IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

特開2022-108597ゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法
<>
  • 特開-ゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法 図1
  • 特開-ゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法 図2
  • 特開-ゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法 図3
  • 特開-ゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108597
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】ゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
B29D30/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003686
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】北村 啓介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 琢馬
(72)【発明者】
【氏名】井手 豪
(72)【発明者】
【氏名】川迫 義孝
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AM32
4F215AR08
4F215VA02
4F215VA11
4F215VD09
4F215VD12
4F215VK02
4F215VL11
4F215VM01
4F215VM06
4F215VP11
4F215VP30
4F215VP34
4F215VR01
4F215VR03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一次複合ゴム部材のだぶつきを抑え、ゴム部材の変形や圧着不良を防止することができるゴム部材の貼り合わせ装置、及びゴム部材の貼り合わせ方法を提供する。
【解決手段】複合ゴム部材Gを形成するための貼り合わせ装置1である。貼り合わせ装置1は、第1搬送部4上で、一次複合ゴム部材Gaを成形するための第1押圧具5と、第1搬送部4から一次複合ゴム部材Gaを受け取る第2搬送部6と、第2搬送部6上で、一次複合ゴム部材Gaを二次押圧する第2押圧具7と、第2搬送部6の搬送速度V2を、第1搬送部4の搬送速度V1よりも大きく駆動させるためのコントローラ8とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫の第1ゴム部材と第2ゴム部材とを張り合わせた複合ゴム部材を形成するためのゴム部材の貼り合わせ装置であって、
前記第1ゴム部材を第1搬送方向に供給するための第1供給部と、
前記第2ゴム部材を前記第1ゴム部材の上に重ねるように供給するための第2供給部と、
重ねられた前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を受け取って前記第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部上で、前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を一次押圧して一次複合ゴム部材を成形するための第1押圧具と、
前記第1搬送部から前記一次複合ゴム部材を受け取って前記第1搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部上で、前記一次複合ゴム部材を二次押圧して前記複合ゴム部材を成形する第2押圧具と、
前記第2搬送部の搬送速度V2を、前記第1搬送部の搬送速度V1よりも大きく駆動させるためのコントローラとを含む、
ゴム部材の貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記第1搬送部の搬送速度V1と前記第2搬送部の搬送速度V2との比(V1/V2)は、0.97以上である、請求項1記載のゴム部材の貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記第1押圧具は、複数のリングローラと、前記複数のリングローラを軸心方向に並べて前記リングローラの内周側から回転可能に支持する支持軸部とを含み、
前記複数のリングローラは、それぞれ前記支持軸部に対し前記一次押圧の方向に移動可能である、請求項1又は2に記載のゴム部材の貼り合わせ装置。
【請求項4】
前記第1押圧具は、前記複数のリングローラの自重で前記一次押圧する、請求項3に記載のゴム部材の貼り合わせ装置。
【請求項5】
前記第1搬送部は、コンベヤであり、
前記第2搬送部は、前記コンベヤから前記第1搬送方向に距離を隔てた位置に設けられた前記コンベヤとは別のコンベヤ又は駆動ローラである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゴム部材の貼り合わせ装置。
【請求項6】
前記第1押圧具と前記第2押圧具との間の前記第1搬送方向の距離は、前記第1搬送部の下流端と前記第2搬送部の上流端との間の前記第1搬送方向の距離の2~10倍である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゴム部材の貼り合わせ装置。
【請求項7】
未加硫の第1ゴム部材と第2ゴム部材とを張り合わせた複合ゴム部材を形成するためのゴム部材の貼り合わせ方法であって、
前記第1ゴム部材を第1搬送方向に供給する第1供給工程と、
前記第2ゴム部材を前記第1ゴム部材の上に重ねるように供給する第2供給工程と、
重ねられた前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を受け取って第1搬送部上で前記第1搬送方向に搬送速度V1で搬送する第1搬送工程と、
前記第1搬送部上で、前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を一次押圧して一次複合ゴム部材を成形するための第1成形工程と、
前記第1搬送部から前記一次複合ゴム部材を受け取って、第2搬送部上で前記第1搬送方向に前記搬送速度V1よりも大きな搬送速度V2で搬送する第2搬送工程と、
前記第2搬送部上で、前記一次複合ゴム部材を二次押圧して前記複合ゴム部材を成形する第2成形工程とを含む、
ゴム部材の貼り合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、基材の表面にゴムシートを圧着して、これらが一体になったゴム部材を製造するための製造装置が記載されている。この製造装置は、前記基材を搬送する搬送コンベアと、前記搬送コンベア上を搬送される前記基材の所定の位置に、前記ゴムシートを供給する供給装置と、前記ゴムシートを押圧するブラダーと、前記ゴムシートを押圧する押さえローラとを備えている。前記押さえローラは、前記ブラダーよりも下流側に設けられている。このような製造装置は、前記基材と前記ゴムシートとを、エア残りが発生することなく一体化させるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-44760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の製造装置では、前記ブラダーと前記押さえローラとの間で前記ゴム部材にだぶつきが生じ、ひいては、ゴム部材の意図しない変形やエア残りによる圧着不良が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、複合ゴム部材の貼り合わせ時のだぶつきを抑え、ひいては、ゴム部材の変形や圧着不良を防止することができるゴム部材の貼り合わせ装置及びゴム部材の貼り合わせ方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、未加硫の第1ゴム部材と第2ゴム部材とを張り合わせた複合ゴム部材を形成するためのゴム部材の貼り合わせ装置であって、前記第1ゴム部材を第1搬送方向に供給するための第1供給部と、前記第2ゴム部材を前記第1ゴム部材の上に重ねるように供給するための第2供給部と、重ねられた前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を受け取って前記第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部上で、前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を一次押圧して一次複合ゴム部材を成形するための第1押圧具と、前記第1搬送部から前記一次複合ゴム部材を受け取って前記第1搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部上で、前記一次複合ゴム部材を二次押圧して前記複合ゴム部材を成形する第2押圧具と、前記第2搬送部の搬送速度V2を、前記第1搬送部の搬送速度V1よりも大きく駆動させるためのコントローラとを含む。
【0007】
本発明に係るゴム部材の貼り合わせ装置は、前記第1搬送部の搬送速度V1と前記第2搬送部の搬送速度V2との比(V1/V2)が、0.97以上である、のが望ましい。
【0008】
本発明に係るゴム部材の貼り合わせ装置は、前記第1押圧具が、複数のリングローラと、前記複数のリングローラを軸心方向に並べて前記リングローラの内周側から回転可能に支持する支持軸部とを含み、前記複数のリングローラは、それぞれ前記支持軸部に対し前記一次押圧の方向に移動可能である、のが望ましい。
【0009】
本発明に係るゴム部材の貼り合わせ装置は、前記第1押圧具が、前記複数のリングローラの自重で前記一次押圧する、のが望ましい。
【0010】
本発明に係るゴム部材の貼り合わせ装置は、前記第1搬送部が、コンベヤであり、前記第2搬送部は、前記コンベヤから前記第1搬送方向に距離を隔てた位置に設けられた前記コンベヤとは別のコンベヤ又は駆動ローラである、のが望ましい。
【0011】
本発明に係るゴム部材の貼り合わせ装置は、前記第1押圧具と前記第2押圧具との間の前記第1搬送方向の距離が、前記第1搬送部の下流端と前記第2搬送部の前記第1搬送方向の上流端との間の前記第1搬送方向の距離の2~10倍である、のが望ましい。
【0012】
本発明の第2発明は、未加硫の第1ゴム部材と第2ゴム部材とを張り合わせた複合ゴム部材を形成するためのゴム部材の貼り合わせ方法であって、前記第1ゴム部材を第1搬送方向に供給する第1供給工程と、前記第2ゴム部材を前記第1ゴム部材の上に重ねるように供給する第2供給工程と、重ねられた前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を受け取って第1搬送部上で前記第1搬送方向に搬送速度V1で搬送する第1搬送工程と、前記第1搬送部上で、前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を一次押圧して一次複合ゴム部材を成形するための第1成形工程と、前記第1搬送部から前記一次複合ゴム部材を受け取って、第2搬送部上で前記第1搬送方向に前記搬送速度V1よりも大きな搬送速度V2で搬送する第2搬送工程と、前記第2搬送部上で、前記一次複合ゴム部材を二次押圧して前記複合ゴム部材を成形する第2成形工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記の構成を採用することで、複合ゴム部材のだぶつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のゴム部材の貼り合わせ装置の一実施形態を示す側面図である。
図2】本実施形態の複合ゴム部材を用いたタイヤの断面図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4】本発明のゴム部材の貼り合わせ方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のゴム部材の貼り合わせ装置(以下、「貼り合わせ装置」という。)1を模式的に示す側面図である。本実施形態の貼り合わせ装置1では、未加硫の第1ゴム部材G1と第2ゴム部材G2とが張り合わされて複合ゴム部材Gが形成される。複合ゴム部材Gは、例えば、タイヤ(図2に示す)Tの構成部材として採用される。なお、本発明の貼り合わせ装置1で形成された複合ゴム部材Gは、タイヤTの構成部材に限定して採用されるものではない。
【0016】
図2は、本実施形態の複合ゴム部材Gを含むタイヤTの断面図である。図2に示されるように、第1ゴム部材G1は、例えば、タイヤTのサイドウォール部Taの外面を形成するサイドウォールゴムTbを構成する。第2ゴム部材G2は、例えば、カーカスTkのタイヤ軸方向の外側に配されて、サイドウォールゴムTbよりも高いゴム硬度を有する外貼りエーペックスゴムTcを構成する。このように複合ゴム部材Gは、例えば、サイドウォールゴムTbと外貼りエーペックスゴムTcとで形成される。なお、第1ゴム部材G1及び第2ゴム部材G2は、タイヤTを構成する他の部材でも良い。
【0017】
図3は、図1のA-A線断面である。図3には、本実施形態の貼り合わせ装置1上の複合ゴム部材Gの断面図が示される。図3に示されるように、複合ゴム部材G(後述する一次複合ゴム部材Ga)は、未加硫のサイドウォールゴムTbと外貼りエーペックスゴムTcとが張り合わされて形成されている。これにより、複合ゴム部材Gの形状は、その鉛直方向の高さが、複合ゴム部材Gの幅方向(後述する第1搬送方向Fと直交する方向)で変化する、凹凸に形成されている。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態の貼り合わせ装置1は、第1供給部2と第2供給部3と第1搬送部4と第1押圧具5と第2搬送部6と第2押圧具7とコントローラ8とを含んでいる。
【0019】
本実施形態の第1供給部2は、第1ゴム部材G1を第1搬送方向Fに供給するための機能を有している。第1供給部2は、本実施形態では、第1ゴム部材G1を所定の形状にて押し出す周知構造のゴム押出機(図示省略)と、前記ゴム押出機から押し出された第1ゴム部材G1を第1搬送部4へ引き渡すための第1上流側コンベヤ21とを含んでいる。第1上流側コンベヤ21は、周知構造の駆動ローラを含んでいる。第1搬送方向Fは、第1ゴム部材G1が貼り合わせ装置1上で搬送される方向である。
【0020】
本実施形態の第2供給部3は、第2ゴム部材G2を第1ゴム部材G1の上に重ねるように供給するための機能を有している。第2供給部3は、本実施形態では、第2ゴム部材G2が巻き付けられた周知構造のリール部(図示省略)と、前記リール部から第2ゴム部材G2を引き出して第1搬送部4上に搬送するための第2上流側コンベヤ31とを含んでいる。第2上流側コンベヤ31は、例えば、周知構造の駆動ローラを含んでいる。第2供給部3は、本実施形態では、第1搬送部4上で搬送される第1ゴム部材G1の予め定められた位置に第2ゴム部材G2を供給し得る。
【0021】
本実施形態の第1搬送部4は、重ねられた第1ゴム部材G1と第2ゴム部材G2とを受け取って第1搬送方向Fに搬送する機能を有している。第1搬送部4は、本実施形態では、駆動ローラ41と案内ローラ42とが無端状の搬送ベルト43に周回可能で巻装された周知構造のベルトコンベヤである。駆動ローラ41は、例えば、コントローラ8で回転速度を変化可能に制御されている。これにより、第1搬送部4の搬送速度V1は、本実施形態では、変化可能である。
【0022】
本実施形態の第1押圧具5は、第1搬送部4上で、第1ゴム部材G1及び第2ゴム部材G2を一次押圧して一次複合ゴム部材Gaを成形するための機能を有している。第1押圧具5は、例えば、第2ゴム部材G2を押さえるローラ部51と、ローラ部51を鉛直方向に移動可能に支持する移動部52とを含んでいる。
【0023】
図3に示されるように、ローラ部51は、複数のリングローラ53と、複数のリングローラ53を軸心方向に並べてリングローラ53の内周側から回転可能に支持する支持軸部54とを含んでいる。なお、ローラ部51は、支持軸部54に装着されてリングローラ53を内周側から弾性変形自在に保持する中間ロール部(図示省略)を含んでいてもよい。
【0024】
複数のリングローラ53は、一次複合ゴム部材Gaと接する外周面53aと、外周面53aとは逆向きで支持軸部54側を向く内周面53bとを含む環状に形成されている。内周面53bの径(内径)d2は、支持軸部54の外径d3よりも大きく形成されている。これにより、リングローラ53は、それぞれ、支持軸部54の半径方向(以下、単に「半径方向」という場合がある。)、即ち、支持軸部54に対して一次押圧の方向に相対移動可能である。このようなリングローラ53は、リングローラ53の自重で一次複合ゴム部材Gaを一次押圧することができる。
【0025】
本実施形態のローラ部51は、隣接するリングローラ53間のいずれかの少なくとも1つに隙間sを設けるように保持されている。このような隙間sは、リングローラ53の半径方向の移動をスムーズにする。隙間sは、図3では、1箇所に形成されているが、複数箇所に配されても良い。全ての隙間sの支持軸部54の軸心方向(以下、単に「軸心方向」という場合がある。)の合計長さdは、例えば、0.3~1.0mmである。
【0026】
リングローラ53の比重は、7.0以上が望ましく、12.0以下が望ましい。リングローラ53の比重が7.0以上であるので、第1ゴム部材G1と第2ゴム部材G2との間の空気を効果的に排出することができる。リングローラ53の比重が12.0以下であるので、第1ゴム部材G1及び第2ゴム部材G2の形状が、リングローラ53に過度につぶされることなく維持される。このような作用を効果的に発揮させるために、リングローラ53の質量は、35g以上が望ましく、55g以下が望ましい。
【0027】
また、一次複合ゴム部材Gaの形状に追従して半径方向に移動し、これをその幅方向(第1搬送方向Fと直交する方向)に亘って均等に一次押圧するために、リングローラ53の外径(外周面53aの径)d1は、80mm以上が望ましく、120mm以下が望ましい。さらに、リングローラ53の内径(内周面53bの径)d2は、30mm以上が望ましく、50mm以下が望ましい。また、リングローラ53の内径d2と支持軸部54の外径d3との差(d2-d3)は、例えば、10~30mmが望ましい。さらに、リングローラ53の厚さtは、2mm以上が望ましく、3mm以下が望ましい。このようなリングローラ53としては、例えば、ステンレス系金属や鉄系金属であるのが望ましい。
【0028】
支持軸部54は、円柱状に延びている。支持軸部54は、例えば、第1搬送方向Fと直交する向きに延びている。支持軸部54は、本実施形態では、ローラホルダ55に回転可能に保持されている。
【0029】
移動部52は、本実施形態では、鉛直方向に延びるロッド52aを有する周知構造のシリンダ機構で構成されている。ロッド52aの先端(下端)には、例えば、ローラホルダ55が固定されている。これにより、リングローラ53は、第1搬送部4に対して鉛直方向に移動可能となる。
【0030】
図1に示されるように、本実施形態の第2搬送部6は、第1搬送部4から一次複合ゴム部材Gaを受け取って第1搬送方向Fに搬送する機能を有している。第2搬送部6は、本実施形態では、周知構造の駆動ローラ61で形成されている。一次複合ゴム部材Gaは、駆動ローラ61の外周面上に載置されて搬送される。駆動ローラ61は、例えば、コントローラ8によって、回転速度を変化可能に制御されている。これにより第2搬送部6は、一次複合ゴム部材Gaを搬送速度V1とは異なる搬送速度V2で搬送し得る。特に限定されるものではないが、搬送速度V2は、0.04~0.10(m/s)であるのが望ましい。なお、第2搬送部6は、第1搬送部4と同様に、周知構造のベルトコンベヤで形成されていても良い。
【0031】
本実施形態の第2押圧具7は、第2搬送部6上で、一次複合ゴム部材Gaを二次押圧して複合ゴム部材Gを成形する機能を有している。第2押圧具7は、本実施形態では、シリンダ等の周知構造の昇降具71と、その先端にホルダを介して回転可能に支持される周知構造の押圧ローラ72とを含んでいる。押圧ローラ72は、例えば、ホルダに保持される支持軸部72aと、その周囲に配されて一次複合ゴム部材Gaと接するローラ部72bとを含んでいる。ローラ部72bは、例えば、変形可能なスポンジ材等からなる。このようなローラ部72bは、圧縮変形することにより、一次複合ゴム部材Gaの凹凸の形状を大きく変形させることなく、第2ゴム部材G2と第1ゴム部材G1とを接合させうる。複合ゴム部材Gの形状を維持しつつ、上述の作用を発揮させるために、第2押圧具7による二次押圧は、例えば、0.10~0.20MPaであるのが望ましい。なお、第2押圧具7は、第1押圧具5と同様に、複数のリングローラと支持軸部とを含む構造(図示省略)でも良い。
【0032】
第1押圧具5と第2押圧具7との間の第1搬送方向Fの距離Laは、第1搬送部4の下流端4aと第2搬送部6の上流端6bとの間の第1搬送方向Fの距離Lbの2~10倍であるのが望ましい。これにより、複合ゴム部材Gの貼り合わせ時のだぶつきが効果的に抑制される。距離Laは、ローラ部51の支持軸部54の軸心と押圧ローラ72の支持軸部72aの軸心との間の第1搬送方向Fの長さである。第1搬送部4の下流端4aは、第1搬送部4の最も下流側に配されたローラ、本実施形態では、駆動ローラ41の軸心である。第2搬送部6の上流端6bは、第2搬送部6の最も下流側に配されたローラ、本実施形態では、駆動ローラ61の軸心である。
【0033】
また、搬送速度V2と二次押圧との比が一定であるのが望ましい。これにより、だぶつきを抑えつつ複合ゴム部材Gを精度良く成形することができる。搬送速度V2と二次押圧N2との比(V2(m/s)/N2(MPa))は、例えば、1.0以上であるのが望ましく、2.0以上がさらに望ましく、3.0以上が一層望ましく、7.5以下が望ましく、6.5以下がより望ましく、5.5以下が一層望ましい。
【0034】
本実施形態のコントローラ8は、第2搬送部6の搬送速度V2を、第1搬送部4の搬送速度V1よりも大きく駆動させるための機能を有している。コントローラ8は、本実施形態では、予め定められた処理手順(プログラム)が記憶されているマイクロコンピュータとして構成されている。コントローラ8は、例えば、第1搬送部4の搬送速度V1、及び、第2搬送部6の搬送速度V2を制御する。コントローラ8は、第1搬送部4の駆動ローラ41及び第2搬送部6の駆動ローラ61へ各搬送速度V1、V2に基づく信号を出力する。コントローラ8は、第2搬送部6の搬送速度V2と第1搬送部4の搬送速度V1との比(V1/V2)が97%以上となるように制御するのが望ましい。なお、コントローラ8は、例えば、第1搬送部4の搬送速度V1又は第2搬送部6の搬送速度V2のいずれかを制御する態様でも良い。
【0035】
次に、本実施形態の貼り合わせ装置1を用いたゴム部材の貼り合わせ方法が説明される。図4は、貼り合わせ方法のフローチャートである。図4に示されるように、本実施形態の貼り合わせ方法は、第1供給工程S1と、第2供給工程S2と、第1搬送工程S3と、第1成形工程S4と、第2搬送工程S5と、第2成形工程S6とを含んでいる。
【0036】
第1供給工程S1は、第1ゴム部材G1を第1搬送方向Fに供給する工程である。図1に示されるように、第1供給工程S1は、本実施形態では、前記ゴム押出機から押し出された第1ゴム部材G1が第1上流側コンベヤ21で第1搬送部4へ搬送される。
【0037】
第2供給工程S2は、第2ゴム部材G2を第1ゴム部材G1の上に重ねるように供給する工程である。第2供給工程S2は、本実施形態では、前記リールに巻き付けられた第2ゴム部材G2が第2上流側コンベヤ31で第1搬送部4上の第1ゴム部材G1へ搬送される。
【0038】
第1搬送工程S3は、重ねられた第1ゴム部材G1及び第2ゴム部材G2を受け取って第1搬送方向Fに搬送する工程である。第1搬送工程S3は、本実施形態では、第1搬送部4上で重ねられた第1ゴム部材G1及び第2ゴム部材G2が第1搬送方向Fに搬送される。このとき、第1搬送部4の駆動ローラ41の回転速度は、搬送速度V1となるようにコントローラ8で制御されている。
【0039】
第1成形工程S4は、第1搬送部4上で、第1ゴム部材G1及び第2ゴム部材G2を一次押圧して一次複合ゴム部材Gaを成形する工程である。第1成形工程S4は、本実施形態では、移動部52を駆動してローラ部51を下降させて、リングローラ53を第2ゴム部材G2に一次押圧で接触させる。一次押圧としては、各リングローラ53の内周面53bが支持軸部54と非接触状態となるリングローラ53の自重であるのが望ましい。
【0040】
これにより、第1ゴム部材G1と第2ゴム部材G2とが一次押圧された一次複合ゴム部材Gaが形成される。一次複合ゴム部材Gaは、第1搬送部4によって、第2搬送部6に引き渡される。
【0041】
第2搬送工程S5は、第1搬送部4から一次複合ゴム部材Gaを受け取って第1搬送方向Fに搬送する工程である。第2搬送工程S5は、本実施形態では、第2搬送部6が第1搬送部4から引き受けた一次複合ゴム部材Gaを搬送速度V2で第1搬送方向Fに搬送する。
【0042】
第2成形工程S6は、第2搬送部6上で、一次複合ゴム部材Gaを二次押圧して複合ゴム部材Gを成形する工程である。第2成形工程S6は、本実施形態では、昇降具71を駆動させて押圧ローラ72を降下させて、一次複合ゴム部材Gaに二次押圧を与える。このとき、搬送速度V2は搬送速度V1よりも大きいので、第2搬送部6上の一次複合ゴム部材Gaには、引張力が作用される。これにより、二次押圧された複合ゴム部材Gが第1搬送方向Fへスムーズに搬送されるため、第1押圧具5と第2押圧具7との間で搬送される一次複合ゴム部材Gaのだぶつきが抑制される。
【0043】
なお、第2成形工程S6で成形された複合ゴム部材Gは、例えば、貼り合わせ装置1よりも第1搬送方向Fの下流側に配された周知構造のフェスツーン部を通過して周知構造のドラム(図示省略)に巻き付けられる。
【0044】
以上、本発明の特に好ましい形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例0045】
図1の基本構造を有する貼り合わせ装置が試作された。そして、この貼り合わせ装置によって製造された一次複合ゴム部材のだぶつきや空気残りが確認された。だぶつきのテストは、第1押圧具と第2押圧具との第1搬送方向の間における一次複合ゴム部材のだぶつき状態をテスターの官能による評価で示された。結果は、実施例1を100とする評点で示される。95以上の例が合格である。空気残りのテストでは、複合ゴム部材Gを用いて加硫成形されたテストタイヤが用いられた。空気残りのテストは、テストタイヤ1000本の中で、第1ゴム部材と第2ゴム部材との間に空気の残りが発生したテストタイヤの本数で示される。空気の残りが発生したテストタイヤが5本以下の例が合格である。テストの結果が表1に示される。
表1の符号について
A:第1搬送部上に第1押圧具が配され、第2搬送部上に第2押圧部が入れる。
B:第1搬送部上に第1押圧具と第2押圧具とが配される。
また、SUSはステンレス、Pbは鉛、Feは鉄、Alはアルミニウム、Tiはチタン、Tgはタングステンを意味する。
【0046】
【表1】
【0047】
テストの結果、実施例の貼り合わせ装置は、だぶつきがないか又は小さいことが理解される。また、実施例の貼り合わせ装置は、空気残りが生じる比が小さいことが理解される。
【符号の説明】
【0048】
1 貼り合わせ装置
4 第1搬送部
5 第1押圧具
6 第2搬送部
7 第2押圧具
8 コントローラ
G 複合ゴム部材
Ga 一次複合ゴム部材
図1
図2
図3
図4