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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108592
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】微細気泡発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/40 20220101AFI20220719BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20220719BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20220719BHJP
【FI】
B01F5/06
B01F3/04 A
B01F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003676
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】504077308
【氏名又は名称】安斎 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安斎 聡
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB07
4G035AC26
4G035AC44
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】部品点数を減らしつつ、液流の流速を下げることなく液流を螺旋状に流すことができる微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】微細気泡発生装置1は、液体を流す管25と、管25へ気体を圧送するための圧縮装置22と、圧縮装置22により圧送された気体を微細気泡として管25内の液体へ放出する気泡発生媒体23とを備える微細気泡発生装置であって、気泡発生媒体23は、炭素系の多孔質素材で形成されており、管25は、円筒形の側面25aと、円形の両端面25bを有し、側面25aに液流流入口25cを設け、液流流入口25cからの液流が誘導されるように円柱状のガイド部材30を配置し、ガイド部材30は、螺旋形状のガイド溝30baを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を流す管と、前記管へ気体を圧送するための圧縮装置と、前記圧縮装置により圧送された気体を微細気泡として前記管内の液体へ放出する気泡発生媒体とを備える微細気泡発生装置であって、
前記気泡発生媒体は、炭素系の多孔質素材で形成されており、
前記管は、円筒形の側面と、円形の両端面を有し、前記側面に液流流入口を設け、前記液流流入口からの液流が誘導されるように円柱状のガイド部材を配置し、前記ガイド部材は、螺旋形状のガイド溝を有する、ことを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、外壁と内壁からなる二重壁構造を有しており、液流に対向する外壁の一部に切欠き部が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記液流流入口は、管の側面であって、前記気泡発生媒体の軸心からずれた位置と対向して設けられている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の微細気泡発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直径が数百nm~数十μmのマイクロバブルやナノバブル等の微細気泡を発生させる微細気泡発生装置が公知となっている。微細気泡は汚染水の浄化や、魚介類の養殖などに用いられ、水質の改良に有用であることが知られている。
【0003】
微細気泡発生装置による微細気泡の発生方法としては、旋回液流方式や、加圧溶解方式、オリフィスやベンチュリ管方式、超音波振動方式や、微細孔フィルタを用いた方式等が公知となっている。例えば、特許文献1に記載された微細気泡発生装置においては、気体供給路を介して気体を気泡発生媒体の内部空間に圧送し、気泡発生媒体は高密度複合体で形成され、圧送された気体が気泡発生媒体の表面から離間され、微細気泡を発生させるものである。
【0004】
また、特許文献2に記載された微細気泡発生装置においては、気体収納管と、気体収納管を覆う円筒状の外殻層と、気体収納管の一部に多孔質部材が配設され、多孔質部材と前記外殻槽の内周面との間に狭い隙間を形成し、多孔質部材を介して前記気体収納管内の気体を隙間に放出させ、隙間を高速で流れる液体によって気泡を多孔質部材の表面から引き離し、直後に前記液体の流れの圧力を急速に解放することによって微細な気泡を生成する方法が示されている。また、特許文献2に記載された微細気泡発生装置によれば、水を外殻槽内において、螺旋状のカレント制御板によって高速の旋回流とすることで、狭い隙間において多孔質部材から放出された気泡を、高速旋回する水(液体)によって多孔質部材の表面から引き離し、液体に混じって旋回を続けたまま微細気泡を生成する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-167404号公報
【特許文献2】特開2020-189283号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の微細気泡発生装置においては、外殻層にカレント制御板を設ける必要があり、外殻層の製作工程において追加の工程が必要となっていた。また、カレント制御板が複数設けられていることにより、下流に向かうにつれて液流とカレント制御板との間で摩擦が起こり、流速が下がる可能性があった。またカレント制御板を管の外殻層に配置した場合、液流に含まれる髪の毛などのゴミや浮遊物がカレント制御板で滞留し、液通路の断面積が狭くなる可能性があった。
【0007】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、部品点数を減らしつつ、液流の流速を下げることなく液流を螺旋状に流すことができる微細気泡発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、本発明においては、液体を流す管と、前記管へ気体を圧送するための圧縮装置と、前記圧縮装置により圧送された気体を微細気泡として前記管内の液体へ放出する気泡発生媒体とを備える微細気泡発生装置であって、前記気泡発生媒体は、炭素系の多孔質素材で形成されており、前記管は、円筒形の側面と、円形の両端面を有し、前記側面に液流流入口を設け、前記液流流入口からの液流が誘導されるように円柱状のガイド部材を配置し、前記ガイド部材は、螺旋形状のガイド溝を有するものである。
【0010】
また、本発明においては、前記ガイド部材は、外壁と内壁からなる二重壁構造を有しており、液流に対向する外壁の一部に切欠き部が設けられるものである。
【0011】
また、本発明においては、前記液流流入口は、管の側面であって、前記気泡発生媒体の軸心からずれた位置と対向して設けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
本発明においては、らせん状のガイド溝を設けたガイド部材を管の内部に配設することにより、管の内周面に加工を施すことなく、液流を螺旋状に旋回させることができるので、作業工程を追加することが無い。また、ガイド部材は管の上流側の一部にのみ設けられるため、制御板を管全体に配置した場合と比較して、液流を分断するような仕切りが全体的に設けられることがなくなり、液流と衝突する機会が少なくなり、液流の速度を低下させることなく微細気泡発生媒体の表面上を螺旋状に流すことができる。また、制御板を設ける場合と比較して髪の毛や浮遊物などの固体が引っかかる機会が減少し、液体の流れをスムーズにすることができる。また、ガイド部材は、管や気泡発生媒体から容易に取り外すことができるので、洗浄分解が行いやすくなった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態に係る微細気泡発生装置を示す概略図。
図2】本発明の第一の実施形態に係る気泡発生媒体を示す正面一部断面図。
図3】本発明の第一の実施形態に係る気泡発生媒体を示す平面図。
図4】本発明の第一の実施形態に係る気泡発生媒体を示す正面一部拡大図。
図5】本発明の第一の実施形態に係るガイド部材を示す正面図。
図6】本発明の第一の実施形態に係るガイド部材を示す左側面図。
図7】本発明の第一の実施形態に係るガイド部材を示す右側面図。
図8】本発明の第一の実施形態に係るガイド部材を示す背面図。
図9】本発明の第一の実施形態に係る液体通路部と第一壁部との面積比を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の一実施形態にかかる微細気泡発生装置1の全体構成について図1を用いて説明する。
微細気泡発生装置1は、養殖用または排水処理用の微細気泡発生装置であり、液体中において微細気泡を発生させるための装置である。ここで微細気泡とは、常温常圧化においてサイズ(直径)が100μm未満の気泡を意味する。微細気泡発生装置1は、図1に示すように、気体を溶存または共存させた液体を貯留槽11へ供給する装置であり、液体を流す通路21と、通路21を流れる液体中に気体を圧送するための圧縮装置22と、圧縮装置22により圧送された気体を微細気泡として通路21内の液体へ放出する気泡発生媒体23とを備える。
【0016】
貯留槽11は、気体を溶存させた、または微細気泡として共存させた液体を貯留する槽である。
ここで、溶存とは、液体内に気体が溶解して存在する状態を意味する。また、共存とは、気体が液体内に微細気泡として存在する状態を意味する。
貯留槽11に貯留される液体は、養殖用の微細気泡発生装置1であれば、海水や、河川や湖沼などの淡水であり、排水処理用の微細気泡発生装置1であれば、海水や、河川や湖沼などの淡水や、生活排水や、工業排水等である。
また、貯留槽11に供給される気体は、養殖用の微細気泡発生装置1であれば、空気、酸素、オゾンまたは過酸化水素などであり、排水処理用の微細気泡発生装置1であれば、酸化作用を有する基体であり、例えば、酸素、オゾンまたは過酸化水素である。
【0017】
養殖用の微細気泡発生装置1においては、貯留槽11内において、魚介類を養殖する。気体を溶存させた、または微細気泡として共存させた液体内において魚介類を養殖することにより、魚介類の排泄物を分解する好気性のバクテリア等を活性化させることができ、液体を浄化させることができる。また、主に酸素が十分に供給されることで、養殖する魚介類の免疫力が向上し、魚介類の成長を促進させることができる。
【0018】
排水処理用の微細気泡発生装置1においては、貯留槽11内において、排水を処理する。気体を溶存させた、または微細気泡として共存させた液体内において排水を処理することにより、排水中の有機物を分解するバクテリア等を活性化させることができ、液体を浄化させることができる。
【0019】
通路21は、液体を通すための部材である。通路21は、液体の流れにおける上流側端部が、液体タンクや、海、河川等に連結されている。また、通路21の中途部は、管25で構成されている。
【0020】
圧縮装置22は、気泡発生媒体23へ気体を圧送するための装置である。圧縮装置22は、本実施形態においては、気体を貯蔵する気体貯蔵容器22Aと、逆止弁22Bとから構成されている。
【0021】
気泡発生媒体23は、図1から図3に示すように、通路21の中途部を構成する管25の内部に配置されている。気泡発生媒体23は、管25の液体が流れる方向(図2の黒塗り矢印方向)に対して平行となるように配置されている。
【0022】
また、気泡発生媒体23は、炭素系の多孔質素材で構成されており、図4に示すように、直径数μm~数十μmの細かな孔23Aを多数有している。また、気泡発生媒体23は導電体であり、気泡発生媒体23から発生する気泡は負の電荷が帯電される。言い換えれば、導電体である気泡発生媒体23を通過する際に微細気泡に自由電子が付加されることにより、負の電荷が帯電するものである。この負の電荷により、気泡同士が互いに反発し、合体して大きな気泡になることを防ぐことができる。
炭素系の多孔質素材とは、炭素のみ若しくは炭素及びセラミックを含む複合素材であり、無機質の素材である。また、炭素系の多孔質素材の表面には、厚さ数nmの膜が形成されている。前記膜はケイ素を含む無機質の膜で形成されている。
【0023】
また、気泡発生媒体23は、図2及び図3に示すように、円柱状に形成されており、その内部に内部空間として気泡発生媒体内通路27が形成されている。気泡発生媒体内通路27は、気泡発生媒体23の内部に設けられ、円柱の断面中心部に設けられている。気泡発生媒体内通路27は、気泡発生媒体23の軸方向と平行に設けられており気体が上流方向から下流方向へ直進するように形成されている。
【0024】
気泡発生媒体23の下流側端部23aは下流側に向かうほど径が小さくなるようにテーパ加工が施されている。下流側端部23aの傾斜角度は、30度から45度になるように形成されている。
【0025】
管25は円筒状に形成されており、円筒形の側面25aと、円形の両端面25bを有している。すなわち、管25は側面25a及び両端面25bによって閉鎖されている。側面25aには液流流入口25cを設けられている。液流流入口25cは、液体をくみ上げて圧送する圧送ポンプ17と連結しており、圧送された液体が液流流入口25cから管25の内部へと送られる。図3に示すように、液流流入口25cは、管25の側面25aであって、平面視において軸心と直交する方向からずれた位置に設けられている。すなわち軸心に対して前後方向に所定の長さずれた位置に配置されている。言い換えれば、液流流入口25cは、気泡発生媒体23の軸心からずれた位置と対向して設けられている。これにより、液流流入口25cから入った液体は、気泡発生媒体23の軸心に向かう方向へは流れず、側面25aに沿って渦巻き状に回転しながら下流側へと流れやすくなる。
【0026】
管25は、硬質ポリ塩化ビニルやポリエチレンなどの硬質樹脂で構成されている。また、管25は炭素系の多孔質素材で構成されてもよい。ここで、炭素系の多孔質素材とは、炭素のみ若しくは炭素及びセラミックを含む複合素材であり、無機質の素材である。炭素系の多孔質素材で構成されることにより、硬質樹脂で形成する場合と比べて耐腐食性や、耐酸性が向上する。
【0027】
管25の下流側端部25dは、気泡発生媒体23の下流側端部の傾斜角に合わせて、下流側に向かうにつれて内径が小さくなるように加工されている。下流側端部25dの傾斜角度は、気泡発生媒体23の下流側端部23aの傾斜角度と等しくなるように形成されており、30度から45度になるように形成されている。
【0028】
また、管25の上流側の端面25bには、円柱状のガイド部材30が設けられている。ガイド部材30は、管25の内径と同等の外径を有しており、管25の端面25bを封止する役割も果たす部材である。
【0029】
図5から図8に示すように、ガイド部材30は二重円筒構造となっており、最も内側に、気泡発生媒体内通路27と連結する気体流入孔30aが設けられている。そして気体流入孔30aの外周には、第一壁部30bが設けられており、第一壁部30bの外周に、液流が流れる液体通路部30cが設けられている。第一壁部30bの径方向外側表面には、液流を螺旋状に回転させるためのガイド溝30baが形成されている。
【0030】
ガイド部材30は、管25の軸方向長さに対して20%以下の長さとなるように形成されている。これにより、液流がガイド部材に接触する機会を最低限確保して、液流を螺旋状に誘導することが可能となる。
【0031】
ガイド溝30baは、第一壁部30bの表面に螺旋状に形成されている。本実施形態においては、ガイド溝30baは第一壁部30bを切削加工することにより形成されている。なお、ガイド溝30baの製造過程は切削加工のみならず金型を用いたプレス加工により形成することも可能である。
【0032】
液体通路部30cの外側には第二壁部30dが設けられている。第一壁部30bと第二壁部30dとは、円形状に形成された上流端壁部30eに連結されている。上流端壁部30eは気体流入孔30aと連通しており、気体流入孔30aは管25の上流端において、圧縮装置22と連結する気体通路55と連結する。
【0033】
また、上流端壁部30eによって液体通路部30cは、管25の上流端から遮蔽されている。このように構成することにより、液体はガイド部材30の上流側へは通過できないように規制される。また、第二壁部30dの軸方向中途部から下流側に向けて切欠き部30fが設けられている。切欠き部30fは、管25の液流流入口25cと対向する位置に第二壁部30dが設けられないように構成されている。
【0034】
このように構成することにより、液流流入口25cから流入した液流は、切欠き部30fを通過して第一壁部30bに沿って下流側へと流れる。第一壁部30bにはガイド溝30baが形成されているので液流は螺旋状になって下流へと流れやすくなる。このように、ガイド部材30を設けることにより、液流流入口25cから流入する液体の流れを螺旋状に誘導することができる。そして下流側においてもガイド部材30で作成された螺旋状の流れを維持しながら液体が流れていくので、液流と気泡発生媒体との接触機会が増加することとなる。また、液体の流れは、板材などによって妨げられていないので、流速を維持しながら接触機会を増加させることができるのである。
【0035】
また、図9に示すように、液体通路部30cの軸方向と直交する面の断面積(図9における縦線で描かれた面積A1)と、第一壁部30bの軸心から外周面までの距離を半径とした円の断面積との面積比(図9における横線で描かれた面積A2)は、1:1以上であって2:1以下となるように構成されている。このように構成することにより、液流流入口25cから流入してきた液体が、第一壁部30bと第二壁部30dとに誘導されながららせん状に流れやすくなる。
【0036】
ガイド部材30の気泡発生媒体23との連結部には、嵌合構造が採用されている。詳しくは、ガイド部材30の気体流入孔30aの下流側端部が拡径しており嵌合溝30gを形成している。また、気泡発生媒体23の上流側端部には、嵌合突起23bが設けられている。嵌合突起23bと嵌合溝30gとの嵌合面には、シール部材35が設けられている。
【0037】
シール部材35は、円環状に構成されており、気体が嵌合構造から漏れるのを防止する部材である。また、シール部材35を介して嵌合構造を組み付けることにより、ガイド部材30をねじやボルトなどで気泡発生媒体23に固定する必要がなくなる。また、取り外しする際も嵌合構造を外せばよいので洗浄するための分解が容易に行える。ねじやボルトを用いずにガイド部材30と気泡発生媒体23とを連結させることができるので、海水中などの金属が腐食しやすい環境下でも微細気泡発生装置1を配置することができる。このように、結合部を嵌合構造で構成することにより、シール部材を設ける部分を小さくすることができ気体が漏れにくくなる。
【0038】
次に、微細気泡発生装置1による微細気泡の発生方法について説明する。本実施形態においては、液体として、河川等の水源の水を用いて、気体として酸素を用いた微細気泡の発生方法について説明する。
まず、圧縮装置22から酸素を圧送する。圧縮装置22から圧送された酸素は、気体通路55を通って通路21内へと送られる。通路21の管25上流端部にはガイド部材30が設けられており、酸素はガイド部材30の気体流入孔30aを通って気泡発生媒体23内の気泡発生媒体内通路27へ供給される。
【0039】
一方、河川等の水源の水は、圧送ポンプ17によって汲み上げられ、管25の側面25aに設けられた液流流入口25cから管25の内部へと送られる。液流流入口25cから流入した液流は、切欠き部30fを通過して第一壁部30bに沿って下流側へと流れる。第一壁部30bにはガイド溝30baが形成されているので液流は螺旋状になって下流へと流れやすくなる(図2の黒矢印参照)。螺旋状になって下流へ流れる液流は、気泡発生媒体23の表面に沿いながらさらに下流側へと送られる。
【0040】
気泡発生媒体内通路27へ供給された酸素は、気泡発生媒体23に設けられた直径数μm~数十μmの細かな孔23Aを通って、微細気泡となり液体中へ放出される。液体中へ放出される微細気泡は、気泡発生媒体23表面に放出された瞬間に、周りの液体の流れ(図3の矢印方向の流れ)によって、表面から離間される。このとき、液体はガイド部材30によって螺旋状に流れているので、気泡発生媒体23表面と、液流との接触機会が液流が直進する場合と比較して多くなり微細気泡が離間しやすくなる。
【0041】
また、気泡発生媒体23の下流側端部と管25の下流側端部が下流側に向かうにつれて径が小さくなるように加工されているため、管25を流れていた螺旋流が管25の中心へと集まってくるので流速が落ちずに旋回流の径が小さくなり、より効率よく微細気泡が発生するようになる。また、気泡発生媒体23の下流側端部の傾斜角度と管25の下流側端部の傾斜角度とが等しいことにより気泡発生媒体23と管25との間の距離が一定となり流体の流れる部分の断面積が一定となる。これにより、流速が変化し難くなり、流速を下げることなく管25から放出することができるのである。
【0042】
このように構成することにより、後から発生する微細気泡や周辺の孔23Aから発生する微細気泡と合体することなく単独で液体中へ移動することとなる。また、養殖用の微細気泡発生装置1においては、強力なポンプを用いる必要が無いため、水中で発生する騒音を抑えることができ、魚介類へのストレスを軽減することができる。
【0043】
このように、養殖用の微細気泡発生装置の場合は、貯留槽11において、気体を溶存または共存させた液体内において魚介類を養殖する。
また、排水処理用の微細気泡発生装置の場合は、貯留槽11において、気体を溶存または共存させた液体を貯留し、液体中に溶存させた、または微細気泡として共存させた気体の作用により、貯留した液体を浄化するものである。より詳細には、液体中に溶存させた、または微細気泡として共存させた気体の作用により、排水中の有機物を分解するバクテリア等を活性化させることができ、液体を浄化させることができる。
【0044】
以上のように、微細気泡発生装置1は、液体を流す管25と、管25へ気体を圧送するための圧縮装置22と、圧縮装置22により圧送された気体を微細気泡として管25内の液体へ放出する気泡発生媒体23とを備える微細気泡発生装置であって、気泡発生媒体23は、炭素系の多孔質素材で形成されており、管25は、円筒形の側面25aと、円形の両端面25bを有し、側面25aに液流流入口25cを設け、液流流入口25cに連結するように、円柱状のガイド部材30を配置し、ガイド部材30は、螺旋形状のガイド溝30baを有するものである。
【0045】
このように構成することにより、気泡発生媒体23を炭素系素材の多孔質部材で形成したことにより、液体ジェットノズルなどで液体流を発生させることなく、多量の微細気泡を発生させることができる。また、ガイド部材30を設けることにより、液流流入口25cから流入する液体の流れを螺旋状に誘導することができる。そして下流側においてもガイド部材30で作成された螺旋状の流れを維持しながら液体が流れていくので、液流と気泡発生媒体23との接触機会が増加することとなる。また、液体の流れは、板材などによって妨げられていないので、流速を維持しながら接触機会を増加させることができるのである。
【0046】
また、ガイド部材30は、第一壁部30bと第二壁部30dからなる二重壁構造を有しており、液流に対向する第二壁部30dの一部に切欠き部30fが設けられている。
このように構成することにより、液流流入口25cから管25の内部へと入った液流が第二壁部30dを通過して第一壁部30bの外側表面に設けられたガイド溝30baに沿って螺旋状に流れることとなる。これにより、ガイド部材30で液流流入口25cから流入する液体の流れを螺旋状に誘導することができる。
【0047】
また、液流流入口25cは、管25の側面25aであって、気泡発生媒体23の軸心からずれた位置と対向して設けられているものである。
このように構成することにより、液流流入口25cから入った液体は、気泡発生媒体23の軸心に向かう方向へは流れず、側面25aに沿って渦巻き状に回転しながら下流側へと流れやすくなる。これにより、気泡発生媒体23と液流との接触機会が増加し効率的に微細気泡を発生させることが可能となるのである。
【符号の説明】
【0048】
1 微細気泡発生装置
11 貯留槽
17 圧送ポンプ
21 通路
22 圧縮装置
22A 気体貯蔵容器
22B 逆止弁
23 気泡発生媒体
23A 孔
23a 下流側端部
25 管
25a 側面
25b 端面
25c 液流流入口
25d 下流側端部
27 気泡発生媒体内通路
30 ガイド部材
30a 気体流入孔
30b 第一壁部
30ba ガイド溝
30c 液体通路部
30d 第二壁部
30e 上流側壁部
30f 切欠き部
55 気体通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9