(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022108647
(43)【公開日】2022-07-26
(54)【発明の名称】細胞培養システム
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003758
(22)【出願日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】堀 邦聡
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁也
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029BB11
4B029CC02
4B029DG06
4B029GB04
(57)【要約】
【課題】培養液の流れにより細胞組織が損傷することを抑制しつつ、細胞培養を開始するまでの準備工程に要する時間を短縮することができる細胞培養システムを提供する。
【解決手段】培養液(L)を収納する培養槽(50)と、培養槽の外部から内部へ培養液を供給する供給配管(42B)と、供給配管に流れる培養液の流量を調節する流量調節部(20)と、供給配管により培養槽へ供給される培養液の圧力を検出する圧力センサ(84、86)と、供給配管により培養槽へ培養液を第1流量で供給すべく流量調節部を制御する第1モードと、第1モードの終了後に圧力センサにより検出される圧力を所定の細胞組織(B)が損傷し始める所定の損傷圧力よりも低くし且つ供給配管により培養槽へ培養液を第1流量よりも小さい第2流量で供給すべく流量調節部を制御する第2モードとを実行する制御部(45)と、を備える細胞培養システム(10)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養液を収納する培養槽と、
前記培養槽の外部から内部へ前記培養液を供給する供給配管と、
前記供給配管に流れる前記培養液の流量を調節する流量調節部と、
前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の圧力を検出する圧力センサと、
前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液を第1流量で供給すべく前記流量調節部を制御する第1モードと、前記第1モードの終了後に前記圧力センサにより検出される前記圧力を所定の細胞組織が損傷し始める所定の損傷圧力よりも低くし且つ前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液を前記第1流量よりも小さい第2流量で供給すべく前記流量調節部を制御する第2モードとを実行する制御部と、
を備える細胞培養システム。
【請求項2】
前記細胞組織を収納する細胞収納部を備え、
前記細胞収納部は、前記培養槽の内部に収納されており、
前記供給配管は、前記培養槽の外部から内部へ挿入されて前記細胞収納部に接続されている、請求項1に記載の細胞培養システム。
【請求項3】
前記圧力センサは、前記細胞組織の内部において、前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の圧力を検出する、請求項2に記載の細胞培養システム。
【請求項4】
設定圧力の入力を受け付ける圧力受付部を備え、
前記制御部は、前記第2モードとして、前記圧力センサにより検出される前記圧力を、前記圧力受付部により受け付けた前記設定圧力にすべく前記流量調節部を制御する圧力制御モードを実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項5】
設定流量の入力を受け付ける流量受付部と、
前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の流量を検出する流量センサと、を備え、
前記制御部は、前記第2モードとして、前記流量センサにより検出される前記流量を、前記流量受付部により受け付けた前記設定流量にすべく前記流量調節部を制御する流量制御モードを実行する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項6】
設定圧力の入力を受け付ける圧力受付部と、
設定流量の入力を受け付ける流量受付部と、
前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の流量を検出する流量センサと、を備え、
前記制御部は、前記第2モードとして、前記圧力センサにより検出される前記圧力を、前記圧力受付部により受け付けた前記設定圧力にすべく前記流量調節部を制御する圧力制御モードと、前記流量センサにより検出される前記流量を、前記流量受付部により受け付けた前記設定流量にすべく前記流量調節部を制御する流量制御モードとを選択的に実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項7】
前記第1流量は、前記第2流量の5倍よりも大きい、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記圧力センサにより検出される前記圧力を前記損傷圧力よりも低くする、請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項9】
前記培養液の状態を検出する状態センサと、
前記培養液の状態を調節する状態調節部と、
画像を表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記状態センサにより検出される前記状態を目標状態にすべく前記状態調節部を制御し、前記状態センサにより検出される前記状態が前記目標状態になったことを条件として、準備工程が完了したことを示す画像を前記表示部により表示させる、請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項10】
前記準備工程が完了したことを確認した操作を受け付ける確認受付部を備え、
前記制御部は、前記確認受付部により前記操作を受け付けた場合に、前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液が供給されることを停止させる、請求項9に記載の細胞培養システム。
【請求項11】
前記制御部は、準備工程が完了したことを示す画像を前記表示部により表示させた後、前記確認受付部により前記操作を受け付けるまで、前記状態センサにより検出される前記状態を目標状態に維持すべく前記状態調節部を制御する、請求項10に記載の細胞培養システム。
【請求項12】
前記培養液の状態は、前記培養液のpH、溶存酸素濃度、及び温度を含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記流量センサにより検出される前記流量が異常流量である場合に、前記流量調節部を停止させる、請求項5又は6に記載の細胞培養システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記状態センサにより検出される前記状態が異常状態である場合に、前記状態調節部を停止させる、請求項9~12のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を培養するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶存ガスセンサによって検出された溶存ガス濃度に基づいて、培養液中のターゲットガスの濃度を制御するとともに、流速センサによって測定された培養液の流速に基づいて、送液ポンプによる培養液の送液速度を制御する細胞培養システムがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載の細胞培養システムによれば、溶存ガス濃度の制御の正確性をより高めることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の細胞培養システムでは、溶存ガス濃度の制御の正確性を考慮しているものの、培養液の流れにより細胞組織が損傷するおそれがあることを考慮していない。これに対して、培養液の流速を低くして細胞が損傷することを抑制することも考えられるが、培養液の流速を過度に低くした場合には、細胞培養を開始するまでの準備工程に長時間を要することとなる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、培養液の流れにより細胞組織が損傷することを抑制しつつ、細胞培養を開始するまでの準備工程に要する時間を短縮することができる細胞培養システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、細胞培養システムであって、
培養液を収納する培養槽と、
前記培養槽の外部から内部へ前記培養液を供給する供給配管と、
前記供給配管に流れる前記培養液の流量を調節する流量調節部と、
前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の圧力を検出する圧力センサと、
前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液を第1流量で供給すべく前記流量調節部を制御する第1モードと、前記第1モードの終了後に前記圧力センサにより検出される前記圧力を所定の細胞組織が損傷し始める所定の損傷圧力よりも低くし且つ前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液を前記第1流量よりも小さい第2流量で供給すべく前記流量調節部を制御する第2モードとを実行する制御部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、培養槽は培養液を収納する。供給配管は、前記培養槽の外部から内部へ前記培養液を供給する。流量調節部は、前記供給配管に流れる前記培養液の流量を調節する。圧力センサは、前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の圧力を検出する。このため、供給配管により培養槽の内部へ培養液を供給する際に、前記培養槽へ供給される前記培養液の圧力を圧力センサにより検出しつつ、前記供給配管に流れる前記培養液の流量を流量調節部により調節することができる。
【0008】
ここで、制御部は、前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液を第1流量で供給すべく前記流量調節部を制御する第1モードを実行する。このため、培養槽に細胞組織が収納される前、すなわち細胞組織が損傷するおそれがない状態で第1モードを実行し、前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液を第1流量で供給することができる。したがって、細胞培養を開始するまでの準備工程(例えば溶存ガス濃度を調節した培養液を培養槽に貯留する工程)にかかる時間を短縮することができる。
【0009】
そして、制御部は、前記第1モードの終了後に前記圧力センサにより検出される前記圧力を所定の細胞組織が損傷し始める所定の損傷圧力よりも低くし且つ前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液を前記第1流量よりも小さい第2流量で供給すべく前記流量調節部を制御する第2モードを実行する。したがって、培養槽に細胞組織が収納された後に第2モードを実行し、前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の圧力を圧力センサにより検出して、培養液の圧力を損傷圧力よりも低くし且つ培養液の流量を第1流量よりも小さい第2流量にすることより、培養液の流れにより所定の細胞組織が損傷することを抑制することができる。しかも、第1モードの後に第2モード実行することにより、細胞培養を開始するまでの準備工程と細胞培養工程とを容易に実行することができ、細胞組織培養を実行するユーザの手間を減らすことができる。
【0010】
第2の手段では、前記細胞組織を収納する細胞収納部を備え、前記細胞収納部は、前記培養槽の内部に収納されており、前記供給配管は、前記培養槽の外部から内部へ挿入されて前記細胞収納部に接続されている。
【0011】
上記構成によれば、細胞収納部は前記細胞組織を収納する。前記細胞収納部は、前記培養槽の内部に収納されている。このため、所定の細胞組織を収納した細胞収納部を培養槽の中へ設置することにより、細胞組織を培養槽の中へ容易に設置することができる。
【0012】
ここで、前記供給配管は、前記培養槽の外部から内部へ挿入されて前記細胞収納部に接続されている。このため、細胞収納部の内部へ培養液を直接供給することができ、細胞収納部に収納された細胞組織の内部に培養液の流れを生じさせ易くなる。したがって、細胞組織の内部に培養液の流れを生じさせた適切な環境で細胞組織を培養し易くなり、細胞組織の培養を促進することができる。しかも、前記圧力センサにより検出される前記圧力を所定の細胞組織が損傷し始める所定の損傷圧力よりも低くしているため、培養液の流れにより細胞組織が損傷することを抑制することができる。
【0013】
第3の手段では、前記圧力センサは、前記細胞組織の内部において、前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の圧力を検出する。こうした構成によれば、圧力センサにより細胞組織の内部における培養液の圧力を検出することができるため、培養液の流れにより細胞組織が損傷することをさらに抑制することができる。また、細胞組織が培養される環境として細胞組織の内部における培養液の圧力を、より正確に把握することができる。
【0014】
第4の手段では、設定圧力の入力を受け付ける圧力受付部を備え、前記制御部は、前記第2モードとして、前記圧力センサにより検出される前記圧力を、前記圧力受付部により受け付けた前記設定圧力にすべく前記流量調節部を制御する圧力制御モードを実行する。
【0015】
上記構成によれば、圧力受付部は、設定圧力の入力を受け付ける。このため、細胞培養工程における培養液の圧力を任意に設定することができる。ただし、設定圧力は、前記損傷圧力よりも低く、且つ培養液の流量が前記第1流量よりも小さい第2流量となるように設定する必要がある。そして、前記制御部は、前記第2モードとして、前記圧力センサにより検出される前記圧力を、前記圧力受付部により受け付けた前記設定圧力にすべく前記流量調節部を制御する圧力制御モードを実行する。したがって、第2モードとして圧力制御モードを実行し、前記圧力センサにより検出される前記圧力を前記設定圧力に維持した状態で、細胞培養を実行することができる。
【0016】
第5の手段では、設定流量の入力を受け付ける流量受付部と、前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の流量を検出する流量センサと、を備え、前記制御部は、前記第2モードとして、前記流量センサにより検出される前記流量を、前記流量受付部により受け付けた前記設定流量にすべく前記流量調節部を制御する流量制御モードを実行する。
【0017】
上記構成によれば、流量受付部は、設定流量の入力を受け付ける。このため、細胞培養工程における培養液の流量を任意に設定することができる。ただし、設定流量は、前記第1流量よりも小さく設定する必要がある。そして、前記制御部は、前記第2モードとして、前記流量センサにより検出される前記流量を、前記流量受付部により受け付けた前記設定流量にすべく前記流量調節部を制御する流量制御モードを実行する。したがって、第2モードとして流量制御モードを実行し、前記流量センサにより検出される前記流量を前記設定流量に維持した状態で、細胞培養を実行することができる。
【0018】
第6の手段では、設定圧力の入力を受け付ける圧力受付部と、設定流量の入力を受け付ける流量受付部と、前記供給配管により前記培養槽へ供給される前記培養液の流量を検出する流量センサと、を備え、前記制御部は、前記第2モードとして、前記圧力センサにより検出される前記圧力を、前記圧力受付部により受け付けた前記設定圧力にすべく前記流量調節部を制御する圧力制御モードと、前記流量センサにより検出される前記流量を、前記流量受付部により受け付けた前記設定流量にすべく前記流量調節部を制御する流量制御モードとを選択的に実行する。
【0019】
上記構成によれば、制御部は、第4の手段の圧力制御モードと、第5の手段の流量制御モードとを選択的に実行することができる。したがって、目的や細胞組織の種類に応じて、培養に適したモードを選択して実行することができる。
【0020】
第7の手段では、前記第1流量は、前記第2流量の5倍よりも大きい。したがって、第1モードでの培養液の第1流量を第2モードでの培養液の第2流量の5倍よりも大きくすることができ、準備工程にかかる時間を大場に短縮することができる。
【0021】
第1モードは、基本的には、培養槽に細胞組織が収納される前、すなわち細胞組織が損傷するおそれがない状態で実行される。しかし、第1モードにおける培養液の圧力が前記損傷圧力よりも高いと、第2モードに切り替えた際に一時的に損傷圧力よりも高い圧力の培養液が細胞組織へ流れるおそれがある。
【0022】
この点、第8の手段では、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記圧力センサにより検出される前記圧力を前記損傷圧力よりも低くする。したがって、第1モードから第2モードに切り替えた際に、一時的に損傷圧力よりも高い圧力の培養液が細胞組織へ流れることを避けることができる。
【0023】
第9の手段では、前記培養液の状態を検出する状態センサと、前記培養液の状態を調節する状態調節部と、画像を表示する表示部と、を備え、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記状態センサにより検出される前記状態を目標状態にすべく前記状態調節部を制御し、前記状態センサにより検出される前記状態が前記目標状態になったことを条件として、準備工程が完了したことを示す画像を前記表示部により表示させる。
【0024】
上記構成によれば、状態センサは前記培養液の状態を検出する。培養液の状態としては、例えば培養液のpH、溶存酸素濃度DO、温度T等の少なくとも1つを採用することができる。状態調節部は、前記培養液の状態を調節する。例えば、状態調節部は、培養液に二酸化炭素を溶解させることによりpHを調節し、培養液に酸素を溶解させることにより溶存酸素濃度DOを調節し、培養液をヒータで加熱することにより温度Tを調節することができる。表示部は画像を表示する。
【0025】
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記状態センサにより検出される前記状態を目標状態にすべく前記状態調節部を制御する。このため、第1モードを実行することにより、培養液の実際の状態を目標状態にすることができる。そして、制御部は、前記状態センサにより検出される前記状態が前記目標状態になったことを条件として、準備工程が完了したことを示す画像を前記表示部により表示させる。したがって、ユーザは、準備工程が完了したことを示す画像が前記表示部により表示されたことを確認することにより、準備工程が完了したことを容易に把握することができる。また、ユーザは、準備工程が完了したことを示す画像が前記表示部により表示されていないことを確認することにより、準備工程が完了していないことを容易に把握することができる。
【0026】
第10の手段では、前記準備工程が完了したことを確認した操作を受け付ける確認受付部を備え、前記制御部は、前記確認受付部により前記操作を受け付けた場合に、前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液が供給されることを停止させる。
【0027】
上記構成によれば、確認受付部は、前記準備工程が完了したことを確認した操作を受け付ける。そして、前記制御部は、前記確認受付部により前記操作を受け付けた場合に、前記供給配管により前記培養槽へ前記培養液が供給されることを停止させる。したがって、前記準備工程が完了したことを確認した操作をユーザが実行した場合に、培養槽への培養液の供給を停止させることができ、培養槽に細胞組織を収納する工程へ安全に移行することができる。
【0028】
第11の手段では、前記制御部は、準備工程が完了したことを示す画像を前記表示部により表示させた後、前記確認受付部により前記操作を受け付けるまで、前記状態センサにより検出される前記状態を目標状態に維持すべく前記状態調節部を制御する。こうした構成によれば、準備工程が完了した後に、前記準備工程が完了したことを確認した操作をユーザが実行するまで、培養液の状態を目標状態に維持することができる。したがって、ユーザが望む時期に、前記準備工程が完了したことを確認した操作を実行して細胞培養を開始することができる。
【0029】
第12の手段では、前記培養液の状態は、前記培養液のpH、溶存酸素濃度、及び温度を含む。こうした構成によれば、第1モードを実行中に、前記培養液のpH、溶存酸素濃度DO、及び温度Tを、それぞれ目標pH、目標溶存酸素濃度、及び目標温度にすることができる。したがって、第1モード完了後に速やかに細胞培養工程に移行することができ、ユーザの手間を減らすことができる。
【0030】
第13の手段では、前記制御部は、前記流量センサにより検出される前記流量が異常流量である場合に、前記流量調節部を停止させる。こうした構成によれば、培養液を正常に流通させることができない場合に、培養液の流通を停止させることができる。したがって、第1モード及び第2モード中に、細胞培養システムをユーザが監視する負担を軽減することができる。
【0031】
第14の手段では、前記制御部は、前記状態センサにより検出される前記状態が異常状態である場合に、前記状態調節部を停止させる。こうした構成によれば、培養液の状態を正常に調節することができない場合に、培養液の状態の調節を停止させることができる。したがって、第1モード及び第2モード中に、細胞培養システムをユーザが監視する負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】スタンバイモードの手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、細胞を培養する細胞培養システムに具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
図1に示すように、細胞培養システム10は、圧力制御送液部20、細胞培養槽50、混合器60、マスフロコントローラ(MFC)61~63、制御部45、表示部70、ポンプ90等を備えている。
【0035】
圧力制御送液部20(流量調節部)は、空気供給源21、流量比例弁24、絞り弁27、滅菌フィルタ31、タンク34、圧力センサ37、液面センサ41、流量センサ85等を備えている。
【0036】
空気供給源21(気体の供給源)は、所定圧力の空気(気体)を供給する。空気供給源21は、配管22,23によりタンク34に接続されている。配管22には、流量比例弁24が設けられている。流量比例弁24は、入力信号に比例して開度を調節可能であり、空気供給源21から供給される空気の流量を調節する。流量比例弁24は制御部45によって制御される。
【0037】
配管22と配管23とは、接続部25において接続されている。配管23には、滅菌フィルタ31が設けられている。滅菌フィルタ31は、配管23を介してタンク34へ流れる空気を滅菌する。タンク34は、有底円筒状に形成されており、気密性であり、培養液Lを貯留(収納)している。配管23は、タンク34の上部に接続されている。すなわち、配管23は、タンク34において培養液Lの液面よりも高い位置に接続されており、培養液Lと接していない。なお、配管22,23によって、第1配管が構成されている。タンク34の形状は、有底円筒状に限らず、任意である。
【0038】
培養液Lには、例えば重炭酸塩等、pH6~8の範囲において遊離してpH緩衝機能を有する試薬が添加されている。重炭酸塩としては、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等を採用することができる。その他、培養液Lには、血管を有する細胞組織B(細胞)が活動するために必要な養分として、血清、アミノ酸、ビタミン、糖類等が添加されている。なお、培養液Lには、pHを目視で確認するためにフェノールレッド等の指示薬が添加されている。
【0039】
圧力センサ37は、タンク34の下部における培養液Lの圧力P1を検出する。液面センサ41は、タンク34内の培養液Lの液面の位置を検出する。
【0040】
接続部25には、配管26が接続されている。接続部25は、配管26により空気の排出部28に接続されている。配管26には、絞り弁27が設けられている。絞り弁27(絞り部)は、例えば微少な流量を調節するニードル弁であり、排出部28へ排出される空気の流量を制限(調節)する。絞り弁27の開度は、タンク34内の空気の圧力(タンク34内の圧力)を目標圧力にすべく、所定開度に設定されている。タンク34内の空気の目標圧力に応じて、絞り弁27の開度を変更してもよい。排出部28へ流れた空気は圧力制御送液部20の外部(大気)へ排出される。なお、配管23,26によって、第2配管が構成されている。
【0041】
細胞培養槽50(培養槽)は、中空の直方体状に形成されており、内部に培養液Lを貯留(収納)している。なお、細胞培養槽50の形状は、中空の直方体状に限らず、中空の円柱状等であってもよい。
【0042】
細胞培養槽50の内部には、細胞収納部51が設置(収納)されている。細胞収納部51は、上底のない中空の直方体状に形成されている。細胞収納部51の内部には、上記細胞組織Bが収納されている。なお、細胞収納部51の形状は、上底のない中空の直方体状に限らず、上底のない中空の円柱状等であってもよい。
【0043】
送液配管42A,42B(供給配管)は、タンク34に貯留された培養液Lの中と細胞収納部51(細胞培養槽50)とを接続している。すなわち、送液配管42A,42Bは、細胞培養槽50の外部から内部へ培養液Lを供給する。送液配管42Aは、タンク34に貯留された培養液Lの中に挿入されており、タンク34内において送液配管42の下端は培養液Lの液面よりも低い位置にある。
【0044】
送液配管42A,42Bには、電磁弁46、チェック弁47、流量センサ85等が設けられている。電磁弁46は、送液配管42Aを開閉する。電磁弁46は、制御部45によって制御される。チェック弁47(逆止弁)は、電磁弁46(タンク34)から細胞収納部51(細胞培養槽50)への培養液Lの流通を許容し、細胞収納部51(細胞培養槽50)から電磁弁46(タンク34)への培養液Lの流通を禁止する。流量センサ85は、送液配管42Aを流れる培養液Lの流量、すなわち送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ供給される培養液Lの流量を検出する。
【0045】
細胞培養槽50には、タンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lが送液(供給)される。詳しくは、送液配管42Bを介して細胞収納部51へ培養液Lが直接送液される。これにより、細胞組織B内に培養液Lの流路Bpが形成され、細胞組織B内に培養液Lの流れが生じる。流路Bp内を流れた培養液Lは、破線矢印で示すように細胞収納部51の外部へ流出する。細胞組織Bは、例えば血管を有する動物細胞組織である。細胞組織Bは、培養液Lにより培養され、所定の生体機能を発現する。その際に、細胞の活動により細胞培養槽50内の培養液Lの溶存酸素濃度DO及びpHが変化する。
【0046】
細胞組織Bの培養時において、細胞組織Bの血管を損傷しないように、培養液Lは損傷圧力Pd[mmHg]よりも低い圧力(加圧)で細胞培養槽50の細胞収納部51へ送液される。損傷圧力Pdは、細胞組織Bが損傷し始める所定の圧力(例えば5~10[mmHg])であり、細胞組織Bの種類によって変化する。また、細胞組織Bが所定の生体機能を発現するためには、目標流量の培養液Lを送液する流量制御送液ではなく、目標圧力で培養液Lを送液する圧力制御送液とすることが望ましい。この理由は、実際の動物の動物細胞組織では、心臓により血液が送液されており、流量制御送液よりも圧力制御送液に近いためである。さらに、細胞組織Bが所定の生体機能を発現するためには、細胞組織Bに作用する圧力が安定していることが望ましい。なお、培養液Lを損傷圧力Pd[mmHg]よりも低い圧力(加圧)で細胞収納部51へ送液する場合、培養液Lの流量は培養流量Fg[mL/min]よりも小さくなる。培養流量Fg(第2流量)は、細胞組織Bの培養に適した流量であり、例えば1~3[mL/min]である。
【0047】
細胞培養槽50に貯留された培養液Lの中には、酸素濃度センサ81、pHセンサ82、及び温度センサ83が挿入されている。酸素濃度センサ81(状態センサ)は、細胞培養槽50内の培養液Lの溶存酸素濃度DO(状態)を検出する。pHセンサ82(状態センサ)は、細胞培養槽50内の培養液LのpH(状態)を検出する。pHセンサ82により培養液LのpHを検出する際には、pHセンサ82から基準液(内部液)が培養液Lへ若干漏れ出すことがある。温度センサ83(状態センサ)は、細胞培養槽50内の培養液Lの温度(状態)を検出する。また、細胞組織Bの流路Bp(細胞組織B)の中には、圧力センサ84が挿入されている。圧力センサ84は、流路Bp内の培養液Lの圧力、すなわち送液配管42Bにより細胞収納部51(細胞培養槽50)へ供給される培養液Lの圧力を検出する。
【0048】
細胞培養槽50には、ヒータ52が設けられている。ヒータ52(状態調節部)は、細胞培養槽50内に貯留された培養液Lを加熱する。ヒータ52は、制御部45によって制御される。なお、細胞培養槽50の内部の培養液Lは、図示しないスターラにより撹拌されている。
【0049】
細胞培養槽50は、返液配管43によりタンク34に接続されている。返液配管43には、ポンプ90及びチェック弁92が設けられている。ポンプ90は、液面センサ41により検出された液面の位置が所定位置よりも下がった場合(液面センサ41:OFF)に、培養液Lを圧送する。そして、ポンプ90は、液面センサ41により検出された液面の位置が所定位置よりも上がった場合(液面センサ41:ON)に、培養液Lの圧送を停止する。チェック弁92(逆止弁)は、ポンプ90からタンク34への培養液Lの流通を許容し、タンク34からポンプ90への培養液Lの流通を禁止する。返液配管43は、タンク34において培養液Lの液面よりも低く、且つ送液配管42Aの下端よりも高い位置に接続されている。
【0050】
制御部45は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータである。制御部45は、目標圧力で培養液Lを細胞培養槽50へ送液すべく、流量比例弁24を制御する。すなわち、圧力制御送液部20は、送液配管42A,42Bに流れる培養液Lの流量を調節する。
【0051】
制御部45は、圧力制御送液部20を制御してタンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lを細胞培養槽50へ送液する際に、所定条件に基づき算出した目標流量の空気が供給されるように流量比例弁24を制御する。制御部45は、タンク34内の圧力Pvが平衡するまで、その状態を5[S]以下の所定時間(例えば3[S])維持する。本実施形態では、略1[S]で、圧力Pvが平衡する。その結果、培養液Lが目標圧力で細胞培養槽50へ送液される。
【0052】
空気供給源21から空気を供給し始めてから、タンク34の内部の圧力Pvを平衡させるまでの時間は、タンク34の容積が大きいほど、絞り弁27の有効断面積Sが大きいほど、タンク34の内部の目標圧力が高いほど、長くなる。この点、血管を有する細胞組織Bの培養では、損傷圧力Pd[mmHg]よりも低い微圧で細胞培養槽50へ培養液Lを送液する必要があるため、タンク34の内部の目標圧力を非常に低く設定している。したがって、圧力Pvが平衡するまでの時間は非常に短くなる。
【0053】
制御部45は、タンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lを細胞培養槽50へ送液する際に、タンク34の内部の圧力を平衡させた状態における空気供給源21から供給される空気の流量とタンク34の内部の圧力との所定の相関関係に基づいて、タンク34の内部の目標圧力に対応する目標流量の空気が供給されるように流量比例弁24を制御した状態でタンク34の内部の圧力を平衡させる。換言すれば、制御部45は、タンク34の内部の圧力を平衡させた状態における空気供給源21から供給される空気の流量とタンク34の内部の圧力との所定の相関関係に基づいて、タンク34の内部の目標圧力に対応する目標流量の空気が供給されるように流量比例弁24を制御した状態でタンク34の内部の圧力を平衡させて、タンク34から送液配管42A,42Bを介して培養液Lを細胞培養槽50へ送液させる。
【0054】
酸素ボンベ(図示略)、二酸化炭素ボンベ(図示略)、及び窒素ボンベ(図示略)から供給される酸素、二酸化炭素、及び窒素は、それぞれMFC61~63を介して混合器60へ供給される。MFC61~63(状態調節部)は、それぞれ酸素、二酸化炭素、及び窒素の流量を調節する。MFC61~63は、制御部45によって制御される。混合器60は、これらの気体を混合する。混合器60は、細胞培養槽50に接続されている。そして、混合器60において混合された酸素、二酸化炭素、及び窒素は、ガス配管65を介して細胞培養槽50へ供給される。なお、細胞培養槽50へ供給された気体は、細胞培養槽50のガス排出口あるいは隙間から細胞培養槽50の外部へ排出される。
【0055】
表示部70は、タッチパネル(液晶パネル+タッチパッド)により構成されている。表示部70(圧力受付部、流量受付部、確認受付部)は、画像を表示するとともに、ユーザによるタッチ操作を受け付ける。タッチ操作は、表示されたボタン(アイコン)を押す操作、数値の入力等を含む。
【0056】
以上説明した細胞培養システム10において、細胞組織Bの培養工程を開始する前には、準備工程を実行する必要がある。準備工程では、例えば溶存ガス濃度及び温度Tを調節した培養液Lを、細胞培養槽50に貯留する。細胞培養システム10は、スタンバイモードにより準備工程を実行し、培養モードにより培養工程を実行する。
【0057】
スタンバイモード(第1モード)では、制御部45は、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lを第1流量F1で供給すべく圧力制御送液部20を制御する。詳しくは、ユーザは予め表示部70により表示された画像を操作して、スタンバイモードにおいて圧力センサ37により検出される圧力P1の目標値である設定圧力P1sを入力する。設定圧力P1sは、上記損傷圧力Pdよりも低い圧力であり、且つ細胞培養槽50に培養液Lを速やかに送液することのできる圧力である。また、表示部70は、ユーザによるスタンバイモードの開始操作を受け付ける。表示部70は、スタンバイモードの開始を指示する「スタンバイ」ボタンを表示する。制御部45は、「スタンバイ」ボタンが押された場合にスタンバイモードを開始する。
【0058】
培養モード(第2モード)では、制御部45は、スタンバイモードの終了後に圧力センサ84により検出される圧力P2を損傷圧力Pdよりも低くし且つ送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lを第1流量F1よりも小さい第2流量F2で供給すべく圧力制御送液部20を制御する。詳しくは、第1流量F1は第2流量F2の5倍よりも大きい(第1流量F1のオーダーは第2流量F2オーダーよりも大きい)。制御部45は、スタンバイ(準備工程)が完了した場合に、表示部70により「スタンバイ完了」及び「確認」ボタンをポップアップ表示させる。制御部45は、「確認」ボタンがユーザにより長押し(操作)された(スタンバイが完了したことを確認した操作が表示部70により受け付けられた)場合に、スタンバイが完了したことをユーザが確認したと判定する。制御部45は、スタンバイが完了したことをユーザが確認したと判定したことを条件として、培養モードを実行する。
【0059】
制御部45は、培養モードとして、圧力制御モードと流量制御モードとを選択的に実行する。表示部70は、「圧力制御モード」ボタンと、「流量制御モード」ボタンとを表示する。ユーザは、予め「圧力制御モード」ボタン又は「流量制御モード」ボタンを押して(操作して)、圧力制御モード又は流量制御モードを選択する。
【0060】
圧力制御モードでは、ユーザは予め表示部70により表示された画像を操作して、圧力センサ84により検出される圧力P2の目標値である設定圧力P2sを入力する。設定圧力P2sは、上記損傷圧力Pdよりも低い圧力であり、且つ細胞組織Bの培養に適した圧力である。制御部45は、圧力制御モード(培養モード、第2モード)として、圧力センサ84により検出される圧力P2を設定圧力P2sにすべく圧力制御送液部20を制御する。
【0061】
流量制御モードでは、ユーザは予め表示部70により表示された画像を操作して、流量センサ85により検出される流量Fの目標値である設定流量Fsを入力する。設定流量Fsは、細胞組織Bの培養に適した流量である。制御部45は、流量制御モード(培養モード、第2モード)として、流量センサ85により検出される流量Fを設定流量Fsにすべく圧力制御送液部20を制御する。
【0062】
図2は、スタンバイモードの手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、ユーザにより表示部70に対してスタンバイモードの開始操作が実行された場合に、制御部45によって実行される。
【0063】
まず、液面センサ41がON、且つ圧力P1<閾圧力P1rであるか否か判定する(S10)。すなわち、液面センサ41により検出された液面の位置が所定位置よりも上がっており、且つ圧力センサ37により検出されたタンク34の下部における培養液Lの圧力P1(以下、「タンク34の内部の圧力P1」という)が閾圧力P1rよりも低いか否か判定する。閾圧力P1rは、上記損傷圧力Pdよりも低く、且つ細胞培養槽50に培養液Lを速やかに送液することを妨げない圧力である。この判定において、液面センサ41がONでない、又は圧力P1<閾圧力P1rでないと判定した場合(S10:NO)、S10の判定を再度実行する。
【0064】
一方、液面センサ41がON、且つ圧力P1<閾圧力P1rであると判定した場合(S10:YES)、タンク34から細胞培養槽50への培養液Lの送液を可能とする電磁弁46を開く(S11)。
【0065】
続いて、圧力P2<閾圧力P2rであるか否か判定する(S12)。すなわち、圧力センサ84により検出された細胞組織Bの内部の圧力P2が、閾圧力P2rよりも低いか否か判定する。閾圧力P2rは、損傷圧力Pdよりも低く、且つ細胞培養槽50に培養液Lを速やかに送液することを妨げない圧力である。なお、閾圧力P1rと閾圧力P2rとは同一でもよいし、異なっていてもよい。この判定において、圧力P2<閾圧力P2rでないと判定した場合(S12:NO)、タンク34の内部の圧力を降下させるように圧力制御送液部20を制御する(S13)。その後、S12の判定から再度実行する。
【0066】
一方、圧力P2<閾圧力P2rであると判定した場合(S12:YES)、圧力P1≒設定圧力P1sであるか否か判定する(S14)。すなわち、圧力センサ37により検出されたタンク34の内部の圧力P1が、上記設定圧力P1sと略等しいか否か判定する。圧力P1≒設定圧力P1sである場合は、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lが上記第1流量F1で供給される。この判定において、圧力P1≒設定圧力P1sでないと判定した場合(S14:NO)、タンク34の内部の圧力を設定圧力P1sに近付けるように圧力制御送液部20を制御する(S15)。その後、S12の判定から再度実行する。
【0067】
一方、S14の判定において、圧力P1≒設定圧力P1sであると判定した場合(S14:YES)、タンク34の内部の圧力を設定圧力P1sで維持するように圧力制御送液部20を制御する(S16)。
【0068】
続いて、溶存酸素濃度DO≒目標溶存酸素濃度、且つpH≒目標pH、且つ温度T≒目標温度であるか否か判定する(S17)。なお、制御部45は、
図2のフローチャートとは別の培養液調質制御において、溶存酸素濃度DO≒目標溶存酸素濃度、且つpH≒目標pH、且つ温度T≒目標温度となるように、それぞれMFC61~63、及びヒータ52を制御している。この判定において、pH、溶存酸素濃度DO、及び温度Tのいずれかが目標値と略等しくないと判定した場合(S17:NO)、S12の処理から再度実行する。
【0069】
一方、溶存酸素濃度DO≒目標溶存酸素濃度、且つpH≒目標pH、且つ温度T≒目標温度であると判定した場合(S17:YES)、表示部70により「スタンバイ完了」及び「確認」ボタンをポップアップ表示させる(S18)。すなわち、スタンバイモードにおいて、センサ81~83により検出される培養液Lの状態を目標状態にすべくMFC61~63、及びヒータ52を制御し、センサ81~83により検出される培養液Lの状態が目標状態になったことを条件として、スタンバイが完了したことを示す画像を表示部70により表示させる。
【0070】
続いて、スタンバイが完了したことをユーザが確認したか否か判定する(S19)。この判定において、スタンバイが完了したことをユーザが確認していないと判定した場合(S19:NO)、S12の処理から再度実行する。すなわち、スタンバイが完了したことを示す画像を表示部70により表示させた後、表示部70によりスタンバイ完了の確認操作を受け付けるまで、センサ81~83により検出される培養液Lの状態を目標状態に維持すべくMFC61~63、及びヒータ52を制御する。
【0071】
一方、S19の判定において、スタンバイが完了したことをユーザが確認したと判定した場合(S19:YES)、電磁弁46を閉じ、混合器60への酸素、二酸化炭素、及び窒素の供給を停止させ、圧力制御送液部20によるタンク34の内部の圧力制御を停止させる(S20)。すなわち、スタンバイが完了したことを確認した操作が表示部70により受け付けられた場合に、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lが供給されること、及びガス配管65により細胞培養槽50へ気体が供給されることを停止させる。その後、この一連の処理を終了し(END)、ユーザは細胞培養槽50の内部へ細胞組織Bを入れて培養可能な状態にする。詳しくは、細胞組織Bが収納された細胞収納部51を細胞培養槽50の内部へ設置し、細胞収納部51に送液配管42Bを接続する。
【0072】
図3は、培養モードの手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、ユーザにより表示部70に対して培養モードの開始操作が実行された場合に実行される。
【0073】
まず、ポンプ90はタンク液面制御を実行する(S30)。詳しくは、ポンプ90は、液面センサ41により検出された液面の位置が所定位置よりも下がった場合(液面センサ41:OFF)に、培養液Lを圧送する。そして、ポンプ90は、液面センサ41により検出された液面の位置が所定位置よりも上がった場合(液面センサ41:ON)に、培養液Lの圧送を停止する。
【0074】
続いて、制御部45は培養液調質制御を実行する(S31)。詳しくは、制御部45は、溶存酸素濃度DO≒目標溶存酸素濃度、且つpH≒目標pH、且つ温度T≒目標温度となるように、それぞれMFC61~63、及びヒータ52を制御する。
【0075】
続いて、制御部45は送液制御を実行する(S32)。
図4は、送液制御の手順を示すフローチャートである。
【0076】
同図に示すように、圧力P2<閾圧力P2rであるか否か判定する(S321)。すなちわ、圧力センサ84により検出された細胞組織Bの内部の圧力P2が、上記閾圧力P2rよりも低いか否か判定する。この判定において、圧力P2<閾圧力P2rでないと判定した場合(S321:NO)、タンク34の内部の圧力を降下させるように圧力制御送液部20を制御する(S322)。その後、
図3のS32の次の処理へ戻る(RET)。
【0077】
一方、圧力P2<閾圧力P2rであると判定した場合(S321:YES)、圧力P2≒設定圧力P2sであるか、又は流量F≒設定流量Fsであるか否か判定する(S323)。すなわち、圧力制御モードの実行中であれば、圧力センサ84により検出された細胞組織Bの内部の圧力P2が、上記設定圧力P2sと略等しいか否か判定する。この判定において、圧力P2≒設定圧力P2sでないと判定した場合(S323:NO)、圧力P2を設定圧力P2sに近付けるように圧力制御送液部20を制御する(S324)。また、流量制御モードの実行中であれば、流量センサ85により検出された培養液Lの流量が、上記設定流量Fsと略等しいか否か判定する。この判定において、流量F≒設定流量Fsでないと判定した場合(S323:NO)、流量Fを設定流量Fsに近付けるように圧力制御送液部20を制御する(S324)。その後、
図3のS32の次の処理へ戻る(RET)。
【0078】
一方、S323の判定において、圧力P2≒設定圧力P2sである、又は流量F≒設定流量Fsであると判定した場合(S323:YES)、タンク34の内部の圧力を現在の圧力で維持するように圧力制御送液部20を制御する(S325)。その後、
図3のS32の次の処理へ戻る(RET)。
【0079】
図3に戻り、S33の処理では、制御部45はユーザによる培養停止操作があったか否か判定する(S33)。詳しくは、ユーザにより表示部70に対して培養モードの停止操作が実行されたか否か判定する。この判定において、ユーザによる培養停止操作がなかったと判定した場合(S33:NO)、S30の処理から再度実行する。一方、この判定において、ユーザによる培養停止操作があったと判定した場合(S33:YES)、この一連の処理を終了する(END)。
【0080】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0081】
・制御部45は、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lを第1流量F1で供給すべく圧力制御送液部20を制御するスタンバイモードを実行する。このため、細胞培養槽50に細胞組織Bが収納される前、すなわち細胞組織Bが損傷するおそれがない状態でスタンバイモードを実行し、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lを第1流量F1で供給することができる。したがって、細胞培養を開始するまでの準備工程(例えば溶存ガス濃度を調節した培養液Lを細胞培養槽50に貯留する工程)にかかる時間を短縮することができる。
【0082】
そして、制御部45は、スタンバイモードの終了後に圧力センサ84により検出される圧力P2を所定の細胞組織Bが損傷し始める所定の損傷圧力Pdよりも低くし且つ送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lを第1流量F1よりも小さい第2流量F2で供給すべく圧力制御送液部20を制御する培養モードを実行する。したがって、細胞培養槽50に細胞組織Bが収納された後に培養モードを実行し、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ供給される培養液Lの圧力P2を圧力センサ84により検出して、培養液Lの圧力P2を損傷圧力Pdよりも低くし且つ培養液Lの流量Fを第1流量F1よりも小さい第2流量F2にすることより、培養液Lの流れにより所定の細胞組織Bが損傷することを抑制することができる。しかも、スタンバイモードの後に培養モード実行することにより、細胞培養を開始するまでの準備工程(スタンバイ)と細胞培養工程とを容易に実行することができ、細胞組織B培養を実行するユーザの手間を減らすことができる。
【0083】
・細胞収納部51は細胞組織Bを収納する。細胞収納部51は、細胞培養槽50の内部に収納されている。このため、所定の細胞組織Bを収納した細胞収納部51を細胞培養槽50の中へ設置することにより、細胞組織Bを細胞培養槽50の中へ容易に設置することができる。
【0084】
・送液配管42Bは、細胞培養槽50の外部から内部へ挿入されて細胞収納部51に接続されている。このため、細胞収納部51の内部へ培養液Lを直接供給することができ、細胞収納部51に収納された細胞組織Bの内部に培養液Lの流れを生じさせ易くなる。したがって、細胞組織Bの内部に培養液Lの流れを生じさせた適切な環境で細胞組織Bを培養し易くなり、細胞組織Bの培養を促進することができる。しかも、圧力センサ84により検出される圧力P2を所定の細胞組織Bが損傷し始める所定の損傷圧力Pdよりも低くしているため、培養液Lの流れにより細胞組織Bが損傷することを抑制することができる。
【0085】
・圧力センサ84は、細胞組織Bの内部において、送液配管42Bにより細胞培養槽50へ供給される培養液Lの圧力P2を検出する。こうした構成によれば、圧力センサ84により細胞組織Bの内部における培養液Lの圧力P2を検出することができるため、培養液Lの流れにより細胞組織Bが損傷することをさらに抑制することができる。また、細胞組織Bが培養される環境として細胞組織Bの内部における培養液Lの圧力P2を、より正確に把握することができる。
【0086】
・圧力受付部(表示部70)は、設定圧力P2sの入力を受け付ける。このため、細胞培養工程における培養液Lの圧力を任意に設定することができる。ただし、設定圧力P2sは、損傷圧力Pdよりも低く、且つ培養液Lの流量Fが第1流量F1よりも小さい第2流量F2となるように設定する必要がある。そして、制御部45は、培養モードとして、圧力センサ84により検出される圧力P2を圧力受付部により受け付けた設定圧力P2sにすべく圧力制御送液部20を制御する圧力制御モードを実行する。したがって、培養モードとして圧力制御モードを実行し、圧力センサ84により検出される圧力P2を設定圧力P2sに維持した状態で、細胞培養を実行することができる。
【0087】
・流量受付部(表示部70)は、設定流量Fsの入力を受け付ける。このため、細胞培養工程における培養液Lの流量Fを任意に設定することができる。ただし、設定流量Fsは、第1流量F1よりも小さく設定する必要がある。そして、制御部45は、培養モードとして、流量センサ85により検出される流量Fを流量受付部により受け付けた設定流量Fsにすべく圧力制御送液部20を制御する流量制御モードを実行する。したがって、培養モードとして流量制御モードを実行し、流量センサ85により検出される流量Fを設定流量Fsに維持した状態で、細胞培養を実行することができる。
【0088】
・制御部45は、圧力制御モードと、流量制御モードとを選択的に実行することができる。したがって、目的や細胞組織Bの種類に応じて、培養に適したモードを選択して実行することができる。
【0089】
・第1流量F1は、第2流量F2の5倍よりも大きい。したがって、スタンバイモードでの培養液Lの第1流量F1を培養モードでの培養液Lの第2流量F2の5倍よりも大きくすることができ、準備工程にかかる時間を大場に短縮することができる。
【0090】
・スタンバイモードは、基本的には、細胞培養槽50に細胞組織Bが収納される前、すなわち細胞組織Bが損傷するおそれがない状態で実行される。しかし、スタンバイモードにおける培養液Lの圧力が損傷圧力Pdよりも高いと、培養モードに切り替えた際に一時的に損傷圧力Pdよりも高い圧力の培養液Lが細胞組織Bへ流れるおそれがある。この点、制御部45は、スタンバイモードにおいて、圧力センサ37により検出される圧力P1を損傷圧力Pd(閾圧力P1r)よりも低くする。したがって、スタンバイモードから培養モードに切り替えた際に、一時的に損傷圧力Pdよりも高い圧力の培養液Lが細胞組織Bへ流れることを避けることができる。
【0091】
・センサ81~83は培養液Lの状態を検出する。培養液Lの状態として、培養液LのpH、溶存酸素濃度DO、温度Tを採用している。MFC61~63及びヒータ52は、培養液Lの状態を調節する。具体的には、培養液Lに二酸化炭素を溶解させることによりpHを調節し、培養液Lに酸素を溶解させることにより溶存酸素濃度DOを調節し、培養液Lをヒータ52で加熱することにより温度Tを調節することができる。
【0092】
・制御部45は、スタンバイモードにおいて、センサ81~83により検出される状態を目標状態にすべくMFC61~63及びヒータ52を制御する。このため、スタンバイモードを実行することにより、培養液Lの実際の状態を目標状態にすることができる。そして、制御部45は、センサ81~83により検出される状態が目標状態になったことを条件として、準備工程が完了したことを示す画像を表示部70により表示させる。したがって、ユーザは、準備工程が完了したことを示す画像が表示部70により表示されたことを確認することにより、準備工程が完了したことを容易に把握することができる。また、ユーザは、準備工程が完了したことを示す画像が表示部70により表示されていないことを確認することにより、準備工程が完了していないことを容易に把握することができる。
【0093】
・確認受付部(表示部70)は、準備工程が完了したことを確認した操作を受け付ける。そして、制御部45は、確認受付部により操作を受け付けた場合に、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lが供給されることを停止させる。したがって、準備工程が完了したことを確認した操作をユーザが実行した場合に、細胞培養槽50への培養液Lの供給を停止させることができ、細胞培養槽50に細胞組織Bを収納する工程へ安全に移行することができる。
【0094】
・制御部45は、準備工程が完了したことを示す画像を表示部70により表示させた後、確認受付部により操作を受け付けるまで、センサ81~83により検出される状態を目標状態に維持すべくMFC61~63及びヒータ52を制御する。こうした構成によれば、準備工程が完了した後に、準備工程が完了したことを確認した操作をユーザが実行するまで、培養液Lの状態を目標状態に維持することができる。したがって、ユーザが望む時期に、準備工程が完了したことを確認した操作を実行して細胞培養を開始することができる。さらに、確認受付部により操作を受け付けるまで、センサ81~83により検出される状態が目標状態に維持されるため、細胞培養を開始する条件を揃えることができ、細胞培養の再現性を向上させることができる。
【0095】
・スタンバイモードを実行中に、培養液LのpH、溶存酸素濃度DO、及び温度Tを、それぞれ目標pH、目標溶存酸素濃度、及び目標温度にすることができる。したがって、スタンバイモード完了後に速やかに細胞培養工程に移行することができ、ユーザの手間を減らすことができる。
【0096】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0097】
・
図2のS13,S15の処理、及び
図4のS322,S324の処理において、タンク34の内部の圧力を変化させる幅、及び圧力を変化させる周期を、可変設定できるようにしてもよい。また、圧力P1≒P1sとみなす圧力の幅、及び圧力P2≒P2sとみなす圧力の幅を、可変設定できるようにしてもよい。
【0098】
・制御部45は、流量センサ85により検出される流量Fが異常流量である場合に、圧力制御送液部20を停止させてもよい。こうした構成によれば、培養液Lを正常に流通させることができない場合に、培養液Lの流通を停止させることができる。したがって、スタンバイモード及び培養モード中に、細胞培養システム10をユーザが監視する負担を軽減することができる。また、制御部45は、流量センサ85により検出される流量Fが異常流量である場合に、表示部70や警告灯により培養液Lの流通が異常であることを報知してもよい。
【0099】
・制御部45は、センサ81~83により検出される状態が異常状態である場合に、MFC61~63及びヒータ52を停止させてもよい。こうした構成によれば、培養液Lの状態を正常に調節することができない場合に、培養液Lの状態の調節を停止させることができる。したがって、スタンバイモード及び培養モード中に、細胞培養システム10をユーザが監視する負担を軽減することができる。また、制御部45は、センサ81~83により検出される状態が異常状態である場合に、表示部70や警告灯により培養液Lの状態が異常であることを報知してもよい。
【0100】
・制御部45は、準備工程が完了したことを示す画像を表示部70により表示させた後、確認受付部により操作を受け付けるまで、センサ81~83により検出される状態を目標状態に維持する制御を省略することもできる。
【0101】
・制御部45は、準備工程が完了したことを確認した操作を確認受付部により受け付けた場合に、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lが供給されることを停止させる処理を省略することもできる。また、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ培養液Lが供給されることを手動操作で停止させてもよい。
【0102】
・培養液Lの目標状態を、予めプログラムにより設定しておくこともできる。
【0103】
・培養液LのpH、溶存酸素濃度DO、及び温度Tの少なくとも1つの調節を、省略することもでき、また手動操作で実行することもできる。これに伴って、培養液LのpH、溶存酸素濃度DO、及び温度Tの少なくとも1つの検出を、省略することもでき、また手動操作で実行することもできる。
【0104】
・制御部45は、スタンバイモードにおいて、必ずしも圧力センサ37により検出される圧力P1を損傷圧力Pdよりも低くしなくてもよい。
【0105】
・第1流量F1は、第2流量F2の5倍よりも大きい設定に限定されず、第2流量F2の2倍よりも大きい設定であってもよいし、第2流量F2の1倍よりも大きい設定であってもよい。
【0106】
・培養液Lの設定圧力P1s,P2s及び設定流量Fsを、予めプログラムにより設定しておくこともできる。
【0107】
・制御部45は、圧力制御モードと、流量制御モードとの一方のみを実行する構成であってもよい。
【0108】
・細胞組織B(流路Bp)の内部の圧力を検出する圧力センサ84を、送液配管42Bから細胞組織Bの内部へ挿入することもできる。また、送液配管42A,42Bにより細胞培養槽50へ供給される培養液Lの圧力P2として、
図1に破線で示すように、送液配管42Bにおいて細胞培養槽50の直前の培養液Lの圧力P2を圧力センサ86により検出してもよい。
【0109】
・圧力制御送液部20に代えて、容量可変式の精密ポンプを採用することもできる。
【0110】
・細胞培養システム10は、記憶装置を備え、任意のタイミングから各種パラメータを記憶装置に記憶可能としてもよい。また、細胞培養システム10は、外部記憶媒体を挿入可能とし、任意のタイミングから各種パラメータを外部記憶媒体に記憶可能としてもよい。これらの構成によれば、試験の証拠を容易に残すことができる。なお、各種パラメータを記憶する時間間隔を可変設定できるようにしてもよい。
【0111】
・細胞培養システム10を外部機器と通信可能とし、外部機器により各種データを取得したり、各種設定を実行したりできるようにしてもよい。また、細胞培養システム10はクラウドに各種データを保存可能としてもよい。また、通信機能により、遠隔地にいるユーザ同士で、リアルタイムにデータを共有したり、リアルタイムに打ち合わせをしたりすることもできる。また、表示部70に対してユーザが操作しにくい場合に、細胞培養システム10と通信可能なタブレット端末等により同様の操作を実行することもできる。
【符号の説明】
【0112】
10…細胞培養システム、20…圧力制御送液部(流量調節部)、34…タンク、37…圧力センサ、42A…送液配管(供給配管)、42B…送液配管(供給配管)、45…制御部、50…細胞培養槽(培養槽)、51…細胞収納部、70…表示部(圧力受付部、流量受付部、確認受付部)、81…酸素濃度センサ(状態センサ)、82…pHセンサ(状態センサ)、83…温度センサ(状態センサ)、84…圧力センサ、85…流量センサ、86…圧力センサ。