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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108589
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】選別システム
(51)【国際特許分類】
   B07B 13/11 20060101AFI20220719BHJP
   B07C 5/04 20060101ALI20220719BHJP
   B07B 13/16 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B07B13/11 E
B07C5/04
B07B13/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003673
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 昭彦
【テーマコード(参考)】
3F079
4D021
【Fターム(参考)】
3F079AC15
3F079CC06
4D021JA01
4D021JB01
4D021JB03
4D021KA12
4D021KA18
4D021LA01
4D021LA05
4D021LA07
4D021MA03
4D021NA09
(57)【要約】
【課題】 長粒種の白米を選別するための選別システムを改善する。
【解決手段】 選別システムは、揺動選別機と二次選別機とを備える。揺動選別機の揺動板は、揺動板上に供給された白米が、揺動板の所定範囲に亘って延在する排出端部から排出されるように構成される。揺動選別機の少なくとも一つの仕切部材は、排出端部から排出される白米を排出端部に沿った位置に応じて区別するために、排出端部に沿った白米の排出領域を少なくとも二つの分割排出領域に仕切る。少なくとも二つの分割排出領域のうちの、排出端部の所定範囲の下端に最も近い分割排出領域である第1の分割排出領域に排出される白米は、二次選別機に供給されず、第1の分割排出領域を除く分割排出領域の少なくとも一部に排出される白米は、二次選別機に供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白米用の選別システムであって、
揺動選別機と、
前記揺動選別機の後工程に配置される二次選別機と
を備え、
前記揺動選別機は、
水平方向に対して傾斜して配置され、揺動されるように構成された揺動板であって、該揺動板上に供給された前記白米が、前記揺動板の所定範囲に亘って延在する排出端部から排出されるように構成された揺動板と、
前記排出端部に隣接するように配置された少なくとも一つの仕切部材であって、前記排出端部から排出される前記白米を前記排出端部に沿った位置に応じて区別するために、前記排出端部に沿った前記白米の排出領域を少なくとも二つの分割排出領域に仕切る少なくとも一つの仕切部材と
を備え、
前記少なくとも二つの分割排出領域のうちの、前記排出端部の前記所定範囲の下端に最も近い分割排出領域である第1の分割排出領域に排出される前記白米が、前記二次選別機に供給されず、かつ、前記少なくとも二つの分割排出領域のうちの、前記第1の分割排出領域を除く分割排出領域の少なくとも一部に排出される前記白米が、前記二次選別機に供給されるように、前記揺動選別機と前記二次選別機とが接続される
選別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の選別システムであって、
前記少なくとも一つの仕切部材は、二つの仕切部材を備え、
前記少なくとも二つの分割排出領域は、前記二つの仕切部材によって仕切られた三つの分割排出領域であり、
前記三つの分割排出領域のうちの、前記排出端部の前記所定範囲の上端に最も近い分割排出領域である第2の分割排出領域に排出される前記白米が、前記二次選別機に供給されず、かつ、前記三つの分割排出領域のうちの、前記第1の分割排出領域と前記第2の分割排出領域との間に位置する分割排出領域である第3の分割排出領域に排出される前記白米が、前記二次選別機に供給されるように、前記揺動選別機と前記二次選別機とが接続される
選別システム。
【請求項3】
請求項1に記載の選別システムであって、
前記少なくとも一つの仕切部材は、二つの仕切部材を備え、
前記少なくとも二つの分割排出領域は、前記二つの仕切部材によって仕切られた三つの分割排出領域であり、
前記三つの分割排出領域のうちの、前記排出端部の前記所定範囲の上端に最も近い分割排出領域である第2の分割排出領域に排出される前記白米が、前記二次選別機に供給され、かつ、前記三つの分割排出領域のうちの、前記第1の分割排出領域と前記第2の分割排出領域との間に位置する分割排出領域である第3の分割排出領域に排出される前記白米が、前記二次選別機に供給されないように、前記揺動選別機と前記二次選別機とが接続される
選別システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の選別システムであって、
前記少なくとも一つの仕切部材は、前記第1の分割排出領域が、該第1の分割排出領域を除く前記分割排出領域のいずれよりも、前記排出端部が延在する方向の幅が大きくなるように、前記排出領域を仕切る
選別システム。
【請求項5】
請求項4に記載の選別システムであって、
前記少なくとも一つの仕切部材は、前記排出端部が延在する方向における前記第1の分割排出領域の幅が、前記排出端部が延在する方向における前記排出領域の幅の半分以上を占めるように前記排出領域を仕切る
選別システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の選別システムであって、
前記少なくとも一つの仕切部材は、前記排出端部が延在する方向における前記少なくとも一つの仕切部材の設置位置を変更可能に構成された
選別システム。
【請求項7】
請求項6に記載の選別システムであって、
前記揺動板上に供給される前の前記白米の搬送ラインから前記白米のサンプルを自動的に採取し、該サンプルを撮像して画像データを取得し、該画像データに基づいて砕米の混入状況を計測するように構成された計測装置を備え、
前記少なくとも一つの仕切部材は、前記計測装置による計測結果に応じて、前記設置位置を自動的に変更可能に構成された
選別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長粒種の白米を選別するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
長粒種の米は、粒長が大きいので、短粒種の米に比べて精米工程で砕米が生じやすいが、国によっては、この砕米にもニーズがある。そのような国では、整粒のみの製品に加えて、整粒と砕米とが所望のブレンド比率で混米された製品も流通している。そのようなブレンド米を出荷する精米工場では、精米後の米(具体的には、砕米を含む白米。以下、単に米とも呼ぶ)は、整粒と大砕粒と小砕粒とに選別され、出荷時まで、別々にタンクに貯留される。タンクに貯留された米は、出荷先の要望に応じて、必要な量だけ搬出設備に供給され、出荷される。例えば、整粒のみの米が要望されているときには、整粒のみが搬出設備に供給され、出荷される。あるいは、整粒と砕粒とのブレンド米が要望されているときには、大砕粒および小砕粒の少なくとも一方と、整粒と、が、所望のブレンド比率で混米され、搬出設備に供給され、出荷される。米の選別には、ロータリーシフターと称される篩選別機と、インデントシリンダーと称される粒選別機と、が使用される(例えば、下記の非特許文献1)。
【0003】
具体的には、米は、まず、ロータリーシフターに供給される。ロータリーシフターは、複数の篩を用いて段階的に篩い分けを行うことによって、米を三つの粒径区分(便宜的に、大粒径区分、中粒径区分および小粒径区分と呼ぶ)の米に選別する。大粒径区分の米は、整粒として回収され、整粒用のタンクに貯留される。小粒径区分の米は、小砕粒として回収され、小砕粒用のタンクに貯留される。中粒径区分の米は、多段に設置された複数のインデントシリンダーに供給される。インデントシリンダーの各々は粒長に基づく選別が可能であり、複数のインデントシリンダーによって、中粒径区分の米が、三つの粒長区分(便宜的に、長粒長区分、中粒長区分および短粒長区分と呼ぶ)の米に選別される。長粒長区分の米は、整粒として回収され、整粒用のタンクに貯留される。中粒長区分の米は、大砕粒として回収され、大砕粒用のタンクに貯留される。短粒長区分の米は、小砕粒として回収され、小砕粒用のタンクに貯留される。
【0004】
このような選別システムによれば、整粒、大砕粒および小砕粒が精度良く選別される。このため、出荷先の要望に応じて、整粒のみからなる製品、または、所望のブレンド比率で正確に混米された製品を製造できる。
【0005】
インデントシリンダーは、構造上の制約から、処理能力の上限が比較的小さい。このため、上述の選別システムでは、通常、複数のインデントシリンダーを並列に設置することで(つまり、系列数を増やすことで)、必要な処理能力を確保している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】水野英則,"タイにおけるコメのポストハーベスト技術の現状",農業食料工学会誌,一般社団法人農業食料工学会,2015年9月1日,77巻,5号,p.317-321
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した選別システムは、改善の余地を残している。例えば、上述の選別・出荷工程は、もともと混米状態にあった米を、一旦、精度良く選別するにもかかわらず、再度、混米状態に戻すことになるので、作業効率が悪い。あるいは、ロータリーシフターおよびインデントシリンダーは、メンテナンスおよび清掃に手間が掛かる装置なので、作業員の作業負荷の増大を招いている。特に、インデントシリンダーの系列数が多数である場合には、作業負荷は非常に大きくなる。作業効率が悪いという上述の問題点は、ロータリーシフターの後工程にインデントシリンダーが配置される場合に限らず、ロータリーシフターの後工程に、粒径に基づいて白米を選別可能な任意の形式の二次選別機が配置される場合に共通する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
本発明の第1の形態によれば、選別システムが提供される。この選別システムは、長粒種の白米を選別するのに適しており、揺動選別機と、揺動選別機の後工程に配置される二次選別機と、を備えている。揺動選別機は、水平方向に対して傾斜して配置された揺動板を備えている。揺動板は、揺動されるように構成されるとともに、揺動板上に供給された白米が、揺動板の所定範囲に亘って延在する排出端部から排出されるように構成される。揺動選別機は、さらに、排出端部に隣接するように配置された少なくとも一つの仕切部材を備えている。少なくとも一つの仕切部材は、排出端部から排出される白米を排出端部に沿った位置に応じて区別するために、排出端部に沿った白米の排出領域を少なくとも二つの分割排出領域に仕切る。少なくとも二つの分割排出領域のうちの、排出端部の所定範囲の下端に最も近い分割排出領域である第1の分割排出領域に排出される白米が、二次選別機に供給されず、かつ、少なくとも二つの分割排出領域のうちの、第1の分割排出領域を除く分割排出領域の少なくとも一部に排出される白米が、二次選別機に供給されるように、揺動選別機と二次選別機とが接続される。
【0010】
この選別システムでは、揺動選別機の揺動板上の白米は、揺動板の揺動運動によって、粒径が小さいほど、揺動板の傾斜の上側に移動して、排出端部の上端に近い位置から排出され、粒径が大きいほど、揺動板の傾斜の下側に移動して、排出端部の下端に近い位置から排出される。揺動板から白米が排出される排出領域には少なくとも一つの仕切部材が配置されているので、少なくとも一つの仕切部材の数をN個(Nは自然数)とすると、白米は、排出端部の所定範囲に沿ったこの排出特性に起因して、N+1個の粒径区分に選別される。この揺動選別機は、ロータリーシフターと比べて粒度選別の精度が低いので、少なくとも一つの仕切部材の設置位置次第で、従来の選別システムで選別されていた整粒と大砕粒との混合物を少なくとも二つの分割排出領域のいずれかに排出できる。この混合物が二次選別機に供給されないように選別システムを構成すれば、作業効率を向上できる。具体的には、従来の選別システムでは、ロータリーシフターおよびインデントシリンダーによって白米を整粒と大砕粒とに選別し、その後、整粒と大砕粒とを混米する2段階の工程によって、整粒と大砕粒との混合物を得ていたのに対して、第1の形態では、二次選別機(例えば、インデントシリンダー)を介することなく、揺動選別機において整粒と大砕粒との混合物を得ることができる。つまり、この混合物を取得することに関して混米工程を省略できる。しかも、従来システムではインデントシリンダーへ供給されていた大砕粒の少なくとも一部が、本形態では二次選別機へ供給されないので、二次選別機へ供給される白米の量を低減できる。つまり、二次選別機に必要な処理能力を低減できるので、二次選別機の設置台数を減らしたり、二次選別機のメンテナンス作業の頻度を低減したりできる。その結果、二次選別機に関する作業員の作業負荷を低減できる。この点は、特に、作業員の作業負荷が大きくなるはめあい選別機(例えば、インデントシリンダー)が二次選別機として使用される場合に顕著である。また、二次選別機の前工程で、メンテナンスの負荷が大きいロータリーシフターが使用されないので、作業員の作業負荷を低減できる。
【0011】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、少なくとも一つの仕切部材は、二つの仕切部材を備えている。少なくとも二つの分割排出領域は、二つの仕切部材によって仕切られた三つの分割排出領域である。三つの分割排出領域のうちの、排出端部の所定範囲の上端に最も近い分割排出領域である第2の分割排出領域に排出される白米が、二次選別機に供給されず、かつ、三つの分割排出領域のうちの、第1の分割排出領域と第2の分割排出領域との間に位置する分割排出領域である第3の分割排出領域に排出される白米が、二次選別機に供給されるように、揺動選別機と二次選別機とが接続される。この形態によれば、整粒と大砕粒との混合物が第1の分割排出領域に排出されるように少なくとも一つの仕切部材の位置を設定すれば、第1の分割排出領域に排出される米に関して混米工程を省略できる。また、二次選別機に必要な処理能力を低減できる。
【0012】
本発明の第3の形態によれば、第1の形態において、少なくとも一つの仕切部材は、二つの仕切部材を備えている。少なくとも二つの分割排出領域は、二つの仕切部材によって仕切られた三つの分割排出領域である。三つの分割排出領域のうちの、排出端部の所定範囲の上端に最も近い分割排出領域である第2の分割排出領域に排出される白米が、二次選別機に供給され、かつ、三つの分割排出領域のうちの、第1の分割排出領域と第2の分割排出領域との間に位置する分割排出領域である第3の分割排出領域に排出される白米が、二次選別機に供給されないように、揺動選別機と二次選別機とが接続される。この形態によれば、整粒のみ(または、整粒と、僅かな量の大砕粒と、の混合物)が第1の分割排出領域に排出され、かつ、整粒と大砕粒との混合物が第3の分割排出領域に排出されるように二つの仕切部材の位置を設定すれば、第1の分割排出領域および第2の分割排出領域に排出される米に関して混米工程を省略できる。また、二次選別機に必要な処理能力を低減できる。
【0013】
本発明の第4の形態によれば、第1ないし第3のいずれかの形態において、少なくとも一つの仕切部材は、第1の分割排出領域が、第1の分割排出領域を除く分割排出領域のいずれよりも、排出端部が延在する方向の幅が大きくなるように、排出領域を仕切る。この形態によれば、二次選別機に供給される白米の量をさらに低減できる。
【0014】
本発明の第5の形態によれば、第4の形態において、少なくとも一つの仕切部材は、排出端部が延在する方向における第1の分割排出領域の幅が、排出端部が延在する方向における排出領域の幅の半分以上を占めるように排出領域を仕切る。この形態によれば、二次選別機に供給される白米の量をさらに低減できる。
【0015】
本発明の第6の形態によれば、第1ないし第5のいずれかの形態において、少なくとも一つの仕切部材は、排出端部が延在する方向における少なくとも一つの仕切部材の設置位置を変更可能に構成される。この形態によれば、出荷先のニーズに応じて、整粒のみ、または、所望のブレンド比率の白米を得ることができる。例えば、整粒のみが第1の分割排出領域に排出される態様と、整粒と大砕粒との混合物が第1の分割排出領域に排出される態様と、を切り換えることができる。あるいは、第1のブレンド比率の整粒と大砕粒との混合物が第1の分割排出領域からが排出される態様と、第2のブレンド比率の整粒と大砕粒との混合物が第1の分割排出領域からが排出される態様と、を切り換えることができる。また、白米における砕米の混入状況に応じて、少なくとも一つの仕切部材の設置位置を調節できる。
【0016】
本発明の第7の形態によれば、第6の形態において、選別システムは、さらに、揺動板上に供給される前の白米の搬送ラインから白米のサンプルを自動的に採取し、サンプルを撮像して画像データを取得し、画像データに基づいて砕米の混入状況を計測するように構成された計測装置を備えている。少なくとも一つの仕切部材は、計測装置による計測結果に応じて、設置位置を自動的に変更可能に構成される。この形態によれば、作業員の作業負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による選別システムの概略構成を示す模式図である。
図2】揺動選別機の概略構成を示す模式図である。
図3】各分割排出領域に排出される白米の粒径と、それらの供給先と、の関係を示す図である。
図4】第2実施形態による、各分割排出領域に排出される白米の粒径と、それらの供給先と、の関係を示す図である。
図5】第3実施形態による、各分割排出領域に排出される白米の粒径と、それらの供給先と、の関係を示す図である。
図6】第4実施形態による、各分割排出領域に排出される白米の粒径と、それらの供給先と、の関係を示す図である。
図7】第5実施形態による選別システムの概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態による選別システム10について説明する。図1は、選別システム10の概略構成を示す模式図である。選別システム10は、精米工場において、長粒種(例えば、粒長が6.6mm以上、粒長/粒幅比が3.0以上)の米を選別するために、精米工程の後工程に配置される。図1に示すように、選別システム10は、搬送ライン20と、計測装置30と、ホッパ40と、揺動選別機100と、ホッパ50と、二次選別機の一例としてのインデントシリンダー60と、タンク71~73と、搬出設備80と、制御装置90と、を備えている。搬送ライン20は、精米機(図示省略)によって精米された白米(以下、単に米と呼ぶ)を精米機からホッパ40まで搬送する。
【0019】
搬送ライン20の途中には、計測装置30が配置されている。計測装置30は、サンプル採取機構と、カメラと、判定部と、を備えている。サンプル採取機構は、矢印A1で示すように、搬送ライン20から米のサンプルを自動的に採取する。サンプル採取機構には、任意の公知の機構を使用することができる。サンプル採取機構は、例えば、搬送ライン20との連通状態を開閉可能なシャッタを有するシュートであってもよい。この場合、シャッタが開けられたときに、搬送ライン20上の米の一部がシュートに落下して計測装置30に供給されてもよい。あるいは、サンプル採取機構は、ロボットアームであってもよい。
【0020】
カメラは、採取されたサンプルを撮像して、画像データを取得する。判定部は、画像データに基づいて砕米の混入状況を計測する。具体的には、判定部は、画像データに基づいて米の粒ごとのサイズを検出し、米の各々が整粒であるか、それとも、砕粒(大砕粒と小砕粒とが区別されてもよいし、単に砕粒としてひとまとめにされてもよい)であるかを判定する。そして、判定部は、サンプルの米全体に占める砕粒(大砕粒と小砕粒とが区別されてもよい)の割合を算出する。この判定部の機能は、例えば、メモリに記憶された所定のプログラムをCPUが実行することによって実現される。本実施形態では、計測装置30で計測が行われた米は、矢印A2で示すように、搬送ライン20に戻される。
【0021】
カメラおよび判定部として穀物判別器が使用されてもよい。穀物判別器は周知であり、例えば、特開2016-125867号公報、特開2016-118455号公報、または、米国特許出願公開第2017/350825号明細書に記載された装置であってもよい。
【0022】
搬送ライン20上の米は、矢印A3で示すように、ホッパ40に供給される。ホッパ40に一次的に貯留された米は、矢印A4で示すように、揺動選別機100に定量供給される。揺動選別機100は、一般的にはテーブル形揺動選別機とも称される。
【0023】
図2は、揺動選別機100の概略構成を示す模式図である。揺動選別機100は、複数(図2では七つ)の揺動板110と、モータ120と、2つの仕切部材131,132と、を備えている。複数の揺動板110は、同一の形状を有しており、鉛直方向に並ぶように一つのホルダ115に保持されている。ホルダ115は、略直方体の箱形を有しており、下面と三つの側面とを有している。ホルダ115の上方は開放されている。
【0024】
揺動板110の各々は、略矩形形状を有している。具体的には、揺動板110の各々は、略矩形形状の一辺に平行な第1の方向D1の一方側に位置する第1の端部111と、第1の端部111と反対側(換言すれば、第1の方向D1の他方側)に位置する第2の端部112と、第1の方向D1に直交する第2の方向D2の一方側に位置する第3の端部113と、第3の端部113と反対側(換言すれば、第2の方向D2の他方側)に位置する第4の端部114と、を備えている。第1の端部111、第2の端部112、第3の端部113および第4の端部114は、揺動板110の略矩形形状の外郭を形成している。第1の端部111、第2の端部112および第3の端部113の外側は、ホルダ115の側面によって閉じられている。第4の端部114の外側にはホルダ115の側面は存在しないので、第4の端部114は、外側に対して開放されている。
【0025】
揺動板110の各々は、互いに平行になるように、水平方向に対して傾斜して配置される。具体的には、揺動板110の各々は、第1の端部111および第2の端部112の各々が、第2の方向D2において、第4の端部114から第3の端部113に向かうほど鉛直方向の上方に位置し、かつ、第3の端部113および第4の端部114の各々が、第1の方向D1において、第2の端部112から第1の端部111に向かうほど鉛直方向の上方に位置するように、水平方向に対して傾斜して配置される。換言すれば、揺動板110の各々は、水平方向に対して、少なくとも二つの方向に傾いた状態で配置される。
【0026】
この複数の揺動板110は、揺動されるように構成されている。具体的には、複数の揺動板110を保持するホルダ115は、リンク機構121を介してモータ120に接続されており、モータ120によってホルダ115が揺動されることによって、複数の揺動板110もホルダ115と一体的に揺動される。複数の揺動板110の揺動方向は、第1の方向D1、または、第1の方向D1に対して上下のいずれかに角度付けられた方向とすることができる。換言すれば、揺動方向は、鉛直方向の上方から見て、第1の方向D1と平行な任意の方向とすることができる。典型的には、水平面と揺動方向とのなす角度は、水平面と第1の方向D1とがなす角度よりも大きく設定される。
【0027】
複数の揺動板110の各々の上面は、粗面化されている(換言すれば、凹凸を有するように形成されている)。典型的には、複数の揺動板110の各々の上面には、多数の有底穴が第1の方向D1および第2の方向D2に沿って並ぶように形成されている。この上面の各々には、ホッパ40からの米が個別に供給され、各々の揺動板110から米が個別に排出される。つまり、複数の揺動板110は、並列的に配置されている。揺動板110の数は、揺動選別機100の必要な処理能力に応じて、1以上の任意の数に設定され得る。
【0028】
より具体的には、揺動板110が揺動されている状態において、ホッパ40からの米は揺動板110のうちの第3の端部113付近に供給される。揺動板110は、第2の方向D2に沿って第3の端部113から第4の端部114まで鉛直方向下方に向けて傾斜しているので、第3の端部113付近に供給された米は、重力によって、第4の端部114まで揺動板110上を流下し、最終的に、第4の端部114から外側へ向けて排出される。米は、第4の端部114の第1の方向D1に沿った全体から外部へ排出される。このため、第4の端部114の全体を排出端部114とも呼ぶ。また、排出端部114に沿った、揺動板110から米が排出される領域(つまり、第4の端部114に隣接する、揺動板110と反対側の空間)を排出領域150とも呼ぶ。
【0029】
米が揺動板110上を流下するとき、揺動板110の揺動運動に伴い、相対的に小径の米(つまり、砕粒)は、第1の方向D1において、第1の端部111側(つまり、第1の方向D1に沿った傾斜の上側)に運ばれやすい。一方、相対的に大径の米(つまり、整粒)は、上方に運ばれにくい。つまり、相対的に大径の米は、第1の方向D1において、第2の端部112側(つまり、第1の方向D1に沿った傾斜の下側)に運ばれやすい。このような原理によって、揺動選別機100は、揺動板110上に供給された米が、粒径が小さいほど、排出端部114の上端117(換言すれば、第1の端部111と第4の端部114とが交わる箇所)に近い位置から排出され、粒径が大きいほど、排出端部114の下端116(換言すれば、第2の端部112と第4の端部114とが交わる箇所)に近い位置から排出されるという排出特性を有している。
【0030】
仕切部材131,132は、排出端部114に隣接するように排出領域150に配置されている。仕切部材131,132と排出端部114との間には、仕切部材131,132と、揺動する揺動板110と、が接触しない程度のクリアランスが確保されている。排出領域150に対して揺動板110と反対側には、排出領域150を囲うように排出樋(図示せず)が配置されている。排出領域150は、排出樋と揺動板110との間の空間であるとも言える。
【0031】
仕切部材131,132は、排出端部114に沿った排出領域150を三つの分割排出領域(第1の分割排出領域151、第2の分割排出領域152および第3の分割排出領域153)に仕切っている。第1の分割排出領域151は、三つの分割排出領域のうちの、排出端部114が第1の方向D1に延在する範囲における排出端部114の下端116に最も近い分割排出領域である。第2の分割排出領域152は、三つの分割排出領域のうちの、排出端部114が第1の方向D1に延在する範囲における排出端部114の上端117に最も近い分割排出領域である。第3の分割排出領域153は、三つの分割排出領域のうちの、第1の分割排出領域151と第2の分割排出領域152との間に位置する分割排出領域である。仕切部材131,132が排出領域150を仕切る構成によって、排出端部114から排出される米は排出端部114に沿った位置に応じて区別される。つまり、三つの分割排出領域151,152,153に排出された米は、互いに混ざることなく、排出樋を介して揺動選別機100から個別に排出される。
【0032】
本実施形態では、仕切部材131,132は、第1の方向D1(換言すれば、排出端部114が延在する方向)における仕切部材131,132の設置位置を変更可能に構成される。具体的には、仕切部材131,132には、それぞれ、アクチュエータ141,142(これらは、例えば、ボールネジとモータとの組み合わせ、エアシリンダと電磁弁との組み合わせ、リニアモータなどであってもよい)が接続されている。アクチュエータ141,142は、後述する制御装置90から制御信号を受信して、第1の方向D1における仕切部材131,132の設置位置を変更する。
【0033】
このような揺動選別機100では、上述した排出特性に起因して、分割排出領域151~153の各々から、互いに異なる粒径特性の米を得ることができる。具体的には、分割排出領域151~153の各々に排出される米の粒径は、第1の分割排出領域151からの米、第2の分割排出領域152からの米、第3の分割排出領域153からの米の順に大きい。分割排出領域151~153の各々についての粒径特性は、仕切部材131,132の設置位置によって制御可能である。例えば、仕切部材131が第1の方向D1における排出端部114の下端116の近傍の位置に配置されれば、第1の分割排出領域151からは整粒のみが排出され、第1の方向D1における仕切部材131の設置位置が、下端116と反対の方向に向かうにつれて、第1の分割排出領域151に排出される米への大砕粒の混入率が高くなる。
【0034】
本実施形態では、図3に示すように、第1の分割排出領域151から整粒と大砕粒との混合物が排出され、第3の分割排出領域153から大砕粒が排出され、第2の分割排出領域152から小砕粒が排出されるように、仕切部材131,132の位置が設定される。整粒とは、例えば、選別システム10で処理される米の品種の一般的な粒径値に対して3/4以上の値の粒径を有する米粒として定義されてもよい。大砕粒とは、例えば、上記の一般的な粒径値に対して1/2以上、3/4未満の値の粒径を有する米粒として定義されてもよい。小砕粒とは、上記の一般的な粒径値に対して1/2未満の値の粒径を有する米粒として定義されてもよい。典型的には、揺動選別機100に供給される米に占める整粒の割合は60~70%程度、大砕粒の割合は10~15%である。なお、テーブル形揺動選別機の選別精度は篩選別機の選別精度よりも劣り、実際には、揺動選別機100で選別された米には、意図しない粒径の米も含まれ得る。例えば、揺動選別機100において選別された「大砕粒」には、実際には整粒や小砕粒も含まれ得るが、ここでは、説明の便宜上、第3の分割排出領域153に排出される米を「大砕粒」と呼んでいる。
【0035】
本実施形態では、図2に示すように、第1の方向D1(つまり、排出端部114が延在する方向)における排出領域150の幅をWとし、第1の分割排出領域151の幅をW1とし、第2の分割排出領域152の幅をW2とし、第3の分割排出領域153の幅をW3としたとき、第1の分割排出領域151の幅W1は、他の分割排出領域(すなわち、第2の分割排出領域152および第3の分割排出領域153)の幅W2,W3のいずれよりも大きい。また、第1の分割排出領域151の幅W1は、排出端部114の幅Wの半分以上を占める。こうすれば、第1の分割排出領域151において、整粒と大砕粒との混合物を適切に得ることができる。ただし、幅W1の幅は、第1の分割排出領域151で得られる米に求められる粒度特性、選別システム10で処理される米の品種、精米機の性能(砕米発生率に関係する性能)などに応じて、任意に設定され得る。例えば、第1の分割排出領域151において整粒と大砕粒との混合物を得るために、第1の分割排出領域151の幅W1が排出端部114の幅Wの1/3以上、2/3以下を占めるように、仕切部材131の設置位置が設定されてもよい。
【0036】
ここで説明を図1に戻す。図1および図3に示すように、揺動選別機100によって選別された小砕粒は、矢印A5(図1参照)で示すように、搬出設備80に供給される。搬出設備80は、包装装置と計量装置とを備えているが、混米装置は備えていない。搬出設備80に供給された米は、搬出設備80によって梱包および計量された後、搬出(つまり、出荷)される。同様に、揺動選別機100によって選別された整粒と大砕粒との混合物は、矢印A6(図1参照)で示すように、搬出設備80に供給され、梱包および計量された後、搬出される。本実施形態では、小砕粒(矢印A5)、および、整粒と大砕粒との混合物(矢印A6)は、いずれも、貯留設備を介することなく搬出設備80に直接的に搬送される。このため、選別システム10の装置構成を簡素化できるとともに、搬送ラインを短くできる。
【0037】
一方、揺動選別機100によって選別された大砕粒は、矢印A7(図1参照)で示すように、ホッパ50に供給される。ホッパ50に一次的に貯留された米は、矢印A8で示すように、インデントシリンダー60に定量供給される。インデントシリンダー60は、複数の凹部が周方向および径方向に並んで形成された内面を有する円筒を備えている。この円筒内に米を供給し、円筒が回転すると、凹部内に捕らえられた米が回転方向に持ち上げられる。粒径が大きい米は、相対的に低い位置で凹部から転がり落ちるが、粒径が小さい砕粒は、相対的に高い位置まで持ち上げられ、排出樋内に落下する。例えば、凹部のサイズを整粒のサイズよりも小さくしておけば、整粒は持ち上げられにくく、砕粒のみが持ち上げられるので、整粒と砕粒とを選別することができる。
【0038】
インデントシリンダー60は、多段(図1に示す例では3段)に設置されている。つまり、インデントシリンダー60は、3つの装置を直列に接続することによって、段階的な選別を行うように構成されている。ただし、インデントシリンダー60の段数は、任意に設定可能である。インデントシリンダー60は、必要な処理能力に応じて、複数系列を有するように設置されてもよい。本実施形態では、インデントシリンダー60によって、米が整粒と大砕粒と小砕粒とに選別される。
【0039】
インデントシリンダー60で選別された整粒、大砕粒および小砕粒は、矢印A9で示すように、タンク71~73にそれぞれ供給される。つまり、整粒はタンク71に貯留され、大砕粒はタンク72に貯留され、小砕粒はタンク73に貯留される。タンク71~73内の米は、出荷時まで貯留され、出荷時には、出荷先が望むブレンド比率となるように、搬出設備80に供給される。例えば、整粒:大砕粒:小砕粒=3:1:0のブレンド比率が望まれる場合には、矢印A10で示すように、タンク71から整粒が搬出設備80に供給されるとともに、タンク72から、整粒の1/3の量の大砕粒が搬出設備80に供給され、それらが混合された製品が搬出設備80を介して出荷される。あるいは、整粒のみが望まれる場合には、タンク71から整粒が搬出設備80に供給され、整粒のみの製品として搬出設備80を介して出荷される。本実施形態では、タンク71~73からの米は、直接的に搬出設備80に供給されるが、タンク71~73と搬出設備80との間に混米装置が配置されてもよい。
【0040】
このような選別システム10の各設備の動作は、制御装置90によって制御される。制御装置90は、CPUとメモリとを備えており、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって、必要な機能を実現する。代替的には、制御装置90の機能は、専用回路によって実現されてもよいし、専用回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。また、制御装置90の機能は、二つ以上の制御装置に分散配置されてもよい。
【0041】
制御装置90は、仕切部材位置制御部としても機能する。仕切部材位置制御部は、計測装置30による計測結果に応じて、第1の方向D1における仕切部材131,132の位置を自動的に変更可能に構成される。具体的には、仕切部材位置制御部は、揺動選別機100の運転開始前に、制御装置90のユーザインタフェースを介して、整粒と大砕粒との所望の混合比(以下、目標混合比とも呼ぶ)を受け付ける。また、仕切部材位置制御部は、計測装置30から砕粒割合の計測値を取得する。そして、仕切部材位置制御部は、取得した計測値に応じて、アクチュエータ141を制御して、第1の分割排出領域151に排出される米の整粒と大砕粒との混合比が目標混合比に近づくように仕切部材131の位置を変更する。さらに、仕切部材位置制御部は、取得した計測値に応じて、アクチュエータ142を制御して、小砕粒と大砕粒とが正確に選別される方向に仕切部材132の位置を変更する。目標混合比と、砕粒割合の計測値と、仕切部材131,132の位置と、の関係は、実験等によって予め定められ、関数やテーブルなどの形態でメモリに記憶されていてもよい。
【0042】
上述した選別システム10によれば、従来の選別システムと比べて、種々の効果が得られる。例えば、従来の選別システムで使用されていたロータリーシフターでは、篩網が破れる恐れがあるので、また、篩網が目詰まりすると、選別性能が低下するので、点検を頻繁に行う必要があり、作業員の作業負荷が大きい。一方、選別システム10では、ロータリーシフターに代えて、ロータリーシフターほどの点検頻度を必要としない揺動選別機100が使用されるので、作業員の作業負荷を低減できる。
【0043】
さらに、選別システム10によれば、揺動選別機100の第1の分割排出領域151からは、整粒と大砕粒との混合物が排出される。この混合物は、インデントシリンダー60に供給されることなく、搬出設備80へ導かれ、出荷される。したがって、第1の分割排出領域151に排出される米については、従来の選別システムのような選別後の混米工程を必要としないので、作業効率を向上できる。しかも、第1の分割排出領域151に排出される米に関して混米工程がなくなることにより、米の搬送ラインを短くでき、その結果、搬送に伴う米の損傷を抑制できる。
【0044】
インデントシリンダーは、米が供給される円筒の内面に形成された凹部に糠が付着して蓄積していくと、選別性能が低下するので、点検および清掃を頻繁に行う必要があり、作業員の作業負荷が大きい。しかしながら、選別システム10によれば、第1の分割排出領域151に排出される米に含まれる大砕粒(この大砕粒は、従来の選別システムではインデントシリンダーへ供給されていた)は、インデントシリンダー60へ供給されないので、その分だけインデントシリンダー60の必要処理能力を低減できる。このため、必要処理能力の低減分だけインデントシリンダー60の設置台数を減らせば、作業員の作業負荷を低減できる。あるいは、従来の選別システムと同等の数のインデントシリンダー60が設置される場合であっても、必要処理能力分の設置台数のインデントシリンダー60のみを稼働させれば、稼働されていないインデントシリンダー60については、点検および清掃の頻度を低減でき、その結果、作業員の作業負荷は低減される。
【0045】
さらに、選別システム10によれば、仕切部材131の設置位置を変更可能であるから、出荷先のニーズおよび処理対象物の砕粒割合に応じて、整粒と大砕粒との所望のブレンド比率の白米を得ることができる。また、仕切部材132の設置位置を変更可能であるから、処理対象物の砕粒割合に応じて、大砕粒と小砕粒とを精度良く選別できる。特に、本実施形態では、計測装置30の計測結果に基づいて仕切部材131,132の位置を自動的に変更可能であるから、作業員の作業負荷を低減できる。
【0046】
出荷先が整粒のみの製品を希望する場合には、仕切部材131は、第1の分割排出領域151から実質的に整粒のみが排出される位置に配置されてもよい。この場合、第3の分割排出領域153からは、実質的に大砕粒のみが排出され、この大砕粒が、インデントシリンダー60を介することなく搬出設備80に供給されてもよい。この態様では、従来の選別システムと比べて、インデントシリンダー60に供給される米の量は実質的に低減されないが、第1の分割排出領域151に排出される整粒は、貯留タンクを介することなく搬出設備80に導かれるので、従来の選別システムと比べて、選別システム10の装置構成を簡素化できるとともに、搬送ラインを短くできる。
【0047】
本発明の第2実施形態について、図4を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ以下に説明する。第2実施形態では、図4に示すように、仕切部材131は、第1の分割排出領域151に整粒のみが排出される第1の方向D1の位置に配置される。また、仕切部材132は、第2の分割排出領域152に大砕粒と小砕粒との混合物が排出され、かつ、第3の分割排出領域153に整粒と大砕粒との混合物が排出される第1の方向D1の位置に配置される。換言すれば、仕切部材131,132の各々は、第1実施形態と比べて、第1の方向D1における下端116寄りの位置に配置される。
【0048】
第1の分割排出領域151に排出される整粒は、インデントシリンダー60を介することなく搬出設備80に供給される。同様に、第3の分割排出領域153に排出される整粒と大砕粒との混合物も、インデントシリンダー60を介することなく搬出設備80に供給される。一方、第2の分割排出領域152に排出される大砕粒と小砕粒との混合物は、インデントシリンダー60に供給される。
【0049】
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。例えば、第1の分割排出領域151および第3の分割排出領域153に排出される米については、従来の選別システムのような選別後の混米工程を必要としないので、作業効率を向上できるとともに、米の搬送ラインを短くできる。また、第3の分割排出領域153に排出される米に含まれる大砕粒(この大砕粒は、従来の選別システムではインデントシリンダーへ供給されていた)は、インデントシリンダー60へ供給されないので、その分だけインデントシリンダー60の必要処理能力を低減できる。
【0050】
本発明の第3実施形態について、図5を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ以下に説明する。第3実施形態では、第1実施形態の仕切部材131,132に代えて、単一の仕切部材230が使用される。図5に示すように、仕切部材230は、排出領域250(第1実施形態の排出領域150に相当)を、排出端部114の傾斜の下側に対応する第1の分割排出領域251と、傾斜の上側に対応する第2の分割排出領域252と、に分割する。仕切部材230は、第1の分割排出領域251に整粒と大砕粒との混合物が排出され、かつ、第2の分割排出領域252に大砕粒と小砕粒との混合物が排出される第1の方向D1の位置に配置される。第1の分割排出領域251に排出される整粒と大砕粒との混合物は、インデントシリンダー60を介することなく搬出設備80に供給される。一方、第2の分割排出領域252に排出される大砕粒と小砕粒との混合物は、インデントシリンダー60に供給される。
【0051】
この第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。例えば、第1の分割排出領域251に排出される米については、従来の選別システムのような選別後の混米工程を必要としないので、作業効率を向上できるとともに、米の搬送ラインを短くできる。また、第1の分割排出領域251に排出される米に含まれる大砕粒(この大砕粒は、従来の選別システムではインデントシリンダーへ供給されていた)は、インデントシリンダー60へ供給されないので、その分だけインデントシリンダー60の必要処理能力を低減できる。
【0052】
本発明の第4実施形態について、図6を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ以下に説明する。第4実施形態では、第1実施形態の仕切部材131,132に代えて、三つの仕切部材331,332,333が使用される。図6に示すように、仕切部材331,332,333は、排出領域350(第1実施形態の排出領域150に相当)を、第1の分割排出領域351と第2の分割排出領域352と第3の分割排出領域353と第4の分割排出領域354とに分割する。第1の分割排出領域351は、排出端部114の傾斜の最も下側に対応しており、第2の分割排出領域352は、傾斜の最も上側に対応している。第3の分割排出領域353は、第1の分割排出領域351に隣接しており、第4の分割排出領域354は、第2の分割排出領域352に隣接している。
【0053】
仕切部材331~333は、第1の分割排出領域351に整粒のみが排出され、第3の分割排出領域353に整粒と大砕粒との混合物が排出され、第4の分割排出領域354に大砕粒のみが排出され、第2の分割排出領域352に小砕粒のみが排出される第1の方向D1の位置に配置される。第1の分割排出領域351に排出される整粒は、インデントシリンダー60を介することなく搬出設備80に供給される。同様に、第3の分割排出領域353に排出される整粒と大砕粒との混合物は、インデントシリンダー60を介することなく搬出設備80に供給される。同様に、第2の分割排出領域352に排出される小砕粒は、インデントシリンダー60を介することなく搬出設備80に供給される。一方、第4の分割排出領域354に排出される大砕粒は、インデントシリンダー60に供給される。
【0054】
この第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。例えば、第1の分割排出領域351および第3の分割排出領域353に排出される米については、従来の選別システムのような選別後の混米工程を必要としないので、作業効率を向上できるとともに、米の搬送ラインを短くできる。また、第3の分割排出領域353に排出される米に含まれる大砕粒(この大砕粒は、従来の選別システムではインデントシリンダーへ供給されていた)は、インデントシリンダー60へ供給されないので、その分だけインデントシリンダー60の必要処理能力を低減できる。
【0055】
本発明の第5実施形態について、図7を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ以下に説明する。第5実施形態による選別システム410は、第1実施形態の選別システム10に加えて、切換バルブ411,412を備えている。切換バルブ411は、第3の分割排出領域153に排出される米の供給先を、搬出設備80(矢印A71で示す)とインデントシリンダー60(矢印A72で示す)との間で切り換え可能に構成される。切換バルブ412は、第2の分割排出領域152に排出される米の供給先を、搬出設備80(矢印A51で示す)とインデントシリンダー60(矢印A52で示す)との間で切り換え可能に構成される。
【0056】
この第5実施形態によれば、揺動選別機100と搬出設備80とインデントシリンダー60との接続形態を、出荷先の要望に応じて、図3に示した第1実施形態による接続形態と、図4に示した第2実施形態による接続形態と、の間で切り換えることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0058】
例えば、仕切部材131,132の位置を自動的に変更可能な構成に代えて、または、加えて、仕切部材131,132の位置は手動で変更可能であってもよい。この場合、公知の任意の位置変更・固定構造(例えば、長穴と、それを貫通する凸部と、の嵌合構造、ネジによる固定など)を採用することができる。代替実施形態では、仕切部材131,132の位置は固定されていてもよい。
【0059】
さらに、揺動選別機100からインデントシリンダー60を介さずに搬出設備80に至る搬送ルート上に、貯留タンクが配置されてもよい。この場合、貯留タンクをバイパスして搬出設備80に至る搬送ルートが併設され、切換バルブによって、揺動選別機100からの搬送先が、貯留タンクと搬出設備80との間で切り換えられてもよい。
【0060】
さらに、第2実施形態(図4)において、第1の分割排出領域151に整粒と大砕粒との混合物が排出されてもよい。この場合、第1の分割排出領域151に排出される米に占める大砕粒の割合は、第3の分割排出領域153に排出される米に占める大砕粒の割合よりも小さくてもよい。つまり、ブレンド比率が異なる二種類の混合物が得られるように、仕切部材131,132の位置が設定されてもよい。
【0061】
さらに、揺動選別機100の後工程に配置される二次選別機として、インデントシリンダー60(シリンダー型はめあい選別機)に代えて、他の形式のはめあい選別機(例えば、ディスク型)が使用されてもよく、あるいは、粒径に基づいて白米を選別可能な任意の形式の選別機が使用されてもよい。そのような構成であっても、従来の選別システムと比べて、作業効率を向上できる。
【符号の説明】
【0062】
10,410...選別システム
20...搬送ライン
30...計測装置
40,50...ホッパ
60...インデントシリンダー
71,72,73...タンク
80...搬出設備
90...制御装置
100...揺動選別機
110...揺動板
111...第1の端部
112...第2の端部
113...第3の端部
114...第4の端部(排出端部)
115...ホルダ
116...下端
117...上端
120...モータ
121...リンク機構
131,132,230,331,332,333...仕切部材
141,142...アクチュエータ
150,250,350...排出領域
151,251,351...第1の分割排出領域
152,252,352...第2の分割排出領域
153,353...第3の分割排出領域
354...第4の分割排出領域
411,412...切換バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7