(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108609
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】工具本体
(51)【国際特許分類】
B23B 27/16 20060101AFI20220719BHJP
B23B 27/04 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B23B27/16 A
B23B27/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003700
(22)【出願日】2021-01-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 巽
(72)【発明者】
【氏名】佐治 龍一
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046AA00
3C046EE06
(57)【要約】
【課題】切削インサートを交換しやすい工具本体を提供する。
【解決手段】交換可能な切削インサート2を固定する工具本体3は、ホルダ4と、ホルダ4の第1面421に設けられたインサート取付座5と、インサート取付座5に載置された切削インサート2を拘束するクランプ部材6と、クランプ部材6の受圧面67を押圧する操作部材7と、を備えている。クランプ部材6は、受圧面67と、球冠状に形成された球頭部62と、第1面421側から見たとき球頭部62とは反対側に突出したフック部61と、を有している。インサート取付座5は、球頭部62を支点にして揺動可能にクランプ部材6を支持し、フック部61は、受圧面67を押圧された状態で切削インサート2の取付孔29の内周面に形成された縮径部292に当接する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な切削インサートを固定する工具本体であって、
ホルダと、
前記ホルダの第1面に設けられたインサート取付座と、
前記インサート取付座に載置された前記切削インサートを拘束するクランプ部材と、
前記クランプ部材の受圧面を押圧する操作部材と、を備え、
前記クランプ部材は、前記受圧面と、球冠状に形成された球頭部と、前記第1面側から見たとき前記球頭部とは反対側に突出したフック部と、を有し、
前記インサート取付座は、前記球頭部を支点にして揺動可能に前記クランプ部材を支持し、前記フック部は、前記受圧面を押圧された状態で前記切削インサートの取付孔の内周面に形成された縮径部に当接する、
工具本体。
【請求項2】
前記操作部材は、前記ホルダに螺合するおねじが形成されたねじ部と、該ねじ部の軸線に交差する向きに前記受圧面を押圧する押圧面と、を有している、
請求項1に記載の工具本体。
【請求項3】
前記受圧面は、凹円柱面の一部で構成され、
前記押圧面は、前記ねじ部の外周側に凸の円弧を母線にして前記ねじ部の前記軸線まわりに回転させた軌跡で構成されている、
請求項2に記載の工具本体。
【請求項4】
前記ホルダは、工作機械に固定される側とは反対側に面した先端面を有し、
前記操作部材は、少なくとも一部が前記先端面側に露出している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の工具本体。
【請求項5】
前記フック部は、中央部と、該中央部を挟んで互いに反対側に位置する第1端部及び第2端部と、を有し、前記中央部が前記切削インサートに当接しない一方、前記第1端部及び前記第2端部が前記切削インサートに当接する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の工具本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能な切削インサートを固定する工具本体に関する。
【背景技術】
【0002】
旋削工具は、交換可能な切削インサートと、該切削インサートを固定する工具本体と、を備えている。切削インサートは、一方の端面から他方の端面に挿通されたクランプねじ等により工具本体のインサート取付座に固定される。旋削工具がタレット等の刃物台に取り付けられた状態において、作業者がインサート取付座に対向する向きからクランプねじを抜き取りにくいことがある。そこで、インサート取付座が設けられている向きとは異なる向きからクランプ部材を操作できる工具本体が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、インサートポケットが設けられた面とは異なる面に配置された固定ネジを回してL字状のクランプレバーを締めたり緩めたりすることができる切削インサート固定装置が開示されている。固定ネジの軸線は、インサートポケットに対して斜めに交差している。固定ネジを締めると、該固定ネジの先端がクランプレバーに設けられている傾斜面を加圧し、円柱面に形成された支持部の下端を支点にしてクランプレバーが回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1に記載の切削インサート固定装置では、固定ネジがクランプ部材を押圧できる向きが固定ネジの軸線方向に限定されている。特許文献1では、固定ネジの軸線方向に垂直な受圧面をクランプレバーの底面に対して傾斜した傾斜面にすることにより、固定ネジが押圧する向きとクランプレバーが回動する向きとがずれていても、ある程度のずれであれば固定ネジの押圧力をクランプレバーに伝達できる。しかしながら、そのような構成では、クランプレバーが回動する向きに対して大きくずらして固定ネジを配置することができない。
【0006】
タレットに旋削工具を取り付けた場合、作業者が最も操作しやすい位置が旋削工具の先端面になることがある。特許文献1に開示されているような構成では、固定ネジの配置の制約が大きいために、旋削工具の先端面に操作部材を配置することが困難だった。加えて、特許文献1に開示されているような構成では、クランプレバーが繰り返し揺動するうちに、固定ネジからの荷重を支える支持部の円柱面の下端が丸まって支点の位置が安定しなくなる。切削インサートに対してクランプレバーが当接する位置の精度が偏摩耗による影響を受けやすい。
【0007】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、切削インサートを交換しやすい工具本体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る工具本体は、交換可能な切削インサートを固定する工具本体であって、ホルダと、ホルダの第1面に設けられたインサート取付座と、インサート取付座に載置された切削インサートを拘束するクランプ部材と、クランプ部材の受圧面を押圧する操作部材と、を備えている。クランプ部材は、受圧面と、球冠状に形成された球頭部と、第1面側から見たとき球頭部とは反対側に突出したフック部と、を有している。インサート取付座は、球頭部を支点にして揺動可能にクランプ部材を支持し、フック部は、受圧面を押圧された状態で切削インサートの取付孔の内周面に形成された縮径部に当接する。
【0009】
この態様によれば、クランプ部材が球冠状の球頭部を支点にして上下左右に自由に揺動できるため、操作部材から入力された向きと同一の平面上にないねじれた位置関係において、切削インサートをフック部で押圧できる。切削インサートを交換しやすい最適な位置に操作部材を配置できる。支点となる球頭部が元から球面であるため、摩耗によって球頭部が丸められても、クランプ部材とインサート取付座との位置精度への影響が小さい。
【0010】
上記態様において、操作部材は、ホルダに螺合するおねじが形成されたねじ部と、該ねじ部の軸線方向と交差する向きに受圧面を押圧する押圧面と、を有していてもよい。
【0011】
この態様によれば、操作部材のねじ部を締めたとき、操作部材が進行する向きと、操作部材の押圧面がクランプ部材の受圧面を押圧する向きとを異ならせることができる。動きの自由度が大きい球冠状の球頭部との相乗効果により、操作部材のねじ部の軸線方向とクランプ部材の回動方向とをねじれた位置関係にするだけでなく、それらの方向をずらす量を球頭部がない構成と比べてずっと大きくできるようになり、操作部材の配置の制約を小さくできる。
【0012】
上記態様において、受圧面は、凹円柱面の一部で構成され、押圧面は、ねじ部の外周側に凸の円弧を母線にしてねじ部の軸線まわりに回転させた軌跡で構成されていてもよい。
【0013】
この態様によれば、押圧面と受圧面との接触面積が小さいため、力点の位置を狭い領域内に設計どおりに配置しやすい。切削インサートをより確実に拘束できるようになる。
【0014】
上記態様において、ホルダは、工作機械に固定される側とは反対側に面した先端面を有し、操作部材は、少なくとも一部が先端面側に露出していてもよい。
【0015】
この態様によれば、操作部材の配置の制約が小さいため、操作部材を先端面に配置できる。工具本体の先端面側から作業者が操作できるため、タレット等の刃物台に旋削工具を取り付けた際に切削インサートを交換しやすい。
【0016】
上記態様において、フック部は、中央部と、該中央部を挟んで互いに反対側に位置する第1端部及び第2端部と、を有し、中央部が切削インサートに当接しない一方、第1端部及び第2端部が切削インサートに当接してもよい。
【0017】
フック部の先端の形状や切削インサートの取付孔の形状には、公差として許された僅かなばらつきがある。この態様によれば、フック部や取付孔の形状に少々ばらつきがあっても、フック部が縮径部の内周面に確実に二点で当接するため、クランプ部材による切削インサートの拘束が安定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、切削インサートを交換しやすい工具本体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る旋削工具の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された旋削工具を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された先端部を第1面側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示されたクランプ部材及び操作部材を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された操作部材を取り除いて受圧面を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5に示されたクランプ部材を球頭部側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5に示されたクランプ部材を第1面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、図面を参照して各構成について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る旋削工具1の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、旋削工具1は、交換可能な切削インサート2と、切削インサート2を固定する工具本体3と、を備えている。図示した例では、旋削工具1が、旋盤の刃物台に固定される溝入れ工具として構成されている。
【0021】
工具本体3は、ホルダ4と、該ホルダ4に取り付けられたクランプ部材6及び操作部材7と、を備えている。ホルダ4は、基端41Eから該基端41Eとは反対側の先端42Eまで延在する棒状に形成されている。先端42E及びその近傍の部分を含むホルダ4の先端部42には、切削インサート2を載置するインサート取付座5が設けられている。先端部42よりも基端41E側は、工作機械に固定可能なシャンクとして構成されている。
【0022】
図2は、
図1に示された旋削工具1を分解して示す斜視図である。
図2に示すように、インサート取付座5は、後述する切削インサート2の底面(例えば、第2端面22)に当接して切削インサート2を拘束する着座面52と、後述する切削インサート2の周側面23に当接して切削インサート2を拘束する壁面53と、を有している。
【0023】
先端部42は、先端面425と、該先端面425に臨む第1乃至第4面421,422,423,424と、を有している。ホルダ4の先端42Eは、先端面425上に位置している。インサート取付座5は、第1面421に設けられている。第2面422は、第1面421とは反対側に位置している。第3及び第4面423,424は、第1面421と第2面422との間を繋いでいる。
【0024】
以下の説明において、ホルダ4の高さ方向Dhにおける第1面421から第2面422への向きを下向きと呼び、高さ方向Dhにおける第2面422から第1面421への向きを上向きと呼ぶことがある。ホルダ4の高さ方向(上下方向)Dhは、先端部42の第1面421と第2面422とを結ぶ方向であり、ホルダ4の基端41Eと先端42Eとを結ぶホルダ4の長手方向DLに必ずしも直交していなくてよい。
【0025】
操作部材7は、円柱状に形成されたねじ部71と、ねじ部71に接続された押圧面72と、を有している。ねじ部71の外周面にはおねじが形成されており、該おねじがホルダ4に形成されている貫通孔47のめねじに螺合する。図示した例では、貫通孔47がホルダ4の先端面425を貫通して該先端面425側に露出するように形成されており、操作部材7のおねじ及びホルダ4の貫通孔47のめねじの軸線Xは、ホルダ4の長手方向DLと平行に形成されている。
【0026】
切削インサート2は、第1端面21と、第1端面21とは反対側の第2端面22と、第1端面21及び第2端面22を繋ぐ周側面23と、第1端面21及び第2端面22を貫通する取付孔29と、を有している。周側面23は、被削物を切削する切れ刃24と、該切れ刃24に臨むすくい面25及び逃げ面26と、を含んでいる。
【0027】
第2端面22の少なくとも一部は、インサート取付座5の着座面52に支持される底面として構成されている。図示した例では、第1端面21と第2端面22とが略同一の形状を有している。そのため、切削インサート2を上下反転させて第1端面21を底面にしてインサート取付座5に切削インサート2を装着できる。
【0028】
図示した例では、周側面23が取付孔29の中心軸Zに対して180度対称に形成されている。周側面23は、第2端面22を底面にしてインサート取付座5に切削インサート2を装着する際に使用可能な二つの切れ刃24と、第1端面21を底面にしてインサート取付座5に切削インサート2を装着する際に使用可能な二つの切れ刃24と、合計四つの切れ刃24を含んでいる。
【0029】
図3は、
図1に示された先端部42を第1面421側から見た平面図である。クランプ部材6は、クランプ部材6の対称面上にあるIV-IV線に沿って回動し、インサート取付座5に載置された切削インサート2を拘束する。
図3に示すように、ねじ部71の軸線Xが延在する方向は、IV-IV線を含むクランプ部材6の対称面に対して大きくずれている。
【0030】
図4は、
図3中のIV-IV線に沿う断面図であり、クランプ部材6の対称面である。
図4に示すように、切削インサート2の取付孔29の内周面は、拡径部291と、該拡径部291よりも内径が小さい縮径部292と、を有している。図示した例では、第1端面21及び第2端面22の各々に拡径部291が形成され、第1端面21及び第2端面22の中間部に縮径部292が形成されている。
【0031】
クランプ部材6は、球頭部62と、受圧面67と、フック部61と、を有している。球頭部62は、球冠状に形成されている(
図2参照)。インサート取付座5には、球頭部62に倣う凹球面561が形成されている。球頭部62が凹球面561に摺接することにより、インサート取付座5は、球頭部62を支点にして揺動可能にクランプ部材6を支持している。操作部材7により受圧面67を押圧された状態において、
図4に示すように、フック部61が切削インサート2の縮径部292に当接する。
【0032】
図5は、
図4に示されたクランプ部材6及び操作部材7を示す斜視図である。前述した押圧面72は、ねじ部71の軸線Xに交差する向きに受圧面67を押圧できる。操作部材7は、軸線Xに平行な向きに受圧面67を押圧できる頂面73を更に有していてもよい。頂面73は、軸線Xに交差するように配置され、押圧面72は、軸線Xと交差しないように配置されている。押圧面72は、ねじ部71から遠ざかるに従って軸線Xからの距離が小さくなるように形成されている。図示した例では、押圧面72が、ねじ部71の外周側に凸の円弧を母線にして軸線Xまわりに回転させた軌跡で構成されている。
【0033】
図6は、
図5に示された操作部材7を取り除いて受圧面67を示す斜視図である。図示した例では、受圧面67が、凹円柱面671,672の一部で構成されている。凹円柱面671,672の境界は、稜線であってもよい。受圧面67が凹円柱面671,672の隙間を繋ぐ帯状の湾曲面673を更に含んでいてもよい。
【0034】
図7は、
図5に示されたクランプ部材6を球頭部62側から見た斜視図である。前述したように、球頭部62は球冠状に形成され、図示した例では、球頭部62が略半球状に形成されている。図示した例では、クランプ部材6が、屈曲した形状に形成されており、互いに平行に延在する第1円柱部601及び第2円柱部602と、第1円柱部601の下端部と第2円柱部602の上端部とを連結する連結部603と、を含んでいる。
【0035】
フック部61は、第1円柱部601の上端部に設けられている。受圧面67は、第2円柱部602の上端部と下端部との間に設けられている。球頭部62は、第2円柱部602の上端部に設けられている。第2円柱部602の上端部において、連結部603は、球頭部62とは反対側に突出している。
【0036】
図8は、
図5に示されたクランプ部材6をホルダ4の先端部42の第1面421側から見た平面図である。
図8に示すように、第1面421側から見たとき、つまり上方から見たとき、フック部61は球頭部62とは反対側に向かって突出している。フック部61の先端は、中央部613と、該中央部613を挟んで互いに反対側に位置する第1及び第2端部611,612と、を有している。
【0037】
フック部61は、中央部613が切削インサート2に当接しない一方、第1及び第2端部(両端部)611,612が切削インサートの縮径部292に当接するように、第1及び第2端部611,612が角張って形成されている。詳しく述べると、第1面421側から見たフック部61の先端の外形は、第1及び2端部611,612に挟まれた中央部613が第1円柱部601よりも曲率円の半径が大きい円弧状に形成され、第1及び第2端部611,612の各々が第1円柱部601よりも曲率円の半径が小さい円弧状に形成されている。
【0038】
再び
図4を参照して説明する。
図4に示すように、クランプ部材6の一部(第1円柱部601の上半分)は、クランプ部材6が切削インサート2を拘束した状態において、切削インサート2の底面(図示した例では第2端面22)よりも第1面421側に位置している。クランプ部材6の残余(第1円柱部601の下半分、第2円柱部602及び連結部603)は、切削インサート2の底面よりも第2面422側に位置している。
【0039】
インサート取付座5には、切削インサート2の底面よりも工具本体2の内部側(第2面422側)に埋設されたクランプ部材6の残余(埋設部分)を収容するポケット56が設けられている。ポケット56は、着座面52に平行に延在する空間と、着座面に垂直に延在する空間とを含む略L字形に形成されている。前述した凹球面561は、略L字形のポケット56の角部に設けられている。
【0040】
以上のように構成された本実施形態の工具本体3によれば、クランプ部材6が、球冠状の球頭部62を支点にして上下左右に自由に揺動できる。
図4に示すように、球頭部62を凹球面562で支持するので、すべり接触面が摩耗して丸められてもクランプ部材6とインサート取付座5との位置関係がずれにくい。
【0041】
図5に示すように、操作部材7が進行する向きと、操作部材7の押圧面72がクランプ部材6の受圧面67を押圧する向きとを異ならせることができるため、動きの自由度が大きい球冠状の球頭部62との相乗効果により、操作部材7の配置の制約を小さくできる。
図1に示すように、先端面425に操作部材7を配置することもできるため、タレット等の刃物台に旋削工具1を取り付けた際に作業者が切削インサート2を交換しやすい。
【0042】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…旋削工具、2…切削インサート、3…工具本体、4…ホルダ、5…インサート取付座、6…クランプ部材、7…操作部材、21…第1端面、22…第2端面、23…周側面、24…切れ刃、25…すくい面、26…逃げ面、29…取付孔、41…基端部、41E…基端、42…先端部、42E…先端、47…貫通孔、52…着座面、53…壁面、56…ポケット、61…フック部、62…球頭部、67…受圧面、71…ねじ部、72…押圧面、73…頂面、291…拡径部、292…縮径部、421…第1面、422…第2面、423…第3面、424…第4面、425…先端面、562…凹球面、601…第1円柱部、602…第2円柱部、603…連結部、611…第1端部、612…第2端部、613…中央部、671,672…凹円柱面、673…湾曲面、Dh…ホルダの高さ方向、DL…ホルダの長手方向、X…ねじ部の軸線、Z…取付孔の中心軸。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な切削インサートを固定する工具本体であって、
第1面及び該第1面とは反対側の第2面を有するホルダと、
前記第1面に設けられたインサート取付座と、
前記インサート取付座に載置された前記切削インサートを拘束するクランプ部材と、
前記クランプ部材の受圧面を押圧する操作部材と、を備え、
前記クランプ部材は、前記受圧面と、球冠状に形成された球頭部と、前記第1面側から見たとき前記球頭部とは反対側に突出したフック部と、を有し、
前記インサート取付座は、前記球頭部を支点にして揺動可能に前記クランプ部材を支持し、前記フック部は、前記受圧面を押圧された状態で前記切削インサートの取付孔の内周面に形成された縮径部に当接し、
前記クランプ部材は、
前記第1面及び前記第2面を結ぶ前記ホルダの高さ方向に延在する第1円柱部と、
前記第1円柱部に平行に延在する及び第2円柱部と、
前記第1円柱部の前記第2面側の端部と前記第2円柱部の前記第1面側の端部とを連結する連結部と、を含み、
前記球頭部は、前記第2円柱部の前記第1面側の端部に設けられ、かつ前記第1面側から見たとき前記連結部とは反対側に突出している、
工具本体。
【請求項2】
前記操作部材は、前記ホルダに螺合するおねじが形成されたねじ部と、該ねじ部の軸線に交差する向きに前記受圧面を押圧する押圧面と、を有し、
前記ねじ部の軸線方向は、前記ホルダの長手方向と平行である、
請求項1に記載の工具本体。
【請求項3】
前記受圧面は、前記第2円柱部において前記第1面側の端部と前記第2面側の端部との間に設けられ、かつ凹円柱面の一部で構成され、
前記押圧面は、前記ねじ部の外周側に凸の円弧を母線にして前記ねじ部の前記軸線まわりに回転させた軌跡で構成されている、
請求項2に記載の工具本体。
【請求項4】
前記ホルダは、工作機械に固定される側とは反対側に面した先端面を有し、該先端面の面内に形成された貫通孔が前記操作部材を前記先端面側に露出させている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の工具本体。
【請求項5】
前記フック部は、前記第1円柱部の前記第1面側の端部に設けられ、かつ前記フック部は、中央部と、該中央部を挟んで互いに反対側に位置する第1端部及び第2端部と、を有し、前記中央部が前記切削インサートに当接しない一方、前記第1端部及び前記第2端部が前記切削インサートに当接する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の工具本体。