜51に形成されるボイド高さVHを高くすることが出来る。そして、実施形態に係る半導体記憶装置1は、絶縁膜51に形成されたボイドが残存する可能性や、当該ボイドが後の工程に与える影響を抑制することが出来る。その結果、実施形態に係る半導体記憶装置1は、当該箇所に形成されるボイドを起因とした不良の発生を抑制することが出来、半導体記憶装置1の歩留まりを改善させることが出来る。
【0110】
尚、実施形態に係る半導体記憶装置1において、正方向及び負方向にシフトされる2つの層群LGは、少なくとも複数の層群LGのうち最上層の層群LGを除いた層群LGのうちの2つであれば良い。実施形態で説明された効果は、正方向及び負方向にシフトされる2つの層群LGが、隣り合っていることが好ましい。また、実施形態で説明された効果は、最下層の層群LGと、最下層の層群LGの隣の層群LGとの組み合わせである場合に、特に良好に得られる。
【0111】
[4]変形例等
実施形態では、引出部HPにダミー階段が形成される場合について例示したが、これに限定されない。引出部HPにダミー階段が形成されない場合においても、実施形態と類似した構造が適用され得る。つまり、引出部HPにおける階段構造の形成において、Y方向(例えば、複数のブロックBLKが配列する方向)の正負方向のそれぞれにずらされた少なくとも2回の多段加工が実行されることによって、実施形態と同様の効果が得られる。
【0112】
実施形態では、引出領域HAがメモリ領域MA1及びMA2の間に配置される場合について例示したが、これに限定されない。引出領域HAは、メモリセルアレイ10の外周部付近に配置されても良い。この場合、例えば2つの引出領域HAが設けられ、当該2つの引出領域HAの間に、メモリ領域MAが配置されても良い。実施形態で説明されたように、メモリ領域MA1及びMA2の間に引出領域HAが配置される場合に、引出領域HAは、メモリセルアレイ10の領域の中間部分に配置されることが好ましい。これにより、ロウデコーダモジュール15によりメモリ領域MA1及びMA2のそれぞれの配線(ワード線WL等)に対して印加される電圧の変化の時定数が均等にされ得る。
【0113】
実施形態に係る半導体記憶装置1におけるメモリセルアレイ10の構造は、その他の構造であっても良い。例えば、引出領域HAにおいて、階段領域SA1~SA4と同様の階段構造が形成された積層体が、X方向においてこのような階段構造がX方向にずらされつつ、積層体に対する複数回の多段加工が実行される領域同士がオーバーラップするようにZ方向に複数設けられても良い。
【0114】
また、メモリセルアレイ10のメモリ領域MA1及びMA2において、例えば、メモリピラーMPは、Z方向に複数設けられた積層体と対応するように、複数のピラーがZ方向に2本以上連結された構造を有していても良い。メモリピラーMPは、選択ゲート線SGDに対応するピラーと、ワード線WLに対応するピラーとが連結された構造を有していて良い。メモリピラーMP及びビット線BLの間と、コンタクトCCと導電体層26との間とのそれぞれは、Z方向に連結された複数のコンタクトによって接続されても良い。この場合に、複数のコンタクトの連結部分には、導電体層が挿入されても良い。
【0115】
実施形態で説明に使用した図面では、メモリピラーMPがZ方向において同一径を有している場合を例示したが、これに限定されない。例えば、メモリピラーMPは、テーパー形状又は逆テーパー形状を有していても良いし、中間部分が膨らんだ形状(ボーイング形状)を有していても良い。同様に、スリットSLT及びSHEのそれぞれがテーパー形状又は逆テーパー形状を有していても良いし、ボーイング形状を有していても良い。また、実施形態では、メモリピラーMP、及びコンタクトCCのそれぞれの断面構造が円形である場合について例示したが、これらの断面構造は楕円形であっても良く、任意の形状に設計され得る。
【0116】
実施形態において、スリットSLT及びSHEのそれぞれの内部は、単一又は複数種類の絶縁体により構成されても良い。この場合、ソース線SL(導電体層21)に対するコンタクトが、例えば引出領域HAに設けられる。本明細書において、スリットSLTの位置は、例えばコンタクトLIの位置に基づいて特定される。スリットSLTが絶縁体で構成される場合には、スリットSLTの位置は、スリットSLT内のシームや、リプレース処理時にスリットSLT内に残存した材料によって特定されても良い。
【0117】
実施形態では、メモリセルアレイ10の下にセンスアンプモジュール16等の回路が設けられた場合について説明したが、これに限定されない。例えば、半導体記憶装置1は、半導体基板20上にワード線WL等の積層配線が形成された構造であっても良いし、センスアンプモジュール16等が設けられたチップと、メモリセルアレイ10が設けられたチップとが貼り合わされた構造であっても良い。半導体記憶装置1がチップの貼り合わせ構造を有する場合、半導体基板20に相当する構成は省略されても良い。
【0118】
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していても良い。“柱状”は、半導体記憶装置1の製造工程において形成されたホール内に設けられた構造体であることを示している。“同じ層構造”は、少なくとも層が形成された順番が同じであれば良い。“絶縁体層”は、“絶縁膜”と呼ばれても良い。
【0119】
本明細書において“領域”は、半導体基板20によって含まれる構成と見なされても良い。例えば、半導体基板20がメモリ領域MA1及びMA2、並びに引出領域HAを含むと規定された場合、メモリ領域MA1及びMA2、並びに引出領域HAは、半導体基板20の上方の異なる領域にそれぞれ関連付けられる。“高さ”は、例えば計測対象の構成と半導体基板20とのZ方向の間隔に対応している。尚、“高さ”の基準としては、半導体基板20以外の構成が使用されても良い。また、Z方向における“上”“上層”も、本明細書において半導体基板20を基準として説明したが、他の構成が基準とされてもよい。例えば、半導体基板20を除去したチップ貼り合わせ構造の場合、コンタクトが接触されるようにテラス部分が向いた方向を“上”、テラス部分が設けられた導電層に対しテラス部分が重ならない導電層を“上層”と関連付けて良い。“傾斜部IP”の位置は、必ずしも傾斜部IPの上端部分で判断されなくても良い。傾斜部IPの位置の規定としては、異なる層群LGに形成された傾斜部IPの間で、同様の基準が適用されていれば良い。“複数の導電体層の側面が揃っていること”は、同じエッチング工程で一括で加工された形状のことを示している。複数の導電体層の側面が揃っている場合、当該複数の導電体層のそれぞれの側面のテーパー角度が、略等しくなり得る。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、10…メモリセルアレイ、11…コマンドレジスタ、12…アドレスレジスタ、13…シーケンサ、14…ドライバモジュール、15…ロウデコーダモジュール、16…センスアンプモジュール、20…半導体基板、21~26…導電体層、30~34…絶縁体層、40…コア部材、41…半導体層、42…積層膜、43…トンネル絶縁膜、44…絶縁膜、45…ブロック絶縁膜、50…犠牲部材、51…絶縁膜、BLK…ブロック、SU…ストリングユニット、NS…NANDストリング、MT…メモリセルトランジスタ、STD,STS…選択トランジスタ、BL…ビット線、WL…ワード線、SGS,SGD…選択ゲート線、MA…メモリ領域、HA…引出領域、HP…引出部、SA…階段領域、C4T…コンタクト領域、IP…傾斜部、LG…層群