(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108630
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】伸縮フィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 9/00 20060101AFI20220719BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220719BHJP
B32B 3/24 20060101ALI20220719BHJP
B32B 25/04 20060101ALI20220719BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
C08J9/00 A
C08J5/18 CES
B32B3/24 Z
B32B25/04
B32B27/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003735
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
【テーマコード(参考)】
4F071
4F074
4F100
【Fターム(参考)】
4F071AA18
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4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】伸縮フィルムは、オレフィン系エラストマーと無機充填剤とを含有し、王研式透気度試験機により測定した透気度が5000s/100ml以下であり、少なくとも1方向における永久歪みが20%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系エラストマーと無機充填剤とを含有する伸縮フィルムであって、
王研式透気度試験機により測定した透気度が5000s/100ml以下であり、
少なくとも1方向における下記永久歪みが20%以下であることを特徴とする伸縮フィルム。
(伸縮フィルムの永久歪み)
伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を試験機のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定し、試験片を長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させて、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
【請求項2】
低密度ポリエチレンを含有することを特徴とする請求項1に記載の伸縮フィルム。
【請求項3】
オレフィン系エラストマーと無機充填物とを含有するエラストマー層と、エラストマー層の少なくとも一方の面に積層された表面層とを備え、
王研式透気度試験機により測定した透気度が5000s/100ml以下であり、
少なくとも1方向における下記永久歪みが20%以下であることを特徴とする伸縮フィルム。
(伸縮フィルムの永久歪み)
伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を試験機のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定し、試験片を長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(3)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させて、下記式(4)から永久歪み[%]を算出する。
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (3)
永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (4)
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になるときのつかみ具間距離(mm)である。
【請求項4】
前記エラストマー層が低密度ポリエチレンを含有することを特徴とする請求項3に記載の伸縮フィルム。
【請求項5】
前記表面層と前記エラストマー層との厚み比が、表面層:エラストマー層=1:10~1:35であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の伸縮フィルム。
【請求項6】
少なくとも1方向に延伸されていることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の伸縮フィルム。
【請求項7】
前記オレフィン系エラストマーが、プロピレン系エラストマーであることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の伸縮フィルム。
【請求項8】
複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の伸縮フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮フィルムは、衛生用品、スポーツ用品、医療用品等の広い分野において、取扱い性、着用感(フィット感)等を改善するために使用されている。例えば、下着等の衣服、紙おむつのウエストバンド、サイドパネル、レッグギャザー、失禁用品、生理用ナプキン、包帯、外科的ドレープ、締め付け用バンド、帽子、水泳パンツ、スポーツ用サポーター、医療品サポーター、及び絆創膏等に用いられている。
【0003】
この伸縮フィルムとしては、例えば、オレフィン系エラストマーを含むオレフィン系樹脂と充填剤を含み、オレフィン系樹脂100重量部に対して充填剤の含有量が100~300重量部であり、表面に空隙を有するものが提案されている。そして、このような構成により、優れた伸縮性および優れた通気性を有する伸縮性フィルムを提供することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の伸縮フィルムにおいては、オレフィン系エラストマーが伸縮性を有しており、通気性に乏しいため、衛生用品等を着用する際に蒸れてしまい、使用感が低下するという問題があった。
【0006】
また、この伸縮フィルムは、炭酸カルシウム等の無機充填剤を添加した材料を用いて未延伸フィルムを作製後、当該未延伸フィルムに対して延伸処理を行うことにより得られるものである。ここで、一般的に、樹脂に無機物を添加し延伸すると、樹脂と無機物の間で乖離が起きて開孔するため、通気性を付与することはできるが、伸縮性を有する材料に同様の処理を行うと、樹脂が伸びてしまい、樹脂と無機物との間で乖離が起きないため、通気性が発現しない。その結果、通気性と伸縮性を両立させることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の伸縮フィルムは、オレフィン系エラストマーと無機充填剤とを含有する伸縮フィルムであって、王研式透気度試験機により測定した透気度が5000s/100ml以下であり、少なくとも1方向における下記永久歪みが20%以下であることを特徴とする。
【0009】
(伸縮フィルムの永久歪み)
伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を試験機のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定し、試験片を長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させて、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
【0010】
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
【0011】
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルム及びその製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る伸縮フィルムを説明するための平面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る伸縮フィルムを説明するための断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る伸縮フィルムを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の伸縮フィルムについて具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して適用することができる。
【0015】
(第1の実施形態)
本実施形態の伸縮フィルムは、オレフィン系エラストマーと無機充填剤とを含有するフィルム状の成形体である。
【0016】
<オレフィン系エラストマー>
本発明で使用するオレフィン系エラストマーは、炭素数3以上のオレフィンを主成分とした共重合体又は単独重合体、並びにエチレンを主成分とした炭素数3以上のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0017】
より具体的には、例えば、(1)立体規則性が低いプロピレン単独重合体や1-ブテン単独重合体等のα-オレフィン単独重合体、(2)プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体、4-メチルペンテン-1-プロピレン共重合体、4-メチルペンテン-1-1-ブテン共重合体、4-メチルペンテン-1-プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、及びエチレン-オクテン共重合体等のα-オレフィン共重合体、(3)エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン-プロピレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-イソプレン共重合体等のエチレン-α-オレフィン-ジエン三元共重合体等が挙げられる。また、結晶性ポリオレフィンのマトリクスに上述のエラストマーが分散したエラストマーを使用してもよい。なお、オレフィン系エラストマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
オレフィン系エラストマーは、一般的に力学的性質などの基本物性を支配するハードセグメントと、ゴム的な性質である伸縮性を支配するソフトセグメントによって構成される。オレフィン系エラストマーのハードセグメントがポリプロピレンからなるものをプロピレン系エラストマーといい、ハードセグメントがポリエチレンからなるものをエチレン系エラストマーという。オレフィン系エラストマーのソフトセグメントとしては、EPDM、EPM、EBM、IIR、水添スチレンブタジエンゴム(HSBR)、NBR、アクリルゴム(ACM)が挙げられる。プロピレン系エラストマーの場合、全単位に対するプロピレン単位含有率は、70質量%~95質量%が好ましく、80質量%~90質量%がより好ましい。ハードセグメントであるプロピレン単位含有率が70質量%以上であれば、強度が向上するため、優れた成形性が得られ、95質量%以下であれば、ソフトセグメントの弾性により、優れた伸縮性が得られる。
【0019】
また、優れた伸縮性を得るとの観点から、伸縮フィルム全体に対するオレフィン系エラストマーの含有量は、伸縮フィルム100質量%のうち、15質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。プロピレン系エラストマーの含有量が上記範囲内であれば、エラストマーが含有するソフトセグメントの弾性により、優れた伸縮性が得られる。
【0020】
<無機充填剤>
無機充填剤は、多孔化による貫通孔の形成を行うための成分であり、この無機充填剤を含有する状態で延伸処理を行うことにより、本実施形態の伸縮性フィルムは、優れた通気性を発現し得る。
【0021】
この無機充填剤としては、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、クレー、マイカ、硫酸バリウム、及び水酸化マグネシウム等が挙げられる。なお、無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
また、伸縮フィルム全体に対する無機充填剤の含有量は、伸縮フィルム100質量%のうち、50質量%以上70質量%以下が好ましく、60質量%以上65質量%以下がより好ましい。無機充填剤の含有量が上記範囲内であれば、延伸処理を行うことにより、多孔化が促進される。
【0023】
また、無機充填剤の平均粒子径は、0.8~15μmが好ましい。無機充填剤の平均粒子径が0.8μm以上であれば、無機充填剤の二次凝集等を抑制して、樹脂への分散性が良好となり、15μm以下であれば、押出し時のドローダウンによる穴空き等が無く、成型性に優れる。
【0024】
なお、ここでいう「平均粒子径」は、粒度分布計により測定した粒度分布における50%の粒度の粒子径のことをいう。
【0025】
<他の成分>
伸縮フィルムには、伸縮フィルムの伸縮性を損なわない範囲において、上述のオレフィン系エラストマー以外の他の成分が含有されていてもよい。
【0026】
他の成分としては、オレフィン系樹脂、アマイド系アンチブロッキング剤(ステアリン酸アマイド等)、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、金属石鹸、ワックス、防カビ剤、抗菌剤、造核剤、難燃剤、滑剤等が挙げられる。なお、他の成分は、マスターバッチ化して伸縮フィルム用の材料に添加してもよい。
【0027】
<オレフィン系樹脂>
オレフィン系樹脂としては、上述のオレフィン系エラストマーと相溶性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が好ましい。なお、オレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
例えば、ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び超低密度ポリエチレン(ULDPE)等を使用することができる。
【0029】
また、孔の固定化に寄与することにより通気度を向上させるとの観点から、伸縮フィルム全体に対するオレフィン系樹脂の含有量は、伸縮フィルム100質量%のうち、10質量%未満が好ましい。これは、10質量%以上の場合は、通常のポリエチレン自体には伸縮性がないため、フィルムの伸縮性が著しく悪化してしまう場合があるためである。
【0030】
なお、透気度を向上させるとの観点から、ポリエチレン樹脂として低密度ポリエチレンを使用するとともに、伸縮フィルム全体に対する低密度ポリエチレンの含有量が10質量%未満であることが好ましい。
【0031】
<貫通孔>
図1は、本実施形態の伸縮フィルムを示す平面図である。
図1に示すように、本発明の伸縮フィルム1には、複数の貫通孔2が形成されている。この貫通孔2は、後述のごとく、多孔化前の原反フィルムに対して延伸処理を行うことにより形成される。
【0032】
なお、
図1においては、フィルムの機械軸(長手)方向(以下、「MD」という。)における延伸処理を行った場合の伸縮フィルムを示しているが、MDと直交する方向(以下、「TD」という。)における延伸処理を行った場合は、TDに横長の貫通孔2が形成される。
【0033】
そして、本実施形態の伸縮フィルム1においては、原反フィルムが上述の無機充填剤3を含有している状態で延伸処理を行うことにより多孔化される構成となっている。
【0034】
貫通孔2の直径は、1μm~100μmが好ましい。直径が1μm以上であれば、エラストマーのような伸縮性のある材料においても孔が塞がることなく優れた通気性を得ることができ、100μm以下であれば、防水性を有することができる。
【0035】
なお、貫通孔2の直径は、無作為に選択した50箇所の貫通孔2の開口直径の平均値である。
【0036】
<伸縮フィルムの製造方法>
次に、本実施形態の伸縮フィルムの製造方法について、詳細に説明する。
【0037】
本実施形態の伸縮フィルムは、上述のオレフィン系エラストマーと無機充填剤とを含有する原料を、押出機を用いてフィルム状に成形することにより製造される。
【0038】
より具体的には、まず、オレフィン系エラストマー、無機充填剤、及び必要に応じて、上述のオレフィン系樹脂等の他の成分を所定の配合比率で混合し、ストランドダイを備えた同方二軸押出機等にてストランド状に押し出ししてカットし、ペレットを得る。
【0039】
次に、このペレットを、Tダイを備えた単軸押出機にて溶融押し出しによりフィルム状に成形し、当該フィルムを巻取りロールで巻き取ることにより、多孔化前の原反フィルムを得る。
【0040】
そして、原反フィルムに対して、一軸延伸処理を行うことにより、原反フィルムを多孔化し、
図1に示す、複数の貫通孔2が形成された伸縮フィルム1が製造される。なお、延伸方法は特に限定されず、例えば、ロール延伸、テンター延伸、ギア延伸等が挙げられる。
【0041】
また、上述の一軸延伸処理は、
図1に示す、MDまたはTDのいずれか一方の方向に行われる延伸処理のことである。なお、MD、TDの両方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行ってもよい。
【0042】
また、一軸延伸処理における延伸温度は、20℃以上70℃未満である。これは、20℃未満の場合は、オレフィン系エラストマーの伸縮性に起因して形成された貫通孔が塞がってしまい、十分な透湿度を得られない場合があるためである。また、延伸温度が70℃以上の場合は、伸縮フィルムが溶融して破断する場合があるためである。
【0043】
また、一軸延伸処理における延伸倍率は、1.8倍以上6倍以下である。これは、延伸倍率が1.8倍以上であれば、延伸処理による多孔化が促進されて、伸縮フィルムの透湿度がさらに向上するが、6倍よりも大きい場合は、フィルムを伸長した場合に破断する場合があるためである。なお、ここでいう「延伸倍率」とは、延伸方向における、延伸前のフィルムの長さに対する延伸後のフィルムの長さの倍数のことをいう。
【0044】
そして、上述の方法により製造された本実施形態の伸縮フィルムは、王研式透気度試験機により測定した透気度が5000s/100ml以下となるため、優れた通気性を得ることが可能になる。
【0045】
また、本実施形態の伸縮フィルムは、永久歪みが20%以下となるため、優れた伸縮性を得ることが可能になる。
【0046】
なお、ここでいう「永久歪み」とは、以下の方法により算出されるものをいう。
【0047】
伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAG-5000A)のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定する。そして、試験片を長手方向に速度254mm/分の条件で、下記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させる。そして、下記式(2)から永久歪み[%]を算出する。
【0048】
伸び[%]=(L1-L0)/L0×100 (1)
永久歪み[%]=(L2-L0)/L0×100 (2)
【0049】
ただし、L0は、伸長する前のつかみ具間距離(mm)であり、L1は、伸長した後のつかみ具間距離(mm)であり、L2は、収縮させる際に試験片の荷重(N/25mm)が0になる時のつかみ具間距離(mm)である。
【0050】
また、延伸処理前の原反フィルムの厚みは、10~80μmが好ましく、20~60μmがより好ましい。原反フィルムの厚みが10μm以上であれば、巻取り時のシワや、スリット時のトリミングのカット性などのハンドリング性を確保できる。また、原反フィルムの厚みが80μm以下であれば、延伸処理後の伸縮フィルムは十分な通気性を得ることができる。
【0051】
また、延伸処理後の伸縮フィルムの厚みは、加熱延伸処理を行った場合は原反フィルムの40~60%となり、室温で延伸処理した場合は原反フィルムの80~100%となる。また、ギア延伸の場合は未延伸部分が原反フィルムと同じ厚みであり、延伸された部分は原反フィルムの80~100%となる。
【0052】
以上の方法により、本実施形態においては、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを得ることができる。
【0053】
なお、伸縮フィルムは、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。伸縮フィルムが複層の場合、各層の組成や厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。伸縮フィルムが複層である場合の厚みとは、この複層の全体の厚みのことを意味する。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る伸縮フィルムを示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の伸縮フィルム10は、上述の第1の実施形態において説明したオレフィン系エラストマーと無機充填剤とを含有する伸縮フィルムからなるエラストマー層5と、エラストマー層5の表面に積層された表面層6,7とを備えている。
【0056】
なお、エラストマー層5には、伸縮フィルム10の伸縮性を損なわない範囲において、上述の第1の実施形態において説明した他の成分が含有されていてもよい。
【0057】
(表面層)
表面層6,7は、伸縮フィルム10におけるブロッキングの発生を抑制するための層である。
【0058】
図2に示すように、表面層6,7は、エラストマー層5の第1の面および第2の面のいずれか一方または両方に設けられるが、伸縮フィルム10のブロッキングの発生を十分に抑制するとの観点から、エラストマー層5の第1の面および第2の面の両方に設けられることが好ましい。なお、表面層6,7は、同じ種類の表面層であってもよく、異なる種類の表面層であってもよい。
【0059】
表面層6,7は、オレフィン系樹脂(オレフィン系エラストマーを除く。)を含有しており、無機充填剤をさらに含有することが好ましい。また、表面層6,7は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
【0060】
<オレフィン系樹脂>
オレフィン系樹脂としては、エラストマー層5中のオレフィン系エラストマーと相溶性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が好ましい。表面層6,7の伸縮性を向上させるとの観点から、ポリエチレンが好ましく、表面層6,7の通気性を向上させるとの観点から、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0061】
例えば、ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
【0062】
また、例えば、ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンを単独で重合したホモポリプロピレン(H-PP)、エチレンとプロピレンとを共重合したランダムポリプロピレン(R-PP)、及びホモポリプロピレンを重合した後、ホモポリプロピレンの存在下において、エチレンとプロピレンとを共重合したブロックポリプロピレン(B-PP)等が挙げられる。なお、オレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
また、優れた伸縮性を得るとの観点から、表面層全体に対するオレフィン系樹脂の含有量は、表面層100質量%のうち、30質量%以上60質量%以下が好ましく、40質量%以上50質量%以下がより好ましい。
【0064】
<無機充填剤>
無機充填剤は、表面層5,6の表面に滑り性を付与して、伸縮フィルム10におけるブロッキングの発生をさらに抑制するための成分である。また、多孔化による貫通孔2の形成を行うための成分であり、この無機充填剤を含有する状態で延伸処理を行うことにより、本実施形態の伸縮性フィルムは、優れた通気性を発現し得る。
【0065】
この無機充填剤としては、炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、クレー、マイカ、硫酸バリウム、及び水酸化マグネシウム等が挙げられる。なお、無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
また、表面層全体に対する無機充填剤の含有量は、表面層100質量%のうち、40質量%以上70質量%以下が好ましく、50質量%以上60質量%以下がより好ましい。無機充填剤の含有量が上記範囲内であれば、延伸処理を行うことにより、多孔化が促進される。
【0067】
無機充填剤の平均粒子径は、0.8~10μmが好ましい。無機充填剤の平均粒子径が0.8μm以上であれば、無機充填剤の二次凝集等を抑制して、樹脂への分散性が良好となり、10μm以下であれば、肌触りがよくなる。
【0068】
<他の成分>
他の成分としては、アマイド系アンチブロッキング剤(ステアリン酸アマイド等)、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、金属石鹸、ワックス、防カビ剤、抗菌剤、造核剤、難燃剤、滑剤等が挙げられる。なお、他の成分は、マスターバッチ化して伸縮フィルム用の材料に添加してもよい。
【0069】
<貫通孔>
図3は、本実施形態の伸縮フィルムを示す平面図である。
図3に示すように、本発明の伸縮フィルム10には、複数の貫通孔2が形成されている。この貫通孔2は、後述のごとく、多孔化前の原反フィルムに対して延伸処理を行うことにより形成される。そして、本実施形態の伸縮フィルム10においては、原反フィルムが上述の無機充填剤3を含有する状態で延伸処理を行うことにより多孔化される構成となっている。
【0070】
なお、
図3においては、MDにおける延伸処理を行った場合の伸縮フィルムを示しているが、TDにおける延伸処理を行った場合は、TDに横長の貫通孔2が形成される。
【0071】
なお、上述のごとく、表面層6,7に無機充填剤を含有させることにより、延伸処理を行う際に多孔化を促進することができる。また、貫通孔2の直径は、上述の第1の実施形態の場合と同様に、1μm~100μmが好ましい。
【0072】
<伸縮フィルムの製造方法>
次に、本実施形態の伸縮フィルムの製造方法について、詳細に説明する。
【0073】
本実施形態の伸縮フィルムは、上述の第1の実施形態の場合と同様にまず、オレフィン系エラストマー、無機充填剤、及び必要に応じて、上述のオレフィン系樹脂等の他の成分を所定の配合比率で混合し、ストランドダイを備えた同方二軸押出機等にてストランド状に押し出ししてカットし、エラストマー層形成用のペレットを得る。また、同様に、オレフィン系樹脂、及び必要に応じて、無機充填剤、及び他の成分を所定の配合比率で混合し、ストランドダイを備えた同方二軸押出機等にてストランド状に押し出ししてカットし、表面層形成用のペレットを得る。
【0074】
次に、Tダイを備えた押出機を用い、エラストマー層形成用のペレット、及び表面層形成用のペレットを所定の温度で押出成形し、キャストフィルムプロセス法によって、エラストマー層と、エラストマー層の第1の面に設けられた第1の表面層と、エラストマー層の第2の面に設けられた第2の表面層とを有する多孔化前の原反フィルムを得る。
【0075】
そして、原反フィルムに対して、上述の第1の実施形態の場合と同様の延伸温度、及び延伸倍率による一軸延伸処理を行うことにより、原反フィルムを多孔化し、
図3に示す、複数の貫通孔2が形成された伸縮フィルム10が製造される。なお、延伸方法は特に限定されず、例えば、ロール延伸、テンター延伸、ギア延伸等が挙げられる。
【0076】
また、上述の一軸延伸処理は、
図3に示すMD、またはTDのいずれか一方の方向に行われる延伸処理のことである。なお、MD、TDの両方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行ってもよい。
【0077】
そして、上述の方法により製造された本実施形態の伸縮フィルムにおいても、上述の第1の実施形態の場合と同様に、王研式透気度試験機により測定した透気度が5000s/100ml以下になるとともに、永久歪みが20%以下となるため、優れた伸縮性と通気性を両立することができる伸縮フィルムを得ることが可能になる。
【0078】
なお、延伸処理前の原反フィルムの厚みは、10~80μmが好ましく、20~60μmがより好ましい。原反フィルムの厚みが10μm以上であれば、巻取り時のシワや、スリット時のトリミングのカット性などのハンドリング性を確保できる。また、原反フィルムの厚みが80μm以下であれば、十分な通気性を得ることができる。
【0079】
また、原反フィルムにおけるエラストマー層5の厚みは、10~70μmが好ましく、20~50μmがより好ましい。エラストマー層5の厚みが10μm以上であれば、延伸処理後の伸縮フィルム10において、十分な伸縮性を得ることができる。また、エラストマー層5の厚みが70μm以下であれば、延伸処理後の伸縮フィルム10において、十分な通気性を得ることができる。
【0080】
また、原反フィルムにおける表面層6,7の厚みは、1~6μmが好ましく、2~4μmがより好ましい。表面層6,7の厚みが1μm以上であれば、延伸処理後の伸縮フィルム10におけるブロッキングの発生を十分に抑制することができるとともに、伸縮フィルム10の通気性を向上させることができる。また、表面層6,7の厚みが6μm以下であれば、伸縮フィルム10の伸縮性を十分に得ることができる。なお、表面層6,7は、同じ厚みであってもよく、異なる厚みであってもよい。
【0081】
また、延伸処理後の伸縮フィルム10の厚みは、加熱延伸処理を行った場合は原反フィルムの40~60%となり、室温で延伸処理した場合は原反フィルムの80~100%となる。また、ギア延伸の場合は未延伸部分が原反フィルムと同じ厚みであり、延伸された部分は原反フィルムの80~100%となる。
【0082】
また、特に、伸縮フィルム全体に対する表面層6,7の厚み比が小さい伸縮フィルム10においても、伸縮性を向上させるとの観点から、原反フィルム及び伸縮フィルム10の表面層6(または表面層7)とエラストマー層5との厚み比が、表面層:エラストマー層=1:10~1:35であることが好ましい。
【0083】
なお、伸縮フィルムは、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。伸縮フィルムが複層の場合、各層の組成や厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。伸縮フィルムが複層である場合の厚みとは、この複層の全体の厚みのことを意味する。
【実施例0084】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0085】
伸縮フィルムの作製に使用した材料を以下に示す。
(1)無機充填剤:炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:PO-150B-10)
(2)LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン、密度:0.92g/cm3、MFR:2.3g/10分(Dow Chemical社製、商品名:Dowlex2047G)
(3)HDPE:高密度ポリエチレン、密度:0.951g/cm3、MFR:9.1g/10分(旭化成社製、商品名:Hizex2110JH)
(4)R-PP:ランダムポリプロピレン、密度:0.90g/cm3、MFR:6.7g/10分(プライムポリマー社製、商品名:F227)
(5)プロピレン系エラストマー(Vistamaxx(登録商標)6102FL(ExxonMobil社製、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン単位含有率:16質量%)
(6)LDPE:低密度ポリエチレン、密度:0.922g/cm3、MFR:0.3g/10分(住友化学社製、商品名:スミカセン、F101-1)
【0086】
(実施例1)
<伸縮フィルムの作製>
まず、表1に示す各材料を混合して、表1に示す組成(質量部)を有する実施例1の材料を用意した。次に、この材料を、200℃の条件下において、ストランドダイを備えた同方二軸押出機(JSW社製、商品名:TEX28V-42CW-4V)にてストランド状に押し出してカットし、ペレットを得た。
【0087】
次に、このペレットを、Tダイを備えた単軸押出機(永田製作所社製)にて、溶融押し出し(押出温度:200℃)によりフィルム状に成形し、当該フィルムを巻取りロールで巻き取ることにより、多孔化前の原反フィルムを得た。
【0088】
そして、この原反フィルムに対して、表1に示す延伸温度と延伸倍率の条件で、MDに一軸延伸処理を行うことにより、原反フィルムを多孔化し、複数の貫通孔が形成された伸縮フィルムを作製した。
【0089】
<透気度の測定>
次に、作製した延伸フィルムの透気度を、王研式透気度計(sec/100cc)(旭精工株式会社製、商品名:EG01-6-1MR)を用いて測定した。なお、本測定において通気性を示さないものに関しては99999(sec/100cc)と表記された。以上の結果を表1に示す。
【0090】
<永久歪みの測定>
作製した伸縮フィルムから、フィルムの一方向に100mm、一方向と直交する方向に25mmの短冊状試験片を切り取り、この試験片を精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAG-5000A)のつかみ具につかみ具間距離が25mmとなるように固定した。そして、試験片を長手方向に速度254mm/分の条件で、上記式(1)で算出される伸び(伸長倍率)が100%となるように伸長した後、直ちに試験片を同速度にて収縮させた。そして、上記式(2)から、MD、及びTDにおける永久歪み[%]を算出した。なお、試験は、室温(23℃±2℃)で行った。以上の結果を表1に示す。
【0091】
(実施例2~4)
伸縮フィルムの組成(質量部)と一軸延伸処理の条件を表1に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、表1に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
【0092】
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、及び永久歪みの測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0093】
(実施例5)
<伸縮フィルムの作製>
まず、表1に示す各材料を混合して、表1に示す組成(質量部)を有する実施例5のエラストマー層形成用の材料と表面層形成用の材料を用意した。次に、これらの各材料を、200℃の条件下において、ストランドダイを備えた同方二軸押出機(JSW社製、商品名:TEX28V-42CW-4V)にてストランド状に押し出してカットし、エラストマー層形成用ペレットと表面層形成用ペレットとを得た。
【0094】
次に、Tダイを備えた押出機(住友重機械モダン社製)を用い、エラストマー層形成用ペレットおよび表面層形成用ペレットを200℃で押出成形し、キャストフィルムプロセス法によって、エラストマー層と、エラストマー層の第1の面に設けられた第1の表面層と、エラストマー層の第2の面に設けられた第2の表面層とを有するフィルムを成形し、当該フィルムを巻取りロールで巻き取ることにより、多孔化前の原反フィルムを得た。
【0095】
そして、この原反フィルムに対して、表1に示す延伸温度と延伸倍率の条件で、MDに一軸延伸処理を行うことにより、原反フィルムを多孔化し、複数の貫通孔が形成された伸縮フィルムを作製した。
【0096】
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度の測定、及び永久歪みの測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0097】
(実施例6~16)
表面層の組成(質量部)、エラストマー層の組成(質量部)、表面層とエラストマー層の厚み比、及び一軸延伸処理の条件を表1に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例5と同様にして、表1に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
【0098】
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、及び永久歪みの測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0099】
(比較例1~比較例9)
表面層の組成(質量部)、エラストマー層の組成(質量部)、表面層とエラストマー層の厚み比、及び一軸延伸処理の条件を表2に示す条件に変更したこと以外は、上述の実施例5と同様にして、表2に示す厚みを有する原反フィルムを延伸処理し、伸縮フィルムを作製した。
【0100】
そして、上述の実施例1と同様にして、透気度、及び永久歪みの測定を行った。以上の結果を表2に示す。
【0101】
なお、比較例8においては、原反フィルムの表面層とエラストマー層との厚み比が、表面層:エラストマー層=1:38であるため、原反フィルムを作製する際に、エラストマー層に対して表面層が回り込まない部分が発生し、伸縮フィルムを得ることができなかった。
【0102】
また、比較例9においては、エラストマー層に配合された無機充填剤の量が多いため、エラストマー層形成用ペレットを作製することができなかった。
【0103】
従って、比較例8~9においては、透気度、及び永久歪みの測定を行うことができなかった。
【0104】
【0105】
【0106】
表1に示すように、実施例1~16の伸縮フィルムにおいては、王研式透気度試験機により測定した透気度が5000s/100ml以下であり、MD、TDの少なくとも1方向における永久歪みが20%以下であるため、優れた伸縮性と通気性を両立することができることが分かる。
【0107】
一方、表2に示すように、比較例1の伸縮フィルムにおいては、原反フィルムの表面層とエラストマー層との厚み比が、表面層:エラストマー層=1:8であるため、表面層の割合が大きくなってエラストマー性の低い樹脂成分量の割合が大きくなり、伸縮性に乏しい(永久歪みが20%よりも大きくなっている)ことが分かる。
【0108】
また、比較例2の伸縮フィルムにおいては、一軸延伸処理におけるフィルム成形時の延伸温度が70℃以上であるため、伸縮フィルムが溶融して破断した。
【0109】
また、比較例3の伸縮フィルムにおいては、原反フィルムの表面層とエラストマー層との厚み比が、表面層:エラストマー層=1:8であるため、表面層の割合が大きくなってエラストマー性の低い樹脂成分量の割合が大きくなり、伸縮性に乏しい(永久歪みが20%よりも大きくなっている)ことが分かる。また、延伸倍率が低いため、十分に開孔が進まず、通気性に乏しい(透気度が5000s/100mlよりも大きくなっている)ことが分かる。
【0110】
また、比較例4の伸縮フィルムにおいては、一軸延伸処理におけるフィルム成形時の延伸倍率が1.8倍よりも小さいため、一軸延伸処理による多孔化が促進されず、通気性に乏しい(透気度が5000s/100mlよりも大きくなっている)ことが分かる。
【0111】
また、比較例5の伸縮フィルムにおいては、原反フィルムの表面層とエラストマー層との厚み比が、表面層:エラストマー層=1:8であり、エラストマー層にLDPEが配合されていないため、樹脂と無機充填剤との間の乖離が起きにくく、通気性に乏しい(透気度が5000s/100mlよりも大きくなっている)ことが分かる。
【0112】
また、比較例6の伸縮フィルムにおいては、エラストマー層にLDPEが配合されていないため、樹脂と無機充填剤との間の乖離が起きにくく、通気性を全く示さない(透気度が99999s/100mlと表示されている)ことが分かる。
【0113】
また、比較例7の伸縮フィルムにおいては、エラストマー層にLDPEが配合されていないため、樹脂と無機充填剤との間の乖離が起きにくく、通気性に乏しい(透気度が5000s/100mlよりも大きくなっている)ことが分かる。
以上説明したように、本発明は、例えば、下着等の衣服、紙おむつのウエストバンド、サイドパネル、レッグギャザー、失禁用品、生理用ナプキン、包帯、外科的ドレープ、締め付け用バンド、帽子、水泳パンツ、スポーツ用サポーター、医療品サポーター、絆創膏等に利用される伸縮フィルム及びその製造方法に適している。